JP2000252588A - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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JP2000252588A
JP2000252588A JP11051893A JP5189399A JP2000252588A JP 2000252588 A JP2000252588 A JP 2000252588A JP 11051893 A JP11051893 A JP 11051893A JP 5189399 A JP5189399 A JP 5189399A JP 2000252588 A JP2000252588 A JP 2000252588A
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semiconductor laser
iii
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Eitoku Ubukata
映徳 生方
Ketsu To
杰 董
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Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶欠陥密度が小さいInP基板を用いるこ
とができ、しかも2μm以上の近赤外領域のレーザ光を
室温で発振させることが可能な半導体レーザを提供す
る。 【解決手段】 InP基板1上に、III−V族化合物
半導体からなる第1のクラッド層2、III−V族化合
物半導体混晶からなる活性層4、III−V族化合物半
導体からなる第2のクラッド層11を積層してなる半導
体レーザにおいて、活性層4の少なくとも一部を、窒素
原子を含むIII−V族化合物半導体混晶としたことを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体レーザに関
し、特に、医療、分光学等の分野の光源として好適に用
いられ、近赤外領域のレーザ光を室温で発振可能な半導
体レーザに関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザを光源として用いたレーザ
分光学は、医療、分光学等の分野において広く注目され
ている。このレーザ分光学の原理は、例えば、特開平0
5−099845号公報に詳しく説明されている。この
レーザ分光学においては、光源として用いられる半導体
レーザは、シングルモードもしくはマルチモードで発振
するもので、そのレーザ光の中心波長は、測定の対象と
なるガス、液体あるいは固体の物質が示す吸収感度の最
も高い波長に一致するように設定されている。
【0003】この様な半導体レーザを用いた分光学の応
用例としては、例えば、レーザスペクトロスコピー等が
ある(参考文献;Akinori Ubukata and Jii Dong et a
l: CREO Pacific RIM '97 p.18 (1997))。このような
半導体レーザにおいて、特に、近赤外領域のレーザ光を
発振する半導体レーザの材料としては、InP基板上に
形成されるInGaAs(P)が最もよく知られてい
る。この材料は、伝送損失が1.55μm近辺で最小値
をとる石英系光ファイバとマッチすることから、1.5
5μm帯域の光通信用光源として広く用いられている。
【0004】このInGaAs(P)を用いた半導体レ
ーザは、近赤外領域のレーザ光を発振することができる
ものの、その発振波長は長くても2μm程度が限界であ
る。そこで、2μm以上の近赤外領域のレーザ光を発振
させるために、例えば、InAs基板上にInAsSb
(P)活性層を形成、あるいはGaSb基板上にAlG
aAsSb活性層を形成した量子井戸レーザ等が提案さ
れている。
【0005】この量子井戸レーザでは、活性層の格子定
数は基板の格子定数に近いものが好ましいといわれてい
る。その理由は、基板上に活性層をエピタキシャル成長
させる際に、成長する活性層と基板との歪が大きすぎる
と、得られた活性層に転位等の格子欠陥が引き起こされ
てその結晶性が低下するためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した量
子井戸レーザでは、基板材料としてInAs基板やGa
Sb基板等を用いているが、これらの基板を用いた場
合、低しきい値化が難しいために最低動作電流が非常に
大きくなってしまうという問題点や、室温動作が困難で
あるという問題点等があり、良好な動作特性を有する半
導体レーザを得ることができない。この理由は、InA
s基板やGaSb基板に元来含まれる結晶欠陥密度が、
InP基板やGaAs基板等に比べて大きいために、結
晶性が低下し、その品質が劣るためである。
【0007】また、従来より広く用いられてきたInP
基板を他の組成の基板に替えた場合、その製造プロセス
全体を変更しなければならないために、新たな設備投資
等が必要になり、製造コスト増につながるという問題点
が生じる。さらに、InP基板上に形成された素子を集
積する場合、他の組成の基板を用いた素子があると、集
積し難く不都合が生じる。以上の観点から、2μm以上
の近赤外領域のレーザ光を発振させる半導体レーザの基
板材料として、InP基板を使用することが望まれてい
た。
【0008】しかしながら、InP基板を使用すると、
例えば、InGaAs(P)活性層の場合では歪量が
2.5%以上にも達してしまうために、良好な結晶を得
ることが難しいという問題点がある。そこで、InP基
板との歪量を2.5%以下に抑制することで結晶性が良
好となり、かつ、2μm以上の近赤外領域のレーザ光を
室温で発振させることが可能な活性層が望まれている。
【0009】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであって、結晶欠陥密度が小さいInP基板を用いる
ことができ、しかも2μm以上の近赤外領域のレーザ光
を室温で発振させることが可能な半導体レーザを提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次の様な半導体レーザを提供した。すなわ
ち、請求項1記載の半導体レーザは、InP基板上に、
III−V族化合物半導体からなる第1のクラッド層、
III−V族化合物半導体混晶からなる活性層、III
−V族化合物半導体からなる第2のクラッド層を積層し
てなる半導体レーザにおいて、前記活性層の少なくとも
一部を、窒素原子を含むIII−V族化合物半導体混晶
としたことを特徴としている。
【0011】請求項2記載の半導体レーザは、請求項1
記載の半導体レーザにおいて、前記窒素原子を含むII
I−V族化合物半導体混晶を、III−V族化合物半導
体混晶の第V族原子の一部を窒素原子により置換してな
るIII−V族窒化物半導体混晶としたことを特徴とし
ている。
【0012】請求項3記載の半導体レーザは、請求項1
または2記載の半導体レーザにおいて、前記窒素原子を
含むIII−V族化合物半導体混晶は、GaAsN、I
nGaAsN、GaAsNP、GaAsNSbの群の中
から選択された1種であることを特徴としている。
【0013】請求項4記載の半導体レーザは、請求項1
または2記載の半導体レーザにおいて、前記第1及び第
2のクラッド層は、InP、InGaAsP、InGa
As、AlInPの群の中から選択された1種であるこ
とを特徴としている。
【0014】請求項5記載の半導体レーザは、請求項1
または2記載の半導体レーザにおいて、前記第1のクラ
ッド層と前記活性層との間に、GaInAs、InGa
AsP、AlInAs、AlInGaAsの群の中から
選択された1種からなる光ガイド層を形成したことを特
徴としている。
【0015】請求項6記載の半導体レーザは、請求項1
記載の半導体レーザにおいて、前記活性層を、量子井戸
層を2つの障壁層で挟んでなる量子井戸構造とし、前記
量子井戸層を窒素原子を含むIII−V族化合物半導体
混晶としたことを特徴としている。
【0016】請求項7記載の半導体レーザは、請求項6
記載の半導体レーザにおいて、前記量子井戸層と前記障
壁層を交互に積層して多重量子井戸構造としたことを特
徴としている。
【0017】請求項8記載の半導体レーザは、請求項6
または7記載の半導体レーザにおいて、前記量子井戸層
をInGaAsNとし、前記障壁層をGaInAs、I
nGaAsP、AlInAs、AlInGaAsの群の
中から選択された1種としたことを特徴としている。
【0018】請求項9記載の半導体レーザは、請求項1
ないし8のいずれか1項記載の半導体レーザにおいて、
前記窒素原子を含むIII−V族化合物半導体混晶は、
窒素原子の濃度がV族原子に対して1%以下であること
を特徴としている。
【0019】本発明の半導体レーザでは、活性層の少な
くとも一部を、窒素原子を含むIII−V族化合物半導
体混晶としたことにより、InP基板上に、格子不整合
の小さい活性層を形成することが可能になり、その結
果、活性層の結晶欠陥密度が小さくなり、結晶性が向上
する。また、前記活性層の2次以上の高次の非線形因子
が非常に大きくなり、その結果、前記活性層のバンドギ
ャップが小さくなる。また、III−V族化合物半導体
混晶中の窒素の含有量を変化させることで、0〜2eV
の範囲のバンドギャップをカバーすることが可能にな
り、低しきい値化を図ることができる。
【0020】これにより、最低動作電流を小さくするこ
とが可能になり、2μm以上の近赤外領域のレーザ光を
発振させる半導体レーザが実現される。また、InP基
板を用いることにより、従来の製造プロセスを変更せず
にほぼそのまま用いることができ、製造コストを大幅に
削減することが可能である。
【0021】ここで、活性層を構成する窒素原子を含む
III−V族化合物半導体混晶は、III−族化合物半
導体混晶の第V族原子の一部を窒素原子により置換した
III−V族窒化物半導体混晶とするのが好ましい。そ
の理由は、原子半径の大きい第V族原子の一部を原子半
径の小さい窒素原子により置換することで、得られたI
II−V族窒化物半導体混晶の格子定数がInP基板の
格子定数に近ずくこととなり、活性層のInP基板に対
する格子歪が小さくなるからである。
【0022】この窒素原子を含むIII−V族化合物半
導体混晶としては、ナロウバンドギャップ半導体材料で
あるGaAsN、InGaAsN、GaAsNP、Ga
AsNSbの群の中から選択された1種であることが好
ましい。活性層にこのような組成の混晶を用いること
で、活性層のInP基板に対する格子歪を2%以下に抑
制することが可能である。
【0023】活性層を挟む第1及び第2のクラッド層と
しては、InP基板及び活性層に対して格子不整合の小
さいワイドギャップ半導体材料が好ましく、特に、In
P、InGaAsP、InGaAs、AlInPの群の
中から選択された1種が好ましい。第1のクラッド層と
前記活性層との間に形成する光ガイド層としては、第1
のクラッド層と活性層の間の格子定数を有する材料、例
えば、GaInAs、InGaAsP、AlInAs、
AlInGaAsの群の中から選択された1種が好まし
い。
【0024】活性層を量子井戸構造とし、その量子井戸
層を窒素原子を含むIII−V族化合物半導体混晶とし
てもよい。この場合、格子整合し易い材料の組み合わせ
が好ましく、例えば、量子井戸層をInGaAsNと
し、前記第1及び第2の障壁層をGaInAs、InG
aAsP、AlInAs、AlInGaAsの群の中か
ら選択された1種とする組み合わせが好適である。
【0025】窒素原子を含むIII−V族化合物半導体
混晶中における窒素原子の濃度は、V族原子に対して1
%以下であることが好ましく、0.1%以下であればな
お好ましい。窒素原子の濃度を1%以下の範囲、より好
ましくは0.1%以下の範囲で変更することで、バンド
ギャップを0.63eV(室温における発振波長1.9
μmにほぼ相当)あるいはそれ以下の任意の値に変更す
ることができ、0〜2eVの範囲のバンドギャップをカ
バーすることが可能である。これにより、2μm以上の
近赤外領域のレーザ光を室温で発振させる半導体レーザ
が実現可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の半導体レーザの各実施形
態について、図面に基づき説明する。[第1の実施形
態]図1は本発明の第1の実施形態の2.2μm帯域の
レーザ光を室温で発振させる逆メサ型屈折率導波型半導
体レーザを示す断面図、図2は図1のA−A線に沿う断
面図であり、この半導体レーザは、p−InP基板1の
(100)面上に、厚みが2μm、バンドギャップ(E
g)が1.35eVのp−InPクラッド層(第1のク
ラッド層)2が形成され、このp−InPクラッド層2
上に、厚みが200nm、バンドギャップが0.89e
Vのp−InGaAsP光閉じ込め層(光ガイド層)
3、厚みが8nm、バンドギャップが0.5eVのIn
GaNAs活性層4、厚みが200nm、バンドギャッ
プが0.89eVのn−InGaAsP光閉じ込め層5
が積層されて逆メサ型のメサストライプ6とされてい
る。
【0027】このn−InGaAsP光閉じ込め層5の
上には、繰り返し周期がおよそ3000Åの回折格子7
が形成されている。このメサストライプ6は、深さが約
4μm、幅が約2μmであり、このメサストライプ6の
両側には、電流ブロック層となるp−InP電流狭窄層
8、n−InP電流狭窄層9、p−InP電流狭窄層1
0が順次形成されている。
【0028】そして、このメサストライプ6及びp−I
nP電流狭窄層10の上には、厚みが2μm、バンドギ
ャップが1.35eVのn−InPクラッド層(第2の
クラッド層)11、厚みが0.1μm、バンドギャップ
が0.76eVのn−InGaAsコンタクト層12が
積層され、n−InGaAsコンタクト層12上には、
SiO2あるいはSiNxからなる絶縁膜13が形成さ
れ、この絶縁膜13のメサストライプ6に対応する位置
に窓が形成され、この絶縁膜13上にAu合金からなる
電極14が形成されている。
【0029】InGaNAs活性層4としては、少なく
ともその一部をNを含むナロウバンドギャップ半導体材
料のIII−V族化合物半導体混晶、例えば、III−
V族化合物半導体混晶であるInGaAsのAs原子の
一部をN原子により置換したInXGa1-XYAs
1-Y(0<X,Y<1)(III−V族窒化物半導体混
晶)が好ましい。
【0030】ここで、NのV族原子に対する濃度は、I
nGaNAs活性層4に生じる格子歪を吸収することが
でき、かつInGaNAs活性層4とp−InP基板1
との格子不整合が小さい範囲であればよく、1%以下、
より好ましくは0.1%以下である。例えば、InX
1-XYAs1-Yの場合、Nの濃度が0.1%に対応す
るXの値は0.73である。この半導体レーザは、共振
器長が900μm、室温で連続発振するしきい値電流が
約10mA、その発振波長が2.25μmである。
【0031】次に、この半導体レーザの製造方法につい
て図1及び図2に基づき説明する。まず、有機金属気相
成長法(MOCVD)あるいはガスソース分子線エピタ
キシャル(MBE)法により、p−InP基板1の(1
00)面上に、p−InPクラッド層2、p−InGa
AsP光閉じ込め層3、InGaNAs活性層4、n−
InGaAsP光閉じ込め層5を順次成長した。次い
で、干渉露光法もしくは電子ビーム露光法により、n−
InGaAsP光閉じ込め層5上に回折格子7を形成し
た。
【0032】次いで、MOCVDにより、n−InPク
ラッド層11、n−InGaAsコンタクト層12を順
次成長した。なお、ここでは、P型のドーパントとして
Znを、n型のドーパントとしてSiを、それぞれ用い
た。次いで、フォトリソグラフィ技術により、p−In
Pクラッド層2〜n−InGaAsP光閉じ込め層5を
逆メサ型のストライプ状に加工し、メサストライプ6と
した。なお、エッチングは、ウエットエッチングの他、
RIE、RIBE等のいずれを用いてもかまわない。
【0033】次いで、液相成長法(LPE法)により、
メサストライプ6の両側に、p−InP電流狭窄層8、
n−InP電流狭窄層9、p−InP電流狭窄層10を
順次形成した。次いで、n−InGaAsコンタクト層
12上に絶縁膜13を形成し、選択エッチングにより絶
縁膜13のメサストライプ6に対応する位置に窓を開
け、蒸着法により絶縁膜13上に電極14を形成した。
以上により、2μm以上の近赤外領域のレーザ光を室温
で発振させる半導体レーザを作製することができた。
【0034】図3は、InGaNAs活性層の組成とバ
ンドギャップ(Eg)及びInP基板からの格子不整合
との関係を示す図であり、図3中の右肩上がりの直線群
はバンドギャップ(eV)を示している。この図から明
かなように、Nをわずか0.1%添加する程度でも、バ
ンドギャップは0.63eV程度(室温で約1.9μm
の発振波長に相当)に達することが解る。
【0035】従来では、InGaAs(P)層を活性層
として用いた場合、歪を導入してもレーザ光の発振波長
は2.2μmが限界であったが、V族原子であるAsの
一部をNで置き換えることによりバンドギャップが小さ
くなり、その結果、レーザ光の発振波長を2.2μm以
上とすることができる。バンドギャップが小さくなる理
由は、III−V族化合物半導体混晶の第V族原子の一
部をN原子により置換したため、このIII−V族窒化
物半導体混晶の非線形因子が非常に大きくなるためであ
る。これにより、InGaNAs活性層のバンドギャッ
プは、0〜2eV程度の範囲までカバーすることが可能
である。
【0036】表1は、2μm帯域の代表的な気体の吸収
線のピーク波長λ(μm)と、吸収係数の代表値を示し
たものである。
【表1】
【0037】この表1では、数多いガス種のうち、2.
0μm〜3.0μmの範囲において吸収係数のとりわけ
大きなガスをリストアップした。一般的に、吸収係数の
大きなガスほど、分光測定に適したガスである。レーザ
分光学は、ガスの吸収線に一致した波長のレーザ光を必
要とするために、複数種類のガスを測定する際には、ガ
スの種類と同数の光源が必要になる。
【0038】本実施形態の半導体レーザでは、同一の材
料でNのV族原子に対する濃度を変化させるだけで、広
い範囲の波長帯域をカバーすることができるので、特
に、InP基板上に発光素子を集積する場合等において
効果的である。特に、2.2μmにはNH3、2.3μ
mにはSiH4の強い吸収線が存在することから、半導
体材料のガス分析への応用が期待される。
【0039】以上説明したように、本実施形態の半導体
レーザによれば、活性層の組成をInGaNAsとした
ので、InP基板上に格子不整合の小さい活性層を形成
することにより、活性層の結晶欠陥密度を小さくするこ
とができ、その結晶性を向上させることができる。ま
た、前記活性層の2次以上の高次の非線形因子を非常に
大きくすることができるので、前記活性層のバンドギャ
ップを小さくすることができる。また、InGaNAs
中のNの含有量を変化させることで、0〜2eVの範囲
のバンドギャップをカバーすることができ、低しきい値
化を図ることができる。
【0040】以上により、最低動作電流を小さくするこ
とができ、2μm以上の近赤外領域のレーザ光を室温で
発振させる半導体レーザを実現することができる。ま
た、InP基板を用いることができるので、従来の製造
プロセスを変更せずにほぼそのまま用いることができ、
製造コストを大幅に削減することができる。
【0041】[第2の実施形態]図4は本発明の第2の
実施形態の2.3μm帯域のレーザ光を室温で発振させ
る順メサ型屈折率導波型半導体レーザを示す断面図、図
5は図4のB−B線に沿う断面図であり、この半導体レ
ーザは、p−InP基板1の(100)面上に、厚みが
2μm、バンドギャップ(Eg)が1.35eVのp−
InPクラッド層2、厚みが200nm、バンドギャッ
プが0.89eVのp−InGaAsP光閉じ込め層3
が積層され、このp−InGaAsP光閉じ込め層3上
には、厚みが8nm、バンドギャップが0.51eVの
InGaNAs量子井戸層21と、厚みが10nm、バ
ンドギャップが0.89eVのInGaAsP障壁層2
2が交互に積層された3層構造のInGaNAs/In
GaAsP多重量子井戸構造(MQW)23が形成され
ている。
【0042】この多重量子井戸構造23上には、厚みが
200nm、バンドギャップが0.89eVのn−In
GaAsP光閉じ込め層5、厚みが3.2μm、バンド
ギャップが0.92eVのn−InPクラッド層11、
厚みが0.1μm、バンドギャップが0.76eVのn
−InGaAsコンタクト層12が積層され、これらn
−InPクラッド層11及びn−InGaAsコンタク
ト層12は順メサ型のストライプ状に形成されてメサス
トライプ24とされている。このメサストライプ24
は、深さが約3μm、上端の幅が約5μmである。
【0043】これらn−InPクラッド層11及びn−
InGaAsコンタクト層12上には、SiO2あるい
はSiNxからなる絶縁膜13が形成され、この絶縁膜
13のメサストライプ24に対応する位置に窓が形成さ
れ、この絶縁膜13上にAu合金からなる電極14が形
成されている。
【0044】InGaNAs量子井戸層21としては、
少なくともその一部をNを含むナロウバンドギャップ半
導体材料のIII−V族化合物半導体混晶、例えば、I
II−V族化合物半導体混晶であるInGaAsのAs
原子の一部をN原子により置換したInXGa1-XY
1-Y(0<X,Y<1)(III−V族窒化物半導体
混晶)が好ましい。
【0045】ここで、NのV族原子に対する濃度は、I
nGaNAs量子井戸層21に生じる格子歪を吸収する
ことができ、かつInGaNAs量子井戸層21とp−
InP基板1との格子不整合が小さい範囲であればよ
く、1%以下、より好ましくは0.1%以下である。例
えば、InXGa1-XYAs1-Yの場合、NのV族原子に
対する濃度が0.1%に対応するXの値は0.75であ
る。この半導体レーザは、共振器長が900μm、室温
で連続発振するしきい値電流が約15mA、その発振波
長が2.35μmである。
【0046】次に、この半導体レーザの製造方法につい
て図4及び図5に基づき説明する。まず、MOCVDあ
るいはガスソースMBE法により、p−InP基板1の
(100)面上に、p−InPクラッド層2、p−In
GaAsP光閉じ込め層3、InGaNAs量子井戸層
21とInGaAsP障壁層22を交互に積層した3層
構造の多重量子井戸構造23、n−InGaAsP光閉
じ込め層5、n−InPクラッド層11、n−InGa
Asコンタクト層12を順次成長した。なお、ここで
は、P型のドーパントとしてZnを、n型のドーパント
としてSiを、それぞれ用いた。
【0047】次いで、フォトリソグラフィ技術により、
n−InPクラッド層11及びn−InGaAsコンタ
クト層12を順メサ型のストライプ状に加工し、メサス
トライプ24とした。なお、エッチングは、ウエットエ
ッチングの他、RIE、RIBE等のいずれを用いても
かまわない。
【0048】次いで、n−InPクラッド層11及びn
−InGaAsコンタクト層12上に絶縁膜13を形成
し、選択エッチングにより絶縁膜13のメサストライプ
24に対応する位置に窓を開け、蒸着法により絶縁膜1
3上に電極14を形成した。以上により、2μm以上の
近赤外領域のレーザ光を室温で発振させる半導体レーザ
を作製することができる。
【0049】以上説明したように、本実施形態の半導体
レーザによれば、第1の実施形態の半導体レーザと同様
の効果を奏することができる。さらに、活性層を、In
GaNAs量子井戸層21とInGaAsP障壁層22
を交互に積層した3層構造の多重量子井戸構造23とし
たので、InP基板上に格子不整合の小さい多重量子井
戸構造23を形成することができ、低しきい値で2μm
以上の近赤外領域のレーザ光を室温で発振させる半導体
レーザを実現することができる。
【0050】[第3の実施形態]図6は本発明の第3の
実施形態の2.2μm帯域のレーザ光を室温で発振させ
る利得導波型半導体レーザを示す断面図、図7は図6の
C−C線に沿う断面図であり、この半導体レーザは、p
−InP基板1の(100)面上に、厚みが2μm、バ
ンドギャップ(Eg)が1.35eVのp−InPクラ
ッド層2、厚みが200nm、バンドギャップが0.8
9eVのp−InGaAsP光閉じ込め層3が積層さ
れ、このp−InGaAsP光閉じ込め層3上に、厚み
が8nm、バンドギャップが0.5eVのInGaNA
s量子井戸層21と、厚みが10nm、バンドギャップ
が0.89eVのInGaAsP障壁層22が交互に積
層された3層構造のInGaNAs/InGaAsP多
重量子井戸構造(MQW)23が形成されている。
【0051】この多重量子井戸構造23上に、厚みが2
00nm、バンドギャップが0.89eVのn−InG
aAsP光閉じ込め層5、厚みが2μm、バンドギャッ
プが1.35eVのn−InPクラッド層11、厚みが
0.1μm、バンドギャップが0.76eVのn−In
GaAsコンタクト層12が積層されている。このn−
InGaAsコンタクト層12上には、SiO2あるい
はSiNxからなる絶縁膜13が形成され、この絶縁膜
13の略中央の位置に窓が形成され、この絶縁膜13上
にAu合金からなる電極14が形成されている。
【0052】多重量子井戸構造23のInGaNAs量
子井戸層21及びInGaAsP障壁層22の構成は、
上述した第2の実施形態のものと全く同様であるから、
詳細については説明を省略する。この半導体レーザは、
共振器長が1500μm、室温で連続発振するしきい値
電流が約140mA、その発振波長が2.38μmであ
る。
【0053】次に、この半導体レーザの製造方法につい
て図6及び図7に基づき説明する。まず、MOCVDあ
るいはガスソースMBE法により、p−InP基板1の
(100)面上に、p−InPクラッド層2、p−In
GaAsP光閉じ込め層3、InGaNAs量子井戸層
21とInGaAsP障壁層22を交互に積層した3層
構造の多重量子井戸構造23、n−InGaAsP光閉
じ込め層5、n−InPクラッド層11、n−InGa
Asコンタクト層12を順次成長した。ここでは、P型
のドーパントとしてZnを、n型のドーパントとしてS
iを、それぞれ用いた。
【0054】次いで、得られた積層体をInP基板1
毎、劈開法によりストライプ状に劈開し、ストライプ幅
を300μmとした。次いで、n−InGaAsコンタ
クト層12上に絶縁膜13を形成し、選択エッチングに
より絶縁膜13の略中央に窓を開け、蒸着法により絶縁
膜13上に電極14を形成した。以上により、2μm以
上の近赤外領域のレーザ光を室温で発振させる半導体レ
ーザを作製することができる。本実施形態の半導体レー
ザにおいても、第2の実施形態の半導体レーザと同様の
効果を奏することができる。
【0055】[第4の実施形態]図8は本発明の第4の
実施形態の2.3μm帯域のレーザ光を室温で発振させ
る逆メサ型屈折率導波型半導体レーザを示す断面図、図
9は図8のD−D線に沿う断面図であり、この半導体レ
ーザは、p−InP基板1の(100)面上に、厚みが
2μm、バンドギャップ(Eg)が1.35eVのp−
InPクラッド層2、厚みが200nm、バンドギャッ
プが0.89eVのp−InGaAsP光閉じ込め層3
が積層され、このp−InGaAsP光閉じ込め層3上
に、厚みが8nm、バンドギャップが0.5eVのIn
GaNAs量子井戸層21と、厚みが10nm、バンド
ギャップが0.89eVのInGaAsP障壁層22が
交互に積層された3層構造のInGaNAs/InGa
AsP多重量子井戸構造(MQW)23が形成されてい
る。
【0056】この多重量子井戸構造23上には、厚みが
200nm、バンドギャップが0.89eVのn−In
GaAsP光閉じ込め層5、厚みが0.1μm、幅が6
μmのエッチングストップ層31、厚みが2μm、バン
ドギャップが0.92eVのn−InPクラッド層1
1、厚みが0.1μm、バンドギャップが0.76eV
のn−InGaAsコンタクト層12が積層されてい
る。
【0057】このn−InPクラッド層11は逆メサ型
のストライプ状に形成されてメサストライプ32とされ
ている。このメサストライプ32は、深さが約2μm、
幅が約5〜15μmである。このメサストライプ32の
両側方には、メサを補強するためのポリイミド33が埋
め込まれている。
【0058】このn−InGaAsコンタクト層12上
には、SiO2あるいはSiNxからなる絶縁膜13が形
成され、この絶縁膜13のメサストライプ32に対応す
る位置に窓が形成され、この絶縁膜13上にAu合金か
らなる電極14が形成されている。
【0059】多重量子井戸構造23のInGaNAs量
子井戸層21及びInGaAsP障壁層22の構成は、
上述した第2及び第3の実施形態のものと全く同様であ
るから、詳細については説明を省略する。この半導体レ
ーザは、共振器長が500μm、室温で連続発振するし
きい値電流が約20mA、その発振波長が2.32μm
である。
【0060】次に、この半導体レーザの製造方法につい
て図8及び図9に基づき説明する。まず、MOCVDあ
るいはガスソースMBE法により、p−InP基板1の
(100)面上に、p−InPクラッド層2、p−In
GaAsP光閉じ込め層3、InGaNAs量子井戸層
21とInGaAsP障壁層22を交互に積層した3層
構造のInGaNAs/InGaAsP多重量子井戸構
造23、n−InGaAsP光閉じ込め層5、エッチン
グストップ層31、n−InPクラッド層11、n−I
nGaAsコンタクト層12を順次成長した。なお、こ
こでは、P型のドーパントとしてZnを、n型のドーパ
ントとしてSiを、それぞれ用いた。
【0061】次いで、フォトリソグラフィ技術により、
n−InPクラッド層11を逆メサ型のストライプ状に
加工し、メサストライプ32とした。なお、エッチング
は、ウエットエッチングの他、RIE、RIBE等も好
適に用いられる。次いで、メサストライプ32の両側方
にポリイミド33を埋め込み、メサを補強した。
【0062】次いで、得られた積層体をInP基板1
毎、劈開法によりストライプ状に劈開し、ストライプ幅
を300μmとした。次いで、n−InGaAsコンタ
クト層12上に絶縁膜13を形成し、選択エッチングに
より絶縁膜13のメサストライプ32に対応する位置に
窓を開け、蒸着法により絶縁膜13上に電極14を形成
した。
【0063】以上により、2μm以上の近赤外領域のレ
ーザ光を室温で発振させる半導体レーザを作製すること
ができる。本実施形態の半導体レーザにおいても、第2
及び第3の実施形態の半導体レーザと同様の効果を奏す
ることができる。
【0064】以上、本発明の実施形態について図面に基
づき説明してきたが、具体的な構成は本実施形態に限定
されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で
設計の変更等が可能である。例えば、活性層として、I
nGaNAs量子井戸層21とInGaAsP障壁層2
2が交互に積層された3層構造のInGaNAs/In
GaAsP多重量子井戸構造23を用いたが、2層ある
いは4層以上の量子井戸層を有するInGaNAs/I
nGaAsP多重量子井戸構造としてもよく、また、I
nGaNAs量子井戸層21を2つのInGaAsP障
壁層22で挟んでなるInGaNAs/InGaAsP
単層量子井戸構造(SQW)としてもよい。
【0065】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の半導体レー
ザによれば、InP基板上に、III−V族化合物半導
体からなる第1のクラッド層、III−V族化合物半導
体混晶からなる活性層、III−V族化合物半導体から
なる第2のクラッド層を積層し、前記活性層の少なくと
も一部を、窒素原子を含むIII−V族化合物半導体混
晶としたので、InP基板上に格子不整合の小さい活性
層を形成することができ、その結果、活性層の結晶欠陥
密度を小さくすることができ、結晶性を向上させること
ができる。
【0066】また、前記活性層の2次以上の高次の非線
形因子が非常に大きくなるので、前記活性層のバンドギ
ャップを小さくすることができる。また、III−V族
化合物半導体混晶中のV族原子に対する窒素の濃度を変
化させることで、0〜2eVの範囲のバンドギャップを
カバーすることができ、低しきい値化を図ることができ
る。
【0067】したがって、最低動作電流を小さくするこ
とができ、2μm以上の近赤外領域のレーザ光を室温で
発振させる半導体レーザを実現させることができる。ま
た、InP基板を用いたので、従来の製造プロセスを変
更せずにほぼそのまま用いることができ、製造コストを
大幅に削減することができる。
【0068】以上により、結晶欠陥密度が小さいInP
基板を用いることができ、しかも2μm以上の近赤外領
域のレーザ光を室温で発振させることができる半導体レ
ーザを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の逆メサ型屈折率導
波型半導体レーザを示す断面図である。
【図2】 図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】 InGaNAs活性層の組成とバンドギャッ
プ及びInP基板からの格子不整合との関係を示す図で
ある。
【図4】 本発明の第2の実施形態の順メサ型屈折率導
波型半導体レーザを示す断面図である。
【図5】 図4のB−B線に沿う断面図である。
【図6】 本発明の第3の実施形態の利得導波型半導体
レーザを示す断面図である。
【図7】 図6のC−C線に沿う断面図である。
【図8】 本発明の第4の実施形態の逆メサ型屈折率導
波型半導体レーザを示す断面図である。
【図9】 図8のD−D線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 p−InP基板 2 p−InPクラッド層(第1のクラッド層) 3 p−InGaAsP光閉じ込め層(光ガイド層) 4 InGaNAs活性層 5 n−InGaAsP光閉じ込め層 6 メサストライプ 7 回折格子 8 p−InP電流狭窄層 9 n−InP電流狭窄層 10 p−InP電流狭窄層 11 n−InPクラッド層(第2のクラッド層) 12 n−InGaAsコンタクト層 13 絶縁膜 14 電極 21 InGaNAs量子井戸層 22 InGaAsP障壁層 23 InGaNAs/InGaAsP多重量子井戸構
造 24 メサストライプ 31 エッチングストップ層 32 メサストライプ 33 ポリイミド
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月30日(2000.3.3
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次の様な半導体レーザを提供した。すなわ
ち、請求項1記載の半導体レーザは、InP基板上に、
III−V族化合物半導体からなる第1のクラッド層、
III−V族化合物半導体混晶からなる活性層、III
−V族化合物半導体からなる第2のクラッド層を積層し
てなる半導体レーザにおいて、前記活性層を、量子井戸
層を2つの障壁層で挟んでなる量子井戸構造とし、前記
量子井戸層を、窒素原子の濃度が第V族原子に対して1
%以下のIII−V族窒化物半導体混晶としたことを特
徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】請求項2記載の半導体レーザは、請求項1
記載の半導体レーザにおいて、前記III−V族窒化物
半導体混晶をInGaNAsとしたことを特徴としてい
る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】請求項3記載の半導体レーザは、請求項1
または2記載の半導体レーザにおいて、前記量子井戸層
と前記障壁層を交互に積層して多重量子井戸構造とした
ことを特徴としている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】本発明の半導体レーザでは、前記活性層
を、量子井戸層を2つの障壁層で挟んでなる量子井戸構
造とし、前記量子井戸層を、窒素原子の濃度が第V族原
子に対して1%以下のIII−V族窒化物半導体混晶と
したことにより、InP基板上に、格子不整合の小さい
活性層を形成することが可能になり、その結果、活性層
の結晶欠陥密度が小さくなり、結晶性が向上する。ま
た、前記活性層の2次以上の高次の非線形因子が非常に
大きくなり、その結果、前記活性層のバンドギャップが
小さくなる。また、III−V族化合物半導体混晶中の
窒素の含有量を変化させることで、0〜2eVの範囲の
バンドギャップをカバーすることが可能になり、低しき
い値化を図ることができる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】ここで、活性層を、III−族化合物半導
体混晶の第V族原子の一部を窒素原子により置換したI
II−V族窒化物半導体混晶とする。その理由は、原子
半径の大きい第V族原子の一部を原子半径の小さい窒素
原子により置換することで、得られたIII−V族窒化
物半導体混晶の格子定数がInP基板の格子定数に近ず
くこととなり、活性層のInP基板に対する格子歪が小
さくなるからである。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】前記III−V族窒化物半導体混晶として
は、ナロウバンドギャップ半導体材料であるInGaN
Asが好ましい。活性層にこのような組成の混晶を用い
ることで、活性層のInP基板に対する格子歪を2%以
下に抑制することが可能である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】活性層を量子井戸構造とし、その量子井戸
層をIII−V族窒化物半導体混晶とする。この場合、
格子整合し易い材料の組み合わせが好ましく、例えば、
量子井戸層をInGaNAsとし、前記第1及び第2の
障壁層をGaInAs、InGaAsP、AlInA
s、AlInGaAsの群の中から選択された1種とす
る組み合わせが好適である。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】III−V族窒化物半導体混晶中における
窒素原子の濃度は、V族原子に対して1%以下、好まし
くは0.1%以下である。窒素原子の濃度を1%以下の
範囲、より好ましくは0.1%以下の範囲で変更するこ
とで、バンドギャップを0.63eV(室温における発
振波長1.9μmにほぼ相当)あるいはそれ以下の任意
の値に変更することができ、0〜2eVの範囲のバンド
ギャップをカバーすることが可能である。これにより、
2μm以上の近赤外領域のレーザ光を室温で発振させる
半導体レーザが実現可能になる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正内容】
【0065】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の半導体レー
ザによれば、InP基板上に、III−V族化合物半導
体からなる第1のクラッド層、III−V族化合物半導
体混晶からなる活性層、III−V族化合物半導体から
なる第2のクラッド層を積層し、前記活性層を、量子井
戸層を2つの障壁層で挟んでなる量子井戸構造とし、前
記量子井戸層を、窒素原子の濃度が第V族原子に対して
1%以下のIII−V族窒化物半導体混晶としたので、
InP基板上に格子不整合の小さい活性層を形成するこ
とができ、その結果、活性層の結晶欠陥密度を小さくす
ることができ、結晶性を向上させることができる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正内容】
【0066】また、前記活性層の2次以上の高次の非線
形因子が非常に大きくなるので、前記活性層のバンドギ
ャップを小さくすることができる。また、III−V族
窒化物半導体混晶中における窒素原子の濃度を、V族原
子に対して1%以下としたので、0〜2eVの範囲のバ
ンドギャップをカバーすることができ、低しきい値化を
図ることができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 InP基板上に、III−V族化合物半
    導体からなる第1のクラッド層、III−V族化合物半
    導体混晶からなる活性層、III−V族化合物半導体か
    らなる第2のクラッド層を積層してなる半導体レーザに
    おいて、 前記活性層の少なくとも一部を、窒素原子を含むIII
    −V族化合物半導体混晶としたことを特徴とする半導体
    レーザ。
  2. 【請求項2】 前記窒素原子を含むIII−V族化合物
    半導体混晶を、III−V族化合物半導体混晶の第V族
    原子の一部を窒素原子により置換してなるIII−V族
    窒化物半導体混晶としたことを特徴とする請求項1記載
    の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 前記窒素原子を含むIII−V族化合物
    半導体混晶は、GaAsN、InGaAsN、GaAs
    NP、GaAsNSbの群の中から選択された1種であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の半導体レー
    ザ。
  4. 【請求項4】 前記第1及び第2のクラッド層は、In
    P、InGaAsP、InGaAs、AlInPの群の
    中から選択された1種であることを特徴とする請求項1
    または2記載の半導体レーザ。
  5. 【請求項5】 前記第1のクラッド層と前記活性層との
    間に、GaInAs、InGaAsP、AlInAs、
    AlInGaAsの群の中から選択された1種からなる
    光ガイド層を形成したことを特徴とする請求項1または
    2記載の半導体レーザ。
  6. 【請求項6】 前記活性層を、量子井戸層を2つの障壁
    層で挟んでなる量子井戸構造とし、前記量子井戸層を窒
    素原子を含むIII−V族化合物半導体混晶としたこと
    を特徴とする請求項1記載の半導体レーザ。
  7. 【請求項7】 前記量子井戸層と前記障壁層を交互に積
    層して多重量子井戸構造としたことを特徴とする請求項
    6記載の半導体レーザ。
  8. 【請求項8】 前記量子井戸層をInGaAsNとし、
    前記障壁層をGaInAs、InGaAsP、AlIn
    As、AlInGaAsの群の中から選択された1種と
    したことを特徴とする請求項6または7記載の半導体レ
    ーザ。
  9. 【請求項9】 前記窒素原子を含むIII−V族化合物
    半導体混晶は、窒素原子の濃度がV族原子に対して1%
    以下であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれ
    か1項記載の半導体レーザ。
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