JP2000240748A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

Info

Publication number
JP2000240748A
JP2000240748A JP11041164A JP4116499A JP2000240748A JP 2000240748 A JP2000240748 A JP 2000240748A JP 11041164 A JP11041164 A JP 11041164A JP 4116499 A JP4116499 A JP 4116499A JP 2000240748 A JP2000240748 A JP 2000240748A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ball spline
peripheral surface
groove
continuously variable
variable transmission
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11041164A
Other languages
English (en)
Inventor
Norihisa Kobayashi
功久 小林
Toshinobu Kato
利信 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP11041164A priority Critical patent/JP2000240748A/ja
Publication of JP2000240748A publication Critical patent/JP2000240748A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コストを高くする事なく、伝達可能なトルク
の増大と、ボールの転動面、並びに内周面側、外周面側
各ボールスプライン溝29aの内面の転がり疲れ寿命の
向上とを図る。 【解決手段】 ボールスプラインを構成する内周面側、
外周面側各ボールスプライン溝29aの溝底部に逃げ溝
部35を形成する。断面形状が単なるゴシックアーチ状
の場合に比べて、溝底部の曲率半径が大きくなる分、引
っ張り応力に対する耐久性が向上する。又、逃げ溝部3
5を設けた事で研削面積が少なくなる分、コスト低減を
図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るトロイダル型
無段変速機は、例えば各種機械用の変速機として、或は
自動車用変速機を構成する変速ユニットとして利用す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車用変速機として、図4〜5に略示
する様な、トロイダル型無段変速機を使用する事が研究
されている。このトロイダル型無段変速機は、図示しな
い変速機ケースの内側に回転自在に支承された入力軸1
と同心に、入力側ディスク2を支持し、同じく変速機ケ
ースに対し回転自在に支承された出力軸3の端部に、出
力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速
機を納めた上記変速機ケースの内面、或はこの変速機ケ
ース内に設けられた支持ブラケットには、上記入力軸1
並びに出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸を中心に
揺動するトラニオン5、5を設けている。即ち、これら
各枢軸は、これら各トラニオン5、5毎に、両端面に互
いに同心に設けたもので、これら各枢軸の中心軸は、上
記入力軸1並びに出力軸3の中心軸に対し交差する事は
ないが、これら各軸1、3の中心軸の方向に対し直角方
向に存在する。
【0003】これら各トラニオン5、5は、十分な剛性
を有する金属材により形成したもので、両端部外側面に
上記枢軸を、図4〜5の表裏方向に亙り互いに同心に設
けている。又、上記各トラニオン5、5の中心部に設け
た変位軸6、6の周囲には、それぞれパワーローラ7、
7を回転自在に支持している。そして、これら各パワー
ローラ7、7を、上記入力側、出力側両ディスク2、4
同士の間に挟持している。これら入力側、出力側両ディ
スク2、4の軸方向片側面で互いに対向する面には、そ
れぞれ断面が上記枢軸上の点を中心とする断面円弧形の
入力側凹面2a、出力側凹面4aを形成している。そし
て、回転円弧面状の凸面に形成した各パワーローラ7、
7の周面7a、7aを、上記入力側凹面2a及び出力側
凹面4aに当接させている。
【0004】又、上記入力軸1と入力側ディスク2との
間には、ローディングカム式の加圧装置8を設け、この
加圧装置8によって、上記入力側ディスク2を出力側デ
ィスク4に向け押圧している。この加圧装置8は、入力
軸1と共に回転するカム板9と、保持器10により回転
自在に保持した複数個(例えば4個)のローラ11、1
1とから構成している。上記カム板9の片側面(図4〜
5の右側面)には、円周方向に亙る凹凸面であるカム面
12を形成すると共に、上記入力側ディスク2の外側面
(図4〜5の左側面)にも、同様のカム面13を形成し
ている。そして、上記複数個のローラ11、11を、上
記入力軸1の中心に対し放射方向の軸を中心に、回転自
在としている。尚、上記入力側ディスク2は、入力軸1
に対し軸方向に亙る若干の摺動可能、且つ回転方向への
回転自在に支持している。
【0005】上記入力軸1の回転に伴ってカム板9が回
転し、入力側ディスク2に対し回転位相差を生ずると、
上記複数個のローラ11、11が上記両カム面12、1
3に乗り上げて、上記カム板9と入力側ディスク2とを
互いに遠ざける。このカム板9は、変速機ケースに対し
て軸受により支承された入力軸1に、軸方向への移動不
能に支持されている為、入力側ディスク2はパワーロー
ラ7、7に向けて押され、これら各パワーローラ7、7
は出力側ディスク4に向けて押される。一方、出力側デ
ィスク4は、前記変速機ケースに対して出力軸3と共に
回転のみ自在に支承されて軸方向に移動できない。この
為、パワーローラ7、7は入力側ディスク2と出力側デ
ィスク4との間で強く挟持される。この為、パワーロー
ラ7、7の周面7a、7aと入力側、出力側両凹面2
a、4aとの当接圧が十分に高くなり、入力側ディスク
2の回転がほぼ滑らずに上記各パワーローラ7、7を介
して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク
4を固定した出力軸3が回転する。
【0006】上記入力軸1と出力軸3との回転速度比を
変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を
行なう場合には、図4に示す様に、前記枢軸を中心とし
て各トラニオン5、5を所定方向に揺動させ、上記各パ
ワーローラ7、7の周面7a、7aを、入力側凹面2a
の中心寄り部分と出力側凹面4aの外周寄り部分とに、
それぞれ当接する様に、前記各変位軸6、6を傾斜させ
る。反対に、増速を行なう場合には、上記トラニオン
5、5を図5に示す様に、上記所定方向とは逆方向に揺
動させ、上記各パワーローラ7、7の周面7a、7a
を、上記入力側凹面2aの外周寄り部分と出力側凹面4
aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各
変位軸6、6を傾斜させる。各変位軸6、6の傾斜角度
を、図4と図5との中間にすれば、上記入力軸1と出力
軸3との間で、中間の変速比を得られる。
【0007】トロイダル型無段変速機の基本的な構造及
び作用は、上述の通りである。ところで、この様なトロ
イダル型無段変速機を、出力の大きなエンジンを持った
自動車用変速機として利用する場合には、伝達可能な動
力を確保すべく、前記入力側ディスク2及び出力側ディ
スク4を2個ずつ設ける事が考えられている。この様
な、所謂ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機
では、上記2個ずつの入力側ディスク2及び出力側ディ
スク4を、動力の伝達方向に対し互いに並列に配置す
る。図6は、この様な目的で考えられたダブルキャビテ
ィ型のトロイダル型無段変速機の1例を示している。
【0008】この図6に示した従来構造に於いては、ハ
ウジング14の内側に回転軸である入力軸15を、回転
のみ自在に支持している。この入力軸15は、クラッチ
の出力軸等に結合される前半部15aと、この前半部1
5aに対し若干の回転を自在とされた後半部15bとか
ら成る。そしてこのうちの後半部15bの軸方向両端部
に1対の入力側ディスク2、2を、それぞれの入力側凹
面2a、2a同士を互いに対向させた状態で、ボールス
プライン16、16を介して支持している。又、上記各
入力側ディスク2、2の背面(上記入力側凹面2a、2
aと軸方向反対側の面)中央部には凹部17、17を形
成している。そして、これら各凹部17、17の奥面
と、ローディングナット18或は上記後半部15bの外
周面に形成した係止段部19との間に皿板ばね20、2
0を設けている。これら各皿板ばね20、20によって
上記各入力側ディスク2、2には、次述する出力側ディ
スク4、4に向かう予圧を付与している。
【0009】上記後半部15bの中間部周囲には1対の
出力側ディスク4、4を、それぞれの出力側凹面4a、
4aと上記各入力側凹面2a、2aとを対向させた状態
で、この後半部15bに対する回転を自在として支持し
ている。又、複数のトラニオン5、5に変位軸6、6を
介して回転自在に支持した複数のパワーローラ7、7
(図4〜5参照)を、上記各入力側、出力側両凹面2
a、4aの間に挟持している。又、上記ハウジング14
の内側で上記1対の出力側ディスク4、4の間部分に
は、隔壁21を設けている。そして、この隔壁21に設
けた通孔22の内側部分に、それぞれがアンギュラ型玉
軸受である1対の転がり軸受23、23によって、円管
状のスリーブ24を支持している。上記1対の出力側デ
ィスク4、4は、このスリーブ24の両端部にスプライ
ン係合させて、このスリーブ24と共に回転自在として
いる。又、このスリーブ24の中間部で上記隔壁21の
内側部分には、出力歯車25を固設している。一方、上
記ハウジング14の内側には、上記入力軸15と平行に
出力軸26を、回転自在に支持している。そして、この
出力軸26の一端(図6の左端)に固定した歯車27と
上記出力歯車25とを噛合させて、上記1対の出力側デ
ィスク4、4の回転を取り出し自在としている。更に、
前記前半部15aと一方(図6の左方)の入力側ディス
ク2との間には、ローディングカム式の加圧装置8を設
け、前記入力軸15の回転に伴ってこの一方の入力側デ
ィスク2を、この一方の入力側ディスク2が対向する出
力側ディスク4に向け、軸方向に押圧しつつ回転駆動自
在としている。
【0010】上述の様に構成するトロイダル型無段変速
機の場合には、上記入力軸15の回転に伴って1対の入
力側ディスク2、2が同時に回転し、この回転が1対の
出力側ディスク4、4に同時に伝達され、更にこの回転
が上記出力軸26に伝達されて取り出される。この際、
回転力の伝達が互いに並列な2系統に分けて行なわれる
ので、大きな動力(トルク)を伝達自在となる。
【0011】上記入力軸15から出力軸26への動力の
伝達時には、上記押圧装置8が発生する大きなスラスト
荷重に基づき、上記各入力側、出力側ディスク2、4並
びにこれら両ディスク2、4同士の間に挟持されたパワ
ーローラ7、7(図4〜5参照)が弾性変形する。この
弾性変形は、上記各入力側ディスク2、2が上記入力軸
15を構成する後半部15bに対し軸方向に変位する事
により吸収する。この後半部15bに対し上記各入力側
ディスク2、2は、前記ボールスプライン16、16に
より軸方向に亙る変位自在に支持しているので、上記弾
性変形の吸収は円滑に行なわれる。又、上記各パワーロ
ーラ7、7は、これら各パワーローラ7、7を枢支して
いる、それぞれが偏心軸である変位軸6、6(図4〜5
参照)が各トラニオン5、5に設けた図示しない円孔を
中心に揺動する事により、やはり上記後半部15bの軸
方向に変位して、上記弾性変形分を吸収する。尚、この
様な変位軸6、6の揺動変位に基づく弾性変形分の吸収
に就いては、従来から周知であり、本発明の特徴部分と
も関係しないので、詳しい図示並びに説明は省略し、次
に、本発明の特徴部分に関係するボールスプライン16
部分の構造に就いて、図6に図7〜8を加えて説明す
る。
【0012】上記ボールスプライン16を構成する為、
上記各入力側ディスク2、2の内周面には内周面側ボー
ルスプライン溝28、28を、上記後半部15bの外周
面両端寄り部分には外周面側ボールスプライン溝29、
29を、それぞれ軸方向に亙って形成している。それぞ
れが断面略半円弧形であるこれら各ボールスプライン溝
28、29同士の間には、それぞれ複数個ずつのボール
30、30を介在させて、上記各入力側ディスク2、2
と後半部15bとを、回転力の伝達並びに軸方向に亙る
相対変位自在に組み合わせている。又、上記後半部15
bは円管状として、中心部に給油通路31を設け、この
給油通路31から直径方向外方に分岐した各分岐給油通
路32、32の下流端を、上記各外周面側ボールスプラ
イン溝29、29の溝底部に開口させている。
【0013】上述の様に構成し作用する従来のトロイダ
ル型無段変速機の場合には、内周面側、外周面側各ボー
ルスプライン溝28、29の溝底部への応力集中を十分
に緩和できず、大きなトルク伝達を行なうと、この溝底
部から亀裂等の損傷を発生する可能性がある。この理由
は、次の通りである。
【0014】回転方向に亙るボールスプライン16の剛
性及び負荷容量を確保すべく、上記内周面側、外周面側
各ボールスプライン溝28、29の内面と上記各ボール
30、30の転動面との接触角を確保する為には、これ
ら各ボールスプライン溝28、29の断面形状を、図9
に示す様なゴシックアーチ状にする必要がある。即ち、
上記各ボールスプライン溝28、29を、上記転動面の
曲率半径よりも大きな曲率半径を有する側面部円弧面3
3、33同士を溝底部34で連続させた形状とする必要
がある。一方、トロイダル型無段変速機の運転時には、
上記ボール30、30から上記内周面側、外周面側各ボ
ールスプライン溝28、29の内面に加えられる押し付
け力に基づき、上記溝底部34に引っ張り応力が加わ
る。トロイダル型無段変速機用のボールスプライン16
の場合、この引っ張り応力は相当に大きくなる。この理
由に就いて、図9に図10〜11を加えて説明する。
【0015】トロイダル型無段変速機の運転時にパワー
ローラ7には、加圧装置8が発生する大きなスラスト力
に基づいて、図10に矢印で示す様な力が加わり、この
力の反作用として、入力側ディスク2にも、直径方向反
対側2個所位置に大きな荷重が、上記矢印と反対方向に
加わる。そして、この荷重に基づいて上記入力側ディス
ク2が、図11に誇張して示す様に、鎖線状態から実線
状態にまで、楕円形に弾性変形する。この弾性変形の結
果、上記入力側ディスク2の内周面でこの楕円形の小径
部に対応する部分と入力軸15の外周面との距離が縮ま
り、上記各ボール30、30が、上記内周面側、外周面
側各ボールスプライン溝28、29の内面に強く押し付
けられる。この為、これら各ボールスプライン溝28、
29が押し広げられる傾向になり、これら各ボールスプ
ライン溝28、29の溝底部に引っ張り方向の力が加わ
る。更に、内周面側ボールスプライン溝28の場合に
は、上記入力側ディスク2の内周面が図11に実線で示
す様に楕円形に変形する事に基づいて、上記楕円形の小
径部に対応する部分で引っ張り方向の力が加わる為、上
記引っ張り応力がより大きくなる。上記溝底部34の断
面の曲率半径が小さいと、上述の様な2通りの理由で繰
り返し加えられる引っ張り応力に基づいて、上記溝底部
34に亀裂等の損傷が発生する可能性が生じる等、トロ
イダル型無段変速機の耐久性を確保する上での障害とな
る。
【0016】
【先発明の説明】上述の様な原因での、トロイダル型無
段変速機の耐久性低下を防止する為の構造として、特願
平9−354459号には、ボールスプラインを構成す
る為、ディスクの内周面に形成した内周面側ボールスプ
ライン溝及び回転軸の外周面に形成した外周面側ボール
スプライン溝の形状を工夫する事が開示されている。こ
の先発明に係る構造では、このボールスプライン溝は、
それぞれ円周方向両内側面を、上記ボールスプラインを
構成するボールの転動面の曲率半径よりも大きな曲率半
径を有する側面部円弧面とし、溝底部を上記ボールの転
動面の曲率半径よりも小さな曲率半径を有する溝底部円
弧面としたゴシックアーチ状の断面形状を有する。そし
て、この溝底部円弧面の曲率半径を、上記ボールの外径
の0.15倍以上としている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述した先発明の構造
の場合には、ゴシックアーチ状の断面形状を有するボー
ルスプライン溝の内面を、溝底部を含めて研削する必要
がある為、研削作業の効率が悪かった。即ち、本来、こ
の溝底部は、ボールの転動面と接触する事がない為、研
削する必要がない部分であるが、この転動面と接触する
可能性のある側面部円弧面から連続する状態で形成され
ているので、この側面部円弧面を研削する為には、上記
溝底部を併せて研削しなければならなかった。この為、
上記ボールスプライン溝を有する軸やディスクの製造コ
ストが嵩んでしまう。又、入力トルクが大きなトロイダ
ル型無段変速機の場合には、溝底部円弧面の曲率半径が
ボールの外径の0.15倍程度では、ボールスプライン
溝の耐久性を十分に確保できない可能性がある。本発明
は、大きなトルクを伝達する場合でもボールスプライン
溝の底部に亀裂等の損傷が発生しにくい構造で、しかも
加工が容易で低コストで造れるトロイダル型無段変速機
を実現すべく発明したものである。
【0018】
【課題を解決する為の手段】本発明のトロイダル型無段
変速機は、前述した従来のトロイダル型無段変速機と同
様に、それぞれの軸方向片面を断面が円弧形の凹面と
し、この凹面同士を互いに対向させた状態で互いに同心
に、且つ互いに独立して回転自在に支持した少なくとも
1対のディスクと、これら両ディスクの回転中心に交差
する事はないがこの回転中心の方向に対し直角方向であ
る捩れの位置にある枢軸を中心として揺動するトラニオ
ンと、周面を回転円弧面状の凸面とし、このトラニオン
に支持された変位軸に回転自在に支持されて、上記両デ
ィスクの凹面同士の間に挟持されたパワーローラとを備
える。そして、上記1対のディスクのうちの少なくとも
一方のディスクを、回転軸の外周面にボールスプライン
を介して、この回転軸の軸方向に亙る変位自在に支持し
ている。
【0019】特に、本発明のトロイダル型無段変速機に
於いては、上記ボールスプラインを構成する為、上記一
方のディスクの内周面に形成した内周面側ボールスプラ
イン溝及び上記回転軸の外周面に形成した外周面側ボー
ルスプライン溝は、それぞれの両内側面を構成する、そ
れぞれが部分円筒面状の凹曲面である1対の側面部円弧
面と、これら両側面部円弧面同士の間に存在して上記各
ボールスプライン溝の溝底部を構成する、断面円弧形の
逃げ溝部とから成る。
【0020】
【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段
変速機によれば、特に面倒な加工を要する事なく、安価
に製作できる構造にも拘らず、伝達トルクの確保と耐久
性の向上との両立を図れる。即ち、本発明のトロイダル
型無段変速機の場合には、内周面側、外周面側各ボール
スプライン溝の溝底部に逃げ溝部を形成している為、こ
の逃げ溝部の断面の曲率半径を、例えばボールの外径の
0.15倍以上程度と大きくする事により、このボール
から上記内周面側、外周面側各ボールスプライン溝の内
面に加えられる押し付け力に基づき上記溝底部に加わる
引っ張り応力、或はディスクの弾性変形に基づいて内周
面側ボールスプライン溝の溝底部に直接的に加わる引っ
張り応力に拘らず、この溝底部に亀裂等の損傷が発生し
にくくなる。しかも、上記逃げ溝部は、上記ボールの転
動面と接触する1対の側面部円弧面に対して大きく凹ん
でいるので、この逃げ溝部を研削しなくても、これら各
側面部円弧面を研削できる。この為、上記各ボールスプ
ライン溝の内面の研削作業の能率化を図れる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1〜3は、本発明の実施の形態
の1例を示している。尚、本発明の特徴は、入力軸15
の後半部15b等の回転軸の外周面と入力側ディスク2
の内周面との間に設けるボールスプライン16aの構造
を工夫する事により、コストを高くする事なく、伝達ト
ルクの確保と耐久性の向上との両立を図る点にある。そ
の他の部分の構造及び作用は、前述した従来構造と同様
である。従って、重複する図示並びに説明は省略若しく
は簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明す
る。
【0022】上記ボールスプライン16aを構成する
為、上記入力側ディスク2の内周面に内周面側ボールス
プライン溝28aを、上記後半部15bの外周面に外周
面側ボールスプライン溝29aを、それぞれ形成してい
る。これら両ボールスプライン溝28a、29aは、そ
れぞれ円周方向両内側面を、上記ボールスプライン16
aを構成するボール30の転動面の曲率半径(D/2)
よりも少し大きな曲率半径R33a を有する側面部円弧面
33a、33aとしている。これに対して、上記両ボー
ルスプライン溝28a、29aの溝底部には、上記ボー
ル30の転動面の曲率半径よりも十分に小さな曲率半径
35を有する逃げ溝部35を形成している。従って、上
記両ボールスプライン溝28a、29aは、それぞれゴ
シックアーチの頂部を円弧形に膨らませた如き断面形状
を有する。
【0023】上記各側面部円弧面33a、33aの断面
の曲率半径R33a は、好ましくは、上記ボール30の外
径Dの52〜57%{R33a =(0.52〜0.57)
D}としている。又、上記各側面部円弧面33a、33
aの断面の曲率半径の中心点は、これら各側面部円弧面
33a、33aと上記ボール30との接触角が30〜6
0度の範囲に納まる様に規制している。これに対して、
上記逃げ溝部35の曲率半径R35は、上記ボール30の
外径Dの0.15倍以上(R35≧0.15D)としてい
る。又、この逃げ溝部35の開口縁部と上記各側面部円
弧面33a、33aの端縁との連続部には、断面形状が
円弧状である凸曲面を形成して、これら開口縁部と端縁
とを滑らかに連続させている。
【0024】上記逃げ溝部35の曲率半径R35の下限値
は、上述の様に0.15D程度とするが、これに対して
上限値は、上記各側面部円弧面33a、33aと上記ボ
ール30の転動面との当接部にエッヂロードが加わらな
い範囲で規制する。即ち、これら各側面部円弧面33
a、33aと上記ボール30の転動面との当接部には、
図3に示す様に接触楕円36、36が形成される。上記
逃げ溝部35の断面形状の曲率半径R35を、図3に鎖線
で示す状態から実線で示す状態にまで大きくすると、上
記各接触楕円36、36の端部が、上記逃げ溝部35の
開口縁部に近づく。上記逃げ溝部35の曲率半径R35
大きくし過ぎて、上記各側面部円弧面33a、33aと
上記ボール30の転動面との当接部がこれら各側面部円
弧面33a、33aの端縁にまで達すると、この当接部
の端部にエッジロードが加わり、上記ボール30の転動
面の転がり疲れ寿命を著しく短くする。そこで、上記当
接部がこれら各側面部円弧面33a、33aの端縁にま
で達っしない様に、上記逃げ溝部35の曲率半径R35
上限値を規制する。
【0025】この様に、上記内周面側、外周面側各ボー
ルスプライン溝28a、29aの溝底部を構成する逃げ
溝部35の断面の曲率半径R35を、上記ボール30の外
径Dの0.15倍以上としている為、上記溝底部に応力
が集中しにくくなる。この為、上記ボール30から上記
内周面側、外周面側各ボールスプライン溝28a、29
aの内面のうち、上記各側面部円弧面33a、33aに
加えられる押し付け力に基づき上記溝底部に加わる、或
は入力側ディスク2の弾性変形に基づいて内周面側ボー
ルスプライン溝28aの溝底部に直接的に加わる引っ張
り応力に拘らず、この溝底部に亀裂等の損傷が発生しに
くくなる。例えば、断面形状が単なるゴシックアーチ状
であった、従来のボールスプライン溝の場合には、溝底
部の断面形状の曲率半径が0.8mm程度であったが、本
発明の場合には、上記逃げ溝部35の断面の曲率半径R
35を、一般的な乗用車用のトロイダル型無段変速機の場
合で、0.9〜2.0mm程度と、大幅に大きくできる。
尚、溝底部の断面形状の曲率半径を2倍にすると、この
溝底部に作用する応力は2/3程度に小さくなる。
【0026】しかも、上記逃げ溝部35は、上記ボール
30の転動面と接触する1対の側面部円弧面33a、3
3aに対して大きく凹んでいる。従って、この逃げ溝部
35の内面を研削しなくても、上記各側面部円弧面33
a、33aを研削できる。即ち、前述した先発明の構造
の場合には、図2(B)のβ範囲を研削する必要があっ
たのに対して、本発明の場合には、図2(A)のα範囲
を研削すれば良い。これらα、β両範囲を比較すれば明
らかな通り、本発明によれば、研削すべき面積が狭くて
済む。この為、上記各ボールスプライン溝28a、29
aの内面の研削作業の能率化を図れる。又、上記逃げ溝
部35は、上記各側面部円弧面33a、33aを研削す
る際に使用する研削液の流路となると同時に削り滓の排
出流路にもなる。従って、研削時に溝底部の熱及び発生
する削り滓を効率良く逃がし、この溝底部に研削焼け等
の損傷が発生する事を防止して、良質な研削処理を効率
良く行なえる。
【0027】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用するので、伝達トルクの確保と耐久性の向上との両立
を図って、高性能でしかも優れた耐久性を有するトロイ
ダル型無段変速機を、コストを高くする事なく実現でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す、図8と同様
の図。
【図2】本発明を構成するボールスプライン溝の研削範
囲と、先発明を構成するボールスプライン溝の研削範囲
とを示す、図8と同様の図。
【図3】逃げ溝を形成可能な範囲を説明する為の、図8
と同様の図。
【図4】トロイダル型無段変速機の基本構造を、最大減
速時の状態で示す側面図。
【図5】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図6】従来から知られたトロイダル型無段変速機の具
体的構造の1例を示す断面図。
【図7】図6の拡大A−A断面図。
【図8】図7のB部拡大図。
【図9】従来のボールスプライン溝断面形状を示す、図
8と同様の断面図。
【図10】従来から知られたトロイダル型無段変速機の
動力伝達部を示す断面図。
【図11】入力側ディスクが変形する状態を誇張して示
す略図。
【符号の説明】
1 入力軸 2 入力側ディスク 2a 入力側凹面 3 出力軸 4 出力側ディスク 4a 出力側凹面 5 トラニオン 6 変位軸 7 パワーローラ 7a 周面 8 加圧装置 9 カム板 10 保持器 11 ローラ 12、13 カム面 14 ハウジング 15 入力軸 15a 前半部 15b 後半部 16、16a ボールスプライン 17 凹部 18 ローディングナット 19 係止段部 20 皿板ばね 21 隔壁 22 通孔 23 転がり軸受 24 スリーブ 25 出力歯車 26 出力軸 27 歯車 28、28a 内周面側ボールスプライン溝 29、29a 外周面側ボールスプライン溝 30 ボール 31 給油通路 32 分岐給油通路 33、33a 側面部円弧面 34 溝底部 35 逃げ溝部 36 接触楕円

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれの軸方向片面を断面が円弧形の
    凹面とし、この凹面同士を互いに対向させた状態で互い
    に同心に、且つ互いに独立して回転自在に支持した少な
    くとも1対のディスクと、これら両ディスクの回転中心
    に交差する事はないがこの回転中心の方向に対し直角方
    向である捩れの位置にある枢軸を中心として揺動するト
    ラニオンと、周面を回転円弧面状の凸面とし、このトラ
    ニオンに支持された変位軸に回転自在に支持されて、上
    記両ディスクの凹面同士の間に挟持されたパワーローラ
    とを備え、上記1対のディスクのうちの少なくとも一方
    のディスクを、回転軸の外周面にボールスプラインを介
    して、この回転軸の軸方向に亙る変位自在に支持してい
    るトロイダル型無段変速機に於いて、上記ボールスプラ
    インを構成する為、上記一方のディスクの内周面に形成
    した内周面側ボールスプライン溝及び上記回転軸の外周
    面に形成した外周面側ボールスプライン溝は、それぞれ
    の両内側面を構成する、それぞれが部分円筒面状の凹曲
    面である1対の側面部円弧面と、これら両側面部円弧面
    同士の間に存在して上記各ボールスプライン溝の溝底部
    を構成する、断面円弧形の逃げ溝部とから成る事を特徴
    とするトロイダル型無段変速機。
JP11041164A 1999-02-19 1999-02-19 トロイダル型無段変速機 Pending JP2000240748A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11041164A JP2000240748A (ja) 1999-02-19 1999-02-19 トロイダル型無段変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11041164A JP2000240748A (ja) 1999-02-19 1999-02-19 トロイダル型無段変速機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000240748A true JP2000240748A (ja) 2000-09-05

Family

ID=12600794

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11041164A Pending JP2000240748A (ja) 1999-02-19 1999-02-19 トロイダル型無段変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000240748A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6991579B2 (en) 2001-10-19 2006-01-31 Nsk Ltd. Toroidal type continuously variable transmission
WO2014062374A1 (en) * 2012-10-18 2014-04-24 Borgwarner Inc. Fluted sprocket/cog bore for reduced machining cycle times and reduced tool wear
TWI491814B (zh) * 2012-09-28 2015-07-11 Tbi Motion Technology Co Ltd 滾珠花鍵組外筒內珠溝的研磨加工方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6991579B2 (en) 2001-10-19 2006-01-31 Nsk Ltd. Toroidal type continuously variable transmission
TWI491814B (zh) * 2012-09-28 2015-07-11 Tbi Motion Technology Co Ltd 滾珠花鍵組外筒內珠溝的研磨加工方法
WO2014062374A1 (en) * 2012-10-18 2014-04-24 Borgwarner Inc. Fluted sprocket/cog bore for reduced machining cycle times and reduced tool wear
CN104685263A (zh) * 2012-10-18 2015-06-03 博格华纳公司 用于减少的机加工周期时间和减少的工具磨损的带槽的链轮/轮齿的孔腔
JP2015533406A (ja) * 2012-10-18 2015-11-24 ボーグワーナー インコーポレーテッド 機械加工サイクル時間の短縮及び工具摩耗の低減のための縦溝付きのスプロケット/コグのボア

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5151135B2 (ja) トロイダル型無段変速機および無段変速装置
US6071210A (en) Troidal-type continuously variable transmission and a ball spline for use in the same
JP3538996B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2000205359A (ja) ハ―フトロイダル型無段変速機
JP2000240748A (ja) トロイダル型無段変速機
JP3651929B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3246165B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3870594B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JPH11182644A (ja) トロイダル型無段変速機
JP3674264B2 (ja) 無段変速装置
JP6179332B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3603544B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3395467B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4894178B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2601343Y2 (ja) トロイダル型無段変速機
JPH06229452A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2576534Y2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4771120B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3899761B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4192398B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4710726B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2005214373A (ja) トロイダル型無段変速機
JP4144166B2 (ja) 揚水ポンプ又は発電機駆動用無段変速装置
JP4158320B2 (ja) 無段変速装置
JP4013369B2 (ja) トロイダル型無段変速機の組立方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060829

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060912

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061109

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070306