JP2000240729A - 伝動ベルトの厚さむら検査方法及び伝動ベルト並びに検査装置 - Google Patents

伝動ベルトの厚さむら検査方法及び伝動ベルト並びに検査装置

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JP2000240729A
JP2000240729A JP4194799A JP4194799A JP2000240729A JP 2000240729 A JP2000240729 A JP 2000240729A JP 4194799 A JP4194799 A JP 4194799A JP 4194799 A JP4194799 A JP 4194799A JP 2000240729 A JP2000240729 A JP 2000240729A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車エンジンのベルト式補機駆動装置に用
いられるVリブドベルトにおいて、ベルト厚さむらに起
因するベルト走行音を効率よく低減しようとする際に、
ベルト厚さむらを実際の状態に即して効率よく検査でき
るようにする。 【解決手段】 2軸のプーリ間にベルトを巻き掛けると
ともに、一方のプーリ上におけるベルト外周面にアイド
ラプーリを一定の荷重で接触させ、ベルトの定速走行に
伴うアイドラプーリのベルト厚さ方向の変動をFFTア
ナライザにより周波数分析し、その分析結果に基づいて
ベルト厚さむらを判定する。そして、ベルト走行速度が
225mm/sであるときのFFTアナライザの20〜
500Hzの範囲におけるアイドラプーリの変動レベル
のピーク値A〔dB〕が、A=20×log10(B÷1
0)≦−48の式(Bは、アイドラプーリの1mmの変
動量当りの電圧値〔V〕)を満たすものを合格と判定す
るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車エン
ジンのベルト式補機駆動装置に用いられるVリブドベル
ト等の伝動ベルトの厚さむらを検査する方法及び伝動ベ
ルト並びに検査装置に関し、特にベルト厚さむらを実際
の状態に即して検査する対策に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車エンジンのベルト式補機
駆動装置の分野では、エンジンの静粛性が改善されるの
に伴い、ベルト自体の走行音や振動(以下、単にベルト
走行音という)を低減する対策が必要になってきてい
る。そして、そのようなベルト走行音には、ベルト底面
における厚さむらが大きく影響していることが判ってき
た。例えば、ベルト本体の加硫成形後に研磨加工やカッ
ト加工等によりベルト底面にリブが形成されるようにし
たVリブドベルトの場合には、そのリブ形成時にベルト
底面が凹凸状になって厚さむらが生じ易いということも
判ってきた。したがって、そのようなベルト底面におけ
る凹凸部のベルト厚さ方向の寸法(以下、凹凸量とい
う)厚さむらをできるだけ小さくすることが必要とされ
ている。
【0003】ところで、従来では、上記のようなベルト
厚さむらの検査を行うのに、ノギスやシクネスゲージ等
の測定具を用い、それをベルト長さ方向に順に押し当て
ていってベルト厚さを測定し、それにより得られるベル
ト長さ方向での厚さ分布に基づいて厚さむらを判定する
ようになされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の検査方法では、ベルト長さ方向の複数箇所の厚さを
測定する必要があることから、時間がかかるという問題
がある。
【0005】また、ベルト自体がゴム材料からなるもの
であることから、測定具を押し当てる際の押し圧により
測定精度にばらつきが生じ易いという問題もある。
【0006】そこで、本発明者等は、2軸のプーリ間に
伝動ベルトを巻き掛けて定速走行させる一方、1つのプ
ーリ上におけるベルト外周面にアイドラプーリを一定の
荷重で接触させるようにし、ベルト走行に伴うアイドラ
プーリのベルト厚さ方向の変動量を検出することで、ベ
ルト底面の凹凸量を効率よく短時間のうちにしかも精度
よく測定できるようにすることを考えた。
【0007】ところが、さらに研究を重ねた結果、ベル
ト走行音は必ずしも凹凸量の大きさのみに依存している
訳ではないということが判った。つまり、場合によって
は凹凸量が大きくてもベルト走行音は小さく、逆に凹凸
量が小さくても大きなベルト走行音を発生することがあ
るのである。
【0008】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、自動車エンジンのベルト式補
機駆動装置に用いられるVリブドベルト等の伝動ベルト
において、ベルト厚さむらに起因するベルト走行音を効
率よく低減しようとする際に、ベルト底面の凹凸による
ベルト走行音の発生メカニズムを適正に把握すること
で、ベルト走行音の発生に緊密に関係するベルト厚さむ
らを実際の状態に即して検査できるようにすることにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、ベルト底面における凹凸量が小さく
ても凹凸部のベルト長さ方向におけるピッチ(以下、単
にピッチという)が一定であればベルト走行音への影響
は大きく、逆に、凹凸量が大きくてもピッチが不定であ
ればベルト走行音の音レベルが低いことに着目し、2軸
以上のプーリ間で伝動ベルトを定速走行させてベルト底
面の凹凸状態を周波数分析するようにした。
【0010】具体的には、請求項1の発明では、ベルト
底面がプーリに摩擦接触して該プーリとの間の動力伝達
を行う伝動ベルトに対し、該伝動ベルトの長さ方向にお
ける厚さむらを判定するようにした伝動ベルトの厚さむ
ら検査方法が前提である。
【0011】そして、2軸以上のプーリ間に上記伝動ベ
ルトを走行可能に巻き掛けるとともに、上記2軸以上の
プーリのうちの1つのプーリ上における伝動ベルトの外
周面にアイドラプーリを一定の荷重で接触させ、上記伝
動ベルトの定速走行に伴うアイドラプーリのベルト厚さ
方向の変動を周波数分析器により周波数分析し、その分
析結果に基づいて厚さむらを判定するようにする。
【0012】上記の構成において、伝動ベルトが2軸以
上のプーリ間に巻き掛けられて定速走行すると、その走
行に伴い、ベルト底面の凹凸状態に応じてアイドラプー
リはベルト厚さ方向に変動する。つまり、アイドラプー
リは、ベルト底面における凹凸部の凹凸量及びピッチに
応じて変動する。そして、このアイドラプーリの変動が
周波数分析器により周波数分析されることで、上述の凹
凸量及びピッチによるベルト走行音の音レベルが得られ
るようになるので、その分析結果に基づいて、実際のベ
ルト走行音に結び付くベルト厚さむらが適正に判定され
ることとなる。因みに、人間に実際に聞こえる音の周波
数は一般には10kHz以下であり、耳障りとされる音
の周波数は一般には5kHz以下である。
【0013】請求項2の発明では、上記請求項1の発明
において、伝動ベルトをベルト底面が外周面となる状態
にプーリ間に巻き掛けて走行させるようにする。
【0014】上記の構成において、伝動ベルトは、ベル
ト底面が外周面となる状態でプーリ間を走行する。そし
て、アイドラプーリは、ベルト底面に接触しつつ該ベル
ト底面の凹凸状態に応じて変動する。よって、ベルト底
面の凹凸状態に応じて変動する際のアイドラプーリの感
度が高くなる。
【0015】請求項3の発明では、上記請求項1及び2
の検査方法により厚さむらが検査された伝動ベルトとし
て、ベルト走行速度が225mm/sであるときの周波
数分析器の20〜500Hzの範囲におけるアイドラプ
ーリの変動レベルのピーク値A〔単位:dB〕が、A=
20×log10(B÷10)≦−48の式(但し、Bは
アイドラプーリの1mmの変動量当りの電圧値〔単位:
V〕)を満たすように設定されているものとする。
【0016】上記の構成において、周波数分析器を用い
た検査方法により伝動ベルトの厚さむらが検査される際
に、ベルト走行速度が225mm/sであるときの周波
数分析器の20〜500Hzの範囲におけるアイドラプ
ーリの変動レベルのピーク値Aが、A=20×log10
(B÷10)≦−48の式を満たしている伝動ベルトで
は、ピッチが0.45〜11.25mmでかつ凹凸量が
約40μm以下である凹凸部によるベルト走行音は殆ど
発生しない。この条件は、クランクプーリ径が150m
mである一般の自動車エンジンのベルト式補機駆動装置
において、エンジンの常用回転域である700〜300
0rpmのときに最も耳障りとされる1〜3kHzのベ
ルト走行音を発生させる要因となる凹凸部のピッチ及び
凹凸量に略相当する。
【0017】請求項4の発明では、上記請求項3の発明
において、伝動ベルトは、ベルト本体の加硫成形後にベ
ルト底面に、各々、ベルト長さ方向に延びる複数条のリ
ブがベルト幅方向に並ぶように形成されてなるVリブド
ベルトとされているものとする。
【0018】上記の構成において、伝動ベルトが、ベル
ト底面に複数条のリブを有するVリブドベルトであっ
て、それらリブがベルト本体の加硫成形後に形成されて
なるものである場合には、従来の技術の項で説明したよ
うに、ベルト底面が凹凸状になってベルト厚さむらを生
じ易い。よって、上記請求項3の発明での作用は具体的
にかつ適正に営まれることとなる。
【0019】請求項5の発明では、ベルト厚さむら検査
装置として、伝動ベルトが走行可能に巻き掛けられる2
軸以上のプーリと、これらプーリのうちの1つのプーリ
上において、該2軸以上のプーリ間に巻き掛けられた伝
動ベルトの外周面に接触可能なアイドラプーリと、この
アイドラプーリをベルト外周面に一定の荷重で接触する
ように押圧する押圧機構と、ベルト走行に伴う上記アイ
ドラプーリのベルト厚さ方向の変動を周波数分析する周
波数分析器とを備えるようにしたので、上記請求項1の
場合と同じ作用が営まれることとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図2及び図3は、本発明の実施形態
に係るベルト厚さむら検査装置の全体構成を示してお
り、このベルト厚さむら検査装置は、自動車エンジンの
ベルト式補機駆動装置に使用されるVリブドベルトTの
長さ方向におけるベルト厚さむらを検査するために用い
られる。
【0021】先ず、上記VリブドベルトTについて説明
しておくと、このものは、図4に示すように、ベルト本
体1が、断面矩形状をなすクッションゴム層4と、この
クッションゴム層4のベルト底面側(同図の下面側)に
配置されたリブゴム層5と、クッションゴム層4のベル
ト背面側(同図の上面側)に配置された上ゴム層6とか
らなっており、クッションゴム層4内には、心線7がベ
ルト長さ方向に延びかつベルト幅方向(同図の左右方
向)に等ピッチに並ぶようにスパイラル状に埋設されて
いる。そして、ベルト本体1のベルト背面には帆布層3
が上ゴム層6上に積層された状態に設けられており、一
方、ベルト本体1のベルト底面には、ベルト長さ方向に
延びるように設けられた複数条(図示する例では3条)
のリブ2,2,…がベルト幅方向に所定ピッチをおいて
並ぶように設けられている。これらリブ2,2,…は、
ベルト本体1の加硫成形後に例えば研磨加工により形成
されている。
【0022】次に、上記ベルト厚さむら測定装置につい
て説明すると、本測定装置は、上下に配置された2軸の
プーリ31,32を備えている。下側のプーリ31は駆
動プーリであって、電動モータ33の出力軸34に駆動
連結された固定軸35に一体回転するように取り付けら
れている。この固定軸35は、固定体36上に立設され
た固定壁37を水平方向に貫通していて、該固定壁37
にベアリング38を介して回転可能に支持されている。
一方、固定壁37の上方には、上下方向に調整移動可能
な可動壁39が配置されている。この可動壁39には、
上記固定軸35に対し平行に延びる可動軸40が突設さ
れており、この可動軸40の先端には、従動プーリとし
ての上側プーリ32がベアリング41を介して回転可能
に取り付けられている。これら両プーリ31,32に
は、何れも平プーリが用いられている。
【0023】上記上側プーリ32の上方には、同じく平
プーリからなるアイドラプーリ42が配置されており、
このアイドラプーリ42は、上下両プーリ31,32間
に巻き掛けられたVリブドベルトTを上側プーリ32と
の間で上下方向に挟圧可能に設けられている。具体的に
は、上記可動壁39の上側プーリ32と同じ側(図2の
左側)の面には、上下方向に延びる1対のガイドレール
43,43(同図には1本のレールのみ示す)が配置さ
れている。これらレール43,43上にはスライドベー
ス44が配置されており、このスライドベース44はガ
イドレール43,43により上下方向に移動可能に案内
支持されている。このスライドベース44には、上記固
定軸35に対し平行に延びる支持軸45が突設されてお
り、この支持軸45の先端には、上記アイドラプーリ4
2がベアリング46を介して回転可能に取り付けられて
いる。つまり、アイドラプーリ42は、ガイドレール4
3,43及びスライドベース44により上側プーリ32
上のVリブドベルトTの厚さ方向(上下方向)に移動可
能に案内支持されている。また、アイドラプーリ42
は、その自重及びスライドベース44等の重量により上
側プーリ32上におけるVリブドベルトTの外周面に一
定の荷重で接触するようになされている。すなわち、ア
イドラプーリ42及びスライドベース44により、該ア
イドラプーリ42を上側プーリ32上におけるベルト外
周面に一定の荷重で接触するように常時押圧する押圧機
構47が構成されている。
【0024】また、上記アイドラプーリ42の両側方に
は、図3に示すように、該アイドラプーリ42の上下方
向における変動量を検出する平行レーザ式変位センサ4
8が配置されている。この変位センサ48は、可動壁3
9のアイドラプーリ42と同じ側(図2の左側)の面に
取り付けられていて、アイドラプーリ42の軸心と直交
する鉛直面に平行な平行レーザを水平方向に投光する投
光器48aと、この投光器48aからの平行レーザを受
光するための受光器48bとからなっている。この変位
センサ48は、平行レーザによるアイドラプーリ42の
影の大きさないし上下位置が該アイドラプーリ42の上
下方向の変動に応じて変化することを利用して、アイド
ラプーリ42の変動量を検出するようになされている。
【0025】上記平行レーザ式変位センサ48の検出信
号は、FFTアナライザ49(高速フーリエ変換を用い
た周波数分析器)に入力するようになされている。この
FFTアナライザ49は、ベルト走行に伴うアイドラプ
ーリ42の変動を周波数分析してその所定周波数成分の
変動レベルをモニタ画面に表示するようになっている。
【0026】次に、上記のように構成された検査装置を
用いて行うVリブドベルトTの厚さむら検査方法につい
て説明する。
【0027】先ず、図5に拡大して示すように、Vリブ
ドベルトTをベルト底面が外周面となる状態に裏返して
上下プーリ31,32間に巻き掛け、そのベルト外周
面、つまりベルト底面にアイドラプーリ42を接触させ
るようにする。次いで、電動モータ33の作動によりV
リブドベルトTを一定速度で走行駆動しつつ、Vリブド
ベルトTの走行に伴うアイドラプーリ42の上下方向の
変動量を平行レーザ式変位センサ48により検出する。
【0028】そして、本実施形態では、上記Vリブドベ
ルトTの走行に伴うアイドラプーリ42の変動は、FF
Tアナライザ49により周波数分析され、その変動レベ
ルのピーク値A〔単位:dB〕が、 A=20×log10(B÷10)≦−48 の式(但し、Bはアイドラプーリ42の1mmの変動量
当りの電圧値〔単位:V〕)を満たすか否かにより、ベ
ルト厚さむらが判定される。
【0029】具体的には、ベルト走行速度が225mm
/sであるときのアイドラプーリ42の変動周波数が2
0〜500Hzである範囲で、図1に模式的に示すよう
に、FFTアナライザ49のモニタ画面に表示されるア
イドラプーリ42の変動レベルのピーク値Aを調べる。
詳しく説明すると、上記の走行速度及び周波数成分の条
件は、クランク軸のプーリの径が150mmである一般
的な自動車エンジンのベルト式補機駆動装置において、
エンジン回転数が700〜3000rpmである常用回
転域のときに特に耳障りとされる1〜3kHzのベルト
走行音に略対応するものである。そして、上述のピーク
値Aが低いほど、耳障りなベルト走行音を実際に発生さ
せるようなベルト厚さむらは少ないことになる。因み
に、ピーク値AがA=−48dBであるときのアイドラ
プーリ42の変動量に相当する電圧値Bは、上記の式か
ら、 B=10-48÷20×10=0.03981...〔V〕 であって、ベルト底面における凹凸量に換算すると略3
9.8μmである。すなわち、上記の検査方法によれ
ば、ピッチが約0.5〜10.0mmでありかつ凹凸量
が約40μm以上であって、エンジンの常用回転域にお
いて低減されるべきベルト走行音を発生させるような凹
凸部の有無が判定されることになる。
【0030】したがって、本実施形態によれば、上下2
軸のプーリ31,32間にVリブドベルトTを巻き掛け
て定速走行させる一方、上側プーリ32上におけるベル
ト外周面にアイドラプーリ42を一定の荷重で接触さ
せ、ベルト走行に伴うアイドラプーリ42のベルト厚さ
方向の変動をFFTアナライザ49により周波数分析
し、その分析結果に基づいてベルト厚さむらを判定する
こととし、その際に、ベルト走行速度が225mm/s
であるときのFFTアナライザ49の20〜500Hz
の範囲におけるアイドラプーリ42の変動レベルのピー
ク値Aが、A=20×log10(B÷10)≦−48の
式を満たしたVリブドベルトTを合格と判定するように
したので、自動車エンジンのベルト式補機駆動装置にお
けるエンジンの常用回転域でのベルト走行音を効率よく
低減することができる。
【0031】尚、上記実施形態では、2軸のプーリ3
1,32間にベルトTを巻き掛けるようにしているが、
3軸以上のプーリ間に巻き掛けるようにしてもよい。
【0032】また、上記実施形態では、ベルトTをベル
ト底面が外周面となる状態に裏返してプーリ31,32
間に巻き掛け、そのベルト底面にアイドラプーリ42を
接触させるようにしているが、特に支障が無い場合に
は、ベルト底面が内周面となる状態に巻き掛けてベルト
背面にアイドラプーリ42を接触させるようにしてもよ
い。
【0033】また、上記実施形態では、重力によりアイ
ドラプーリ42をベルト外周面に一定の荷重で接触する
ように押圧しているが、アイドラプーリ42に対する押
圧機構としては公知の技術を適宜採用することができ
る。
【0034】さらに、上記実施形態では、自動車エンジ
ンのベルト式補機駆動装置に用いられるVリブドベルト
Tの場合について説明しているが、本発明は、その他の
摩擦伝動式ベルトに適用することもできる。
【0035】−実験例− ここで、上記実施形態に係る検査方法により複数のVリ
ブドベルトの各ベルト厚さむらを測定するとともに、各
ベルトの静粛性を調べるために行った実験について説明
する。サンプルとして22種類のVリブドベルトを用意
した。各サンプルの構造及び基本形状等は全て同じであ
る。
【0036】先ず、FFTアナライザのモニタ画面に表
示される各サンプルの20〜500Hzの範囲におい
て、ベルト走行速度が225mm/sであるときのアイ
ドラプーリの変動レベルのピーク値Aをそれぞれ調べる
と、図7に示すように、最小のものでA=−80dB
(アイドラプーリの変動量に換算して略1μm)であ
り、最大のものでA=−35dB(同略177μm)で
あった。次に、各サンプルについて、上記検査装置上で
のベルト走行音を評価し、それを4段階に区分した。評
価方法としては、下側プーリの出側におけるベルト走行
音を判定者が直接に又は聴診器を用いて聞くようにし、
聴診器を用いても聞こえないものを「無」、聴診器を用
いて聞こえたものを「小」とし、さらに、50cm離れ
た位置まで聞こえたものを「中」、50cmを超えた位
置まで聞こえたものを「大」とするようにした。尚、
「無」のみが合格であり、他の3つは不合格である。
【0037】以上の結果は、図7に示されているとおり
であって、ピーク値AがA≦−48dB(アイドラプー
リの変動量に換算して略39.8μm)であるものだけ
が全て「無」であり、ピーク値AがA>−48であるも
のは全て不合格であった。よって、FFTアナライザを
用いたベルト厚さむら検査において、アイドラプーリの
変動レベルのピーク値AがA≦−48のものを合格と判
定するようにすれば、自動車エンジンのベルト式補機駆
動装置におけるベルト走行音を効率よく低減できること
が判る。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係る伝動ベルトの厚さむら検査方法によれば、伝動ベル
トを2軸以上のプーリ間に巻き掛けて定速走行させる一
方、1つのプーリ上におけるベルト外周面にアイドラプ
ーリを一定の荷重で接触させ、ベルト走行に伴うアイド
ラプーリのベルト厚さ方向の変動を周波数分析し、その
分析結果に基づいて厚さむらを判定するようにしたの
で、従来の場合よりも短時間のうちに効率よくベルト厚
さむらの検査を行うことができるのみならず、ベルト走
行音の発生に緊密に関係するベルト厚さむらを実際の状
態に即して検査することができる。
【0039】請求項2の発明によれば、上記伝動ベルト
をベルト底面が外周面となる状態にプーリ間に巻き掛け
て走行させるようにしたので、ベルト厚さむらに対する
アイドラプーリの感度を良好にすることができ、検査精
度をさらに高めることができる。
【0040】請求項3の発明によれば、上記検査方法に
より厚さむらが検査された伝動ベルトとして、ベルト走
行速度が225mm/sであるときの周波数分析器の2
0〜500Hzの範囲におけるアイドラプーリの変動レ
ベルのピーク値Aを、A=20×log10(B÷10)
≦−48の式を満たすものとするようにしたので、自動
車エンジンのベルト式補機駆動装置におけるベルト走行
音を効率よく低減することができる。
【0041】請求項4の発明によれば、上記伝動ベルト
を、ベルト本体の加硫成形後にベルト底面に複数条のリ
ブが形成されてなるVリブドベルトとするようにしたの
で、上記請求項3の発明による効果を具体的に得ること
ができる。
【0042】請求項5の発明によれば、上記伝動ベルト
の厚さむら検査装置として、伝動ベルトが走行可能に巻
き掛けられる2軸以上のプーリと、これらプーリのうち
の1つのプーリ上におけるベルト外周面に接触可能なア
イドラプーリと、このアイドラプーリをベルト外周面に
一定の荷重で接触させるように押圧する押圧機構と、ベ
ルト走行に伴うアイドラプーリのベルト厚さ方向の変動
を周波数分析する周波数分析器とを備えるようにしたの
で、上記請求項1の発明の場合と同じ効果を奏すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るVリブドベルトの厚さ
むら検査方法においてFFTアナライザにより周波数分
析されたアイドラプーリの変動特性を模式的に示す波形
図である。
【図2】ベルト厚さむら検査装置を模式的に示す正面図
である。
【図3】ベルト厚さむら検査装置を一部を断面して模式
的に示す右側面図である。
【図4】Vリブドベルトの一部を拡大して示す斜視図で
ある。
【図5】図2のV−V線拡大断面図である。
【図6】ベルト走行に伴うアイドラプーリの変動を模式
的に示す波形図である。
【図7】実験例におけるアイドラプーリの変動レベルの
ピーク値と音レベルとの関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 ベルト本体 2 リブ 31 下側プーリ(プーリ) 32 上側プーリ(プーリ) 42 アイドラプーリ 47 押圧機構 49 FFTアナライザ(周波数分析器) T Vリブドベルト(伝動ベルト)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F065 AA00 AA02 AA30 AA47 AA49 AA54 BB02 BB16 CC00 CC11 DD06 FF61 GG04 HH03 MM04 QQ44 SS13 2F069 AA02 AA47 AA54 BB00 BB21 DD15 DD16 GG04 GG07 HH09 JJ17 NN07 QQ10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト底面がプーリに摩擦接触して該プ
    ーリとの間の動力伝達を行う伝動ベルトに対し、該伝動
    ベルトのベルト底面における厚さむらを検査するように
    した伝動ベルトの厚さむら検査方法であって、 2軸以上のプーリ間に上記伝動ベルトを巻き掛けて定速
    走行させる一方、 上記2軸以上のプーリのうちの1つのプーリ上における
    ベルト外周面にアイドラプーリを一定の荷重で接触さ
    せ、 上記伝動ベルトの走行に伴う上記アイドラプーリのベル
    ト厚さ方向の変動を周波数分析器により周波数分析し、 上記周波数分析器の分析結果に基づいて厚さむらを判定
    することを特徴とする伝動ベルトの厚さむら検査方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の伝動ベルトの厚さむら検
    査方法において、 伝動ベルトをベルト底面が外周面となる状態に2軸以上
    のプーリ間に巻き掛けて走行させることを特徴とする伝
    動ベルトの厚さむら検査方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の伝動ベルトの厚さ
    むら検査方法により厚さむらが検査された伝動ベルトで
    あって、 ベルト走行速度が225mm/sであるときの周波数分
    析器の20〜500Hzの範囲におけるアイドラプーリ
    の変動レベルのピーク値A〔単位:dB〕が、 A=20×log10(B÷10)≦−48 (但し、Bはアイドラプーリの1mmの変動量当りの電
    圧値〔単位:V〕)の式を満たすようにされていること
    を特徴とする伝動ベルト。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の伝動ベルトは、ベルト本
    体の加硫成形後にベルト底面に、各々、ベルト長さ方向
    に延びる複数条のリブがベルト幅方向に並ぶように形成
    されてなるVリブドベルトとされていることを特徴とす
    る伝動ベルト。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の伝動ベルトの厚さむら検
    査方法に用いられる伝動ベルトの厚さむら検査装置であ
    って、 上記伝動ベルトが走行可能に巻き掛けられる2軸以上の
    プーリと、 上記2軸以上のプーリのうちの1つのプーリ上におい
    て、該2軸以上のプーリ間に巻き掛けられた伝動ベルト
    の外周面に接触可能なアイドラプーリと、 上記アイドラプーリを上記ベルト外周面に一定の荷重で
    接触するように押圧する押圧機構と、 上記伝動ベルトの定速走行に伴う上記アイドラプーリの
    ベルト厚さ方向の変動を周波数分析する周波数分析器と
    を備えていることを特徴とする伝動ベルトの厚さむら検
    査装置。
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CN106643510A (zh) * 2017-03-03 2017-05-10 江南大学 一种发动机正时齿轮室胶线及齿轮对位的视觉检测装置

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