JP4383570B2 - 伝動ベルトの厚さむら検査方法及び伝動ベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車エンジンのベルト式補機駆動装置に用いられるVリブドベルト等の伝動ベルトの厚さむらを検査する方法及び伝動ベルトに関し、特にベルト厚さむらを実際の状態に即して検査する対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車エンジンのベルト式補機駆動装置の分野では、エンジンの静粛性が改善されるのに伴い、ベルト自体の走行音や振動(以下、単にベルト走行音という)を低減する対策が必要になってきている。そして、そのようなベルト走行音には、ベルト底面における厚さむらが大きく影響していることが判ってきた。例えば、ベルト本体の加硫成形後に研磨加工やカット加工等によりベルト底面にリブが形成されるようにしたVリブドベルトの場合には、そのリブ形成時にベルト底面が凹凸状になって厚さむらが生じ易いということも判ってきた。したがって、そのようなベルト底面における凹凸部のベルト厚さ方向の寸法(以下、凹凸量という)である厚さむらをできるだけ小さくすることが必要とされている。
【0003】
ところで、従来では、上記のようなベルト厚さむらの検査を行うのに、ノギスやシクネスゲージ等の測定具を用い、それをベルト長さ方向に順に押し当てていってベルト厚さを測定し、それにより得られるベルト長さ方向での厚さ分布に基づいて厚さむらを判定するようになされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の検査方法では、ベルト長さ方向の複数箇所の厚さを測定する必要があることから、時間がかかるという問題がある。
【0005】
また、ベルト自体がゴム材料からなるものであることから、測定具を押し当てる際の押し圧により測定精度にばらつきが生じ易いという問題もある。
【0006】
そこで、本発明者等は、2軸のプーリ間に伝動ベルトを巻き掛けて定速走行させる一方、1つのプーリ上におけるベルト外周面にアイドラプーリを一定の荷重で接触させるようにし、ベルト走行に伴うアイドラプーリのベルト厚さ方向の変動量を検出することで、ベルト底面の凹凸量を効率よく短時間のうちにしかも精度よく測定できるようにすることを考えた。
【0007】
ところが、さらに研究を重ねた結果、ベルト走行音は必ずしも凹凸量の大きさのみに依存している訳ではないということが判った。つまり、場合によっては凹凸量が大きくてもベルト走行音は小さく、逆に凹凸量が小さくても大きなベルト走行音を発生することがあるのである。
【0008】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、自動車エンジンのベルト式補機駆動装置に用いられるVリブドベルト等の伝動ベルトにおいて、ベルト厚さむらに起因するベルト走行音を効率よく低減しようとする際に、ベルト底面の凹凸によるベルト走行音の発生メカニズムを適正に把握することで、ベルト走行音の発生に緊密に関係するベルト厚さむらを実際の状態に即して検査できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、ベルト底面における凹凸量が小さくても凹凸部のベルト長さ方向におけるピッチ(以下、単にピッチという)が一定であればベルト走行音への影響は大きく、逆に、凹凸量が大きくてもピッチが不定であればベルト走行音の音レベルが低いことに着目し、2軸以上のプーリ間で伝動ベルトを定速走行させてベルト底面の凹凸状態を周波数分析するようにした。
【0010】
具体的には、請求項1の発明では、ベルト底面がプーリに摩擦接触して該プーリとの間の動力伝達を行う伝動ベルトに対し、該伝動ベルトのベルト底面における凹凸部の長さ方向の厚さむらを判定する伝動ベルトの厚さむら検査方法が前提である。
【0011】
そして、2軸以上のプーリ間に上記伝動ベルトを走行可能に巻き掛けて定速走行させるとともに、上記2軸以上のプーリのうちの1つのプーリ上における伝動ベルトの外周面にアイドラプーリを一定の荷重で接触させることで、該アイドラプーリを上記ベルト底面における凹凸部の凹凸量及びベルト長さ方向のピッチに応じてベルト厚さ方向に変動させ、次いで、上記アイドラプーリの所定変動周波数範囲における変動レベルのピーク値を求める周波数分析を周波数分析器により行い、その変動レベルのピーク値の、基準値との比較に基づいて厚さむらを判定するようにする。
【0012】
上記の構成において、伝動ベルトが2軸以上のプーリ間に巻き掛けられて定速走行すると、その走行に伴い、ベルト底面の凹凸状態に応じてアイドラプーリはベルト厚さ方向に変動する。つまり、アイドラプーリは、ベルト底面における凹凸部の凹凸量及びピッチに応じて変動する。そして、このアイドラプーリの変動が周波数分析器により周波数分析されることで、上述の凹凸量及びピッチによるベルト走行音の音レベルが得られるようになるので、その分析結果、つまりアイドラプーリの所定変動周波数範囲における変動レベルのピーク値に基づいて、実際のベルト走行音に結び付くベルト厚さむらが適正に判定されることとなる。因みに、人間に実際に聞こえる音の周波数は一般には10kHz以下であり、耳障りとされる音の周波数は一般には5kHz以下である。
【0013】
請求項2の発明では、上記請求項1の検査方法によりベルト底面の凹凸部による厚さむらが検査された伝動ベルトとして、ベルト走行速度が225mm/sであるときの周波数分析器の20〜500Hzの範囲におけるアイドラプーリの変動レベルのピーク値A〔単位:dB〕が、A=20×log10(B÷10)≦−48の式(但し、Bはアイドラプーリの1mmの変動量当りの電圧値〔単位:V〕)を満たす厚さむらとなる凹凸部をベルト底面に有するものとする。
【0014】
上記の構成において、周波数分析器を用いた検査方法により伝動ベルトの厚さむらが検査される際に、ベルト走行速度が225mm/sであるときの周波数分析器の20〜500Hzの範囲におけるアイドラプーリの変動レベルのピーク値Aが、A=20×log10(B÷10)≦−48の式を満たしている伝動ベルトでは、ピッチが0.45〜11.25mmでかつ凹凸量が約40μm以下である凹凸部によるベルト走行音は殆ど発生しない。この条件は、クランクプーリ径が150mmである一般の自動車エンジンのベルト式補機駆動装置において、エンジンの常用回転域である700〜3000rpmのときに最も耳障りとされる1〜3kHzのベルト走行音を発生させる要因となる凹凸部のピッチ及び凹凸量に略相当する。
【0015】
請求項3の発明では、上記請求項2の発明において、伝動ベルトは、アイドラプーリの変動量が40μm以下でかつ変動ピッチが0.45〜11.25mmとされている厚さむらとなる凹凸部をベルト底面に有するものとする。
【0016】
請求項4の発明では、上記請求項2及び3の発明において、伝動ベルトは、ベルト本体の加硫成形後にベルト底面に、各々、ベルト長さ方向に延びる複数条のリブがベルト幅方向に並ぶように形成されてなるVリブドベルトとされているものとする。
【0017】
上記の構成において、伝動ベルトが、ベルト底面に複数条のリブを有するVリブドベルトであって、それらリブがベルト本体の加硫成形後に形成されてなるものである場合には、従来の技術の項で説明したように、ベルト底面が凹凸状になってベルト厚さむらを生じ易い。よって、上記請求項2及び3の発明での作用は具体的にかつ適正に営まれることとなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図2及び図3は、本発明の実施形態に係るベルト厚さむら検査装置の全体構成を示しており、このベルト厚さむら検査装置は、自動車エンジンのベルト式補機駆動装置に使用されるVリブドベルトTのベルト底面における凹凸部のベルト長さ方向におけるベルト厚さむらを検査するために用いられる。
【0020】
先ず、上記VリブドベルトTについて説明しておくと、このものは、図4に示すように、ベルト本体1が、断面矩形状をなすクッションゴム層4と、このクッションゴム層4のベルト底面側(同図の下面側)に配置されたリブゴム層5と、クッションゴム層4のベルト背面側(同図の上面側)に配置された上ゴム層6とからなっており、クッションゴム層4内には、心線7がベルト長さ方向に延びかつベルト幅方向(同図の左右方向)に等ピッチに並ぶようにスパイラル状に埋設されている。そして、ベルト本体1のベルト背面には帆布層3が上ゴム層6上に積層された状態に設けられており、一方、ベルト本体1のベルト底面には、ベルト長さ方向に延びるように設けられた複数条(図示する例では3条)のリブ2,2,…がベルト幅方向に所定ピッチをおいて並ぶように設けられている。これらリブ2,2,…は、ベルト本体1の加硫成形後に例えば研磨加工により形成されている。
【0021】
次に、上記ベルト厚さむら測定装置について説明すると、本測定装置は、上下に配置された2軸のプーリ31,32を備えている。下側のプーリ31は駆動プーリであって、電動モータ33の出力軸34に駆動連結された固定軸35に一体回転するように取り付けられている。この固定軸35は、固定体36上に立設された固定壁37を水平方向に貫通していて、該固定壁37にベアリング38を介して回転可能に支持されている。一方、固定壁37の上方には、上下方向に調整移動可能な可動壁39が配置されている。この可動壁39には、上記固定軸35に対し平行に延びる可動軸40が突設されており、この可動軸40の先端には、従動プーリとしての上側プーリ32がベアリング41を介して回転可能に取り付けられている。これら両プーリ31,32には、何れも平プーリが用いられている。
【0022】
上記上側プーリ32の上方には、同じく平プーリからなるアイドラプーリ42が配置されており、このアイドラプーリ42は、上下両プーリ31,32間に巻き掛けられたVリブドベルトTを上側プーリ32との間で上下方向に挟圧可能に設けられている。具体的には、上記可動壁39の上側プーリ32と同じ側(図2の左側)の面には、上下方向に延びる1対のガイドレール43,43(同図には1本のレールのみ示す)が配置されている。これらレール43,43上にはスライドベース44が配置されており、このスライドベース44はガイドレール43,43により上下方向に移動可能に案内支持されている。このスライドベース44には、上記固定軸35に対し平行に延びる支持軸45が突設されており、この支持軸45の先端には、上記アイドラプーリ42がベアリング46を介して回転可能に取り付けられている。つまり、アイドラプーリ42は、ガイドレール43,43及びスライドベース44により上側プーリ32上のVリブドベルトTの厚さ方向(上下方向)に移動可能に案内支持されている。また、アイドラプーリ42は、その自重及びスライドベース44等の重量により上側プーリ32上におけるVリブドベルトTの外周面に一定の荷重で接触するようになされている。すなわち、アイドラプーリ42及びスライドベース44により、該アイドラプーリ42を上側プーリ32上におけるベルト外周面に一定の荷重で接触するように常時押圧する押圧機構47が構成されている。
【0023】
また、上記アイドラプーリ42の両側方には、図3に示すように、該アイドラプーリ42の上下方向における変動量を検出する平行レーザ式変位センサ48が配置されている。この変位センサ48は、可動壁39のアイドラプーリ42と同じ側(図2の左側)の面に取り付けられていて、アイドラプーリ42の軸心と直交する鉛直面に平行な平行レーザを水平方向に投光する投光器48aと、この投光器48aからの平行レーザを受光するための受光器48bとからなっている。この変位センサ48は、平行レーザによるアイドラプーリ42の影の大きさないし上下位置が該アイドラプーリ42の上下方向の変動に応じて変化することを利用して、アイドラプーリ42の変動量を検出するようになされている。
【0024】
上記平行レーザ式変位センサ48の検出信号は、FFTアナライザ49(高速フーリエ変換を用いた周波数分析器)に入力するようになされている。このFFTアナライザ49は、ベルト走行に伴うアイドラプーリ42の変動を周波数分析してその所定周波数成分の変動レベルをモニタ画面に表示するようになっている。
【0025】
次に、上記のように構成された検査装置を用いて行うVリブドベルトTの厚さむら検査方法について説明する。
【0026】
先ず、図5に拡大して示すように、VリブドベルトTをベルト底面が外周面となる状態に裏返して上下プーリ31,32間に巻き掛け、そのベルト外周面、つまりベルト底面にアイドラプーリ42を接触させるようにする。次いで、電動モータ33の作動によりVリブドベルトTを一定速度で走行駆動しつつ、VリブドベルトTの走行に伴うアイドラプーリ42の上下方向の変動量を平行レーザ式変位センサ48により検出する。
【0027】
そして、本実施形態では、上記VリブドベルトTの走行に伴うアイドラプーリ42の変動は、FFTアナライザ49により周波数分析され、その変動レベルのピーク値A〔単位:dB〕が、
A=20×log10(B÷10)≦−48
の式(但し、Bはアイドラプーリ42の1mmの変動量当りの電圧値〔単位:V〕)を満たすか否かにより、ベルト厚さむらが判定される。
【0028】
具体的には、ベルト走行速度が225mm/sであるときのアイドラプーリ42の変動周波数が20〜500Hzである範囲で、図1に模式的に示すように、FFTアナライザ49のモニタ画面に表示されるアイドラプーリ42の変動レベルのピーク値Aを調べる。詳しく説明すると、上記の走行速度及び周波数成分の条件は、クランク軸のプーリの径が150mmである一般的な自動車エンジンのベルト式補機駆動装置において、エンジン回転数が700〜3000rpmである常用回転域のときに特に耳障りとされる1〜3kHzのベルト走行音に略対応するものである。そして、上述のピーク値Aが低いほど、耳障りなベルト走行音を実際に発生させるようなベルト厚さむらは少ないことになる。因みに、ピーク値AがA=−48dBであるときのアイドラプーリ42の変動量に相当する電圧値Bは、上記の式から、
B=10−48÷20×10=0.03981...〔V〕
であって、ベルト底面における凹凸量に換算すると略39.8μmである。すなわち、上記の検査方法によれば、ピッチが約0.5〜10.0mmでありかつ凹凸量が約40μm以上であって、エンジンの常用回転域において低減されるべきベルト走行音を発生させるような凹凸部の有無が判定されることになる。
【0029】
したがって、本実施形態によれば、上下2軸のプーリ31,32間にVリブドベルトTを巻き掛けて定速走行させる一方、上側プーリ32上におけるベルト外周面にアイドラプーリ42を一定の荷重で接触させ、ベルト走行に伴うアイドラプーリ42のベルト厚さ方向の変動をFFTアナライザ49により周波数分析し、その分析結果に基づいてベルト厚さむらを判定することとし、その際に、ベルト走行速度が225mm/sであるときのFFTアナライザ49の20〜500Hzの範囲におけるアイドラプーリ42の変動レベルのピーク値Aが、A=20×log10(B÷10)≦−48の式を満たしたVリブドベルトTを合格と判定するようにしたので、自動車エンジンのベルト式補機駆動装置におけるエンジンの常用回転域でのベルト走行音を効率よく低減することができる。
【0030】
尚、上記実施形態では、2軸のプーリ31,32間にベルトTを巻き掛けるようにしているが、3軸以上のプーリ間に巻き掛けるようにしてもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、ベルトTをベルト底面が外周面となる状態に裏返してプーリ31,32間に巻き掛け、そのベルト底面にアイドラプーリ42を接触させるようにしているが、特に支障が無い場合には、ベルト底面が内周面となる状態に巻き掛けてベルト背面にアイドラプーリ42を接触させるようにしてもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、重力によりアイドラプーリ42をベルト外周面に一定の荷重で接触するように押圧しているが、アイドラプーリ42に対する押圧機構としては公知の技術を適宜採用することができる。
【0033】
さらに、上記実施形態では、自動車エンジンのベルト式補機駆動装置に用いられるVリブドベルトTの場合について説明しているが、本発明は、その他の摩擦伝動式ベルトに適用することもできる。
【0034】
−実験例−
ここで、上記実施形態に係る検査方法により複数のVリブドベルトの各ベルト厚さむらを測定するとともに、各ベルトの静粛性を調べるために行った実験について説明する。サンプルとして22種類のVリブドベルトを用意した。各サンプルの構造及び基本形状等は全て同じである。
【0035】
先ず、FFTアナライザのモニタ画面に表示される各サンプルの20〜500Hzの範囲において、ベルト走行速度が225mm/sであるときのアイドラプーリの変動レベルのピーク値Aをそれぞれ調べると、図7に示すように、最小のものでA=−80dB(アイドラプーリの変動量に換算して略1μm)であり、最大のものでA=−35dB(同略177μm)であった。次に、各サンプルについて、上記検査装置上でのベルト走行音を評価し、それを4段階に区分した。評価方法としては、下側プーリの出側におけるベルト走行音を判定者が直接に又は聴診器を用いて聞くようにし、聴診器を用いても聞こえないものを「無」、聴診器を用いて聞こえたものを「小」とし、さらに、50cm離れた位置まで聞こえたものを「中」、50cmを超えた位置まで聞こえたものを「大」とするようにした。尚、「無」のみが合格であり、他の3つは不合格である。
【0036】
以上の結果は、図7に示されているとおりであって、ピーク値AがA≦−48dB(アイドラプーリの変動量に換算して略39.8μm)であるものだけが全て「無」であり、ピーク値AがA>−48であるものは全て不合格であった。よって、FFTアナライザを用いたベルト厚さむら検査において、アイドラプーリの変動レベルのピーク値AがA≦−48のものを合格と判定するようにすれば、自動車エンジンのベルト式補機駆動装置におけるベルト走行音を効率よく低減できることが判る。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明に係る伝動ベルトの厚さむら検査方法によれば、伝動ベルトのベルト底面における凹凸部のベルト長さ方向の厚さむらを検査する際、伝動ベルトを2軸以上のプーリ間に巻き掛けて定速走行させる一方、1つのプーリ上におけるベルト外周面にアイドラプーリを一定の荷重で接触させ、ベルト走行に伴うアイドラプーリのベルト厚さ方向の変動を周波数分析してアイドラプーリの所定変動周波数範囲における変動レベルのピーク値を求め、そのピーク値の基準値との比較に基づいて厚さむらを判定するようにしたので、従来の場合よりも短時間のうちに効率よくベルト厚さむらの検査を行うことができるのみならず、ベルト走行音の発生に緊密に関係するベルト厚さむらを実際の状態に即して検査することができる。
【0038】
請求項2の発明によれば、上記検査方法によりベルト底面の凹凸部による厚さむらが検査された伝動ベルトとして、ベルト走行速度が225mm/sであるときの周波数分析器の20〜500Hzの範囲におけるアイドラプーリの変動レベルのピーク値Aを、A=20×log10(B÷10)≦−48の式を満たす厚さむらとなる凹凸部をベルト底面に有するものとするようにしたので、自動車エンジンのベルト式補機駆動装置におけるベルト走行音を効率よく低減することができる。
【0039】
請求項3の発明によれば、上記伝動ベルトを、アイドラプーリの変動量が40μm以下でかつ変動ピッチが0.45〜11.25mmとされている厚さむらとなる凹凸部をベルト底面に有するものとするようにしたので、上記請求項2の発明による効果を具体的に得ることができる。
【0040】
請求項4の発明によれば、上記伝動ベルトを、ベルト本体の加硫成形後にベルト底面に複数条のリブが形成されてなるVリブドベルトとするようにしたので、上記請求項2及び3の発明による効果を具体的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るVリブドベルトの厚さむら検査方法においてFFTアナライザにより周波数分析されたアイドラプーリの変動特性を模式的に示す波形図である。
【図2】 ベルト厚さむら検査装置を模式的に示す正面図である。
【図3】 ベルト厚さむら検査装置を一部を断面して模式的に示す右側面図である。
【図4】 Vリブドベルトの一部を拡大して示す斜視図である。
【図5】 図2のV−V線拡大断面図である。
【図6】 ベルト走行に伴うアイドラプーリの変動を模式的に示す波形図である。
【図7】 実験例におけるアイドラプーリの変動レベルのピーク値と音レベルとの関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 ベルト本体
2 リブ
31 下側プーリ(プーリ)
32 上側プーリ(プーリ)
42 アイドラプーリ
47 押圧機構
49 FFTアナライザ(周波数分析器)
T Vリブドベルト(伝動ベルト)
Claims (4)
- ベルト底面がプーリに摩擦接触して該プーリとの間の動力伝達を行う伝動ベルトに対し、該伝動ベルトのベルト底面における凹凸部のベルト長さ方向の厚さむらを検査する伝動ベルトの厚さむら検査方法であって、
2軸以上のプーリ間に上記伝動ベルトを巻き掛けて定速走行させる一方、上記2軸以上のプーリのうちの1つのプーリ上におけるベルト外周面にアイドラプーリを一定の荷重で接触させることで、該アイドラプーリを上記ベルト底面における凹凸部の凹凸量及びベルト長さ方向のピッチに応じてベルト厚さ方向に変動させ、
次いで、上記アイドラプーリの所定変動周波数範囲における変動レベルのピーク値を求める周波数分析を周波数分析器により行い、
しかる後、上記変動レベルのピーク値の、基準値との比較に基づいて厚さむらを判定する
ことを特徴とする伝動ベルトの厚さむら検査方法。 - 請求項1記載の伝動ベルトの厚さむら検査方法によりベルト底面の凹凸部による厚さむらが検査された伝動ベルトであって、
ベルト走行速度が225mm/sであるときの周波数分析器の20〜500Hzの範囲におけるアイドラプーリの変動レベルのピーク値A〔単位:dB〕が、
A=20×log10(B÷10)≦−48
(但し、Bはアイドラプーリの1mmの変動量当りの電圧値〔単位:V〕)
の式を満たす厚さむらとなる凹凸部をベルト底面に有する
ことを特徴とする伝動ベルト。 - 請求項2記載の伝動ベルトにおいて、
アイドラプーリの変動量が40μm以下でかつ変動ピッチが0.45〜11.25mmとされている厚さむらとなる凹凸部をベルト底面に有する
ことを特徴とする伝動ベルト。 - 請求項2又は3記載の伝動ベルトは、ベルト本体の加硫成形後にベルト底面に、各々、ベルト長さ方向に延びる複数条のリブがベルト幅方向に並ぶように形成されてなるVリブドベルトとされている
ことを特徴とする伝動ベルト。
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