JP2000239090A - 被膜分解性の被覆粒状肥料 - Google Patents

被膜分解性の被覆粒状肥料

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JP2000239090A JP11352687A JP35268799A JP2000239090A JP 2000239090 A JP2000239090 A JP 2000239090A JP 11352687 A JP11352687 A JP 11352687A JP 35268799 A JP35268799 A JP 35268799A JP 2000239090 A JP2000239090 A JP 2000239090A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存安定性に優れ、かつ使用前の被膜強度が
高いながらも、使用後の被膜残査が分解するシグモイド
溶出型の被覆粒状肥料を得る。 【解決手段】 (a)重量平均分子量が300〜10,
000の低分子量ポリオレフィンおよび/又は石油ワッ
クスを10〜95重量%と、(b)密度が0.830〜
0.910g/cm3、かつメルトインデックスが0.
1〜50g/10分のエチレン−α−オレフィンエラス
トマーを89〜4重量%と、(c)糖重合体若しくはそ
の誘導体を主成分とする粉体を1〜30重量%を含む被
膜により被覆されていることを特徴とする被覆粒状肥
料。 【効果】 長期保存後の被覆粒状肥料を使用する際に、
思わぬ被膜分解による初期の溶出抑制期間の溶出漏れ出
しが発生せず、かつ、シグモイド型溶出による高い肥
効、省力化が得られ、さらに、使用後の被覆粒状肥料の
被膜の殻が田畑で分解される、高機能な被覆粒状肥料を
提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肥効を長期間に亘
って持続できる被覆粒状肥料に関する。更に詳しくは、
溶出抑制期間を持ったシグモイド溶出型の溶出パターン
を持ち、かつ、使用前の被膜強度に優れながらも、溶出
終了後の被膜残査の自然分解性に優れ、さらに、長期貯
蔵による溶出パターンの変動が小さい、被膜分解型の被
覆粒状肥料に関する。本発明の被覆粒状肥料は、使用後
に残留する被膜残査が、田畑において自然分解される。
【0002】
【従来の技術】粒状肥料を樹脂で被覆してカプセル化す
ることにより、肥料成分の持続的な放出を制御できる機
能を持った被覆粒状肥料は、農業の省力化、肥料成分の
環境負荷低減等の効果が大きく、近年その発展が著し
い。すなわち、被覆粒状肥料が、過剰施肥を防止して作
物への肥料成分の利用効率を高め、かつ河川等への肥料
成分の流失を低減させ、さらに施肥回数の低減を図れる
等の顕著な効果を発揮し、省力化、効率化、環境保全に
対して充分な成果を挙げていることは周知の事実であ
る。
【0003】被覆粒状肥料の性能の中で最も重要な点
は、被覆粒状肥料中に含まれる肥効成分の溶出の制御で
ある。一般的には、25℃において肥効成分の80%を
溶出するのに必要な日数を「溶出タイプ」として差別化
しており、溶出タイプが小さいほど短期肥効、大きいほ
ど長期肥効の被覆粒状肥料となる。被覆粒状肥料は、対
象とする作物ごとに最適な溶出タイプ、最適な肥効成分
を含有したものを選択し、被覆肥料単独、あるいは化成
肥料及び/又は有機肥料と混合して、施肥時に用いる。
【0004】これらの被覆粒状肥料は、近年、さらにそ
の技術開発が進み、特に、(1)肥料成分の溶出パター
ンを植物の生育パターンに合わせて、更なる省力化、利
用率向上を図るシグモイド溶出型(あるいは時限溶出
型)被覆粒状肥料、及び、(2)肥料成分溶出終了後の
被覆粒状肥料の被膜残査が、田畑に残留することを防
ぐ、分解性被膜の被覆粒状肥料等が重点的に研究されて
いる。
【0005】このうち、(1)のシグモイド溶出型の被
覆肥料の技術としては、例えば、特公平5−29634
号公報に記載の特定被膜構成の多層被覆を用いた被覆粒
状肥料、特開平4−202078号公報に記載のアルカ
リ物質を添加した第1層被膜とアルカリ可溶性物質を含
む第2層被膜からなる多層被覆を用いた被覆粒状肥料、
特開平6−87684号公報、特開平10−17389
号公報等に記載の糖重合体等を被膜に含む被覆粒状肥
料、特開平2−275792号公報、特開平4−202
079号公報等に記載の親水性物質/水膨潤性物質含有
被膜と疎水性物質含有被膜からなる多層被覆の被覆粒状
肥料、特開平10−203886号公報等に記載のポリ
オレフィンとエチレン−α−オレフィンコポリマーを含
む被膜の被覆粒状肥料、特開平9−30883号公報に
記載のワックスからなる第1層被膜とポリオレフィンか
らなる第2層被膜からなる多層被覆を用いた被覆粒状肥
料、特開平9−132493号公報に記載の特定構造の
ポリアルキレングリコールを被膜に含む被覆粒状肥料等
が挙げられる。
【0006】これらのシグモイド溶出型の被覆粒状肥料
は、従来型の非シグモイド型溶出の被覆粒状肥料に比べ
て、施肥効率が高く、さらに省力化が可能な高性能な肥
料である。シグモイド溶出型の被覆粒状肥料の施肥設計
は、一般的な溶出抑制期間のないリニア型溶出の被覆粒
状肥料の場合と同様に、使用する作物種、平均地温によ
って最適な溶出タイプを選択するが、さらに、本溶出の
早期化による枯死、萎縮を防止する意味でも、厳密に初
期の溶出抑制期間、抑制期間の溶出漏れ出し量を考慮し
た施肥設計が行われる。
【0007】また、(2)の分解性被膜の被覆粒状肥料
の技術てしては、例えば、米国特許3,295,950
号明細書に記載の硫黄被覆とワックス類被覆による多層
被覆の被覆粒状肥料、米国特許3,372,019号明
細書、カナダ特許758,968号明細書等に記載のワ
ックスとエチレン−酢酸ビニル共重合体の溶融混合物に
よる被覆粒状肥料、特公平7−91143号公報、特公
平2−23516号公報、特開平8−59382号公報
等に記載の光分解性被膜の被覆粒状肥料、特公平2−2
3517号公報、特開平3−146492号公報、特開
平7−315976号公報、特開平7−33577号公
報、特開平7−33576号公報等に記載の生分解性樹
脂を組み合わせた被膜による被覆粒状肥料、さらに、本
出願人による特開平10−231190号公報等に記載
の特定の重量平均分子量を有するポリオレフィン及び/
又は石油ワックス化合物を組み合わせた被膜による被覆
粒状肥料等が挙げられる。
【0008】しかしながら、これらの(1)のシグモイ
ド溶出型であり、かつ、(2)の分解性被膜の被覆粒状
肥料であることを同時に満足できる、優れた機能の被覆
粒状肥料に関する技術は充分なものではなかった。例え
ば、特開平6−144981に記載の酸化性被膜のシグ
モイド溶出型被覆粒状肥料では、製造直後から酸化性物
質による酸化分解が進んでしまうものであり、長期貯蔵
後の被覆粒状肥料を用いた場合に、溶出を抑制しなけれ
ばならない初期の溶出抑制時期に予想外の溶出が始まっ
てしまうこともあって、充分なものとは云えなかった。
【0009】また、本出願人は、既に特願平10−52
707号において、特定分子量のポリオレフィン及び/
または石油ワックスと、特定のエチレン−α−オレフィ
ン共重合体を含む被膜の分解性被膜被覆粒状肥料の発明
を成し遂げたが、該特願は、上記(2)の分解性被膜の
被覆粒状肥料に関する発明であり、上記(1)のシグモ
イド溶出型、及び、長期保存後の溶出変動の少なさに関
することにまで及んでおらず、不充分なものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上に述べ
たとおり、溶出抑制期間を持ったシグモイド溶出型の溶
出パターンを持ち、かつ、使用前の被膜強度に優れなが
らも、溶出終了後の被膜残査の自然分解性に優れ、さら
に、長期貯蔵による溶出パターンの変動が小さい、実用
的な環境調和型の被覆粒状肥料を提供することを目的と
する。本発明によれば、長期保存後の被覆粒状肥料を使
用する際に、思わぬ被膜分解による初期の溶出抑制期間
の溶出漏れ出しが発生せず、かつ、シグモイド型溶出に
よる高い肥効、省力化が得られ、さらに、使用後の被覆
粒状肥料の被膜の殻が田畑で分解される、高機能な被覆
粒状肥料が得られる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点について種々検討した結果、特定の重量平均分子
量を有する低分子量ポリオレフィン及び/又は石油ワッ
クスと、特定のエチレン−α−オレフィンエラストマー
と、糖重合体若しくはその誘導体を主成分とする粉体
を、各々特定量組み合わせた被膜の被覆粒状肥料が、上
記問題点を解決できることを見出し、本発明をなすに至
った。
【0012】すなわち、[A](a)重量平均分子量が
300〜10,000の低分子量ポリオレフィンおよび
/又は石油ワックスを10〜95重量%と、(b)密度
が0.830〜0.910g/cm3、かつメルトイン
デックスが0.1〜50g/10分のエチレン−α−オ
レフィンエラストマーを89〜4重量%と、(c)糖重
合体若しくはその誘導体を主成分とする粉体を1〜30
重量%を含む被膜により被覆されていることを特徴とす
る被覆粒状肥料であり、さらに好ましくは、[B]被膜
中に、無機充填剤を1〜60重量%含むことを特徴とす
る[A]の被覆粒状肥料であり、特に好ましくは、被膜
中に、有機金属錯体を0.0002〜2重量%を含むこ
とを特徴とする[A]及び[B]の被覆粒状肥料であ
る。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。 (1)低分子量ポリオレフィン、石油ワックス 本発明で使用する低分子量ポリオレフィンは、(a)エ
チレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンを単独重
合、または2種以上を共重合させて得られる重合法低分
子量ポリオレフィン、(b)重量平均分子量が10,0
00を超える高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレ
ン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテ
ン、ブテン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィ
ン樹脂を、熱分解させて得られる分解法低分子量ポリオ
レフィン、(c)同様に、重量平均分子量が10,00
0を超える高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、
エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、
プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン、ブ
テン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂
を、酸化剤、あるいは高温の有酸素状態で酸化分解させ
て得られる分解法低分子量ポリオレフィン酸化物、
(d)または、上記の熱分解、あるいは酸化分解時に、
無水マレイン酸等の不飽和化合物を添加して、不飽和化
合物のグラフト反応により得られる分解法低分子量ポリ
オレフィン変性物、(e)スラリー法による高密度ポリ
エチレン、あるいは直鎖法低密度ポリエチレン等のポリ
オレフィンの製造プロセスにおける溶媒精製工程等で副
生した低分子量ポリオレフィン、及び、この副生した低
分子量ポリオレフィンを更に溶媒抽出等で精製して得ら
れる副生法低分子量ポリオレフィン、及び(f)これら
の混合物である。
【0014】これらのうち、ポリエチレン構造が主体で
ある重合法低分子量ポリエチレン、重合法低分子量エチ
レン−α−オレフィン共重合体、分解法低分子量の高密
度ポリエチレン、分解法低分子量の低密度ポリエチレ
ン、分解法低分子量のエチレン−α−オレフィン共重合
体、副生法低分子量ポリエチレン、及び官能基の豊富な
分解法低分子量ポリオレフィン酸化物、分解法低分子量
ポリオレフィン変性物が好ましい。
【0015】これらの低分子量ポリオレフィンの、ゲル
パーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によ
って測定される重量平均分子量(Mw)は、300〜1
0,000である。重量平均分子量(Mw)が300よ
り小さい場合は、被膜の土中での生分解速度が速く、溶
出制御期間中に被膜の分解が発生しやすく、又、被膜強
度も低下して、溶出制御が困難となる。また、Mwが1
0,000より大きい場合は、溶出終了後の被膜の分解
性が不十分となる。
【0016】生分解速度と被膜の力学強度のバランスか
ら、より好ましい重量平均分子量(Mw)は630〜1
0,000であり、さらに好ましいMwは630〜8,
000であり、特に好ましいMwは630〜5,100
であり、最も好ましいMwは630〜3,000であ
る。本発明で使用する石油ワックスは、パラフィンワッ
クス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロタムなど
の石油系ワックスである。この内、パラフィンワック
ス、マイクロクリスタリンワックスが好ましい。
【0017】これらの石油ワックスの、ゲルパーミュエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定さ
れる重量平均分子量(Mw)は、一般に1,000以下
である。また、石油ワックスの融点は50〜120℃が
好ましい。融点が50℃より小さいと被覆時の装置への
付着が問題となり、120℃より大きいものは工業的に
入手が困難である。
【0018】これらの低分子量ポリオレフィン及び/又
は石油ワックスは各々単独で使用しても良いし、両者の
2種以上を混合して使用しても良い。しかしながら、微
生物分解速度が適切であり、さらに被膜の力学的強度が
より優れている点から低分子量ポリオレフィンが好まし
い。また、これらの低分子量ポリオレフィン及び/又は
石油ワックスの被膜中の含有率は10〜95重量%であ
る。10%未満では被膜の分解性が不充分となり、95
%を超えると被膜強度が低下する。
【0019】被膜分解性と被膜強度のバランスがより好
ましい、低分子量ポリオレフィン及び/又は石油ワック
スの被膜中の含有率は20〜94%であり、更に好まし
い含有率は30〜93%である。 (2)エチレン−α−オレフィンエラストマー 本発明に用いるエチレン−α−オレフィンエラストマー
は、エチレンとα−オレフィンをランダム共重合させて
得られるものであり、かつ、密度が0.830〜0.9
10g/cm3、メルトインデックス(MI)が0.1
〜50g/10分の高分子量ポリマーである。
【0020】メルトインデックス(MI)と重量平均分
子量(Mw)は相関が高く、一般に、低Mwのエチレン
−α−オレフィンエラストマーは、高MIを示す。該エ
チレン−α−オレフィンエラストマーの使用上限である
50g/10分のMIは、GPCによるMwの少なくと
も25,000以上に相当し、低分子量ポリオレフィン
の使用上限であるMwの10,000に比べて2倍以上
となることから、該エチレン−α−オレフィンエラスト
マーは、前述の低分子量ポリオレフィンに比べて高分子
量ポリマーである。
【0021】エチレンと共重合するα−オレフィンは、
プロピレン、1−ブテン、4−メチル−ペンテン−1、
1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数3
〜10のα−オレフィン、及びこれらのα−オレフィン
を複数用いたものである。また、被膜強度の高さ、及び
エラストマーの入手のしやすさから、1−ブテン、4−
メチル−ペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン等
の炭素数4〜8のα−オレフィンを用いたエチレン−α
−オレフィン共重合体が、更に好ましい。
【0022】また、エチレン−α−オレフィン中に含ま
れるα−オレフィンは、下記に示す密度の制限内となる
含有率である1〜49モル%、好ましくは2〜49モル
%である。本発明に用いるエチレン−α−オレフィンエ
ラストマーの密度は、0.830〜0.910g/cm
3である。密度が0.830g/cm3未満では融点が低
く、被膜形成時に被膜欠陥が発生したり、粒同士が融着
して塊が発生してしまう問題が発生し、密度が0.91
0g/cm3を超えると、被膜強度が低下する。これら
のバランスから、更に好ましい密度は、0.840〜
0.900g/cm3であり、特に好ましい密度は、
0.845〜0.890g/cm3であり、最も好まし
い密度は、0.850〜0.875g/cm3である。
【0023】本発明に用いるエチレン−α−オレフィン
エラストマーのメルトインデックス(MI)は、0.1
〜50g/10分である。0.1g/10分未満では、
被膜形成時の成形性が悪いことから、被膜欠陥による溶
出抑制期間の漏れだしが発生しやすく、また、50g/
10分以上では、被膜強度が低下する。これらのバラン
スから、更に好ましいMIの範囲は、0.5〜30g/
10分である。また、上記のエチレン−α−オレフィン
エラストマーは、分子量分布が狭いほど被膜強度に優
れ、例えば、分子量分布の尺度である重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が
1〜10のものを用いると好適である。より好ましくは
Mw/Mnが1〜6であり、更に好ましくはMw/Mn
が1〜5であり、特に好ましくはMw/Mnが1〜4で
あり、最も好ましくはMw/Mnが1〜3である。Mw
/Mnが小さいほど被膜強度を高くできる。
【0024】また、これらのエチレン−α−オレフィン
エラストマーの被膜中の含有率は89〜4重量%であ
る。4重量%未満では被膜強度が不充分となり、89重
量%を超えると被膜の分解性が低下する。被膜分解性と
被膜強度のバランスがより好ましい、エチレン−α−オ
レフィンエラストマーの被膜中の含有率は70〜4重量
%であり、さらに好ましくは50〜4重量%であり、特
に好ましくは40〜4重量%であり、最も好ましくは3
0〜5重量%である。
【0025】これらのエチレン−α−オレフィンエラス
トマーと、低分子量ポリオレフィン及び/又は石油ワッ
クスの配合比は、低分子量ポリオレフィン及び/又は石
油ワックス配合量100重量部に対して、エチレン−α
−オレフィンエラストマーが5〜200重量部となるこ
とが好ましく、5〜100重量部となるのが更に好まし
い。 (3)糖重合体若しくはその誘導体を主成分とする粉体 本発明に用いる糖重合体若しくはその誘導体を主成分と
する粉体は、グルコース、フラクトース等の6炭糖及び
その誘導体、あるいは、キシロース、アラビノース、リ
ボース等の5炭糖及びその誘導体の1種以上よりなる重
合体の粉体である。
【0026】例えば、澱粉、セルロース等の多糖類、キ
トサン、キトサン誘導体、キチン、キチン誘導体等が挙
げられ、こららの中でも、特に澱粉が好ましい。これら
の糖重合体若しくはその誘導体を主成分とする粉体は、
単独でも、あるいは複数を組み合わせて使用しても良
く、例えば、水膨潤性の高い糖重合体と水膨潤性の低い
糖重合体を組み合わせても良い。澱粉は、トウモロコ
シ、タピオカ、小麦、馬鈴薯、米等の穀物、あるいは根
菜類由来の粉体が用いられる。これらの澱粉を加工した
加工澱粉、例えば、アルキルエーテル澱粉、α化澱粉、
α化澱粉変性物、脂肪酸エステル澱粉、酢酸澱粉あるい
は燐酸澱粉等のエステル化澱粉及びその誘導体、カルボ
キシメチル澱粉あるいはアリルエーテル澱粉等のエーテ
ル型澱粉誘導体、酸化澱粉、及びこれらの混合物を用い
ることができる。こららの澱粉粉体は、例えば、表面シ
リコーン処理等により、撥水性、取り扱い性を改良して
用いても構わない。
【0027】セルロースは、粗セルロースを酸またはア
ルカリにより加水分解処理して微粉化したものや、微粉
のセルロース誘導体が用いられる。セルロース誘導体と
しては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、または、カルボキシメチルセルロース金属
塩等のセルロース誘導体金属塩等を用いることができ
る。本発明の糖重合体若しくはその誘導体を主成分とす
る粉体の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定機によ
り測定された数値で、50%粒子径が5〜40μmの範
囲が好ましい。さらに好ましくは50%粒子径が6〜3
0μmであり、特に好ましくは50%粒子径が8〜25
μmである。こららの平均粒子径のものを用いることに
より、より好適なシグモイド溶出パターンを得ることが
できる。
【0028】また、本発明の糖重合体若しくはその誘導
体を主成分とする粉体は、より狭い粒度分布を持つもの
が好ましい。例えば、レーザー回折式粒度分布測定機に
より測定された小さい方から10%積算の粒子径
(R10)、50%粒子径(R50)、90%粒子径
(R90)の関係が、0<(R90−R10)/R50≦1.7
のものを好適に用いることができる。より狭い粒度分布
の糖重合体若しくはその誘導体を主成分とする粉体を用
いることにより、より好適なシグモイド溶出パターンを
得ることができる。
【0029】本発明では、これらの糖重合体若しくはそ
の誘導体を主成分とする粉体を使用する際に、乾燥して
用いる。特に、高温の有機溶媒に分散させて使用する際
は、あらかじめ、湿状態基準で3%以下の水分率とする
ことが好ましい。また、これらの糖重合体若しくはその
誘導体を主成分とする粉体の被膜中の含有率は1〜30
重量%である。1重量%未満では、初期の溶出抑制期間
後の本溶出速度が不充分となって、良好なシグモイド型
の溶出パターンが得られず、また、30重量%を超える
と初期の溶出抑制が不充分となるばかりでなく、被膜強
度が低下する。より好ましくは、糖重合体若しくはその
誘導体を主成分とする粉体の被膜中の含有率は1〜20
重量%であり、特に好ましくは、1〜15重量%であ
る。
【0030】(4)無機充填剤 本発明の効果をより好ましくできる無機充填剤は、球
状、及び/又は板状の無機充填剤である。例えば、タル
ク、クレー、ケイソウ土、カオリン、ベントナイト、シ
リカ、マイカ、ガラス、アルミナ、酸化チタン、炭酸カ
ルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられ、これらのう
ち、初期溶出の抑制効果が優れている点から、親水性の
低い、タルク、クレーが好ましい。
【0031】これらの無機充填材のレーザー回折式粒度
分布測定機により測定された、50%粒子径は0.1〜
40μmが好ましく、さらに好ましくは、0.2〜30
μmである。粒径の小さい充填剤が好ましいが、0.1
μm未満では、逆に膜形成時に凝集して、実質的に大粒
径となりやすく、また、40μmを超えると被覆の欠陥
が多く発生し、溶出の制御性が低下して好ましくない。
これらの無機充填剤の被膜中の含有率は60重量%以下
である。60重量%を超えると初期の溶出抑制が不充分
となるばかりでなく、被膜強度が低下する。
【0032】無機充填材を含有させることにより、被膜
成型時の被膜欠陥が少なくなり、以て初期の溶出抑制を
より厳密にできると共に、被膜分解時の膜のボロボロさ
等の崩壊状況を顕著化できることから、より好ましく
は、無機充填剤の被膜中の含有率は1〜60重量%以下
である。更に好ましくは、無機充填剤の被膜中の含有率
を2〜50重量%とすることにより、初期の溶出抑制を
厳密さ、被膜分解時の膜のボロボロさ等の崩壊状況の顕
著化、被膜強度のバランスを良好にできる。特に好まし
くは5〜45重量%である。
【0033】(5)有機金属錯体 本発明は、被膜に有機金属錯体を含ませることにより、
更に好ましくできる。本発明で言う有機金属錯体とは、
鉄、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、銀、パラジウ
ム、モリブデン、クロム、タングステン、セリウム等の
金属元素と、アセチルアセトン等のβ−ジケトン類、β
−ケトエステル類、ジアルキルジチオカルバメート、ジ
アルキルジチオホスフェート、アルキルキサンテート、
メルカプトベンゾチアゾール等の錯形成剤が、酸素原子
あるいは硫黄原子を介して錯形成したものであり、これ
らの有機金属錯体は単独でも良いし、2種以上組み合わ
せて用いてもかまわない。例えば、アセチルアセトン第
二鉄、鉄アセトニルアセテート、鉄ジエチルジチオカー
バメート、鉄ジブチルジチオカーバメート、、鉄ジイソ
ノニルジチオカーバメート、ニッケルジブチルジチオカ
ーバメート、ニッケルジメチルジチオカーバメート、ニ
ッケルジイソノニルジチオカーバメート、マンガンジエ
チルジチオカーバメート、亜鉛ジブチルジチオカーバメ
ート、亜鉛ジイソプロピルジチオホスフェート等を用い
ることができる。
【0034】さらに好ましくは、有機鉄錯体、有機ニッ
ケル錯体、及びこれらの混合物である。有機金属錯体の
効果発揮には被覆肥料の被膜中の含有率は、0.000
2〜2重量%が好ましく、更に好ましくは0.001〜
1重量%であり、特に好ましくは0.005〜0.5重
量%である。有機金属錯体を2種以上用いる場合の有機
金属錯体の被膜中の合計の含有率も同様に、0.000
2〜2重量%が好ましく、更に好ましくは0.001〜
1重量%であり、特に好ましくは0.005〜0.5重
量%である。
【0035】(6)粒状肥料 本発明で用いる粒状肥料には特に制限はなく、公知の粒
状化学肥料を用いることができる。例えば(a)尿素、
イソブチリデン尿素等の有機合成肥料、あるいは(b)
アンモニア態窒素、硝酸態窒素、燐酸、加里から選ばれ
る1種以上の成分を含む複塩、例えば燐硝安加里、加燐
硝安、NK化成、硫安、塩安、硝安、塩化加里、硫酸加
里、硝酸ソーダ、硝酸石灰、第一燐安、第二燐安、燐酸
加里、燐酸石灰等の無機肥料(化成肥料)、及び(c)
これらにマグネシウム塩、鉄塩、モリブデン塩、マンガ
ン塩、銅塩、亜鉛塩、及びホウ酸塩等の微量要素を加え
たもの、を用いることができる。これらは(a)、
(b)、(c)から選ばれる2種以上を混合してもかま
わない。
【0036】粒状肥料の形は球状、角状、円柱状のいず
れでもかまわないが、被覆欠陥の防止の為、球状が好ま
しい。さらに好ましくは、短/長径比の平均が0.8以
上の球状の粒状肥料であり、特に好ましくは、真球状で
ある。その大きさは0.2〜10mm径が好ましい。
0.2mm径未満、あるいは10mm径を超えるもの
は、施肥時の取扱いが困難となって好ましくない。ま
た、篩処理等によって原料肥料粒子の粒度分布を狭くし
て、粒子毎のバラツキをなくす方法を用いてもかまわな
い。
【0037】(7)その他の被膜成分、及び被膜形成の
方法 本発明の被膜には必要に応じて、(a)ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコ
ールとプロピレングリコールの共重合によるポリアルキ
レングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性物
質、ポリエチレングリコール−ノニルフェニルエーテ
ル、ポリエチレングリコール−オクチルフェニルエーテ
ル、ポリエチレングリコール−アルキルエーテル、ポリ
エチレングリコール−分岐アルキルエーテル等のエーテ
ル型ノニオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール−
アルキルエステル、ポリエチレングリコール−分岐アル
キルエステル等のエステル型ノニオン系界面活性剤、陽
イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、両性イオ
ン系界面活性剤、及びこれらの混合物等によって溶出速
度を調整したり、(b)有機顔料、カーボンブラック等
の着色剤の添加によって被覆粒状肥料の区別を容易にし
たり、あるいは、(c)ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチ
レート、ポリカプロラクトン、ジオール−ジカルボン酸
型の脂肪族ポリエステル、ジオール−ジカルボン酸型の
脂肪族ポリエステルの部分架橋物等の生分解性樹脂等を
添加することによって土壌中の分解速度を調整すること
もできる。
【0038】また、被覆粒状肥料の被膜は、粒状肥料の
表面全体に施されたものであり、粒状肥料100重量部
あたり1〜50重量部の被膜で被覆される。被膜が1重
量部未満では粒状肥料全粒の周囲全体に均一に被膜を形
成させることが困難であって、その溶出制御が難しく、
50重量部を超えると被覆粒状肥料の肥料成分の品位が
低下して好ましくない。好ましくは、粒状肥料100重
量部あたり被膜が2〜35重量部であり、特に好ましく
は、粒状肥料100重量部あたり被膜が3〜20重量部
である。
【0039】本発明の被膜の形成方法に特に制限はない
が、噴流搭で流動する肥料に、被覆材料を必要に応じて
溶媒と共に供給して、熱風で乾燥させる噴流方式、転動
ドラム内で転動する肥料に、被覆材料を必要に応じて溶
媒と共に供給して、熱風で乾燥させる転動方式、回転パ
ン内で転動する肥料に、被覆材料を必要に応じて溶媒と
共に供給して、熱風で乾燥させる回転パン方式、及びこ
れらを組合せたもの、例えば噴流パン方式等を用いるこ
とができる。被覆材料を溶媒と共に供給する場合のスプ
レーノズルにも特に制限はなく、1液型のノズル、ガス
アシストによる2液型のノズル等を用いることができ
る。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明の実施
の形態、及び効果を説明する。 (A)実施例で用いた材料 1)LPO:低分子量ポリオレフィン 副生法低分子量ポリエチレン(ポリレッツ90SZ;チ
ュウセイワックスポリマー製)を用いた。ポリマーラボ
ラトリー社製高温GPC装置(PL−GPC 210
型)に、同社製カラム(PL gel MIXED−
B、2本)を装着し、オーブン温度140℃、オルトジ
クロロベンゼンを溶離液として測定した、重量平均分子
量は910であった。尚、標品は同社の標準ポリエチレ
ン試料を用いた。
【0041】 2)EOE:エチレン−α−オレフィンエラストマー MIが0.5g/10分、密度が0.868g/c
3、Mw/Mnが2.3のエチレン−オクテン1−エ
ラストマー(エンゲージ8150;デュポンダウエラス
トマーズ製)を用いた。 3)タルク:無機充填剤 NKタルク(ワンドー工業製)を用いた。 4)澱粉:糖重合体 10%粒径が10.1μm、50%粒径が19.1μ
m、90%粒径が34.9μm、水分率0.8%のコー
ンスターチを用いた。 5)SA:界面活性剤 ソフタノール70(ポリエチレングリコール−第二級ア
ルキルエーテル;日本触媒製)を用いた。
【0042】6)錯体A:有機金属錯体−鉄錯体 鉄(III)アセチルアセトナート(試薬)を用いた。 7)錯体B:有機金属錯体−ニッケル錯体 ニッケル−ジブチルジチオカーバメート(試薬)を用い
た。 8)粒状肥料 粒状尿素(46−0−0:尿素態窒素として46重量%
を含有)を6〜8メッシュの篩で篩って使用した。
【0043】(B)溶出タイプ、及び溶出抑制期間の測
定 下記に示す、25℃、水分率60%の土中溶出評価を用
いた。土中溶出に用いた土は、静岡県富士市岩本地区の
黒ボク土(最大容水量は121g/100g乾燥土;朝
倉書店発行「改訂新版実験農芸化学」上巻[昭和50年
5月1日発行20版]の第70頁に記載されるB.最大
容水量の方法により算出した)である。この黒ボク土は
2mm篩の篩下のものを用い、ボトル仕込み直前に測定
した含水量は51g/100g乾燥土であった。
【0044】被覆粒状肥料5gと、土264.25g
(乾燥土175gと水89.25g)と、蒸留水37.
8gを混合してポリエチレン製ボトルに仕込み、密栓し
た。この条件は、乾燥土175gの最大容水量の21
1.75gに対して、含まれる水が127.05gであ
ることから、水分率60%である。該ボトルを25℃の
インキュベーターに保存し、所定日数毎に抜き取って、
土を除いた後に被覆肥料をすりつぶして評価液を得た。
溶出率は、すりつぶした被覆肥料から抽出して得られた
液に含まれる全窒素量を、予め測定しておいた被覆粒状
肥料に含まれる全窒素量で割り返して、期間毎の残存率
とし、100%から差し引いて溶出率を算出した。
【0045】土中溶出の結果を経過日数毎にプロット
し、溶出率が10%となった日数を溶出抑制期間、及び
溶出率が80%に達した日数を溶出タイプとした。本発
明では、溶出抑制期間が15日以上であり、かつ、溶出
抑制期間を溶出タイプで除した数値が0.3以上となる
ものをシグモイド溶出型(「Sタイプ」と記す)とし
た。また、溶出抑制期間を溶出タイプで除した数値が
0.3未満となるものを非シグモイド型のレギュラー溶
出型(「Rタイプ」と記す)とした。
【0046】(C)長期保管性試験 被覆粒状肥料100gを150μm厚みのポリエチレン
袋に入れてヒートシールを行った後、さらにもう1回、
150μm厚みのポリエチレン袋に入れてヒートシール
を行い、被覆粒状肥料と外部の湿気を完全に遮断した。
25℃のインキュベーター中で3年間保管し、3年経過
後に袋を開封して、上記(B)と同じように、25℃、
水分率60%の土中溶出評価を用った。長期保管後の溶
出タイプと、元々の溶出タイプの比率が0.95〜1.
05であるものを、長期保管性が良好とした。
【0047】(D)分解試験 上記の溶出率測定に使用した黒ボク土1kgに被覆粒状
肥料1,000粒を混合し、底のない枠に入れて屋外に
放置し、1回/月の頻度で混合操作を行いながら、2年
経過後、及び3年経過後に取り出した。篩によって肥料
殻と土を選別し、溶出終了後の形状である球状を50%
以上維持している肥料殻を選択して、1,000から差
し引くことで分解粒を把握し、1,000粒に対する分
解粒の100分率を分解率とした。本発明では、3年後
の分解率として90%以上のものを崩壊型とした。尚、
95%以上の数値のものは、土と選別する前の状態で
は、殻らしき残骸が、極めて見つけづらいものであっ
た。
【0048】(E)耐磨耗試験 被覆粒状肥料を15gと、シリカサンド日光4号(川鉄
鉱業製)を250gと、25mmφの磁製ボールを3
個、ボールミルに入れ、78rpmで3時間回転させ
た。次いで、試験前の被覆粒状肥料10gと、試験後に
シリカサンド日光4号と仕分けした被覆粒状肥料10g
を、各々、純水200mlと共にポリエチレン製ボトル
に仕込んで密栓した。該ボトルを所定温度設定の25℃
のインキュベーターに保存し、3日後の溶出水を抜き取
って、各々の評価液を得た。溶出率は、該評価液に含ま
れる全窒素量を、予め測定しておいた被覆粒状肥料に含
まれる全窒素量で割り返して算出した。耐磨耗試験後の
試料の3日後の溶出率から、試験前の試料の3日後の溶
出率を差し引いた差が、2%以下のものを耐磨耗性良好
とした。
【0049】(F)耐衝撃試験 被覆肥料20kgをポリエチレン製袋に入れ、2mの高
さから10回落下後、底部の被覆肥料を採取した。次い
で、試験前と試験後の被覆粒状肥料10gを、各々、純
水200mlと共にポリエチレン製ボトルに仕込んで密
栓した。該ボトルを所定温度設定の25℃のインキュベ
ーターに保存し、3日後の溶出水を抜き取って、各々の
評価液を得た。溶出率は、該評価液に含まれる全窒素量
を、予め測定しておいた被覆粒状肥料に含まれる全窒素
量で割り返して算出した。耐衝撃試験後の試料の3日後
の溶出率から、試験前の試料の3日後の溶出率を差し引
いた差が、2%以下のものを耐衝撃性良好とした。以
下、実施例により本発明の効果を示す。尚、実施例、比
較例の結果は表1にまとめて記した。
【0050】
【実施例1】(1)被膜原料溶液の調合 LPOを120g、EOEを60g秤量した後、6kg
のテトラクロロエチレンに投入し、テトラクロロエチレ
ンを沸騰させて、LPOとEOEをテトラクロロエチレ
ンに完全に溶解させた。次いで、攪拌しながらタルクを
105g、澱粉を15g添加し、被膜原料溶液を作成し
た。
【0051】(2)被覆粒状肥料の製造 粒状肥料3,000gを噴流型被覆装置に仕込み、11
0℃の熱風を150Nm3/時間の風量で送風しなが
ら、被膜原料溶液を全量スプレーし、12分間で被膜を
形成させた。被膜形成時のベッド温度は65℃に保持
し、被膜原料溶液の供給終了後は、熱風から20℃の冷
風に切り替え、ベッド温度が40℃となったところで、
被覆粒状肥料を取り出した。得られた被覆粒状肥料は
3,300gであり、供給した被膜原料が全量被覆され
ていることを確認した。 (3)被覆粒状肥料の評価 得られた被覆粒状肥料の溶出抑制期間は28日、溶出タ
イプは72日、溶出抑制期間が溶出タイプの0.39の
比率であり、Sタイプが得られた。
【0052】また、耐磨耗試験前の溶出率が0.5%、
試験後が1.4%であり、その差が0.9%と小さく、
さらに、耐衝撃試験前の溶出率が0.5%、試験後が
1.2%であり、その差が0.7%と小さく、耐磨耗
性、耐衝撃性共に良好であった。3年経過後の保存性評
価でも、溶出タイプが72日であって変化はなく、元々
の溶出タイプとの比率が1.00と良好であり、また、
2年後の分解率が45.4%、3年後の分解率が99.
7%と、分解性も良好であった。以上の通り、シグモイ
ド型溶出であり、使用前の被膜強度に優れ、かつ保存安
定性の優れる被膜崩壊型の被覆粒状肥料が得られた。
【0053】
【実施例2】LPOを150g、EOEを60g、タル
クを60g、澱粉を30gとした以外は、実施例1と同
じ方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は
3,300gであり、供給した被膜原料が全量被覆され
ていることを確認した。得られた被覆粒状肥料の溶出抑
制期間は24日、溶出タイプは59日、溶出抑制期間が
溶出タイプの0.41の比率であり、Sタイプが得られ
た。
【0054】また、耐磨耗試験前の溶出率が0.8%、
試験後が1.6%であり、その差が0.8%と小さく、
さらに、耐衝撃試験前の溶出率が0.8%、試験後が
0.8%であり、その差が0.8%と小さく、耐磨耗
性、耐衝撃性共に良好であった。3年経過後の保存性評
価でも、溶出タイプが60日であって、元々の溶出タイ
プとの比率が1.02と良好であり、また、2年後の分
解率が49.8%、3年後の分解率が100.0%と、
分解性も良好であった。以上の通り、シグモイド型溶出
であり、使用前の被膜強度に優れ、かつ保存安定性の優
れる被膜崩壊型の被覆粒状肥料が得られた。
【0055】
【実施例3】LPOを165g、EOEを90g、澱粉
を45gとして、タルクを加えなかった以外は、実施例
1と同じ方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状
肥料は3,300gであり、供給した被膜原料が全量被
覆されていることを確認した。得られた被覆粒状肥料の
溶出抑制期間は20日、溶出タイプは58日、溶出抑制
期間が溶出タイプの0.34の比率であり、Sタイプが
得られた。
【0056】また、耐磨耗試験前の溶出率が1.8%、
試験後が3.1%であり、その差が1.3%と小さく、
さらに、耐衝撃試験前の溶出率が1.8%、試験後が
3.3%であり、その差が1.5%と小さく、耐磨耗
性、耐衝撃性共に良好であった。3年経過後の保存性評
価でも、溶出タイプが56日であって、元々の溶出タイ
プとの比率が0.97と良好であり、また、2年後の分
解率が42.1%、3年後の分解率が91.6%と、分
解性も良好であった。以上の通り、シグモイド型溶出で
あり、使用前の被膜強度に優れ、かつ保存安定性の優れ
る被膜崩壊型の被覆粒状肥料が得られた。
【0057】
【実施例4】LPOを120g、EOEを60g、タル
クを104.8g、澱粉を15g、錯体Aを0.18
g、錯体Bを0.02gとした以外は、実施例1と同じ
方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒状肥料は
3,300gであり、供給した被膜原料が全量被覆され
ていることを確認した。得られた被覆粒状肥料の溶出抑
制期間は28日、溶出タイプは72日、溶出抑制期間が
溶出タイプの0.39の比率であり、Sタイプが得られ
た。
【0058】また、耐磨耗試験前の溶出率が0.5%、
試験後が1.4%であり、その差が0.9%と小さく、
さらに、耐衝撃試験前の溶出率が0.5%、試験後が
1.2%であり、その差が0.7%と小さく、耐磨耗
性、耐衝撃性共に良好であった。3年経過後の保存性評
価でも、溶出タイプが72日であって変化なく、元々の
溶出タイプとの比率が1.00と良好であり、また、2
年後の分解率が57.5%、3年後の分解率が100.
0%と、分解性も良好であった。以上の通り、シグモイ
ド型溶出であり、使用前の被膜強度に優れ、かつ保存安
定性の優れる被膜崩壊型の被覆粒状肥料が得られた。
【0059】
【比較例1】LPOを120g、EOEを60g、タル
クを120gとして、澱粉を加えなかった以外は、実施
例1と同じ方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒
状肥料は3,300gであり、供給した被膜原料が全量
被覆されていることを確認した。得られた被覆粒状肥料
の溶出抑制期間は65日、溶出タイプは386日、溶出
抑制期間が溶出タイプの0.17の比率であり、Rタイ
プが得られた。
【0060】また、耐磨耗試験前の溶出率が0.6%、
試験後が1.4%であり、その差が0.8%と小さく、
さらに、耐衝撃試験前の溶出率が0.6%、試験後が
1.3%であり、その差が0.7%と小さく、耐磨耗
性、耐衝撃性共に良好であった。3年経過後の保存性評
価でも、溶出タイプが394日であって、元々の溶出タ
イプとの比率が1.02と良好であり、また、2年後の
分解率が43.2%、3年後の分解率が98.1%と、
分解性も良好であった。以上の通り、使用前の被膜強度
に優れ、かつ保存安定性の優れる被膜崩壊型の被覆粒状
肥料が得られたが、シグモイド型溶出とはならなかっ
た。
【0061】
【比較例2】LPOを180g、タルクを105g、澱
粉を15gとして、EOEを加えなかった以外は、実施
例1と同じ方法で被覆粒状肥料を得た。得られた被覆粒
状肥料は3,300gであり、供給した被膜原料が全量
被覆されていることを確認した。得られた被覆粒状肥料
の溶出抑制期間は1日、溶出タイプが7日であり、溶出
抑制期間を持たないRタイプが得られた。
【0062】また、耐磨耗試験前の溶出率が28.1
%、試験後が100%であって被膜が破壊されており、
さらに、耐衝撃試験前の溶出率が28.1%、試験後が
100%であって、同様に被膜が破壊されており、耐磨
耗性、耐衝撃性共に極めて低いものであった。3年経過
後の保存性評価でも、溶出タイプが5日であって、元々
の溶出タイプとの比率が0.71と変動が大きかった
が、2年後の分解率が48.8%、3年後の分解率が1
00.0%と、分解性は良好であった。以上の通り、被
膜崩壊型であったが、被膜強度、保存安定性が低い、非
シグモイド型溶出の被覆粒状肥料が得られた。
【0063】
【比較例3】LPOを120g、EOEを60g、タル
クを116.8g、SAを3g、錯体Aを0.18g、
錯体Bを0.02gとして、澱粉を加えなかった以外
は、実施例1と同じ方法で被覆粒状肥料を得た。得られ
た被覆粒状肥料は3,300gであり、供給した被膜原
料が全量被覆されていることを確認した。得られた被覆
粒状肥料の溶出抑制期間は16日、溶出タイプは165
日、溶出抑制期間が溶出タイプの0.10の比率であ
り、Rタイプが得られた。
【0064】また、耐磨耗試験前の溶出率が6.6%、
試験後が7.1%であり、その差が0.5%と小さく、
さらに、耐衝撃試験前の溶出率が6.6%、試験後が
7.3%であり、その差が0.7%と小さく、耐磨耗
性、耐衝撃性共に良好であった。3年経過後の保存性評
価でも、溶出タイプが168日であって、元々の溶出タ
イプとの比率が1.02と良好であり、また、2年後の
分解率が49.9%、3年後の分解率が98.4%と、
分解性も良好であった。以上の通り、使用前の被膜強度
に優れ、かつ保存安定性の優れる被膜崩壊型の被覆粒状
肥料が得られたが、シグモイド型溶出とはならなかっ
た。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、長期保存後の被覆粒状
肥料を使用する際に、思わぬ被膜分解による初期の溶出
抑制期間の溶出漏れ出しが発生せず、かつ、シグモイド
型溶出による高い肥効、省力化が得られ、さらに、使用
後の被覆粒状肥料の被膜の殻が田畑で分解する、高機能
な被覆粒状肥料を提供できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)重量平均分子量が300〜10,0
    00の低分子量ポリオレフィンおよび/又は石油ワック
    スを10〜95重量%と、(b)密度が0.830〜
    0.910g/cm3、かつメルトインデックスが0.
    1〜50g/10分のエチレン−α−オレフィンエラス
    トマーを89〜4重量%と、(c)糖重合体若しくはそ
    の誘導体を主成分とする粉体を1〜30重量%を含む被
    膜により被覆されていることを特徴とする被覆粒状肥
    料。
  2. 【請求項2】被膜中に、無機充填剤を1〜60重量%含
    むことを特徴とする請求項1に記載の被覆粒状肥料。
  3. 【請求項3】被膜中に、有機金属錯体を0.0002〜
    2重量%を含むことを特徴とする請求項1、及び請求項
    2に記載の被覆粒状肥料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002234790A (ja) * 2001-02-06 2002-08-23 Asahi Kasei Corp 被膜分解性のシグモイド溶出型被覆粒状肥料

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