JP4302217B2 - 被覆粒状肥料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、肥効を長期間に亘って持続できる被覆粒状肥料に関する。
更に詳しくは、被覆粒状肥料の溶出速度制御剤として好適な界面活性剤に関し、少量の添加でも溶出速度の制御を行え、また、肥料成分と共に自然界へ放出しても分解が容易であり、かつ、溶出条件による溶出速度の差の小さい、実用的な被覆粒状肥料を提供できる。
【0002】
【従来の技術】
粒状肥料を樹脂で被覆してカプセル化することにより、肥料成分の持続的な放出を制御できる機能を持った被覆粒状肥料は、農業の省力化、肥料成分の環境負荷低減等の効果が大きく、近年その発展が著しい。
すなわち、過剰施肥を防止して作物への肥料成分の利用効率を高め、かつ河川等への肥料成分の流失を低減させ、さらに施肥回数の低減を図れる等の顕著な効果を発揮し、省力化、効率化、環境保全に対して充分な成果を挙げていることは周知の事実である。
【0003】
被覆粒状肥料の性能の中で最も重要な点は、被覆粒状肥料中に含まれる肥効成分の溶出の制御である。一般的には、25℃において肥効成分の80%を溶出するのに必要な日数を「溶出タイプ」として差別化しており、溶出タイプが小さいほど短期肥効、大きいほど長期肥効の被覆粒状肥料となる。
これらの被覆粒状肥料は、対象とする作物ごとに最適な溶出タイプ、最適な肥効成分を含有したものを選択し、被覆肥料単独、あるいは化成肥料及び/又は有機肥料と混合して、施肥時に用いることが多い。
【0004】
一般に、被覆粒状肥料の溶出タイプの制御には、界面活性剤が使用され、例えば、特公昭60−37074号公報、あるいは特公平6−92275号公報等に詳しく記載されている。
これらの発明には、被覆粒状肥料の溶出タイプの制御には界面活性剤の添加が有用であり、特に、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸モノエステル等のノニオン型界面活性剤の添加により、任意の溶出タイプの被覆粒状肥料が得られる旨が記載されている。
【0005】
これらの中でも、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルが、特に溶出速度制御効果が高く、少量の添加でも溶出タイプを調節できることから、特公昭54−3104号公報、乃至、最近の特開平9−303886号公報等の発明等にも頻繁に用いられてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等の含芳香族環化合物が、自然界で分解する際に発生するノニルフェノール等のアルキルフェノール類は、ある種のホルモンと類似した働きを示すことから、環境ホルモンとして忌避され始めており、また、自然分解しにくいアルキルフェノール構造は自然界に残留しやすいこと等の自然への影響を考慮すると、速やかな代替物質への転換が望まれている。
【0007】
このような観点から、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルを代替しうる界面活性剤の候補として、分子内に芳香族環を含まないノニオン系界面活性剤である高級脂肪酸エトキシレート、あるいは高級アルコールエトキシレートが挙げられているが、これらは被覆粒状肥料における溶出タイプの制御効果が小さく、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルを代替できるような、高性能な溶出調整剤とはならなかった。
【0008】
また、これらの高級脂肪酸エトキシレート、あるいは高級アルコールエトキシレートを用いた被覆粒状肥料は、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルを用いた場合に比べて、使用する場の水分率等の環境要因による溶出タイプ変動が発生し易く、代替物質として適当なものではなかった。
本発明の意義は、本来、過剰施肥等の環境負荷を低減することが1つの目的である被覆粒状肥料において、さらに、使用物質の環境への影響も考慮した、本質的な環境調和型の被覆粒状肥料を提供することである。
【0009】
本発明によれば、少量の界面活性剤添加でも溶出タイプの制御を行え、また、肥料成分と共に界面活性剤が自然界へ放出しても、その分解が容易であり、かつ、溶出条件による被覆粒状肥料の溶出速度の差が小さい、実用的な被覆粒状肥料を提供できる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
これらの問題に対し鋭意検討した結果、特定構造の高級アルコールエトキシレート等が、優れた溶出速度調整剤であるポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルに比べて、分解性が高い構造でありながら、それと同等の溶出タイプ制御効果を示し、かつ、土中/水中等の水分条件による溶出速度差が少ないことを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、炭素数7〜30の高級第2級アルコールエトキシレート等と樹脂を含む被膜
により被覆されていることを特徴とする被覆粒状肥料であり、好ましくは、高級第2級アルコールエトキシレート等のエチレンオキシ基等の平均付加数が2〜15であることを特徴とする上記に記載の被覆粒状肥料である。
以下、その詳細について述べる。
(1)高級第2級アルコールエトキシレート等
本発明で云う高級第2級アルコールエトキシレート等とは、式(1)に示される、炭素数7〜30の高級第2級アルコールのアルコール基部分に、エチレンオキシ基等を繰り返し付加させた構造を持つものである。
【0012】
式(1)において、m+nは4〜27の範囲である。m+nが4〜27の数値のものを2種以上混合して用いても良い。mとnの組み合わせに特に制限はないが、取り扱い性、及び性能の面で、mとnの数値が近い方が好ましい。特に好ましくは、長鎖側をm、短鎖側をnとした時の、m−nが1以内である。
【0013】
また、式(1)において、Rはエチレンオキシ基等を表し、−CH2CH2O−のエチレンオキシ基、あるいはエチレンオキシ基を60モル%以上含んだエチレンオキシ基とメチル置換エチレンオキシ基−CH(CH3)CH2O−の混成物である。
エチレンオキシ基とメチル置換エチレンオキシ基の混成物とは、上記の高級第2級アルコールのアルコール基部分に、エチレンオキシ基とメチル置換エチレンオキシ基をランダムに付加させて得られるランダム付加物、又は、上記の高級第2級アルコールのアルコール基部分に、エチレンオキシ基をブロック的に付加させた後にメチル置換エチレンオキシ基をブロック的に付加させたり、あるいは、エチレンオキシ基をブロック的に付加させた後にメチル置換エチレンオキシ基をブロック的に付加させたブロック付加物であり、これらの混合物でも良いが、エチレンオキシ基等に含まれるメチル置換エチレンオキシ基のモル分率は、40モル%未満が好ましく、特に好ましくは20モル%未満であり、最も好ましくはメチル置換エチレンオキシ基を含まないエチレンオキシ基単独付加物である。メチル置換エチレンオキシ基のモル分率が増加すると、溶出タイプ制御性能が低下すると共に溶出条件による溶出速度差が大きくなる。
【0014】
さらに、式(1)において、xは1以上である。xが小さいほど取り扱い性良好であるが、溶出タイプ制御性能が低下し、また、xが大きいほど溶出タイプ制御性能が向上するものの、取り扱い性が低下する。取り扱い性及び性能の面で、さらに好ましいxの範囲は2〜15であり、特に好ましいxの範囲は3〜12である。
【0015】
Rがエチレンオキシ基とメチル置換エチレンオキシ基の混成物の場合、メチル置換エチレンオキシ基はxの40%未満である。
尚、一般に、xは分布を持つものであり、上記に記載の好ましいxの数値は、その平均値である。xの分布に特に制限はないが、分布が狭い方が溶出制御の再現性が高くなって好ましい。
【0016】
HLBは以上の界面活性剤の分子構造により決定されるものであり、HLB自体で制限されるものではないが、例えば、HLBが4〜16の高級第2級アルコールエトキシレート等を好適に用いることができる。好ましいHLBの範囲は6〜15.3であり、特に好ましいHLBの範囲は7.9〜14.5である。
(2)樹脂
本発明で用いることができる樹脂に特に制限はなく、被覆粒状肥料の被膜として使用できるものであれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用することができる。
【0017】
熱可塑性樹脂として、例えば、(a)高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖法低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−一酸化炭素共重合体等のエチレンユニットを主体とした構造を持つポリエチレン系樹脂、(b)i−ポリプロピレン、s−ポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等のプロピレンユニットを主体とした構造を持つポリプロピレン系樹脂、(c)ポリブテン等のブテンユニットを主体とした構造を持つポリブテン系樹脂、(d)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩ビ系樹脂、(e)ポリスチレン、s−ポリスチレン、ブタジエン系ゴムを分散させたポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン系ゴムを分散させたスチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、(f)ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、芳香族ポリエステル等のエンジニアリング樹脂、(g)ポリ−L乳酸、ポリ−D乳酸、ポリ−L乳酸D乳酸共重合体、ポリカプロラクトン、ジオール−ジカルボン酸による脂肪族ポリエステル、ジオール−ジカルボン酸による脂肪族ポリエステルの部分架橋樹脂、ポリエステルカーボネート、ポリエステルアミド等の生分解性樹脂、(h)ブタジエンゴム、EPRあるいはEBR等のエチレン−αオレフィンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、熱可塑性ウレタンゴム等のゴム状樹脂等を用いることができる。
【0018】
これらの樹脂は単独で用いても良いし、複数を混合して用いても良い。一般に被覆粒状肥料の被膜材料の主体となる樹脂は、水の透過性が小さいものが制御性に優れることから、これらの内、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。特に好ましくは、ポリエチレン系樹脂であり、被覆粒状肥料の溶出制御範囲を広く、また、最も優れた溶出制御性を持たせることができる。
【0019】
熱硬化性樹脂として、例えば、(a)ポリエーテルポリオール、あるいは、ポリエステルポリオール等のポリオール成分と、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びそれらの誘導体等のイソシアネート成分を反応させて得られるポリウレタン樹脂、(b)エチレングリコール等の二価アルコール、グリセリン等の三価アルコール、あるいは、ペンタエリトリット等の三価を超える官能基を持つアルコール等の多価アルコールと、無水フタル酸等の芳香族多塩基酸、マレイン酸等の不飽和多塩基酸、あるいは、シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物等の高分子量多塩基酸等の多塩基酸との縮合反応によって得られるアルキッド樹脂等を用いることができる。
【0020】
上記のポリウレタン樹脂は、ポリオール成分とイソシアネート成分を反応させて直接得られたものでも良いし、イソシアネートとポリオールによるプレポリマーから、末端イソシアネート、又は末端アルコールを、更にグリコール、アミン、又はポリイソシアネートで反応、成形するプレポリマー法を用いたものでも構わない。
【0021】
また、上記のアルキッド樹脂は、大豆油、アマニ油等の油脂、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、ロジン、コーパル等の天然樹脂、あるいは、エステルガム、フェノール樹脂等の合成樹脂で変性されたものを用いても構わない。
(3)被膜
本発明における被膜は、炭素数7〜30の高級第2級アルコールエトキシレート等と樹脂を含む構成である。炭素数7〜30の高級第2級アルコールエトキシレート等と樹脂以外の成分として、充填剤、水溶性物質、着色剤その他の添加物質が含まれても構わない。
【0022】
その構成比は、炭素数7〜30の高級第2級アルコールエトキシレート等が0.1〜20重量%、樹脂が80〜99.9重量%の合計100重量%となることが好ましい。炭素数7〜30の高級第2級アルコールエトキシレート等が0.1重量%未満では、溶出速度の調整が十分に行われず、また、20重量%を超えると、溶出速度が大きくなりすぎて、制御困難となり好ましくない。
【0023】
更に好ましくは、炭素数7〜30の高級第2級アルコールエトキシレート等が0.1〜15重量%、樹脂が85〜99.9重量%の合計100重量%であり、特に好ましくは、炭素数7〜30の高級第2級アルコールエトキシレート等が0.1〜10重量%、樹脂が90〜99.9重量%の合計100重量%であり、最も好ましくは、炭素数7〜30の高級第2級アルコールエトキシレート等が0.1〜7重量%、樹脂が93〜99.9重量%の合計100重量%である。
【0024】
本発明の被膜には、充填剤を多量に配合しても構わない。この場合、炭素数7〜30の高級第2級アルコールエトキシレート等と樹脂の100重量部に対して、充填剤は200重量部以下として用いることができる。充填剤が、200重量部を超えると、被膜欠陥が増大し、溶出制御困難となって好ましくない。更に好ましくは、炭素数7〜30の高級第2級アルコールエトキシレート等と樹脂の100重量部に対して、充填剤が160重量部以下であり、特に好ましくは、炭素数7〜30の高級第2級アルコールエトキシレート等と樹脂の100重量部に対して、充填剤が110重量部以下である。
【0025】
本発明に用いることができる充填剤は、球状、及び/又は板状の充填剤であり、例えば、(a)タルク、ケイソウ土、カオリン、ベントナイト、シリカ、マイカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機充填材、あるいは(b)スターチ、セルロース等の糖重合体、キチン、キトサン、木粉等の有機充填材である。
【0026】
これらの充填材の数平均粒径は0.1〜50μmが好ましく、さらに好ましくは、0.2〜30μmである。粒径の小さい充填剤が好ましいが、0.1μm未満では、逆に膜形成時に凝集して、実質的に大粒径となりやすく、また、50μmを超えると被覆の欠陥が多く発生し、溶出の制御性が低下して好ましくない。これらの充填剤は、単独でも、混合して用いても構わない。
【0027】
また、本発明の被膜には、(a)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合によるポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性物質、(b)有機顔料、カーボンブラック等の着色剤、あるいは(c)鉄アセチルアセトネート等の金属錯体等のその他の添加物質を含ませることができる。
【0028】
これらの添加物質は、被膜重量に対して10重量%以下とすることが好ましく、5重量%以下が更に好ましい。
本発明の被膜は、粒状肥料の表面全体に施されたものであり、被覆粒状肥料は、粒状肥料100重量部あたり1〜50重量部の被膜で被覆される。被膜が1重量部未満では粒状肥料全粒の周囲全体に均一に被膜を形成させることが困難であって、その溶出制御が難しく、50重量部を超えると被覆粒状肥料の肥料成分の品位が低下して好ましくない。好ましくは、粒状肥料100重量部あたり被膜が2〜35重量部であり、特に好ましくは、粒状肥料100重量部あたり被膜が3〜20重量部である。
【0029】
本発明の被膜の形成方法に特に制限はないが、噴流搭で流動する肥料に、被覆材料を必要に応じて溶媒と共に供給して、熱風で乾燥させる噴流方式、転動ドラム内で転動する肥料に、被覆材料を必要に応じて溶媒と共に供給して、熱風で乾燥させる転動方式、回転パン内で転動する肥料に、被覆材料を必要に応じて溶媒と共に供給して、熱風で乾燥させる回転パン方式、及びこれらを組合せたもの、例えば噴流パン方式等を用いることができる。被覆材料を溶媒と共に供給する場合のスプレーノズルにも特に制限はなく、1液型のノズル、ガスアシストによる2液型のノズル等を用いることができる。
(4)粒状肥料
本発明で用いる粒状肥料には特に制限はなく、公知の粒状化学肥料を用いることができる。例えば(a)尿素、イソブチリデン尿素等の有機合成肥料、あるいは(b)アンモニア態窒素、硝酸態窒素、燐酸、加里から選ばれる1種以上の成分を含む複塩、例えば燐硝安加里、加燐硝安、NK化成、硫安、塩安、硝安、塩化加里、硫酸加里、硝酸ソーダ、硝酸石灰、第一燐安、第二燐安、燐酸加里、燐酸石灰等の無機肥料(化成肥料)、及び(c)これらにマグネシウム塩、鉄塩、モリブデン塩、マンガン塩、銅塩、亜鉛塩、及びホウ酸塩等の微量要素を加えたもの、を用いることができる。これらは(a)、(b)、(c)から選ばれる2種以上を混合してもかまわない。
【0030】
粒状肥料の形は球状、角状、円柱状のいずれでもかまわないが、被覆欠陥の防止の為、球状が好ましい。さらに好ましくは、短/長径比の平均が0.8以上の球状の粒状肥料である。
その大きさは0.2〜10mm径が好ましい。0.2mm径未満、あるいは10mm径を超えるものは、施肥時の取扱いが困難となって好ましくない。また、篩処理等によって原料肥料粒子の粒度分布を狭くして、粒子毎のバラツキをなくす方法を用いてもかまわない。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明の実施の形態、及び効果を説明する。
(1)材料
本発明で用いた、樹脂A、樹脂B、タルク、粒状肥料は下記の通りである。
樹脂A :MIが7.0g/10分、密度が0.922g/cm3の高圧法低密度ポリエチレン(サンテックLD−M2270、旭化成工業製)
樹脂B :MIが2.0g/10分、酢酸ビニル含有率が25重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(エバフレックスEV360、三井デュポンケミカル製)
タルク :NKタルク(ワンドー工業製)
粒状肥料:アンモニア態窒素15.1%(N換算)、硝酸態窒素14.3%
(N換算)、燐3.1%(P2O5換算)を含む高度化成肥料(くみあい燐硝安2903、旭化成工業製)を5メッシュ篩パス、かつ7メッシュ篩オンとして粒度を揃えたもの
(2)溶出率の測定方法
被覆粒状肥料の溶出は25℃条件とし、下記に示す水中溶出、土中溶出(水分率60%)を用いて評価した。
【0032】
土中溶出に用いた土は、静岡県富士市岩本地区の黒ボク土(最大容水量は121g/100g乾燥土;朝倉書店発行「改訂新版実験農芸化学」上巻[昭和50年5月1日発行20版]の第70頁に記載される[B.最大容水量]の方法により算出した)である。
前記の黒ボク土は2mm篩の篩下のものを用い、ボトル仕込み直前に測定した含水量は51g/100g乾燥土であった。
[水中溶出]
被覆粒状肥料10gを1mm編みの網に包んで、蒸留水200mlと共にポリエチレン製ボトルに仕込み、密栓した。該ボトルを25℃のインキュベーターに保存し、所定日数毎に溶出水を抜き取って評価液を得た。溶出率は、該評価液に含まれるアンモニア態窒素と硝酸態窒素の合量を、予め測定しておいた被覆粒状肥料に含まれるアンモニア態窒素と硝酸態窒素の合量で割り返して、期間毎の溶出率を算出した。
[土中溶出]
被覆粒状肥料5gと、土264.25g(乾燥土175gと水89.25g)と、蒸留水37.8gを混合してポリエチレン製ボトルに仕込み、密栓した。この条件は、乾燥土175gの最大容水量の211.75gに対して、含まれる水が127.05gであることから、水分率60%である。該ボトルを25℃のインキュベーターに保存し、所定日数毎に抜き取って、土を除いた後に被覆肥料をすりつぶして評価液を得た。溶出率は、すりつぶした被覆肥料から抽出して得られた液に含まれるアンモニア態窒素と硝酸態窒素の合量を、予め測定しておいた被覆粒状肥料に含まれるアンモニア態窒素と硝酸態窒素の合量で割り返して、期間毎の残存率とし、100%から差し引いて溶出率を算出した。
【0033】
水中溶出、土中溶出の結果から、各々の溶出率が80%に達する期間(日)を算出し、この結果を、各々D80水中、D80土中とした。
(3)評価
各界面活性剤の効果は、下記の評価A(同一添加量による促進効果)、及び評価B(溶出条件による溶出速度差)により判断した。
【0034】
評価A:界面活性剤無添加時のD80水中の数値を、界面活性剤を被膜当たり1重量%添加したときのD80水中の数値で除した数値。数値が大きいほど溶出促進効果が大きく、少量でも溶出制御ができる。実用的には、この数値が2.00以上が好ましい。
評価B:D80土中をD80水中で除した数値。数値が1に近い方が溶出条件による溶出速度差が小さく、乾燥時/雨天時等の天候要因による溶出変動が少ない実用的な被覆粒状肥料となる。実用的には、この数値が1.20以下が好ましい。
【0035】
以下、実施例により本発明の効果を示す。
参考例1、実施例1〜2、比較例1〜3の結果を、表1に記載した。
【0036】
【参考例1】
(1)被膜原料溶液の調合
樹脂Aを50g、樹脂Bを50g秤量した後、4kgのテトラクロロエチレンに投入し、テトラクロロエチレンを沸騰させて、樹脂Aと樹脂Bをテトラクロロエチレンに完全に溶解させた。次いで、攪拌しながらタルクを100g添加し、被膜原料溶液を作成した。
(2)被覆粒状肥料の製造
粒状肥料2,500gを噴流型被覆装置に仕込み、110℃の熱風を150Nm3/時間の風量で送風しながら、被膜原料溶液を全量スプレーし、10分間で被膜を形成させた。被膜形成時のベッド温度は65℃に保持し、被膜原料溶液の供給終了後は、熱風から20℃の冷風に切り替え、ベッド温度が40℃となったところで、被覆粒状肥料を取り出した。得られた被覆粒状肥料は2,700gであり、供給した被膜原料が全量被覆されていることを確認した。
(3)被覆粒状肥料の評価
得られた被覆粒状肥料のD80水中、D80土中は、各々165日、185日であり、評価Bが1.12の被覆粒状肥料が得られた。
【0037】
【実施例1】
樹脂Aを49.5g、樹脂Bを49.5g、界面活性剤として高級第2級アルコールエトキシレート(ソフタノール50;株式会社日本触媒製)を2.0g秤量し、テトラクロロエチレンに溶解させ、攪拌させながらタルクを99g添加した以外は、参考例1と同様な方法で、被覆粒状肥料を得た。得られた被覆肥料は2,700gであり、供給した被膜原料が全量被覆されていることを確認した。
【0038】
上記のソフタノール50は、炭素数12〜14の高級第2級アルコールに酸化エチレンユニットが、平均5ユニット付加したものであり、HLBは10.5である。
得られた被覆粒状肥料のD80水中、D80土中は、各々80日、92日であり、評価Aが2.06、評価Bが1.15の優れた被覆粒状肥料が得られた。
【0039】
【実施例2】
樹脂Aを49.5g、樹脂Bを49.5g、界面活性剤として高級第2級アルコールエトキシレート(ソフタノール70;株式会社日本触媒製)を2.0g秤量し、テトラクロロエチレンに溶解させ、攪拌させながらタルクを99g添加した以外は、参考例1と同様な方法で、被覆粒状肥料を得た。得られた被覆肥料は2,700gであり、供給した被膜原料が全量被覆されていることを確認した。
【0040】
上記のソフタノール70は、炭素数12〜14の高級第2級アルコールに酸化エチレンユニットが、平均7ユニット付加したものであり、HLBは12.1である。
得られた被覆粒状肥料のD80水中、D80土中は、各々76日、87日であり、評価Aが2.17、評価Bが1.14の優れた被覆粒状肥料が得られた。
【0041】
【比較例1】
樹脂Aを49.5g、樹脂Bを49.5g、界面活性剤として高級第1級アルコールエトキシレート(ディスパノールTOC;日本油脂株式会社製)を2.0g秤量し、テトラクロロエチレンに溶解させ、攪拌させながらタルクを99g添加した以外は、参考例1と同様な方法で、被覆粒状肥料を得た。得られた被覆肥料は2,700gであり、供給した被膜原料が全量被覆されていることを確認した。
【0042】
上記のディスパノールTOCは、炭素数13の高級第1級アルコールに酸化エチレンユニットが、平均8.5ユニット付加したものであり、HLBは13.0である。
得られた被覆粒状肥料のD80水中、D80土中は、各々97日、139日であった。実施例1、実施例2より高HLBながらも、評価Aが1.70であり、かつ、評価Bが1.43の溶出速度変動の大きな被覆粒状肥料が得られた。
【0043】
【比較例2】
樹脂Aを49.5g、樹脂Bを49.5g、界面活性剤として高級直鎖脂肪酸エトキシレート(ノニオンS6;日本油脂株式会社製)を2.0g秤量し、テトラクロロエチレンに溶解させ、攪拌させながらタルクを99g添加した以外は、参考例1と同様な方法で、被覆粒状肥料を得た。得られた被覆肥料は2,700gであり、供給した被膜原料が全量被覆されていることを確認した。
【0044】
上記のノニオンS6は、炭素数17の高級直鎖脂肪酸と平均8.5ユニットのエチレングリコールのエステルであり、HLBは13.6である。
得られた被覆粒状肥料のD80水中、D80土中は、各々104日、157日であった。実施例1、実施例2より高HLBながらも、評価Aが1.59であり、かつ、評価Bが1.51の溶出速度変動の大きな被覆粒状肥料が得られた。
【0045】
【比較例3】
樹脂Aを49.5g、樹脂Bを49.5g、界面活性剤としてポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル(ノニオンNS208.5;日本油脂株式会社製)を2.0g秤量し、テトラクロロエチレンに溶解させ、攪拌させながらタルクを99g添加した以外は、参考例1と同様な方法で、被覆粒状肥料を得た。得られた被覆肥料は2,700gであり、供給した被膜原料が全量被覆されていることを確認した。
【0046】
上記のノニオンNS208.5は、自然界で分解しにくいノニルフェノールに酸化エチレンが平均8.5ユニット付加したものであり、HLBは12.6である。
得られた被覆粒状肥料のD80水中、D80土中は、各々78日、98日であった。評価Aでは2.11であったものの、自然界で分解しにくいノニルフェニル構造を持った界面活性剤を含んでおり、かつ、評価Bも1.26であって、実施例1、実施例2より溶出速度変動の大きな被覆粒状肥料が得られた。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、少量の界面活性剤添加でも溶出タイプの制御を行え、また、肥料成分と共に界面活性剤が自然界へ放出しても、その分解が容易であり、かつ、溶出条件による被覆粒状肥料の溶出速度の差が小さい、環境に優しい、実用的な被覆粒状肥料を提供できる。
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