JP2000236227A - 積層型バラン - Google Patents

積層型バラン

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JP2000236227A
JP2000236227A JP11034286A JP3428699A JP2000236227A JP 2000236227 A JP2000236227 A JP 2000236227A JP 11034286 A JP11034286 A JP 11034286A JP 3428699 A JP3428699 A JP 3428699A JP 2000236227 A JP2000236227 A JP 2000236227A
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JP
Japan
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coil
capacitor
balun
terminal
pattern
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JP11034286A
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English (en)
Inventor
Susumu Wakamatsu
進 若松
Toshikatsu Takada
俊克 高田
Daisuke Nakada
大介 中田
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い周波数帯域において安定した動作が可能
な積層型バランを提供する。 【解決手段】 積層型バラン20では、コンデンサC1
のキャパシタンスは、コンデンサC2のキャパシタンス
よりも小さく設定し、コイルL2のインダクタンスは、
コイルL1のインダクタンスよりも小さく設定する。こ
れにより、コンデンサC1、コイルL2はそれぞれ他端
をアースに接続していることによる影響、即ちコンデン
サC1の周囲に発生する寄生容量等によってコンデンサ
C1として作用するキャパシタンス成分を増加させ、ま
たコイルL2の周囲に発生する寄生容量等によってアー
ス側への入力信号の漏洩を誘発する影響等を見込んで低
域通過フィルタと高域通過フィルタを構成することがで
きる。またベタアースの形成されたパターン36aによ
ってそのパターン36a側から受ける電磁波等を直接パ
ターン36aを介してアースに逃がすことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型バランに関
し、例えば携帯電話機、簡易型携帯電話機、無線呼出装
置等の無線通信機器やトランシーバ等の無線機に回路部
品として用いられる積層型バランに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、無線通信機器等の電子回路部
品として用いられる積層型バランでは、図12(A) 、図
12(B) に示すような電磁結合形と呼ばれるものが多
く、図12(A) では1次コイルL91と2次コイルL9
2とを、また図12(B) では1次コイルL93、L95
と2次コイルL94、L96とをそれぞれ電磁気的に結
合させたトランスによる集中定数回路からなるものが一
般に知られている。ここで、「バラン」とは、伝送線路
中の不平衡電流を阻止することにより、平衡線路と不平
衡線路を交流的に接続し整合させる回路のことであり、
バランス・アンバランスの略称として「バルン」と呼ば
れることもある。
【0003】ところで、携帯電話機等を代表とする種々
の携帯型無線通信機器が一般大衆に普及しつつある近年
においては、携帯時の重量感や違和感を解消するために
小型軽量化を重点においた携帯性の向上や、また相手方
に伝わる音声をより明瞭にするためにさらなる通話品質
の向上を目指した製品開発が活発に行われている。ま
た、無線通信の周波数は、世界各国あるいは各地域ごと
に異なる周波数帯域が割り当てられているため、例えば
携帯電話機用途の電子部品にあっては、国内仕様に加え
て米国仕様(PCS)や欧州仕様(DCS)をもカバー
可能な周波数帯域の広いもの、延いては可能な限り広帯
域なもののが望まれている。
【0004】そのような背景のなかで、無線通信機器等
の電子部品として用いられるバランに目を向けると、従
来の電磁結合形によるバランでは、フェライト等の磁性
体コアにコイルを巻回する場合は言うに及ばず、多層基
板の各層に配線パターンとしてコイルを形成する積層型
バランであっても集中定数としてコイル状のインダクタ
ンスを形成する以上、その小型化は困難を極めるもので
ある。特に1.8GHz帯の積層型バランにおいては、そ
の平面形状を2.00mm×1.25mmの矩形状(以下
「2012タイプ」という。)に収めるためには、数十
μオーダの配線幅によらなければインダクタをパターン
化することができないと考えられている。
【0005】そこで、特開平10−200360号公報
に開示される「積層バルントランス」では、図12(C)
に示すような位相変換形バランによるものが提案されて
いる。これはコイルL97およびコンデンサC91から
なる低域通過フィルタ(以下「LPF」という。)と、
コイルL98およびコンデンサC92からなる高域通過
フィルタ(以下「HPF」という。)とを組合わせた構
成を採るものである。この位相変換形によるバランは、
電磁結合形によるバランに較べて、変換入出力が電気的
に接続されていることなどから、挿入損失も少なく、ま
た平衡不平衡変換と同時に入出力インピーダンスの整合
をもとることが可能な回路であることが古くから知られ
ている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】しかしながら、特開平10−200360
号公報に開示される「積層バルントランス」の構成によ
ると、当該積層バルントランス相当のものを本願発明者
らにより1.8GHz仕様に置き換えて回路シュミレーシ
ョンし、図13に示すような挿入損失特性および位相特
性(同図(A)、(B))を得た結果、1.5GHz〜1.6G
Hzにおいて挿入損失が谷状に増大する周波数帯域が確認
された。これにより、少なくともこの帯域においては安
定した動作を望めないため、当該積層バルントランス相
当のものでは、1.8GHzを中心に±0.2GHz(1.
6GHz〜2.0GHz)程度の周波数帯域しかもたないこ
とがわかった。そのため、この積層バルントランスで
は、前述したような広い周波数帯域をカバーすることが
困難であるということが判明した。なお、図13の(A)
には、シュミレーション回路の都合上、1.8GHzを中
心周波数とした積層型バランの2素子分の挿入損失を示
すものであるため、積層型バラン1素子当たりの挿入損
失は縦軸から読み取れる数値を1/2にした値であるこ
とに注意されたい。
【0007】また、前記公報に開示される「積層バルン
トランス」によると、積層体の最外層(誘電体シート)
には、何等、アースパターン、特に誘電体シートのほぼ
全面に形成されるアースパターン(以下「ベタアース」
という。)が形成されていない。そのため、当該積層バ
ルントランスは、その実装される回路基板側の回路パタ
ーン等による高周波的な悪影響を受け易い構成になって
いると考えられる。そこで、当該積層バルントランスの
実装面側にあたる最外層にベタアースを設けたもの、即
ち前述した1.8GHz仕様にした当該積層バルントラン
ス相当のものの実装面側最外層にベタアースを追加した
ものを、本願発明者らにより回路シュミレーションした
結果、図14に示すような挿入損失特性および位相特性
(同図(A)、(B) )を得た。
【0008】ところが、図14に示すように、このシュ
ミレーション結果から実装される回路パターンの影響を
受け難くするために設けたベターアースによって、却っ
て伝送特性を悪化させるということを確認するに至っ
た。つまり、高周波回路の動作の安定化を図るためにベ
タアースの如く、アースパターンを極力広く確保すると
いう高周波技術者の一般的な要望に応えると、さらに
1.4GHz〜1.5GHzにおける挿入損失を悪化させる
ことになるため、前述したように限られた特定の周波数
帯域(1.6GHz〜2.0GHz程度)においては安定し
た動作を確保できても、広帯域化には適当ではないこと
が判明した。
【0009】本発明は、上述した課題を解決するために
なされたものであり、その目的とするところは、広い周
波数帯域において安定した動作が可能な積層型バランを
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の積層型バランでは、一端を不平衡端子に
接続し、他端を第1の平衡端子に接続するコイルL1、
および、一端をこの第1の平衡端子に接続し、他端をア
ース端子に接続するコンデンサC1から構成される低域
通過フィルタと、一端を前記不平衡端子に接続し、他端
を第2の平衡端子に接続するコンデンサC2、および、
一端をこの第2の平衡端子に接続し、他端をアース端子
に接続するコイルL2から構成される高域通過フィルタ
と、をガラスセラミックからなる多層基板に形成する積
層型バランであって、ほぼ全面にアースパターンの形成
された層を前記多層基板の少なくとも一端側に形成する
とともに、前記コンデンサC1のキャパシタンスは前記
コンデンサC2よりも小さく設定し、前記コイルL2の
インダクタンスは前記コイルL1よりも小さく設定する
ことを技術的特徴とする。
【0011】また、請求項2の積層型バランでは、請求
項1において、前記コンデンサC1およびC2は、一の
同一層に形成され、前記コイルL1およびL2は、他の
同一層に形成されることを技術的特徴とする。
【0012】なお、請求項1または2に記載された積層
型バランにおいて、前記コンデンサC1のキャパシタン
スと前記コンデンサC2のキャパシタンスの比率は、
0.44≦C1/C2≦0.90に設定し、前記コイル
L2のインダクタンスと前記コイルL1のインダクタン
スの比率は、0.84≦L2/L1≦0.98に設定す
ることが望ましい。
【0013】請求項1の発明では、低域通過フィルタを
構成するコイルL1の一端は不平衡端子に、他端は第1
の平衡端子にそれぞれ接続され、またコンデンサC1の
一端は第1の平衡端子に、他端はアース端子にそれぞれ
接続される。高域通過フィルタを構成するコンデンサC
2の一端は不平衡端子に、他端は第2の平衡端子にそれ
ぞれ接続され、またコイルL2の一端は第2の平衡端子
に、他端はアース端子にそれぞれ接続される。これによ
り、例えば不平衡端子に入力された不平衡信号は低域通
過フィルタによって位相が90度遅れて第1の平衡端子
に伝送されるとともに、高域通過フィルタによって位相
が90度進んで第2の平衡端子に伝送されるため、不平
衡端子に入力された信号と較べると、第1、第2の平衡
端子間には180度位相が異なる平衡信号が得られる。
反対に第1、第2の平衡端子に入力された平衡信号は低
域通過フィルタによって位相が90度遅れて不平衡端子
に伝送されるとともに、高域通過フィルタによって位相
が90度進んで不平衡端子に伝送されるため、不平衡端
子とアース端子との間には不平衡信号が得られる。ま
た、これらの低域通過フィルタおよび高域通過フィルタ
は、ガラスセラミックからなる多層基板に形成され、こ
の多層基板の少なくとも一端側にはほぼ全面にアースパ
ターンの形成された層が形成される。これにより、コン
デンサC1、C2やコイルL1、L2の積層状態等を製
造時に調整することによって、それらのキャパシタンス
やインダクタンスの誤差を容易に管理することができ、
またアースパターンの形成された層によってそのアース
パターン層側から受ける高周波的な影響を抑制すること
ができる。さらに、コンデンサC1のキャパシタンス
は、コンデンサC2のキャパシタンスよりも小さく設定
し、コイルL2のインダクタンスは、コイルL1のイン
ダクタンスよりも小さく設定する。これにより、コンデ
ンサC1、コイルL2はそれぞれ他端をアースに接続し
ていることによる影響、即ちコンデンサC1の周囲に発
生する寄生容量等によってコンデンサC1として作用す
るキャパシタンス成分を増加させ、またコイルL2の周
囲に発生する寄生容量等によってアース側への入力信号
の漏洩を誘発する影響等を見込んで低域通過フィルタと
高域通過フィルタを構成することができる。
【0014】請求項2の発明では、コンデンサC1およ
びC2は、一の同一層に形成され、コイルL1およびL
2は、他の同一層に形成されることから、たとえコンデ
ンサC1、C2、やコイルL1、L2を形成するガラス
セラミック材料等の成分に変動があっても双方のコンデ
ンサC1、C2またはコイルL1、L2が一対となって
その変動による影響を受ける。これにより、コンデンサ
C1、C2間またはコイルL1、L2間のばらつきを抑
制することができる。
【0015】なお、請求項1または2に記載された積層
型バランにおいて望ましくは、前記コンデンサC1のキ
ャパシタンスと前記コンデンサC2のキャパシタンスの
比率は、0.44≦C1/C2≦0.90に設定し、前
記コイルL2のインダクタンスと前記コイルL1のイン
ダクタンスの比率は、0.84≦L2/L1≦0.98
に設定することにより、1.8GHz帯を中心とした周波
数にあっては、コンデンサC1の周囲に発生する寄生容
量等によってコンデンサC1として作用するキャパシタ
ンス成分の増加分を適度に見込み、またコイルL2の周
囲に発生する寄生容量等によってアース側への入力信号
の漏洩を誘発する影響等を適度に見込んで低域通過フィ
ルタと高域通過フィルタを構成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の積層型バランを携
帯電話機に適用した一実施形態について図1〜図11を
参照して説明する。まず、積層型バラン20を適用した
携帯電話機の構成を図2に基づいて説明する。図2に示
す携帯電話機は、無線周波数に1.8GHz帯を使用し、
その無線部は、主に、送信部50、受信部60、デュプ
レクサ70、アンテナ80等から構成される。なお、図
2には示さないが、携帯電話機はこの無線部の他に、マ
イクロコンピュータを中心としたディジタル回路により
構成される制御部や、二次電池、電源回路等から構成さ
れる電源部等を有する。
【0017】送信部50は、無線送信周波数(1.8G
Hz帯)の高周波を発生可能な電圧制御型発振器(以下
「送信用VCO」という。)52、この送信用VCO5
2から発生した高周波と変調器等から入力された源信号
と混合し出力するミキサ54、このミキサ出力から不要
な周波成分を除去する帯域除去フィルタ(以下「BP
F」という。)56、このBPF56の出力を電力増幅
する送信アンプ58、および、入出力を平衡線路とする
ミキサ54に対し平衡・不平衡の入出力変換を行う積層
型バラン20から構成される。送信部50から出力され
た高周波信号は、デュプレクサ70を介してアンテナ8
0側に振り分けられアンテナ80から空間に放射され
る。
【0018】一方、受信部60は、アンテナ80により
受信した高周波信号をデュプレクサ70を介して取り込
み増幅する受信アンプ62、この受信アンプ62の出力
から不要な周波数成分を除去するBPF64、無線受信
周波数(1.8GHz帯)より所定周波数だけシフトした
高周波を発生可能な電圧制御型発振器(以下「受信用V
CO」という。)66、この受信用VCO66から発生
した高周波とBPF64の出力を混合し所定周波数の信
号波を復調器に出力するミキサ68、および、入出力を
平衡線路とするミキサ68に対し平衡・不平衡の入出力
変換を行う積層型バラン20から構成される。受信部6
0によって所定周波数に変換された信号波は、復調器等
に入力されて音声帯域信号、ディジタル信号等に復調さ
れる。
【0019】次に積層型バラン20の構成を図1、図3
〜図5に基づいて説明する。図1に示すように、積層型
バラン20は、電気的には、不平衡端子P1と平衡端子
P2との間に接続されるコイルL1と、平衡端子P2と
アース端子Gとの間に接続されるコンデンサC1と、不
平衡端子P1と平衡端子P3との間に接続されるコンデ
ンサC2と、平衡端子P3とアース端子Gとの間に接続
されるコイルL2と、から構成される。つまり、不平衡
端子P1と平衡端子P2と間にLPF21を、また不平
衡端子P1と平衡端子P3との間にHPF23を介在さ
せるように積層型バラン20が構成される。そして、L
PF21のコイルL1とHPFのコイルL2を同じ値に
設定し、またLPF21のコンデンサC1とHPF23
のコンデンサC2を同じ値に設定することによって、L
PF21により位相を90度遅らせ、HPF23により
位相を90度進めている。これにより、不平衡端子P1
と平衡端子P2、P3との間では、総合的に180度位
相がずれるため、このような構成を採るバランは位相変
換形とも呼ばれる。また、平衡端子P2、P3の中点が
アース端子G(零電位)に接続されるため、次の式
(1)および式(2)の関係においてインピーダンス整
合をとることもできる。
【0020】 (2πf)2 LC = 1 ・・・ (1) Zu ・Zb = L/C ・・・ (2)
【0021】なお、この式(1)、(2)において、f
は積層型バラン20の動作周波数(Hz)、LはコイルL
1、L2のインダクタンス値(H)、CはコンデンサC
1、C2のキャパシタンス値(F)、Zu は不平衡端子
P1、アース端子間のインピーダンス(Ω)、Zb は平
衡端子P2、平衡端子P3間のインピーダンス(Ω)を
それぞれ示す(括弧内は各単位を示す)。
【0022】図3に示すように、積層型バラン20は、
構造的には、例えばガラスセラミック(誘電率εr=
7.9、tanδ=4.8×10-3からなる2012タイ
プの基板22、24、26、28、30、32、34、
36に厚膜印刷により銀ペースト等を印刷してパターン
(最小線幅0.1mm)を形成し、層数8、高さ1.0mm
程度に積層して構成され、各基板の側辺には所定の端子
となる切り欠き部を形成している。つまり、図3および
図4に示すように、基板22、24、26、28、3
0、32、34、36を積層したとき、各基板の切り欠
き部が積層方向に一致することで積層方向に延びる溝部
を構成し、この溝部に銀ペーストを印刷する(図3に示
す格子状ハッチング箇所)ことによって不平衡端子20
b、平衡端子20d、20f、およびアース端子20
a、20c、20eを形成する。なお、基板22、2
4、26、28、30、32、34、36は、ガラスセ
ラミック以外のセラミック素材でも良い。
【0023】図4に示すように、積層型バラン20を構
成する基板は、実装面側から順にベタアースのパターン
36aを形成する基板36が位置し、その上にコイルL
1およびL2のパターンを形成する基板34、32、3
0、28、さらにコンデンサC1およびC2を形成する
基板26、24がそれぞれ位置し、最上層に基板22が
位置する。つまり、図5に示すように、コンデンサC1
は、基板24に形成されるパターン24aと基板26に
形成されるパターン26aとによって誘電体としての基
板24を挟んで構成され、またコンデンサC2は、基板
24に形成されるパターン24bと基板26に形成され
るパターン26bとによって誘電体としての基板24を
挟んで構成される。一方、コイルL1は、基板28に形
成されるパターン28a、基板30に形成されるパター
ン30a、基板32に形成されるパターン32aおよび
基板34に形成されるパターン34aをバイアホール2
8c、30c、30e、32c、32e、34cにより
積層方向に接続して構成され、またコイルL2は、基板
28に形成されるパターン28b、基板30に形成され
るパターン30b、基板32に形成されるパターン32
bおよび基板34に形成されるパターン34bをバイア
ホール28d、30d、30f、32d、32f、34
d(図4および図5に示す黒丸)により積層方向に接続
して構成される(図4に示す黒丸をつなぐ破線)。
【0024】なお、コンデンサC1の端子はパターン2
4aおよびパターン26aにそれぞれ延設されるアース
端子20aおよび平衡端子20dに接続され、コンデン
サC2の端子はパターン24bおよびパターン26bに
それぞれ延設される不平衡端子20bおよび平衡端子2
0fに接続される。また、コイルL1の端子はパターン
28aおよびパターン34aにそれぞれ延設される不平
衡端子20bおよび平衡端子20dに接続され、コイル
L2はパターン28bおよびパターン34bにそれぞれ
延設されるアース端子20eおよび平衡端子20fに接
続される。
【0025】これにより、図1に示す不平衡端子P1が
不平衡端子20bに、また平衡端子P2が平衡端子20
dに、さらに平衡端子P3が平衡端子20fにそれぞれ
対応し、そして図1に示すアース端子Gがアース端子2
0a、20c、20eにそれぞれ対応するため、位相変
換形のバラン回路が構成される。また、このようにコン
デンサC1、C2、コイルL1、L2を積層して形成す
ることによって、それぞれの値を高精度に作り込むこと
ができる。さらに、実装面側にベタアースのパターン3
6aを形成することによってそのパターン36a側、即
ち実装面側から受ける高周波的な影響、例えば電磁波な
どを直接パターン36aを介してアースに逃がすことが
できる。
【0026】ここで、積層型バラン20を構成するコン
デンサC1、C2およびコイルL1、L2の形成層につ
いて着目すると、コンデンサC1、C2およびコイルL
1、L2のいずれもそれぞれ同一層に形成されているこ
とがわかる。つまり、コンデンサC1、C2は基板24
および基板26によって一の同一層に形成され、またコ
イルL1、L2は基板28、基板30、基板32および
基板34によって他の同一層に形成されている。このよ
うに同一層でコンデンサC1、C2およびコイルL1、
L2を形成することにより、コンデンサC1、C2、や
コイルL1、L2を形成するガラスセラミック材料等の
成分に変動があっても双方のコンデンサC1、C2また
はコイルL1、L2が一対となってその変動による影響
を受けることから、コンデンサC1、C2間またはコイ
ルL1、L2間のばらつきを抑制することができる。し
たがって、コンデンサC1およびコイルL1から構成さ
れるLPF21の伝送特性と、コンデンサC2およびコ
イルL2から構成されるHPF23の伝送特性とを双方
揃えることができるため、良品の歩留まりを向上するこ
とができる。
【0027】また、コンデンサC1を構成するパターン
24aおよびパターン26aと、コンデンサC2を構成
するパターン24bおよびパターン26bとを比較する
と、パターン面積の大小関係がコンデンサC1<コンデ
ンサC2になっていることが図5に示すW1 <W2 の関
係からわかる。コンデンサは両極板間に蓄えられる電荷
量が多いほどキャパシタンスが大きくなることから、極
板間に位置する誘電体が同一材質かつ同一厚からなるも
のであれば、極板面積の広い方がより多くの電荷を蓄積
可能であるため、コンデンサC1とコンデンサC2の関
係からコンデンサC2の方がコンデンサC1よりも大き
なキャパシタンスを有することが理解される。つまり、
コンデンサC1のキャパシタンスは、コンデンサC2の
それよりも小さく設定されている。
【0028】このようにコンデンサC1、C2のキャパ
シタンスを等しく設定せず、大小関係をもたせたのは、
コンデンサC1の一方の電極板であるパターン24a側
はアース端子20aに接続されるところ、コンデンサC
1の他方の電極板であるパターン26a以外にもアース
(パターン36a等)に対する寄生容量等(例えば基板
34に形成されるパターン34aとパターン36aの間
に形成される静電容量成分)がコンデンサC1の極板間
容量に並列接続の関係に働くため、これらの並列に接続
される寄生容量等を考慮するためである。
【0029】さらに、コイルL1を構成するパターンの
うち基板32のパターン32aと、コイルL2を構成す
るパターンのうち基板32のパターン32bとを比較す
ると、パターン全長の長短関係がコイルL1<コイルL
2になっていることも図5からわかる。コイルはその線
長が長いほどインダクタンスが大きくなることから、基
板28から各バイアホールを介して基板30、基板3
2、基板34までに形成されるパターン全長が長い方が
より多くの誘導可能であるため、コイルL1とコイルL
2の関係からコイルL1の方がコイルL2よりも大きな
インダクタンスを有することが理解される。つまり、コ
イルL2のインダクタンスは、コイルL1のそれよりも
小さく設定されている。
【0030】このようにコイルL1、L2のインダクタ
ンスを等しく設定せず、大小関係をもたせたのは、コイ
ルL2の一端であるパターン28b側はアース端子20
eに接続されるところ、コイルL2の周囲に発生する寄
生容量等によってアース(パターン36a等)側への入
力信号の漏洩を誘発することを考慮するためである。
【0031】次に、コンデンサC1、C2のキャパシタ
ンスおよびコイルL1、L2のインダクタンスを上述し
たようにC1<C2、L1>L2の関係を設定した積層
型バラン20等のシュミレーション結果を図6〜図11
に基づいて説明する。なお、図6〜図11の(A) には、
シュミレーション回路の都合上、1.8GHzを中心周波
数とした積層型バランの2素子分の挿入損失を示すもの
である。したがって、図6〜図11の(A) の挿入損失は
2素子分を示すため、積層型バラン1素子当たりの挿入
損失は縦軸から読み取れる数値を1/2にした値である
ことに注意されたい。また、図6〜図11の(B) には、
1.8GHzを中心周波数とした積層型バランの不平衡−
平衡端子間の位相差を示す。
【0032】図6に示すシュミレーション結果は、コン
デンサC1、C2の関係をC1/C2=0.623、ま
たコイルL1、L2の関係をL2/L1=0.878に
設定した場合のものである。このシュミレーション結果
によると、中心周波数1.8GHzにおいて、積層型バラ
ン1素子当たりの挿入損失は0.76/2=0.38dB
であり、不平衡−平衡端子間の位相差は179度である
ことが図6(A) 、(B)から読み取れる。この特性は、前
述した電磁結合形による積層型バランの特性(挿入損失
1dB以上、180度に対する位相誤差は±15度以上)
よりも優れていることがわかる。特に、挿入損失におい
ては谷状に損失の増大する部分がなく、「への字状」の
カーブを描いていることがわかり、また1.55GHz〜
2.27GHz程度の周波数帯域をもつことがわかる。
【0033】また、図7に示すシュミレーション結果
は、コンデンサC1、C2の関係をC1/C2=0.8
90、またコイルL1、L2の関係をL2/L1=0.
970に設定した場合のもので、C1/C2およびL2
/L1の設定範囲の上限値に相当するものである。この
シュミレーション結果によると、中心周波数1.8GHz
において、積層型バラン1素子当たりの挿入損失は0.
56/2=0.28dBであり、不平衡−平衡端子間の位
相差は179度であることが図7(A) 、(B) から読み取
れ、この上限値においても前述の電磁結合形による積層
型バランの特性よりも優れていることが確認できる。こ
の上限については、挿入損失において谷状に損失の増大
する部分があるが、そのピークは1素子当たり1dB以下
に抑えられていることがわかる。また1.41GHz〜
2.10GHz程度の周波数帯域をもつこともわかる。
【0034】さらに、図8に示すシュミレーション結果
は、コンデンサC1、C2の関係をC1/C2=0.4
45、またコイルL1、L2の関係をL2/L1=0.
845に設定した場合のもので、C1/C2およびL2
/L1の設定範囲の下限に相当するものである。このシ
ュミレーション結果によると、中心周波数1.8GHzに
おいて、積層型バラン1素子当たりの挿入損失は1.2
1/2=0.605dBであり、不平衡−平衡端子間の位
相差は178度であることが図8(A) 、(B) から読み取
れ、こちらの下限値においても前述の電磁結合形による
積層型バランの特性よりも優れていることが確認でき
る。この下限については、挿入損失において谷状に損失
の増大する部分があるが、そのピークは1素子当たり1
dB以下に抑えられていることがわかる。また1.62G
Hz〜2.42GHz程度の周波数帯域をもつこともわか
る。
【0035】一方、図9に示すシュミレーション結果に
よる第1比較例は、コンデンサC1、C2の関係をC1
/C2=0.906、またコイルL1、L2の関係をL
2/L1=0.983に設定した場合のものである。こ
の第1比較例によると、周波数1.67GHz付近におい
て谷状に挿入損失が増大する部分があり、積層型バラン
1素子当たりの挿入損失の最大値は2.30/2=1.
15dBであること、および不平衡−平衡端子間の位相差
は178度であることが図9(A) 、(B) から読み取れ
る。この特性は、前述の電磁結合形による積層型バラン
の特性よりも挿入損失について劣るため、かかるコンデ
ンサC1、C2の関係およびコイルL1、L2の関係は
挿入損失の特性上望ましいものではなく、両者の大小関
係の上限を超えたものと考えられる。
【0036】他方、図10に示すシュミレーション結果
による第2比較例は、コンデンサC1、C2の関係をC
1/C2=0.434、またコイルL1、L2の関係を
L2/L1=0.837に設定した場合のものである。
この第2比較例によると、周波数1.96GHzにおいて
谷状に挿入損失が増大する部分があり、積層型バラン1
素子当たりの挿入損失は2.20/2=1.10dBであ
ること、および不平衡−平衡端子間の位相差は180度
であることが図10(A) 、(B) から読み取れる。この特
性も、前述の電磁結合形による積層型バランの特性より
も挿入損失について劣るため、かかるコンデンサC1、
C2の関係およびコイルL1、L2の関係は挿入損失の
特性上望ましいものではなく、両者の大小関係の下限を
超えたものと考えられる。
【0037】なお、図11に示すシュミレーション結果
による第3比較例は、確認のために行ったものであり、
コンデンサC1、C2の関係をC1/C2=1.00
0、またコイルL1、L2の関係をL2/L1=1.0
00、即ちC1=C2、L1=L2に設定した場合のも
のである。この第3比較例によると、周波数1.53G
Hzにおいて深い谷状に挿入損失が増大する部分があり、
積層型バラン1素子当たりの挿入損失は6.10/2=
3.05dBであること、また挿入損失を示すカーブ全体
の傾きが前述した他のものに較べ大きいこと、不平衡−
平衡端子間の位相差は179度であることが図11(A)
、(B) から読み取れる。つまり、この第3比較例は、
前述したように、コンデンサC1の周囲に発生する寄生
容量等がコンデンサC1として働くキャパシタンス成分
を増加させ、またコイルL2の周囲に発生する寄生容量
等がアース側への入力信号の漏洩を誘発している現象を
示している。
【0038】以上のシュミレーション結果から、コンデ
ンサC1、C2のキャパシタンス値の大小関係を0.4
4≦C1/C2≦0.90に、またコイルL1、L2の
インダクタンス値の大小関係を0.84≦L2/L1≦
0.98にそれぞれ設定する場合が望ましいものと考察
される。これにより、前述した電磁結合形による積層型
バランの特性(挿入損失1dB以上、180度に対する位
相誤差は±15度以上)よりも、さらに優れた積層型バ
ラン20を実現し得る。また、図6〜図8に示すよう
に、いずれも0.75GHz前後の周波数帯域を確保する
ことができるため、前述した積層バルントランス相当の
ものによる1.8GHzを中心とした±0.2GHz(1.
6GHz〜2.0GHz)程度の周波数帯域よりも、広い周
波数帯域において安定した動作が期待できる。
【0039】以上説明したように、本実施形態の積層型
バラン20によると、不平衡端子20bに入力された信
号はLPF21よって位相が90度遅れて平衡端子20
dに伝送されるとともに、HPF23によって位相が9
0度進んで平衡端子20fに伝送されるため、不平衡端
子20bに入力された信号と較べると、平衡端子20
d、20f間には180度位相が異なる信号が得られ
る。また、これらのコンデンサC1、C2はガラスセラ
ミックからなる基板24、26に、コイルL1、L2は
ガラスセラミックからなる基板28、30、32、34
にそれぞれ形成される。これにより、位相変換形のバラ
ン回路が構成される。またコンデンサC1、C2やコイ
ルL1、L2の積層状態等を製造時に調整することで、
それらのキャパシタンスやインダクタンスの誤差を容易
に管理することができ、さらにベタアースの形成された
パターン36aによってそのパターン36a側、即ち実
装面側から受ける高周波的な影響、例えば電磁波などを
直接パターン36aを介してアースに逃がすことができ
る。したがって、コンデンサC1、C2およびコイルL
1、L2をそれぞれ高精度な値に作り込み得るバラン回
路が構成され、また実装面側に形成されたベタアースの
パターン36aよって回路動作を安定化にし得る効果が
ある。
【0040】また、本実施形態の積層型バラン20によ
ると、コンデンサC1、C2は基板24および基板26
によって一の同一層に形成され、またコイルL1、L2
は基板28、基板30、基板32および基板34によっ
て他の同一層に形成されている。このように同一層でコ
ンデンサC1、C2およびコイルL1、L2を形成する
ことにより、コンデンサC1、C2、やコイルL1、L
2を形成するガラスセラミック材料等の成分に変動があ
っても双方のコンデンサC1、C2またはコイルL1、
L2が一対となってその変動による影響を受けることか
ら、コンデンサC1、C2間またはコイルL1、L2間
のばらつきを抑制することができる。したがって、コン
デンサC1、コイルL1から構成されるLPF21の伝
送特性と、コンデンサC2、コイルL2から構成される
HPF23の伝送特性とを双方容易に揃えることができ
るため、広い周波数帯域において安定した動作が可能な
良品の歩留まりを向上し得る効果がある。
【0041】さらに、本実施形態の積層型バラン20に
よると、コンデンサC1のキャパシタンスは、コンデン
サC2のキャパシタンスよりも小さく(具体的には0.
44≦C1/C2≦0.90)、コイルL2のインダク
タンスは、コイルL1のインダクタンスよりも小さい
(具体的には0.84≦L2/L1≦0.98)ことか
ら、1.8GHzにおいて、アースパターンに対する寄生
容量等がコンデンサC1の極板間容量に並列接続の関係
に働く影響、および、コイルL2の周囲に発生する寄生
容量等によってアースパターン側への入力信号の漏洩を
誘発する影響等を見込んでLPF21とHPF23を構
成することができる。したがって、これらの寄生容量等
がLPF21およびHPF23に与える影響を適正に抑
制できるため、1.8GHz帯において、伝送特性上の挿
入損失を1dB以下、位相差を180度±10度に抑え得
る効果があり、また、0.75GHz前後の周波数帯域を
確保することができるため、前述した従来の積層バルン
トランス相当のものに較べて広い周波数帯域において安
定した動作が期待できる。
【0042】
【発明の効果】請求項1の発明では、不平衡端子に入力
された信号は低域通過フィルタによって位相が90度遅
れて第1の平衡端子に伝送されるとともに、高域通過フ
ィルタによって位相が90度進んで第2の平衡端子に伝
送されるため、不平衡端子に入力された信号と較べる
と、第1、第2の平衡端子間には180度位相が異なる
信号が得られる。反対に第1、第2の平衡端子に入力さ
れた平衡信号は低域通過フィルタによって位相が90度
遅れて不平衡端子に伝送されるとともに、高域通過フィ
ルタによって位相が90度進んで不平衡端子に伝送され
るため、不平衡端子とアース端子との間には不平衡信号
が得られる。これにより、平衡線路と不平衡伝送線路を
交流的に接続し整合させることができるため、位相変換
形のバラン回路が構成できる。また、これらの低域通過
フィルタおよび高域通過フィルタは、ガラスセラミック
からなる多層基板に形成され、この多層基板の少なくと
も一端側にはほぼ全面にアースパターンの形成された層
が形成される。これにより、コンデンサC1、C2やコ
イルL1、L2の積層状態等を製造時に調整することに
よって、それらのキャパシタンスやインダクタンスの誤
差を容易に管理することができ、またアースパターンの
形成された層によってそのアースパターン層側から受け
る高周波的な影響を抑制することができる。したがっ
て、コンデンサC1、C2およびコイルL1、L2をそ
れぞれ高精度な値に作り込み得る位相変換形のバラン回
路が構成され、また少なくとも一端側に形成されたアー
スパターンによって回路動作を安定化にし得る効果があ
る。さらに、コンデンサC1のキャパシタンスは、コン
デンサC2のキャパシタンスよりも小さく設定し、コイ
ルL2のインダクタンスは、コイルL1のインダクタン
スよりも小さく設定する。これにより、コンデンサC
1、コイルL2はそれぞれ他端をアースに接続している
ことによる影響、即ちコンデンサC1の周囲に発生する
寄生容量等によってコンデンサC1として作用するキャ
パシタンス成分を増加させ、またコイルL2の周囲に発
生する寄生容量等によってアース側への入力信号の漏洩
を誘発する影響等を見込んで低域通過フィルタと高域通
過フィルタを構成することができる。したがって、これ
らの寄生容量等が低域通過フィルタおよび高域通過フィ
ルタに与える影響を抑制できるため、伝送特性からみた
谷状の挿入損失の増大傾向を抑制し得る効果がある。以
上から、広い周波数帯域において安定した動作が可能な
積層型バランを実現し得る効果がある。
【0043】請求項2の発明では、コンデンサC1およ
びC2は、一の同一層に形成され、コイルL1およびL
2は、他の同一層に形成されることから、たとえコンデ
ンサC1、C2、やコイルL1、L2を形成するガラス
セラミック材料等の成分に変動があっても双方のコンデ
ンサC1、C2またはコイルL1、L2が一対となって
その変動による影響を受ける。これにより、コンデンサ
C1、C2間またはコイルL1、L2間のばらつきを抑
制することができる。したがって、コンデンサC1、コ
イルL1から構成される低域通過フィルタの伝送特性
と、コンデンサC2、コイルL2から構成される高域通
過フィルタの伝送特性とを双方容易に揃えることができ
るため、広い周波数帯域において安定した動作が可能な
積層型バランの歩留まりを向上し得る効果がある。
【0044】なお、請求項1または2に記載された積層
型バランにおいて望ましくは、前記コンデンサC1のキ
ャパシタンスと前記コンデンサC2のキャパシタンスの
比率は、0.44≦C1/C2≦0.90に設定し、前
記コイルL2のインダクタンスと前記コイルL1のイン
ダクタンスの比率は、0.84≦L2/L1≦0.98
に設定することにより、1.8GHz帯を中心とした周波
数にあっては、コンデンサC1の周囲に発生する寄生容
量等によってコンデンサC1として作用するキャパシタ
ンス成分の増加分を適度に見込み、またコイルL2の周
囲に発生する寄生容量等によってアース側への入力信号
の漏洩を誘発する影響等を適度に見込んで低域通過フィ
ルタと高域通過フィルタを構成することができる。した
がって、これらの寄生容量等が低域通過フィルタおよび
高域通過フィルタに与える影響を好適に抑制できるた
め、1.8GHz帯において、伝送特性上の挿入損失を1
dB以下、位相差を180度±10度に抑え得る効果があ
る。また、図6〜図8に示すように、いずれも0.75
GHz前後の周波数帯域を確保することができるため、前
述した積層バルントランス相当のもの(図13参照)に
よる1.8GHzを中心とした±0.2GHz(1.6GHz
〜2.0GHz)程度の周波数帯域よりも、広い周波数帯
域において安定した動作が可能な積層型バランを実現し
得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る積層型バランの構成
を示す回路図である。
【図2】本実施形態に係る積層型バランを用いる携帯電
話機の回路構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る積層型バランの外観を示す斜
視図である。
【図4】本実施形態に係る積層型バランを構成する多層
基板を各層ごとに展開して示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る積層型バランを構成する多層
基板を各層ごとに展開して示す平面図である。
【図6】本実施形態に係る積層型バラン(C1/C2=
0.623、L2/L1=0.878)の伝送特性を示
す特性図で、図6(A) は挿入損失特性を表し、図6(B)
は位相特性を表すものである。
【図7】本実施形態に係る積層型バラン(C1/C2=
0.890、L2/L1=0.970)の伝送特性を示
す特性図で、図7(A) は挿入損失特性を表し、図7(B)
は位相特性を表すものである。
【図8】本実施形態に係る積層型バラン(C1/C2=
0.445、L2/L1=0.845)の伝送特性を示
す特性図で、図8(A) は挿入損失特性を表し、図8(B)
は位相特性を表すものである。
【図9】第1比較例の積層型バラン(C1/C2=0.
906、L2/L1=0.983)の伝送特性を示す特
性図で、図9(A) は挿入損失特性を表し、図9(B) は位
相特性を表すものである。
【図10】第2比較例の積層型バラン(C1/C2=
0.434、L2/L1=0.837)の伝送特性を示
す特性図で、図10(A) は挿入損失特性を表し、図10
(B)は位相特性を表すものである。
【図11】第3比較例の積層型バラン(C1/C2=
1.000、L2/L1=1.000)の伝送特性を示
す特性図で、図11(A) は挿入損失特性を表し、図11
(B)は位相特性を表すものである。
【図12】バランの構成例を示した回路図で、図12
(A) および図12(B) は電磁結合形の回路例を表し、図
12(C) は位相変換形の回路例を表すものである。
【図13】従来の積層型バラン(アースパターンなし)
による伝送特性を示す特性図で、図13(A) は挿入損失
特性を表し、図13(B) は位相特性を表すものである。
【図14】従来の積層型バラン(アースパターンあり)
による伝送特性を示す特性図で、図14(A) は挿入損失
特性を表し、図14(B) は位相特性を表すものである。
【符号の説明】
20 積層型バラン 20a、20c、20e アース端子 20b 不平衡端子 20d 平衡端子(第1の平衡端子) 20f 平衡端子(第2の平衡端子) 21 LPF (低域通過フィルタ) 22、24、26、28、30、32、34、36 ガ
ラスセラミック基板 23 HPF (高域通過フィルタ) 36a パターン(アースパターン) 50 送信部 60 受信部 C1、C2 コンデンサ L1、L2 コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 大介 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 Fターム(参考) 5E070 AA16 AB01 AB07 BA01 CB02 CB13 DB08 5E082 AA01 AB03 BB01 BC40 CC03 DD08 EE04 EE16 EE23 EE35 FF05 FG08 FG25 FG46 GG11 GG28 JJ05 JJ23 LL02 LL15

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端を不平衡端子に接続し、他端を第1
    の平衡端子に接続するコイルL1、および、一端をこの
    第1の平衡端子に接続し、他端をアース端子に接続する
    コンデンサC1から構成される低域通過フィルタと、 一端を前記不平衡端子に接続し、他端を第2の平衡端子
    に接続するコンデンサC2、および、一端をこの第2の
    平衡端子に接続し、他端をアース端子に接続するコイル
    L2から構成される高域通過フィルタと、をガラスセラ
    ミックからなる多層基板に形成する積層型バランであっ
    て、 ほぼ全面にアースパターンの形成された層を前記多層基
    板の少なくとも一端側に形成するとともに、前記コンデ
    ンサC1のキャパシタンスは前記コンデンサC2よりも
    小さく設定し、前記コイルL2のインダクタンスは前記
    コイルL1よりも小さく設定することを特徴とする積層
    型バラン。
  2. 【請求項2】 前記コンデンサC1およびC2は、一の
    同一層に形成され、 前記コイルL1およびL2は、他の同一層に形成される
    ことを特徴とする請求項1記載の積層型バラン。
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