JP2000234244A

JP2000234244A - 着用具及び編み地

Info

Publication number: JP2000234244A
Application number: JP11034546A
Authority: JP
Inventors: Kunio Nakatani; 圀男中谷
Original assignee: SANBI KK
Current assignee: SANBI KK
Priority date: 1999-02-12
Filing date: 1999-02-12
Publication date: 2000-08-29

Abstract

(57)【要約】【課題】吸汗性、速乾性に優れ、着用感の良好な着用
具を提供することを課題とする。【解決手段】本発明にかかる着用具は、編み地によっ
て構成される着用具であって、前記編み地は、綿とポリ
エステル繊維とを備えたグランド部３と該グランド部３
の内面側に編成された複数のパイル５を備えてなり、該
パイル５は、異形断面ポリエステル繊維を備えた糸によ
って構成されてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シャツ、パンツ、
靴下、帽子等の着用具、又は編み地に関し、特に吸湿
性、速乾性に良好な着用具又は編み地に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、着用具、特に肌着には、汗による
蒸れを防止するため、吸湿性の良好なものが要求されて
いる。そして、かかる要求を満足するものとして、綿１
００重量％からなる着用具が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、綿は、吸湿
性に優れるが、吸収した水分を保持するという保湿性を
有するため、多量の汗を吸収した場合には、着用具がべ
た付くという問題点を有していた。特に、綿１００重量
％からなる肌着を着用して、多量の汗をかいた場合に
は、肌着が地肌にへばりついて、非常に不快なものであ
った。

【０００４】そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑
みなされたもので、吸汗性、速乾性に優れ、着用感の良
好な着用具又は編み地を提供することを課題とするもの
である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく、鋭意検討した結果、綿を備えたグランド部
３と該グランド部３の内面側にパイル５を備えた編み地
を編成すると共に前記パイル５に異形断面ポリエステル
繊維を用いることによりパイル５側の吸湿性が良好にな
ること、更に、パイル５側で吸収された水分がグランド
部３の綿によって吸収されることを発見し本発明を完成
するに至った。

【０００６】即ち、上記課題を解決すべく、本発明にか
かる着用具は、編み地によって構成される着用具であっ
て、前記編み地は、綿とポリエステル繊維とを備えたグ
ランド部３と該グランド部３の内面側に編成された複数
のパイル５を備えてなり、該パイル５は、異形断面ポリ
エステル繊維を備えた糸によって構成されてなることを
特徴とする。上記構成からなる着用具は、内面側に吸湿
性の良好なパイル５があるので、内面側、即ち着用者の
身体側から汗が吸収され、身体側からの熱気の流動、即
ち暖気流作用によって、吸収された汗がグランド部３の
綿に一旦保持されて身体側への戻りが防止される。しか
も、前記グランド部３は、ポリエステル繊維をも備えて
なるので、速やかにグランド部３から汗が放出乾燥する
ことになると考えられる。

【０００７】尚、本発明において、編み地は、経編みで
あっても緯編みであってもよく、通常、ラッセル編み
機、パイル編み機等、パイルシンカーを備えてパイルの
形成可能な編み機によって編成される。また、パイル
は、シャーリングされたカットパイル状のものであって
も、シンカーループをシャーリングしないループパイル
状のものであってもよい。

【０００８】また、本発明の着用具にあっては、請求項
２記載の如く、前記編み地がメッシュパイル編みによっ
て編成されてなるものが好ましい。このように構成する
ことで、通気性が良好になり、速乾性に優れるものとな
るのである。尚、メッシュパイル編みとは、片面にパイ
ルが形成されるメッシュ地を編成できる編成方法であ
り、このように編成できるものであれば、特に限定され
るものではない。

【０００９】更に、本発明において、異形断面ポリエス
テル繊維としては、断面がＹ字状、星形等の複数のリブ
を有する形状、三角形状等に形成されてなる中実ポリエ
ステル繊維、断面が円状、星形等の中空ポリエステル繊
維等を例示できる。但し、請求項３記載の如く、前記異
形断面ポリエステル繊維の断面が略Ｗ字状に形成されて
なるものが好ましい。このように構成することで、異形
断面繊維が両面に複数の溝が形成されて、パイル５は、
汗を細かく多く吸収することになり、速やかに湿気を放
出乾燥するので、速乾性に極めて優れるものとなるので
ある。

【００１０】また、請求項４記載の如く、前記グランド
部３は、綿を３０〜４０重量％、ポリエステル繊維を６
０〜７０重量％含有し、且つ、前記パイル５は、異形断
面ポリエステル繊維を９５重量％含有し、しかも、前記
編み地全体としては、綿を１０〜２０重量％、ポリエス
テル繊維を８０〜９０重量％含有してなるものが好まし
い。かかる範囲内のものは、吸汗性、速乾性の両面にお
いて極めて優れ、しかも、バランスが取れたものとなる
のである。

【００１１】本発明において、ポリエステル繊維（異形
断面ポリエステル繊維を含む）としては、ポリエチレン
テレフタラート（以下、「ＰＥＴ」という。）、ポリブ
チレンテレフタレートを例示できる。

【００１２】また、グランド部３に備えられるポリエス
テル繊維としては、特に限定されるものではないが、グ
ランド部３の速乾性を向上させるためには、断面が略円
形に形成されてなるもの、即ち、従来一般に使用される
ポリエステル繊維が好ましい。

【００１３】更に、本発明において、異形断面ポリエス
テル繊維を備えた糸としては、フィラメントからなるフ
ィラメント糸、切断してなるステープルを紡績した紡績
糸、又は、トウから紡績してなるトウ紡績糸等を例示で
きる。

【００１４】また、上記課題を解決べく、本発明にかか
る編み地は、綿とポリエステル繊維とを備えたグランド
部３と該グランド部３の一面側に編成された複数のパイ
ル５を備えてなり、該パイル５は、異形断面ポリエステ
ル繊維を備えた糸によって構成されてなることを特徴と
する。上記構成からなる編み地にあっては、パイル５を
備えた一面側を身体側になるように着用具を縫製（又は
編成）することにより、吸汗性、速乾性に優れ、着用感
の良好な着用具を製造することができるという利点を有
する。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる着用具を構
成する編み地の実施形態について図面を参照しつつ説明
する。図１は、本実施形態の編み地として、例えばラッ
セル編み機によりメッシュパイル編みがなされた編み地
の断面図である。図１において、１は、ポリエステル繊
維としてのＰＥＴ繊維６０〜７０重量％、綿３０〜４０
重量％からなる混紡糸を示し、該混紡糸１は、適宜編成
されて、グランド部３を構成してなる。尚、ここで用い
るポリエステル繊維は、断面が略円形の従来一般に用い
られるポリエステル繊維である。

【００１６】２は、異形断面ポリエステル繊維として、
断面が略Ｗ字状に形成されてなるＰＥＴ繊維１００重量
％からなる紡績糸であり、該紡績糸２は、適宜編成され
て、グランド部３の内面側、即ち着用具を編成した際の
人体６側に複数のパイル５を構成するとともに、図示し
ないが、適宜前記グランド部３に絡まって、グランド部
３とパイル５を連結してなる。

【００１７】このように、前記混紡糸１及び前記紡績糸
２が互いに編み合わされ、表２及び表３に示す如く、略
六角形の孔が多数形成されたメッシュ状の布に編成され
て本実施形態の編み地となっている。そして、この編み
地は、パイル５が内面側即ち人体６側に位置する様に適
宜編成されて肌着、靴下、帽子等を構成するのである。

【００１８】尚、前記混紡糸１は、通常、混打綿工程、
又は練条工程で混合されて混紡糸に紡績されてなるもの
である。また、断面が略Ｗ字状に形成されたＰＥＴ繊維
は、通常、溶融したポリエステルが、Ｗ字状の孔を備え
た紡糸口金から押し出し成型されることにより紡糸され
る。

【００１９】

【実施例】〈実施例〉先ず、断面が略円形のＰＥＴ繊維
６５重量％、綿３５重量％の割合で混合し、２３番手単
糸の混紡糸１を紡績し、更に、この混紡糸１を青色に染
色した。次に、断面がＷ字状に形成された異形断面ＰＥ
Ｔ繊維（商品名「テクノファイン」、旭化成工業株社
製）を１００重量％使用して７５Ｄ×２双糸のＰＥＴ繊
維紡績糸２を紡績した。

【００２０】次に、前記ＰＥＴ繊維紡績糸２と前記混紡
糸１を使用して、ラッセル編み機にて、メッシュパイル
編みによる編成を行い、目付２２５ｇ／ｍ²の編み地を
得た。尚、編成は、前記ＰＥＴ繊維糸がパイル５を構成
する様に行った。〈比較例〉綿１００％からなる２３番手の紡績糸を使用
して、平編みにより目付１２０ｇ／ｍ²の編み地を得
た。

【００２１】〈表面観察〉実施例１で得られた編み地の
外面側と内面側を撮影した後、その様子をそれぞれ観察
した。実施例１の編み地の外面側を撮影した写真の複写
を表１に、内面側を撮影した複写を表２に示した。尚、
表１及び表２において、表面の白い糸は、ＰＥＴ繊維紡
績糸２である。

【００２２】

【表１】

【００２３】

【表２】表１及び表２に示す様に、ＰＥＴ繊維紡績糸２は、パイ
ル５を構成すると共に、グランド部３を構成する混紡糸
１と複雑に絡み合っている。また、表２から明らかな様
に、グランド部３の内面側には、多数のパイル５が凸出
した状態となっている。

【００２４】〈乾燥速度試験〉実施例及び比較例で得ら
れた編み地をそれぞれ水に充分浸漬し、家庭用洗濯機で
５分間脱水した後、それぞれ乾燥速度を測定した。試験
方法は、ＪＩＳＬ１０１８Ａ法に規定する乾燥す
るまでの時間を測定する方法に代えて、所定時間におけ
る保水率（％）を測定することにより行い、それ以外
は、ＪＩＳＬ１０１８Ａ法に準じて行った。その
結果を表３に示す。尚、表３中、保水率（％）は、｛保
水後の重量（ｇ）−編み地の絶乾重量（ｇ）｝×１００
／編み地の絶乾重量（ｇ）で示す。

【００２５】

【表３】

【００２６】〈吸水性試験〉実施例及び比較例で得られ
た資料をＪＩＳＬ１０１８Ｂ法に規定するバイレ
ック法に準じて、吸水距離を測定した。その結果を表４
に示す。

【００２７】

【表４】表３及び表４から明らかな様に、実施例の編み地は、比
較例の編み地に比して、乾燥速度が非常に速い割に、吸
水性は、比較例のものとあまり変わらないことが理解さ
れる。

【発明の効果】以上のように、本発明にかかる着用具に
あっては、速やかに汗を吸収すると共に、吸収した汗が
グランド部にて速やかに乾燥し、さらに、吸収した汗の
戻りも防止されるので、吸汗性、速乾性に優れ、しか
も、べた付く虞も少なく、着用感が良好となるという効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施形態の編み地を示す概略断面図。

【符号の説明】

３・・・グランド部、５・・・パイル

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】編み地によって構成される着用具であっ
て、前記編み地は、綿とポリエステル繊維とを備えたグ
ランド部（３）と該グランド部（３）の内面側に編成さ
れた複数のパイル（５）を備えてなり、該パイル（５）
は、異形断面ポリエステル繊維を備えた糸によって構成
されてなることを特徴とする着用具。
【請求項２】前記編み地が、メッシュパイル編みによ
って編成されてなる請求項１記載の着用具。
【請求項３】前記異形断面ポリエステル繊維の断面が
略Ｗ字状に形成されてなる請求項１又は２記載の着用
具。
【請求項４】前記グランド部（３）は、綿を３０〜４
０重量％、ポリエステル繊維を６０〜７０重量％含有
し、且つ、前記パイル（５）は、異形断面ポリエステル
繊維を９５重量％以上含有してなり、しかも、前記編み
地全体としては、綿を１０〜２０重量％、ポリエステル
繊維を８０〜９０重量％含有してなる請求項１乃至３の
何れかに記載の着用具。
【請求項５】綿とポリエステル繊維とを備えたグラン
ド部（３）と該グランド部（３）の一面側に編成された
複数のパイル（５）を備えてなり、該パイル（５）は、
異形断面ポリエステル繊維を備えた糸によって構成され
てなることを特徴とする編み地。