JP2000234127A - 磁気シールド用熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気シールド用熱延鋼板の製造方法

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JP2000234127A
JP2000234127A JP11035898A JP3589899A JP2000234127A JP 2000234127 A JP2000234127 A JP 2000234127A JP 11035898 A JP11035898 A JP 11035898A JP 3589899 A JP3589899 A JP 3589899A JP 2000234127 A JP2000234127 A JP 2000234127A
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Tatsuya Kumagai
達也 熊谷
Yoichi Furukawa
洋一 古川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均質で安定した高透磁率、強度、靱性を備え
る優れた磁気シールド構造用熱延鋼板の製造方法を提供
すること。 【解決手段】 重量%で、C:0.007%以下、Si:0.5%以
上、2%以下、Mn:1.5%以下、P:0.05%以下、S:0.005%以
下、Cu:0.2%以上、0.8%以下、Ni:0.3%以上1.5%以下、
Cr:1%以上3%以下、Al:0.2%以上0.8%以下、N:0.007%以
下を有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼片を、
Ac3 点以上1200℃以下に加熱し、Ar3 温度以下での圧下
率が30%〜70%、圧延仕上温度がAr1 −50℃以上となる
よう熱間圧延し、550 ℃以下で巻取後、5〜15%の冷間
圧延を施して板厚6mm以下の熱延板とし、800 ℃以上92
0 ℃以下で、かつTHT= 800+0.69×(Ac1−835)(℃)
の式で計算される熱処理温度THT±25℃の範囲で、90分
以上保持する熱処理を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気シールド用熱
延鋼板の製造方法に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】近年、精密測定機器やコンピュータに対
する外部からの磁場の影響による問題が増加しており、
磁気シールドの重要性はますます高まってきている。最
近では、効率的な磁気シールドを行なうために、個々の
設備ごとに磁気シールドをするのではなく、建屋自体を
磁気シールドする方法が提案されており、そのため構造
部材熱延鋼板として少なくとも一般構造用鋼材並みの40
0MPaあるいはそれ以上の強度と靱性とを備えた磁気シー
ルド材料の必要性が増している。また磁気シールド材に
は、ロットや板面内の方向に対する透磁率のばらつきが
できるだけ少ないことが重要視される。さらに、構造材
としては溶接性も必要となる。このように、優れた磁気
シールド鋼材には、均質で安定した高透磁率と、一般構
造用鋼材並み以上の強度、靱性、溶接性が要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】磁気シールド効果は透
磁率と厚さの積に比例するので、厚鋼板を用いることが
有利であるが、不必要に厚い鋼板を用いることは、装置
や建屋の重量増になるため、用途に応じて必要最小限の
板厚の材料を用いることが望ましい。また、いわゆる珪
素鋼板は、透磁率が高く飽和磁束密度も高い材料である
が、冷延で製造されるため板厚が1mm未満程度に限ら
れ、積層して用いる必要が生じるため、コストも高くな
り、構造部材としては不適である。そのため、1〜6mm
程度の厚さの薄鋼板を比較的安価に製造できる熱延鋼板
で、上記特性を満足する材料に対するニーズは非常に高
いものがある。
【0004】薄鋼板磁気特性に優れた材料には例えば、
JIS C 2504で規定される電磁軟鉄板があるが、構造部材
として考慮されているものではないため強度は高くな
く、透磁率も不十分である。また、磁気シールド用熱延
鋼板として、特開平3−274228、特開平3−27
4229、特開平3−274300、特開平6−306
468、が提案されているが、いずれも結晶粒径につい
ては記載がなく、また靱性は特に考慮されていない。こ
のように、磁気シールド構造用熱延鋼板として、均質で
安定した高透磁率と、一般構造用鋼板並み以上の強度、
靱性、溶接性をともに具備する材料はこれまで得られて
いない。
【0005】本発明は、以上の点を鑑みなされたもの
で、純鉄系材料の高飽和磁束密度を生かしつつ、均質で
安定した高透磁率と、一般構造用鋼材並み以上の強度、
靱性、溶接性をともに具備する、優れた磁気シールド構
造用熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】(1)重量%で、C:0.
007 %以下、Si:0.5 %以上、2%以下、Mn:1.5 %以
下、P:0.05%以下、S:0.005 %以下、Cu:0.2 %以
上、0.8 %以下、Ni:0.3 %以上、1.5 %以下、Cr:1
%以上、3%以下、Al:0.2 %以上、0.8 %以下、N:
0.007 %以下を有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なる鋼片を、Ac3点以上1200℃以下の温度に加熱し、Ar3
+50℃〜Ar3 温度での圧下率を30%以上とり、圧延仕
上温度がAr1 以上となるように熱間圧延を行い、550 ℃
以下の温度で巻き取った後、圧下率5%〜15%の冷間圧
延を施して板厚6mm以下の熱延板とし、該熱延板を800
℃以上920 ℃以下で、かつ下記の式で計算される熱処理
温度THT±25℃の範囲で、90分以上保持する熱処理を行
なうことを特徴とする磁気シールド用熱延鋼板の製造方
法。ここでTHTは、鋼材のAc1 温度との関係から導かれ
る、結晶粒径制御のための熱処理温度で、THT= 800+
0.69 ×(Ac1−835)(℃)である。
【0007】(2)(1)に記載の鋼と同一組成を有す
る鋼に、さらに、重量%で、Mo:0.05%以上、0.5 %以
下、B:0.0003%以上、0.005 %以下の強化元素群のな
かから1種または2種含み、残部Feおよび不可避的不純
物からなる鋼片を、Ac3 点以上1200℃以下の温度に加熱
し、Ar3 +50℃〜Ar3 温度での圧下率を30%以上とり、
圧延仕上温度がAr1 以上となるように熱間圧延を行い、
550 ℃以下の温度で巻き取った後、圧下率5%〜15%の
冷間圧延を施して板厚6mm以下の熱延板とし、該熱延板
を800 ℃以上920 ℃以下で、かつ下記の式で計算される
熱処理温度THT±25℃の範囲で、90分以上保持する熱処
理を行なうことを特徴とする磁気シールド用熱延鋼板の
製造方法。ここでTHTは、鋼材のAc1 温度との関係から
導かれる、結晶粒径制御のための熱処理温度で、THT
800+0.69×(Ac1−835)(℃)である。
【0008】
【発明の実施の形態】鋼板の透磁率が結晶粒径に大きく
依存することは従来から知られている。しかし、鋼の成
分組成や、不純物、介在物、結晶方位などの影響もある
ので、結晶粒径だけで透磁率が決まるわけではない。本
発明者らはまず、各因子の透磁率への影響を明確にし、
一定の高透磁率を安定して得るための手段を検討した。
その結果、フェライト単相組織鋼において、不純物や介
在物を大幅に低減し、特定方位への強い集合組織を導入
しないようにするならば、限定された成分組成範囲で
は、結晶粒径と透磁率は極めてよく対応し、透磁率はほ
ぼ結晶粒径でのみ決定されることを明らかにした。
【0009】集合組織については、磁気特性を向上させ
る手段としても用いられるが、どの方向にも一定の透磁
率を得ようとする場合には、特定方位への強い集合組織
はかえって害な場合もあり、むしろ強い集合組織をつく
らないほうがよい。優れた磁気シールド効果を発揮する
ために、μmax (最大透磁率)≧16,000以上を目標値と
した場合、結晶粒径は150 μm以上とすればよく、粗粒
ほど透磁率は良くなる。しかし、粗粒になるほど靱性が
低下する傾向は避けられない。発明者らはNiを添加する
ことで、このようなフェライト単相組織鋼の靱性を大き
く改善できることを見いだした。
【0010】一方、構造材としての用途では溶接性を考
慮する必要があるが、結晶粒径が300 μmを超えると溶
接時に熱影響部で割れを生じやすくなる懸念がある。ま
た300 μm超では、靱性確保のために高価なNiを多量に
添加する必要もあることから、実際には結晶粒径は300
μm以下がよいと考えられる。すなわち、フェライト単
相組織で不純物、介在物を低減し、特定方位への強い集
合組織を導入せず、Ni添加を前提としたうえで、結晶粒
径を150 〜300 μm、好ましくは180 〜250 μmに限定
することが、一定の高透磁率を安定して得るための手段
である。
【0011】次に強度を400MPa以上とする方法である
が、フェライト単相を維持しながらの高強度化であるの
で、固溶強化元素が主体となり、それぞれの元素の添加
量も限定される。発明者らは検討を重ねた結果、Cr、S
i、Cuをそれぞれ適正範囲添加することで、透磁率およ
び飽和磁束密度などの磁気特性を低下させないで、400M
Pa以上の強度が得られることを知見した。
【0012】発明者らはさらに、上記強度条件を満たす
成分組成の鋼について、前述のような狭い範囲へ鋼板の
結晶粒径を制御するため、熱延鋼板の製造プロセス条件
を種々検討した。その結果、熱間圧延時の特定温度範囲
での圧下率、および巻取り温度をある範囲に限定し、適
度な歪量の冷間圧延を行ない、Ac1 温度で決まる特定温
度で熱処理を行なえば、鋼板の結晶粒の大きさはほぼい
つも同じになることを知見し、本発明に至ったものであ
る。
【0013】熱間圧延の特定温度範囲での圧下率、およ
び巻取り温度を限定することにより、熱処理前の結晶粒
の大きさを比較的微細な一定範囲に制御できる。また、
冷間圧延条件を限定することにより、結晶粒成長の駆動
力となる圧延歪量を一定範囲に制御することができる。
このようにして結晶粒の大きさをある程度微細でかつ均
一とし、適度な圧延歪みを導入することにより、その後
の熱処理で均一で安定した結晶粒成長が起きるので、結
晶粒径の制御が可能となる。
【0014】しかし、本発明鋼では強度確保のための合
金元素が加わっているので、純鉄に比べて結晶粒成長の
制御は容易ではない。特に強度確保に必須のCrは、熱処
理の昇温過程でCと結合して結晶粒界に炭化物を析出
し、ピニング作用のため結晶粒成長を著しく停滞させ、
また熱処理温度を高くするとある時点でピニングが外れ
るため異常粒成長を生じることがある。炭化物量はC量
で決まるため、Cを低減するが、完全にCを除去するこ
とは不可能であり、フェライト単相組織であるために大
部分が結晶粒界に析出することから、微量の炭化物でも
影響がある。しかし、検討の結果、C量を0.007 %以下
とすれば、800 ℃以上の温度では炭化物は再固溶するの
で、そこで一定時間保持することで正常な均一粒成長が
可能となることを明らかとすることができた。
【0015】発明者らはさらに、本発明鋼のAc1 変態温
度と熱処理温度、および得られる結晶粒径との関係を詳
細に調査した結果、熱処理前の結晶粒径と圧延歪とが一
定範囲にあれば、これらの間には一定の関係があり、T
HT= 800+0.69×(Ac1−835)(℃)の式で計算される温
度THTで十分に保持する熱処理を行なうことで、磁気シ
ールド材料に適した大きさの結晶粒径が、均一に安定し
て得られることを見いだした。具体的には、THT±25℃
で熱処理を行なうことで、150 〜300 μmの範囲の結晶
粒径が安定して得られる。この場合のμmax は16,000〜
20,000となる。さらに好ましくは、熱処理温度を精度良
くTHT±15℃とすれば、結晶粒径はほぼ180 〜250 μm
となり、この場合のμmax は、17,000〜19,000となる。
また、この方法で製造すれば十分に再結晶が行われるた
め、圧延時にある程度の集合組織が導入された場合に
も、熱処理後にはほぼ消滅し、板面内のどの方向で測定
してもほぼ同じ透磁率を示す。
【0016】すなわち本発明によれば、上述の鋼の成分
組成を有するとともに、適切な熱間圧延、巻取り、冷間
圧延および熱処理条件により、結晶粒径を150 〜300 μ
m、好ましくは180 〜250 μmの範囲に制御すれば、μ
max が16,000〜20,000、好ましくは17,000〜19,000の範
囲の高い透磁率を安定して有し、強度、靱性、溶接性に
も優れた磁気シールド構造用熱延鋼板が得られる。
【0017】次に本発明の限定理由を説明する。Cは、
本発明の成分組成では主としてCr炭化物を形成し、熱処
理昇温過程での粒界析出によって微量であっても均一粒
成長を著しく阻害する元素である。しかし、0.007 %以
下であれば800 ℃以上ではほとんど固溶するので、熱処
理温度を800 ℃以上とすることにより均一粒成長が可能
となる。そのため0.007 %以下に低減する。
【0018】Siは、強化に有効であり、フェライトフォ
ーマー(Ac1 を上昇させる)であるため、粗粒化にも有
利である。その効果は0.5 %以上で顕著であるが、2%
超では靱性を低下させるため、0.5 %以上、2%以下に
限定する。
【0019】Mnは、強化元素として有効であるが、オー
ステナイトフォーマーであり、特に1.5 %超では第二相
(パーライト)を生成させ易く磁気特性低下の原因にな
る。そのため上限を1.5 %以下とする。
【0020】Pは、フェライトフォーマーであり、また
切削性改善には有効であるが、非金属介在物を生成し、
磁気特性と靱性を低下させるので、添加する場合でも上
限を0.05%とする。
【0021】Sは、非金属介在物を生成して粒成長を阻
害し、かつ靱性も低下させるためできるだけ低減するこ
とが必要である。少なくとも0.005 %以下とする。
【0022】Cuは、固溶強化により磁気特性を低下させ
ない強化元素で、0.2 %以上で強化作用があるが、0.8
%超では析出し、磁気特性を低下させるため、添加量は
0.2%以上、0.8 %以下とする。
【0023】Niは、粗粒のフェライト単相鋼の靱性を向
上させるので0.3 %以上の添加は必須である。しかしそ
の効果は1.5 %程度で飽和し、またオーステナイトフォ
ーマーであることと、高価でもあり、1.5 %を上限とす
る。
【0024】Crは、磁気特性を低下させないで強度を向
上させるので、1%以上の添加を行なう。Crは一般には
フェライトフォーマーであるが、本発明の成分組成範囲
では変態温度にほとんど影響しない。しかし、3%超で
は第二相(パーライト)を生成させ易く磁気特性低下の
原因になるため、上限を3%とする。
【0025】Alは、AlN を粗大にして粗粒化に有害な微
細AlN 析出を避けるため、0.2 %以上添加する。フェラ
イトフォーマーとしても効果が大きい。N固定効果のた
めには0.2 %以上程度で十分であり、また0.8 %超では
Ac1 が高くなり過ぎ結晶粒制御が困難になることから、
上限は0.8 %とする。
【0026】Nは、固溶状態としても窒化物として析出
しても磁気特性を低下させるため、できるだけ低減する
ことが望ましく、0.007 %以下とする。
【0027】Moは、0.05%以上の添加により、強化元素
として有効であるが、オーステナイトフォーマーであ
り、また炭化物を形成しやすいので磁気特性には不利で
ある。そのため添加する場合、上限は0.5 %とする。
【0028】Bは、強度を向上させる元素であるが、効
果は0.0003%以上でほぼ一定である。また、過剰添加は
靱性を阻害するので、添加する場合の上限は0.005 %と
する。
【0029】製造条件については、加熱温度は、通常の
熱延鋼板の加熱であるAc3 以上とし、かつ熱延前の結晶
粒を粗大化させないために1200℃以下とする。
【0030】熱間圧延においてAr3 +50℃〜Ar3 温度で
の圧下率を30%以上とするのは、結晶粒径をある程度微
細均一に制御するためであるが、圧下率が30%未満では
その効果はあまりないので、圧下率は30%以上必要であ
る。またフェライト域で圧延すると、強い集合組織が導
入される場合があるため、圧延仕上温度はAr1 以上とす
る。熱間圧延後、550 ℃を超える温度で巻き取ると、巻
き取り後に結晶粒成長が進行し、結晶粒径制御が不安定
になるので、巻取り温度は550 ℃以下とする。
【0031】冷間圧延は、結晶粒成長の駆動力となる圧
延歪量を一定範囲に制御するために行ない、5%未満で
は歪み量が不足で粒成長が不十分となり、15%超では歪
量が過多となり、まれに異常粒成長が生じるなど結晶粒
径制御が不安定になるので、冷間圧延の歪量は5%〜15
%の範囲に限定する。
【0032】圧延後の熱処理温度は、本発明の主たる要
件のひとつであり、上述のように、熱間圧延および冷間
圧延条件を特定して得られる、適度に微細かつ均一な結
晶粒径と、適度な圧延歪とを有する熱延鋼板に、THT
800+0.69×(Ac1−835)(℃)の式で計算される温度T
HT付近で十分に保持する熱処理を行なうことにより、鋼
板の成分組成にかかわらず常にほぼ一定の結晶粒径を得
ることができるのである。具体的には、THT±25℃で熱
処理を行なうことで、150 〜300 μmの範囲の結晶粒径
が安定して得られる。この場合のμmax は16,000〜20,0
00となる。さらに好ましくは、熱処理温度を精度良くT
HT±15℃とすれば、結晶粒径はほぼ180〜250 μmとな
り、この場合のμmax は、17,000〜19,000となる。ただ
し、炭化物が固溶しきれない800 ℃未満では、均一粒成
長は成し得ず、また、920 ℃超では粒成長速度が速くな
るために、まれに異常粒成長が生じるなど結晶粒径制御
が不安定になるので、熱処理温度範囲は上記関係を満た
しつつ、800 ℃〜920 ℃に限定する。
【0033】
【実施例】表1に示す成分組成の鋼片を作製し、表2に
示す製造条件で1〜5mm厚さの熱延鋼板を製造した。表
中、下線で示すものは特許範囲を逸脱しているところ、
または各特性の目標値に達していないところである。各
特性の目標値は、最大透磁率μmax ≧16,000、引張強さ
≧400MPa、靱性0℃シャルピー吸収エネルギー≧50J/cm
2 とした。表2に示す厚鋼板のうち1-A 〜7-G は本発明
例であり、8-H 〜29-Aは比較例である。これらの鋼板に
ついて、表2に示す製造条件で製造したものの各種特性
を表2に示す。
【0034】鋼板1-A 〜7-G の実施例は、いずれも結晶
粒径が150 〜300 μmの範囲にあり、μmax も16,000〜
20,000の範囲にある。特に、熱処理温度をTHT±15℃の
範囲とした1-A 〜5-E では、結晶粒径が180 〜250 μm
の範囲にあり、μmax も17,000〜19,000の範囲にある。
さらに鋼板1-A 〜7-G の実施例は、強度、靱性ともに良
好である。これに対し、比較例8-H はCが高いため結晶
粒径が小さく、透磁率が低い。9-I はSiが低いため、14
-NはCuが低いため、17-QはCrが低いため、それぞれ強度
が不足している。10-JはSiが高いため、16-PはNiが低い
ため、21-UはAlが高いため、22-VはBが高いためそれぞ
れ靱性が低値である。11-KはMnが高いため、12-LはPが
高いため、13-MはSが高いため、15-OはCuが高いため、
18-RはCrが高いため、19-SはMoが高いため、それぞれ靱
性が低値であり、透磁率も低い。20-TはAlが低いため、
結晶粒径が小さく、透磁率が低い。
【0035】また、比較例24-Aは加熱温度がAc3 に達し
ておらず、25-AはAr3 +50℃〜Ar3での圧下率が低いた
め、26-Aは巻取り温度が高すぎるため、27-Aは冷間圧延
圧下率が低いため、29-Aは熱処理温度が低いため、それ
ぞれ結晶粒成長が不十分で、透磁率が低い。28-Aは、熱
処理温度が高いため、結晶粒が粗大になりすぎ、靱性が
低い。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、均質で安定した高透磁
率と高磁束密度、普通鋼並以上の強度と靱性を備える、
優れた磁気シールド構造用熱延鋼板が得られる製造方法
が提供でき、その工業界への効果は極めて大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.007 %以下、Si:0.5 %
    以上、2%以下、Mn:1.5 %以下、P:0.05%以下、
    S:0.005 %以下、Cu:0.2 %以上、0.8 %以下、Ni:
    0.3 %以上、1.5 %以下、Cr:1%以上、3%以下、A
    l:0.2 %以上、0.8 %以下、N:0.007 %以下を有
    し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼片を、Ac3
    点以上1200℃以下の温度に加熱し、Ar3 +50℃〜Ar3 温
    度での圧下率を30%以上とり、圧延仕上温度がAr1 以上
    となるように熱間圧延を行い、550 ℃以下の温度で巻き
    取った後、圧下率5%〜15%の冷間圧延を施して板厚6
    mm以下の熱延板とし、該熱延板を800℃以上920 ℃以下
    で、かつ下記の式で計算される熱処理温度THT±25℃の
    範囲で、90分以上保持する熱処理を行なうことを特徴と
    する磁気シールド用熱延鋼板の製造方法。ここでT
    HTは、鋼材のAc1 温度との関係から導かれる、結晶粒径
    制御のための熱処理温度で、THT= 800+0.69×(Ac1−
    835)(℃)である。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の鋼と同一組成を有する鋼
    に、さらに、重量%で、Mo:0.05%以上、0.5 %以下、
    B:0.0003%以上、0.005 %以下の強化元素群のなかか
    ら1種または2種含み、残部Feおよび不可避的不純物か
    らなる鋼片を、Ac3 点以上1200℃以下の温度に加熱し、
    Ar3 +50℃〜Ar3 温度での圧下率を30%以上とり、圧延
    仕上温度がAr1 以上となるように熱間圧延を行い、550
    ℃以下の温度で巻き取った後、圧下率5%〜15%の冷間
    圧延を施して板厚6mm以下の熱延板とし、該熱延板を80
    0 ℃以上920 ℃以下で、かつ下記の式で計算される熱処
    理温度THT±25℃の範囲で、90分以上保持する熱処理を
    行なうことを特徴とする磁気シールド用熱延鋼板の製造
    方法。ここでTHTは、鋼材のAc1 温度との関係から導か
    れる、結晶粒径制御のための熱処理温度で、THT= 800
    +0.69×(Ac1−835)(℃)である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100544582B1 (ko) * 2001-12-22 2006-01-24 주식회사 포스코 전자기장 차폐성 및 용융도금성이 우수한 고강도 강판

Cited By (1)

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KR100544582B1 (ko) * 2001-12-22 2006-01-24 주식회사 포스코 전자기장 차폐성 및 용융도금성이 우수한 고강도 강판

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