JP2000233923A - 塩の固結防止方法 - Google Patents
塩の固結防止方法Info
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- JP2000233923A JP2000233923A JP11036383A JP3638399A JP2000233923A JP 2000233923 A JP2000233923 A JP 2000233923A JP 11036383 A JP11036383 A JP 11036383A JP 3638399 A JP3638399 A JP 3638399A JP 2000233923 A JP2000233923 A JP 2000233923A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 優れた効果とその持続性を有し、水に溶解し
た場合にも白濁を生じず、しっとりして流動性に欠ける
こともない、塩の固結防止方法を提供する。また、低温
においても効果的で、併せて、金属腐食の緩和にも効果
的な、塩の固結防止方法を提供する。 【解決手段】 塩の結晶表面をトレハロースで被覆す
る。
た場合にも白濁を生じず、しっとりして流動性に欠ける
こともない、塩の固結防止方法を提供する。また、低温
においても効果的で、併せて、金属腐食の緩和にも効果
的な、塩の固結防止方法を提供する。 【解決手段】 塩の結晶表面をトレハロースで被覆す
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食塩等の塩化ナト
リウムを主成分とする塩の固結を防止する方法に関す
る。
リウムを主成分とする塩の固結を防止する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】塩は、保存環境中の温湿度が変化すると
結晶の表面で水分の吸収、放出を繰り返し、高湿度の場
合に水分を吸収して結晶表面が溶解し、低湿度の場合に
水分が結晶表面から放出され、放出時に新たに塩の微結
晶が析出し、析出した微結晶が結晶間を架橋することに
よって固結することが知られている(D.W.KAUF
MANN Edi.(財)ソルト・サイエンス研究財団
監訳;「塩化ナトリウム」、468(1993))。塩
では、その結晶表面での25℃における吸湿、放湿の現
象が生ずる境目の環境湿度は相対湿度75%(以下「7
5%RH(25℃)」と記す)で、我が国においては通
常の環境条件でこの相対湿度を上下しており、故に塩の
取扱いにおいて固結現象の発生が多く見られる。固結が
起こると塩の商品性を損なうため、これまで種々の固結
防止手段が提案されてきた。
結晶の表面で水分の吸収、放出を繰り返し、高湿度の場
合に水分を吸収して結晶表面が溶解し、低湿度の場合に
水分が結晶表面から放出され、放出時に新たに塩の微結
晶が析出し、析出した微結晶が結晶間を架橋することに
よって固結することが知られている(D.W.KAUF
MANN Edi.(財)ソルト・サイエンス研究財団
監訳;「塩化ナトリウム」、468(1993))。塩
では、その結晶表面での25℃における吸湿、放湿の現
象が生ずる境目の環境湿度は相対湿度75%(以下「7
5%RH(25℃)」と記す)で、我が国においては通
常の環境条件でこの相対湿度を上下しており、故に塩の
取扱いにおいて固結現象の発生が多く見られる。固結が
起こると塩の商品性を損なうため、これまで種々の固結
防止手段が提案されてきた。
【0003】例えば、(a)フェロシアン塩、クエン酸
鉄アンモニウムのように塩の結晶成長を阻害し、微細化
するという媒晶作用を示す物質の添加、(b)塩基性炭
酸マグネシウム、微粒二酸化ケイ素(特開平5−229
815号公報)のように接触防止作用のある物質の添
加、(c)塩化マグネシウム、塩化カルシウムのように
調湿作用のある物質の添加、(d)硫酸マグネシウム
(特開昭63−109755号公報)、シリカゲルおよ
びリン酸水素二ナトリウム(益子公男;「粉粒体の固結
現象と防結対策」、132;(株)テクノシステム(1
996))のように吸湿作用のある物質の添加等が提案
され、一部は実際に用いられている。
鉄アンモニウムのように塩の結晶成長を阻害し、微細化
するという媒晶作用を示す物質の添加、(b)塩基性炭
酸マグネシウム、微粒二酸化ケイ素(特開平5−229
815号公報)のように接触防止作用のある物質の添
加、(c)塩化マグネシウム、塩化カルシウムのように
調湿作用のある物質の添加、(d)硫酸マグネシウム
(特開昭63−109755号公報)、シリカゲルおよ
びリン酸水素二ナトリウム(益子公男;「粉粒体の固結
現象と防結対策」、132;(株)テクノシステム(1
996))のように吸湿作用のある物質の添加等が提案
され、一部は実際に用いられている。
【0004】しかし、上記(a)のフェロシアン塩は微
量で大きな効果を示すものの、日本では食品添加物に認
可されておらず、クエン酸鉄アンモニウムは錯塩が不安
定で効果の持続性に問題があるため使用されていない。
上記(b)の塩基性炭酸マグネシウム、微粒二酸化ケイ
素の両者は効果も優れ、塩基性炭酸マグネシウムは市販
の食卓塩等に使用されているが、水不溶性のため溶解時
に白濁する欠点がある。上記(c)の塩化マグネシウ
ム、塩化カルシウムの両者は固結防止効果は示すが、水
分量が多いためしっとりして流動性が低い欠点がある。
上記(d)の硫酸マグネシウム、シリカゲル、リン酸水
素二ナトリウムなどの添加物は効果の持続性に問題があ
るため実際には使用されていない。
量で大きな効果を示すものの、日本では食品添加物に認
可されておらず、クエン酸鉄アンモニウムは錯塩が不安
定で効果の持続性に問題があるため使用されていない。
上記(b)の塩基性炭酸マグネシウム、微粒二酸化ケイ
素の両者は効果も優れ、塩基性炭酸マグネシウムは市販
の食卓塩等に使用されているが、水不溶性のため溶解時
に白濁する欠点がある。上記(c)の塩化マグネシウ
ム、塩化カルシウムの両者は固結防止効果は示すが、水
分量が多いためしっとりして流動性が低い欠点がある。
上記(d)の硫酸マグネシウム、シリカゲル、リン酸水
素二ナトリウムなどの添加物は効果の持続性に問題があ
るため実際には使用されていない。
【0005】一方、塩化ナトリウムは、水分の存在下で
品温が0.1℃以下の低温になると、2水和物に変化す
ることが知られている。通常、塩化ナトリウムの水分
は、塩化ナトリウムの飽和溶液として塩化ナトリウム結
晶に付着している。この水分の塩化ナトリウム溶解度
は、温度が低下することにより減少するため、塩化ナト
リウムの微結晶が析出するが、温度が上記0.1℃以下
になると、塩化ナトリウムの2水和物が析出する。この
塩化ナトリウム2水和物の析出によって、水分中の塩化
ナトリウム濃度が低下して未飽和となり、この水分に塩
化ナトリウムが溶解する。このような析出および溶解が
繰り返され、結晶表面に付着した水分がなくなるまで塩
化ナトリウム2水和物の生成が行われる(D.W.KA
UFMANNEdi.(財)ソルト・サイエンス研究財
団監訳;「塩化ナトリウム」、478(1993))。
塩化ナトリウム結晶の水分の大部分は結晶表面に存在す
るため、上述の反応は結晶表面で起こる。この結果、生
成した塩化ナトリウム2水和物が隣接する複数の結晶間
を架橋し、塩化ナトリウムの結晶が互いに結合して、い
わゆる低温固結を引き起こす。このように、低温固結し
た塩化ナトリウムの粒子群は、流動性がほとんど無く、
取扱いが困難であるという問題があった。
品温が0.1℃以下の低温になると、2水和物に変化す
ることが知られている。通常、塩化ナトリウムの水分
は、塩化ナトリウムの飽和溶液として塩化ナトリウム結
晶に付着している。この水分の塩化ナトリウム溶解度
は、温度が低下することにより減少するため、塩化ナト
リウムの微結晶が析出するが、温度が上記0.1℃以下
になると、塩化ナトリウムの2水和物が析出する。この
塩化ナトリウム2水和物の析出によって、水分中の塩化
ナトリウム濃度が低下して未飽和となり、この水分に塩
化ナトリウムが溶解する。このような析出および溶解が
繰り返され、結晶表面に付着した水分がなくなるまで塩
化ナトリウム2水和物の生成が行われる(D.W.KA
UFMANNEdi.(財)ソルト・サイエンス研究財
団監訳;「塩化ナトリウム」、478(1993))。
塩化ナトリウム結晶の水分の大部分は結晶表面に存在す
るため、上述の反応は結晶表面で起こる。この結果、生
成した塩化ナトリウム2水和物が隣接する複数の結晶間
を架橋し、塩化ナトリウムの結晶が互いに結合して、い
わゆる低温固結を引き起こす。このように、低温固結し
た塩化ナトリウムの粒子群は、流動性がほとんど無く、
取扱いが困難であるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の状況に鑑み、優れた効果とその持続性を有し、水
に溶解した場合にも白濁を生じず、しっとりして流動性
に欠けることもない、塩の固結防止方法を提供すること
にある。さらに、本発明の目的は、塩の低温固結を未然
に防止し、屋内貯蔵や固結した塩の結晶を崩す手間が不
要な、塩の低温固結防止方法を提供する。
従来の状況に鑑み、優れた効果とその持続性を有し、水
に溶解した場合にも白濁を生じず、しっとりして流動性
に欠けることもない、塩の固結防止方法を提供すること
にある。さらに、本発明の目的は、塩の低温固結を未然
に防止し、屋内貯蔵や固結した塩の結晶を崩す手間が不
要な、塩の低温固結防止方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、固結防止剤としてトレ
ハロースを用い、このトレハロースで塩の結晶表面を被
覆することにより上記目的を達成できることを見出して
本発明を完成した。
を達成すべく鋭意研究した結果、固結防止剤としてトレ
ハロースを用い、このトレハロースで塩の結晶表面を被
覆することにより上記目的を達成できることを見出して
本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、上記目的を達成する
ために、次の塩の固結防止方法を提供する。 (1)塩の結晶表面をトレハロースで被覆することを特
徴とする塩の固結防止方法。 (2)トレハロースの使用量が、塩に対して0.5重量
%以上である上記(1)に記載の塩の固結防止方法。 (3)トレハロースによる塩の結晶表面の被覆が、トレ
ハロースの水溶液を塩に添加、混合し、しかる後該混合
物を乾燥することにより行われる上記(1)又は(2)
に記載の塩の固結防止方法。 (4)トレハロースによる塩の結晶表面の被覆が、トレ
ハロースの水溶液を塩に添加、混合することにより行わ
れる上記(1)又は(2)に記載の塩の固結防止方法。 なお、本発明における「塩の結晶表面」は、個々の塩の
結晶表面および複数の結晶が結合した粒子の表面の両方
を意味するものである。
ために、次の塩の固結防止方法を提供する。 (1)塩の結晶表面をトレハロースで被覆することを特
徴とする塩の固結防止方法。 (2)トレハロースの使用量が、塩に対して0.5重量
%以上である上記(1)に記載の塩の固結防止方法。 (3)トレハロースによる塩の結晶表面の被覆が、トレ
ハロースの水溶液を塩に添加、混合し、しかる後該混合
物を乾燥することにより行われる上記(1)又は(2)
に記載の塩の固結防止方法。 (4)トレハロースによる塩の結晶表面の被覆が、トレ
ハロースの水溶液を塩に添加、混合することにより行わ
れる上記(1)又は(2)に記載の塩の固結防止方法。 なお、本発明における「塩の結晶表面」は、個々の塩の
結晶表面および複数の結晶が結合した粒子の表面の両方
を意味するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明を適用する塩は、食塩等の
塩化ナトリウムを主成分とする塩であって、本発明は、
その製造由来等を問うことなく種々の市販の塩に適用す
ることができる。特に、塩化ナトリウム含有量が高く低
水分で固結しやすい性質の塩に適用するのが効果的であ
る。
塩化ナトリウムを主成分とする塩であって、本発明は、
その製造由来等を問うことなく種々の市販の塩に適用す
ることができる。特に、塩化ナトリウム含有量が高く低
水分で固結しやすい性質の塩に適用するのが効果的であ
る。
【0010】本発明で固結防止剤として用いるトレハロ
ースは、1832年にWiggersによりライ麦の麦
角から結晶として単離され(H.A.L.Wigger
s:Annnalen der Pharmacie、
1、129−182(1832))、1858年にはB
erthelotによりトレハラマンナから分離された
(M.Berthelot:Comp.Rend.4
6、1276−1279(1858))ところの、2分
子のグルコースがα-1、α-1結合した非還元性の二糖
で、α−D−グルコピラシノシルα−D−グルコピラノ
シドであり、下記一般式(I)で表されるものである。
ースは、1832年にWiggersによりライ麦の麦
角から結晶として単離され(H.A.L.Wigger
s:Annnalen der Pharmacie、
1、129−182(1832))、1858年にはB
erthelotによりトレハラマンナから分離された
(M.Berthelot:Comp.Rend.4
6、1276−1279(1858))ところの、2分
子のグルコースがα-1、α-1結合した非還元性の二糖
で、α−D−グルコピラシノシルα−D−グルコピラノ
シドであり、下記一般式(I)で表されるものである。
【0011】
【化1】
【0012】自然界ではトレハロースは動植物、微生物
にわたって広く存在し、従来から日常的に人間が食して
きた糖質である。このトレハロースは、近年、非還元性
であることからメイラード反応を起こさない、pHに対
し安定で特に酸性側での加熱分解が生じにくい、甘味度
がショ糖の約1/2の優れた質の甘味を有するなどの諸
性質を応用した、食品分野における利用が活発である。
また最近、でんぷんから新規酵素により製造する工業的
製造法が確立され安価となったこと、でんぷん老化防
止、タンパク質変性防止などの新たな効果が見出された
ことなどから、従来の甘味料以外の分野での利用が試み
られている。
にわたって広く存在し、従来から日常的に人間が食して
きた糖質である。このトレハロースは、近年、非還元性
であることからメイラード反応を起こさない、pHに対
し安定で特に酸性側での加熱分解が生じにくい、甘味度
がショ糖の約1/2の優れた質の甘味を有するなどの諸
性質を応用した、食品分野における利用が活発である。
また最近、でんぷんから新規酵素により製造する工業的
製造法が確立され安価となったこと、でんぷん老化防
止、タンパク質変性防止などの新たな効果が見出された
ことなどから、従来の甘味料以外の分野での利用が試み
られている。
【0013】トレハロースは、上記した諸特性の他に、
環境中の相対湿度が95%(25℃)以下ではほとんど
吸湿、放湿を生じない性質を有することが明かとなって
いる。一方、塩は、前述の通り、保存環境中の75%R
H(25℃)を境目に上下する温湿度の変化により、塩
の結晶表面で水分の吸収、放出を繰り返し、水分を吸収
して溶解した塩が水分の放出時に析出し、析出した微結
晶が結晶間を架橋することによって固結する。そこで本
発明は、環境中の相対湿度が95%以下ではほとんど吸
湿、放湿を生じないトレハロースの性質に着目し、種々
検討し、トレハロースで塩の結晶の表面を被覆すること
により、塩の結晶表面での水分の吸放出を抑制し、塩の
固結を防止することに創達したものである。
環境中の相対湿度が95%(25℃)以下ではほとんど
吸湿、放湿を生じない性質を有することが明かとなって
いる。一方、塩は、前述の通り、保存環境中の75%R
H(25℃)を境目に上下する温湿度の変化により、塩
の結晶表面で水分の吸収、放出を繰り返し、水分を吸収
して溶解した塩が水分の放出時に析出し、析出した微結
晶が結晶間を架橋することによって固結する。そこで本
発明は、環境中の相対湿度が95%以下ではほとんど吸
湿、放湿を生じないトレハロースの性質に着目し、種々
検討し、トレハロースで塩の結晶の表面を被覆すること
により、塩の結晶表面での水分の吸放出を抑制し、塩の
固結を防止することに創達したものである。
【0014】本発明では、固結防止剤として、その製造
由来等を問うことなく市販のトレハロースを適宜選択し
て用いることができる。トレハロースにより塩の結晶表
面を被覆するには、特にその方法を制限する必要はない
が、一般に、トレハロースを水に溶解し、その水溶液を
例えば噴霧機等の手段自体は公知の一般的手段で塩に添
加し、次いで例えば粉体混合機等の手段自体は公知の一
般的手段で混合し、得られた混合物を例えば熱風乾燥機
等の手段自体は公知の一般的手段で乾燥することにより
行われる。なお、低温状態においては塩は水分が多いほ
ど固結しやすい性質を示すことから、低温固結防止方法
においては、トレハロースによる塩の結晶表面の被覆
は、トレハロースの水溶液を塩に添加、混合することに
より行われ、必要に応じて乾燥することにより行われ
る。
由来等を問うことなく市販のトレハロースを適宜選択し
て用いることができる。トレハロースにより塩の結晶表
面を被覆するには、特にその方法を制限する必要はない
が、一般に、トレハロースを水に溶解し、その水溶液を
例えば噴霧機等の手段自体は公知の一般的手段で塩に添
加し、次いで例えば粉体混合機等の手段自体は公知の一
般的手段で混合し、得られた混合物を例えば熱風乾燥機
等の手段自体は公知の一般的手段で乾燥することにより
行われる。なお、低温状態においては塩は水分が多いほ
ど固結しやすい性質を示すことから、低温固結防止方法
においては、トレハロースによる塩の結晶表面の被覆
は、トレハロースの水溶液を塩に添加、混合することに
より行われ、必要に応じて乾燥することにより行われ
る。
【0015】トレハロースの使用量は、必要に応じて適
宜設定することができ、通常、塩の重量に対し、0.5
重量%以上であれば所望の目的を達成することができ
る。一般に、使用量が増えるに従いその効果も高くなる
ため、使用量の上限は実質上設定できるものではない
が、使用上の制限、味の問題、経済性の観点から、塩に
対し0.5重量%〜10重量%が好ましい。また、塩に
添加するトレハロース水溶液におけるトレハロースの濃
度も、特に限定されるものではないが、一般に、トレハ
ロース水溶液の濃度が低くなれば、添加後の乾燥操作の
負荷が高くなるため、作業上はできるだけ高濃度のトレ
ハロース溶液が用いられる。上記混合物の乾燥条件は、
目的とする結晶表面がトレハロースで被覆された塩の所
望の水分含有量等に応じて適宜設定すればよい。
宜設定することができ、通常、塩の重量に対し、0.5
重量%以上であれば所望の目的を達成することができ
る。一般に、使用量が増えるに従いその効果も高くなる
ため、使用量の上限は実質上設定できるものではない
が、使用上の制限、味の問題、経済性の観点から、塩に
対し0.5重量%〜10重量%が好ましい。また、塩に
添加するトレハロース水溶液におけるトレハロースの濃
度も、特に限定されるものではないが、一般に、トレハ
ロース水溶液の濃度が低くなれば、添加後の乾燥操作の
負荷が高くなるため、作業上はできるだけ高濃度のトレ
ハロース溶液が用いられる。上記混合物の乾燥条件は、
目的とする結晶表面がトレハロースで被覆された塩の所
望の水分含有量等に応じて適宜設定すればよい。
【0016】また、冬期における道路等の融氷雪用とし
て塩を散布する場合があるが、この塩にトレハロースを
添加することにより、貯蔵中の固結を防止し、また散布
後に問題となる金属腐食を緩和する効果があることも本
発明者等により判明した。
て塩を散布する場合があるが、この塩にトレハロースを
添加することにより、貯蔵中の固結を防止し、また散布
後に問題となる金属腐食を緩和する効果があることも本
発明者等により判明した。
【0017】
【実施例】以下、実施例、比較例により本発明をさらに
具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定され
るものではい。
具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定され
るものではい。
【0018】実施例1 精製塩(日本食塩製造(株)製、塩化ナトリウム含有量
99.99重量%、水分量0.01重量%)500g
に、トレハロースの添加量が0、0.1、0.5、1.
0重量%の各添加量となるように、トレハロース50重
量%濃度の水溶液((株)林原製のトレハロースを蒸留
水に溶解して調製したもの)を噴霧にて所定量添加した
後、V型混合機にて均一に混合し、電気式通風乾燥器中
にて60℃で2時間乾燥し、上記各所定量のトレハロー
スを添加した試料塩を得た。なお、トレハロース添加量
0重量%の試料塩は、飽和食塩水を0.5重量%となる
ように精製塩に添加して以降他の添加量の場合と同様に
操作を行った。得られた各試料塩の内、トレハロースの
添加された試料塩はいずれも、着色したトレハロース溶
液を噴霧し表面の着色状態及び着色割断面を観察するこ
とにより、塩の結晶表面がトレハロースで被覆されてい
ることが確認された。
99.99重量%、水分量0.01重量%)500g
に、トレハロースの添加量が0、0.1、0.5、1.
0重量%の各添加量となるように、トレハロース50重
量%濃度の水溶液((株)林原製のトレハロースを蒸留
水に溶解して調製したもの)を噴霧にて所定量添加した
後、V型混合機にて均一に混合し、電気式通風乾燥器中
にて60℃で2時間乾燥し、上記各所定量のトレハロー
スを添加した試料塩を得た。なお、トレハロース添加量
0重量%の試料塩は、飽和食塩水を0.5重量%となる
ように精製塩に添加して以降他の添加量の場合と同様に
操作を行った。得られた各試料塩の内、トレハロースの
添加された試料塩はいずれも、着色したトレハロース溶
液を噴霧し表面の着色状態及び着色割断面を観察するこ
とにより、塩の結晶表面がトレハロースで被覆されてい
ることが確認された。
【0019】得られた各試料塩を通気性のないプラスチ
ック容器にそれぞれ充填し、これらの試料塩を充填した
プラスチック容器について、その上部に、防湿性(透湿
度7g/m2 ・day)を有する樹脂製フィルムをヒー
トシールによって密着して蓋をした密封系と、その上部
に蓋をしない開放状態の開封系の2種類の保存条件を設
定し、それらを温度と相対湿度の環境条件が連続して変
化する、35℃、90%RHで2.5日間、25℃、4
0%RHで1日間の繰り返しの環境(以下「加速環境」
という)に29日間蔵置した。29日間蔵置後、試料塩
に占める固結塊の重量割合である固結率(重量%)と、
この時の固結塊を破壊するに要する力を表す固結強度
(kg/cm2 )を測定した。固結率の測定は、(財)
塩事業センター;「塩試験方法」、145(1997)
により、固結強度の測定は、(財)塩事業センター;
「塩試験方法」、141(1997)によった。これら
の測定結果を表1に示した。
ック容器にそれぞれ充填し、これらの試料塩を充填した
プラスチック容器について、その上部に、防湿性(透湿
度7g/m2 ・day)を有する樹脂製フィルムをヒー
トシールによって密着して蓋をした密封系と、その上部
に蓋をしない開放状態の開封系の2種類の保存条件を設
定し、それらを温度と相対湿度の環境条件が連続して変
化する、35℃、90%RHで2.5日間、25℃、4
0%RHで1日間の繰り返しの環境(以下「加速環境」
という)に29日間蔵置した。29日間蔵置後、試料塩
に占める固結塊の重量割合である固結率(重量%)と、
この時の固結塊を破壊するに要する力を表す固結強度
(kg/cm2 )を測定した。固結率の測定は、(財)
塩事業センター;「塩試験方法」、145(1997)
により、固結強度の測定は、(財)塩事業センター;
「塩試験方法」、141(1997)によった。これら
の測定結果を表1に示した。
【0020】
【表1】
【0021】表1に示したとおり、密封系、開封系共
に、トレハロースの添加量が増加するとともに固結率が
減少する傾向にあった。密封系においては、トレハロー
ス無添加では、100%固結したのに対し、0.1%添
加では63.4%固結で、0.5%添加では9.6%固
結で、1.0%添加では固結しなかった。これに対し、
開封系においては、試料層への環境空気の流出入が自由
となり塩の固結に対して過酷な条件であるため、密封系
に比して効果は弱くなり、添加量0.1、0.5%では
100%固結したが、1.0%添加では48.1%の固
結率であった。また、この時の固結強度は、密封系、開
封系共に、固結塊が生ずる場合でもトレハロースを添加
することにより固結塊は弱い塊となり、密封系では添加
量0.1%以上で、開封系では添加量0.5%以上で固
結強度は0.5kg/cm2 以下となり、塊は手で簡単
につぶせる程度の強度のものであった。また、開封系の
1.0%添加では、固結塊は生じたものの固結強度を測
定できない程度の弱い塊であった。以上要するに、トレ
ハロースの添加により、塩の固結を促進させる過酷な環
境条件においても、塩の固結現象を防止、または相当程
度緩和することができた。
に、トレハロースの添加量が増加するとともに固結率が
減少する傾向にあった。密封系においては、トレハロー
ス無添加では、100%固結したのに対し、0.1%添
加では63.4%固結で、0.5%添加では9.6%固
結で、1.0%添加では固結しなかった。これに対し、
開封系においては、試料層への環境空気の流出入が自由
となり塩の固結に対して過酷な条件であるため、密封系
に比して効果は弱くなり、添加量0.1、0.5%では
100%固結したが、1.0%添加では48.1%の固
結率であった。また、この時の固結強度は、密封系、開
封系共に、固結塊が生ずる場合でもトレハロースを添加
することにより固結塊は弱い塊となり、密封系では添加
量0.1%以上で、開封系では添加量0.5%以上で固
結強度は0.5kg/cm2 以下となり、塊は手で簡単
につぶせる程度の強度のものであった。また、開封系の
1.0%添加では、固結塊は生じたものの固結強度を測
定できない程度の弱い塊であった。以上要するに、トレ
ハロースの添加により、塩の固結を促進させる過酷な環
境条件においても、塩の固結現象を防止、または相当程
度緩和することができた。
【0022】実施例2 実施例1と同様にして、トレハロースの添加量がそれぞ
れ0、0.1、0.5、1.0重量%である試料塩を調
製した。これらの試料塩を、通気性のないプラスチック
容器にそれぞれ充填し、容器上部に蓋をしない開封状態
で、温度24〜32℃、湿度60〜70%RHの条件、
つまり実施例1の加速環境よりは穏やかな条件であっ
て、塩の保管、使用で通常一般的な環境条件(以下「自
然環境」という)に29日間蔵置した。29日間蔵置
後、実施例1と同様に、試料塩について固結率および固
結塊の固結強度を測定し、その測定結果を表2に示し
た。
れ0、0.1、0.5、1.0重量%である試料塩を調
製した。これらの試料塩を、通気性のないプラスチック
容器にそれぞれ充填し、容器上部に蓋をしない開封状態
で、温度24〜32℃、湿度60〜70%RHの条件、
つまり実施例1の加速環境よりは穏やかな条件であっ
て、塩の保管、使用で通常一般的な環境条件(以下「自
然環境」という)に29日間蔵置した。29日間蔵置
後、実施例1と同様に、試料塩について固結率および固
結塊の固結強度を測定し、その測定結果を表2に示し
た。
【0023】
【表2】
【0024】表2に示したとおり、トレハロースの添加
量が増加すると共に固結率が減少し、添加量0.5%で
は固結率は27.4%、添加量1.0%では固結しなか
った。また、発生する固結塊は、トレハロースを添加す
ることにより固結強度の弱い塊となり、添加量0.1%
で固結強度は0.5kg/cm2 以下となり、固結塊は
手で簡単につぶせる程度の強度のものであった。以上要
するに、トレハロースの添加により、塩を保管、使用す
る一般的な環境条件においても、塩の固結現象を防止、
または相当程度緩和することができた。
量が増加すると共に固結率が減少し、添加量0.5%で
は固結率は27.4%、添加量1.0%では固結しなか
った。また、発生する固結塊は、トレハロースを添加す
ることにより固結強度の弱い塊となり、添加量0.1%
で固結強度は0.5kg/cm2 以下となり、固結塊は
手で簡単につぶせる程度の強度のものであった。以上要
するに、トレハロースの添加により、塩を保管、使用す
る一般的な環境条件においても、塩の固結現象を防止、
または相当程度緩和することができた。
【0025】トレハロースを添加した場合および添加し
なかった場合のそれぞれの塩の結晶表面の走査型電子顕
微鏡による写真(300倍)を図1〜3に示す。図1
は、実施例1に用いた精製塩の結晶表面写真である。図
2は、実施例2における、トレハロースを添加しなかっ
た場合の29日間蔵置後の試料塩の結晶表面写真であ
る。図3は、実施例2における、トレハロースを0.5
重量%添加した場合の29日間蔵置後の試料塩の結晶表
面写真である。
なかった場合のそれぞれの塩の結晶表面の走査型電子顕
微鏡による写真(300倍)を図1〜3に示す。図1
は、実施例1に用いた精製塩の結晶表面写真である。図
2は、実施例2における、トレハロースを添加しなかっ
た場合の29日間蔵置後の試料塩の結晶表面写真であ
る。図3は、実施例2における、トレハロースを0.5
重量%添加した場合の29日間蔵置後の試料塩の結晶表
面写真である。
【0026】図2の結晶表面は、図1の蔵置前の精製塩
の結晶表面に比べ、滑らかな結晶表面に変化し、一部に
新たに析出した塩結晶が見られる。これは、蔵置環境空
気中の水分が試料塩結晶表面に付着して表面を溶解し、
環境中の温湿度の変化により水分が蒸発して新たな結晶
が析出したことを示しており、塩結晶表面における溶解
と再結晶を繰り返すことにより固結が発生したことを裏
付けるものである。一方、図3の結晶表面は、図1の蔵
置前の精製塩の結晶表面と比べ、大きな違いが見られ
ず、トレハロースの添加により塩結晶表面の溶解と再結
晶が防止されていることが分かる。
の結晶表面に比べ、滑らかな結晶表面に変化し、一部に
新たに析出した塩結晶が見られる。これは、蔵置環境空
気中の水分が試料塩結晶表面に付着して表面を溶解し、
環境中の温湿度の変化により水分が蒸発して新たな結晶
が析出したことを示しており、塩結晶表面における溶解
と再結晶を繰り返すことにより固結が発生したことを裏
付けるものである。一方、図3の結晶表面は、図1の蔵
置前の精製塩の結晶表面と比べ、大きな違いが見られ
ず、トレハロースの添加により塩結晶表面の溶解と再結
晶が防止されていることが分かる。
【0027】比較例1 実施例1で用いたと同様の精製塩500gに、固結防止
剤として従来から使用されている炭酸マグネシウムを
0.4重量%の添加量、リン酸水素二ナトリウムを0.
5、1.0、2.0重量%の添加量となるようにそれぞ
れ粉体で添加混合した後、通気性のないプラスチック容
器にそれぞれ充填し、容器上部に蓋をしない開封状態
で、それらを実施例1と同様の加速環境に27日間蔵置
した。また、実施例1で用いたと同様の精製塩500g
を、何等の固結防止剤も添加することなく、プラスチッ
ク容器に充填し、容器上部に蓋をしない開封状態で、そ
れを実施例1と同様の加速環境に27日間蔵置した。2
7日間蔵置後、実施例1と同様に、試料塩について固結
率および固結塊の固結強度を測定し、その測定結果を表
3に示した。
剤として従来から使用されている炭酸マグネシウムを
0.4重量%の添加量、リン酸水素二ナトリウムを0.
5、1.0、2.0重量%の添加量となるようにそれぞ
れ粉体で添加混合した後、通気性のないプラスチック容
器にそれぞれ充填し、容器上部に蓋をしない開封状態
で、それらを実施例1と同様の加速環境に27日間蔵置
した。また、実施例1で用いたと同様の精製塩500g
を、何等の固結防止剤も添加することなく、プラスチッ
ク容器に充填し、容器上部に蓋をしない開封状態で、そ
れを実施例1と同様の加速環境に27日間蔵置した。2
7日間蔵置後、実施例1と同様に、試料塩について固結
率および固結塊の固結強度を測定し、その測定結果を表
3に示した。
【0028】
【表3】
【0029】表3に示したとおり、試料塩は、炭酸マグ
ネシウム、リン酸水素二ナトリウムのいずれを用いた場
合もいずれの添加量においても100%固結した。この
比較例1のように開封系での加速環境における蔵置で
は、トレハロースを用いた場合でも、表1に示したとお
り、その添加量が少量では100%固結する。例えば、
トレハロースの添加量0.5%で100%固結したが、
その時の固結塊の固結強度は0.4kg/cm2 であっ
た。それに対し、炭酸マグネシウムを用いた場合は、ほ
ぼ同程度の添加量といえる0.4%添加では、その時の
固結塊の固結強度は1.10kg/cm2 であった。ま
た、リン酸水素二ナトリウムを用いた場合は、添加量
0.5%では、その時の固結塊の固結強度は0.99k
g/cm2 であり、添加量1.0%では、その時の固結
塊の固結強度は0.15kg/cm2であり、添加量
2.0%では、その時の固結塊の固結強度は0.75k
g/cm 2 であった。以上要するに、トレハロースは従
来から用いられている固結防止剤に比べて優れた固結防
止効果を示すことが明らかとなった。
ネシウム、リン酸水素二ナトリウムのいずれを用いた場
合もいずれの添加量においても100%固結した。この
比較例1のように開封系での加速環境における蔵置で
は、トレハロースを用いた場合でも、表1に示したとお
り、その添加量が少量では100%固結する。例えば、
トレハロースの添加量0.5%で100%固結したが、
その時の固結塊の固結強度は0.4kg/cm2 であっ
た。それに対し、炭酸マグネシウムを用いた場合は、ほ
ぼ同程度の添加量といえる0.4%添加では、その時の
固結塊の固結強度は1.10kg/cm2 であった。ま
た、リン酸水素二ナトリウムを用いた場合は、添加量
0.5%では、その時の固結塊の固結強度は0.99k
g/cm2 であり、添加量1.0%では、その時の固結
塊の固結強度は0.15kg/cm2であり、添加量
2.0%では、その時の固結塊の固結強度は0.75k
g/cm 2 であった。以上要するに、トレハロースは従
来から用いられている固結防止剤に比べて優れた固結防
止効果を示すことが明らかとなった。
【0030】実施例3 実施例1と同様にして、トレハロースの添加量が1.0
重量%の試料塩を得た。得られた試料塩を蒸留水に10
重量%濃度になるように溶解し、分光光度計において、
波長660nm、光路長1cmにおける吸光度を、対照
側を蒸留水として測定し、その結果を表4に示した。比
較のため、炭酸マグネシウムを0.4重量%添加した食
卓塩(日本食塩製造(株)製)を蒸留水に10重量%濃
度になるように溶解した場合の吸光度を、上記と同様に
測定し、その結果を表4に合わせ示した。また、試料塩
の調製に用いたトレハロース無添加の精製塩について
も、上記と同様にして吸光度を測定し、その結果を表4
に合わせ示した。
重量%の試料塩を得た。得られた試料塩を蒸留水に10
重量%濃度になるように溶解し、分光光度計において、
波長660nm、光路長1cmにおける吸光度を、対照
側を蒸留水として測定し、その結果を表4に示した。比
較のため、炭酸マグネシウムを0.4重量%添加した食
卓塩(日本食塩製造(株)製)を蒸留水に10重量%濃
度になるように溶解した場合の吸光度を、上記と同様に
測定し、その結果を表4に合わせ示した。また、試料塩
の調製に用いたトレハロース無添加の精製塩について
も、上記と同様にして吸光度を測定し、その結果を表4
に合わせ示した。
【0031】
【表4】
【0032】表4に示したとおり、炭酸マグネシウムを
添加した食卓塩では、不溶性の炭酸マグネシウムのため
に吸光度0.420を示したが、トレハロースを添加し
た試料塩では、トレハロースを添加することによって濁
りは発生せず、トレハロース無添加の精製塩と吸光度は
同じであった。以上要するに、トレハロースを用いて
も、水に溶解した場合に濁りを生じない。
添加した食卓塩では、不溶性の炭酸マグネシウムのため
に吸光度0.420を示したが、トレハロースを添加し
た試料塩では、トレハロースを添加することによって濁
りは発生せず、トレハロース無添加の精製塩と吸光度は
同じであった。以上要するに、トレハロースを用いて
も、水に溶解した場合に濁りを生じない。
【0033】実施例4 天日塩の粉砕塩(塩化ナトリウム含有量97.27重量
%、水分量2.46重量%、その他0.27重量%)5
00gに、トレハロースの添加量が0、0.5、1.
0、3.0重量%の各添加量となるように、また添加後
の水分量が3.0重量%となるように濃度を調整したト
レハロース水溶液を噴霧にて所定量添加後、V型ミキサ
ーにて均一に混合し、実施例1と同様のプラスチック容
器に充填し、容器上部に蓋をしない開封状態で、−15
℃の低温フリーザーに3日間蔵置した。トレハロース添
加量0重量%の試料塩は、上記粉砕塩に水のみを水分量
3.0%となるように添加し、同様に蔵置した。また比
較として、これまでに低温状態での固結緩和に効果があ
る塩化マグネシウム等を含むにがり(水分71.3重量
%、塩化マグネシウム10.28重量%、塩化カルシウ
ム3.29重量%、塩化カリウム7.74重量%、塩化
ナトリウム7.34重量%、硫酸カルシウム0.05
%、20℃比重1.275)を、水分量が3.0重量%
となるように7.5mlを添加して同様に蔵置した。蔵
置後、常温環境で試料塩を容器から取り出し、速やかに
実施例1と同様の方法で、試料塩について固結率および
固結塊の固結強度を測定した。このうち固結強度は、容
器から取り出した固結塊を縦方向に四分割して一辺3.
7cmの底面で高さ7cmのテストピースを長手方向の
破壊荷重から算出した。結果を表5に示す。
%、水分量2.46重量%、その他0.27重量%)5
00gに、トレハロースの添加量が0、0.5、1.
0、3.0重量%の各添加量となるように、また添加後
の水分量が3.0重量%となるように濃度を調整したト
レハロース水溶液を噴霧にて所定量添加後、V型ミキサ
ーにて均一に混合し、実施例1と同様のプラスチック容
器に充填し、容器上部に蓋をしない開封状態で、−15
℃の低温フリーザーに3日間蔵置した。トレハロース添
加量0重量%の試料塩は、上記粉砕塩に水のみを水分量
3.0%となるように添加し、同様に蔵置した。また比
較として、これまでに低温状態での固結緩和に効果があ
る塩化マグネシウム等を含むにがり(水分71.3重量
%、塩化マグネシウム10.28重量%、塩化カルシウ
ム3.29重量%、塩化カリウム7.74重量%、塩化
ナトリウム7.34重量%、硫酸カルシウム0.05
%、20℃比重1.275)を、水分量が3.0重量%
となるように7.5mlを添加して同様に蔵置した。蔵
置後、常温環境で試料塩を容器から取り出し、速やかに
実施例1と同様の方法で、試料塩について固結率および
固結塊の固結強度を測定した。このうち固結強度は、容
器から取り出した固結塊を縦方向に四分割して一辺3.
7cmの底面で高さ7cmのテストピースを長手方向の
破壊荷重から算出した。結果を表5に示す。
【0034】
【表5】
【0035】表5に示したとおり、トレハロースを添加
することにより、トレハロース1.0重量%までは10
0%低温固結したが、固結塊の固結強度を緩和すること
ができた。また、トレハロース3.0重量%では低温固
結を防止することができ、加えて従来から低温固結緩和
に効果的であることが知られているにがりを添加した場
合よりも、低温固結防止効果が高いことがわかる。
することにより、トレハロース1.0重量%までは10
0%低温固結したが、固結塊の固結強度を緩和すること
ができた。また、トレハロース3.0重量%では低温固
結を防止することができ、加えて従来から低温固結緩和
に効果的であることが知られているにがりを添加した場
合よりも、低温固結防止効果が高いことがわかる。
【0036】実施例5 トレハロースを添加物として含む塩化ナトリウム水溶液
の金属腐食防止効果を以下の方法により評価した。 (測定方法)腐食防止効果は、"Planned interval tes
t" (奥田聡監修「防食技術ハンドブック」、130
頁、化学工業社(1972))の手順と結果の評価表を
参考に、以下の方法により測定した。すなわち、予め重
量を測定した軟鋼製テストピース2枚を、トレハロース
を0重量%、1重量%、3重量%加えた25℃の塩化ナ
トリウムの3%溶液200mlに浸漬した。10日間経
過後にテストピースを取り出し、200g/lの濃度で
亜鉛を含む20重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液中で
5分間煮沸し、テストピースに付着した腐食生成物を除
去した。重量の減少量から腐食速度(g/m2・da
y)を算出し、防食効果を次式で算出して評価した。結
果を下表に示す。
の金属腐食防止効果を以下の方法により評価した。 (測定方法)腐食防止効果は、"Planned interval tes
t" (奥田聡監修「防食技術ハンドブック」、130
頁、化学工業社(1972))の手順と結果の評価表を
参考に、以下の方法により測定した。すなわち、予め重
量を測定した軟鋼製テストピース2枚を、トレハロース
を0重量%、1重量%、3重量%加えた25℃の塩化ナ
トリウムの3%溶液200mlに浸漬した。10日間経
過後にテストピースを取り出し、200g/lの濃度で
亜鉛を含む20重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液中で
5分間煮沸し、テストピースに付着した腐食生成物を除
去した。重量の減少量から腐食速度(g/m2・da
y)を算出し、防食効果を次式で算出して評価した。結
果を下表に示す。
【0037】
【数1】
【0038】Z:防食効果(%) G0 :トレハロースを添加しないときの腐食速度(g/
m2 ・day) G1 :トレハロースを添加したときの腐食速度(g/m
2 ・day)
m2 ・day) G1 :トレハロースを添加したときの腐食速度(g/m
2 ・day)
【0039】
【表6】
【0040】結果の通り、トレハロースを添加した場
合、塩化ナトリウムによる軟鋼の腐食を緩和することが
できた。
合、塩化ナトリウムによる軟鋼の腐食を緩和することが
できた。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、優れた効果とその持続
性を有し、水に溶解した場合にも白濁を生じず、しっと
りして流動性に欠けることもなく、かつ日本において食
卓塩など食用の塩にも適用できる、塩の固結防止方法が
提供される。
性を有し、水に溶解した場合にも白濁を生じず、しっと
りして流動性に欠けることもなく、かつ日本において食
卓塩など食用の塩にも適用できる、塩の固結防止方法が
提供される。
【0042】本発明で固結防止剤として用いるトレハロ
ースは水溶性であるから、本発明の固結防止方法に従っ
た塩は水に溶解しても白濁することはなく、このトレハ
ロースはほとんど吸湿しないものであるから、本発明の
固結防止方法に従った塩はしっとりして流動性に欠ける
ようになることもなく、またこのトレハロースは従来か
ら日常的に人間が食してきた糖質であるから、本発明の
固結防止方法は日本において食卓塩など食用の塩に好適
に適用することがでる。さらに、トレハロースは甘味度
がショ糖の約1/2の優れた質の甘味を有するものであ
るから、本発明の固結防止方法に従った塩は、固結が防
止されることの他、トレハロースの添加量を適宜選択す
ることにより、甘味を隠し味とした味わい深い塩とする
ことができる。
ースは水溶性であるから、本発明の固結防止方法に従っ
た塩は水に溶解しても白濁することはなく、このトレハ
ロースはほとんど吸湿しないものであるから、本発明の
固結防止方法に従った塩はしっとりして流動性に欠ける
ようになることもなく、またこのトレハロースは従来か
ら日常的に人間が食してきた糖質であるから、本発明の
固結防止方法は日本において食卓塩など食用の塩に好適
に適用することがでる。さらに、トレハロースは甘味度
がショ糖の約1/2の優れた質の甘味を有するものであ
るから、本発明の固結防止方法に従った塩は、固結が防
止されることの他、トレハロースの添加量を適宜選択す
ることにより、甘味を隠し味とした味わい深い塩とする
ことができる。
【0043】さらに、トレハロースを添加することによ
り低温固結を効果的に防止することができる。このた
め、塩の品温を氷点以上に維持するための暖房が不要で
あり、設備費および燃料代を節約することができる。ま
た、低温固結した塩を使用前または使用中に崩す作業も
必要ない。また、塩の包装単位が大きくなっても野外で
の保管が可能であり、塩自体の重みがかかっても固結し
にくいので、保管場所や包装単位の制約もない。また、
トレハロースを添加することにより金属腐食を緩和する
ことができる。
り低温固結を効果的に防止することができる。このた
め、塩の品温を氷点以上に維持するための暖房が不要で
あり、設備費および燃料代を節約することができる。ま
た、低温固結した塩を使用前または使用中に崩す作業も
必要ない。また、塩の包装単位が大きくなっても野外で
の保管が可能であり、塩自体の重みがかかっても固結し
にくいので、保管場所や包装単位の制約もない。また、
トレハロースを添加することにより金属腐食を緩和する
ことができる。
【図1】実施例1に用いた精製塩の結晶表面の走査型電
子顕微鏡による写真である。
子顕微鏡による写真である。
【図2】実施例2における、トレハロースを添加しなっ
かた場合の29日蔵置後の試料塩の結晶表面の走査型電
子顕微鏡による写真である。
かた場合の29日蔵置後の試料塩の結晶表面の走査型電
子顕微鏡による写真である。
【図3】実施例2における、トレハロースを0.5重量
%添加した場合の29日蔵置後試料塩の塩の結晶表面の
走査型電子顕微鏡による写真である。
%添加した場合の29日蔵置後試料塩の塩の結晶表面の
走査型電子顕微鏡による写真である。
Claims (4)
- 【請求項1】 塩の結晶表面をトレハロースで被覆する
ことを特徴とする塩の固結防止方法。 - 【請求項2】 トレハロースの使用量が、塩に対して
0.5重量%以上である請求項1に記載の塩の固結防止
方法。 - 【請求項3】 トレハロースによる塩の結晶表面の被覆
が、トレハロースの水溶液を塩に添加、混合し、しかる
後該混合物を乾燥することにより行われる請求項1又は
2に記載の塩の固結防止方法。 - 【請求項4】 トレハロースによる塩の結晶表面の被覆
が、トレハロースの水溶液を塩に添加、混合することに
より行われる請求項1又は2に記載の塩の固結防止方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11036383A JP2000233923A (ja) | 1999-02-15 | 1999-02-15 | 塩の固結防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11036383A JP2000233923A (ja) | 1999-02-15 | 1999-02-15 | 塩の固結防止方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000233923A true JP2000233923A (ja) | 2000-08-29 |
Family
ID=12468336
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11036383A Pending JP2000233923A (ja) | 1999-02-15 | 1999-02-15 | 塩の固結防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000233923A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007238852A (ja) * | 2006-03-10 | 2007-09-20 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | 微細有機顔料の製造方法 |
WO2008146491A1 (ja) | 2007-05-31 | 2008-12-04 | Ajinomoto Co., Inc. | 呈味改善剤 |
JP2012520079A (ja) * | 2009-03-12 | 2012-09-06 | カーギル・インコーポレイテッド | モナチンおよびカルシウムを含む組成物 |
WO2019168110A1 (ja) * | 2018-03-01 | 2019-09-06 | 住友化学株式会社 | 水酸化リチウム粉末の製造方法、リチウム二次電池用正極活物質の製造方法、及びパッケージ |
-
1999
- 1999-02-15 JP JP11036383A patent/JP2000233923A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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