JP2000233923A - 塩の固結防止方法 - Google Patents

塩の固結防止方法

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JP2000233923A
JP2000233923A JP11036383A JP3638399A JP2000233923A JP 2000233923 A JP2000233923 A JP 2000233923A JP 11036383 A JP11036383 A JP 11036383A JP 3638399 A JP3638399 A JP 3638399A JP 2000233923 A JP2000233923 A JP 2000233923A
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Hiroshi Ito
浩士 伊藤
Tomio Shinohara
富男 篠原
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Salt Industry Center of Japan.
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SOLT INDUSTRY CT OF JAPAN
Salt Industry Center of Japan.
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた効果とその持続性を有し、水に溶解し
た場合にも白濁を生じず、しっとりして流動性に欠ける
こともない、塩の固結防止方法を提供する。また、低温
においても効果的で、併せて、金属腐食の緩和にも効果
的な、塩の固結防止方法を提供する。 【解決手段】 塩の結晶表面をトレハロースで被覆す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食塩等の塩化ナト
リウムを主成分とする塩の固結を防止する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】塩は、保存環境中の温湿度が変化すると
結晶の表面で水分の吸収、放出を繰り返し、高湿度の場
合に水分を吸収して結晶表面が溶解し、低湿度の場合に
水分が結晶表面から放出され、放出時に新たに塩の微結
晶が析出し、析出した微結晶が結晶間を架橋することに
よって固結することが知られている(D.W.KAUF
MANN Edi.(財)ソルト・サイエンス研究財団
監訳;「塩化ナトリウム」、468(1993))。塩
では、その結晶表面での25℃における吸湿、放湿の現
象が生ずる境目の環境湿度は相対湿度75%(以下「7
5%RH(25℃)」と記す)で、我が国においては通
常の環境条件でこの相対湿度を上下しており、故に塩の
取扱いにおいて固結現象の発生が多く見られる。固結が
起こると塩の商品性を損なうため、これまで種々の固結
防止手段が提案されてきた。
【0003】例えば、(a)フェロシアン塩、クエン酸
鉄アンモニウムのように塩の結晶成長を阻害し、微細化
するという媒晶作用を示す物質の添加、(b)塩基性炭
酸マグネシウム、微粒二酸化ケイ素(特開平5−229
815号公報)のように接触防止作用のある物質の添
加、(c)塩化マグネシウム、塩化カルシウムのように
調湿作用のある物質の添加、(d)硫酸マグネシウム
(特開昭63−109755号公報)、シリカゲルおよ
びリン酸水素二ナトリウム(益子公男;「粉粒体の固結
現象と防結対策」、132;(株)テクノシステム(1
996))のように吸湿作用のある物質の添加等が提案
され、一部は実際に用いられている。
【0004】しかし、上記(a)のフェロシアン塩は微
量で大きな効果を示すものの、日本では食品添加物に認
可されておらず、クエン酸鉄アンモニウムは錯塩が不安
定で効果の持続性に問題があるため使用されていない。
上記(b)の塩基性炭酸マグネシウム、微粒二酸化ケイ
素の両者は効果も優れ、塩基性炭酸マグネシウムは市販
の食卓塩等に使用されているが、水不溶性のため溶解時
に白濁する欠点がある。上記(c)の塩化マグネシウ
ム、塩化カルシウムの両者は固結防止効果は示すが、水
分量が多いためしっとりして流動性が低い欠点がある。
上記(d)の硫酸マグネシウム、シリカゲル、リン酸水
素二ナトリウムなどの添加物は効果の持続性に問題があ
るため実際には使用されていない。
【0005】一方、塩化ナトリウムは、水分の存在下で
品温が0.1℃以下の低温になると、2水和物に変化す
ることが知られている。通常、塩化ナトリウムの水分
は、塩化ナトリウムの飽和溶液として塩化ナトリウム結
晶に付着している。この水分の塩化ナトリウム溶解度
は、温度が低下することにより減少するため、塩化ナト
リウムの微結晶が析出するが、温度が上記0.1℃以下
になると、塩化ナトリウムの2水和物が析出する。この
塩化ナトリウム2水和物の析出によって、水分中の塩化
ナトリウム濃度が低下して未飽和となり、この水分に塩
化ナトリウムが溶解する。このような析出および溶解が
繰り返され、結晶表面に付着した水分がなくなるまで塩
化ナトリウム2水和物の生成が行われる(D.W.KA
UFMANNEdi.(財)ソルト・サイエンス研究財
団監訳;「塩化ナトリウム」、478(1993))。
塩化ナトリウム結晶の水分の大部分は結晶表面に存在す
るため、上述の反応は結晶表面で起こる。この結果、生
成した塩化ナトリウム2水和物が隣接する複数の結晶間
を架橋し、塩化ナトリウムの結晶が互いに結合して、い
わゆる低温固結を引き起こす。このように、低温固結し
た塩化ナトリウムの粒子群は、流動性がほとんど無く、
取扱いが困難であるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の状況に鑑み、優れた効果とその持続性を有し、水
に溶解した場合にも白濁を生じず、しっとりして流動性
に欠けることもない、塩の固結防止方法を提供すること
にある。さらに、本発明の目的は、塩の低温固結を未然
に防止し、屋内貯蔵や固結した塩の結晶を崩す手間が不
要な、塩の低温固結防止方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、固結防止剤としてトレ
ハロースを用い、このトレハロースで塩の結晶表面を被
覆することにより上記目的を達成できることを見出して
本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、上記目的を達成する
ために、次の塩の固結防止方法を提供する。 (1)塩の結晶表面をトレハロースで被覆することを特
徴とする塩の固結防止方法。 (2)トレハロースの使用量が、塩に対して0.5重量
%以上である上記(1)に記載の塩の固結防止方法。 (3)トレハロースによる塩の結晶表面の被覆が、トレ
ハロースの水溶液を塩に添加、混合し、しかる後該混合
物を乾燥することにより行われる上記(1)又は(2)
に記載の塩の固結防止方法。 (4)トレハロースによる塩の結晶表面の被覆が、トレ
ハロースの水溶液を塩に添加、混合することにより行わ
れる上記(1)又は(2)に記載の塩の固結防止方法。 なお、本発明における「塩の結晶表面」は、個々の塩の
結晶表面および複数の結晶が結合した粒子の表面の両方
を意味するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明を適用する塩は、食塩等の
塩化ナトリウムを主成分とする塩であって、本発明は、
その製造由来等を問うことなく種々の市販の塩に適用す
ることができる。特に、塩化ナトリウム含有量が高く低
水分で固結しやすい性質の塩に適用するのが効果的であ
る。
【0010】本発明で固結防止剤として用いるトレハロ
ースは、1832年にWiggersによりライ麦の麦
角から結晶として単離され(H.A.L.Wigger
s:Annnalen der Pharmacie、
1、129−182(1832))、1858年にはB
erthelotによりトレハラマンナから分離された
(M.Berthelot:Comp.Rend.4
6、1276−1279(1858))ところの、2分
子のグルコースがα-1、α-1結合した非還元性の二糖
で、α−D−グルコピラシノシルα−D−グルコピラノ
シドであり、下記一般式(I)で表されるものである。
【0011】
【化1】
【0012】自然界ではトレハロースは動植物、微生物
にわたって広く存在し、従来から日常的に人間が食して
きた糖質である。このトレハロースは、近年、非還元性
であることからメイラード反応を起こさない、pHに対
し安定で特に酸性側での加熱分解が生じにくい、甘味度
がショ糖の約1/2の優れた質の甘味を有するなどの諸
性質を応用した、食品分野における利用が活発である。
また最近、でんぷんから新規酵素により製造する工業的
製造法が確立され安価となったこと、でんぷん老化防
止、タンパク質変性防止などの新たな効果が見出された
ことなどから、従来の甘味料以外の分野での利用が試み
られている。
【0013】トレハロースは、上記した諸特性の他に、
環境中の相対湿度が95%(25℃)以下ではほとんど
吸湿、放湿を生じない性質を有することが明かとなって
いる。一方、塩は、前述の通り、保存環境中の75%R
H(25℃)を境目に上下する温湿度の変化により、塩
の結晶表面で水分の吸収、放出を繰り返し、水分を吸収
して溶解した塩が水分の放出時に析出し、析出した微結
晶が結晶間を架橋することによって固結する。そこで本
発明は、環境中の相対湿度が95%以下ではほとんど吸
湿、放湿を生じないトレハロースの性質に着目し、種々
検討し、トレハロースで塩の結晶の表面を被覆すること
により、塩の結晶表面での水分の吸放出を抑制し、塩の
固結を防止することに創達したものである。
【0014】本発明では、固結防止剤として、その製造
由来等を問うことなく市販のトレハロースを適宜選択し
て用いることができる。トレハロースにより塩の結晶表
面を被覆するには、特にその方法を制限する必要はない
が、一般に、トレハロースを水に溶解し、その水溶液を
例えば噴霧機等の手段自体は公知の一般的手段で塩に添
加し、次いで例えば粉体混合機等の手段自体は公知の一
般的手段で混合し、得られた混合物を例えば熱風乾燥機
等の手段自体は公知の一般的手段で乾燥することにより
行われる。なお、低温状態においては塩は水分が多いほ
ど固結しやすい性質を示すことから、低温固結防止方法
においては、トレハロースによる塩の結晶表面の被覆
は、トレハロースの水溶液を塩に添加、混合することに
より行われ、必要に応じて乾燥することにより行われ
る。
【0015】トレハロースの使用量は、必要に応じて適
宜設定することができ、通常、塩の重量に対し、0.5
重量%以上であれば所望の目的を達成することができ
る。一般に、使用量が増えるに従いその効果も高くなる
ため、使用量の上限は実質上設定できるものではない
が、使用上の制限、味の問題、経済性の観点から、塩に
対し0.5重量%〜10重量%が好ましい。また、塩に
添加するトレハロース水溶液におけるトレハロースの濃
度も、特に限定されるものではないが、一般に、トレハ
ロース水溶液の濃度が低くなれば、添加後の乾燥操作の
負荷が高くなるため、作業上はできるだけ高濃度のトレ
ハロース溶液が用いられる。上記混合物の乾燥条件は、
目的とする結晶表面がトレハロースで被覆された塩の所
望の水分含有量等に応じて適宜設定すればよい。
【0016】また、冬期における道路等の融氷雪用とし
て塩を散布する場合があるが、この塩にトレハロースを
添加することにより、貯蔵中の固結を防止し、また散布
後に問題となる金属腐食を緩和する効果があることも本
発明者等により判明した。
【0017】
【実施例】以下、実施例、比較例により本発明をさらに
具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定され
るものではい。
【0018】実施例1 精製塩(日本食塩製造(株)製、塩化ナトリウム含有量
99.99重量%、水分量0.01重量%)500g
に、トレハロースの添加量が0、0.1、0.5、1.
0重量%の各添加量となるように、トレハロース50重
量%濃度の水溶液((株)林原製のトレハロースを蒸留
水に溶解して調製したもの)を噴霧にて所定量添加した
後、V型混合機にて均一に混合し、電気式通風乾燥器中
にて60℃で2時間乾燥し、上記各所定量のトレハロー
スを添加した試料塩を得た。なお、トレハロース添加量
0重量%の試料塩は、飽和食塩水を0.5重量%となる
ように精製塩に添加して以降他の添加量の場合と同様に
操作を行った。得られた各試料塩の内、トレハロースの
添加された試料塩はいずれも、着色したトレハロース溶
液を噴霧し表面の着色状態及び着色割断面を観察するこ
とにより、塩の結晶表面がトレハロースで被覆されてい
ることが確認された。
【0019】得られた各試料塩を通気性のないプラスチ
ック容器にそれぞれ充填し、これらの試料塩を充填した
プラスチック容器について、その上部に、防湿性(透湿
度7g/m2 ・day)を有する樹脂製フィルムをヒー
トシールによって密着して蓋をした密封系と、その上部
に蓋をしない開放状態の開封系の2種類の保存条件を設
定し、それらを温度と相対湿度の環境条件が連続して変
化する、35℃、90%RHで2.5日間、25℃、4
0%RHで1日間の繰り返しの環境(以下「加速環境」
という)に29日間蔵置した。29日間蔵置後、試料塩
に占める固結塊の重量割合である固結率(重量%)と、
この時の固結塊を破壊するに要する力を表す固結強度
(kg/cm2 )を測定した。固結率の測定は、(財)
塩事業センター;「塩試験方法」、145(1997)
により、固結強度の測定は、(財)塩事業センター;
「塩試験方法」、141(1997)によった。これら
の測定結果を表1に示した。
【0020】
【表1】
【0021】表1に示したとおり、密封系、開封系共
に、トレハロースの添加量が増加するとともに固結率が
減少する傾向にあった。密封系においては、トレハロー
ス無添加では、100%固結したのに対し、0.1%添
加では63.4%固結で、0.5%添加では9.6%固
結で、1.0%添加では固結しなかった。これに対し、
開封系においては、試料層への環境空気の流出入が自由
となり塩の固結に対して過酷な条件であるため、密封系
に比して効果は弱くなり、添加量0.1、0.5%では
100%固結したが、1.0%添加では48.1%の固
結率であった。また、この時の固結強度は、密封系、開
封系共に、固結塊が生ずる場合でもトレハロースを添加
することにより固結塊は弱い塊となり、密封系では添加
量0.1%以上で、開封系では添加量0.5%以上で固
結強度は0.5kg/cm2 以下となり、塊は手で簡単
につぶせる程度の強度のものであった。また、開封系の
1.0%添加では、固結塊は生じたものの固結強度を測
定できない程度の弱い塊であった。以上要するに、トレ
ハロースの添加により、塩の固結を促進させる過酷な環
境条件においても、塩の固結現象を防止、または相当程
度緩和することができた。
【0022】実施例2 実施例1と同様にして、トレハロースの添加量がそれぞ
れ0、0.1、0.5、1.0重量%である試料塩を調
製した。これらの試料塩を、通気性のないプラスチック
容器にそれぞれ充填し、容器上部に蓋をしない開封状態
で、温度24〜32℃、湿度60〜70%RHの条件、
つまり実施例1の加速環境よりは穏やかな条件であっ
て、塩の保管、使用で通常一般的な環境条件(以下「自
然環境」という)に29日間蔵置した。29日間蔵置
後、実施例1と同様に、試料塩について固結率および固
結塊の固結強度を測定し、その測定結果を表2に示し
た。
【0023】
【表2】
【0024】表2に示したとおり、トレハロースの添加
量が増加すると共に固結率が減少し、添加量0.5%で
は固結率は27.4%、添加量1.0%では固結しなか
った。また、発生する固結塊は、トレハロースを添加す
ることにより固結強度の弱い塊となり、添加量0.1%
で固結強度は0.5kg/cm2 以下となり、固結塊は
手で簡単につぶせる程度の強度のものであった。以上要
するに、トレハロースの添加により、塩を保管、使用す
る一般的な環境条件においても、塩の固結現象を防止、
または相当程度緩和することができた。
【0025】トレハロースを添加した場合および添加し
なかった場合のそれぞれの塩の結晶表面の走査型電子顕
微鏡による写真(300倍)を図1〜3に示す。図1
は、実施例1に用いた精製塩の結晶表面写真である。図
2は、実施例2における、トレハロースを添加しなかっ
た場合の29日間蔵置後の試料塩の結晶表面写真であ
る。図3は、実施例2における、トレハロースを0.5
重量%添加した場合の29日間蔵置後の試料塩の結晶表
面写真である。
【0026】図2の結晶表面は、図1の蔵置前の精製塩
の結晶表面に比べ、滑らかな結晶表面に変化し、一部に
新たに析出した塩結晶が見られる。これは、蔵置環境空
気中の水分が試料塩結晶表面に付着して表面を溶解し、
環境中の温湿度の変化により水分が蒸発して新たな結晶
が析出したことを示しており、塩結晶表面における溶解
と再結晶を繰り返すことにより固結が発生したことを裏
付けるものである。一方、図3の結晶表面は、図1の蔵
置前の精製塩の結晶表面と比べ、大きな違いが見られ
ず、トレハロースの添加により塩結晶表面の溶解と再結
晶が防止されていることが分かる。
【0027】比較例1 実施例1で用いたと同様の精製塩500gに、固結防止
剤として従来から使用されている炭酸マグネシウムを
0.4重量%の添加量、リン酸水素二ナトリウムを0.
5、1.0、2.0重量%の添加量となるようにそれぞ
れ粉体で添加混合した後、通気性のないプラスチック容
器にそれぞれ充填し、容器上部に蓋をしない開封状態
で、それらを実施例1と同様の加速環境に27日間蔵置
した。また、実施例1で用いたと同様の精製塩500g
を、何等の固結防止剤も添加することなく、プラスチッ
ク容器に充填し、容器上部に蓋をしない開封状態で、そ
れを実施例1と同様の加速環境に27日間蔵置した。2
7日間蔵置後、実施例1と同様に、試料塩について固結
率および固結塊の固結強度を測定し、その測定結果を表
3に示した。
【0028】
【表3】
【0029】表3に示したとおり、試料塩は、炭酸マグ
ネシウム、リン酸水素二ナトリウムのいずれを用いた場
合もいずれの添加量においても100%固結した。この
比較例1のように開封系での加速環境における蔵置で
は、トレハロースを用いた場合でも、表1に示したとお
り、その添加量が少量では100%固結する。例えば、
トレハロースの添加量0.5%で100%固結したが、
その時の固結塊の固結強度は0.4kg/cm2 であっ
た。それに対し、炭酸マグネシウムを用いた場合は、ほ
ぼ同程度の添加量といえる0.4%添加では、その時の
固結塊の固結強度は1.10kg/cm2 であった。ま
た、リン酸水素二ナトリウムを用いた場合は、添加量
0.5%では、その時の固結塊の固結強度は0.99k
g/cm2 であり、添加量1.0%では、その時の固結
塊の固結強度は0.15kg/cm2であり、添加量
2.0%では、その時の固結塊の固結強度は0.75k
g/cm 2 であった。以上要するに、トレハロースは従
来から用いられている固結防止剤に比べて優れた固結防
止効果を示すことが明らかとなった。
【0030】実施例3 実施例1と同様にして、トレハロースの添加量が1.0
重量%の試料塩を得た。得られた試料塩を蒸留水に10
重量%濃度になるように溶解し、分光光度計において、
波長660nm、光路長1cmにおける吸光度を、対照
側を蒸留水として測定し、その結果を表4に示した。比
較のため、炭酸マグネシウムを0.4重量%添加した食
卓塩(日本食塩製造(株)製)を蒸留水に10重量%濃
度になるように溶解した場合の吸光度を、上記と同様に
測定し、その結果を表4に合わせ示した。また、試料塩
の調製に用いたトレハロース無添加の精製塩について
も、上記と同様にして吸光度を測定し、その結果を表4
に合わせ示した。
【0031】
【表4】
【0032】表4に示したとおり、炭酸マグネシウムを
添加した食卓塩では、不溶性の炭酸マグネシウムのため
に吸光度0.420を示したが、トレハロースを添加し
た試料塩では、トレハロースを添加することによって濁
りは発生せず、トレハロース無添加の精製塩と吸光度は
同じであった。以上要するに、トレハロースを用いて
も、水に溶解した場合に濁りを生じない。
【0033】実施例4 天日塩の粉砕塩(塩化ナトリウム含有量97.27重量
%、水分量2.46重量%、その他0.27重量%)5
00gに、トレハロースの添加量が0、0.5、1.
0、3.0重量%の各添加量となるように、また添加後
の水分量が3.0重量%となるように濃度を調整したト
レハロース水溶液を噴霧にて所定量添加後、V型ミキサ
ーにて均一に混合し、実施例1と同様のプラスチック容
器に充填し、容器上部に蓋をしない開封状態で、−15
℃の低温フリーザーに3日間蔵置した。トレハロース添
加量0重量%の試料塩は、上記粉砕塩に水のみを水分量
3.0%となるように添加し、同様に蔵置した。また比
較として、これまでに低温状態での固結緩和に効果があ
る塩化マグネシウム等を含むにがり(水分71.3重量
%、塩化マグネシウム10.28重量%、塩化カルシウ
ム3.29重量%、塩化カリウム7.74重量%、塩化
ナトリウム7.34重量%、硫酸カルシウム0.05
%、20℃比重1.275)を、水分量が3.0重量%
となるように7.5mlを添加して同様に蔵置した。蔵
置後、常温環境で試料塩を容器から取り出し、速やかに
実施例1と同様の方法で、試料塩について固結率および
固結塊の固結強度を測定した。このうち固結強度は、容
器から取り出した固結塊を縦方向に四分割して一辺3.
7cmの底面で高さ7cmのテストピースを長手方向の
破壊荷重から算出した。結果を表5に示す。
【0034】
【表5】
【0035】表5に示したとおり、トレハロースを添加
することにより、トレハロース1.0重量%までは10
0%低温固結したが、固結塊の固結強度を緩和すること
ができた。また、トレハロース3.0重量%では低温固
結を防止することができ、加えて従来から低温固結緩和
に効果的であることが知られているにがりを添加した場
合よりも、低温固結防止効果が高いことがわかる。
【0036】実施例5 トレハロースを添加物として含む塩化ナトリウム水溶液
の金属腐食防止効果を以下の方法により評価した。 (測定方法)腐食防止効果は、"Planned interval tes
t" (奥田聡監修「防食技術ハンドブック」、130
頁、化学工業社(1972))の手順と結果の評価表を
参考に、以下の方法により測定した。すなわち、予め重
量を測定した軟鋼製テストピース2枚を、トレハロース
を0重量%、1重量%、3重量%加えた25℃の塩化ナ
トリウムの3%溶液200mlに浸漬した。10日間経
過後にテストピースを取り出し、200g/lの濃度で
亜鉛を含む20重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液中で
5分間煮沸し、テストピースに付着した腐食生成物を除
去した。重量の減少量から腐食速度(g/m2・da
y)を算出し、防食効果を次式で算出して評価した。結
果を下表に示す。
【0037】
【数1】
【0038】Z:防食効果(%) G0 :トレハロースを添加しないときの腐食速度(g/
2 ・day) G1 :トレハロースを添加したときの腐食速度(g/m
2 ・day)
【0039】
【表6】
【0040】結果の通り、トレハロースを添加した場
合、塩化ナトリウムによる軟鋼の腐食を緩和することが
できた。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、優れた効果とその持続
性を有し、水に溶解した場合にも白濁を生じず、しっと
りして流動性に欠けることもなく、かつ日本において食
卓塩など食用の塩にも適用できる、塩の固結防止方法が
提供される。
【0042】本発明で固結防止剤として用いるトレハロ
ースは水溶性であるから、本発明の固結防止方法に従っ
た塩は水に溶解しても白濁することはなく、このトレハ
ロースはほとんど吸湿しないものであるから、本発明の
固結防止方法に従った塩はしっとりして流動性に欠ける
ようになることもなく、またこのトレハロースは従来か
ら日常的に人間が食してきた糖質であるから、本発明の
固結防止方法は日本において食卓塩など食用の塩に好適
に適用することがでる。さらに、トレハロースは甘味度
がショ糖の約1/2の優れた質の甘味を有するものであ
るから、本発明の固結防止方法に従った塩は、固結が防
止されることの他、トレハロースの添加量を適宜選択す
ることにより、甘味を隠し味とした味わい深い塩とする
ことができる。
【0043】さらに、トレハロースを添加することによ
り低温固結を効果的に防止することができる。このた
め、塩の品温を氷点以上に維持するための暖房が不要で
あり、設備費および燃料代を節約することができる。ま
た、低温固結した塩を使用前または使用中に崩す作業も
必要ない。また、塩の包装単位が大きくなっても野外で
の保管が可能であり、塩自体の重みがかかっても固結し
にくいので、保管場所や包装単位の制約もない。また、
トレハロースを添加することにより金属腐食を緩和する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に用いた精製塩の結晶表面の走査型電
子顕微鏡による写真である。
【図2】実施例2における、トレハロースを添加しなっ
かた場合の29日蔵置後の試料塩の結晶表面の走査型電
子顕微鏡による写真である。
【図3】実施例2における、トレハロースを0.5重量
%添加した場合の29日蔵置後試料塩の塩の結晶表面の
走査型電子顕微鏡による写真である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩の結晶表面をトレハロースで被覆する
    ことを特徴とする塩の固結防止方法。
  2. 【請求項2】 トレハロースの使用量が、塩に対して
    0.5重量%以上である請求項1に記載の塩の固結防止
    方法。
  3. 【請求項3】 トレハロースによる塩の結晶表面の被覆
    が、トレハロースの水溶液を塩に添加、混合し、しかる
    後該混合物を乾燥することにより行われる請求項1又は
    2に記載の塩の固結防止方法。
  4. 【請求項4】 トレハロースによる塩の結晶表面の被覆
    が、トレハロースの水溶液を塩に添加、混合することに
    より行われる請求項1又は2に記載の塩の固結防止方
    法。
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