JP2000231768A - ハードディスク装置 - Google Patents

ハードディスク装置

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JP2000231768A
JP2000231768A JP11244316A JP24431699A JP2000231768A JP 2000231768 A JP2000231768 A JP 2000231768A JP 11244316 A JP11244316 A JP 11244316A JP 24431699 A JP24431699 A JP 24431699A JP 2000231768 A JP2000231768 A JP 2000231768A
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JP
Japan
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hard disk
medium
disk drive
head
magnetic head
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JP11244316A
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English (en)
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Ryohei Tanuma
良平 田沼
Maki Miyasato
真樹 宮里
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】媒体表面やヘッド表面の損傷が防止され,テク
スチャー加工を施したり液体潤滑剤を用いなくともステ
ィクションがなくて高信頼性であり,且つ小形, 大容量
のハードディスク装置を得る。 【解決手段】回転するディスク媒体上を微小な間隙を保
って滑空する磁気ヘッドによりデータの記録および再生
を行うハードディスク装置であって,磁気へッド, スラ
イダー, およびヘッドアームからなる可動部から伸びた
突起部と、回転軸と媒体とからなる回転体の一部に設け
られ、ハードディスク装置の停止時に前記した突起部が
乗り上げてスライダーと媒体の間に間隙を形成する円環
状待避台を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コンピュータの
外部記憶装置であるハードディスク装置に係り、特にス
ティクションがなく高信頼性のハードディスク装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】パーソナルコンピュータの高性能化およ
びワープロや表計算などアプリケーションソフトの高機
能化, 大容量化にともなって, ハードディスク装置は現
在ではパーソナルコンピュータの必須の外部記憶装置と
なっている。 ハードディスク装置の記憶密度は年々増加
し,1996 年の段階で1Gbit/in2,西暦2002年頃には10Gbit
/in2に達すると言われている。 記憶密度を上げるために
は, 磁気ヘッドをできる限り記録媒体表面に接近させる
必要がある。 そこで現在は, ほとんどの装置でスライダ
ーと媒体との間に空気流を巻き込んでヘッドを媒体上に
浮上させる方式が採用されている。
【0003】浮上方式の中には, ディスク停止時にヘッ
ドが着地し, 始動とともに離陸するCSS(Contact Start
Stop) 方式と, 停止時にヘッドが外部に設けられたラン
プに待避するランプロード方式の2 つがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】CSS 方式では, ディス
ク停止時にスライダーが媒体に付着( スティクション)
し, 最悪の場合トルク不足でディスクが起動できなくな
るのを防止するために,通常, スライダーが離着陸する
部分(CSSゾーン) にレーザで微細な凹凸( テクスチャ
ー) を形成して(Laser Zone Tcxture:LZT)スライダーと
媒体とが密着しないようにしている。 また最近では, ス
ライダー面に突起を形成してスティクションを防止する
スティクションフリースライダー(SFS) も一部採用され
ている。 しかしこれらによりスライダーの付着を完全に
防止するのは困難であるし, 特にLZTを高密度で微細加
工を行う工程が必要なことから, 生産性の低下やコスト
上昇が避けられないといった問題をかかえている。 この
傾向は今後の高記憶密度化によりますます顕著になり,
ヘッド浮上高さが15nmを切るあたりからCSS 方式は適用
できなくなると予想されている。
【0005】CSS 方式のもう一つの問題は潤滑剤に関わ
るものである。 潤滑剤としてはフッ素系化合物を主成分
とする化学的に安定な物質が用いられるが, 長期の使用
による劣化は避けられない。 劣化の原因は, ヘッドと媒
体との直接接触による帯電やマイクロプラズマの発生な
どの摩擦電磁現象によると考えられている。 潤滑剤の劣
化は, ヘッド, 媒体双方の摩耗を促進し, ディスク装置
の寿命と信頼性の低下の大きな原因となる。 また最近で
はディスクの回転数の上昇に伴って, 潤滑剤が遠心力で
周辺に移動する問題が浮上してきた。 この問題は潤滑剤
分子を媒体表面と化学的に結合させる( ボンデットル
ブ) ことで解決できるが, このようにすると潤滑剤が消
失した部分が修復されないことから, 非結合状態の潤滑
剤( フリールブ) を完全になくすことはできない。
【0006】ランプロード方式はスティクションの問題
はないが, ランプを設けるためのスペースが余分に必要
なこと, および着地時にヘッドが一瞬媒体に接触するた
め媒体外周部のヘッドの着地領域がデータゾーンとして
使えないことが大きな問題である。 後者の問題はディス
ク装置が小型化され, 媒体の直径が小さくなるにつれて
より大きな問題となる。
【0007】この発明は, 上述の点に鑑みてなされその
目的は, 媒体表面やヘッド表面の損傷が防止され,テク
スチャー加工を施したり液体潤滑剤を用いなくともステ
ィクションがなくて高信頼性であり,且つ小形, 大容量
のハードディスク装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的は第一の発明
によれば、回転するディスク媒体上を微小な間隙を保っ
て滑空する磁気ヘッドによりデータの記録および再生を
行うハードディスク装置において、回転軸と媒体とから
なる回転体の一部に設けられ、ハードディスク装置の停
止時に磁気へッド, スライダー, およびヘッドアームか
らなる可動部が乗り上げてスライダーと媒体の間に間隙
を形成する円環状待避台を備えることにより達成され
る。
【0009】第二の発明によれば回転するディスク媒体
上を微小な間隙を保って滑空する磁気ヘッドによりデー
タの記録および再生を行うハードディスク装置におい
て、磁気へッド, スライダー, およびヘッドアームから
なる可動部から伸びた突起部と、回転軸と媒体とからな
る回転体の一部に設けられ、ハードディスク装置の停止
時に前記した突起部が乗り上げてスライダーと媒体の間
に間隙を形成する円環状待避台を備えることにより達成
される。
【0010】第三の発明によれば回転するディスク媒体
上を微小な間隙を保って滑空する磁気ヘッドによりデー
タの記録および再生を行うハードディスク装置におい
て、回転軸と媒体とからなる回転体の一部であって前記
回転体の回転半径方向あるいは回転軸方向に形成された
円環状帯磁領域と、磁気ヘッド, スライダー, およびへ
ッドアームを含む可動部の一部に形成され、ディスク停
止時に前記した円環状帯磁領域との磁気反発力によりス
ライダーと媒体の間に間隙を形成する帯磁部を備えるこ
とにより達成される。
【0011】第四の発明によれば第三の発明において可
動部は磁気ヘッド, スライダー, へッドアーム,および
これから伸びた突起部であることが有効である。
【0012】第五の発明によれば第三の発明において円
環状帯磁領域が、媒体面から一定の高さを有する円環部
分に形成されることが有効である。
【0013】第六の発明によれば第三の発明において円
環状帯磁領域が、媒体上に形成されることが有効であ
る。
【0014】第七の発明によれば第三の発明において可
動部の一部に形成された帯磁部が、永久磁石であること
が有効である。
【0015】第八の発明によれば第三の発明において可
動部の一部に形成された帯磁部が、電磁石であることが
有効である。
【0016】第九の発明によれば回転するディスク媒体
上を微小な間隙を保って滑空する磁気ヘッドによりデー
タの記録およぴ再生を行うハードディスク装置におい
て、媒体, 磁気ヘッド双方の互いに対向する面の一方が
金のコーティング層、他方が金属酸化物の保護層である
とすることにより達成される。
【0017】第十の発明によれば回転するディスク媒体
上を微小な間隙を保って滑空する磁気ヘッドによりデー
タの記録および再生を行うハードディスク装置におい
て, 媒体, 磁気ヘッド双方の互いに対向する面の一方が
発熱を正とした金属酸化物の標準生成エンタルピー値25
0mJ/mol 以下の金属のコーティング層、他方が金属酸化
物保護層であり、且つ前記装置内部の雰囲気が真空また
は不活性ガスであるとすることにより達成される。
【0018】第十一の発明によれば回転するディスク媒
体上を微小な間隙を保って滑空する磁気ヘッドによりデ
ータの記録および再生を行うハードディスク装置におい
て,媒体, 磁気ヘッド双方の互いに対向する面の少なく
とも一方が非強磁性遷移元素のコーティング層であるこ
ととするにより達成される。
【0019】第十二の発明によれば回転するディスク媒
体上を微小な間隙を保って滑空する磁気ヘッドによりデ
ータの記録および再生を行うハードディスク装置におい
て、磁気へツド滑走面と媒体面の少なくとも磁気へツド
滑走面が結合性潤滑膜を備えることにより達成される。
【0020】第十三の発明によれば第十二の発明におい
て結合性潤滑膜が酸化銀上に形成された有機酸であるこ
とが有効である。
【0021】第十四の発明によれば第十二の発明におい
て結合性潤滑膜が酸化アルミニウム上に形成された有機
酸であることが有効である。
【0022】第十五の発明によれば第十二の発明におい
て結合性潤滑膜が酸化ケイ素上に形成されたアルコール
誘導体であることが有効である。
【0023】第十六の発明によれば第十二の発明におい
て結合性潤滑膜が炭素膜上に形成されたアミン誘導体で
あることが有効である。
【0024】第十七の発明によれば第十二の発明におい
て結合性潤滑膜を与える化合物が永久双極子モーメント
を付与する官能基を有することが有効である。
【0025】第十八の発明によれば回転するディスク媒
体上を微小な間隙を保って滑空する磁気へッドによりデ
ータの記録および再生を行うハードディスク装置におい
て、媒体, 磁気ヘッド双方の互いに対向する面の少なく
とも一方が電子サイクロトン共鳴型ケミカルベーパーデ
ボジション(ECR-CVD) で形成したカーボン保護膜である
とすることにより達成される。
【0026】第十九の発明によれば回転するディスク媒
体上を微小な間隙を保って滑空する磁気ヘッドによりデ
ータの記録および再生を行うハードディスク装置におい
て、ヘッド最外表面あるいは最外表面近傍に設けられた
導電層と、ヘッド支持機構および媒体回転機構並びに抵
抗R およびインダクタンスL を介して前記導電層と媒体
金属層が形成するコンデンサーに交流の重畳された直流
起電力を印加する電源と、前記した抵抗R 両端の電圧を
測定する電圧検出部と、前記した抵抗R と電源の間の交
流の位相差を検出するとともに前記した電源の直流起電
力を操作し前記した導電層と媒体金属層が構成するコン
デンサーの容量C を調節することによりヘッド浮上高さ
を制御する制御装置を備えることにより達成される。
【0027】第二十の発明によれば回転するディスク媒
体上を微小な間隙を保って滑空する磁気ヘッドによりデ
ータの記録および再生を行うハードディスク装置におい
て、ヘッド最外表面あるいは最外表面近傍に相互に分離
して設けられた二つの導電層と、ヘッド支持機構並びに
抵抗R およびインダクタンスL を介して前記した二つの
導電層に交流の重畳された直流起電力を印加する電源
と、前記した抵抗R 両端の電圧を測定する電圧検出部
と、前記した抵抗R と電源の間の交流の位相差を検出す
るとともに前記した電源の直流起電力を操作して前記し
た二つの導電層と媒体金属層が構成するコンデンサーの
容量C を調節することによりヘッド浮上高さを制御する
制御装置を備えることにより達成される。
【0028】第一と第二の発明のハードディスク装置
は,ディスク停止動作とともにスライダーは中央方向に
移動して, アームから伸びた突起が,回転するディスク
の中央部分のランプに相当する待避台に乗り上げる。 こ
のときスライダーが持ち上げられ, 停止時においてもス
ライダーと媒体の間隙が確保される。 起動時はディスク
の回転開始とともにスライダーが待避台から媒体上に移
動する。 着地ゾーンが中央部に形成されるとディスク全
体に占める割合が小さくデータゾーンとして利用できる
領域が大きくなる。 また待避台をディスクの外部に設け
る従来のランプロード方式と比較して, 余分なスペース
が不要なため, 装置が小型化される。
【0029】第三ないし第八の発明のハードディスク装
置は,待避台とスライダー側双方に磁石を設けて, これ
らの間に反発力を発生させ, 待避台とアームの突起を非
接触状態に維持する。 このようにして待避台の摩耗が避
けられる。 媒体の回転軸周辺に円環状磁石を取り付ける
場合と, 媒体の一部に待避領域を設けて, その部分を帯
磁する場合がある。 ヘッド側磁石は, 永久磁石を用いる
場合と電磁石を用いる場合がある。 電磁石を用い通電電
流を制御するとへッドが媒体上に緩やかに下降し, ヘッ
ドと媒体との衝突が避けられる。
【0030】第九と第十の発明のハードディスク装置
は,酸化物と各種金属との摩擦係数がそれぞれの金属の
酸化されやすさにより決まり, 酸化物を形成する際の生
成エンタルピーが小さい金属に対して摩擦係数が非常に
小さくなる( 平塚健一:トライポロジスト,37 巻,2号,p
p96-101(1992))ことを利用する。 この場合に金属側に酸
素が吸着すると効果が半減する。 そこで第九の発明のハ
ードディスク装置は,酸素をほとんど吸着しない金を用
いる。 一方,第十の発明のハードディスク装置は白金,
あるいは銀などを用いるが, これらは酸素吸着能が高い
ため, 装置内に不活性ガスを満たして酸素の吸着を防
ぐ。
【0031】第十一の発明のハードディスク装置は,逆
に吸着した酸素が潤滑剤として機能する(N.Soda and T.
Sasada:Transaction of the ASME, Journal of Lubrica
tionTechnology, vol.100, No.4, pp.492-500(1978))
ことを利用する。 すなわち媒体, 磁気ヘッド双方の互い
に対向する面の少なくとも一方を酸素吸着能の高い遷移
元素で形成し, 吸着した酸素を潤滑剤として機能させ
る。 ただし遷移元素のうちNiなどの強磁性体はハードデ
ィスクの機能そのものを損なうため除外する。 これらの
発明のハードディスク装置においては, 通常の意昧での
潤滑剤が不要であり, 潤滑剤の劣化, 移動に関わるトラ
ブルが皆無となる。
【0032】第十一の発明のハードディスク装置の一つ
は, 媒体とヘッドのどちらか一方に遷移元素を用い, 酸
素による潤滑作用を利用する。 また他のハードディスク
装置は, 媒体とヘッド双方に遷移元素を用いる。 遷移元
素表面には酸素が吸着して電気二重層が形成される。 そ
のためこれらのハードディスク装置では対向する2 面間
に静電反発力を生じ, スティクションがより効果的に防
止され, 吸着酸素による潤滑効果も高い。
【0033】第十二の発明のハードディスク装置は,ヘ
ッド滑走面, あるいは媒体表面とへッド滑走面の双方に
結合性潤滑膜を形成する。 従来の技術では潤滑膜は媒体
表面に形成した。 しかし媒体表面の保護膜は磁性層を保
護するという目的があるため, その材質の選択の幅が小
さい。 これに対して, 第十二の発明のハードディスク装
置の一つは, 少なくともヘッド側に潤滑膜を形成するた
め, 潤滑膜の固定に適した下地層の選択が可能で, 安定
な結合性潤滑膜が形成される。 結合性潤滑膜はは一種の
固体潤滑膜であり, ヘッドと媒体との隙間にメニスカス
が形成されないため, スティクションの心配がない。 第
十二の発明の他のハードディスク装置は, 媒体とヘッド
の双方に結合性潤滑膜を形成する。 結合性潤滑膜はヘッ
ドの摺動により膜が一旦損傷を受けるとその部分が修復
されず, 徐々に摩耗が進行する。この解決策の一つは,
ヘッド側に強固に結合した潤滑膜を形成することであ
る。これに対して媒体とへッドの双方に結合性潤滑膜を
形成する方法は, 潤滑膜の自己修復機能を高める。 一般
に結合性潤滑膜は結合力を高めるために, 固体表面原子
との間に共有結合を形成することが求められる。 そのた
め潤滑剤を塗布した後, 加熱処理, あるいは紫外線照射
により潤滑剤分子の結合を促進する。 即ちこのような反
応促進手段によりはじめて十分な結合力が得られる。 し
たがって,ヘッドの摺動により結合が切断された潤滑剤
分子が再び表面原子と結合して修復することは期待でき
ない。 これに対して, 媒体とヘッド双方に結合性潤滑膜
を形成すると, ヘッドと媒体との摩擦により発生する熱
を利用して潤滑膜が修復される。ヘッドが媒体上を摺動
するときは, 摩擦熱により局所温度が200 ℃以上となる
ことが知られている。 このような環境下では, 潤滑剤分
子の脱離が進むとともに,再結合反応の速度も増加し,
脱離反応と再結合反応がバランスした動的平衡状態が形
成される。 この場合, 媒体側に大量の潤滑剤が存在する
ためこれが潤滑剤分子のプールとして機能し, その一部
が媒体とヘッドとの間でやり取りされる。 このようにし
て固体潤滑の特徴であるスティクションフリーと, 潤滑
剤の自己修復機能の両者が満たされる。
【0034】結合性潤滑膜としては, 自己組織化単分子
膜(SAM) が用いられる。 SAM は片方に結合性末端基を持
つ長鎖有機分子が末端基部分で固体表面に結合し, 規則
正しく整列することにより形成される。 SAM は高い潤滑
性能を示すことが知られている(B.Bhushan:Langmuir,vo
l 11,3189-3198(1995))。
【0035】さらに他のハードディスク装置は,潤滑剤
分子に永久双極子モーメントを付与する。 永久双極子モ
ーメントは潤滑膜に電気二重層を形成し, それらが媒体
側とヘッド側とで極性を逆向きにして対向するため静電
反発力が発生する。 したがってスティクションが効果的
に防止されるとともに, 高い潤滑効果が得られる。
【0036】第十八の発明のハードディスク装置は, 媒
体保護膜としてECR-CVD により形成されたカーボン保護
膜を潤滑剤のない状態で用いる。 従来の技術は, 媒体の
カーボン保護膜をスパッタにより形成するのが普通であ
った。 そして実用レベルのCSS 特性を得るためには潤滑
剤の塗布が不可欠であった。 これに対してCVD によれぱ
緻密な膜が形成される。本発明者等はCVD カーボンを用
いて潤滑剤のない状態でどの程度のCSS 特性が得られる
かを検討した。
【0037】図16はスパッタ,イオンビームCVD または
ECR-CVD により作成した保護膜について,CSS 動作の回
数とカーボン厚さの関係を示す線図である。 この結果は
CVDの中でもとりわけECR-CVD により作成した保護膜がC
SS 耐力に優れ, 厚みを60Å以上にすると,10 万回以上
のCSS 動作が可能であることを示している。
【0038】一方, 従来どおり潤滑剤を塗布した試験で
は, いずれの保護膜についてもCSSに対する耐久性に大
きな差は現れなかった。 すなわちECR-CVD によるカーボ
ン保護膜は固体潤滑に適した特異な性質を有している。
第十八の発明のハードディスク装置は, この実験結果に
基づいてなされたものであり, 潤滑剤とテクスチャー加
工が不要で, 信頼性の高いハードディスク装置を提供す
る。
【0039】以上の発明はスティクションを防止する仕
組みに特徴を有するものであり, ヘッドはディスクの回
転とともに空気流により浮上して所定の高さに達し, 定
常動作に移行する。
【0040】これに対し, 第十九または第二十の発明の
ハードディスク装置は, 定常運転時においてヘッド高さ
を静電力により制御する。 第十九の発明のハードディス
ク装置は, ヘッド側最表面あるいは最表面近傍に導電層
を設け, ヘッド側導電層と媒体導電層の間をヘッド支持
機構, 媒体回転機構を経由して電気的に導通状態とし,
両導電層の間に微小な交流を重畳した直流電圧を印加し
てへッド高さを操作する。 交流の振動数は, 両導電層に
より構成されるコンデンサーと外部コイルで構成される
LRC 回路がヘッドが所定の高さで共振するように設定さ
れる。 このような構成において, 印加する交流電圧と流
れる電流との位相差がゼロになるように直流成分を操作
してヘッドの高さを制御する。
【0041】第十九の発明のハードディスク装置は, 両
導電層が電気的に導通状態にあることが不可欠である。
そのためにはディスクの回転軸のベアリングは金属ボー
ルを用いたものである必要がある。 これに対し第二十の
発明のハードディスク装置は, ヘッド側に互いに絶縁さ
れた2 つの導電層を設けてこれらに電圧を印加する。導
電層は例えばヘッドスライダーの2 つのレール面に形成
することができる。 この場合は両導電層の間に2 つの隙
間と媒体側導電層が存在し,2つのコンデンサーが直列に
接続された状態となる。 この2 つの導電層に電圧を印加
してヘッド高さを制御する仕組みは第十九の発明のハー
ドディスク装置と同様である。 第二十の発明のハードデ
ィスク装置は, 媒体側とヘッド側を電気的に接続する必
要がないことが大きな特徴である。 そのため軸受けとし
ては例えば空気ベアリング等も使用することができる。
【0042】第十九または第二十の発明のハードディス
ク装置は, 空気圧によるヘッド浮上の基本的な仕組みは
従来のものと同様であるが, これに静電力による制御を
加えて, 高さ制御の性能を大幅に向上させる。 このよう
にして媒体のうねり等により発生するへッド高さのふら
つきが抑制され, ヘッド高さの低下とともに顕在化する
へッドと媒体との衝突等が回避され, 媒体表面, および
ヘッド表面の損傷や潤滑剤の劣化がなくなる。
【0043】
【発明の実施の形態】図1 は第二の発明のハードディス
ク装置を示す模式図である。1 は媒体,2は回転軸,3はス
ライダー,4はアーム,5は待避台に乗り上げる突起,6は待
避台である。またA は動作時の状態,Bは停止時の状態を
示す。 ディスク動作時はA の状態にあり, スライダ一3
は媒体上を滑空し, 図示しない磁気ヘッドによりデータ
の読み書きが行われる。 電源が切れるとアーム4 が中央
方向に移動し, 突起5 が待避台6 に乗り上げてB の状態
となる。 このハードディスク装置によれば, 従来のラン
プロード方式と同様に停止状態でスライダーと媒体が非
接触状態となるため, スティクションの問題は発生しな
い。 また着地帯が媒体の内側にあるため, この部分がデ
ータ領域として使用できない場合も, その割合は従来の
ランプロード方式よりはるかに少なくて済む。
【0044】図2 は第三の発明のハードディスク装置を
示す模式図である。この図で図1 と同一の符号は同一名
称を表わす。 また図1 と同様にA は動作時の状態,Bは停
止時の状態を表している。 7 はヘッド側突起部先端に設
けた永久磁石であり, 矢印の方向がN 極となるように帯
磁している。 8 は円環状永久磁石からなる待避台であ
り, 図の矢印が示すように円環の外側がN 極となるよう
に帯磁している。
【0045】電源が切れるとアーム4 が中央方向に移動
すると, 円環状の媒体側磁石8 とヘッド側磁石7 との間
の反発力によりヘッドが浮き上がり, 停止時もその状態
が維持される( 状態B)。 ディスクの起動とともにアーム
4 は外側に移動してスライダー3 は媒体上を滑空( 状態
A)し, データの読み書きが行われる。 このハードディス
ク装置では, 待避台とへッド側突起との摩擦がないため
パーティクルの発生等の問題がないのが大きな特長であ
る。
【0046】図3 は第三の発明の異なるハードディスク
装置を示す模式図である。このハードディスク装置はヘ
ッド側磁石9 がコイル1Oを備えた電磁石である。 このハ
ードディスク装置はディスクが状態A から状態B に移行
する前に, コイル10への通電電流を制御してスライダー
を媒体上に緩やかに下降させる。 このようにしてスライ
ダーと媒体との衝突が防止される。 このためにこのハー
ドディスク装置は潤滑剤が不要である。
【0047】図4 は第三の発明のさらに異なるハードデ
ィスク装置を示す模式図である。このハードディスク装
置は, スライダー拡大図C が示すように, スライダー内
部に微小な電磁石11が埋め込まれている。磁石11は下方
向がN 極となるように帯磁する。 一方, 媒体側は, 磁性
体である媒体の一部を待避領域12とし, その部分を矢印
が示すように半径方向に帯磁して, スライダー内部の磁
石11との間に反発力を発生させる。 このハードディスク
装置は, 通常動作時は電磁石11には通電せず,待避動作
が始まってスライダー3 が待避領域12に達した後, 通電
して反発力を発生させる。 これは電源が切られた後の動
作であり, 帯磁のための電流は通常動作時にあらかじめ
充電したコンデンサーから供給される。 したがってディ
スク停止後, コンデンサーの放電とともに反発力は消滅
して, スライダ一3 は媒体上に軟着陸する。 起動時はデ
ィスクの回転開始とともに電磁石11に電流が供給されて
スライダーが浮上し, その後アームがデータゾーンに移
動して通常動作に移行する。 このハードディスク装置
は, 状態A と状態B との間の移動においてヘッドの上下
がほとんどない。 そのためヘッドと媒体との衝突は起こ
らないため潤滑剤は不要となる。 また待避領域も媒体中
心部の狭い領域に限定されることから, データゾーン面
積減少の問題も生じない。
【0048】図5 は第九の発明のハードディスク装置を
示す模式図である。 この図は媒体の表面付近とヘッドス
ライダーのみを示す。 この発明のハードディスク装置
は,Al 2O3-TiC 製のスライダー14の滑走面に形成される
金のコーティング層13を有する。媒体を保護するために
例えばSiO2保護層15が用いられる。 16はコバルトを主成
分とする磁性層, 17はクロム下地層, 18はNi-Pメッキ
層, 19はアルミニウム製基板である。 第九の発明は, 難
酸化性金属と酸化物の摩擦係数が小さいことを利用す
る。このハードディスク装置は酸化物と金属としてSiO2
とAuの組み合わせを採用する。 両者の摩擦係数が極めて
低いため潤滑剤は不要であり,スティクションはほとん
ど問題にならない。 したがってテクスチャー加工も行わ
ない。 またディスク表面が平滑であり, ディスク起動後
ヘッドが浮上するまでの距離も短い。 すなわちこのハー
ドディスク装置は, 金一酸化物界面の低摩擦係数と, 摺
動距離の短縮により潤滑剤を要しない装置である。
【0049】図6 は第十の発明のハードディスク装置を
示す模式図である。第十の発明のハードディスク装置は
第九の発明のハードディスク装置と同様であるが, 異な
るのは金属として金以外の難酸化性金属を用いる。 この
場合に金以外の難酸化性金属は酸素を容易に吸着して摩
擦係数の増大を招くため, 装置内部を不活性ガス雰囲気
にする。 このハードディスク装置の媒体保護層は, 図5
のハードディスク装置と同じSiO2保護層15を用いるが,
スライダー14の滑走面のコーティング層は例えば白金コ
ーティング層20を用いる。 またハードディスク筐体内部
にヘリウム21を充填する。
【0050】図7 は第十一の発明のハードディスク装置
を示す模式図である。このハードディスク装置は酸素吸
着能の高い遷移元素を用い, 吸着した酸素を潤滑剤とし
て機能させる。 スパッタで形成したアモルファスカーボ
ン保護層23を用い, スライダー側に例えばモリブデンコ
ーティング層22を設ける。
【0051】図8 は第十一の発明の異なるハードディス
ク装置を示す模式図である。このハードディスク装置も
遷移元素に対する吸着酸素の潤滑作用を利用するが, こ
の場合は媒体とヘッド双方に遷移元素を用いる。 対向す
る2 面に吸着酸素による電気二重層が形成されて静電反
発力を生じる。 したがって, スティクションがより効果
的に防止され, 吸着酸素による潤滑効果も高い。 媒体保
護膜とスライダーコーティング層にいずれも例えばパラ
ジウム層24を用いる。
【0052】図9 は第十二の発明のハードディスク装置
を示す模式図である。このハードディスク装置は潤滑剤
として結合性潤滑膜26をヘッドスライダー側に形成す
る。 このハードディスク装置は, 媒体にスパッタで形成
したアモルファスカーボン保護膜23を用い, スライダー
にはSiO2の下地25の上に形成した結合性潤滑膜26を用い
る。結合性潤滑膜は, perfluoroalkylpolyether(PFPE)
を主鎖R とするアルコール誘導体であり, R-OHの化学式
を持つ。
【0053】図10は第十二の発明の異なるハードディス
ク装置を示す模式図である。このハードディスク装置は
ヘッドと媒体にそれぞれ結合性潤滑膜26, 結合性潤滑膜
28を有する。すなわちこのハードディスク装置は, ヘッ
ドと媒体との摩擦により発生する熱を利用して潤滑膜を
修復する点に特徴がある。 ヘッドが媒体上を摺動すると
きは, 摩擦熱により局所温度が上昇し, 潤滑剤分子の脱
離が進むとともに再結合反応の速度も増加する。 そして
潤滑剤分子の一部が媒体とヘッドとの間でやり取りされ
ることにより, 潤滑膜が修復される。 このハードディス
ク装置は, 媒体とヘッドはそれぞれSiO2の下地27, 25の
上に結合性潤滑膜28,26 を形成する。 結合性潤滑膜は,
PFPEを主鎖とするアルコール誘導体を用いる。
【0054】図11は第十二の発明のさらに異なるハード
ディスク装置を示す模式図である。このハードディスク
装置は, 永久双極子モーメントを持つ結合性潤滑膜を用
いる。 永久双極子モーメントを持つ結合性潤滑膜には,
電気二重層が形成され媒体とヘッドに静電反発力が発生
し, スティクションが効果的に防止され, 高い潤滑効果
が得られる。 このハードディスク装置の結合性潤滑膜2
9,30 は, PFPEとOHとの間に炭化水素R'を導入したR-R'-
OH の化学式を有する。
【0055】図12は第十八の発明のハードディスク装置
を示す模式図である。このハードディスク装置はECR-CV
D により形成したカーボン保護膜31を有する。従来のAl
2O3-TiC 製のヘッドスライダー14を用いる。
【0056】図13はカーボン保護膜の形成に用いるECR-
CVD 装置の構造図である。 図中の38は真空チャンバーで
あり, 図示しないボンプにより内部が真空に保たれる。3
2 は保護膜を堆積させるハードディスク基板, 33はエチ
レンを含む原料ガス, 34は周波数2.45GHz のマイクロ
波, 36は電子の円運動を起こすための磁石である。 ECR-
CVD の特徴は, 外部から供給されるマイクロ波と電子の
円運動とが共振して原料ガスのブラズマ35が効率よく励
起されることである。 37は基板にバイアスを印加する直
流電源である。 このようにして原料ガスが分解して炭素
原子を含むラジカル, あるいはイオンが基板32上に到達
し, 堆積して保護膜が形成される。
【0057】図14は第十九の発明のハードディスク装置
を示す構成図である。このハードディスク装置は, 例え
ばAl2O3-TiC 製のスライダー14の滑走面上にコートされ
たTiからなる静電力発生のための金属層39, その上にカ
ーボン保護層40を有する。 媒体のコバルト磁性層I6とヘ
ッドの金属層39は, クロム下地層17, Ni-Pメッキ層18,
アルミニウム製基板19, スピンドルモータの回転軸, お
よび図示した回路を経由して導通状態にある。
【0058】第十九の発明のハードディスク装置は, 従
来のハードディスク装置および第一の発明ないし第十八
の発明のハードディスク装置に適用される。ディスク回
転時はヘッドは空気流により浮上している。 この状態で
両金属層の間に電圧を印加すると, ヘッドとディスクと
の間に, 式(1)の静電力F が働く。
【0059】
【数1】 ここで, S は対向する金属面の面積[m2], d は金属面間
の距離[m],εは誘電率[ F/m ], Vは金属面の電位[V] で
ある。 本ハードディスク装置は, ヘッドと媒体の金属層
の間に数ボルトの電圧を印加する。 今, S =0.2mm2, ε
=8.854 ×10-1 2F/m, V =1[V], d=20nmとすると, F
=0.9gf となる。 通常ヘッドの押し付け圧力は2gf 程度
に設計されるため, この程度の電圧でヘッド高さは十分
制御できることがわかる。
【0060】図14のハードディスク装置において,41は
インダクタンスL のコイル,42 は抵抗値R の抵抗であ
る。 またスライダーと媒体の金属層で構成されるコンデ
ンサーの容量をC とする。 これは一種のL-R-C 回路とな
っていて, この回路に電源44により電圧を印加する構造
となっている。 電源44は上記の直流電圧に微小な高周波
電圧を加算した電圧を発生し, かつ直流成分は外部信号
により調節できるように設計されている。
【0061】上記のL-R-C 回路のインビーダンスZ は,
ωを印加する交流電圧の角周波数とすると, 式(2)で
表される。
【0062】
【数2】 位相差φは, 式(3)で表される。
【0063】
【数3】 このハードディスク装置は, 印加する交流周波数に対し
て, L-R-C 回路が共振条件となるようにスライダーの高
さを制御する。 ωが式(4)を満足するときに共振状態
が得られ, 式(3)からわかるようにこの条件ではφ=
0 である。
【0064】
【数4】 またヘッドの目標高さを d0 とすると, その高さにおい
てヘッド部に形成されるコンデンサーの容量C は, 式
(5)を満足する。
【0065】
【数5】 従って角周波数ωは式(6)で表され,式(6)を満足
するヘッド高さ d0 において共振状態が得られる。
【0066】
【数6】 図14に示されるハードディスク装置おいて, 電圧計43に
より測定される抵抗42の両端の電位差, すなわち電流に
比例する信号と電源44の電圧が制御装置45に入力され
る。 制御装置45はこれらの位相差φを検出し, 電源44の
直流電圧を操作することによりスライダーと媒体間の静
電力を変化させてφをゼロに制御する。 これによりスラ
イダーの高さは目標値 d0 に制御される。
【0067】図15は第二十の発明のハードディスク装置
を示す構成図である。第十九の発明のハードディスク装
置との相違は, ヘッドに互いに絶縁したTiからなる2 つ
の金属層46,47 を形成し, これらに電圧を加えている点
である。 このハードディスク装置は, ヘッドの2 つのレ
ール部分にTi層を形成した。 Ti金属層の間に媒体の金属
層を介して2 つのギャップが存在し, これらがコンデン
サーとして機能する。すなわちこの部分の等価回路は2
つのコンデンサーが直列に接続されたものとなる。 この
ハードディスク装置の動作は図14に示した第十九の発明
のハードディスク装置と同様である。 第十九の発明のハ
ードディスク装置は, ヘッドと媒体が電気的に導通状態
にあることが不可欠であったが, 第二十の発明のハード
ディスク装置はその必要がない。
【0068】
【発明の効果】第一,第二,第三,または第四の発明の
ハードディスク装置は,ディスク停止時においてスライ
ダーと媒体が非接触状態におかれるためにスティクショ
ンの問題が生じない。 したがってCSS 方式で不可欠なテ
クスチャー加工が不要である。またCSS 方式と比較して
スライダーと媒体の直接接触がはるかに少ないため, 潤
滑剤も不要である。 さらに着地のゾーンが媒体中心部に
形成されるため, 従来のランプロード方式で避けられな
いデータゾーン減少の問題も生じない。 さらに第三ない
し第四の発明では, 待避台とへッド突起物の直接接触が
なくなり, 待避台の摩耗に伴うパーティクルの発生等の
問題もなくなる。 またヘッド側磁石を電磁石とし,スラ
イダーの下降速度を制御することによって, 媒体とスラ
イダーの衝突が皆無に近くなる。
【0069】第九または第十の発明のハードディスク装
置は, 難酸化性金属と酸化物との摩擦係数が非常に小さ
いことを利用する。 また第十一の発明のハードディスク
装置は, 遷移元素に吸着した酸素の潤滑作用を利用す
る。 これらのハードディスク装置は,潤滑剤やテクスチ
ヤー加工が不要である。
【0070】第十二の発明のハードディスク装置は, 強
固な結合性潤滑膜をへッド側, あるいはヘッド側と媒体
側の双方に設ける。 この発明のハードディスク装置は,
従来の結合性潤滑膜が自己修復機能が弱いという問題を
克服するため, 液体潤滑剤とテクスチャー加工が不要と
なる。
【0071】第十八の発明のハードディスク装置は, EC
R-CVD で形成した炭素膜が固体潤滑に適することを利用
するものであり, テクスチャー加工や潤滑剤が不要であ
る。
【0072】第十九または第二十の発明のハードディス
ク装置は, 静電力でヘッド高さを制御するものである。
媒体ディスクのうねり等に起因するへッドのふらつきを
抑制される上に, ヘッド高さの低下とともに顕在化する
ヘッドと媒体との衝突等の問題も回避され, 媒体表面,
およびヘッド表面の損傷や潤滑剤の劣化といった問題が
なくなる。 第十九または第二十の発明のハードディスク
装置は, 第一,第二,第三,第四,第九,第十,第十
一,第十二,または第十八の発明のハードディスク装置
に適用することにより, ハードディスク装置の動作時と
停止時の両用において,媒体表面やヘッド表面の損傷が
防止される。
【0073】以上のようにしてハードディスク装置の媒
体表面やヘッド表面の損傷が防止され,テクスチャー加
工を施したり液体潤滑剤を用いなくともスティクション
がなくて高信頼性であり,且つ小形, 大容量のハードデ
ィスク装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1 】第二の発明のハードディスク装置を示す模式図
【図2 】第三の発明のハードディスク装置を示す模式図
【図3 】第三の発明の異なるハードディスク装置を示す
模式図
【図4 】第三の発明のさらに異なるハードディスク装置
を示す模式図
【図5 】第九の発明のハードディスク装置を示す模式図
【図6 】第十の発明のハードディスク装置を示す模式図
【図7 】第十一の発明のハードディスク装置を示す模式
【図8 】第十一の発明の異なるハードディスク装置を示
す模式図
【図9 】第十二の発明のハードディスク装置を示す模式
【図10】第十二の発明の異なるハードディスク装置を示
す模式図
【図11】第十二の発明のさらに異なるハードディスク装
置を示す模式図
【図12】第十八の発明のハードディスク装置を示す模式
【図13】カーボン保護膜の形成に用いるECR-CVD 装置の
構造図
【図14】第十九の発明のハードディスク装置を示す構成
【図15】第二十の発明のハードディスク装置を示す構成
【図16】スパッタ, イオンビームCVD, またはECR-CVD
により作成した保護膜について, CSS 動作の回数とカー
ボン厚さの関係を示す線図
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 2 回転軸 3 スライダー 4 ヘッドアーム 5 突起 6 待避台 7,9 ヘッド側磁石 8 媒体側磁石 1O コイル 11 スライダー内電磁石 12 待避領域 13 金のコーテイング層 14 Al2O3-TiC 製のスライダー 15 SiO2保護層 16 コバルト磁性層 17 クロム下地層 18 Ni-Pメッキ層 19 アルミニウム製基板 20 白金コーティング層 21 ヘリウム 22 モリブデンコーティング層 23 アモルファスカーボン保護層 24 パラジウム層 25,27 SiO2下地 26,28 結合性潤滑膜 29,30 結合性潤滑膜 31 ECR-CVD によるカーボン保護膜 32 基板 33 原料ガス 34 マイクロ波 35 プラズマ 36 磁石 37 直流電源 38 真空チャンバ 39 金属層 40 カーボン保護層 41 コイル 42 抵抗 43 電圧計 44 電源 45 制御装置 46,47 金属層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D059 AA01 BA01 CA25 CA26 LA01 5D068 AA01 BB01 CC11 GG30 5D076 AA01 BB01 CC04 DD01 EE01 FF18

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転するディスク媒体上を微小な間隙を保
    って滑空する磁気ヘッドによりデータの記録および再生
    を行うハードディスク装置において、回転軸と媒体とか
    らなる回転体の一部に設けられ、ハードディスク装置の
    停止時に磁気へッド, スライダー, およびヘッドアーム
    からなる可動部が乗り上げてスライダーと媒体の間に間
    隙を形成する円環状待避台を備えることを特徴とするハ
    ードディスク装置。
  2. 【請求項2】回転するディスク媒体上を微小な間隙を保
    って滑空する磁気ヘッドによりデータの記録および再生
    を行うハードディスク装置において、磁気へッド, スラ
    イダー, およびヘッドアームからなる可動部から伸びた
    突起部と、回転軸と媒体とからなる回転体の一部に設け
    られ、ハードディスク装置の停止時に前記した突起部が
    乗り上げてスライダーと媒体の間に間隙を形成する円環
    状待避台を備えることを特徴とするハードディスク装
    置。
  3. 【請求項3】回転するディスク媒体上を微小な間隙を保
    って滑空する磁気ヘッドによりデータの記録および再生
    を行うハードディスク装置において、回転軸と媒体とか
    らなる回転体の一部であって前記回転体の回転半径方向
    あるいは回転軸方向に形成された円環状帯磁領域と、磁
    気ヘッド, スライダー, およびへッドアームを含む可動
    部の一部に形成され、ディスク停止時に前記した円環状
    帯磁領域との磁気反発力によりスライダーと媒体の間に
    間隙を形成する帯磁部を備えることを特徴とするハード
    ディスク装置。
  4. 【請求項4】可動部は磁気ヘッド, スライダー, へッド
    アーム,およびこれから伸びた突起部である請求項3に
    記載のハードディスク装置。
  5. 【請求項5】円環状帯磁領域が、媒体面から一定の高さ
    を有する円環部分に形成されてなる請求項3に記載のハ
    ードディスク装置。
  6. 【請求項6】円環状帯磁領域が、媒体上に形成されてな
    る請求項3に記載のハードディスク装置。
  7. 【請求項7】可動部の一部に形成された帯磁部が、永久
    磁石である請求項3に記載のハードディスク装置。
  8. 【請求項8】可動部の一部に形成された帯磁部が、電磁
    石である請求項3に記載のハードディスク装置。
  9. 【請求項9】回転するディスク媒体上を微小な間隙を保
    って滑空する磁気ヘッドによりデータの記録およぴ再生
    を行うハードディスク装置において、媒体,磁気ヘッド
    双方の互いに対向する面の一方が金のコーティング層、
    他方が金属酸化物の保護層であることを特徴とするハー
    ドディスク装置。
  10. 【請求項10】回転するディスク媒体上を微小な間隙を
    保って滑空する磁気ヘッドによりデータの記録および再
    生を行うハードディスク装置において, 媒体, 磁気ヘッ
    ド双方の互いに対向する面の一方が発熱を正とした金属
    酸化物の標準生成エンタルピー値250mJ/mol 以下の金属
    のコーティング層、他方が金属酸化物保護層であり、且
    つ前記装置内部の雰囲気が真空または不活性ガスである
    ことを特徴とするハードディスク装置。
  11. 【請求項11】回転するディスク媒体上を微小な間隙を
    保って滑空する磁気ヘッドによりデータの記録および再
    生を行うハードディスク装置において, 媒体, 磁気ヘッ
    ド双方の互いに対向する面の少なくとも一方が非強磁性
    遷移元素のコーティング層であることを特徴とするハー
    ドディスク装置。
  12. 【請求項12】回転するディスク媒体上を微小な間隙を
    保って滑空する磁気ヘッドによりデータの記録および再
    生を行うハードディスク装置において、磁気へツド滑走
    面と媒体面の少なくとも磁気へツド滑走面が結合性潤滑
    膜を備えることを特徴とするハードディスク装置。
  13. 【請求項13】結合性潤滑膜が酸化銀上に形成された有
    機酸である請求項12に記載のハードディスク装置。
  14. 【請求項14】結合性潤滑膜が酸化アルミニウム上に形
    成された有機酸である請求項12に記載のハードディス
    ク装置。
  15. 【請求項15】結合性潤滑膜が酸化ケイ素上に形成され
    たアルコール誘導体である請求項12に記載のハードデ
    ィスク装置。
  16. 【請求項16】結合性潤滑膜が炭素膜上に形成されたア
    ミン誘導体である請求項12に記載のハードディスク装
    置。
  17. 【請求項17】結合性潤滑膜を与える化合物が永久双極
    子モーメントを付与する官能基を有する請求項12に記
    載のハードディスク装置。
  18. 【請求項18】回転するディスク媒体上を微小な間隙を
    保って滑空する磁気へッドによりデータの記録および再
    生を行うハードディスク装置において、媒体, 磁気ヘッ
    ド双方の互いに対向する面の少なくとも一方が電子サイ
    クロトン共鳴型ケミカルベーパーデボジション(ECR-CV
    D) で形成したカーボン保護膜であることを特徴とする
    ハードディスク装置。
  19. 【請求項19】回転するディスク媒体上を微小な間隙を
    保って滑空する磁気ヘッドによりデータの記録および再
    生を行うハードディスク装置において、ヘッド最外表面
    あるいは最外表面近傍に設けられた導電層と、ヘッド支
    持機構および媒体回転機構並びに抵抗R およびインダク
    タンスL を介して前記導電層と媒体金属層が形成するコ
    ンデンサーに交流の重畳された直流起電力を印加する電
    源と、前記した抵抗R 両端の電圧を測定する電圧検出部
    と、前記した抵抗R と電源の間の交流の位相差を検出す
    るとともに前記した電源の直流起電力を操作し前記した
    導電層と媒体金属層が構成するコンデンサーの容量C を
    調節することによりヘッド浮上高さを制御する制御装置
    を備えることを特徴とするハードディスク装置。
  20. 【請求項20】回転するディスク媒体上を微小な間隙を
    保って滑空する磁気ヘッドによりデータの記録および再
    生を行うハードディスク装置において、ヘッド最外表面
    あるいは最外表面近傍に相互に分離して設けられた二つ
    の導電層と、ヘッド支持機構並びに抵抗R およびインダ
    クタンスL を介して前記した二つの導電層に交流の重畳
    された直流起電力を印加する電源と、前記した抵抗R 両
    端の電圧を測定する電圧検出部と、前記した抵抗R と電
    源の間の交流の位相差を検出するとともに前記した電源
    の直流起電力を操作して前記した二つの導電層と媒体金
    属層が構成するコンデンサーの容量C を調節することに
    よりヘッド浮上高さを制御する制御装置を備えることを
    特徴とするハードディスク装置。
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