JP2000231071A - 光偏向装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転体全体の重心を動圧発生部の中心に可能
な限り近づけることで、回転体の回転中の振れ回りを小
さくし、回転、停止の耐久性能に優れたラジアル空気軸
受を備えた光偏向装置を提供する。 【構成】 固定スリーブと回転軸とで構成されるラジア
ル空気軸受と、回転軸を回転させる駆動手段と、回転軸
に固定されたフランジ部材と、フランジ部材に保持され
た光ビームを反射する回転多面鏡と有する光偏向装置に
おいて、回転軸に穿孔部を設け、穿孔部の下側部位に錘
を固着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はレーザプリンタやレ
ーザファクシミリ等の電子写真記録装置において、レー
ザ光を感光体上に走査する書き込み光学ユニットに用い
られる光偏向装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】レーザビームプリンタやレーザファクシ
ミリに用いられる書き込み光学ユニットは、その一部を
図４に示すように、高速回転する回転多面鏡１０によっ
て偏向走査されたレーザ光を図示しない結像レンズ等を
経て図示しないドラム形状の感光体（以下、感光ドラム
と呼ぶ）に結像させる。回転多面鏡１０によるレーザ光
の走査（主走査）と感光ドラムの回転による副走査によ
って感光ドラム上に２次元的に静電潜像を形成させる。

【０００３】回転多面鏡１０を回転させるモータ２０
は、書き込み光学ユニットの光学箱１１に固定されたモ
ータハウジング２１と、モータハウジング２１に保持さ
れたスリーブ２８と、回転軸２２にフランジ部材２６を
介して固定されたロータマグネット２４と、これに対す
るステータコイル２５と、ステータコイル２５も電流を
流す駆動回路１３とを有す。ステータコイル２５は、駆
動回路１３から供給される電流によって励磁されてロー
タマグネット２４を回転させる。回転軸２２はフランジ
部材２６の環状部１７に嵌合によって位置決めされ、焼
き嵌めや接着によって固定されている。

【０００４】回転軸２２の高速回転によって、回転軸２
２と固定スリーブ２８との間の動圧発生部３４に空気膜
が形成され、回転軸２２が固定スリーブ２８に対し非接
触で回転するラジアル空気軸受が構成される。回転軸２
２の下端には第１の永久磁石２９ａに対向するように、
モータハウジング２１に第２の永久磁石２９ｂが設けら
れている。第１、第２の永久磁石２９ａ、２９ｂは、両
者の間に発生する磁気吸着力によって回転軸２２をその
軸方向に支持するスラスト軸受を構成している。

【０００５】回転多面鏡１０はフランジ部材２６に位置
決めされ、押さえバネ２７によって押圧され、フランジ
部材２６に保持されている。ステータコイル２５が励磁
されるとロータマグネット２４が回転し、回転多面鏡１
０に入射しているレーザ光は、その入射角の変化に応じ
て反射角が変化し、感光ドラムの軸方向に走査される。
なお、光学箱１１の上部開口は光学箱１１に必要部品を
組み込んだ後に、ふた部材１２によって閉塞される。

【０００６】回転多面鏡１０を高速度で回転させると、
回転多面鏡１０、ロータマグネット２４等を含む回転体
全体の重量のアンバランスによる動的不均衡が、回転体
全体の重心３５を中心とした振れ回り振動を起こす。こ
れは電子写真記録装置の画質を劣化させたり騒音を発生
するおそれがある。そこで、回転多面鏡１０の上面やロ
ータマグネット２４のヨーク部分の上面にバランス溝３
１、バランス修正部３２を設け、これらの箇所にバラン
ス錘３３を接着することで前記回転体全体の重量のアン
バランスを低減するよう工夫されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、回転多面鏡と回転軸と一体化させる構造とし
てフランジ部材を介しているが、フランジ部材を固定軸
に固定するための嵌合しろを設けるために回転軸を固定
スリーブ上面より上方に突出させなければならない。ま
た、回転多面鏡をフランジ部材に保持するための嵌合し
ろを設けるために、フランジ部材を、その回転軸の嵌合
部の上方に伸ばさなければならない。

【０００８】このため、回転軸、フランジ部材、ロータ
マグネット、回転多面鏡を含む回転体全体の重心３５
が、ラジアル空気軸受の動圧発生部３４の中心３６より
もはるか上側に位置することになる。それによって、動
圧発生部中心を支点、回転体全体の重心を力点とした
時、動圧発生部中心と回転体全体の重心との距離、回転
体全体のラジアル方向の重量アンバランス量に比例し
て、回転体全体をラジアル方向に振らせるモーメント力
が動圧発生部中心に作用するため、以下のような欠点が
あった。

【０００９】（１）回転体の回転開始直後や回転停止直
前の低速回転時には、回転軸外周面と固定スリーブ内周
面との間に発生する空気膜による動圧が定常回転時に比
べて非常に小さくなる。このような時に、回転体全体の
重心位置と動圧発生部中心の距離が大きく、回転体の振
れ回りが大きい場合には、回転軸と固定スリーブが非接
触を保ちながら滑らかに回転することが不可能となり、
回転軸と固定スリーブが接触した状態で回転することに
なる。それによって、ラジアル空気軸受にの動圧発生部
が磨耗したり、モータから不快な騒音が発生したりす
る。また、動圧発生部が磨耗することにより、磨耗粉が
回転軸と固定スリーブの間に混入し、回転体を回転させ
るために必要な動圧の発生を妨げることになる。よっ
て、回転、停止を繰り返す過程において、軸受の所定の
耐久性能を満足することができなくなる。

【００１０】（２）回転体のバランス修正時、回転体全
体の重心位置と回転体を回転可能に保持する支持中心と
の距離が大きいほど回転体の振れ回りが大きく、これが
バランス修正時のアンバランス量検知において誤差を生
み出すためにバランス修正に多大な時間と費用を要する
ことになる。

【００１１】本発明は、上記従来の技術の有する未解決
の課題に鑑みてなされたものであり、回転体全体の重心
を動圧発生部の中心に可能な限り近づけることで、回転
体の回転中の振れ回りを小さくし、回転、停止の耐久性
能に優れたラジアル空気軸受を備えた光偏向装置を提供
することを目的とするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、第１に、固定スリーブと回転軸とで構成
されるラジアル空気軸受と、前記回転軸を回転させる駆
動手段と、前記回転軸に固定されたフランジ部材と、該
フランジ部材に保持された光ビームを反射する回転多面
鏡と有する光偏向装置において、前記回転軸には穿孔部
が設けられ、前記穿孔部の下側部位に錘が固着されてい
ることを特徴とする。

【００１３】本発明は、第２に、固定スリーブと回転軸
とで構成されるラジアル空気軸受と、前記回転軸を回転
させる駆動手段と、前記回転軸に固定されたフランジ部
材と、該フランジ部材に保持された光ビームを反射する
回転多面鏡と有する光偏向装置において、前記回転軸の
下端部に錘を取り付けていることを特徴とする。

【００１４】本発明は、第２に、前述の発明の構成に加
えて、前記錘の外周面にバランス修正要の溝を設けたこ
とを特徴とする。

【００１５】

【実施例】（実施例１）図１は、本発明の実施例１の光
偏向装置を有する書き込み光学装置を示す。回転多面鏡
１１０を回転させるモータ１２０は、書き込み光学装置
の光学箱１１１に固定されたモータハウジング１２１
と、これによって保持された固定スリーブ１２８と、回
転軸１２２にフランジ部材１２６を介して固定されたロ
ータマグネット１２４と、これに対するステータコイル
１２５とを有し、ステータコイル１２５は駆動回路１１
３から供給される電流によって励磁されてロータマグネ
ット１２４を回転させる。

【００１６】回転多面鏡１１０は、ロータマグネット１
２４を支持するフランジ部材に位置決めされ、押さえ部
材１２７によってフランジ部材１２６に押圧されて固定
されている。フランジ部材１２６は回転多面鏡１１０の
下面を支持するフランジ面１１４と、回転多面鏡１１０
の中心穴に突出する上側突出部１１５と、筒状部１１６
とを有している。筒状部１１６の内面１１７は回転軸１
２２との嵌合部になっており、十分な嵌合しろによって
焼き嵌めや接着によって固定されている。

【００１７】回転多面鏡１１０は、上側突出部１１５の
外面と嵌合して位置決めされ、フランジ面１１４に定着
する。そして押さえ部材１２７によって押圧固定されて
いる。これによって、回転軸１２２、フランジ部材１２
６、ロータマグネット１２４、回転多面鏡１１０とが一
体的に結合され回転体を構成している。

【００１８】ここで回転軸１２２には穿孔部１２３が設
けられており、更にこの穿孔部１２３の下側部位には錘
１２４が接着等で固着されている。錘１２４は比重の大
きな金属、例えば黄銅等が好適である。この時、錘１２
４の重心位置１２５が動圧発生部１３４の中心位置１３
６より下側になるように錘を取り付けるのが好ましい。
ここで動圧発生部１３４といっているのは、回転軸１２
２と固定スリーブ１２８とが小さなクリアランスを有し
て対向している図１中の固定スリーブ１２８の長さ方向
全域を指している。

【００１９】回転軸１２２は、その回転によって固定ス
リーブ１２８との間に空気膜を形成し、固定スリーブ１
２８に非接触で回転するラジアル空気軸を構成してい
る。回転軸１２２の下端には第１の永久磁石１２９ａが
固着され、この外周面が、モータハウジング１２１に固
定された第２の永久磁石１２９ｂの内周面に対向してい
る。第１、第２の永久磁石１２９ａ、１２９ｂは両者の
対向面の極性が互いに逆であり、その磁気吸着力によっ
て回転軸１２２をモータハウジング１２１から浮上させ
るスラスト軸受を構成している。

【００２０】ステータコイル１２５が励磁されるとロー
タマグネット１２４が回転し回転多面鏡１１０を回転駆
動させる。それによって、回転多面鏡１１０に入射して
いるレーザ光は、その入射角の変化に応じて反射角が変
化し、感光ドラムの軸方向に走査される。なお、光学箱
１１１の上部開口は、光学箱１１１に必要部品を組み込
んだ後に、ふた部材１１２によって閉塞される。

【００２１】本実施例によれば、回転軸１２２の穿孔部
１２３の下側部位に比重の大きな金属等の錘１２４を取
り付けているので、従来の回転体の重心位置に対して、
本実施例の回転体の重心位置は下方に移動する。

【００２２】このような構成をとっていることにより、
回転体全体の重心１３５が動圧発生部１３４の中心位置
１３６に近づくために、回転体の振れ回りを減少させる
ことができ、回転開始直後や回転停止直前の低速回転時
においても、回転軸１２２と固定スリーブ１２８が非接
触の状態を保ちながら滑らかに回転することが可能とな
る。よって、回転軸１２２と固定スリーブ１２８の接触
によって生じる、ラジアル空気軸受の構成部分の磨耗を
低減することが可能となり軸受の耐久性能が向上すると
いう効果がある。また、回転体のバランス修正時、回転
体全体の重心位置と回転体を回転可能に保持する支持中
心との距離が小さくなるので回転体の振れ回りが小さく
なり、バランス修正時のアンバランス量検知が正確に行
われ、バランス修正に費やす時間を減らすことができる
という効果がある。

【００２３】また、後述する実施例に比較して優れる特
徴は、従来の光偏向装置の外径寸法を維持したままで上
記効果が得られるというところにある。

【００２４】（実施例２）図２は本発明の実施例２の光
偏向装置を示す。回転多面鏡２１０を回転させるモータ
は、モータハウジング２２１、固定スリーブ２２８、回
転軸２２２、フランジ部材２２６、ロータマグネット２
２４、ステータコイル２２５を有し、ステータコイル２
２５は駆動回路２１３から供給される電流によって励磁
されてロータマグネット２２４を回転させる。

【００２５】フランジ部材２２６は回転多面鏡２１０の
下面を支持するフランジ面２１４と、回転多面鏡２１０
の中心穴に突出する上側突出部２１５と、筒状部２１４
とを有している。筒状部２１６の内面２１７は回転軸２
２２との嵌合部になっており、十分な嵌合しろによって
焼き嵌めや接着によって固定されている。回転多面鏡２
１０は上側突出部２１５の外面と嵌合して位置決めさ
れ、フランジ面２１４に定着する。そして押さえ部材２
２７によって押圧固定されている。これによって、回転
軸２２２、フランジ部材２２６、ロータマグネット２２
４、回転多面鏡２１０とが一体的に結合され回転体を構
成している。

【００２６】ここで、回転軸２２２の下端部には錘２２
４が接着、ネジ止め等で固着されている。錘２２４は比
重の大きな金属、例えば黄銅等が好適である。

【００２７】回転軸２２２は、その回転によって固定ス
リーブ２２８との間に空気膜を形成し、固定スリーブ２
２８に非接触で回転するラジアル空気軸受を構成してい
る。

【００２８】ステータコイル２２５が励磁されるとロー
タマグネット２２４が回転し回転多面鏡２１０を回転駆
動させる。それによって、回転多面鏡２１０に入射して
いるレーザ光は、その入射角の変化に応じて反射角が変
化し、感光ドラムの軸方向に走査される。

【００２９】本実施例によれば、回転軸２２２の下端部
に比重の大きな材質で作られた錘２２４を取り付けてい
るので、従来及び実施例１の回転体の重心位置に対し、
本実施例の回転体の重心位置２３５は下方に移動する。

【００３０】このような構成をとっていることにより、
実施例１で得られる効果が更に大きくなり、一層、軸受
の耐久性能が向上するという効果がある。

【００３１】（実施例３）図３は本発明の実施例３の光
偏向装置を示す。本実施例では、実施例１、２で述べた
錘に特徴がある。

【００３２】比重の大きな材質で作られた錘３２４は、
回転軸３２２に設けられた穿孔部３２３の下側部位及び
回転軸３２２の下端部にわたる形状となっている。更
に、その外周面にはバランス修正用溝３３６が設けられ
ている。回転多面鏡３１０の上面と、ロータマグネット
３２４のフランジ部にも、それぞれバランス修正用溝３
３１、３３２が設けられており、これらにバランス修正
用錘３３３を接着付加することで回転体全体の重量のア
ンバランスを修正する。実施例１、２において、回転多
面鏡とロータマグネット部のバランス修正溝については
特に述べていないが、実施例１、２においてもこれらの
バランス修正溝は設けられている。

【００３３】本実施例によれば、回転体全体の重心位置
３３５が動圧発生部３３４の中心位置とほぼ同等位置に
なり、実施例１、２で得られる効果が更に大きくなり、
一層、軸受の耐久性能が向上するという効果がある他に
以下に示すバランス修正作業の面での効果も有する。

【００３４】錘３２４の下端部近傍にあるバランス修正
用溝３３６を含む３箇所のバランス修正用溝３３１、３
３２、３３６を適宜選択してバランス修正用錘３３３を
接着付加することができるので、自由度の大きいバラン
ス修正が可能となり、バランス修正の高精度化、バラン
ス修正作業の能率化等がはかれる。例えば、 （１）回転多面鏡を取り付ける前にバランス修正溝３３
２、３３６の２箇所でバランス粗調を行い、回転多面鏡
に取り付けた後にバランス修正溝３３１、３３２あるい
は３３１、３３６の２箇所でバランス微調を行うような
場合、後者のバランス微調が比較的容易に行える。 （２）従来例のようにバランス修正溝３３１、３３２の
２箇所では、その修正面間の間隔が小さくて高精度のバ
ランス修正ができないような場合、バランス修正溝３３
１、３３６の２箇所を選択することでバランス修正が容
易に行われる。

【００３５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
回転体全体の重心を下方に移動させて、ラジアル空気軸
受の動圧発生部中心に近づけることが可能となり、回転
中の振れ回りが小さくなることによって起動・停止の耐
久性能が効果的に向上する。また、３箇所のバランス修
正溝を適宜選択してバランス調整が行えることにより、
より高精度なバランス調整が可能となる。このようなラ
ジアル空気軸受を光偏向装置に搭載することで、静電写
真記録装置の画質向上と性能向上に大きく貢献できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の実施例１を示す光偏向装置を
用いた書き込み光学装置の断面図である。

【図２】図２は、本発明の実施例２を示す光偏向装置の
断面図である。

【図３】図３は、本発明の実施例３を示す光偏向装置の
断面図である。

【図４】図４は、従来の光偏向装置を用いた書き込み光
学装置の断面図である。

【符号の説明】

１０、１１０、２１０、３１０ 回転多面鏡 ２２、１２２、２２２、３２２ 回転軸 ２６、１２６、２２６ フランジ部材 ２８、１２８、２２８ 固定スリーブ ３４、１３４、３３４ 動圧発生部 ３５、１３５、２３５、３３５ 回転体全体の重心 ３６、１３６ 動圧発生部の中心 １２４、２２４、３２４ 錘 ３１、３３１、３３２、３３６ バランス修正溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 公雄 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 佐藤 一身 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 芹澤 道夫 東京都目黒区中根２丁目４番19号 キヤノ ン精機株式会社内 (72)発明者 菅野 秀人 東京都目黒区中根２丁目４番19号 キヤノ ン精機株式会社内 Ｆターム(参考） 2H045 AA24 DA41 5C072 AA03 BA13 CA06 HA02 HA13 HB15 JA07 XA05

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固定スリーブと回転軸とで構成されるラジ
   アル空気軸受と、前記回転軸を回転させる駆動手段と、
   前記回転軸に固定されたフランジ部材と、該フランジ部
   材に保持された光ビームを反射する回転多面鏡と有する
   光偏向装置において、前記回転軸には穿孔部が設けら
   れ、前記穿孔部の下側部位に錘が固定されていることを
   特徴とする光偏向装置。
2. 【請求項２】固定スリーブと回転軸とで構成されるラジ
   アル空気軸受と、前記回転軸を回転させる駆動手段と、
   前記回転軸に固定されたフランジ部材と、該フランジ部
   材に保持された光ビームを反射する回転多面鏡と有する
   光偏向装置において、前記回転軸の下端部に錘を取り付
   けていることを特徴とする光偏向装置。
3. 【請求項３】前記錘の外周面にバランス修正用の溝を設
   けたことを特徴とする請求項２記載の光偏向装置。