JP2000227681A - 印刷用版材の再生方法及び印刷機 - Google Patents

印刷用版材の再生方法及び印刷機

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JP2000227681A
JP2000227681A JP11029360A JP2936099A JP2000227681A JP 2000227681 A JP2000227681 A JP 2000227681A JP 11029360 A JP11029360 A JP 11029360A JP 2936099 A JP2936099 A JP 2936099A JP 2000227681 A JP2000227681 A JP 2000227681A
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Yasuharu Suda
康晴 須田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷工程のデジタル化に対応しつつ再利用が
可能であるような印刷用版材の再生方法及び印刷機を提
供する。 【解決手段】 印刷時にインキ反発性を有する親水性表
面となる感光層で表面を形成した版材2表面に、液体ト
ナーを用いる電子写真方式によりインキ受容性を示すト
ナー画像を密着・定着させて画線部を形成する。したが
ってこの版面は、水の接触角が少なくとも50゜以上とな
る疎水性の画線部、及びインキ反発性を有する非画線部
とに区分けされた印刷用版材となる。印刷終了後は、ク
リーニング装置10により当該印刷用版材2表面に付着
したインキ、湿し水をクリーニングした後、化学処理液
供給装置9により、印刷用版材2表面における前記画線
部を除去することによって、印刷用版材を初期の状態に
戻し、これを再利用可能とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として液体トナ
ーを用いた電子写真プロセスにおいて利用される印刷用
版材の再生方法及び印刷機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】印刷技術一般としては、昨今、印刷工程
のデジタル化が進行しつつある。これは、パソコンで画
像、原稿を作成したり、スキャナ等で画像を読み込むこ
とによって当該画像等をデジタルデータ化し、印刷に用
いる版材の作製に関して、このデジタルデータをそのま
ま利用しようとする試みである。このことによって、印
刷工程全体の省力化が図れると共に、高精細な印刷を行
うことも可能となる。
【0003】ところで、従来の版としては、いわゆるP
S版が一般的に知られている。これは、陽極酸化アルミ
ニウムを親水性の非画線部とし、その表面上に感光性樹
脂を硬化させて形成した疎水性の画線部を有するものと
なっている。印刷は、上記疎水性の画線部に付着したイ
ンキが紙面上に転移することによって行われる。もっと
も、このPS版は、上記した印刷工程デジタル化に対応
できるものとはなっていない。
【0004】一方で上記PS版の他、印刷工程のデジタ
ル化に対応して、版の作製を容易にする方法も提案され
ている。例えば、PETフィルム上に、カーボンブラッ
ク等のレーザ吸収層、さらにその上にシリコン樹脂層を
塗布したものに、レーザ光線で画線を書き込むことによ
りレーザ吸収層を発熱させ、その熱によりシリコン樹脂
層を焼きとばして版を作製する方法が知られている。ま
た、アルミニウム版の上に親油性のレーザ吸収層を塗布
し、さらにその上に塗布した親水層を前記と同様にレー
ザ光線で焼き飛ばして版とする方法等も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来技
術においては以下のような問題があった。まず、上記P
S版においては、その作製に多くの時間とコストを必要
とするため、特に少数部数の印刷においては印刷コスト
アップの要因となっていた。また、一つの絵柄の印刷が
終わり次の印刷を行う際には、版の交換作業が必要とな
り、従前までに使用されていた版は廃棄処分となってい
た。さらに、PS版は、上述したように、印刷工程のデ
ジタル化に対応できるものとなっていない。すなわち、
PS版では、デジタルデータから版を直接作製すること
ができず、省力化や高精細印刷を実現するための印刷工
程デジタル化を実現することができなかった。
【0006】また、上記デジタル化に対応した版の作
製、すなわちPETフィルムを用いるものやアルミニウ
ム版を用いるものは、確かにデジタルデータから直接版
を作製することは可能であるが、一つの絵柄に関して印
刷が終わると新しい版に交換しなければ印刷ができな
い。つまり、一度使った版が廃棄処分となる事情に関し
ては上記PS版と変わりはない。すなわち、その相応分
印刷に係るコストが上昇することとなっていた。また、
近年とみに提唱されるようになった地球環境保護という
立場からも、一度使用した版を廃棄処分とするのは、好
ましい状況といえるものではない。
【0007】さらに、デジタルデータを用いた電子編集
システムにおいては、末端プロッタの出力から直接印刷
版を作製する方法として、電子写真プロセスで感光体表
面にトナー画像形成後、非画線部を不感脂化処理液で親
水化して印刷用版材とする方法が知られている。また、
トナー画像形成後、非画線部の光導電層を除去して印刷
用版材とするような方法も知られている。しかしなが
ら、これらの電子写真プロセスを用いた製版方法では、
上述したPS版、PETフィルム版、アルミニウム版等
と同様、これを再生して繰り返し使用することは全く考
慮されておらず、一度使った版は廃棄されることとなっ
ていた。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、印刷工程のデジタル化に
対応しつつ再利用が可能であるような印刷用版材の再生
方法及び印刷機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために以下の手段をとった。すなわち、請求項
1記載の印刷用版材の再生方法は、印刷時にインキ反発
性を有する親水性表面となる感光層で表面を形成した版
材表面に、液体トナーを用いる電子写真方式によりイン
キ受容性を示すトナー画像を密着・定着させて画線部を
形成した印刷用版材を実際の印刷に供した後に、該印刷
用版材表面における前記画線部を化学的処理及び/又は
物理的処理によって除去することによって、前記印刷用
版材を再生することを特徴とするするものである。
【0010】これによれば、親水性表面を有する感光層
からなる版材表面上に、トナー画像部を密着・定着させ
ることにより、画線部及び非画線部を有する印刷用版材
を作製することが可能となる。このとき、感光層表面上
に画像を描画し、これに基づきトナー画像部を形成する
ことは、半導体レーザ等の露光による方法を含んで実施
することが可能であるから、本発明は、印刷工程のデジ
タル化に対応したものとなっている。また、印刷終了後
の印刷用版材に対して、化学的処理及び/又は物理的処
理を施すことによって、当該印刷用版材の再利用が可能
となる。つまり、新たな画像に基づき前記トナー画像部
を再形成することが可能となっている。なお、上記化学
的処理とは、例えば、トナー画像部を形成するトナー用
樹脂を膨潤及び/又は溶解させる化学物質又はその溶液
を、前記印刷用版材に塗布するような処理のことを指
す。また、物理的処理とは、前記基材上に密着・定着さ
れたトナー画像部を物理的に削ぎ落とすような処理のこ
とを指している。
【0011】また、前記感光層表面上に密着・定着させ
るトナー画像部は、請求項2記載の事項により、その粘
着力が30gf以上の表面剥離性能を有することを特徴とす
るものである。
【0012】これによれば、トナー画像部の基材上への
密着・定着は確実に成されることになり、印刷用版材の
耐刷性を向上させることが可能となる。また、その粘着
力を「30gf以上の表面剥離性能を有する」よう規定する
ことにより、前記耐刷性はより確実に保証されることに
なる。より端的に言えば、この印刷用版材の再生方法に
よれば、前記基材上から印刷中にトナーが剥離するよう
な事態を回避することが可能である、ということであ
る。ここで、本発明においてこの粘着力は、JISZ 0237-
1980の「粘着テープ ・粘着シート試験方法」により評
価されるものとする。
【0013】また、請求項3記載の印刷用版材の再生方
法は、前記トナー画像部が、少なくとも水の接触角が50
゜以上となる条件を満たす液体トナーにより形成される
ことを特徴とするものである。
【0014】このトナー画像部は、印刷用版材の画線部
として十分なインキ受容性を有し、印刷中において、印
刷面の色ムラ、印刷物の光学濃度不足等を発生させるよ
うなことがない。
【0015】また、請求項4記載の印刷用版材の再生方
法は、請求項1から3のいずれかに記載の印刷用版材の
再生方法を、印刷機上で行うことを特徴とするものであ
る。
【0016】本発明は、具体的には、版材表面の感光層
への画像描画、前記感光層表面におけるトナー画像部の
密着・定着、そのトナー画像部の化学的処理及び/又は
物理的処理による再生工程等を印刷機上で行うことを意
味する。これによれば、連続的な印刷作業の実施を行う
ことが可能となる。なぜならば、印刷用版材の再生に係
る工程において、通常推測される作業の中断を要しない
ためである。
【0017】また、請求項5記載の印刷機は、露光光源
を含む描画装置と、該描画装置を用いて電子写真方式に
よりトナー画像部が形成される感光層を設けた版胴と、
前記画像部を除去するために化学処理液を前記感光層表
面に供給する手段とを少なくとも構成要素とすることを
特徴とするものである。この印刷機は、印刷工程のデジ
タル化に対応できるとともに、印刷用版材の再生に適し
た構成となっている。
【0018】また、上記印刷機においては、トナー画像
を定着するための加熱装置を前記版胴内に配置すること
により、版材表面の感光層へのトナー画像定着を行うこ
とができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下では、本発明の実施の形態に
ついて、図を参照して説明する。図1は、本発明による
印刷用版材の再生方法を実現するために好適な、電子写
真プロセス部を備えた印刷ユニット(印刷機)100の
構成を示すものである。なお、図1はトナー画像の転移
操作に関連した装置の構成を示すものである。
【0020】はじめに、図1において、表面が感光層で
形成された版材2表面上に画像部であるトナー画像部を
形成する方法を簡単に説明する。まず、印刷時にインキ
反発性を有するよう親水化処理が施された前記感光層上
に半導体レーザ描画装置4により画像(潜像)を描画
し、これを液体トナー現像装置5によって現像してトナ
ー画像とする。さらに、このトナー画像を定着装置7お
よび版胴1内部に配置された例えばヒータである加熱装
置8により前記感光層上に密着・定着させて画線部を形
成し、印刷版を作成する。
【0021】また、上記のように画線部を形成された版
材2は、実際の印刷工程に供された後、再生工程を受け
る。これは印刷用版材2の表面(感光層)をクリーニン
グ装置10により清浄な状態とした後に、ローラ状の化
学処理液供給装置9を前記印刷用版材2上に押圧、回転
することによって、前記画線部を化学的処理及び/又は
物理的処理によって除去する工程である。これにより、
当該印刷用版材2には、従前とは異なる新たなトナー画
像部の密着・定着することが可能となっている。
【0022】以下では、上記構成、作用を有する印刷ユ
ニット100の各構成要素等について説明する。まず、
前記版材2の基体は、導電性基体、例えば、アルミニウ
ムを用いる。
【0023】導電性基体の表面に感光層を形成して版材
2を作成する。感光層の材質としては、酸化チタン、ア
モルファスシリコン、セレン等の無機感光材、あるいは
電荷発生材料としてフタロシアニン類を少なくとも1種
含む有機感光材など、従来公知のいずれのものでも用い
ることが可能である。なお、必要に応じて、導電性基板
と感光層との間に、下引き層、感光層表面に保護層を設
けてよいことは言うまでもない。さらに、前記感光層表
面または保護層表面は親水性を示すよう処理を施したも
のとする。親水化処理としては、コロナ処理、あるいは
親水性ポリマー層のコーティング処理などの方法から適
宜選択すればよい。
【0024】版材2、つまり感光層表面(保護層がある
場合は保護層評面、以下同じ)にトナー画像部に密着・
定着させるには加熱する方法が望ましい。加熱方法とし
ては、赤外線照射、熱風送風等の非接触方式、ヒートロ
ーラ等による接触加熱方法、また版胴1の内部からの伝
導加熱等のいずれの方法でも良い。もちろん、これらの
方法を組み合わせて用いてもよい。図1に示した本実施
の形態では、版胴1内部に備えられた加熱装置8および
版材2表面に対向配置した定着装置7によって、それぞ
れ加熱を行うことが可能になっている。なお、上記加熱
に係る操作及び方法においては、その温度を、液体トナ
ーを構成する熱可塑性樹脂の軟化点より、10〜100℃高
いものと設定するのが好ましい。
【0025】このようにして版材2上に密着・定着され
たトナー画像部は、印刷版の耐刷性の観点から、基体と
の密着性、粘着性が必要であり、その粘着力が30gf以上
でなければならない。この粘着力が、30gf未満の場合に
あっては、印刷版の耐刷性が不足し、その結果、印刷
中、画線部を形成するトナーが剥離する可能性が高くな
る。なお、ここでいう粘着力とは、前述の通り、JIS Z
0237-1980の「粘着テープ ・粘着シート試験方法」によ
り評価される。
【0026】さらに、版材2表面に密着・定着されたト
ナー画像部は、印刷版の画線部としてインキ受容性を有
するために、疎水性でなければならない。疎水性の尺度
として、水の接触角を利用することとすると、それが少
なくとも50゜以上であることが望ましい。より好ましく
は80゜以上であることが望ましい。このような要件が課
されるのは、その水の接触角が50゜以下あるいはより好
ましい条件である80゜以下となる場合にあっては、イン
キ受容性が悪化し、印刷面のムラ、印刷物の光学濃度不
足が生じる場合があるためである。
【0027】ところで、上述したトナー画像部の密着性
・粘着性及び疎水性等の性能は、主として液体トナーを
構成する熱可塑性樹脂の特性によるところが大きい。本
発明の版作製に適したトナー用樹脂としては、例えば、
塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂、スチレン系樹脂、メタ
クリル酸系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール
樹脂、飽和ポリエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共
重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化
物、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン
・(メタ)アクリル酸共重体、(メタ)アクリル酸エス
テル樹脂、スチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、ス
チレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げ
られる。なお、これらの中から1種又は2種以上混合し
て使用してもよい。
【0028】本発明によれば、印刷終了後にクリーニン
グ装置10によって版材2表面に付着しているインキ、
又は湿し水等を拭き取った後、化学的処理及び/又は物
理的処理により版面に密着・定着されたトナー画像部の
除去を行う。ここで、化学処理とは、上記したトナー用
樹脂を膨潤及び/又は溶解させる化学物質又はその溶液
(以下、化学処理液という)を用い、トナー画像部を有
する版面にこの化学処理液を塗布、あるいは同版面を化
学処理液に浸漬する等の方法による。また、物理的処理
とは、版面上のトナー画像部を削ぎ落とす等して、新た
な表面を物理的に現出させる処理のことを言う。
【0029】なお、上記化学処理液としては、ジメチル
スルホキシド、アジピン酸等の有機酸、アジピン酸メチ
ル、グルタン酸ジメチル、コハク酸ジメチル等の有機酸
エステル類、ヘキサメチレンジアミン等の有機アミン
類、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエー
テル類、オレイン酸系界面活性剤、芳香族有機溶剤、パ
ラフィン系炭化水素、ケトン類等を単独又は複数組み合
わせて用いればよく、また、これらを希釈溶媒で希釈し
た溶液として用いても、もちろんよい。
【0030】以下、印刷用版材の作製、再生及び実際の
印刷作業に係る、本願発明者らが確認したより具体的な
実施例について説明する。本実施例は、図1に示すよう
な電子写真プロセス部を備えた印刷ユニット100を用
いて、以下に示す電子写真プロセスにより印刷用版材の
作製を行った。
【0031】1)版材2表面に形成されたアモルファス
シリコン感光層を表面温度が40℃となるように調整し
た後、コロナ帯電装置3により、感光層表面に+500V
の帯電を付与した。 2)半導体レーザ描画装置4を用いて波長788nmの光
で、ビームスポット15μmとしてピッチ10μmで露光を行
った。 3)トナー現像装置5にて感光層露光部にトナーを電着
させて現像を行い、次いでスクイズ装置6により過剰の
担体液(商品名アイソパーL)を除去した後、定着装置
7と版胴1内部の加熱装置8により感光層表面にトナー
画像を密着・定着させた。
【0032】次に、版作成のため用いた電子写真プロセ
ス部を版胴1から脱着し、図2に示すように、インキン
グローラ12、湿しローラ13、ブランケット胴14か
らなる印刷ユニットを版胴1に装着して印刷機101を
構成する。この印刷機101を用い、東洋インキ製のイ
ンキHYECOO B紅MZと三菱重工業製の湿し水リソフェロー
1%溶液とを用いて、印刷用の紙15としてコート紙を
使用して印刷を行ったところ、地汚れ発生のない鮮明な
画像の印刷物が1万枚以上得られた。
【0033】印刷終了後、インキングローラ12、湿し
ローラ13、ブランケット胴14からなる印刷ユニット
101を版胴1から脱着し、再び図1に示すような電子
写真プロセス部を備えた印刷ユニット100とした。そ
して、版材2表面上に付着したインキ及び湿し水をクリ
ーニング装置10により拭き取った後、化学処理液を化
学処理液供給装置9にて版面上に供給しながら(化学的
処理)、引き続きクリーニング装置10にて版表面のト
ナー画像部を拭き取り(物理的処理)、さらに当該版表
面に送風装置11により熱風を送風して乾燥させること
によって、版材2は、版作製前の状態に戻る。つまり、
この版材2は上述した版作製の工程を再び経させること
によって新たな画像書き込みを行うことが可能となっ
た。
【0034】以上説明したように、本実施形態における
印刷用版材の再生方法を実施することにより、印刷用版
材の再利用が可能となり、使用後に廃棄される版材の量
を著しく減少させることができる。したがって、その
分、版材に関わるコストを大幅に低減することができ
る。また、版材への画像書き込みは、画像に係るデジタ
ルデータから露光によって直接実施することが可能であ
ることから、印刷工程のデジタル化対応が成されてお
り、その相応分の大幅な時間短縮、またコスト削減を図
ることができる。
【0035】また、印刷用版材の作製及び再生は、上述
したように印刷ユニット100及び101上で行うこと
が可能であるから、印刷作業の迅速化を実現することが
できる。なお、上記の例では、画像書き込みも印刷ユニ
ット100上で行われていたから、より迅速な作業を実
施することができる。
【0036】なお、本発明でいうところの「印刷機」と
は、本実施形態においては、上記印刷ユニット100及
び101の両構成を含めたものを指すものである。すな
わち両者は、本実施形態において別々の構成として示さ
れていたが、これは本質的なことではない。つまり、設
置制約等の条件がクリアされるならば、上記印刷ユニッ
ト100及び101を一体的な構成としても何ら問題は
ない。
【0037】また、上記した実施形態においては、基体
に対するトナー画像部転移に際して、加熱操作を施すよ
うにされていたが、本発明においては必ずしもこの操作
を行う必要はない。つまり、加熱操作を行わないもので
あっても、それは本発明の技術的思想の概念内にある。
また、これに関連して言えば、加熱操作に関するその温
度について、上記では「液体トナーを構成する熱可塑性
樹脂の軟化点より、10〜100℃高いものとする」なる言
及をしたが、本発明は加熱 温度をこれのみに限るもの
ではない。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の印
刷用版材の再生方法は、印刷時にインキ反発性を有する
親水性表面となる感光層で表面を形成した版材表面に、
液体トナーを用いる電子写真方式によりインキ受容性を
示すトナー画像を密着・定着させて画線部を形成する方
法である。したがって、当該画線部及び非画線部を有す
る印刷用版材が作製されることになる。また、トナー画
像部を形成する基礎となる感光層表面の画像描画は、半
導体レーザ等の露光により実施することが可能である。
したがって、本発明は印刷工程のデジタル化に対応して
おり、印刷時間の大幅な短縮、コストの削減を図ること
ができる。また、印刷終了後には、前記印刷用版材にお
ける前記画線部を化学的処理及び/又は物理的処理によ
って除去することで、当該印刷用版材の再利用を可能と
するものであるから、従来のように、印刷終了後の印刷
用版材を廃棄処分とする必要がなく、その相応分コスト
削減を図ることができる。
【0039】また、請求項2記載の印刷用版材の再生方
法は、前記トナー画像部の粘着力が30gf以上の表面剥離
性能を有することから、より確実に高品質な印刷を実施
することができる。
【0040】また、請求項3記載の印刷用版材の再生方
法は、前記トナー画像部が、少なくとも水の接触角が50
゜以上となる条件を満たす液体トナーにより形成されて
いるから、このトナー画像部に基づき形成される前記画
線部は、十分なインキ受容性が保証されることになる。
したがって、印刷中において、印刷面のムラ、印刷物の
光学濃度不足等を発生させるようなことがなく、高品質
な印刷を実施することができるとともに、高品位な印刷
物の提供をも可能ならしめるものである。
【0041】また、請求項4記載の印刷用版材の再生方
法は、請求項1から4のいずれかに記載の印刷用版材の
再生方法を、印刷機上で行うことから、通常推測される
作業の中断を要せず、結果印刷工程全体の迅速化を図る
ことができる。なお、本発明においては、印刷用版材の
再利用に係る上記した各種メリットも同時に享受できる
ことは言うまでもない。
【0042】また、請求項6記載の印刷機は、露光光源
を含む描画装置、また版材上に形成された画線部を除去
するための化学処理液を当該基材上に供給する手段とを
備えていることから、印刷工程のデジタル化、さらには
印刷用版材の再生に適した構成となる印刷機であるとい
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電子写真プロセス部を含む印刷ユニットの構
成を示す説明図である。
【図2】 実際の印刷工程に使用される印刷ユニットの
構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 版胴 2 版材 3 コロナ帯電装置 4 半導体レーザ描画装置 5 液体トナー現像装置 6 スクイズ装置 7 定着装置 8 加熱装置 9 化学処理液供給装置 10 クリーニング装置 11 送風装置 12 インキングローラ 13 湿しローラ 14 ブランケット胴 15 紙

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷時にインキ反発性を有する親水性表
    面となる感光層で表面を形成した版材に、液体トナーを
    用いる電子写真方式によりインキ受容性を示すトナー画
    像を密着・定着させて画線部を形成した印刷用版材を実
    際の印刷に供した後に、 該印刷用版材表面における前記画線部を化学的処理及び
    /又は物理的処理によって除去することによって、 前記印刷用版材を再生することを特徴とする印刷用版材
    の再生方法。
  2. 【請求項2】 前記感光層表面に定着された前記トナー
    画像部の粘着力が30gf以上の表面剥離性能を有すること
    を特徴とする請求項1に記載の印刷用版材の再生方法。
  3. 【請求項3】 前記トナー画像部は、水の接触角が少な
    くとも50゜以上となる液体トナーにより形成されること
    を特徴とする請求項1または2に記載の印刷用版材の再
    生方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の印刷用
    版材の再生方法を、印刷機上で行うことを特徴とする印
    刷用版材の再生方法。
  5. 【請求項5】 露光光源を含む描画装置と、該描画装置
    を用いて電子写真方式によりトナー画像部が形成される
    感光層を設けた版胴と、前記画像部を除去するために化
    学処理液を前記感光層表面に供給する手段とを少なくと
    も構成要素とすることを特徴とする印刷機。
  6. 【請求項6】 トナー画像を定着するための加熱装置
    が、前記版胴内に配置されている請求項5に記載の印刷
    機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112004506A (zh) * 2018-04-30 2020-11-27 金伯利-克拉克环球有限公司 吸收制品

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