JP2000226726A - 塩化ビニリデン系樹脂繊維及びその製造方法 - Google Patents

塩化ビニリデン系樹脂繊維及びその製造方法

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JP2000226726A
JP2000226726A JP2760399A JP2760399A JP2000226726A JP 2000226726 A JP2000226726 A JP 2000226726A JP 2760399 A JP2760399 A JP 2760399A JP 2760399 A JP2760399 A JP 2760399A JP 2000226726 A JP2000226726 A JP 2000226726A
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Japan
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resin
vinylidene chloride
polyurethane
fiber
evaluation
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JP2760399A
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English (en)
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Masahide Yoshimoto
雅秀 吉本
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 押出加工時の熱安定性と手触り感に優れた塩
化ビニリデン系樹脂繊維の提供。 【解決手段】 溶融紡糸によって得られる繊維であっ
て、ポリウレタンを塩化ビニリデン系樹脂に対して0.
001〜20重量%含有する塩化ビニリデン系樹脂繊
維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、押出加工時の熱安
定性と手触り感に優れた、ポリウレタンを含有する塩化
ビニリデン系樹脂繊維、特に人形頭髪用に適した繊維に
関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、塩化ビニリデン系樹脂繊維の
溶融押出加工では、塩化ビニリデン系樹脂の熱安定性が
悪いために、熱分解物(炭化物)が発生し、これが紡口
などに目詰まりし、そのため、糸切れなどが発生し、生
産効率を悪化させるという問題があった。そこで、例え
ばクエン酸アセチルトリブチル(以下、ATBCと称
す。)やセバチン酸ジブチルやアジピン酸ジオクチルや
フタル酸ジオクチル等の可塑剤、エポキシ化アマニ油や
エポキシ化大豆油やビスフェノールAジグリシジルエー
テルやペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート](以下、A060と称す。)やエポキシ化ステ
アリン酸ブチルやエポキシ化ステアリン酸オクチルや酸
化マグネシウムや水酸化マグネシウムなどの熱安定剤な
どを添加して熱安定性を改善したり、特開平6−812
09号公報のようにパラフィンワックスを添加して、溶
融押出加工時の熱安定性の改良を行っているが、これら
はいずれも熱分解物の発生防止を十分満足するには至っ
ていないのである。
【0003】また、このような可塑剤や熱安定剤などの
添加剤は、樹脂の表面に移行するので、繊維がべたべた
して手触り感が悪いものしか得られないという別の問題
も生じている。このようなべたつき、手触り感の悪化は
使用時に使用者に対して不快感を与える他、カール加工
時における糸のもつれ等の原因にもなり、特に人形頭髪
等の人工頭髪に用いられる場合には深刻な問題であっ
た。更に、地球環境対策面から、樹脂の再利用を図るた
めに塩化ビニリデン系樹脂のシートやフィルムや繊維な
どのリサイクル原料を使用する場合、これらはリサイク
ルされていないものより熱安定性が悪いため、更に可塑
剤や熱安定剤を追添する必要があり、これによって樹脂
の手触り感が更に悪化して品質の優れた繊維が得られな
いといった問題が生じているのである。
【0004】このような問題を解決する方法として、特
開昭61−113814号公報にはジイソブチルアジペ
ートやジブチルアジペートの可塑剤を2〜5重量%とエ
ポキシ系熱安定剤を1〜2重量%それぞれ添加した塩化
ビニリデン系樹脂延伸糸が開示されている。この糸は熱
安定性がかなり改善されていて、べたつきがなく、手触
り感が向上するものの、塩化ビニリデン系樹脂の溶融押
出加工時の熱分解の抑制を満足させるにはまだ十分とは
いえない状況にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題を解決し、溶融押出加工時の熱安定性と手触り感に
優れた塩化ビニリデン系樹脂からなる繊維を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、溶融押出加工時
の熱安定性を著しく向上させ、べたつきのない手触り感
に優れた塩化ビニリデン系繊維の発明をなすに至ったの
である。すなわち、本発明は下記の通りである。 1)溶融紡糸によって得られる繊維であって、ポリウレ
タンを塩化ビニリデン系樹脂に対して0.001〜20
重量%含有することを特徴とする塩化ビニリデン系樹脂
繊維。 2)ポリウレタンが熱可塑性ポリウレタンである上記
1)の塩化ビニリデン系樹脂繊維。 3)ポリウレタンを塩化ビニリデン系樹脂に対して0.
001〜20重量%含有する塩化ビニリデン系樹脂組成
物を溶融紡糸することを特徴とする塩化ビニリデン系樹
脂繊維の製造方法。
【0007】本発明が従来技術と最も相違するところ
は、従来技術が塩化ビニリデン系樹脂に可塑剤や熱安定
剤などを添加するのに対し、本発明は塩化ビニリデン系
樹脂にポリウレタンを使用することである。上記従来技
術と相違するところの本発明の構成要件の役割は、塩化
ビニリデン系樹脂繊維の溶融押出加工時の熱安定性を著
しく向上させるとともに、樹脂表面のべたつきを防止
し、手触り感をよくすることである。
【0008】以下本発明をさらに詳細に説明する。本発
明の塩化ビニリデン系樹脂繊維は溶融紡糸によって製造
することができる。繊維の断面形状は、用途、目的に応
じて丸型や中空や積層や異形等の形状が可能である。ま
た、本発明の繊維をマルチフィラメントとして用いる場
合には、本発明以外の他の繊維と混繊してもよい。
【0009】本発明で用いられる塩化ビニリデン系樹脂
繊維は、塩化ビニル繊維と比べて特に柔軟性が優れるほ
か、色落ちも少なく、吸水による樹脂の変性がないなど
の理由で、人形頭髪用等の人工頭髪用繊維として用いら
れているものである。本発明に用いる塩化ビニリデン系
樹脂は、斯界に周知のものが使用できる。塩化ビニリデ
ン系樹脂とは、塩化ビニリデンモノマーと、塩化ビニリ
デンモノマーと少なくとも1種の共重合可能なエチレン
誘導体モノマーとの共重合体である。エチレン誘導体モ
ノマーには、例えばアクリルニトリルやメタクリロニト
リルなどのエチレン性不飽和カルボン酸のニトリル、メ
チルアクリレートやメチルメタクリレートなどのアクリ
ル酸やメタクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシプ
ロピルアクリレートやヒドロキシエチルアクリレートや
ヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシアルキ
ルエステルなどが挙げられる。更に酢酸ビニルのような
飽和カルボン酸のビニルエステル、アクリルアミドのよ
うなエチレン性不飽和カルボン酸のアミド、アクリル酸
のようなエチレン性不飽和カルボン酸、アリルアルコー
ルのようなエチレン性不飽和アルコール、塩化ビニルの
ようなハロゲン化ビニルなどが挙げられる。これらの中
で熱安定性が良い点でメチルアクリレートがより好まし
く、塩化ビニルは更に好ましい。
【0010】塩化ビニリデン系樹脂において塩化ビニリ
デンモノマーとエチレン誘導体モノマーの重合前のモノ
マー重量比(以下、仕込み比と称す)は、使用されるエ
チレン誘導体モノマーによって異なるが、エチレン誘導
体モノマーが塩化ビニルの場合、塩化ビニリデンモノマ
ー/塩化ビニルモノマーの仕込み比は65/35〜98
/2重量%がより好ましい。更に好ましくは80/20
〜95/5重量%である。塩化ビニルモノマーが35重
量%を越えると樹脂の色が黄色くなりすぎる場合があ
り、2重量%未満では溶融粘度が高くなり、溶融押出が
できなくなる場合がある。また、メチルアクリレートの
場合、塩化ビニリデンモノマー/メチルアクリレートモ
ノマーの仕込み比は80/20〜99/1重量%がより
好ましい。メチルアクリレートが20重量%を越えると
ポリマーのブロッキングがひどくなり、溶融押出が困難
になる場合があり、1重量%未満では溶融粘度が高くな
り、溶融押出ができなくなる場合がある。
【0011】本発明で用いられる塩化ビニリデン系樹脂
は、何度か溶融押出加工した再生(リサイクル)樹脂で
あってもよい。本発明で用いられるポリウレタンは、斯
界に周知のものが使用できる。ポリウレタンは、主鎖中
にウレタン結合および/またはウレア結合などを有する
ポリマーである。一般に軟質フォーム、硬質フォーム、
反応射出成形(RIM)、エラストマー、塗料、コーテ
ィング剤、接着剤、バインダー、水系ポリウレタン、弾
性繊維などの用途に使用され、熱可塑性ポリウレタンは
エラストマーなどの用途に使用されているものである。
ポリウレタンは、重付加反応または重合反応に基づき合
成されたポリマーであり、(ポリ)イソシアネートと、
ヒドロキシル基やアミノ基等を含有する含活性水素化合
物を用いて得られる。
【0012】上記(ポリ)イソシアネートとしては、例
えば2,4−トリレンジイソシアネート(以下、2,4
−TDIと称す。)、2,6−トリレンジイソシアネー
ト(以下、2,6−TDIと称す。)、2,2’−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート(以下、2,2’−MD
Iと称す。)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネート(以下、2,4’−MDIと称す。)、4,4’
−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、4,4’
−MDIと称す。)、1,5−ナフタレンジイソシアネ
ート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート(以下、HDIと称す。)、イソホロンジ
イソシアネート(以下、IPDIと称す。)、キシリレ
ンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネー
ト、トランスシクロヘキサン1,4−ジイソシアネー
ト、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニル
メタンジイソシアネート(以下、H1 2 MDIと称
す。)、リジンジイソシアネート、トリイソシアネー
ト、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、p−
テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステ
ルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリ
イソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソ
シアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレ
ントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシア
ネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネートなどの化合物やこれらの変性体や誘導体や混
合物や高分子化合物などが挙げられる。
【0013】含活性水素化合物のポリヒドロキシル基含
有化合物としては、ポリエーテルポリオールやポリエス
テルポリオールやポリテトラメチレングリコールやエポ
キシ樹脂変性ポリオールやポリエステルポリオール変性
体やアクリルポリオールやフェノールレジンポリオール
やエポキシポリオールやブタジエンポリオールやポリエ
ステル−ポリエーテルポリオールなどが挙げられる。ポ
リエーテルポリオールは、アルキレンオキサイドと活性
水素原子を持つ化合物の反応などで得られ、このアルキ
レンオキサイドには、例えばエチレンオキサイドやプロ
ピレンオキサイドなどが挙げられ、活性水素原子を持つ
化合物には、例えば水、プロピレングリコール、エチレ
ングリコール、水酸化カリウム、グリセリン、2−エチ
ル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオー
ル、ヘキサントリオール、ジグリセリン、ペンタエリス
リトール、メチルグリコジッド、ソルビトールなどが挙
げられる。ポリエステルポリオールには、二塩基酸とヒ
ドロキシル化合物の反応で得られる縮合系ポリエステル
ポリオールやε−カプロラクタムとヒドロキシル化合物
の反応で得られるラクトン系ポリエステルポリオールや
ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。縮合系ポ
リエステルポリオールの二塩基酸としては、例えばフタ
ル酸、アジピン酸、二量化リノレイン酸、マレイン酸な
どが挙げられ、ヒドロキシル化合物には、例えばエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロール
エタン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。ラク
トン系ポリエステルポリオールのヒドロキシル化合物は
縮合系ポリエステルポリオールと同様のものが利用でき
る。これら含活性水素化合物の中で、ポリエステルポリ
オールが熱安定性が良い点でより好ましい。
【0014】本発明における熱可塑性ポリウレタンは斯
界に周知のものが使用できる。熱可塑性ポリウレタンは
上記ポリウレタンの中でも熱を加えると可塑化すること
を特徴とするポリウレタンである。熱可塑性ポリウレタ
ンは、(ポリ)イソシアネートと含活性水素化合物と鎖
延長剤または/および架橋剤などの反応から得られる。
(ポリ)イソシアネートには、例えば2,4−TDI、
2,6−TDI、2,2’−MDI、2,4’−MD
I、4,4’−MDI、HDI、IPDI、H1 2 MD
Iなどの化合物やこれらの変性体や誘導体や混合物や高
分子化合物などが挙げられる。含活性水素化合物には、
前記ポリウレタンの含活性水素化合物と同様のものが使
用される。これら含活性水素化合物の中で、ポリエステ
ルポリオールが熱安定性が良い点でより好ましい。鎖延
長剤または/および架橋剤には、例えばエチレングリコ
ールや1,4−ブタンジオールや2,3−ブタンジオー
ルやハイドロキノンジエチロールエーテルや2−エチル
−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールや
グリセリンやソルビトールクオドロールや1,3−プロ
パンジオールやビスフェノールAなどの化合物やこれら
化合物の多量体などの多価アルコール類、3,3−ジク
ロロ−4,4−ジアミノジフェニルメタンやアルカノー
ルアミンやジフェニルメタンジアミンなど化合物やこれ
らの多量体などの多価アミン類、トリレンジイソシアネ
ート2量体などの末端ヒドロキシプレポリマーなどが挙
げられる。熱可塑性ポリウレタンは塩化ビニリデン系樹
脂と相容性がよい点でより好ましい。
【0015】本発明においてポリウレタンの含有量は塩
化ビニリデン系樹脂に対して、0.001〜20重量%
である。0.001重量%未満では熱安定性効果が不十
分であり、20重量%を越えると、押出機内で樹脂が滞
留し、樹脂切れが発生する場合がある。熱安定性効果と
押出機内における樹脂の滞留のバランスから、好ましく
は0.01〜10重量%、更に好ましくは0.01〜5
重量%、最も好ましくは0.1〜1%である。
【0016】次に本発明の製造方法について説明する。
本発明の塩化ビニリデン系樹脂繊維の製造方法は、ポリ
ウレタンを塩化ビニリデン系樹脂に対して0.001〜
20重量%含有する塩化ビニリデン系樹脂組成物を溶融
紡糸することを特徴とする。本発明に用いられる塩化ビ
ニリデン系樹脂組成物は、塩化ビニリデン系樹脂とポリ
ウレタンまたは熱可塑性ポリウレタンは様々な混合装置
にて混合することにより得られる。例えば、ターンブレ
ンダーやリボンブレンダーやヘンシェルミキサーなどの
混合装置が挙げられる。
【0017】本発明に用いられる塩化ビニリデン系樹脂
組成物には、ATBCやセバチン酸ジブチルやアジピン
酸ジオクチルやフタル酸ジオクチル等の可塑剤、エポキ
シ化アマニ油やエポキシ化大豆油やビスフェノールAジ
グリシジルエーテルやAO60やエポキシ化ステアリン
酸ブチルやエポキシ化ステアリン酸オクチルや酸化マグ
ネシウムや水酸化マグネシウム等の熱安定剤、界面活性
剤、滑剤、酸化防止剤、光安定化剤、顔料などの添加剤
を性能に悪影響を及ぼさない範囲で添加しても良い。こ
こで、可塑剤及び熱安定剤の合計含有量は、べたつきや
手触り感の点から、15重量%以下、更には10重量%
以下、6重量%以下であることが好ましい。
【0018】本発明に用いられるポリウレタン及び熱可
塑性ポリウレタンには、必要に応じて鎖延長剤、架橋
剤、酸化防止剤、加水分解防止剤などの添加剤を加えて
も良い。本発明の塩化ビニリデン系樹脂繊維は、上記塩
化ビニリデン系樹脂組成物を通常の塩化ビニリデン系樹
脂用押出機に供給し、溶融押出しして糸状樹脂とした
後、冷水槽で冷却し、目的に応じた延伸温度や延伸倍率
で延伸し、ボビンなどに巻き取って製造することができ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例に基づき、
詳細に説明する。なお、本発明で用いる評価方法は下記
の通りである。 (I)ブラベンダーでの熱安定性評価 設備は、ブラベンダーコーポレーション製のブラベンダ
ープラストグラフの3/4inch押出機3(以下、3
/4押出機と称す。)に、図2に示すサイドフィードダ
イ4を取り付けた図1のようなシート製造設備を使用す
る。
【0020】評価前に、サイドフィードダイ4の内部に
付着している樹脂や異物を完全に取り除き、所定温度
(下記)に設定した3/4押出機に旭化成工業(株)製
サンテックLDのF1920のポリエチレン(以下、ポ
リエチレンと称す。)を投入して10分間押出して、押
出された樹脂中に熱分解物などの異物がないことを確認
してから3/4押出機3を停止し、サイドフィードダイ
4を取り付ける。サイドフィードダイ4から押出された
シートを冷却するための冷水槽5を設置する。この時、
サイドフィードダイ4の下面と冷水槽5の水面の距離は
5cmにする。
【0021】3/4押出機3の条件は、回転数が70r
pm、樹脂温度がC1とC3が165±5℃、C2は1
80±5℃、C4とC5は170±5℃、ダイは175
±5℃となるよう設定する。次に、3/4押出機3を動
かし、樹脂投入口2のポリエチレンがなくなったら、表
3の実施例と比較例に示すそれぞれ配合された塩化ビニ
リデン系樹脂を投入し、押出し、シート状物を得る。塩
化ビニリデン系樹脂を投入してから1時間後に押出され
て冷却された厚さ100〜400μmのシートをはさみ
で30±1cmの長さ(F)に切断し、評価用シートと
する。
【0022】そして、この評価用シートについて、図3
のように、下記に示す幅Aと幅Bと幅Cをそれぞれ測定
する。 幅A:シート幅(mm) 幅B:切断したシートの熱分解物や気泡の発生が激しい
方のシート端から熱分解物がなくなるまでの横幅(m
m) 幅C:切断したシートの熱分解物や気泡の発生が激しい
方のシート端から気泡ががなくなるまでの横幅(mm) ここで、熱分解物は最大内径0.2mm以上のものを指
し、熱分解物や気泡は単発のものは対象にしない。な
お、単発とは、半径1cm以内に同一対象物がない熱分
解物や気泡をいう。
【0023】上記、幅Aと幅Bと幅Cの値から熱分解物
発生度合いDと気泡発生度合いEを下式より導き、それ
らの評価及び熱安定性総合評価を行う。 D=B/A E=C/A (評価基準) (a)熱分解物発生度合い ◎:(D)が0.15以下(大幅な熱安定効果が認めら
れる) ○:(D)が0.15超過0.3以下(熱安定効果が認
められる) ×:(D)が0.3超過(熱安定効果が無く、実用上問
題がある) (b)気泡発生度合い ◎:(E)が0.02以下(大幅な熱安定効果が認めら
れる) ○:(E)が0.02超過0.03以下(熱安定効果が
認められる) ×:(E)が0.03超過(熱安定効果が無く、実用上
問題がある) (c)熱安定性総合評価 ○:熱分解物発生度合いと気泡発生度合いの両者のいず
れにも×がないもの(溶融押出加工時には大幅な効果が
認められる。実用可) ×:熱分解物発生度合いまたは気泡発生度合いのいずれ
かに×のあるもの(溶融押出加工時には熱安定効果はみ
られない。実用不可レベル) (II)紡糸評価 繊維用押出設備で熱安定性評価とべたつき評価及び
総合評価を行う。 熱安定性評価 設備は、図4に示したようにダイ14に、直径1mmの
中空用押出口が120個円形に配列された紡口13を取
り付けた40mmφ押出機12と、その紡口13の下に
押出された糸状樹脂を急冷する冷却槽15を備えた繊維
用押出設備19(以下、押出設備と称す。)を使用す
る。
【0024】評価を始める前に紡口内部に熱分解物(炭
化物)や異物が付着していないことを確認する。押出設
備19の設定条件は、紡口13から出てくる樹脂温度が
180±5℃、押出量が23±1Kg/hr、冷水槽1
5の水温が10±1℃になるよう調整する。
【0025】評価方法は、押出設備19に表5に示す実
施例の配合樹脂と表6に示す比較例の配合樹脂をそれぞ
れ原料投入口11から投入し、投入から1時間後に40
mmφ押出機12を停止し、紡口13をダイ14から外
し、紡口内壁面に付着した熱分解物(炭化物)の大きさ
を目視にて確認し、下記評価基準にて評価する。 (評価基準) ◎:熱分解物の大きさは25mm2 未満(熱分解物によ
る糸切れはない) ○:熱分解物の大きさは25mm2 以上1cm2 未満
(熱分解物は発生するが、熱分解物による糸切れはな
い) ×:熱分解物の大きさは1cm2 以上(熱分解物による
糸切れが発生し、実用上問題がある) べたつき性評価 この評価に使用する繊維は、熱安定性評価で使用した押
出設備19に表5に示す実施例の配合樹脂と表6に示す
比較例の配合樹脂を供給し、紡口13より押出される糸
状樹脂を冷水槽15を介して得られた120本の未延伸
糸を45±1℃に保たれた温水バス16で加熱後、延伸
機20で4.0±1.0倍に延伸し、管状のボビンに巻
き取る。得られた繊維は、10フィラメントの単糸から
なるマルチフィラメントであり、繊度は500±50デ
ニールである。また、繊維の断面形状は、同心円中空形
状であり、この中空率は15%である。
【0026】巻き取られた繊維を長さ25±1cmに切
断し、1000本を1束にまとめ、繊維がばらけないよ
うに一端から5cmの部分を金属製のクリップ22で止
め、さらにこの繊維束を雰囲気温度が54℃のオーブン
に1週間吊したものをべたつき性評価用繊維束(図5)
とする。評価には、繊維がべたべたすると収束すること
を利用したブラッシングテスト(n=1)を用いる。
【0027】べたつき性の評価は、まず、上記で得られ
たべたつき性評価用繊維束を机などの平坦な面の上に寝
かせ、評価用繊維束が動かないようにクリップ22を手
で持って固定し、これを髪櫛で約5mm/秒のゆっくり
した速度で1回とかし(以下、ブラッシングと称す)、
ブラッシング後の評価用繊維束の形状で評価し、評価基
準は次の通りである。
【0028】(評価基準) ◎:ブラッシング後、繊維がばらけて、髪櫛跡は全く残
っていない。(さらっとしており、手触り感がよい) ○:ブラッシング後、繊維の一部がばらけて、髪櫛跡は
一部残っている。(若干べたべたしているが、手触り感
は良い) ×:ブラッシング後、繊維は全くばらけず、髪櫛跡も完
全に残っている。
【0029】(べたべたしており、手触り感も悪く、実
用上問題がある) このブラッシング後の形状は、べたつきのないさらっと
した繊維では、髪櫛跡も残らず、図6のようにばらけ
る。逆に、べたつきのあるべたべたした繊維では、図7
のように髪櫛跡が完全に残り、櫛の谷の部分に入った繊
維は繊維同士が収束したままで、繊維自身が自然にばら
けたりすることは全くない。 総合評価 上記の熱安定性評価とべたつき性評価の結果から次の基
準で総合評価を行った。
【0030】(評価基準) ○:紡糸評価またはべたつき性のいずれにも×がないも
の(繊維製造時の熱安定性に優れ、且つ、手触り感が良
い。実用可) ×:紡糸評価またはべたつき性のいずれかに×のあるも
の(繊維製造時の熱安定性または/および手触り感が悪
く、実用上問題がある)
【0031】
【実施例、比較例】以下の実施例と比較例には塩化ビニ
リデン系樹脂として表1に示す種類のものを、またポリ
ウレタンには表2に示す種類のものをそれぞれ使用し
た。
【0032】
【実施例1〜10、比較例1〜3】実施例1〜10は、
表3に示す添加量のポリウレタンを塩化ビニリデン系樹
脂に配合した。又、比較例1〜3は表3に示す塩化ビニ
リデン系樹脂単独で使用した。これら実施例と比較例に
ついて前記(I)に示すブラベンダーでの熱安定性評価
を行い、その結果を表4に示す。
【0033】ポリウレタンを配合した実施例1〜10
は、いずれも熱分解物発生度合い及び気泡発生度合いが
小さい結果が得られたが、ポリウレタンを配合しなかっ
た比較例1〜3はいずれも熱分解物発生度合いと気泡発
生度合いが大きかった。この結果より、ポリウレタンを
配合することで溶融押出加工時の熱分解物発生度合いと
気泡発生度合いを著しく改善できることがわかる。
【0034】
【実施例11〜22、比較例4〜7】実施例11〜22
は、表5に示す添加量のポリウレタンを塩化ビニリデン
系樹脂に配合し、比較例5と比較例7は表6の通りポリ
ウレタンを配合せず、比較例4と比較例6には表6の通
り可塑剤であるATBCを5重量%配合した。これらの
実施例と比較例について前記(II)に示す紡糸評価を
行い、その結果を表7に示す。
【0035】ポリウレタンを配合した実施例11〜22
は、溶融押出加工時の熱安定性が改善され、べたつきの
ない手触り感に優れた繊維が得られた。しかし、樹脂V
にATBCを配合すると熱安定性は良くなるが、べたつ
き性が悪くなり、樹脂RにATBCを配合すると熱安定
性もべたつき性も悪くなった。また、添加剤を配合しな
いものはべたつき性は良いが、熱安定性が悪くなり、比
較例4〜7は熱安定性とべたつき性の両者を満たすこと
はできない。この結果より、塩化ビニリデン系樹脂にポ
リウレタンを配合することで熱安定性もべたつき性も十
分に満足させることができることがわかる。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【発明の効果】本発明の塩化ビニリデン系樹脂からなる
繊維は、溶融押出加工時の熱安定性を著しく向上し、且
つ、べたつきのない手触り感の良い塩化ビニリデン系樹
脂からなる繊維であり、特に、人形頭髪用繊維に適した
繊維である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブラベンダーでの熱安定性評価に用い
られるシート製造設備の概略図である。
【図2】本発明のブラベンダーでの熱安定性評価に用い
られるサイドフィードダイの概略図である。(a)は側
面図、(b)は下面図である。
【図3】本発明のブラベンダーでの熱安定性評価のシー
ト幅(A)と幅(B)と幅(C)の測定位置説明図であ
る。
【図4】本発明の紡糸評価に用いられる繊維製造設備の
概略図である。
【図5】本発明のべたつき性評価に用いられる繊維束の
概略図である。
【図6】べたつきのないさらっとした繊維のブラッシン
グ後の形状を示す概略図である。
【図7】べたつきのあるべたべたした繊維のブラッシン
グ後の形状を示す概略図である。
【符号の説明】
1 モーター 2 樹脂投入口 3 3/4押出機 4 サイドフィードダイ 5 冷水槽 6 樹脂流入口 7 樹脂流出口(スリット) 8 シート 9 熱分解物(炭化物) 10 気泡 11 原料投入口 12 40mmφ押出機 13 紡口 14 ダイ 15 冷水槽 16 温水バス 17 延伸ローラー 18 円型中空繊維(マルチフィラメント) 19 繊維製造用押出設備 20 延伸機 21 巻取機 22 金属製クリップ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融紡糸によって得られる繊維であっ
    て、ポリウレタンを塩化ビニリデン系樹脂に対して0.
    001〜20重量%含有することを特徴とする塩化ビニ
    リデン系樹脂繊維。
  2. 【請求項2】 ポリウレタンが熱可塑性ポリウレタンで
    ある請求項1記載の塩化ビニリデン系樹脂繊維。
  3. 【請求項3】 ポリウレタンを塩化ビニリデン系樹脂に
    対して0.001〜20重量%含有する塩化ビニリデン
    系樹脂組成物を溶融紡糸することを特徴とする塩化ビニ
    リデン系樹脂繊維の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101082139B (zh) * 2006-05-30 2010-06-16 旭化成化学株式会社 偏氯乙烯树脂制的玩具娃娃毛发用纤维

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