JP2000226402A - 炭酸カルシウム−カルボン酸−キトサン系硬化体とその製造方法 - Google Patents

炭酸カルシウム−カルボン酸−キトサン系硬化体とその製造方法

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JP2000226402A
JP2000226402A JP11340429A JP34042999A JP2000226402A JP 2000226402 A JP2000226402 A JP 2000226402A JP 11340429 A JP11340429 A JP 11340429A JP 34042999 A JP34042999 A JP 34042999A JP 2000226402 A JP2000226402 A JP 2000226402A
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Yasuo Arai
康夫 荒井
Takashi Yasue
任 安江
Sozo Nakazawa
壯三 中澤
Yoshihiro Okamura
義宏 岡村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な炭酸カルシウム−カルボン酸−キトサ
ン系の硬化体であって、構造体として実用性のある強度
を有するものを提供すること。 【解決手段】 カルボン酸1〜5質量%を吸着した、実
質上非晶質の炭酸カルシウムに、キトサン0.1〜10
質量%と適量の水とを添加し、成形してなる炭酸カルシ
ウム−カルボン酸−キトサン系硬化体。この硬化体を製
造する好ましい方法は、1〜3質量%のアスパラギン酸
を吸着させた実質上非晶質の炭酸カルシウムを用意し、
このアスパラギン酸を吸着した炭酸カルシウムを、20
0〜300℃の温度に1分間ないし1時間加熱処理して
無水物とした後、これにキトサン水溶液を、キトサンが
炭酸カルシウムに対し0.1〜10質量%となる量添加
し、混練して型内へ流し込むか、または加圧成形するこ
とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭酸カルシウム−
カルボン酸−キトサン系硬化体と、その製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】生物が形成する鉱物の独特の機能や形成
機構を明らかにし、これを模倣することにより、新しい
無機−有機系複合材料を開発すること、いわゆるバイオ
ミメティック合成が試みられている。たとえば貝殻は、
炭酸カルシウムを主成分とし、これに約5%程度のタン
パク質やキチンなどの生体高分子成分が加わって構成さ
れており、その構造は、層状に配列した炭酸カルシウム
の結晶と、タンパク質などの生体高分子成分が規則的に
積み重なってできた、複合組織である。このような層状
構造をもつ貝殻の初期形成機構は、生体高分子中での、
非晶質炭酸カルシウム前駆体の結晶化をもって開始され
るようである。貝殻の曲げ強さが大きく、弾性率が高い
ことは、炭酸カルシウムと生体高分子とが複合すること
によって形成される、特徴的な層状構造にその理由があ
ると考えられる。
【0003】これまでに、発明者らは、非晶質炭酸カル
シウムの合成とその性質(J. Cerm.Soc. Jpn., 101,(19
93) 1145)、貝殻のタンパク質を構成するアミノ酸の中
で、最も含有量の多いアスパラギン酸と炭酸カルシウム
との複合化(「無機マテリアル」1996, vol 3, 372)に
ついて報告し、貝殻の資源化の可能性を論じた(「無機
マテリアル」1996, vol 3, 475)。一方、バイオミメテ
ィック合成に関連して、他の研究者が、炭酸カルシウム
−キトサン系の混合物を水熱ホットプレスして成形体を
得たことを報告している(細井ら「炭酸カルシウム複合
体の合成とその強度」平成9年11月6日無機マテリア
ル学会で講演)。別に、炭酸カルシウムに水溶性低分子
量キトサンとアスパラギン酸とを配合したものを、「植
物用カルシウム付与剤」として利用することも提案され
ている(特開平06−122581号)。
【0004】発明者らは、キトサンが生体親和性、生体
消化性をもち抗菌性にすぐれていることに着目して、貝
殻形成の前駆体である、非晶質の炭酸カルシウムにアス
パラギン酸とキトサンとを複合したものを試作し、それ
が、水熱ホットプレスによらず、型へ流し込んだだけで
一応の強度を示し、加圧成形することにより一層高い強
度を発現することを見出した。その後さらに研究を拡大
し、アスパラギン酸以外のカルボン酸でも、同様な効果
が得られることを確認した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、こう
した発明者らの新しい知見を活用し、新規な炭酸カルシ
ウム−カルボン酸−キトサン系硬化体を提供することに
ある。本発明の目的はまた、上記の硬化体の有利な製造
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の炭酸カルシウム
−カルボン酸−キトサン系硬化体は、カルボン酸を1〜
5質量%吸着した実質上非晶質の炭酸カルシウムに、キ
トサン0.1〜10質量%と適量の水とを添加し、成形
してなる硬化体である。
【0007】この硬化体を製造するための本発明の製造
方法は、1〜5質量%のカルボン酸を吸着させた実質上
非晶質の炭酸カルシウムを用意し、このカルボン酸を吸
着した炭酸カルシウムを、200〜300℃の温度に1
分間ないし1時間加熱処理して無水物とした後、これに
キトサン水溶液を、キトサンが0.1〜10質量%とな
る量添加し、混練して型内へ流し込むかまたは加圧成形
することからなる。
【0008】
【発明の実施の形態】カルボン酸としては、広い範囲の
ものが使用できるが、好適な例を挙げれば、酢酸、ステ
アリン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、アスパ
ラギン酸およびグリシンである。後記する実施例にみる
ように、アスパラギン酸がとくに好ましい。炭酸カルシ
ウムへの吸着量は、1〜5質量%の範囲から選ぶが、ア
スパラギン酸の場合、1〜3質量%の範囲が適切であ
る。
【0009】炭酸カルシウムに関して「実質上非晶質」
とは、X線回折チャートにまったくピークの認められな
い完全な非晶質に限らず、若干のピークは認められる
が、その高さが十分な結晶の発達をうかがわせるほどに
は達していないものをも包含する意味の語である。
【0010】カルボン酸、代表的にはアスパラギン酸
は、その誘導体、たとえば後記の実施例で使用するよう
に、ナトリウム塩などの形であってもよい。
【0011】前記の製造方法において、カルボン酸を吸
着させた実質上非晶質の炭酸カルシウムを用意する工程
は、下記のアスパラギン酸を用いた実施例にみるよう
に、カルボン酸および塩化カルシウムとの混合溶液と、
炭酸アルカリおよび苛性アルカリの混合溶液を一体にす
ることにより行なうのが得策である。2種の混合溶液を
一体にすることより炭酸カルシウムを析出させ、それと
同時にカルボン酸が吸着されるようにするわけである。
カルボン酸としてアスパラギン酸を使用する場合、質量
で1〜3%のアスパラギン酸を炭酸カルシウムに吸着さ
せる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の確立に至る過程と、考えられ
る作用機構とを実施例に沿って説明する。 [予備実験]前述のように、炭酸カルシウム−キトサン
系の水熱ホットプレスによる硬化体の形成は報告されて
いるが、流し込みによる硬化体の形成は知られていな
い。そこで、まず流し込みによる炭酸カルシウム−キト
サン系の硬化体を製造し、その圧縮強さにおよぼす、水
/固体重量比と、キトサン量の影響を調べた。
【0013】非晶質炭酸カルシウムとしては、CaCO
3・1.5H2O(市販品、比表面積33.7m2/g)
と、これを250℃に10分間加熱して脱水したものを
使用した。比較のため、カルサイト型の炭酸カルシウム
(比表面積1.9m2/g)をも使用した。キトサンは、
ナカライテスク(株)製のものを、1容積%の酢酸水溶
液に、キトサン濃度が1質量%となるように溶解した溶
液の形で使用した。
【0014】硬化体の製造は、炭酸カルシウムにキトサ
ン溶液を重量比で0.2〜0.5となるように混練し、
10mm×10mm×20mmの型枠に流し込み、25〜80
℃で1〜7日間乾燥することによって行なった。
【0015】非晶質炭酸カルシウム−キトサン系硬化体
の圧縮強さにおよぼす水/固体重量比の影響は、図1に
示すとおりである。水/固体重量比が0.35のとき、
圧縮強さは最大の3.3MPaを示した。水量の増大に比
例してキトサン濃度も増しているが、混練水量の増大に
より硬化体中に気孔が多くなるため、圧縮強さは減少し
ている。
【0016】水/固体重量比を0.35の一定値に保っ
て、キトサン量を増減させたときの圧縮強さは、図2に
示すように変化する。この図の結果は、カルサイト型の
炭酸カルシウムの方が、キトサンによる硬化の効果が大
きいことを示す。一方で、250℃に加熱して脱水した
非晶質炭酸カルシウム−キトサン系の場合、カルサイト
型炭酸カルシウムと同じような圧縮強さが得られてい
る。この理由としては、CaCO3・1.5H2Oが約2
0%の構造水を含有していて、硬化体の製造にあたり、
非晶質炭酸カルシウムが低結晶性のカルサイトに結晶化
して水分子を放出するため、硬化体に気孔が増大すると
いうことが考えられる。脱水した非晶質炭酸カルシウム
であれば、こうした現象は起きず、キトサンの効果が損
なわれないのであろう。
【0017】以上の結果から、水/固体重量比=0.3
5、キトサン/(CaCO3+キトサン)重量比=0.
35とし、非晶質炭酸カルシウムを250℃に10分間
加熱して脱水したものの使用が、炭酸カルシウム−キト
サン系硬化体の製造に適切であることがわかった。 [炭酸カルシウム−アスパラギン酸−キトサン系硬化
体]炭酸カルシウムとアスパラギン酸との複合体に関す
る前記の報告において、赤外吸収スペクトルおよび熱分
析(TG−DTA)の結果から、複合の形態が炭酸カル
シウム表面へのアスパラギン酸の吸着であること、その
最大吸着量が19質量%であることを明らかにした。ま
た、アスパラギン酸を吸着した非晶質炭酸カルシウムを
250℃に10分間加熱しても、アスパラギン酸は分解
せず、脱着も起きないことを、あわせて報告した。そこ
で今回は、アスパラギン酸を吸着した非晶質炭酸カルシ
ウムを加熱して脱水したものを原料として使用し、これ
をキトサンで硬化させることを試みた。
【0018】濃度0.1MのNa2CO3水溶液と、濃度
0〜2.0MのNaOH水溶液の等容積混合物である、
アルカリ混合溶液を用意した。別に、種々の濃度でアス
パラギン酸ナトリウム1水塩を溶解した、濃度0.1M
のCaCl2水溶液を用意した。二つの溶液を温度0℃
に保っておき、上記のアルカリ混合溶液に対して、その
半分の容積の塩化カルシウム水溶液を急速に添加し、撹
拌した。アスパラギン酸の濃度は、4.8×10-4
0.48Mの範囲である。反応によってゲル状の沈殿が
生じたが、懸濁液を50℃以下の温度に5時間以内の時
間熟成したのち、濾過・洗浄・乾燥することにより、ア
スパラギン酸を吸着した非晶質炭酸カルシウムを得るこ
とができた。その一部を250℃に10分間加熱し、構
造水を除去した。
【0019】予備実験と同様にして流し込み硬化体を製
造し、圧縮強さを測定した。アスパラギン酸の吸着量が
圧縮強さに与える影響を、図3に示す。図3にみるよう
に、アスパラギン酸を吸着していない非晶質炭酸カルシ
ウムの硬化体の圧縮強度は5.8MPa程度であるが、ア
スパラギン酸吸着量が増大するにつれて圧縮強度が低下
し、約2質量%以上ではほぼ一定値になる。
【0020】硬化体をX線回折にかけて、図4に示すチ
ャートを得た。このチャートは、流し込み成形により、
非晶質炭酸カルシウムが結晶化したことを示している。
生体鉱物中に存在する炭酸カルシウムとしては、カルサ
イト、アラゴナイト、バテライト、炭酸カルシウム一水
和物、非晶質炭酸カルシウムなどが確認されている。無
水の非晶質炭酸カルシウムは硬化体となる段階で結晶化
し、アスパラギン酸などを吸着していないものは、カル
サイトとバテライトの混合相を作る。アスパラギン酸を
吸着している場合も、これらの混合相であるが、吸着量
が増大するとバテライト相の割合が大きくなり、アスパ
ラギン酸吸着量4.0質量%では、大部分が低結晶性の
バテライト相となる。バテライトとカルサイトとは密度
が異なり(密度は、前者が2.64〜2.66g/c
m3、後者が2.71〜2.72g/cm3)、アスパラギ
ン酸の吸着量の増大につれて、より緻密なカルサイト相
の割合が減少することが、圧縮強さの低下を招いている
と考えられる。
【0021】別に、キトサンとアスパラギン酸との間の
相互作用を調べるため、(a)キトサン単独、(b)キ
トサンとアスパラギン酸との混合物、および(c)キト
サンを濃度2モルのアスパラギン酸溶液に浸漬したも
の、の3種について、赤外吸収スペクトルを観察した。
(c)のスペクトルには、(a)および(b)のスペク
トルのどちらにも存在しない特徴、すなわち1575cm
-1および1495cm-1付近にキトサンのNH3 +変角振
動、1405cm-1付近にアスパラギン酸のCOO-に起
因する吸収スペクトルの三分裂が見られることから、キ
トサンとアスパラギン酸とが反応していることが確認さ
れた。なお、1670cm-1付近に、ペプチド結合(−C
ONH−)に起因すると考えられる吸収がみられた。
【0022】つぎに、貝殻は海水中で圧力を受けつつ形
成されていることに注目し、成分の複合化を促進する手
段として、加圧成形(10MPa)を行なった。製造され
た硬化体の圧縮強度に与えるアスパラギン酸の吸着量の
影響を調べ、図5の結果を得た。加圧成形により、アス
パラギン酸を吸着していない無水非晶質炭酸カルシウム
の硬化体で9MPa、アスパラギン酸吸着量1.6質量%
の無水非晶質炭酸カルシウムの硬化体では14MPaの値
を得た。これらのデータから、無水非晶質炭酸カルシウ
ム−アスパラギン酸−キトサンの系で加圧成形を行なう
ことにより、実用的な強度をもった硬化体が得られる、
ということが結論できた。
【0023】比較のため、カルサイト型炭酸カルシウム
を用いて硬化体を製造したが、アスパラギン酸吸着量は
最大でも1質量%以下であり、圧縮強さの向上も認めら
れなかった。
【0024】炭酸カルシウム−アスパラギン酸−キトサ
ン系について、赤外吸収スペクトルを観測した。得られ
たチャートを、図6に示す。図6において、(a)は、
アスパラギン酸を吸着していない無水非晶質炭酸カルシ
ウムを使用し、加圧成形したものであって、1200cm
-1から1750cm-1の範囲においてブロードな吸収スペ
クトルになっている。 1420cm-1付近の吸収は、カ
ルサイトによるものである。(b)は、アスパラギン酸
を2質量%吸着した無水非晶質炭酸カルシウムを使用し
て、加圧成形した場合で、ブロードな吸収ピークが長波
長側に移動し、ピークの分裂が起こっている。(c)
は、アスパラギン酸の吸着量を4質量%に増し、やはり
加圧成形をした場合であって、1400cm-1〜1500
cm-1にわたるブロードなピークとなり、多数の分裂が見
られる。この吸収は、一部は炭酸カルシウムとアスパラ
ギン酸との相互作用によるCOO-に起因するものであ
り、また一部はバテライトに起因し、1420cm-1付近
の吸収が分裂して1440cm -1付近にも見られるように
なったものである。1600〜1700cm-1にもブロー
ドなショルダーが見られ、これはペプチド結合(−CO
NH−)がもたらしたものである。(d)は、アスパラ
ギン酸を2質量%吸着した無水非晶質炭酸カルシウムを
使用し、流し込み成形によって得た硬化体のスペクトル
である。吸収ピークはやはりブロードであるが、頂点の
位置は1430cm-1で、明確な分裂は認められない。
【0025】硬化体の見掛けの密度は、アスパラギン酸
吸着が2質量%のもので、流し込み成形の製品は1.0
g/cm3、圧縮成形の製品は1.2g/cm3
【0026】以上の結果からみて、流し込み成形に代え
て加圧成形を行なった場合に圧縮強度が向上する理由
は、圧力が、炭酸カルシウムとアスパラギン酸、アスパ
ラギン酸とキトサンの間の結合を促進することにあると
考えられる。炭酸カルシウムとアスパラギン酸との結合
は、前者のカルシウムイオンが後者のカルボキシルイオ
ン(−COO-)と化学吸着し、一部アスパラギン酸カ
ルシウムが生成するものであることは、以前の報告で述
べたところである。これに加えて、一部遊離のカルボキ
シルイオンは、キトサン中のアンモニウムイオン(NH
4 +)と反応し、加圧成形の過程で、脱水縮合により強固
なペプチド結合(−CONH−)を形成するという機構
が考えられる。 [炭酸カルシウム−他のカルボン酸−キトサン系硬化
体]アスパラギン酸以外のカルボン酸として、酢酸、コ
ハク酸およびグリシンをえらび、アスパラギン酸の場合
と同様にして、炭酸カルシウムへの吸着体の用意および
硬化体の製造を行なった。結果は、次のとおりである。
【0027】 カルボン酸 吸着量(質量%) 硬化体の圧縮強度(MPa) 酢 酸 4.0 10.2 コハク酸 3.0 10.9 グリシン 1.5 11.3
【0028】
【発明の効果】本発明のバイオミメティック合成法によ
り、炭酸カルシウム−カルボン酸−キトサン系の硬化体
が、はじめて提供された。この硬化体は、流し込み成形
でも一応の圧縮強度が発現し、構造部品として使用可能
である。流し込み成形は、所望の内形をもった型枠を用
意することにより、複雑な形状の製品を得ることが容易
にでき、この種の硬化体の用途を広げる上で、有利な成
形方法である。
【0029】本発明の硬化体は、加圧成形により製造す
ることによって、より高い圧縮強度に到達することがで
き、実用性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例において行なった予備実験の
データであって、炭酸カルシウム−キトサン硬化体の圧
縮強さに及ぼす、水/固体重量比の影響を示すグラフ。
【図2】 同じく本発明の実施例において行なった予備
実験のデータであって、炭酸カルシウム−キトサン硬化
体の圧縮強さに及ぼす、キトサン量の影響を示すグラ
フ。
【図3】 本発明の実施例のデータであって、炭酸カル
シウム−アスパラギン酸−キトサン系の流し込み硬化体
の圧縮強さに及ぼす、吸着アスパラギン酸量の影響を示
すグラフ。
【図4】 同じく本発明の実施例のデータであって、各
種の炭酸カルシウム−アスパラギン酸−キトサン系の流
し込み硬化体のX線回折チャート。
【図5】 本発明の実施例のデータであって、炭酸カル
シウム−アスパラギン酸−キトサン系の加圧成形硬化体
の圧縮強さに及ぼす、吸着アスパラギン酸量の影響を示
すグラフ。
【図6】 本発明の実施例のデータであって、各種の炭
酸カルシウム−アスパラギン酸−キトサン系の硬化体の
赤外吸収チャート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 義宏 栃木県安蘇郡葛生町宮下町7−10 吉澤石 灰工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボン酸を1〜5質量%吸着した実質
    上非晶質の炭酸カルシウムに、キトサン0.1〜10質
    量%および適量の水を添加し、成形してなる炭酸カルシ
    ウム−カルボン酸−キトサン系硬化体。
  2. 【請求項2】 カルボン酸として、酢酸、ステアリン
    酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、アスパラギン
    酸およびグリシンからえらんだものを使用した請求項1
    の硬化体。
  3. 【請求項3】 カルボン酸がアスパラギン酸である請求
    項2の硬化体。
  4. 【請求項4】 1〜5質量%のカルボン酸を吸着させた
    実質上非晶質の炭酸カルシウムを用意し、このカルボン
    酸を吸着した炭酸カルシウムを、200〜300℃の温
    度に1分間ないし1時間加熱処理して無水物とした後、
    これにキトサン水溶液を、キトサンが炭酸カルシウムの
    0.1〜10質量%となる量添加し、混練して、型内へ
    流し込むか、または加圧成形することからなる炭酸カル
    シウム−カルボン酸−キトサン系硬化体の製造方法。
  5. 【請求項5】 カルボン酸として、酢酸、ステアリン
    酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、アスパラギン
    酸およびグリシンからえらんだものを使用して実施する
    請求項4の硬化体の製造方法。
  6. 【請求項6】 カルボン酸がアスパラギン酸である請求
    項5の硬化体の製造方法。
  7. 【請求項7】 カルボン酸を吸着させた実質上非晶質の
    炭酸カルシウムを用意する工程を、カルボン酸および塩
    化カルシウムの混合溶液と、炭酸アルカリおよび苛性ア
    ルカリの混合溶液とを混合することによって行なう請求
    項6の製造方法。
  8. 【請求項8】 カルボン酸がアスパラギン酸であって、
    質量で1〜3%のアスパラギン酸を炭酸カルシウムに吸
    着させて実施する請求項7の硬化体の製造方法。
JP11340429A 1998-12-01 1999-11-30 炭酸カルシウム−カルボン酸−キトサン系硬化体とその製造方法 Withdrawn JP2000226402A (ja)

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