JP3656129B2 - 炭酸カルシウム固化体の製造方法並びに製造用原料粉末及び原料粉末の製造方法 - Google Patents

炭酸カルシウム固化体の製造方法並びに製造用原料粉末及び原料粉末の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は炭酸カルシウム粉末から炭酸カルシウム固化体を製造する方法に関する。本発明は炭酸カルシウム固化体を製造するための原料粉末として好適な炭酸カルシウム粉末及びその製造方法に関する。本発明により得られる炭酸カルシウム固化体は、特に人工大理石、人工珊瑚としての利用が可能であり、具体的には、床材、壁材などの建材、舗装材、装飾材、生体材料などへの利用が可能である。
【0002】
【従来の技術】
大理石は、炭酸カルシウムを主成分とする天然材料であり、その機械的特性及び装飾性により、各種の建材や舗装材等として広く利用されている。大理石に代わる材料(人工大理石)を人工的に製造する試みもなされている。人工大理石を製造する方法としては炭酸カルシウム等の無機充填材を有機物や無機物のバインダーで接着して固化させる方法が知られている。
【0003】
有機バインダーを使用する方法として、高分子樹脂に各種無機充填材を練り込むことによって見掛け上大理石調を有する成形体とする方法が提案されている(特開平5ー239329号公報、特開平5ー339460号公報)。しかし、この方法により得られる大理石調樹脂成形体には、天然の大理石と比べると、耐久性、耐食性の点で劣り、建材や舗装材としての利用範囲が限定され、また、紫外線などにより樹脂の劣化も考えられるというような欠点がある。
【0004】
無機バインダーを使用する方法として、炭酸カルシウム粉末をガラスなどの無機物と混ぜ合わせ、水熱加圧処理を施すことによって人工大理石とする方法が提案されている(特開平3ー252341号公報)。しかし、この方法には、高温(200℃以上)での反応を必要とするので、熱エネルギーコストがかかり、また、成型機の大型化が困難であるというような欠点がある。
【0005】
本発明者は、炭酸カルシウムの固化反応を利用して、炭酸カルシウム粉末から炭酸カルシウム固化体を製造することを種々試みた。まず、焼結法によって炭酸カルシウム粉末から炭酸カルシウム固化体を製造する方法が考えられる。しかし、通常の焼結法により無機粉末を固化するためには1000℃程度の温度で焼成することが必要である。炭酸カルシウム粉末を650℃以上の温度に加熱すると炭酸ガスと酸化カルシウムとに分解する。従って、単に炭酸カルシウム粉末を高温に加熱するだけでは、成形体を得ることができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来方法により製造された人工大理石の強度や風合における欠点を克服することを目的とする。本発明は、従来の人工大理石の製造方法における工業化の困難さなどの欠点を克服することを目的とする。本発明の目的は、炭酸カルシウム粉末から、人工大理石として各種の建材や舗装材などに、また、人工珊瑚として装飾材などに使用可能な炭酸カルシウム固化体を製造するための方法を提供することにある。本発明の目的は、炭酸カルシウム固化体を低温・低圧の条件下で製造できる方法並びにその製造用原料として優れた特性を有する炭酸カルシウム粉末及び該炭酸カルシウム粉末の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、原料としてカルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末を使用した水熱ホットプレス法によれば、比較的低温・低圧の条件下で炭酸カルシウム固化体を製造できることを見出し、平成7年2月9日提出の特許出願において、新規な炭酸カルシウム固化体の製造方法を提案した。本発明者は、更に研究を重ね、水熱ホットプレス法による炭酸カルシウム固化体の製造方法において、原料として使用する炭酸カルシウム粉末に特定の固化助剤を含有させておくことにより、より緻密で強度特性が優れた炭酸カルシウム固化体を更に容易に製造できることを見出して本発明を完成した。
【0008】
本発明は、固化助剤、特にキトサンを含有するカルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末を水(特に酢酸水溶液)の存在下で加温及び加圧することを特徴とする炭酸カルシウム固化体の製造方法にある。本発明は、固化助剤(特にキトサン)を含有するカルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末を水とともに成型機型枠内に充填し、加温及び加圧してカルサイト結晶に結晶転移させ固化させること又は20℃以上に加温し且つ10MPa以上に加圧して固化させることを特徴とする炭酸カルシウム固化体の製造方法にある。
【0009】
本発明は、固化助剤(特にキトサン)を含有するカルサイト結晶以外(特にアラゴナイト型又はバテライト型)の炭酸カルシウム粉末及び該炭酸カルシウム粉末からなる炭酸カルシウム固化体製造用原料粉末にある。本発明は、60℃〜100℃に加熱した塩化カルシウム水溶液に、キトサンを含有する酢酸水溶液を添加した溶液と60℃〜100℃に加熱した炭酸ナトリウム水溶液を添加・混合し、生成した沈殿を回収することを特徴とするキトサン含有アラゴナイト型炭酸カルシウム粉末の製造方法にある。本発明は、塩化カルシウム水溶液に、キトサンを含有する酢酸水溶液を添加した水溶液を、10℃〜30℃に加熱した炭酸ナトリウム水溶液に添加し、生成した沈殿を回収することを特徴とするキトサン含有バテライト型炭酸カルシウム粉末の製造方法にある。
【0010】
炭酸カルシウム粉末(原料粉末)
炭酸カルシウムは種々の同質異像を形成する化合物である。それらの中でも最も安定な結晶構造を示すのがカルサイト結晶である。本発明の炭酸カルシウム粉末は、カルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末である。カルサイト結晶以外の炭酸カルシウムは加熱及び加圧により比較的容易にカルサイト結晶への結晶転移を生ずる。カルサイト結晶以外の炭酸カルシウムとしては、バテライト型炭酸カルシウム、アラゴナイト型炭酸カルシウム、塩基性炭酸カルシウム、非晶質炭酸カルシウム等を挙げることができる。
【0011】
本発明の炭酸カルシウム粉末は、部分的にカルサイト結晶を含有することができる。本発明の炭酸カルシウム粉末におけるカルサイト結晶の含有量は、通常、カルサイト結晶以外の炭酸カルシウムに対して30重量%以下、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下であることが好ましい。
【0012】
本発明のカルサイト結晶以外の炭酸カルシウムは、固化助剤を含有する。固化助剤は、炭酸カルシウム粉末を水の存在下で加温及び加熱する際に、カルサイト結晶以外の炭酸カルシウムが、共存する水へ溶解することを促進する作用を有する化合物である。固化助剤としては、例えば、(i)有機酸及び無機酸並びにそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩、(ii)タンパク、(iii)天然多糖類等を挙げることができる。
【0013】
有機酸としては、酢酸、ギ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、酪酸、シュウ酸、アミノ酸等を挙げることができる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等を挙げることができる。有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩としては、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硝酸アンモニウム等を挙げることができる。タンパクとしては、コラーゲン、カゼイン等を挙げることができる。天然多糖類としては、キチン、キトサン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カラギーナン等を挙げることができる。
【0014】
本発明の炭酸カルシウム粉末は、粉末状であればよく、粒子の大きさ、粒度分布等は特に限定されない。炭酸カルシウム固化体製造用原料粉末としては、原料粉末としての取扱いの簡便さ及び得られる固化体の特性等より、通常、粒子径が0.005〜100μm、好ましくは0.05〜50μm、更に好ましくは0.05〜10μmの範囲内にある炭酸カルシウム粉末が好適である。
【0015】
本発明の炭酸カルシウム粉末において、固化助剤は、炭酸カルシウム粉末の粒子内に取り込まれた状態で含有されていてもよく、また、炭酸カルシウム粉末の粒子表面に付着した状態で含有されていてもよい。固化助剤の含有量は、固化助剤及び炭酸カルシウム粉末の種類並びに使用方法により、適宜選択することができる。一般には、固化助剤の含有量が、5重量%以下、好ましくは0.1〜4重量%、更に好ましくは0.5〜3重量%の範囲にある炭酸カルシウム粉末が好ましい。
【0016】
炭酸カルシウム粉末の製造方法
固化助剤を含有するカルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末の製造方法については、特に限定はなく、例えば、公知のカルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末の製造方法において、出発原料に、製造工程中に又は製造後の炭酸カルシウム粉末に、固化助剤を添加し共存させることにより固化助剤を含有する炭酸カルシウム粉末を製造することができる。固化助剤は、単独で添加してもよく、また、水溶液、懸濁液等として添加してもよい。
【0017】
例えば、固化助剤を添加した塩化カルシウム水溶液に、炭酸ナトリウム水溶液を添加することにより、固化助剤を含有する炭酸カルシウムを沈殿させることができる。このとき、炭酸ナトリウム水溶液を添加する際の温度、pH等を調節することにより、析出する炭酸カルシウムの結晶の種類・状態を制御することができる。具体的には、固化助剤としてキトサンを含有する酢酸水溶液を使用し、炭酸ナトリウム水溶液を60℃〜100℃、好ましくは80℃〜100℃に加熱して、塩化カルシウム水溶液に添加し、撹拌することにより、キトサンを含有するアルゴナイト型炭酸カルシウムの沈殿が生成する。また、同様にして、炭酸ナトリウム水溶液を10℃〜30℃に加熱して、塩化カルシウム水溶液に添加する場合には、キトサンを含有するバテライト型炭酸カルシウムの沈殿が生成する。このようにして生成した沈殿を回収し、乾燥等することにより、固化助剤を含有する炭酸カルシウム粉末を得ることができる。
【0018】
炭酸カルシウム固化体の製造方法
固化助剤を含有するカルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末(原料粉末)を水の存在下で加温及び加圧して固化体とする。原料粉末と固化助剤とは均質な状態になるまで混練した後に、成形(加温及び加圧)するのがよい。このとき水を固化助剤の水溶液又は懸濁液として存在させることにより、炭酸カルシウムの固化反応を更に促進させることができる。
【0019】
具体的には、原料粉末を水(又は固化助剤の水溶液等)とともに成型機型枠内に充填し、カルサイト結晶への転移反応が起こる条件で加温及び加圧する。一般には、原料粉末を水(又は固化助剤の水溶液等)とともに成型機型枠内に充填し、温度20℃以上、好ましくは30〜650℃、更に好ましくは40〜300℃、特に好ましくは40〜150℃程度及び圧力10MPa以上、好ましくは20〜100MPa、更に好ましくは40〜80MPa程度の条件で加温及び加圧するのがよい。
【0020】
室温から反応温度(加温温度)までの昇温速度は0.5〜20℃/分の範囲が好ましい。固化体成形時間(加温・加圧時間)は炭酸カルシウム粉末の結晶転移を完了させる点より約15分以上は必要であり、通常は15分間〜12時間、好ましくは30分間〜6時間、更に好ましくは1〜5時間程度とするのがよい。場合によっては結晶転移が完了してからも更に加温・加圧を続けることにより、得られる炭酸カルシウム固化体の強度を向上させることができる。反応容器(成型機型枠)から固化体を取り出す温度は、一般に50℃以下とするのが好ましい。
【0021】
本発明により炭酸カルシウム固化体を製造するために使用する成型機としては、例えば、特開昭61−274300号公報、特開昭64−51135号公報等に記載の公知の水熱熱間成形装置を使用することができる。本発明の実施にあたって使用する成型機としては、原料粉末を加温及び加圧する反応中は、反応系内の水分を型枠内に保持することができ、しかも、反応後には反応系内の水分を高圧蒸気等として任意に排出することができる装置が好ましい。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、粉末原料から、強固な炭酸カルシウム成形体(固化体)を簡便に製造することができる。本発明の炭酸カルシウム固化体の製造方法によれば、炭酸カルシウムの固化、成形を比較的低温で実施することができるので、固化体の製造中に、原料が熱分解を起こしにくい。本発明の炭酸カルシウム固化体の製造方法においては、炭酸カルシウムの固化、成形を比較的低温でできるので、必要に応じて、有機物等の容易に熱分解するような物質等と複合化した炭酸カルシウム固化体を簡便に製造することができる。本発明により得られる炭酸カルシウム固化体は、天然の大理石や一般に使用されているコンクリート等とほぼ同等レベルの強度を有するので、建材、舗装材、装飾材等の広い分野における使用を期待できる。
【0023】
【実施例】
〔実施例1〕
原料粉末
キトサンを含有するアラゴナイト型炭酸カルシウム粉末を液相で合成した。まず、塩化カルシウム及び炭酸ナトリウムを個別に脱イオン水に溶解させて0.5M溶液を調製した。次に、酢酸水溶液に溶解したキトサンを、得られらた塩化カルシウム水溶液に添加した。得られたキトサンを含有する塩化カルシウム水溶液及び前記炭酸ナトリウム水溶液を各々約95℃まで加熱し、両者を急速に混合した。生成した沈殿をろ過し、乾燥させた。X線回折(XRD)により分析したところ、得られた粉末は90重量%のアラゴナイト型炭酸カルシウム及び10重量%のカルサイト型炭酸カルシウムから成っていた。また、得られた粉末のキトサン含有量はアラゴナイト型炭酸カルシウムに対して2.5重量%であった。
【0024】
固化装置及び固化方法
図1の水熱ホットプレス用オートクレーブを使用して上記原料混合物(原料粉末)(4)を加温及び加圧して固化体を製造した。該オートクレーブのシリンダー(型枠)はSCM鋼であり、該シリンダーの内径は20mmである。該オートクレーブは、原料粉末を加圧するためのプッシュロッド(1)及びキャストロッド(3)、オートクレーブ内の温度を測定するための熱電対用孔(2)、テフロン製グランドパッキング(6)、原料粉末を加熱するための電気マイクロヒーター(7)を有する。キャストロッド(3)は原料混合物より搾り出される高圧水を排出するための排水空間(5)を有する。排水空間(5)は反応系内の水含有量を調節し、水熱条件を維持する。グランドパッキング(6)は自己締めつけ型であり、反応系からの水分の漏れを防ぐ。
【0025】
原料粉末(8g)と水又は1重量%酢酸水溶液(0.8ml)とを乳鉢中で良く混練した。得られた原料混合物をシリンダー内に設置し、上下のプッシュロッド(1)により予備的に所定圧で室温で10分間加圧した。その後、その圧力を維持したままで電気マイクロヒーター(7)によりオートクレーブ内の温度を5℃/分の速度で所定温度まで加熱し、その温度及び圧力を所定時間維持した。加温・加圧の間(反応中)、上下のプッシュロッド(1)間の間隔を連続測定することにより、原料混合物の収縮を定量した。
【0026】
結果
図2は、原料粉末を水の存在下で温度150℃及び圧力64MPaの条件で加温及び加圧した場合の、反応時間と得られた固化体のビッカース硬度及び圧縮強度との関係を示す。図3は、原料粉末を1重量%酢酸水溶液の存在下で温度150℃及び圧力64MPaの条件で加温及び加圧した場合の、反応時間と得られた固化体の見掛け密度、圧縮強度及びビッカース硬度との関係を示す。
【0027】
酢酸水溶液を使用した場合、50分までは、反応時間を長くするにつれて、見掛け密度、圧縮強度及びビッカース硬度がいずれも急激に向上するが、50分を超えると、更に反応時間を長くしても、あまり変化が見られなかった。これを、水だけを使用した場合と比較すると、酢酸水溶液を使用することにより、炭酸カルシウムの固化反応が更に促進され、固化体を得るために必要な反応時間が極めて短くなることが判る。
【0028】
酢酸水溶液を使用した場合に、得られる固化体のビッカース硬度が向上することは、以下のように説明することができる。すなわち、原料粉末からの炭酸カルシウム固化体の生成反応は、原料粉末からの炭酸カルシウムの溶解−再結晶により、進行すると考えられる。酢酸水溶液を使用する場合には下記反応式により炭酸カルシウムの溶解度が向上し、また、その溶解が促進され、その結果として炭酸カルシウムの固化反応が促進されるものと考えられる。
【0029】
【化1】
Figure 0003656129
【0030】
また、原料粉末に含有されているキトサンは酢酸溶液に部分的に溶解することができ、溶解したキトサンは析出した炭酸カルシウム粒子の粒子間隙に広がり、接着物質として作用するものと考えられる。このとき、機械的に加圧することにより、炭酸カルシウムが、更に緻密に転移した状態で析出し、接着して高密度及び高硬度の固化体を形成するものと考えられる。
【0031】
図4は、原料粉末を1重量%酢酸溶液の存在下で圧力64MPa及び反応時間50分の条件下で加温及び加圧した場合の、反応温度と得られた固化体の見掛け密度及びビッカース硬度との関係を示す。温度50℃〜150℃の範囲では、反応温度を高くすると、得られる固化体の見掛け密度及びビッカース硬度が向上した。しかし、150℃を超える範囲では、反応温度を高くすると、得られる固化体の見掛け密度及びビッカース硬度が低下し、得られる固化体の色が濃くなった。この結果は、加温温度が150℃を超えると、原料粉末中のキトサンが分解し、その作用が弱められたことに由来してビッカース硬度が低下し、また、固化体の色も変化したものと考えられる。
【0032】
実施例の結果より、キトサンを含有するアラゴナイト型炭酸カルシウム粉末(カルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末)が、水熱ホットプレスで容易に固化することが判明した。また、水熱ホットプレスに酢酸水溶液を使用することにより、炭酸カルシウム及びキトサンの溶解度が向上し、固化反応が促進され、溶解したキトサンは粒子間隙に広がって接着物質として作用することが判明した。
【0033】
表1に、反応温度150℃、反応圧力40MPa、反応時間360分間の場合に得られたカルシウム固化体の圧裂引張強度を示す。また、比較のため、原料粉末としてキトサンを含有しないアラゴナイト型炭酸カルシウム粉末を使用した他は、実施例1と同様にして製造した炭酸カルシウム固化体の圧裂引張力強度を表1に示す(比較例1)。
【0034】
コンクリートの引張強度は、セメント−骨材比、水比によっても変わるが、一般的に建材として最適なコンクリートの引張強度は、表1に示したように3〜5MPa程度であると考えられている。表1から明らかなように、実施例1で得られた固化体は、平均的な天然大理石やコンクリートと同等の引張強度を有した極めて強固なものであった。
【0035】
【表1】
Figure 0003656129
【0036】
〔実施例2〕
原料粉末
キトサンの使用量を調節し、また、キトサンを含有する塩化カルシウム水溶液及び炭酸ナトリウム水溶液を室温(約25℃)で急速に混合した他は、実施例1と同様にして、キトサン含有量がそれぞれ2.5重量%及び5.0重量%であるキトサン含有バテライト型炭酸カルシウム粉末を得た。
【0037】
固化方法
原料粉末として、上記キトサン含有バテライト型炭酸カルシウム粉末を使用した他は、実施例1と同様にして、炭酸カルシウム固化体を得た。但し、反応温度は150℃とし、反応圧力は40MPaとし、反応時間は60分間とした。また、比較のため、原料粉末としてキトサンを含有しないバテライト型炭酸カルシウム粉末を使用した他は、実施例2と同様にして炭酸カルシウム固化体を得た(比較例2)。得られた固化体の圧裂引張強度を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0003656129

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において使用した水熱ホットプレート用オートクレーブの模式断面図である。
【図2】原料粉末を水の存在下で加温及び加圧した実施例の反応時間と得られた固化体のビッカース硬度(□)及び圧縮強度(△)との関係を示すグラフである。
【図3】原料粉末を酢酸水溶液の存在下で加温及び加圧した実施例の反応時間と得られた固化体の見掛け密度(○)、ビッカース硬度(□)及び圧縮強度(△)との関係を示すグラフである。
【図4】原料粉末を酢酸水溶液の存在下で加温及び加圧した実施例の反応温度と得られた固化体のビッカース硬度(□)及び圧縮強度(△)との関係を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 固化助剤を含有するカルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末を水の存在下で加温及び加圧することを特徴とする炭酸カルシウム固化体の製造方法であって、固化助剤がキトサンである製造方法
  2. 固化助剤を含有するカルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末を酢酸水溶液の存在下で加温及び加圧することを特徴とする炭酸カルシウム固化体の製造方法であって、固化助剤がキトサンである製造方法
  3. 固化助剤を含有するカルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末を水とともに成型機型枠内に充填し、加温及び加圧してカルサイト結晶に結晶転移させ固化させることを特徴とする炭酸カルシウム固化体の製造方法であって、固化助剤がキトサンである製造方法
  4. 固化助剤を含有するカルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末を水とともに成型機型枠内に充填し、20℃以上に加温し且つ10MPa以上に加圧して固化させることを特徴とする炭酸カルシウム固化体の製造方法であって、固化助剤がキトサンである製造方法
  5. キトサンを含有するカルサイト結晶以外の炭酸カルシウム粉末。
  6. キトサンを含有するアラゴナイト型又はバテライト型炭酸カルシウム粉末。
  7. 60℃〜100℃に加熱した塩化カルシウム水溶液に、キトサンを含有する酢酸水溶液を添加した溶液と60℃〜100℃に加熱した炭酸ナトリウム水溶液を添加・混合し、生成した沈殿を回収することを特徴とするキトサン含有アラゴナイト型炭酸カルシウム粉末の製造方法。
  8. 塩化カルシウム水溶液に、キトサンを含有する酢酸水溶液を添加した水溶液を、10℃〜30℃に加熱した炭酸ナトリウム水溶液に添加し、生成した沈殿を回収することを特徴とするキトサン含有バテライト型炭酸カルシウム粉末の製造方法。
  9. 請求項5又は6に記載の炭酸カルシウム粉末からなる炭酸カルシウム固化体製造用原料粉末。
JP09490595A 1995-04-20 1995-04-20 炭酸カルシウム固化体の製造方法並びに製造用原料粉末及び原料粉末の製造方法 Expired - Lifetime JP3656129B2 (ja)

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