JP2638619B2 - 自己硬化型高強度複合生体材料とその製造方法 - Google Patents

自己硬化型高強度複合生体材料とその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、整形外科分野における人工骨ならびに骨セ
メントや歯科分野における埋植材ならびに歯科用セメン
トなどとして用いられる高強度の複合生体材料に関する
ものである。
「従来技術とその課題」 従来より、セラミックス材料は生体によくなじむこと
から、人工骨あるいは人工歯根などの生体材料として用
いられている。このようなセラミック材料の中で、特に
生体とのなじみが良く、骨と直接結合する性質を有して
いるものとしてハイドロキシアパタイトセラミックスが
知られている。
しかしながら、このハイドロキシアパタイトセラミッ
クスは、強度が小さく脆いという欠点があった。
また、このような欠点を補うため、ハイドロキシアパ
タイトセラミックスを炭素繊維などの繊維により補強す
ることも考えられるが、このようなものを作製するに
は、製造するに際して焼結処理を行わなくてはならず、
繊維とアパタイトとの収縮率の差に起因して該セラミッ
クスに歪が生じ、十分な強度を持った材料とするのが困
難であるといった問題があった。
さらに、このような材料には自己硬化性がなく、骨セ
メント、あるいは歯科用セメントといった自己硬化性を
要する生体材料に適用するには不都合であった。
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、自己硬
化性を有することにより、焼結処理を必要としない繊維
強化ハイドロキシアパタイトセラミックスを得ることを
目的とするものである。
「課題を解決するための手段」 本発明の請求項1に記載した発明では、α−リン酸三
カルシウム(Ca3(PO4)とリン酸四カルシウム(Ca
4O(PO4)との混合物粉体に繊維を混入して自己硬
化型高強度複合生体材料としたことを上記課題の解決手
段とした。
また、請求項2に記載した発明では、カルシウムのリ
ンに対するモル比が1.50〜1.68であるハイドロキシアパ
タイトを、1200℃以上で脱水熱分解し粉砕してα−リン
酸三カルシウム(Ca3(PO4)とリン酸四カルシウム
(Ca4O(PO4)との混合物粉体を作製し、これに繊
維を混入して自己硬化型高強度複合生体材料を製造する
ことを上記課題の解決手段とした。
以下、この本発明を詳しく説明する。
本発明の自己硬化型高強度複合生体材料は、α−リン
酸三カルシウム(Ca3(PO4)とリン酸四カルシウム
(Ca4O(PO4)との混合物粉体に繊維を混入してな
るものである。
α−リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウムとの混
合物粉体は、水を加えて混練することにより、ハイドロ
キシアパタイトを生成して硬化するものである。そし
て、この混合物粉体に繊維があらかじめ混入されて得ら
れた自己硬化型高強度複合生体材料では、水を加えて硬
化した際、繊維−ハイドロキシアパタイト複合体が得ら
れる。
この場合、混合物粉体を混練するために用いられるも
のとしては、上記の水に限ることなく酸あるいは塩類水
溶液でも良く、これら酸あるいは塩類水溶液は硬化を促
進しあるいは均質な複合体を形成するのに有効である。
すなわち、酸としてはリン酸、硫酸、クエン酸が、塩と
してはリン酸ナトリウム、硫酸ナトリウムが硬化を促進
し、また酸としてはクエン酸、乳酸、塩としてはクエン
酸ナトリウム、乳酸ナトリウムが分散を良くして均質な
複合体を得るのに有効である。
次に、このような自己硬化型高強度複合生体材料の製
造方法を、本発明の請求項2に記載した方法に基づいて
説明する。
まず、湿式合成法によって合成した、カルシウムのリ
ンに対するモル比が1.50〜1.68であるハイドロキシアパ
タイトを1200℃以上の高温で脱水熱分解し、さらにこれ
を粉砕してα−リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウ
ムとの混合物粉体を作製する。ここで、カルシウムのリ
ンに対するモル比が1.50〜1.68のハイドロキシアパタイ
トを用い、これを脱水熱分解したのは、上記モル比の範
囲にてハイドロキシアパタイトが安定であるからであ
る。
次に、この混合物粉体に繊維を混入して自己硬化型高
強度複合生体材料を得る。ここで、混入される繊維とし
ては、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス
繊維あるいは有機物繊維などで生体に害を及ぼさないも
のが用いられ、バイオイナート、バイオアクティブさら
には生体吸収性材料などが好適に使用される。
このようにして得られた自己硬化型高強度複合生体材
料は、合成したハイドロキシアパタイトを脱水熱分解し
て得た混合物粉体からハイドロキシアパタイトが可逆的
に生成するため、化学組成的に均一であり、強度が大き
いものとなる。また、α−リン酸三カルシウムとリン酸
四カルシウムの混合物粉体に繊維を混入したので、使用
に際してこれを硬化すると、得られた硬化体が、マトリ
ックスなるハイドロキシアパタイトを繊維で補強した繊
維−ハイドロキシアパタイト複合体となり、繊維を含ま
ないものに比べて強度が増大し、ねばり強く、また破壊
したときにも破片が飛散しないものとなる。
なお、α−リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウム
との混合物粉体を得るには、上述した方法の他に例えば
第二リン酸カルシウムと炭酸カルシウムとを混合し、12
00℃以上で高温処理することによっても作製することも
できるが、この方法によって得られた混合物粉体は、混
練りにより硬化せしめられて形成される硬化体が、化学
組成的に不均一であって強度の小さいものとなり、自己
硬化型高強度複合生体材料として用いるには不適なもの
となる。しかしながら、この第二リン酸カルシウムと炭
酸カルシウムから得られたα−リン酸三カルシウムとリ
ン酸四カルシウムの混合物粉体を水と混合し、一旦ハイ
ドロキシアパタイトを生成せしめた後、再度これを1200
℃以上で脱水熱分解して得られたα−リン酸三カルシウ
ムとリン酸四カルシウムは化学的に均一であり、本発明
を満足する。
「実施例」 本発明を実施例により更に具体的に説明する。
(実施例1) 水酸化カルシウムスラリーにリン酸を徐々に滴下し、
カルシウムのリンに対するモル比が1.67のハイドロキシ
アパタイトを作製し、これを電気炉にて1500℃、10時間
焼成してα−リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウム
の混合物を得、さらにこれをボールミルにて88μmふる
いを全通するまで粉砕し、得られた粉体に太さ10μm、
長さ5mmの炭素繊維を1重量%添加して自己硬化型高強
度複合生体材料とした。
このようにして作製した生体材料に30重量%の水を添
加して混練し、この混和物を直径6mm、高さ12mmの円筒
形型枠に流し込み、37℃、相対湿度100%のデシケータ
ー中に7日間放置し、脱型してハイドロキシアパタイト
−炭素繊維複合体を得た。
得られた複合体の強度を調べたところ、曲げ強さは30
0Kg/cm2、圧縮強さは600Kg/cm2であった。また、比較と
して混合物粉体に炭素繊維を混入せずに作製した材料を
用い、これを上記自己硬化型高強度複合生体材料と同様
にし硬化せしめてその強度を調べたところ、曲げ強さは
100Kg/cm2、圧縮強さは200Kg/cm2であった。
(実施例2) 第二リン酸カルシウムを電気炉にて900℃、5時間焼
成してピロリン酸カルシウムを作製し、さらにこれの5
モルに対して6モルの炭酸カルシウムを添加混合し、電
気炉にて1500℃、10時間焼成した。次に、この焼成物を
水を媒体としてボールミルにて24時間湿式粉砕し、カル
シウムのリンに対するモル比が1.60のハイドロキシアパ
タイトを得た。
次いで、これを電気炉にて1500℃、10時間焼成してα
−リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウムとの混合物
を得、さらにボールミルにて88μmふるいを全通するま
で粉砕して混合物粉体を得た。
その後、得られた混合物粉体に太さ10μm、長さ5mm
の炭素繊維を2重量%添加して自己硬化型高強度複合生
体材料とした。
このようにして作製した生体材料にリン酸ナトリウ
ム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム各2%混合溶
液を25重量%となるようにして混練した。以下実施例1
と同様にして複合体を作製し、その強度を調べたとこ
ろ、曲げ強さは500Kg/cm2、圧縮強さは1000Kg/cm2であ
った。
(実施例3) 実施例1で得たα−リン酸三カルシウムとリン酸四カ
ルシウムとの混合物粉体に、太さ20μm、長さ5mmのア
ルミナ繊維を3重量%添加し、さらに80%クエン酸、20
%クエン酸ナトリウム混合溶液を10重量%加えて混練し
た。
以下、実施例1と同様にして作製した複合体の強度を
調べたところ、曲げ強さは800Kg/cm2、圧縮強さは1500K
g/cm2であった。
(実施例4) 実施例2で得たα−リン酸三カルシウムとリン酸四カ
ルシウムとの混合物粉体に、太さ10μm、長さ5mmのポ
リ乳酸繊維を5重量%添加し、実施例2と同様にして作
製した複合体の強度を調べたところ、曲げ強さは400Kg/
cm2、圧縮強さは800Kg/cm2であった。
(実施例5) 生体反応を調べるため、実施例1で作製した自己硬化
型高強度複合生体材料の練和物を、予め形成した家兎大
腿骨の欠損部に充填した。
4週後にこの欠損部を調べたところ、複合体は骨と直
接結合し、周囲には新生骨の形成が認められた。
「発明の効果」 以上説明したように、本発明の請求項1記載した自己
硬化型高強度複合生体材料は、α−リン酸三カルシウム
とリン酸四カルシウムとの混合物粉体に繊維を混入して
なるものであるから、自己硬化性を有するために焼結処
理を必要せず、しかも硬化することにより繊維によって
強化されたハイドロキシアパタイトセラミックスとなる
ので、整形外科分野における人工骨や歯科分野における
埋植材などとして広く利用することができ、さらには自
己硬化性を利用して骨セメントあるいは歯科用セメント
への応用も可能となる。
また、本発明の請求項2に記載した製造方法によれ
ば、カルシウムのリンに対するモル比が1.50〜1.68であ
るハイドロキシアパタイトを、1200℃以上で脱水分解し
粉砕してα−リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウム
との混合物粉体を作製し、これに繊維を混入するもので
あるから、合成したハイドロキシアパタイトを脱水熱分
解して得た混合物粉体からハイドロキシアパタイトが可
逆的に生成するため、化学組成的に均一で強度が大きい
生体材料を作製することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−44050(JP,A) 特開 平1−234346(JP,A) 特開 平1−100039(JP,A) 特開 昭64−29266(JP,A) 特開 昭60−92202(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】α−リン酸三カルシウム(Ca3(PO4
    とリン酸四カルシウム(Ca4O(PO4)との混合物粉
    体に繊維を混入してなることを特徴とする自己硬化型高
    強度複合生体材料。
  2. 【請求項2】カルシウムのリンに対するモル比が1.50〜
    1.68であるハイドロキシアパタイトを、1200℃以上で脱
    水分解し粉砕してα−リン酸三カルシウム(Ca3(PO4
    )とリン酸四カルシウム(Ca4O(PO4)との混合
    物粉体を作製し、これに繊維を混入することを特徴とす
    る自己硬化型高強度複合生体材料の製造方法。
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