JP2000226365A - シアノ安息香酸化合物の製造方法 - Google Patents

シアノ安息香酸化合物の製造方法

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JP2000226365A
JP2000226365A JP11103542A JP10354299A JP2000226365A JP 2000226365 A JP2000226365 A JP 2000226365A JP 11103542 A JP11103542 A JP 11103542A JP 10354299 A JP10354299 A JP 10354299A JP 2000226365 A JP2000226365 A JP 2000226365A
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nickel
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cyanobenzoic acid
peroxide
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Hiroshi Yasuda
浩 安田
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、アミノメチル安息香酸化合物か
ら、シアノ安息香酸化合物を工業的に有利に高収率且つ
高純度に製造することを課題とする。 【解決手段】 アミノメチル安息香酸化合物を酸化反応
させることを特徴とするシアノ安息香酸化合物の製造方
法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シアノ安息香酸化
合物の製法に関する。シアノ安息香酸化合物は医薬、農
薬、液晶、機能性高分子モノマーなどの重要な中間体で
ある。
【0002】
【従来の技術】シアノ安息香酸化合物の製法は古くから
いくつか知られている。ここでは代表例としてp−シア
ノ安息香酸の製法をあげる。p−シアノ安息香酸は、古
典的にはp−アミノ安息香酸をジアゾ化した後シアン化
銅を反応させるサンドマイヤー反応により合成されてい
る(Lucas et al.,J.Am.Chem.S
oc.,51(1929)2718)。また、トルニト
リルをクロム酸や過マンガン酸などの強力な試薬酸化剤
で酸化し合成する方法が知られている(Levine
et al.,J.Org.Chem.,24(195
9)115)、(Kattwinkel et al.,
Chem.Ber.,37(1904)3226)。
【0003】最近では、水系の溶媒中、パラジウム−ホ
スフィン触媒を用い、p−クロロベンゾニトリルを一酸
化炭素でカルボニル化することにより、p−シアノ安息
香酸が合成できることが知られている(特開昭64−4
7号公報)。また、テレフタロニトリルの片側ニトリル
基をロドコッカス(Rhodococcus)などの微
生物を用いて加水分解して、p−シアノ安息香酸を合成
できることが報告されている(US 462970
0)。
【0004】サンドマイヤー法は、危険なシアン化銅を
必要とし、シアン化水素の遊離する酸性条件下でのp−
シアノ安息香酸の単離精製は困難である。クロム酸や過
マンガン酸などの試薬酸化剤を用いた場合は、有毒な重
金属廃棄物が生成し、有毒な重金属を含む廃液が大量に
でて環境に対する問題が多い。カルボニル化による方法
では、高価なパラジウムとホスフィンを用いるため経済
的方法ではない。また、微生物を用いた方法では、片側
ニトリル基の加水分解の選択性が十分ではないうえ、反
応濃度をあげることができず生産性が低い。
【0005】このように、p−シアノ安息香酸は、従来
知られている技術では合成が繁雑で高純度体を得るのが
困難であり、また原料の入手も容易ではないという問題
があり、シアノ安息香酸化合物を工業的に高収率、高純
度に製造する方法としては未だ十分なものではなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる状況
に鑑みてなされたものであり、比較的入手容易なアミノ
メチル安息香酸化合物を出発原料として用い、シアノ安
息香酸化合物を工業的に有利に高収率且つ高純度に製造
することを目的とする。特に医薬中間体として有用なp
−またはm−シアノ安息香酸を高純度且つ高収率で製造
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意研究の結果、フタロニトリル化合物から
容易に得られるアミノメチル安息香酸化合物のアミノメ
チル基(−CH2NH2)をシアノ基に変換することによ
り、簡便な方法によりシアノ安息香酸化合物を高収率で
純度よく製造できることを見いだし、本発明を完成する
に至った。
【0008】すなわち、本発明は以下の事項に関する。 (1) アミノメチル安息香酸化合物を酸化することを
特徴とするシアノ安息香酸化合物の製造方法。 (2) 酸化を、遷移金属過酸化物を用いて行うことを
特徴とする(1)に記載のシアノ安息香酸化合物の製造
方法。 (3) 遷移金属過酸化物が過酸化ニッケルである
(2)に記載のシアノ安息香酸化合物の製造方法。 (4) 過酸化ニッケルによる酸化反応を水溶液中で行
わせることを特徴とする(3)に記載のシアノ安息香酸
化合物の製造方法。 (5) (a)ニッケル又はその化合物を過酸化ニッケ
ルに酸化させる工程、及び(b)次いでアミノメチル安
息香酸化合物と反応させる工程からなることを特徴とす
る(3)または(4)に記載のシアノ安息香酸化合物の
製造方法。 (6) ニッケル又はその化合物を過酸化ニッケルに酸
化させる工程において、反応条件がpH13以上である
(5)に記載のシアノ安息香酸化合物の製造方法。 (7) 触媒量のニッケル化合物の存在下、アミノメチ
ル安息香酸化合物を酸化剤(遷移金属酸過酸化物を除
く。)で酸化することを特徴とする(1)に記載のシア
ノ安息香酸化合物の製造方法。
【0009】(8) 酸化剤が過硫酸塩化合物である
(7)に記載のシアノ安息香酸化合物の製造方法。 (9) 酸化反応を、pH13以上のアルカリ水溶液で
おこなわせる(7)または(8)に記載のシアノ安息香
酸化合物の製造方法。 (10) アミノメチル安息香酸化合物が、下記一般式
(I)
【化3】 (式中、−CH2NH2と−COOMと−Xはベンゼン環
上の置換基を表わし、−CH2NH2は−COOMのm位
あるいはp位であり、Mは水素原子、アルカリ金属また
はアルカリ土類金属を表し、Xは塩素原子またはフッ素
原子を表わし、nは0〜4の整数を表わす。ただし、n
が2以上の場合、Xは同一であっても異なっていても良
い。)で表わされる化合物であり、シアノ安息香酸化合
物が下記一般式(II)
【化4】 (式中、−CNと−COOMと−Xはベンゼン環上の置
換基を表わし、−CNは−COOMのm位あるいはp位
であり、Mは水素原子、アルカリ金属またはアルカリ土
類金属を表わし、Xは塩素原子またはフッ素原子を表わ
し、nは0〜4の整数を表わす。ただし、nが2以上の
場合、Xは同一であっても異なっていても良い。)で表
わされる化合物である(1)〜(9)に記載のシアノ安
息香酸化合物の製造方法。 (11) 一般式(I)のアミノメチル安息香酸化合物
がp−またはm−アミノメチル安息香酸であり、一般式
(II)のシアノ安息香酸化合物が対応するp−または
m−安息香酸である(10)に記載のシアノ安息香酸化
合物の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明における反応方法は、通常
アミノメチル安息香酸化合物、酸化剤等を反応容器に仕
込み水溶液中で所定の温度で、所定の時間まで攪拌する
ことにより行われる。反応原材料の仕込みおよび反応は
大気圧下で行うことができる。反応器としては、ガラス
容器または耐食金属容器が適する。
【0011】本反応で用いられるアミノメチル安息香酸
化合物について説明する。好適に使用できる無置換のア
ミノメチル安息香酸化合物としてはp−アミノメチル安
息香酸、m−アミノメチル安息香酸などであり、それぞ
れテレフタロニトリルおよびイソフタロニトリルの片側
ニトリル基の還元反応(特公昭40−10133号公
報)で得られるp−シアノベンジルアミン、m−シアノ
ベンジルアミンのニトリル基を加水分解することにより
容易かつ大量に合成できる。次に置換体について説明す
る。置換基としては特に制限はないが、本発明の反応に
おいて不活性であればよく、例えば、ハロゲン原子、ア
ルキル基(C1〜C5)、アルコキシ基(C1〜C5)
が好ましく挙げられる。その中でも好適な例としてハロ
ゲンで置換されたアミノメチル安息香酸化合物について
説明する。4−アミノメチル−2,3,5,6−テトラ
クロロ安息香酸、3−アミノメチル−2,4,5,6−
テトラクロロ安息香酸などの塩素化アミノメチル安息香
酸化合物はテレフタロニトリルまたはイソフタロニトリ
ルの塩素化により得られるテトラクロロテレフタロニト
リルなどの塩素化テレフタロニトリル化合物またはテト
ラクロロイソフタロニトリルなどの塩素化イソフタロニ
トリル化合物の片側ニトリル基の還元反応、続いて残り
のニトリル基を加水分解することで容易かつ大量に合成
できる。4−アミノメチル−2,3,5,6−テトラフ
ルオロ安息香酸、3−アミノメチル−2,4,5,6−
テトラフルオロ安息香酸などのフッ素化アミノメチル安
息香酸化合物はテトラクロロテレフタロニトリルなどの
塩素化テレフタロニトリル化合物またはテトラクロロイ
ソフタロニトリルなどの塩素化イソフタロニトリル化合
物のフッ素化反応で得られるテトラフルオロテレフタロ
ニトリルなどのフッ素テレフタロニトリル化合物および
テトラフルオロイソフタロニトリルなどのフッ素化イソ
フタロニトリル化合物の片側ニトリル基の還元反応、続
いて残りのニトリル基を加水分解することで容易かつ大
量に合成できる。
【0012】本反応で用いるアミノメチル安息香酸化合
物は、水に対する溶解度が極めて低いので、水に可溶な
カルボン酸塩にして反応を行うことができる。アミノメ
チル安息香酸化合物をカルボン酸塩にするために用いる
塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化マゲネシウム、水酸化カルシウムなどの
アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化
物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアル
カリ金属重炭酸塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸マゲネシウム、炭酸カルシウムなどの
アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、酸化マグ
ネシウム、酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化
物を用いることができる。
【0013】本発明の酸化反応を次に説明する。すなわ
ち、[1]遷移金属過酸化物によるアミノメチル安息香
酸化合物の酸化反応、[2]触媒量のニッケル化合物の
存在下、酸化剤(遷移金属過酸化物を除く。)によるア
ミノメチル安息香酸化合物の酸化反応、の2項目であ
る。
【0014】[1]遷移金属過酸化物によるアミノメチ
ル安息香酸化合物の酸化反応、について説明する。酸化
に用いる遷移金属過酸化物は、アミノメチル基からニト
リル基を生成させる化合物であればよい。例えば、過酸
化ニッケル(Ni−O2)、過酸化コバルト(Co−
2)、過酸化銅(Cu−O2)、過酸化ルテニウム(R
u−O2)、などが挙げられるが、これらの中でも特に
過酸化ニッッケルが好ましい。
【0015】酸化に用いる遷移金属過酸化物について、
代表例として過酸化ニッケルについて説明する。既知文
献[小中隆盛、有機合成協会誌、30(1972)p4
79]によると、過酸化ニッケルの組成はNiO2.8
2.8を示すが、明らかではないとされている。ESR分
析によると、過酸化ニッケルの活性酸素1原子は2個の
OHラジカル種と考えられており、水素引き抜きの性質
があるとみられる。
【0016】本反応で酸化に用いる過酸化ニッケルの量
は、アミノメチル安息香酸化合物に対して過酸化ニッケ
ルの活性酸素量換算で1〜3が好ましい。過酸化ニッケ
ルよるアミノメチル安息香酸化合物の酸化反応は、化学
量論反応であるので、再度使用するためには、回収して
酸化しなくてはならない。反応終了後、過酸化ニッケル
の反応後のニッケル化合物は水に不溶であるので、濾過
して回収することができる。これを下記の条件で再酸化
することにより過酸化ニッケルを繰り返し使用すること
ができる。
【0017】第一の工程(以下「第一工程」という。)
では、アミノメチル安息香酸化合物の酸化反応で生じた
硫酸Niなどの二価ニッケル化合物を強塩基性の条件下
で酸化処理することにより過酸化ニッケルが得られる。
第一工程で用いる酸化剤としては、低原子価のニッケル
化合物を高原子価のニッケル化合物へ酸化できるものな
ら何んでもよいが、次亜ハロゲン酸塩、過ヨウ素酸塩、
過酸化水素、過硫酸塩及びオゾンなどが挙げられる。好
ましくは過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫
酸カリウムなどの過硫酸塩が挙げられる。
【0018】これらの第一工程で用いる酸化剤は単独で
もよく、二種以上を任意の割合で混合してもよい。また
反応液に固形のまま投入してもよく、水溶液の状態で加
えてもいずれの方法でもよいが、好ましくは水溶液の形
で加える。反応条件としては、強塩基性が好ましく、p
H13以上がより好ましい。pHが13未満であると酸
化が効率よく進まない。
【0019】得られた過酸化ニッケルは酸化還元滴定で
活性酸素量が求められる。条件により異なるものの、概
ね0.35×10-2g・atom/g程度の活性酸素量
の物が得られる。過酸化ニッケルの理論使用量は、過酸
化ニッケルの活性酸素量換算により求められ、アミノメ
チル安息香酸化合物1分子に対して過酸化ニッケル由来
の2原子相当の活性酸素が必要である。従って、アミノ
メチル安息香酸化合物1分子を酸化して対応するシアノ
安息香酸化合物にするのに必要な過酸化ニッケルは活性
酸素換算で2原子であると考えられる。
【0020】本反応は、水溶液中で行う。用いる水の量
としては、アミノメチル安息香酸化合物の重量の5〜1
00倍が好適である。本反応の反応時間は、10分〜1
0時間が好ましい。
【0021】反応温度は、0〜90℃が好ましく、さら
に好ましくは10〜70℃である。反応温度が低すぎる
とアミノメチル安息香酸化合物の溶解度が低いため反応
速度が遅くなり、高すぎると生成物ののニトリル基が水
和、加水分解をうけて収率が低くなる。
【0022】[2]触媒量のニッケル化合物の存在下、
酸化剤(遷移金属過酸化物を除く。)によるアミノメチ
ル安息香酸化合物の酸化反応、について説明する。本反
応で用いられる触媒量のニッケル化合物としては、酸化
ニッケル、過酸化ニッケルなどのニッケル酸化物類、水
酸化ニッケルなどのニッケル水酸化物類、弗化ニッケ
ル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、沃化ニッケル、酢酸
ニッケル、塩素酸ニッケル、過塩素酸ニッケル、硝酸ニ
ッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケルなど2価のニッケ
ル塩類などがある。ニッケル化合物の量としては、好適
にはアミノメチル安息香酸化合物に対して少なくともモ
ル比で1/500以上、さらに好ましくは1/200〜
1/50量使用される。ニッケル化合物は反応開始時に
必要量の全量を入れてもよいし、反応の進行にともない
適宜必要量になるまで追加してもよい。
【0023】本反応で用いる酸化剤(遷移金属過酸化物
を除く。)としては、低原子価のニッケル化合物を高原
子価のニッケル化合物へ酸化できるものなら何んでもよ
いが、酸化剤自身がアミノメチル基と反応し、好ましく
ない副生成物が生じる場合がある。このため、好適に
は、アミノメチル基への酸化が非常に遅く、ニッケル化
合物の再酸化が非常に早い過硫酸塩が使用される。本反
応では、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫
酸カリウムなどの過硫酸塩を用いることができる。過硫
酸塩の量としては、アミノメチル安息香酸化合物に対し
てモル比で2〜4が好ましく、さらに望ましくは2.1
〜3である。過硫酸塩は反応開始時に必要量の全量をい
れてもよいし、反応の進行にともない適宜必要量になる
まで追加してよい。
【0024】本反応におけるアミノメチル安息香酸化合
物、ニッケル化合物と酸化剤(遷移金属過酸化物を除
く。)との反応は以下の様な触媒サイクルであると推定
される。すなわち、ニッケル高原子価物がアミノメチル
基から脱水素し、ニトリル基が生成する。アミノメチル
基から脱水素した後ニッケル高原子価物はニッケルの原
子価2以下の低原子価物となる。このとき反応系に酸化
剤が存在すれば、ニッケル化合物と酸化剤との反応で、
ニッケル低原子価物は再び酸化されて原子価3以上のニ
ッケル高原子価物が生成し、アミノメチル基から脱水素
能のあるニッケル高酸化物となり、触媒サイクルが成立
する。
【0025】本反応では反応の進行に伴い過硫酸酸塩は
対応する2分子の硫酸第一水素塩になる。硫酸第一水素
塩が蓄積すると液性が酸性に傾きニッケル化合物の反応
活性が低下する。そのため、硫酸第一水素塩を塩基で中
和すると反応を効率よく進行させることができる。用い
ることができる塩基としては、アルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属塩などであり、水酸化リチウム、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化
カルシウムなどのアルカリ金属水酸化物またはアルカリ
土類金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリ
ウムなどのアルカリ金属重炭酸塩、炭酸リチウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カ
ルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属炭
酸塩、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどのアルカ
リまたはアルカリ土類金属金属酸化物を用いることがで
きる。ニッケルの再酸化が好適なpHでかつ、反応によ
り生成する硫酸第一水素塩を中和するのに好適な塩基
は、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムである。上記の
目的として使用する塩基の量は、過硫酸塩に対して一価
の塩基としてモル比で理論量として2である。塩基は反
応開始時に必要量の全量を入れてもよいし、反応の進行
にともない適宜必要量になるまで添加してもよい。ま
た、二種類の塩基を混合してもよい。
【0026】本反応で用いるアミノメチル安息香酸化合
物は、水に対する溶解度が極めて低いので、水に可溶な
カルボン酸塩にして反応をおこなうことができる。アミ
ノメチル安息香酸化合物をカルボン酸塩にするために用
いる塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムな
どのアルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸
化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのア
ルカリ金属重炭酸塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど
のアルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩、酸化マ
グネシウム、酸化カルシウムなどのおよびアルカリ土類
金属金属酸化物を用いることができる。上記の目的とし
て使用する塩基の量は、アミノメチル安息香酸化合物に
対して一価の塩基として理論量でモル比で1である。ア
ミノメチル安息香酸化合物は反応開始時に必要量の全量
を入れてもよいし、アミノメチル安息香酸化合物をカル
ボン酸塩の水溶液として添加してもよい。
【0027】本反応は、水溶液で反応をおこなう。水の
量としては、アミノメチル安息香酸化合物の重量の5〜
100倍が好適である。低原子価ニッケル化合物の酸化
は、アルカリ条件が好ましいので、反応溶液に上記塩基
を加えてpH13以上の水溶液でおこなうことが好まし
い。
【0028】反応温度は、反応温度が低すぎると原料の
アミノメチル安息香酸化合物の溶解度が低く反応速度が
遅くなり、高すぎると生成物のシアノ安息香酸化合物の
ニトリル基が水和、加水分解をうけて収率が低くなるた
め、−20℃〜20℃が好ましく、さらに好ましくは−
15℃〜10℃の反応温度が望ましい。本反応では水溶
液系の反応にもかかわらず、反応系内の有機物や無機塩
類の凝固点降下をうけて0℃以下でも固化しない。本反
応の反応時間は、10分〜10時間が好適である。
【0029】上記[1]または[2]の酸化反応が完了
した後のシアノ安息香酸化合物の単離精製方法について
説明する。反応完結後水溶液中にシアノ安息香酸化合物
はカルボン酸塩として存在する。シアノ安息香酸の種類
により溶解していたり、析出したりしている。シアノ安
息香酸化合物は水に対する溶解度が極めて低いので、溶
液に酸を加えるだけで析出する。従って、単にろ過し、
水洗乾燥するだけで、用いたシアノベンジルアミン化合
物の純度を反映した純度のシアノ安息香酸化合物が得ら
れる。
【0030】
【実施例】以下に実施例を用いてさらに詳しく本発明を
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。尚、高速液体クロマトブラフの測定条件は以下
の通りである。 カラム: Shodex (登録商標:昭和電工株式会
社)DE−513L +プレカラム カラム温度: 40℃、 溶離液: 水/アセトニトリル/酢酸=2250/75
0/15(ml) 1−オクタンスルホン酸ナトリウム 6.45g 溶離液流速: 1ml/min 検出器: UV 254nm
【0031】実施例1 氷浴下、300mlの三口フラスコにp−アミノメチル
安息香酸15.1g、水酸化ナトリウム40gを水20
0gを混合し攪拌した。強攪拌下、過酸化ニッケル4g
(活性酸素量0.3×10-2g・atom/g)を内温
が15℃を超えないように添加した。添加終了後さらに
30分攪拌し、反応終了後、50%硫酸を反応溶液のp
Hが2になるまで加えた。析出した結晶をろ取し、水洗
後乾燥してp−シアノ安息香酸13.5g(収率92
%)を得た。高速液体クロマトグラフィーの分析により
得られたp−シアノ安息香酸の純度は98%以上であっ
た。
【0032】実施例2 (第一工程)氷冷攪拌下、三口フラスコを用いて、硫酸
ニッケル130gを水400mlに溶解させた。次いで
重量濃度14%の次亜塩素酸ソーダ溶液1000gと水
酸化ナトリウム40gの混合溶液を滴下し、滴下終了後
30分攪拌した。生成した黒色微粉末(過酸化ニッケ
ル)をろ取し、洗浄濾過液に塩素イオンが検出されなく
なるまで洗浄した。室温で重量が恒量になるまで過酸化
ニッケルを乾燥し、収量61gを得た。得られた過酸化
ニッケルを酸化還元滴定[小中隆盛、有機合成協会誌、
30(1972)p47]で分析すると、活性酸素量
は、0.3×10-2g・atom/g・過酸化ニッケル
であった。 (第二工程)300mlの三口フラスコにp−アミノメ
チル安息香酸15.1g、炭酸水素カリウム10g及び
水200gを混合し室温にて激しく攪拌し、均一溶液と
した。強攪拌下、先に調整した過酸化ニッケル40g
(活性酸素量0.3×10-2g・atom/g)を30
分かけて少量づつ添加した。添加終了後さらに30分攪
拌した。室温に冷却後、黒色の不溶物(ニッケル塩)を
濾過し、濾液に50%硫酸を溶液のpHが2になるまで
加えた。析出した結晶をろ取し、水洗後乾燥してp−シ
アノ安息香酸14.0g(収率95%)を得た。高速液
体クロマトグラフィーの分析により得られたp−シアノ
安息香酸の純度は99%以上であった。また、回収した
ニッケル塩は第一工程の方法に準じて酸化し、過酸化ニ
ッケルとし再使用することができる。
【0033】実施例3 氷浴下、p−アミノメチル安息香酸30.23g、水酸
化ナトリウム48.0gを水400gに混合し攪拌し
た。強攪拌下、過硫酸ナトリウム119.0g、硫酸ニ
ッケル2.63gを添加し激しく攪拌した。内温が5℃
を超えないように氷を反応溶液に追加しながら80分攪
拌した。反応終了後、50%硫酸で反応溶液をpH2に
調整した。析出した固体を遠心分離後、減圧下加熱乾燥
してp−シアノ安息香酸25.8g(収率88%)を得
た。高速液体クロマトグラフの分析により得られたp−
シアノ安息香酸の純度は98%以上であった。
【0034】実施例4 氷浴下、m−アミノメチル安息香酸30.23g、水酸
化ナトリウム10.0gを水400gに混合し攪拌し
た。過硫酸ナトリウム119.0g、硫酸ニッケル2.
63gを添加し激しく攪拌した。水酸化ナトリウム3
8.0g/水200gの溶液を2時間かけて添加した。
反応終了後、50%硫酸で反応溶液をpH2に調整し
た。析出した固体を遠心分離後、減圧下加熱乾燥してp
−シアノ安息香酸26.5g(収率90%)を得た。高
速液体クロマトグラフの分析により得られたm−シアノ
安息香酸の純度は98%であった。
【0035】実施例5 氷浴下、水酸化ナトリウム1.6g、過硫酸ナトリウム
100.0g、硫酸ニッケル1.3gを水200gに混
合し攪拌した。p−アミノメチル安息香酸30.23
g、水酸化ナトリウム40g、水300gで調整したp
−アミノメチル安息香酸ナトリウムの溶液を60分かけ
て添加した後、硫酸ニッケル1.3gを添加しさらに1
時間攪拌した。反応終了後、50%硫酸で反応溶液をp
H2に調整した。析出した固体を遠心分離後、減圧下加
熱乾燥してp−シアノ安息香酸27.1g(収率92
%)を得た。高速液体クロマトグラフの分析により得ら
れたp−シアノ安息香酸の純度は98%以上であった。
【0036】
【発明の効果】本発明により、フタロニトリル化合物か
ら容易に得られるアミノメチル安息香酸化合物を出発原
料として酸化することにより工業的にシアノ安息香酸化
合物を収率、純度よく製造することができる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノメチル安息香酸化合物を酸化する
    ことを特徴とするシアノ安息香酸化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸化を、遷移金属過酸化物を用いて行う
    ことを特徴とする請求項1に記載のシアノ安息香酸化合
    物の製造方法。
  3. 【請求項3】 遷移金属過酸化物が過酸化ニッケルであ
    る請求項2に記載のシアノ安息香酸化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 過酸化ニッケルによる酸化反応を水溶液
    中で行わせることを特徴とする請求項3に記載のシアノ
    安息香酸化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 (a)ニッケル又はその化合物を過酸化
    ニッケルに酸化させる工程、及び(b)次いでアミノメ
    チル安息香酸化合物と反応させる工程からなることを特
    徴とする請求項3または4に記載のシアノ安息香酸化合
    物の製造方法。
  6. 【請求項6】 ニッケル又はその化合物を過酸化ニッケ
    ルに酸化させる工程において、反応条件がpH13以上
    である請求項5に記載のシアノ安息香酸化合物の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 触媒量のニッケル又はその化合物の存在
    下、アミノメチル安息香酸化合物を酸化剤(遷移金属酸
    過酸化物を除く。)で、酸化させることを特徴とする請
    求項1に記載のシアノ安息香酸化合物の製造方法。
  8. 【請求項8】 酸化剤が過硫酸塩化合物である請求項7
    に記載のシアノ安息香酸化合物の製造方法。
  9. 【請求項9】 酸化反応を、pH13以上のアルカリ水
    溶液でおこなわせる請求項7または8に記載のシアノ安
    息香酸化合物の製造方法。
  10. 【請求項10】 アミノメチル安息香酸化合物が、下記
    一般式(I) 【化1】 (式中、−CH2NH2と−COOMと−Xはベンゼン環
    上の置換基を表わし、−CH2NH2は−COOMのm位
    あるいはp位であり、Mは水素原子、アルカリ金属また
    はアルカリ土類金属を表わし、Xは塩素原子またはフッ
    素原子を表わし、nは0〜4の整数を表わす。ただし、
    nが2以上の場合、Xは同一であっても異なっていても
    良い。)で表わされる化合物であり、シアノ安息香酸化
    合物が下記一般式(II) 【化2】 (式中、−CNと−COOMと−Xはベンゼン環上の置
    換基を表わし、−CNは−COOMのm位あるいはp位
    であり、Mは水素原子、アルカリ金属またはアルカリ土
    類金属を表わし、Xは塩素原子またはフッ素原子を表わ
    し、nは0〜4の整数を表わす。ただし、nが2以上の
    場合、Xは同一であっても異なっていても良い。)で表
    わされる化合物である請求項1乃至9のいずれかに記載
    のシアノ安息香酸化合物の製造方法。
  11. 【請求項11】 一般式(I)のアミノメチル安息香酸
    化合物がp−またはm−アミノメチル安息香酸であり、
    一般式(II)のシアノ安息香酸化合物が対応するp−
    またはm−安息香酸である請求項10に記載のシアノ安
    息香酸化合物の製造方法。
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