JP2000226275A - 多孔質無機材料及びその製造方法 - Google Patents

多孔質無機材料及びその製造方法

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JP2000226275A
JP2000226275A JP11029951A JP2995199A JP2000226275A JP 2000226275 A JP2000226275 A JP 2000226275A JP 11029951 A JP11029951 A JP 11029951A JP 2995199 A JP2995199 A JP 2995199A JP 2000226275 A JP2000226275 A JP 2000226275A
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alumina
porous inorganic
inorganic material
fiber
fibers
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Koichi Kimura
康一 木村
Mitsuyuki Wadasako
三志 和田迫
Koji Iwata
耕治 岩田
Kazumi Kaneda
和巳 金田
Tsutomu Kobayashi
強 小林
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Original Assignee
Nichias Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密度あるいは空隙率の調節が簡単にでき、幅
広い用途に使用可能な特有構造を有する多孔質無機材料
を提供すること。また、製造に当たって原料粉末の飛散
の防止策をとる必要のない多孔質無機材料の製造方法を
提供すること。 【解決手段】 表面から不定方向に林立する子繊維を有
する母繊維が相互に結合してなる3次元骨格構造であっ
て、該子繊維はホウ酸アルミニウム針状結晶物であるこ
とを特徴とする多孔質無機材料であり、この多孔質無機
材料は、α化率が40%以下のアルミナからなるアルミ
ナ繊維(A)と、焼成されて酸化ホウ素を生成するホウ
素原料(B)を含む混合物を成形し、次いで焼成するこ
とにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、幅広い用途に使用
可能な特有の3次元骨格構造を有する多孔質無機材料及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、窒化珪素(Si3 4 )、炭
化珪素、アルミナ等からなるセラミック系の無機繊維材
料で形成された3次元骨格構造を有する多孔質無機材料
が知られている。この多孔質無機材料の用途としては、
溶融金属を含浸させて金属基複合材料(Metal Matrix C
omposite: MMC)を形成するための補強材料(プリフ
ォームともいう)、多孔質構造を利用したフィルター等
がある。
【0003】このような多孔質無機材料を製造する方法
としては、従来、針状構造の無機材料(ウィスカともい
う)と無機結合材をスラリー状に混合し、次いで脱水成
形して成形体を形成し、この成形体を焼成して製造する
方法が知られている。しかし、このような方法で得られ
た多孔質無機材料は、原料であるウィスカを無機バイン
ダで結合して形成されているのでウィスカ同士の結合力
が弱く、得られる多孔質無機材料の強度が低いという問
題があった。
【0004】このような問題を解決する手段として、特
開平10−203878号公報には、酸化アルミニウム
または空気中で加熱されると酸化アルミニウムを生成す
るアルミニウム化合物の粉末と、酸化ホウ素または空気
中で加熱されると酸化ホウ素を生成するホウ素化合物の
粉末とを均一に混合し、得られた混合物を成形し、次い
で加熱してアルミニウム化合物とホウ素化合物とから2
Al2 3 ・B2 3の針状結晶を生成して得られる多
孔質無機材料が開示されている。
【0005】この多孔質無機材料は、アルミニウム化合
物の粉末とホウ素化合物の粉末とからなる混合物の成形
体が、焼成によってホウ酸アルミニウムのウィスカを生
成し、生成したウィスカ同士が結合したり絡み合ったり
して3次元骨格構造を形成している。このウィスカ同士
の結合は、同質のウィスカの成長点同士が接触して形成
されたものであり、無機バインダを使用して形成された
ものでないため、結合力が強く、得られる多孔質無機材
料の強度が高くなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この多
孔質無機材料は、粉末成形法を採用しているため、低密
度または高密度の成形体を得ることが困難であるという
問題があった。また、焼成された多孔質無機材料と焼成
前の成形体との間の体積変化が大きいため、前記と同様
に密度の制御も困難であるという問題があった。さら
に、原料としてアルミニウム化合物及びホウ素化合物の
粉末を乾式で用いているので原料粉末の飛散が著しく、
製造時において粉末の飛散を防止する手段を講じなけれ
ばならないという問題があった。
【0007】従って、本発明の目的は、多孔質無機材料
の密度あるいは空隙率の調節が簡単にでき、幅広い用途
に使用可能な特有構造を有する多孔質無機材料を提供す
ることにある。また、本発明の他の目的は、製造に当た
って原料粉末の飛散の防止策をとる必要のない多孔質無
機材料の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者は鋭意検討を行った結果、α化率が40%以下の
アルミナからなるアルミナ繊維(A)と、焼成されて酸
化ホウ素を生成するホウ素原料(B)を含む混合物を成
形し、次いで焼成すれば、表面から不定方向に林立する
子繊維を有する母繊維が相互に結合してなるホウ酸アル
ミニウムの3次元骨格構造が得られることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、表面から不定方向に
林立する子繊維を有する母繊維が相互に結合してなる3
次元骨格構造であって、該子繊維はホウ酸アルミニウム
針状結晶物であることを特徴とする多孔質無機材料を提
供するものである。
【0010】また、本発明は、α化率が40%以下のア
ルミナからなるアルミナ繊維(A)と、焼成されて酸化
ホウ素を生成するホウ素原料(B)を含む混合物を成形
し、次いで焼成することを特徴とする多孔質無機材料の
製造方法を提供するものである。
【0011】また、本発明は、α化率が40%以下のア
ルミナからなるアルミナ繊維(A)と、焼成されて酸化
アルミニウムを生成するアルミニウム原料(A' )と、
焼成されて酸化ホウ素を生成するホウ素原料(B)とを
含む混合物を成形し、次いで焼成することを特徴とする
多孔質無機材料の製造方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の多孔質無機材料におい
て、母繊維は原料であるアルミナ繊維(A)がホウ素原
料(B)とともに焼成されることによって実質的にホウ
酸アルミニウムに変成された繊維状物又は柱状物であ
り、該母繊維同士は相互に結合して3次元骨格構造を形
成している。また、子繊維は上記母繊維の表面から不定
方向に林立するように形成されているものであり、その
組成はホウ酸アルミニウム針状結晶物である。
【0013】この特有の3次元骨格構造は電子顕微鏡写
真から観察される。この不定方向に林立する針状物と前
記アルミナ繊維(A)が変成した繊維状物又は柱状物を
比較すると、両者は長さ及び太さにおいて明らかに相違
するため、前者を子繊維、後者を母繊維と定義する。ま
た、不定方向に林立する状態とは、針状又はひげ状の突
起物が不定方向に延び生い茂った状態である。母繊維と
子繊維の境界は明確ではなく、繊維の密度が高く明らか
に子繊維よりも長太い柱状を示すのが母繊維である。ま
た、子繊維は、子繊維同士が相互に少なくとも1か所で
結合しており、該子繊維の結合は結合剤によることなく
子繊維の針状結晶構成成分を共有するものであってもよ
い。
【0014】このような多孔質無機材料は、α化率が4
0%以下のアルミナからなるアルミナ繊維(A)と、焼
成されて酸化ホウ素を生成するホウ素原料(B)を含む
混合物を成形し、次いで焼成することによって製造され
る。以下、本発明の多孔質無機材料をその製造方法に従
って説明する。
【0015】本発明の多孔質無機材料の製造方法で用い
られるアルミナ繊維(A)は、アルミナのα化率が40
%以下、好ましくは30%以下であり、特に好ましくは
20%以下のアルミナからなるアルミナ繊維である。ア
ルミナのα化率が上記の範囲内にあると、アルミナ繊維
(A)と、後述する焼成されて酸化ホウ素を生成するホ
ウ素原料(B)とが焼成の際に反応して、アルミナ繊維
(A)自体がホウ酸アルミニウムに変成されるととも
に、この変成した繊維状物又は柱状物の表面からホウ酸
アルミニウム針状結晶物が不定方向に林立するように形
成される。
【0016】ここでアルミナのα化率は、アルミナ中に
おけるα−アルミナ相の比率をいう。例えばアルミナの
α化率が40%とは、アルミナ中のα−アルミナ相の比
率が40%であり、α−アルミナ相以外の相が60%で
あることを示す。アルミナ中のα−アルミナ相以外の相
としては、β−アルミナ相、γ−アルミナ相またはδ−
アルミナ相のいずれであってもよいが、このうちγ−ア
ルミナ相及びδ−アルミナ相は焼成される際に酸化ホウ
素と反応し易いため、アルミナ繊維がホウ酸アルミニウ
ムに変成され易く、子繊維が母繊維の表面から不定方向
に林立して形成され易いので好ましい。一方、α−アル
ミナ相は化学的に安定であり、焼成の際に酸化ホウ素と
反応し難いので、アルミナ中のα−アルミナ相の比率が
高くなると前述のような特有の3次元骨格構造は得られ
難くなる。
【0017】アルミナ繊維(A)の繊維径は、1〜10
μmであり、好ましくは2〜5μmである。繊維径が1
0μmを越えると、繊維の中央部まで反応するのに多く
の時間を要するため好ましくなく、繊維径が1μm未満
であると、吸引成形性が低下するため好ましくない。ま
た、アルミナ繊維(A)の繊維長は、15〜200μm
であり、好ましくは30〜150μmである。アルミナ
繊維(A)の繊維長を上記範囲内で長めのものを用いる
と、空隙率を大きくする(Vf値を小さくする)ことが
できる。また、アルミナ繊維(A)の繊維長を上記範囲
内で短めのものを用いると、空隙率を小さくする(Vf
値を大きくする)ことができる。ここでVf値とは、多
孔質無機材料の全体積中、母繊維及び子繊維の占める体
積の和の割合であり、Vf値(%)=100−空隙率
(%)で定義される。例えば、空隙率が80%であれ
ば、Vf値は20%である。なお、本発明の多孔質無機
材料の空隙率の調節は、後述するようにアルミナ繊維
(A)の繊維長を選択することのみによって行われるも
のではない。多孔質無機材料の密度は、一般に、空隙率
が大きければ小さく、空隙率が小さければ大きくなるよ
うに空隙率と関連しているので、空隙率の調節と同様の
方法によって調節することができる。このようなアルミ
ナ繊維(A)は、α化率、繊維径、繊維長が上記の範囲
内にあるものであれば、1種又は2種以上を組み合わせ
て用いることができる。
【0018】本発明で用いられる焼成されて酸化ホウ素
を生成するホウ素原料(B)は、空気等の酸化雰囲気中
で焼成されると酸化ホウ素(B2 3 )を生成するもの
であり、例えば、酸化ホウ素(B2 3 )、窒化ホウ素
(BN)、ホウ酸(H3 BO 3 )、メタホウ酸(HBO
2 )、四ホウ酸(H2 4 7 )等を挙げることができ
る。ホウ素原料(B)は、成形方法によって、適宜選択
することが望ましい。例えば、成形方法が吸引脱水成形
法であれば、水溶性のホウ酸(H3 BO3 )は使い難い
ので水に不溶性のBN粉末を用いることが望ましい。ま
た、成形方法が押し出し成形法であれば、水分の除去は
乾燥工程で揮発させることにより行うためホウ酸(H3
BO3 )でもBN粉末でもどちらでも用いることができ
る。ホウ素原料(B)は、その形態が粉末である場合
は、平均粒径が0.5μm〜50μmであり、好ましく
は1μm〜5μmである。ホウ素原料(B)は、1種又
は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】本発明では、必要に応じて、焼成されて酸
化アルミニウムを生成するアルミニウム原料(A' )を
配合する。このアルミニウム原料は空気等の酸化雰囲気
中で焼成されると酸化アルミニウム(Al2 3 )を生
成するものであり、例えば、アルミナ(Al2 3 )、
水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニ
ウム、塩化アルミニウム等を挙げることができる。この
ようなアルミニウム原料(A' )は、焼成の際のアルミ
ナ相がα−アルミナ相以外の相、例えば、γ−アルミナ
相またはδ−アルミナ相となるものが好ましい。アルミ
ニウム原料(A' )が、α−アルミナ相以外のγ−アル
ミナ相、δ−アルミナ相等であることによって、焼成の
際にホウ素原料と反応して子繊維であるホウ酸アルミニ
ウム針状結晶物を生成することができる。また、アルミ
ニウム原料(A' )がアルミナゾルの場合は、アルミナ
ゾルは、ホウ素原料(B)と反応してホウ酸アルミニウ
ム針状結晶物を生成する作用を行うとともに、焼成前の
成形時にはアルミナ繊維同士を結合させる後述するバイ
ンダ(C)としても機能するので好ましい。アルミニウ
ム原料(A' )は、1種又は2種以上を組み合わせて用
いることができる。
【0020】本発明においては、上記の成分以外に、ア
ルミナ繊維同士を結合させるためにさらにバインダ
(C)を添加してもよい。このようなバインダ(C)と
しては、通常用いられているものを使用することがで
き、アルミナゾル等の無機バインダ、またはメチルセル
ロース等の有機バインダを用いることができる。バイン
ダ(C)は1種又は2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0021】次に、これらのα化率が40%以下のアル
ミナからなるアルミナ繊維(A)と、焼成されて酸化ホ
ウ素を生成するホウ素原料(B)と、必要に応じて配合
された焼成されて酸化アルミニウムを生成するアルミニ
ウム原料(A' )と、必要に応じて配合されたバインダ
(C)とを混合して混合物を作製する。混合物は、さら
に水を添加してスラリーあるいは混練物として次の成形
工程に供される。
【0022】混合物中において、アルミナ繊維(A)を
Al2 3 に換算したモル数と、ホウ素原料(B)をB
2 3 に換算したモル数との配合比率(A:B)は、
9:2〜9:7であり、好ましくは9:3〜9:6であ
る。また、混合物が、さらにアルミニウム原料(A' )
も含む場合には、アルミナ繊維(A)をAl2 3 に換
算したモル数とアルミニウム原料(A' )をAl2 3
に換算したモル数との和((A+A' ))と、ホウ素原
料(B)をB2 3 に換算したモル数との配合比率
((A+A' ):B)は、9:2〜9:7であり、好ま
しくは9:3〜9:6である。なお、この配合比率
((A+A' ):B)において、バインダ(C)でもあ
るアルミナゾルの配合量はアルミニウム原料(A' )と
して計算されている。
【0023】配合比率(A:B)または((A+A'
):B)において、Bに対してAまたはA+A' の割
合が大きくなると、子繊維であるホウ酸アルミニウム針
状結晶物が十分に成長しないため好ましくない。また、
Bに対してAまたはA+A' の割合が小さくなると、焼
成中に子繊維であるホウ酸アルミニウム針状結晶物のガ
ラス化反応が進行したり、ホウ素原料(B)が揮発して
3次元骨格構造体の強度が均一でなくなったり、子繊維
であるホウ酸アルミニウム針状結晶物が均一に成長せず
に多孔質無機材料中の空隙率が部分的にばらついたりす
るので好ましくない。また、アルミナ繊維(A)の配合
量を上記範囲内で増やすと多孔質無機材料の空隙率が大
きくなり(Vf値が小さくなり)、配合量を上記範囲内
で減らすと多孔質無機材料の空隙率が小さくなる(Vf
値が大きくなる)。
【0024】次に、混合物を成形して成形体を得る。成
形体を得るには、混合物がスラリーの場合には例えば吸
引脱水成形法等の脱水成形法を用いることができ、混合
物が混練物の場合には例えば押し出し成形法を用いるこ
とができる。吸引脱水成形法を用いた場合、プレス圧力
の調節によって、得られる多孔質無機材料の空隙率ある
いは密度を容易に調節することができる。すなわち、プ
レス圧力を大きくすれば空隙率が小さくなり、プレス圧
力を小さくすれば空隙率が大きくなる。密度は、プレス
圧力を大きくすれば密度が大きくなり、プレス圧力を小
さくすれば密度が小さくなる。なお、バインダ(C)が
アルミナゾルのような水性無機バインダであれば、脱水
成形法等の成形時に成形体から水分が除去されてバイン
ダ(C)がアルミナ繊維(A)を結合する作用を発現す
るようになる。このため、脱水された成形体となった時
点でアルミナ繊維(A)同士がアルミナゾルバインダに
よって結合されて、3次元骨格構造体を形成する。ただ
し、この3次元骨格構造体は焼成されていないので、そ
の組成はホウ酸アルミニウムに変成されておらずアルミ
ナのままである。なお、アルミナゾルはバインダ(C)
であるとともにアルミニウム原料(A' )でもあるの
で、次の焼成工程において酸化ホウ素(B2 3 )と反
応してホウ酸アルミニウムを生成する。
【0025】得られた成形体は、次の焼成工程に供する
ために乾燥させる。乾燥方法としては、既知の方法を採
用することができ、例えば、空気中において、100
℃、5時間の条件等で乾燥させることができる。次に、
乾燥させた成形体を焼成する。焼成は、空気中等の酸化
性雰囲気中で行うことができる。焼成することにより、
ホウ素原料(B)から酸化ホウ素(B2 3 )が生成
し、この酸化ホウ素(B23 )と、アルミナ繊維
(A)またはアルミニウム原料(A' )から生成した酸
化アルミニウム(Al2 3 )とが反応して、ホウ酸ア
ルミニウム針状結晶物を生成する。
【0026】焼成温度は、1100℃〜1400℃であ
り、好ましくは1250℃〜1350℃である。焼成温
度が1100℃未満であると、アルミナ繊維(A)また
はアルミニウム原料(A' )から生成した酸化アルミニ
ウム(Al2 3 )と、ホウ素原料(B)から生成した
酸化ホウ素(B2 3 )とが反応しないので好ましくな
い。焼成温度が1400℃を越えると、アルミナ繊維
(A)またはアルミニウム原料(A' )から生成した酸
化アルミニウム中のα−アルミナ相以外の相がα−アル
ミナ相に相転移してしまい、ホウ素原料(B)から生成
した酸化ホウ素と反応し難くなるので好ましくない。
【0027】焼成時間は、3時間〜10時間であり、好
ましくは4時間〜7時間である。焼成時間が3時間未満
であると、アルミナ繊維(A)またはアルミニウム原料
(A' )から生成した酸化アルミニウムと、ホウ素原料
(B)から生成した酸化ホウ素とが反応するのに時間が
十分でないので好ましくない。焼成時間が7時間を越え
ると、既に終了した反応に対して無駄にエネルギーを消
費することになるので好ましくない。
【0028】成形体は、焼成すると多孔質無機材料にな
る。焼成中において、アルミナ繊維(A)またはアルミ
ニウム原料(A' )から生成した酸化アルミニウム(A
23 )と、ホウ素原料(B)から生成した酸化ホウ
素(B2 3 )が反応する。すなわち、焼成時におい
て、母繊維であるアルミナ繊維(A)が相互に結合して
なる3次元骨格構造体中のアルミナ(Al2 3 )と、
酸化ホウ素(B2 3 )とが反応して、該母繊維表面か
ら不定方向に林立する子繊維であるホウ酸アルミニウム
針状結晶物を生成する。また、アルミナ繊維(A)及び
ホウ素原料(B)に、さらにアルミニウム原料(A' )
が配合されている場合には、アルミニウム原料(A' )
から生成した酸化アルミニウム(Al2 3 )も、酸化
ホウ素(B 2 3 )と反応して、母繊維表面の子繊維の
生成に寄与する。また、子繊維であるホウ酸アルミニウ
ム針状結晶物は、成長する過程で子繊維結晶の成長点同
士が接触して結合したり、一方の子繊維が他方の子繊維
を貫通して成長することもある。このような子繊維同士
の結合や貫通は、他の結合剤によることなく子繊維の結
晶同士が共有化されて生じているため強い結合強度を発
現する。なお、子繊維同士の結合や貫通は同一の母繊維
から成長した子繊維同士に限られるものでない。このた
め、子繊維同士の結合あるいは貫通によって母繊維同士
も強固に結合する。
【0029】また、上記母繊維は、その原料はアルミナ
繊維(A)であるが、焼成時に母繊維を構成するアルミ
ナ自体も酸化ホウ素(B2 3 )と反応するので、母繊
維は酸化ホウ素(B2 3 )によりアルミナからホウ酸
アルミニウムに変成されている。従って、母繊維は実質
的にホウ酸アルミニウムであり、本発明の多孔質無機材
料は、全体がホウ酸アルミニウムの単一の成分からなっ
ているといえる。
【0030】得られた多孔質無機材料の構造のSEM写
真(倍率2000倍)の一例を図1に示す。図1におい
て、多孔質無機材料10は、母繊維1が相互に結合して
なる3次元骨格構造を形成し、母繊維1の表面には、該
表面から不定方向に林立する子繊維2が形成されてい
る。子繊維2であるホウ酸アルミニウム針状結晶物は、
X線回折法による結晶層のモル比Al2 3 :B2 3
が、9:2または2:1、好ましくは9:2の単一相で
ある。結晶層のモル比Al2 3 :B2 3 が9:2の
単一相であると、結晶物の強度が高くなるので好まし
い。一方、結晶層の組成比Al2 3 :B2 3 が上記
数値の比以外であると、結晶物が針状にならなかった
り、結晶中に不純物が多いために結晶の強度が小さくな
ったりするので好ましくない。図1に示されるように、
子繊維2の繊維径は母繊維1よりも細く、具体的には
0.05〜1μmの範囲である。また子繊維2の繊維長
は数μm程度である。子繊維2はホウ酸アルミニウムの
針状結晶物となっていて強度が大きいため、子繊維2の
強度は十分に確保されている。さらに、母繊維も子繊維
もその組成は共にホウ酸アルミニウムになっていて同質
物の結合になるので、結合強度が大きい。
【0031】また、バインダ(C)としてアルミナゾル
を使用すれば、このアルミナゾルは、成形時にバインダ
(C)として作用するとともに、焼成時にはアルミニウ
ム原料(A' )として作用し、生成したアルミナが酸化
ホウ素(B2 3 )と反応してホウ酸アルミニウム針状
結晶物を生成することにも寄与する。すなわち、バイン
ダ(C)としてアルミナ繊維(A)を結合して結合部分
に生成したアルミナも、酸化ホウ素(B2 3 )と反応
する。
【0032】本発明の多孔質無機材料は、密度が0.1
5〜1.5g/cm3 であり、空隙率がVf値(%)で5〜
50%(空隙率95〜50%)である。密度あるいは空
隙率は、原料の選択、配合量、成形方法等を適宜選択す
ることにより、任意に調節することができる。すなわ
ち、多孔質無機材料の密度を小さく、空隙率を大きくす
る(Vf値を小さくする)には、原料のアルミナ繊維
(A)として繊維長が長めのものを用いたり、原料のア
ルミナ繊維(A)の配合量を多くしたり、成形体の成形
を吸引脱水成形法で行う際にプレス圧力を小さくしたり
すればよい。多孔質無機材料の密度を大きく、空隙率を
小さくする(Vf値を大きくする)には、この逆の操作
を行えばよい。
【0033】例えば、アルミナ繊維(A)とホウ素原料
(B)とからなる混合物をスラリーとし、吸引脱水成形
法で成形し、これを焼成して得た多孔質無機材料では、
密度が0.15〜0.60g/cm3 であり、空隙率がVf
値(%)で5〜20%(空隙率95〜80%)のものを
得ることができる。また、アルミナ繊維(A)とアルミ
ニウム原料(A' )とホウ素原料(B)とからなる混練
された混合物を、押し出し成形法で成形し、これを焼成
して得た多孔質無機材料では、密度が0.60〜1.5
g/cm3 であり、空隙率がVf値(%)で20〜50%
(空隙率80〜50%)のものを得ることができる。
【0034】本発明の多孔質無機材料は、焼成前後での
多孔質無機材料の体積変化が小さく、10%以内であ
る。この焼成前後の体積変化は、成形体の成形方法によ
っても制御することができ、一般的に、吸引脱水成形法
で成形した場合は5%以内と非常に体積変化が小さくな
る。また、押し出し成形法で成形した場合は、体積変化
を5%以内にすることができる。
【0035】上記のように製造された多孔質無機材料
は、原料粉末を湿式で用いるため、その製造に当たって
原料粉末の飛散の防止策をとる必要がほとんどない。
【0036】本発明の多孔質無機材料は、そのままで、
あるいは必要に応じて切削加工等を施された後、プリフ
ォーム、フィルター等の幅広い用途に使用することがで
きる。
【0037】
【発明の効果】本発明の多孔質無機材料は、密度あるい
は空隙率の調節が簡単にでき、高強度で特有の3次元骨
格構造を有するためプリフォームやフィルター等の幅広
い用途に利用できる。また、その製造に当たって原料粉
末の飛散の防止策をとる必要がなく、設備投資の負担を
軽減することができる。
【0038】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、これは単に例示であって本発明を制限す
るものではない。
【0039】実施例1 (吸引脱水成形法による成形体を焼成した場合)α化率
30%、平均繊維径3μm、平均繊維長100μmのア
ルミナ繊維100重量部と、平均粒径0.8μmのBN
(窒化ホウ素)粉末20重量部と、主成分が無定形アル
ミナで、平均粒径0.015μmのアルミナゾルを固形
分で10重量部とを水中で混合、分散させてスラリーを
得た。次いで、このスラリーを吸引脱水成形法によって
成形し、得られた成形体を空気中で100℃、5時間の
条件で乾燥させた。次いで、乾燥させた成形体を空気中
で1300℃、5時間の条件で焼成を行った。得られた
多孔質無機材料は図1と同様の構造を有していた(図示
せず)。得られた多孔質無機材料の密度は0.3g/cm3
であり、Vf値(%)は10%であった。また、多孔質
無機材料の焼成前後における体積変化は±5%であっ
た。多孔質無機材料をX線回折法によって組成比Al2
3 :B2 3を測定したところ、Al2 3 :B2
3 が9:2のホウ酸アルミニウムの結晶層が主として観
察された。なお、アルミナ(Al2 3 )及び酸化ホウ
素(B23 )単独の結晶層は観察されなかった。
【0040】実施例2 (押し出し成形法による成形体を焼成した場合)α化率
30%、平均繊維径3μm、平均繊維長40〜100μ
mのアルミナ繊維30重量部と、平均粒径75μm以下
のホウ酸粉末40重量部と、平均粒径0.5μmの水酸
化アルミニウム粉末60重量部と、メチルセルロースを
固形分で3重量部とからなる混合物に、適量の水を加え
て混練して混練物を得た。次いで、この混練物を押し出
し成形法によって成形し、得られた成形体を空気中で1
00℃、5時間の条件で乾燥させた。次いで、乾燥させ
た成形体を空気中で1300℃、5時間の条件で焼成を
行った。得られた多孔質無機材料は図1と同様な構造を
有していた(図示せず)。得られた多孔質無機材料の密
度は0.9g/cm3 であり、Vf値(%)は30%であっ
た。また、多孔質無機材料の焼成前後における体積変化
は±10%であった。多孔質無機材料をX線回折法によ
って組成比Al2 3 :B2 3 を測定したところ、A
2 3 :B2 3 が9:2のホウ酸アルミニウムの結
晶層が主として観察された。なお、アルミナ(Al2
3 )及び酸化ホウ素(B2 3 )単独の結晶層は観察さ
れなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における多孔質無機材料の
電子顕微鏡写真(倍率2000倍)の一例である。
【符号の説明】
1 母繊維 2 子繊維(ホウ酸アルミニウム針状結晶物) 10 3次元骨格構造体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩田 耕治 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 (72)発明者 金田 和巳 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 (72)発明者 小林 強 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 Fターム(参考) 4G019 EA03 EA07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面から不定方向に林立する子繊維を有
    する母繊維が相互に結合してなる3次元骨格構造であっ
    て、該子繊維はホウ酸アルミニウム針状結晶物であるこ
    とを特徴とする多孔質無機材料。
  2. 【請求項2】 前記母繊維は実質的にホウ酸アルミニウ
    ムからなるものであることを特徴とする請求項1記載の
    多孔質無機材料。
  3. 【請求項3】 前記子繊維は相互に少なくとも1か所で
    結合していることを特徴とする請求項1又は2記載の多
    孔質無機材料。
  4. 【請求項4】 前記子繊維の結合は、結合剤によること
    なく子繊維の針状結晶構成成分を共有することによるも
    のであることを特徴とする請求項3記載の多孔質無機材
    料。
  5. 【請求項5】 α化率が40%以下のアルミナからなる
    アルミナ繊維(A)と、焼成されて酸化ホウ素を生成す
    るホウ素原料(B)を含む混合物を成形し、次いで焼成
    することを特徴とする多孔質無機材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 α化率が40%以下のアルミナからなる
    アルミナ繊維(A)と、焼成されて酸化アルミニウムを
    生成するアルミニウム原料(A' )と、焼成されて酸化
    ホウ素を生成するホウ素原料(B)とを含む混合物を成
    形し、次いで焼成することを特徴とする多孔質無機材料
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 混合物がさらにバインダ(C)を含むも
    のであることを特徴とする請求項5又は6記載の多孔質
    無機材料の製造方法。
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JP2009515808A (ja) * 2005-11-16 2009-04-16 ジーイーオー2 テクノロジーズ,インク. 多孔質担体を押出すためのシステム

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