JP2000225649A - 潤滑剤入りゴムの成形方法及びオイルシール - Google Patents

潤滑剤入りゴムの成形方法及びオイルシール

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JP2000225649A
JP2000225649A JP11028532A JP2853299A JP2000225649A JP 2000225649 A JP2000225649 A JP 2000225649A JP 11028532 A JP11028532 A JP 11028532A JP 2853299 A JP2853299 A JP 2853299A JP 2000225649 A JP2000225649 A JP 2000225649A
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JP
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molding
rubber
powder material
lubricating powder
burr
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English (en)
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Mitsuhiro Kashima
光博 加島
Yukio Hayashi
由紀男 林
Tomoki Ando
智樹 安藤
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KYB Corp
Original Assignee
Kayaba Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動部の潤滑性能を向上させながらも
成形されたゴム全体の強度低下を抑制すると同時に、バ
リ取りなどの成形後の加工性を向上させ、かつ、粉末材
の混入量を低減して製造コストを抑制する。 【解決手段】 潤滑性粉末材を混入したゴムによりオイ
ルシール1を加圧成形する潤滑剤入りゴムの成形方法に
おいて、オイルシール1のオイルリップ2及びダストリ
ップ3を構成する摺接部2a、3a近傍には成形時にバ
リ4、5を形成し、成形後にはこのバリ4、5を切除す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑性の粉末材料
を混入する樹脂の成形方法に関し、特に、油圧緩衝器や
油圧シリンダなどのオイルシールに採用される潤滑剤入
りゴムの成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】油圧機器などに採用されるオイルシール
には、耐油性、耐熱性、耐摩耗性、機械的強度及びシー
ル性が要求されるため、従来からアクリロニトリル−ブ
タジエンゴム(以下、NBR)やシリコンゴム、フッ素
ゴム等が多用されている。
【0003】しかし、これらのゴム材料は摩擦係数が高
く、摺動抵抗が大きいという問題があるため、特開平6
−234883号公報や特開平7−188485号公報
に開示されるように、ゴム基材にカーボンブラックの微
粒子(10〜500nm)を混入して耐摩耗性を高める
のに加えて、球状カーボンやPTFE(ポリ−テトラ−
フルオロ−エチレン)粉末等の潤滑剤を混合し、潤滑性
の向上によって摩擦抵抗の低減を図るものが知られてい
る。
【0004】上記前者の特開平6−234883号公報
では、1〜200μmの大径の粒状粉末材をゴム基材へ
混入して、ゴムの潤滑性能を向上させながら耐摩耗性の
向上を図るものである。
【0005】また、上記後者の特開平7−188485
号公報は、ゴム基材に球状黒鉛とカーボン材が突き刺さ
ったテトラフルオロエチレン樹脂粉末を混入して、機械
的強度とゴム弾性を確保しながら潤滑性を向上させて摩
擦抵抗の低減を図ろうとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、ゴム基材へ混入した粒状粉末材は、ほぼ均質
に混合された後に加圧成形などによって所定の形状にし
ているが、成形されたゴムのうち、混入した粒状粉末材
による潤滑性が必要なのは摺動部だけであるのに、粒状
粉末材は成形されたゴム全体に拡散してしまうため、潤
滑性能に応じた粒状粉末材の混入量が増大して製造コス
トの上昇を招くのに加え、特に、上記前者の従来例など
では、異種材料の混入量が増大することによって、ゴム
全体の機械的強度(引っ張り強度など)やゴム弾性が低
下して、耐久性の低下を招くという問題がある。
【0007】また、上記前者の従来例等のように大径の
粒状粉末材を用いる場合では、成形面の組織が粗大化す
るためガスの透過性が大きくなって、シール性が低下す
るという問題があった。
【0008】さらに、上記後者の従来例では、機械的強
度やゴム弾性が大きくなるため、成形後にバリ取り等の
加工を行うのが難しいという問題があった。
【0009】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、摺動部の潤滑性能を向上させながらも成形
されたゴム全体の強度低下を抑制すると同時に、バリ取
りなどの成形後の加工性を向上させ、かつ、粉末材の混
入量を低減して製造コストを抑制することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、潤滑性粉
末材を混入したゴムにより摺接部を備えた部材を加圧成
形する潤滑剤入りゴムの成形方法において、前記摺接部
の近傍には成形時にバリを形成し、成形後にはこのバリ
を切除する。
【0011】また、第2の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記潤滑性粉末材は、大径の粒状材料で構成され
て、前記バリは潤滑性粉末材の最大粒径の5〜15倍の
厚みを備える。
【0012】また、第3の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記バリの基端側には、段部を設けて先端側の肉
厚を低減する。
【0013】また、第4の発明は、前記第3の発明にお
いて、前記段部よりも摺接部側のバリには、潤滑性粉末
材の最大粒径の10〜50倍の厚みを設ける。
【0014】また、第5の発明は、前記第2ないし第4
の発明のいずれかひとつにおいて、前記潤滑性粉末材
は、1〜100μmの粒状材料である。
【0015】また、第6の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記バリは、加圧成形時の材料逃がし部である。
【0016】また、第7の発明は、潤滑性粉末材を混入
したゴムによりオイルシールを加圧成形する潤滑剤入り
ゴムの成形方法において、前記オイルシールのリップを
構成する摺接部近傍には成形時にバリを形成し、成形後
にはこのバリを切除する。
【0017】また、第8の発明は、前記第7の発明にお
いて、前記摺接部は、前記バリを切除した切断面を含
む。
【0018】また、第9の発明は、潤滑性粉末材を混入
したゴムを加圧成形したオイルシールにおいて、前記オ
イルシールのリップを構成する摺接部近傍における潤滑
性粉末材の密度を、リップ基端側よりも大きくする。
【0019】
【発明の効果】したがって、第1の発明は、潤滑性粉末
材を混入したゴムにより摺接部を備えた部材を加圧成形
する際に、混入された潤滑性粉末材が型に設けたバリ成
形部へ流入するときに相互に扱かれて、バリの近傍に潤
滑性粉末材が集積する。
【0020】そして、摺接部近傍のバリを成形後に切除
することで、摺接部近傍に集積された潤滑性粉末材が切
断面に露出するため、摺接部近傍の潤滑性能が大幅に向
上し、軸などの他の部材との間で相対的に摺動する摺接
部の摩擦抵抗を大幅に低減でき、ゴムへ混入された潤滑
性粉末材は、バリ近傍へ集中するため、摺接部近傍から
離れた部位ではゴムの強度やゴム弾性が混入した潤滑性
粉末材によって損なわれることがないため、成形された
ゴムの強度とシール性の向上と、摺接部近傍の潤滑性能
の向上を両立することができる。
【0021】また、摺接部近傍よりも基端側では、潤滑
性粉末材の密度が低下するため、混入する潤滑性粉末材
の総量を低減することで、製造コストの低減を図ること
が可能となる。
【0022】また、第2の発明は、潤滑性粉末材を大径
の粒状材料とし、バリの厚みを潤滑性粉末材の最大粒径
の5〜15倍とすることで、混入された潤滑性粉末材が
型に設けたバリ成形部へ流入するときに相互に扱かれ
て、バリの近傍に効率よく潤滑性粉末材を集積すること
ができる。
【0023】また、第3の発明は、バリの基端側には、
段部を設けて先端側の肉厚を低減することにより、混入
された潤滑性粉末材は型に設けたバリ成形部へ流入する
ときに相互に扱かれて、さらに、段部でも扱かれること
になり、先端までの間に2回扱かれることで、バリの近
傍へ積極的に潤滑性粉末材を集積することができる。
【0024】また、第4の発明は、段部よりも摺接部側
のバリの厚みを、潤滑性粉末材の最大粒径の10〜50
倍とすることで、2段階の扱きによるバリ近傍への潤滑
性粉末材の集積をさらに確実に行うことができる。
【0025】また、第5の発明は、潤滑性粉末材の径を
1〜100μmとすることで、切断面や摺接部に露出し
た潤滑性粉末材がゴム基材に埋没することなく荷重を支
持して潤滑性能を向上させるとともに、バリ成形時には
相互に扱かれて摺接部近傍へ効率よく潤滑性粉末材を集
積することができる。
【0026】また、第6の発明は、バリを加圧成形時の
材料逃がし部とすることで、型の加工を簡易にすること
ができる。
【0027】また、第7の発明は、オイルシールのリッ
プを構成する摺接部近傍には成形時にバリを形成するこ
とで、潤滑性粉末材をバリの近傍に集積させ、成形後に
はこのバリを切除することにより、リップの摺接部近傍
へ潤滑性粉末材を集中させてオイルシールの潤滑性能を
大幅に向上させることが可能となり、また、ゴムへ混入
された潤滑性粉末材は、バリ近傍へ集中するため、摺接
部近傍から離れた部位ではゴムの強度やゴム弾性が混入
した潤滑性粉末材によって損なわれることがないため、
成形されたオイルシールの機械的強度及びシール性の向
上と、摺接部近傍の潤滑性能の向上を両立することがで
きる。
【0028】また、第8の発明は、リップの摺接部は、
バリを切除した切断面を含むことで、表面に露出した潤
滑性粉末材によって潤滑性能をさらに向上させることが
できる。
【0029】また、第9の発明は、オイルシールのリッ
プを構成する摺接部近傍に潤滑性粉末材を集積させるこ
とで、オイルシールの潤滑性能を大幅に向上させること
が可能となり、また、混入された潤滑性粉末材は、摺接
部近傍から離れたリップ基端側ではゴムの強度やゴム弾
性が混入した潤滑性粉末材によって損なわれることがな
いため、オイルシールの機械的強度及びシール性の向上
と、摺接部近傍の潤滑性能の向上を両立することができ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面に基づいて説明する。
【0031】図1〜図10は、本発明を油圧シリンダな
どに採用される環状のオイルシールに適用した一例を示
す。
【0032】図1は、加圧加熱成形(加硫)で使用され
る金型の断面図を示し、金型の内周に画成されたキャビ
ティ10へ、潤滑性の粉末材を混入したゴム素形を投入
することによって、図2に示すように、ベース部1aか
ら内周に向けてオイルリップ2とダストリップ3を突出
した環状のオイルシール1を成形するもので、オイルリ
ップ2とダストリップ3の端部からはそれぞれバリ4、
5が設けられる。
【0033】これら、バリ4、5は、図3に示すよう
に、潤滑性粉末材をオイルリップ2とダストリップ3の
摺接部2a、3aへ集中させるために、所定の形状で形
成されたもので、これらのバリ4、5は成形後、所定の
切断面4a、5a(図1、図2参照)に沿って切断され
て、オイルシール1として完成する。
【0034】このオイルシール1を成形する金型は、オ
イルシール1の内周側を成形する軸型13と、同じく外
周を成形する中型14の上下に、上型11、12と下型
15、16を当接させて、キャビティ10を形成する。
【0035】なお、上型11、12は、別体で形成した
後に上型11へ上型12を圧入して一体にしたもので、
同様に下型15、16も、下型16へ下型15を圧入し
て一体にしたものである。
【0036】キャビティ10のうち、軸型13に面した
上方には、図2に示したオイルリップ2を成形するキャ
ビティ10aが、上型1、12との間に画成され、ま
た、軸型13に面した下方には、図2に示したダストリ
ップ3を成形するキャビティ10bが下型15、16と
の間に画成される。
【0037】そして、オイルリップ2を成形するキャビ
ティ10aの上部には、オイルリップ2の内周の延長線
(図1に示す角度θの線上)に沿って加圧時にバリ4を
成形する逃がしキャビティ18が画成される。
【0038】この逃がしキャビティ18は、キャビティ
10aから逃がしキャビティ18の先端に向かうにした
がって、肉厚が減少するように設定されており、例え
ば、キャビティ10a側の逃がしキャビティ18は、肉
厚Yの厚肉部18bが形成され、この厚肉部18bの端
部から先端までの所定の長さLの区間では、段部20を
介して肉厚Xの薄肉部18aで構成される。なお、肉厚
はX<Yの関係に設定され、また、薄肉部18aの長さ
Lは、後述するように、要求される潤滑性粉末材の密度
に応じて適宜設定されるものである。
【0039】一方、ダストリップ3を成形するキャビテ
ィ10bの下部には、ダストリップ3の端部内周から図
1の下方に向けて、軸線とほぼ平行なバリ5を成形する
逃がしキャビティ19が画成される。
【0040】この逃がしキャビティ19は、所定の肉厚
Zで所定の長さMで形成され、この長さMは、後述する
ように、要求される潤滑性粉末材の密度または密度に応
じて適宜設定されるものである。
【0041】オイルシール1を形成するゴムとしては、
例えば、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)
に耐摩耗性を向上させるカーボンブラック微粒子(10
〜500nm)を配合したものをゴム基材とし、このゴ
ム基材にカーボンブラックよりも径の大きい潤滑性の粉
末材(個体潤滑剤)を予め混入したもので、潤滑性粉末
材としては、例えば、所定の大きさの球状カーボン及び
PTFE(ポリ−テトラ−フルオロ−エチレン)粉末を
用いた一例について説明する。なお、ゴム基材には公知
の加硫剤、可塑剤等も含まれるが、これらについては詳
述しない。
【0042】ここで、球状カーボン及びPTFE粉末は
大径の粒状粉末を用い、これらの外径は、1〜100μ
mの間の任意の値に設定される。
【0043】そして、バリ4を成形する逃がしキャビテ
ィ18の肉厚は、厚肉部18bの肉厚Yが、潤滑性粉末
材の最大粒径の10〜50倍の厚みに設定される一方、
先端部側の薄肉部18aの肉厚Xは、潤滑性粉末材の最
大粒径の5〜15倍の厚みに設定される。
【0044】さらに、バリ5を成形する逃がしキャビテ
ィ19の肉厚Zは、潤滑性粉末材の最大粒径の5〜15
倍の厚みに設定される。
【0045】したがって、潤滑性粉末材の最大粒径を1
00μmとした場合、逃がしキャビティ18は、肉厚Y
=1〜5mmの厚肉部18bと、肉厚X=0.5〜1.5
mmの薄肉部18aから構成され、また図1の下部の逃が
しキャビティ19は、肉厚Z=0.5〜1.5mmで構成
される。
【0046】したがって、成形されたオイルシール1に
は図2に示すように、オイルリップ2の切断面4aより
も上方にはバリ4が形成され、このバリ4は、基端側に
肉厚Yの厚肉部41を形成し、厚肉部41の端部から先
端の間では肉厚Xの薄肉部40が形成される。
【0047】また、図中下方のダストリップ3の切断面
5aよりも下方には、軸線とほぼ平行に肉厚Zのバリ5
が形成される。
【0048】そして、これらバリ4、5を所定の切断面
4a、5aから切断することで、図3に示すように、オ
イルシール1が形成され、オイルリップ2の摺接部2a
は、切断面4aとオイルリップ2の内周が交差する位置
に形成され、ダストリップ3の摺接部3aは、図中下端
側で内周へ突出した位置に形成される。
【0049】次に、成形中のキャビティ10内に生じる
大径の粒状粉末材とゴム基材の流れについて、図4〜図
10を参照しながら以下に詳述する。
【0050】いま、図4に示すように、PTFE粉末と
球状カーボンは成形前に予め混練されて、ゴム基材30
内にほぼ均一に分布している。
【0051】そして、キャビティ10内へ圧入が開始さ
れると、図5に示すように、オイルリップ2を成形する
キャビティ10aからバリ4を成形するキャビティ18
へゴム基材30が流入する。
【0052】このとき、キャビティ10aから逃がしキ
ャビティ18へゴム基材30が流入する際には、逃がし
キャビティ18の開口部で絞られるため、大径の粒状粉
末材が相互に扱かれ、さらに、逃がしキャビティ18内
では、段部20近傍でさらに絞られるため、大径の粒状
粉末材はさらに扱かれることになる。
【0053】したがって、逃がしキャビティ18の開口
部に沿って設定された切断面4a上には、相互に扱かれ
た大径の粒状粉末材が集積することになり、成形後の2
次加工において、切断面4aでバリ4を切断することに
より、切断面4aとオイルリップ2内周の交点に設けた
摺接部2aには、球状カーボンとPTFE粉末が集積す
るとともに、切断面にこれら大径の粒状粉末材が確実に
露出することになる。
【0054】一方、キャビティ10aの内部では、キャ
ビティ18から離れるにつれて、大径の粒状粉末材、す
なわち、混入した添加剤の密度が低下して、添加した粒
状粉末材の影響が抑制されて、ゴム基材30の特性を発
揮することができる。
【0055】同様に、キャビティ10の下方に設けた逃
がしキャビティ19においても、上記逃がしキャビティ
18と同様に大径の粒状粉末材の集積が起こり、逃がし
キャビティ19の開口部近傍に沿って設定された切断面
5a上には、相互に扱かれた大径の粒状粉末材が集積す
ることになり、成形後の2次加工において、切断面5a
でバリ5を切断することにより、切断面5aとダストリ
ップ3内周に設けた摺接部3aには、球状カーボンとP
TFE粉末が集積するとともに、切断面5aにこれら大
径の粒状粉末材が確実に露出することになる。
【0056】こうして、成形されたオイルシール1は、
図2の濃淡で示すように、摺接部2a、3a近傍に設け
たバリ4、5の段部20に向かうほど図中黒に近づい
て、大径の粒状粉末材の密度が高くなる一方、バリ4、
5から離れるにつれて図中白色に近づいて、大径の粒状
粉末材の密度が低下し、大径粒状粉末材の密度は、摺接
部2a、3a近傍で高くなる一方、ベース部1a側ほど
大径粒状粉末材の密度が低下する。また、バリ4、5の
先端部は粒状粉末材が到達しにくいため、図中灰色に近
づく。
【0057】すなわち、本願出願人の実験によれば、大
径の粒状粉末材の分布は図6から図9に示すようにな
り、図6に示すベース部1a側の成形面や、図7に示す
オイルシール1の中央部断面(図3のA−A断面)で
は、球状カーボンとPTFE粉末の密度が極めて低いの
に対し、図8に示すように、バリ4を削除した切断面4
aや、図9に示す摺接部2aでは、球状カーボンとPT
FE粉末の密度が極めて高くなることが分かった。
【0058】そして、2次加工において、切断面4a、
5aでバリ4、5を切断することにより、大径の粒状粉
末材が集積したオイルリップ2の摺接部2aでは、図3
の濃淡で示すように、図中灰色になって球状カーボンと
PTFE粉末が集積し、かつこれら潤滑性粉末材が露出
した切断面4aで軸と摺接するため、オイルリップ2の
摺動抵抗を大幅に低減することができ、同様に、図3の
濃淡で示すように、図中灰色で表されて、球状カーボン
とPTFE粉末が集積したダストリップ3の摺接部3a
で軸と摺接することで、ダストリップ3の摺動抵抗を大
幅に低減することができるのである。なお、潤滑性粉末
材の径を1〜100μmとすることで、切断面や摺接部
2a、3aに露出した潤滑性粉末材がゴム基材に埋没す
ることなく荷重を支持することができるのである。
【0059】また、球状カーボンとPTFE粉末が集積
した切断面4a、5aでは、ゴム基材の密度が低く組織
が粗大化しており、各リップの基端側、すなわち、ベー
ス部1a側に比して脆性が高いため、2次加工の際の切
断を容易に行うことが可能となって、生産性を確保する
ことができるのである。
【0060】一方、オイルシール1の中央部では、球状
カーボンとPTFE粉末の密度が極めて低いため、球状
カーボンやPTFE粉末の影響による組織の粗大化を抑
制でき、ゴム基材の強度やゴム弾性を確保するととも
に、ガスの透過性を低減でき、シール性と耐久性に優れ
た製品を提供することができるのである。
【0061】さらに、ゴム基材へ添加する潤滑性粉末材
の密度は、逃がしキャビティ18、19によって潤滑性
粉末材の集積が行われるため、前記従来例に比して低く
設定することが可能となり、潤滑性粉末材の投入量を削
減することにより、製造コストを抑制しながらも潤滑性
を向上でき、製造コストの削減と潤滑性能の向上を両立
させることが可能となるのである。
【0062】こうして、図10に示すように、切断面4
a、5aでバリ4、5を切断したオイルシール1をシリ
ンダ51へ装着して軸50を支持することにより、多量
の潤滑性粉末材を集積したオイルリップ2の摺接部2a
と、ダストリップ3の摺接部3aで軸50と摺接するこ
とで摩擦抵抗を大幅に削減しながらも、ベース部1a側
は潤滑性粉末材の密度が極めて低いため、ゴム基材の特
性が劣化することがなく、十分な機械的強度とゴム弾性
を確保してシール性及び耐久性の向上を図ることがで
き、添加する潤滑性粉末材の投入量を抑制することがで
きるため、摩擦抵抗が極めて低いオイルシール1を安価
に提供することが可能となるのである。
【0063】また、バリ4、5を成形する逃がしキャビ
ティ18、19は、加圧成形時の材料逃がし部となるた
め、金型の加工を簡易にすることができる。
【0064】図11は第2の実施形態を示し、前記第1
実施形態の逃がしキャビティ18、19の位置を変更し
たもので、その他の構成は前記第1実施形態と同様であ
る。
【0065】オイルリップ2の摺接部2aは、前記第1
実施形態と同じく、オイルリップ2の内周と切断面4a
の交点上に形成され、この切断面4aと対向する位置に
逃がしキャビティ118を開口形成し、逃がしキャビテ
ィ118の端部から軸中心へ向けて半径方向へ逃がしキ
ャビティ119を延設するのに加え、切断面4aに沿っ
た段部20を形成したものである。
【0066】そして、逃がしキャビティ118の開口部
の肉厚をY、逃がしキャビティ118の途中以降の肉厚
をXとして、「く」の字状のバリ4を成形した後、切断
するようにしたものである。
【0067】この場合でも、キャビティ10から逃がし
キャビティ118へゴム基材30が流入する際には、逃
がしキャビティ18の開口部の段部20で絞られるた
め、大径の粒状粉末材が相互に扱かれ、さらに、逃がし
キャビティ118内では、逃がしキャビティ119にか
けてさらに絞られるため、大径の粒状粉末材はさらに扱
かれることになる。
【0068】したがって、逃がしキャビティ118の開
口部と対向する位置に設定された切断面4a上には、相
互に扱かれた大径の粒状粉末材が集積することになり、
成形後の2次加工において、切断面4aで逃がしキャビ
ティ118、119により成形されたバリ4を切断する
ことにより、切断面4aとオイルリップ2内周の交点に
設けた摺接部2aには、球状カーボンとPTFE粉末が
集積するとともに、切断面にこれら大径の粒状粉末材が
確実に露出することになって、前記第1実施形態と同様
の効果を得ることが可能となる。
【0069】そして、逃がしキャビティ119を半径方
向へ延設したため、バリ4の軸方向長さを抑制して、金
型が大型化するのを抑制することが可能となる。
【0070】なお、上記実施形態において、ゴム基材と
してNBRを用いた一例を示したが、これに限定される
ことはなく、シリコンゴムやフッ素ゴム等の任意のゴム
材料を用いることができ、また、潤滑性の粉末材として
球状カーボンとPTFE粉末を用いた一例を示したが、
セラミックやその他の無機質粉末、合成樹脂、金属粉末
などを用いることができ、これら潤滑性粉末材のうち、
少なくとも一種類をゴム基材に投入すればよい。
【0071】また、上記実施形態では、環状のオイルシ
ールを成形する一例について述べたが、潤滑性が要求さ
れる摺接部を備えたゴム製品であれば広く採用すること
ができ、ワイパーブレードなどの板状部材にも適用する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、潤滑剤入りゴムの
金型の概略断面図。
【図2】成形後のオイルシールの断面図である。
【図3】2次加工後のオイルシールの断面図である。
【図4】混練後のゴムの断面図である。
【図5】逃がしキャビティ近傍における成形中の組織の
流れを示す断面図である。
【図6】成形面の拡大図を示し、図3のA矢示図で組織
の拡大図である。
【図7】オイルシールの中央部の断面を示し、図3のB
−B矢示断面図で組織の拡大図である。
【図8】切断面を示し、図3のC矢示図で組織の拡大図
である。
【図9】オイルリップを示し、図3のD矢示図で組織の
拡大図である。
【図10】オイルシールを油圧シリンダへ装着した断面
図を示す。
【図11】第2の実施形態を示し、潤滑剤入りゴムの金
型の概略断面図。
【符号の説明】
1 オイルシール 1a ベース部 2 オイルリップ 3 ダストリップ 2a、3a 摺接部 4、5 バリ 4a、5a 切断面 10 キャビティ 11、12 上型 13 軸型 14 中型 15、16 下型 18、19 逃がしキャビティ 20 段部 32 球状カーボン 40 薄肉部 41 厚肉部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 31:26 (72)発明者 安藤 智樹 東京都港区浜松町二丁目4番1号 世界貿 易センタービル カヤバ工業株式会社内 Fターム(参考) 3J006 AE01 AF01 CA01 4F201 AA45 AB07 AB18 AE09 AG21 AH13 BA08 BC01 BC12 BC17 BD02 BS04 4F205 AA45 AB07 AB18 AE09 AG21 AH13 HA08 HA25 HA32 HA39 HA42 HB01 HB11 HF02 HG03 HK03 HK04 HK05 HW22 4J002 AA002 AC001 AC071 BD121 BD152 CP031 DA016 DA066 FA082 FA086 FD172 FD176 GJ02 GN00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑性粉末材を混入したゴムにより摺接
    部を備えた部材を加圧成形する潤滑剤入りゴムの成形方
    法において、 前記摺接部の近傍には成形時にバリを形成し、成形後に
    はこのバリを切除することを特徴とする潤滑剤入りゴム
    の成形方法。
  2. 【請求項2】 前記潤滑性粉末材は、大径の粒状材料で
    構成されて、前記バリは潤滑性粉末材の最大粒径の5〜
    15倍の厚みを備えたことを特徴とする潤滑剤入りゴム
    の成形方法。
  3. 【請求項3】 前記バリの基端側には、段部を設けて先
    端側の肉厚を低減したことを特徴とする請求項2に記載
    の潤滑剤入りゴムの成形方法。
  4. 【請求項4】 前記段部よりも摺接部側のバリには、潤
    滑性粉末材の最大粒径の10〜50倍の厚みを設けたこ
    とを特徴とする請求項3に記載の潤滑剤入りゴムの成形
    方法。
  5. 【請求項5】 前記潤滑性粉末材は、1〜100μmの
    粒状材料であることを特徴とする請求項2ないし請求項
    4のいずれかひとつに記載の潤滑剤入りゴムの成形方
    法。
  6. 【請求項6】 前記バリは、加圧成形時の材料逃がし部
    であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤入りゴ
    ムの成形方法。
  7. 【請求項7】 潤滑性粉末材を混入したゴムによりオイ
    ルシールを加圧成形する潤滑剤入りゴムの成形方法にお
    いて、 前記オイルシールのリップを構成する摺接部近傍には成
    形時にバリを形成し、成形後にはこのバリを切除するこ
    とを特徴とする潤滑剤入りゴムの成形方法。
  8. 【請求項8】 前記摺接部は、前記バリを切除した切断
    面を含むことを特徴とする請求項7に記載の潤滑剤入り
    ゴムの成形方法。
  9. 【請求項9】 潤滑性粉末材を混入したゴムを加圧成形
    したオイルシールにおいて、 前記オイルシールのリップを構成する摺接部近傍におけ
    る潤滑性粉末材の密度を、リップ基端側よりも大きくし
    たことを特徴とするオイルシール。
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