JP5278215B2 - 転がり軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内側軌道部材、外側軌道部材および転動体を備え、外側軌道部材の外周面にベルトが巻回されるようになっている転がり軸受装置に関する。
従来、転がり軸受装置としては、特開2006−83926号公報(特許文献1)に記載されているものがある。
この転がり軸受装置は、マグネシウム合金製のプーリと、鋼製の玉軸受とを備え、上記プーリの内周面は、上記玉軸受の外輪の外周面に外嵌されて固定されている。また、上記プーリの外周面には、ベルトが巻回されるようになっている。この転がり軸受装置は、質量が小さいマグネシウム合金製のプーリを用い、軽量化を実践し、この転がり軸受装置を有する車両等の燃費の向上、取り扱い性の向上等を、実現するようにしている。
この転がり軸受装置は、上記外輪の外周面に、環状溝を形成すると共に、上記プーリに、プーリの内周面から径方向の内方に突出する環状の突出部を形成し、上記外輪の上記環状溝に、上記プーリの上記突出部を嵌合している。このようにして、外輪に対するプーリの相対回転を防止している。
上記従来の転がり軸受装置では、外輪の外周面に、外輪に対するプーリの相対回転を防止するための環状溝を形成することに起因して、外輪の軌道溝の精度が悪くなることがある。
一方、上記外輪の軌道溝の精度の悪化を回避するために、マグネシウム合金製のプーリの円筒内周面を、転がり軸受の外輪の円筒外周面に締まり嵌めにより外嵌して固定すると、マグネシウム合金と、鋼との線膨張係数の違いに起因して、高温において、プーリと、外輪との締め代が小さくなって、プーリが外輪に対してクリープすることがある。そして、このクリープにより転がり軸受装置の寿命が短くなることがある。
特開2006−83926号公報
そこで、本発明の課題は、外側軌道部材において、軌道面側の部分に対する外周面側の部分のクリープを防止できると共に、外側軌道部材の軌道面の精度の悪化が起こることがない軽量の転がり軸受装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の転がり軸受装置は、
外周に軌道面を有する内側軌道部材と、
内周に軌道面を有する環状の外側軌道部材と、
上記内側軌道部材の上記軌道面と、上記外側軌道部材の上記軌道面との間に配置された転動体と
を備え、
上記外側軌道部材は、アルミニウムと、鉄とを含む金属材料からなっており、
上記外側軌道部材の外周面に、ベルトが巻回されるようになっており、
上記外側軌道部材の径方向の内方の端部から径方向の一定の範囲は、上記外側軌道部材の径方向の外方に行くにしたがって、アルミニウムの重量と鉄の重量との和に対する鉄の重量の組成比が減少することを特徴としている。
上記外側軌道部材は、別体の複数の部材からなっても、一体であっても、どちらでも良い。例えば、上記外側軌道部材は、転がり軸受の外輪と、その外輪に外嵌されたプーリとからなっても良い。また、外側軌道部材は、転がり軸受の外輪と、プーリとを一体成形した構造であっても良い。
また、上記「上記外側軌道部材の径方向の内方の端部から径方向の一定の範囲は、上記外側軌道部材の径方向の外方に行くにしたがって、アルミニウムの重量と鉄の重量との和に対する鉄の重量の組成比が減少する」という文言は、上記外側軌道部材の上記一定の範囲の一部において、径方向の外方に行くにしたがって、アルミニウムの重量と鉄の重量との和に対する鉄の重量の組成比が、変化しない一方、上記外側軌道部材の上記一定の範囲の全体においては、アルミニウムの重量と鉄の重量との和に対する鉄の重量の組成比が減少している場合も、含むものとする。
また、この明細書では、上記アルミニウムの重量と鉄の重量との和に対する鉄の重量の組成比(以下、鉄重量組成比という)を、鉄の質量[g]/(アルミニウムの質量[g]+鉄の質量[g])で定義することにする。
また、この明細書では、アルミニウムの重量と鉄の重量との和に対するアルミニウムの重量の組成比(以下、アルミニウム重量組成比という)を、アルミニウムの質量[g]/(アルミニウムの質量[g]+鉄の質量[g])で定義することにする。
したがって、上記文言には、例えば、外側軌道部材を、外輪と、その外輪に外嵌されたプーリとで構成した場合、外輪全域において、アルミニウムが存在していなくて、プーリにおいて、径方向の外方に行くにしたがって、鉄重量組成比が、減少する場合等も、含まれる。
というのも、外輪全域において、径方向の外方に行くにしたがって、鉄重量組成比が1で一定である一方、プーリにおいて、鉄重量組成比が、径方向の外方に行くにしたがって1から減少するからである。
本発明によれば、上記外側軌道部材の径方向の内方の端部から径方向の一定の範囲は、上記外側軌道部材の径方向の外方に行くにしたがって、鉄重量組成比が減少するから、外側軌道部材の径方向の内方の軌道面側の端部の鉄の含有率が高くなる。したがって、硬度が必要で、鉄の含有率が高いことが好ましい軌道面での鉄の含有率を高くすることができる。尚、軌道面の表層部においては、アルミの含有率が零(0)であると、好ましい。
また、本発明によれば、上記外側軌道部材の上記一定の範囲において、径方向の外方に行くにしたがって、鉄重量組成比が小さくなるから、鉄製の外側軌道部材と比較して、軽量化を実現することができる。
また、本発明によれば、外側軌道部材を、鋼製の外輪と、その外輪に外嵌されたプーリとで構成した場合、プーリにおいて、径方向の外輪側に行くにしたがって、鉄重量組成比が増加するように、鉄重量組成比を傾斜することにより、プーリの径方向の内方側の部分と、鋼製の外輪との線膨張係数の差が小さくなる。したがって、この場合において、高温において、プーリと、外輪との締め代が小さくなることを抑制できて、プーリが外輪に対してクリープすることを抑制できる。
また、本発明によれば、クリープが起こりにくい構成であるから、外側軌道部材にクリープ防止のための機械的手段を形成する必要がない。したがって、上記機械的手段の形成に伴う外側軌道部材の軌道面の精度の悪化が起こることがない。
また、一実施形態では、
上記外側軌道部材の少なくとも一部は、鉄粉と、アルミニウム粉とを含む粉末を用いた粉末冶金法で製造されている。
本発明者は、数多の試験を行って、鉄重量組成比が0である領域と鉄重量組成比が1である領域との界面が存在するような方法で、粉末冶金法で、鉄とアルミニウムを接合しようとした場合、鉄とアルミニウムの接合がうまくいかないことを発見した。
一方、本発明者は、一方向に行くにしたがって、鉄重量組成比が徐々に増大するように、鉄粉とアルミニウムとの境界がないようにして、粉末冶金法で、鉄とアルミニウムを接合しようとした場合、鉄とアルミニウムの接合がうまくいくことを確認した。
上記実施形態によれば、上記外側軌道部材の少なくとも一部を、粉末冶金法で製造しているから、外側軌道部材の少なくとも一部において、鉄重量組成比の径方向における変動の分布を、所望の変動の分布と近い分布にすることができる。
また、上記実施形態によれば、上記外側軌道部材の径方向の内方の端部から径方向の一定の範囲では、外側軌道部材の径方向の外方に行くにしたがって、鉄重量組成比が、徐々に小さくなっているから、アルミニウムと、鉄とを、良好に接合することができる。したがって、アルミニウムの含有による軽量化と、径方向の内方の端部の鉄の含有が大きいことによる軌道面の硬度の確保の両方を実現することができる。
また、上記実施形態によれば、上記外側軌道部材の少なくとも一部を、粉末冶金法で製造しているから、外側軌道部材を簡単、安価で製造できる。
また、一実施形態では、
上記鉄粉の鉄粒子の平均粒径は、上記アルミニウム粉のアルミニウム粒子の平均粒径と異なっている。
上記実施形態によれば、鉄粉の鉄粒子の平均粒径が、アルミニウム粉のアルミニウム粒子の平均粒径と異なっているから、平均粒径が大きい方の粒子の隙間に平均粒径が小さい方の粒子が入り込みやすくなり、二つの粒子の境界領域での密封性を上げることができる。したがって、粉末状態で密着状態になっているから、焼結で固めたときに、境界面が剥がれたり、欠陥ができたりすることを抑制することができる。したがって、外側軌道部材を、鉄とアルミニウムが密着した傾斜機能材料を有するものにすることができる。
また、一実施形態では、
上記外側軌道部材の径方向の外方の表層部は、上記外側軌道部材の上記一定の範囲よりも径方向の外方に位置し、
上記外側軌道部材の径方向の外方の表層部におけるアルミニウムの重量と鉄の重量との和に対する鉄の重量の組成比は、上記外側軌道部材の上記一定の範囲におけるアルミニウムの重量と鉄の重量との和に対する鉄の重量の組成比のうちで最小の組成比よりも大きい。
外側軌道部材のベルトが巻回される外周面の表層は、ダストや、ベルトとの摩擦によって、摩耗し易い。
上記実施形態によれば、径方向の外方の表層部に鉄が存在するから、この表層に存在する鉄によって、外側軌道部材の外周面の摩耗を抑制できる。したがって、外側軌道部材の寿命を長くすることができる。
本発明の転がり軸受装置によれば、外側軌道部材において、軌道面側の部分に対する外周面側の部分のクリープを抑制できると共に、外側軌道部材の軌道面の精度の悪化が起こることがない。
また、本発明の転がり軸受装置によれば、外側軌道部材の軽量化と、軌道面の硬度の確保の両方を簡単安価に実現することができる。
また、本発明の転がり軸受装置によれば、この外側軌道部材を有する車両等の燃費の向上、取り扱い性の向上等を、実現することができる。
本発明の第1実施形態の転がり軸受装置の軸方向の模式断面図である。 上記転がり軸受装置のプーリの局所部分における鉄粒子とアルミ粒子の配置状態を示す模式図である。 本発明の第2実施形態の転がり軸受装置の軸方向の模式断面図である。 本発明の第3実施形態の転がり軸受装置の軸方向の模式断面図である。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の転がり軸受装置の軸方向の模式断面図である。
図1に示すように、この転がり軸受装置は、転がり軸受の一例としての玉軸受1および環状のプーリ2を備え、上記玉軸受1は、外輪10、内側軌道部材の一例としての内輪11、複数の玉12および2つのシールド板(図示しない)を有する。上記外輪10およびプーリ2は、外側軌道部材を構成している。上記外輪10は、その内周側に軌道面としての軌道溝を有する一方、内輪11は、その外周に軌道面としての軌道溝を有している。
上記外輪10、内輪11および玉12の夫々は、SUJ2鋼(高炭素クロム軸受鋼)、SAE5120浸炭焼入等の浸炭焼入鋼、高速度工具鋼等の鋼製材料からなっている。上記複数の玉12は、外輪10の軌道溝と、内輪11の軌道溝との間に、保持器(図示せず)によって保持された状態で、周方向に互いに間隔をおいて配置されている。また、上記一方のシールド板は、外輪10と、内輪11との軸方向の一方の開口を塞ぐように、配置される一方、他方のシールド板は、外輪10と、内輪11との軸方向の他方の開口を塞ぐように、配置されている。
上記プーリ2は、断面略エ字状の形状を有し、内側円筒部21、外側円筒部22および連結部23を有する。上記外側円筒部22は、内側円筒部21と略同心に配置され、内側円筒部21の径方向の外方に位置している。上記連結部23は、内側円筒部21の径方向に延在し、内側円筒部21と外側円筒部22との間を連結している。上記内側円筒部21の内周面は、外輪10の外周面に圧入により締まり嵌めされている。一方、外側円筒部22の外周面には、ベルトが巻回されるようになっている。
外側軌道部材の一部を構成するプーリ2は、鉄粉と、アルミニウム粉とを含む粉末を用いた粉末冶金法で製造されている。ここで、第1実施形態では、鉄粉として、SMF4040を使用し、アルミニウム粉として、合金番号6063などのアルミニウム合金を使用している。尚、上記以外の鉄粉を使用しても良く、上記以外のアルミニウム粉を使用しても良い。
また、上記プーリ2は、プーリ2の径方向の内方の端部からプーリ2の径方向の外方に行くにしたがって、鉄重量組成比が、減少している。詳しくは、第1実施形態を示す図1および以下の実施形態を示す図3,4では、各図において、グレースケールのグレーの度合が高ければ高い程、鉄重量組成比が高いことを示すものとする。図1に示すように、上記プーリ2の内側円筒部21の径方向の内方の表層部は、鉄重量組成比が1になっている。また、その表層部から外側円筒部22の径方向の中央部まで、径方向の外方に行くにしたがって、鉄重量組成比が、単調かつ徐々に低下して、外側円筒部22の径方向の中央部において0(零)になっている。また、上記外側円筒部22の径方向の中央部から外側円筒部22の径方向の外端までは、鉄重量組成比が0で、その領域のアルミニウムの含有率は、100%になっている。第1実施形態では、外側軌道部材の径方向の一定の範囲60は、外側軌道部材の径方向の全範囲になっている。
上記プーリ2は、詳しくは、次のように形成されている。
先ず、アルミニウムの粉末と、鉄の粉末とを用意する。ここで、第1実施形態では、用意する鉄の粉末の平均粒径は、用意するアルミニウムの粉末の平均粒径よりも小さくなっている。
次に、上記二つの粉末の混合を行う。この混合においては、プーリの金型にプーリの径方向に行くにしたがって、鉄粉およびアルミ粉に対するアルミ粉の割合を徐々に高くなるように配置する。また、金型のプーリの径方向の内方の端部に対応する箇所には、鉄粉のみを配置する一方、金型のプーリの径方向の外方の端部に対応する箇所には、アルミ粉のみを配置する。
続いて、圧縮成形を行う。圧縮成形では、金型に粉充填された粉末に、上下のポンチで圧力をかけ、圧粉体あるいはグリーンコンパクトとよばれる成形体をつくる。作成した圧粉体は粉末粒子が互いに密着し十分な強さをもつことが必要である。
その後、焼結を行う。圧粉体は、粉末粒子間の密着は十分でもまだ原子的な結合はせず、もろい。そこで、焼結温度、焼結時間および焼結炉内のガス雰囲気を、適宜調整して焼結を行う。焼結により、圧粉体を、高温で焼き固めて十分に強くする。尚、圧縮成形と焼結とを、ともに行う方法として、型の中に詰めた粉末を加熱しながら圧縮するホットプレス法や、高温高圧のガス容器中で圧縮成形する熱間静水圧プレス法を使用することもできる。このようにして、プーリ2を作成する。尚、焼結は、大電流を流して焼結を行う放電プラズマ焼結法(SPS)を使用して行っても良い。
図2は、上記転がり軸受装置のプーリ2の局所部分における鉄粒子127とアルミニウム粒子120の配置状態を示す模式図である。尚、図2において、矢印Aは、径方向を示し、紙面の上方が、径方向の外方側である。また、図2は、原理を示す図であり、径方向において、アルミニウム粒子120と、鉄粒子127とが混在している領域の寸法は、実際の寸法とは異なっている。
図2に示すように、この例では、多数のアルミニウム粒子120は、略同じ粒径を有し、多数の鉄粒子127も、略同じ粒径を有している。また、上記アルミニウム粒子120の平均粒径は、鉄粒子127の平均粒径よりも大きくなっている。図2に示すように、径方向において、アルミニウム粒子120と、鉄粒子127とが混在している領域では、平均粒径が大きいアルミニウム粒子120の間に、平均粒径が小さい鉄粒子127が入り込んで、隙間が小さくて密な状態が実現されている。
上記第1実施形態の転がり軸受装置によれば、外側軌道部材(外輪10およびプーリ2)が、外側軌道部材の径方向の内方の端部から外側軌道部材の径方向の外方に行くにしたがって、鉄重量組成比が1から0まで減少する構成であるから、軌道面が、鉄だけからなる部分で構成できる。したがって、軌道面の硬度を確保できて、軌道面の変形等が発生することがない。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置によれば、プーリ2は、その径方向の外方に行くにしたがって、鉄重量組成比が減少して、アルミニウム重量組成比が大きくなるから、鉄製の外側軌道部材と比較して、軽量化を実現することができる。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置によれば、プーリ2において、径方向の外輪10側に行くにしたがって、鉄重量組成比が1になるように鉄重量組成比を増大させているから、プーリ2の径方向の内方側の部分と、鋼製の外輪10との線膨張係数の差が小さくなる。したがって、高温において、プーリ2と、外輪10との締め代が小さくなることを抑制できて、プーリ2が外輪10に対してクリープすることを抑制できる。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置によれば、クリープが起こりにくい構成であるから、外側軌道部材にクリープ防止のための機械的手段を形成する必要がない。したがって、上記機械的手段の形成に伴う外側軌道部材の軌道面の精度の悪化が起こることがない。
また、本発明者は、数多の試験を行って、鉄重量組成比が0である領域と鉄重量組成比が1である領域との界面が存在するような方法で、粉末冶金法で、鉄とアルミニウムを接合しようとした場合、鉄とアルミニウムの接合がうまくいかないことを発見した。
一方、本発明者は、一方向に行くにしたがって、鉄重量組成比が徐々に増大するように、鉄粉とアルミニウムとの境界がないようにして、粉末冶金法で、鉄とアルミニウムを接合しようとした場合、鉄とアルミニウムの接合がうまくいくことを確認した。
上記第1実施形態の転がり軸受装置によれば、外側軌道部材の一部を構成するプーリ2を、粉末冶金法で製造しているから、プーリ2おいて、鉄重量組成比の径方向における変動の分布を、所望の変動の分布と近い分布にすることができる。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置によれば、外側軌道部材の径方向の内方の端部から径方向の一定の範囲では、外側軌道部材の径方向の外方に行くにしたがって、鉄重量組成比が、徐々に小さくなっているから、アルミニウムと、鉄とを、良好に接合することができる。したがって、アルミニウムの含有による軽量化と、径方向の内方の端部が鉄の含有が大きいことによる軌道面の硬度の確保の両方を実現することができる。
また、上記実施形態によれば、プーリ2を、粉末冶金法で製造しているから、プーリ2を、簡単、安価に製造できて、プーリ2を含む外側軌道部材を簡単、安価に製造できる。
また、上記第1実施形態の転がり軸受装置によれば、上記鉄粒子127の平均粒径が、アルミニウム粒子120の平均粒径と異なっているから、アルミニウムの隙間に鉄が入り込みやすくなり、境界領域での密封性を上げることができる。したがって、粉末状態で密着状態になっているから、焼結で固めたときに、境界面が剥がれたり、欠陥ができたりすることを抑制することができる。したがって、プーリ2を、鉄とアルミニウムが密着した傾斜機能材料を有するものにすることができる。
尚、上記第1実施形態の転がり軸受装置では、プーリ2を製造するのに使用する多数のアルミニウム粒子120の粒径が略同一で、プーリ2を製造するのに使用する多数の鉄粒子127の粒径が略同一で、かつ、アルミニウム粒子120の平均粒径が、鉄粒子127の平均粒径よりも大きかった。しかし、本発明では、多数のアルミニウム粉の粒径が千差万別であって、アルミニウム粒子の粒経が、互いに異なっていても良く、また、同様に、多数の鉄粉の粒径が千差万別であって、鉄粒子の粒経が、互いに異なっていても良い。
また、本発明では、アルミニウム粒子の平均粒径が、鉄粒子の平均粒径よりも小さくても良い。また、本発明では、アルミニウム粒子の平均粒径と、鉄粒子の平均粒径とが、略同一であっても良い。
また、上記実施形態の転がり軸受装置では、転がり軸受が、玉軸受1であったが、この発明では、転がり軸受は、複列玉軸受であっても、ころ軸受(円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、球面ころ軸受)等であっても良く、転動体は、複列に配置された玉であっても、ころ等の玉以外の転動体であっても良い。
また、上記実施形態の転がり軸受装置では、プーリ2の内側円筒部21の径方向の内方の表層部から外側円筒部22の径方向の中央部に行くにしたがって、鉄重量組成比が1から0まで徐々に減少するようになっていた。しかし、この発明では、例えば、プーリの内側円筒部の径方向の内方の表層部から外側円筒部の径方向の外方の端部に行くにしたがって、鉄重量組成比が1から0まで徐々に減少するようにしても良い。要は、この発明は、外側軌道部材が、外側軌道部材の径方向の内方の端部から外側軌道部材の径方向の一定の範囲において、鉄重量組成比が、減少していさえすれば、如何なる形状、形態であっても良い。
図3は、第2実施形態の転がり軸受装置の軸方向の模式断面図である。
第2実施形態の転がり軸受装置は、プーリ102の径方向の外方の表層が、その表層の総質量の5〜40重量%の鉄成分を含んでいる点、および、外側円筒部122でなくて、連結部123において、アルミニウム質量組成比1の層が表れる点が、第1実施形態の転がり軸受装置と異なる。
第2実施形態の転がり軸受装置も、プーリ102が、粉末冶金により製造されている。
第2実施形態の転がり軸受装置では、第1実施形態の転がり軸受装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。
第2実施形態の転がり軸受装置では、第1実施形態の転がり軸受装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1実施形態の転がり軸受装置と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
上記プーリ102の外側円筒部122の外周面は、ダストにより摩耗し易く、また、ベルトの摺動により摩耗し易い。第2実施形態の転がり軸受装置では、この問題を、改善するようにしている。
第2実施形態の転がり軸受装置では、プーリ102の内側円筒部121の内周側の表層部は、鉄重量組成比が1になっている。また、内側円筒部121の内周側の表層部から径方向に外方に連結部123の中央部付近に行くにしたがって、鉄重量組成比が徐々に単調に減少し、連結部123の中央部付近で鉄重量組成比が0(アルミニウム重量組成比が1)になっている。
また、プーリ102の外側円筒部122の表層部(プーリ102の外側円筒部122の外周面から深さ方向に数mmまでの範囲)161の直前まで、アルミニウム重量組成比が1になっている。また、プーリ102の外側円筒部122の表層部161においては、表層部161の全体の質量に対する鉄の重量%が、5〜40重量%になっている。プーリ102の外側円筒部122の表層部161は、外側軌道部材の径方向の外方の表層部になっている。
第2実施形態では、外側軌道部材の径方向の一定の範囲160は、外輪10の径方向の全域と、プーリ102の径方向の内側円筒部121の内周側の表層部からプーリ102の外側円筒部122の表層部161の直前までの部分とで構成されている。
上記第2実施形態の転がり軸受装置によれば、プーリ102の外側円筒部122の表層部161に鉄が存在するから、この表層部161に存在する鉄によって、プーリ102の外周面の耐摩耗性を向上できて、摩耗を抑制できる。したがって、プーリ102の寿命を長くすることができる。
図4は、第3実施形態の転がり軸受装置の軸方向の模式断面図である。
第3実施形態の転がり軸受装置は、外側軌道部材が、転がり軸受の外輪およびプーリからなる構成ではなくて、外側軌道部材が、一体部材である点が、第1および第2実施形態と大きく異なる。
第3実施形態の転がり軸受装置では、第1または第2実施形態の転がり軸受装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、第1または第2実施形態の転がり軸受装置と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
この転がり軸受装置は、内側軌道部材としての内輪211、環状で一体の外側軌道部材210、転動体としての玉212、および、図示しない二つのシールド板を備える。上記内輪211は、外周に軌道面としての軌道溝を有し、外側軌道部材210は、内周に軌道面としての軌道溝を有する。
上記内輪211および玉212の夫々は、SUJ2鋼(高炭素クロム軸受鋼)、SAE5120浸炭焼入等の浸炭焼入鋼、高速度工具鋼等の鋼製材料からなっている。
上記複数の玉12は、外側軌道部材210の軌道溝と、内輪211の軌道溝との間に、保持器(図示せず)によって保持された状態で、周方向に互いに間隔をおいて配置されている。また、上記一方のシールド板は、外側軌道部材210と、内輪211との軸方向の一方の開口を塞ぐように、配置される一方、他方のシールド板は、外側軌道部材210と、内輪211との軸方向の他方の開口を塞ぐように、配置されている。
上記外側軌道部材210は、第1実施形態で詳細に説明した粉末冶金法で製造されている。具体的には、外側軌道部材210は、粉末冶金法により、外周側が鉄、中間がアルミ、内周側が鉄になるようにして、作成されている。また、アルミニウムと、鉄との境界を、アルミニウムと鉄との合金で構成している。詳しくは、外周側と中間との間は、外周側から中間に行くにしたがって、徐々にアルミニウムの成分比が増大するようにして、材料において傾斜機能を持たせて、接合が確実にできるようにしている。また、中間と内周側との間は、中間から内周側に行くにしたがって、徐々に鉄の成分比が増大するようにして、材料において傾斜機能を持たせて、接合が確実にできるようにしている。尚、第3実施形態でも、アルミニウムの平均粒径を、鉄の平均粒径と異なる粒径に設定し、接合を密にするようにしている。
また、外側軌道部材210の内周側の表層部270は、高周波により焼入れして、硬化処理を行い、軌道溝としての機能を果たすことができるようにしている。
上記第3実施形態の転がり軸受装置によれば、傾斜機能材料を有する外輪プーリ一体の外側軌道部材210を使用しているから、確実にクリープを抑制できる軽量の転がり軸受装置を実現できる。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置によれば、外輪とプーリとが一体になっているから、部品点数を小さくできて、取り扱い性を格段に向上させることができる。
また、上記第3実施形態の転がり軸受装置によれば、外側軌道部材210の外周側が鉄によって構成されているから、ダストや、ベルトとの摩擦による耐摩耗性を、鉄プーリに同等の優れたものにすることができる。尚、ベルトの背面がゴム製のときなどプーリの摩耗が問題にならないときは、最外周の鉄部分がなくて、最外周がアルミニウムからなっていてもよいことは言うまでもない。
1 玉軸受
2,102 プーリ
10 外輪
11,211 内輪
12,212 玉
60 外側軌道部材の径方向の一定の範囲
120 アルミニウム粒子
127 鉄粒子
161 プーリの外側円筒部の表層部
210 外側軌道部材

Claims (4)

  1. 外周に軌道面を有する内側軌道部材と、
    内周に軌道面を有する環状の外側軌道部材と、
    上記内側軌道部材の上記軌道面と、上記外側軌道部材の上記軌道面との間に配置された転動体と
    を備え、
    上記外側軌道部材は、アルミニウムと、鉄とを含む金属材料からなっており、
    上記外側軌道部材の外周面に、ベルトが巻回されるようになっており、
    上記外側軌道部材の径方向の内方の端部から径方向の一定の範囲は、上記外側軌道部材の径方向の外方に行くにしたがって、アルミニウムの重量と鉄の重量との和に対する鉄の重量の組成比が減少することを特徴とする転がり軸受装置。
  2. 請求項1に記載の転がり軸受装置において、
    上記外側軌道部材の少なくとも一部は、鉄粉と、アルミニウム粉とを含む粉末を用いた粉末冶金法で製造されていることを特徴とする転がり軸受装置。
  3. 請求項2に記載の転がり軸受装置において、
    上記鉄粉の鉄粒子の平均粒径は、上記アルミニウム粉のアルミニウム粒子の平均粒径と異なっていることを特徴とする転がり軸受装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の転がり軸受装置において、
    上記外側軌道部材の径方向の外方の表層部は、上記外側軌道部材の上記一定の範囲よりも径方向の外方に位置し、
    上記外側軌道部材の径方向の外方の表層部におけるアルミニウムの重量と鉄の重量との和に対する鉄の重量の組成比は、上記外側軌道部材の上記一定の範囲におけるアルミニウムの重量と鉄の重量との和に対する鉄の重量の組成比のうちで最小の組成比よりも大きいことを特徴とする転がり軸受装置。
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