JP2002206572A - 一方向クラッチ及びオルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置 - Google Patents

一方向クラッチ及びオルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置

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JP2002206572A
JP2002206572A JP2001000321A JP2001000321A JP2002206572A JP 2002206572 A JP2002206572 A JP 2002206572A JP 2001000321 A JP2001000321 A JP 2001000321A JP 2001000321 A JP2001000321 A JP 2001000321A JP 2002206572 A JP2002206572 A JP 2002206572A
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peripheral surface
alternator
driven pulley
diameter side
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Ryoichi Otaki
大滝  亮一
Susumu Tanaka
進 田中
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐摩耗性、耐焼付性、耐衝撃性を有す
る係合子を備えたローラクラッチ16等の一方向クラッ
チを実現する。 【解決手段】 ローラクラッチ16の係合子であるロー
ラ24を、Cr の含有量(x重量%)が8〜20%の鋼
により構成すると共に、このローラ24の表面に、Nの
含有量が3〜(0.26x+4.42)重量%である窒
化層を設ける。そして、上記ローラ24の表面硬度をH
V 1100以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の一方向クラッチ及び
オルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置は、自動車用
の発電機であるオルタネータの回転軸の端部に固定し、
エンジンのクランクシャフトの端部に固定した駆動プー
リとの間に無端ベルトを掛け渡す事により、上記オルタ
ネータを駆動する為のオルタネータ用クラッチ内蔵型プ
ーリ装置と、例えばこのプーリ装置に内蔵する一方向ク
ラッチとの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の駆動用エンジンを駆動源とし
て、自動車に必要な発電を行なうオルタネータの構造
が、例えば特開平7−139550号公報に記載されて
いる。図7は、この公報に記載されたオルタネータ1を
示している。ハウジング2の内側に回転軸3を、1対の
転がり軸受4、4により、回転自在に支持している。こ
の回転軸3の中間部には、ロータ5と整流子6とを設け
ている。又、この回転軸3の一端部(図7の右端部)で
上記ハウジング2外に突出した部分には、従動プーリ7
を固定している。エンジンへの組み付け状態では、この
従動プーリ7に無端ベルトを掛け渡し、エンジンのクラ
ンクシャフトにより、上記回転軸3を回転駆動自在とす
る。
【0003】上記従動プーリ7として従来一般的には、
単に上記回転軸3に固定しただけのものを使用してい
た。これに対して近年、無端ベルトの走行速度が一定若
しくは上昇傾向にある場合には、無端ベルトから回転軸
への動力の伝達を自在とし、無端ベルトの走行速度が低
下傾向にある場合には、従動プーリと回転軸との相対回
転を自在とする、オルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ
装置が各種提案され、一部で使用されている。例えば、
特開昭56−101353号公報、特開平8−6144
3号公報、特公平7−72585号公報、フランス特許
公報FR2726059A1等に、上述の様な機能を有
するオルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置が記載さ
れている。又、一部ではこの様なオルタネータ用クラッ
チ内蔵型プーリ装置が、実際に使用されている。
【0004】図8は、このうち特開平8−61443号
公報に記載されているオルタネータ用クラッチ内蔵型プ
ーリ装置を示している。このオルタネータ用クラッチ内
蔵型プーリ装置は、オルタネータの回転軸3に外嵌固定
自在なスリーブ8を有する。そして、このスリーブ8の
周囲に従動プーリ7aを、このスリーブ8と同心に配置
している。そして、これらスリーブ8の外周面と従動プ
ーリ7aの内周面との間に、1対のサポート軸受9、9
と一方向クラッチ10とを設けている。このうちのサポ
ート軸受9、9は、上記従動プーリ7aに加わるラジア
ル荷重を支承しつつ、上記スリーブ8と従動プーリ7a
との相対回転を自在とする。又、上記一方向クラッチ1
0は、上記従動プーリ7aが上記スリーブ8に対して所
定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、この従動
プーリ7aからスリーブ8への回転力の伝達を自在とす
る。
【0005】この様なオルネータ用クラッチ内蔵型プー
リ装置を使用する理由は、次の通りである。例えば、上
記駆動用エンジンがディーゼルエンジン、或は直噴式の
ガソリンエンジンである場合、アイドリング時等、低回
転時にはクランクシャフトの回転角速度の変動が大きく
なる。この結果、上記クランクシャフトの端部に固定し
た駆動プーリに掛け渡した無端ベルト11の走行速度も
細かく変動する事になる。一方、この無端ベルト11に
より従動プーリ7aを介して回転駆動されるオルタネー
タ1(図7)の回転軸3は、この回転軸3並びにこの回
転軸3に固定したロータ5及び整流子6(図7)等の慣
性質量に基づき、それ程急激には変動しない。従って、
上記従動プーリ7aを回転軸3に対し単に固定した場合
には、クランクシャフトの回転角速度の変動に伴い、上
記無端ベルト11と従動プーリ7aとが両方向に擦れ合
う傾向となる。この結果、この従動プーリ7aと擦れ合
う無端ベルト11に、繰り返し異なる方向の応力が作用
して、この無端ベルト11と従動プーリ7aとの間に滑
りが発生し易くなったり、或はこの無端ベルト11の寿
命が短くなったりする原因となる。
【0006】又、上述の様な従動プーリ7aの外周面と
無端ベルト11の内周面との摩擦に基づく無端ベルト1
1の寿命低下は、走行時に加減速を繰り返す事によって
も生じる。即ち、加速時には無端ベルト11側から従動
プーリ7a側に駆動力が伝達されるのに対し、減速時に
は上述の様に慣性に基づいて回転し続けようとする従動
プーリ7aに、上記無端ベルト11から制動力が作用す
る。この制動力と上記駆動力とは、上記無端ベルト11
の内周面に対して、互いに逆方向の摩擦力として作用す
るので、やはり上記無端ベルト11の寿命低下の原因と
なる。特に、トラックの様に排気ブレーキを備えた車両
の場合には、アクセルオフ時に於けるクランクシャフト
の回転低下の減速度が著しく、上記制動力に基づいて上
記無端ベルト11の内周面に加わる摩擦力が大きくなる
結果、上記寿命低下が著しい。
【0007】そこで、上述の様な従動プーリ7aとし
て、前記オルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置を使
用する事により、上記無端ベルト11の走行速度が一定
若しくは上昇傾向にある場合には、上記従動プーリ7a
から回転軸3への回転力の伝達を自在とし、反対に上記
無端ベルト11の走行速度が低下傾向にある場合には、
これら従動プーリ7aと回転軸3との相対回転を自在と
する。即ち、上記無端ベルト11の走行速度が低下傾向
にある場合には、上記従動プーリ7aの回転角速度を上
記回転軸3の回転角速度よりも遅くして、上記無端ベル
ト11と従動プーリ7aとの当接部が強く擦れ合う事を
防止する。この様にして、従動プーリ7aと無端ベルト
11との擦れ合い部に作用する応力の方向を一定にし、
この無端ベルト11と従動プーリ7aとの間に滑りが発
生したり、或はこの無端ベルト11の寿命が低下する事
を防止する。同時に、エンジンの回転速度の急低下時に
も、オルタネータ1のロータ5を惰性で回転させ続ける
事により、発電効率の確保も図る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成され作
用するオルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置に組み
込む、一般的な一方向クラッチ10として、ローラクラ
ッチが知られている。このローラクラッチは、請求項に
記載した内径側部材である内輪を外嵌固定した部材と請
求項に記載した外径側部材である外輪を内嵌固定した部
材とが僅かに相対回転した場合にも断接する為、上記一
方向クラッチ10として適当である。但し、オルタネー
タ用クラッチ内蔵型プーリ装置に組み込むローラクラッ
チは、使用状態が一般的なローラクラッチよりも相当に
厳しい。この為、何らの対策も施さない場合には、この
ローラクラッチを構成する、それぞれが請求項に記載し
た係合子である複数のローラが、このローラクラッチが
オーバーラン状態となった状態で、それぞれの転動面が
滑り摩擦により焼き付いたり、凝着したり、大きく摩耗
する可能性がある。即ち、無端ベルト11の走行速度が
低下し、従動プーリ7aと回転軸3との相対回転が自在
となった状態で、上記内輪と上記外輪とのうち、その周
面をカム面でない単なる円筒面とした部材が上記各ロー
ラに対し、瞬間的に10000min-1 を越える様な回転
速度で相対回転する(オーバーラン状態となる)場合が
ある。この様なオーバーラン状態では、上記ローラの転
動面と上記内輪の外周面又は上記外輪の内周面との間で
滑り摩擦が生じ、ローラの転動面が焼き付いたり、凝着
したり、著しく摩耗して、上記ローラクラッチが十分に
機能しなくなる。この結果、オルタネータ用クラッチ内
蔵型プーリ装置全体としての信頼性、耐久性にも問題が
生じる。
【0009】上述したローラクラッチの各ローラを、通
常の(特に硬化等の処理を施してない)鋼で構成した場
合には、これら各ローラの転動面が上述の様に焼き付い
たりする。これに対して、特開平11−118026号
公報に示される様に、ローラクラッチのローラをセラミ
ック製とした例がある。この公報に記載された技術はロ
ーラの軽量化が目的であるが、セラミックは通常の鋼と
比べて耐焼付性、耐摩耗性が優れている為、上記ローラ
をセラミック製とした場合、ローラの転動面が焼き付い
たり摩耗するという不具合が生じにくい。但し、セラミ
ックは靭性が乏しい為、ローラに衝撃荷重が加わった
際、このローラが破損する可能性がある。即ち、前記無
端ベルト11の走行速度が低下傾向から上昇傾向に移る
際、上記ローラクラッチがオーバーラン状態から接続状
態(ロック状態)に変化するが、この変化の瞬間に、上
記各ローラが前記内輪の外周面と前記外輪の内周面との
間にくさび状に食い込む事に基づき、これら各ローラに
衝撃荷重が加わる。この様な場合、靭性が乏しいセラミ
ック製のローラは、割れる可能性がある。又、セラミッ
クは高価である為、これら各ローラをセラミック製とし
た場合、オルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置のコ
ストアップの原因にもなる。本発明は、上述の様な事情
に鑑みて発明したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の一方向クラッチ
及びオルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置のうち、
請求項1に記載した一方向クラッチは、前述した従来構
造と同様に、回転軸に固定する内径側部材と、この内径
側部材の周囲にこの内径側部材と同心に配置した筒状の
外径側部材と、これら内径側部材の外周面と外径側部材
の内周面との間に設けられた複数の係合子とを備える。
そして、上記外径側部材が上記内径側部材に対し所定方
向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これら外径側
部材と内径側部材との間で上記各係合子を介して回転力
の伝達を自在とする。特に、本発明の一方向クラッチに
於いては、上記各係合子を、Cr (クロム)の含有量が
8〜20重量%の範囲内の値であるx重量%である鋼に
より構成すると共に、上記各係合子の表面に、N(窒
素)の濃度が、3重量%以上で(0.26x+4.4
2)重量%以下である窒化層を設け、且つ、上記各係合
子の表面の硬度をHV 1100以上としている。
【0011】又、請求項2に記載したオルタネータ用ク
ラッチ内蔵型プーリ装置は、前述した従来構造と同様
に、オルタネータの回転軸の端部周囲に、この回転軸と
同心に配置する従動プーリと、これら回転軸の外周面と
従動プーリの内周面との間に設けられ、この従動プーリ
に加わるラジアル荷重を支承しつつこれら回転軸と従動
プーリとの相対回転を自在とするサポート軸受と、上記
回転軸の外周面と従動プーリの内周面との間に設けら
れ、この従動プーリがこの回転軸に対し所定方向に相対
回転する傾向となる場合にのみ、これら従動プーリと回
転軸との間で複数の係合子を介して回転力の伝達を自在
とする一方向クラッチとを備える。特に、本発明のオル
タネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置に於いては、上記
一方向クラッチが、請求項1に記載した一方向クラッチ
である。
【0012】
【作用】前述の様に構成する請求項1に記載した一方向
クラッチが、内径側部材と外径側部材とが所定方向に相
対回転する傾向となる場合のみ、これら両部材同士の間
で複数の係合子を介して回転力を伝達する際の作用は、
前述した従来の一方向クラッチの場合と同様である。特
に、本発明の一方向クラッチの場合には、この一方向ク
ラッチを構成する各係合子を、上述した様に、表面硬度
がHV 1100以上の鋼製としている。この為、これら
各係合子は、通常の鋼製とした場合よりも優れた耐摩耗
性、耐焼付性を有し、セラミック製とした場合よりも優
れた耐衝撃性を有する。この為、オーバーラン状態の時
に、上記各係合子の表面が焼き付いたり摩耗したりする
事がなく、又、オーバーラン状態から接続状態に変化す
る時に加わる衝撃荷重によって破損する事もない。更
に、請求項2に記載した構成を有し、上記一方向クラッ
チを備えたオルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置
は、耐久性及び信頼性が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】図1〜3は、本発明の実施の形態
の第1例を示している。スリーブ8は、全体を円筒状に
形成しており、オルタネータの回転軸3(図7〜8参
照)の端部に外嵌固定して、この回転軸3と共に回転自
在である。この為に図示の例では、上記スリーブ8の中
間部内周面に雌スプライン部12を形成し、この雌スプ
ライン部12と上記回転軸3の端部外周面に形成した雄
スプライン部(図示省略)とを係合自在としている。
尚、上記回転軸3とスリーブ8との相対回転を防止する
為の構造は、スプラインに代えて、ねじ、或は非円筒面
同士の嵌合、キー係合等としても良い。
【0014】上述の様なスリーブ8の周囲には従動プー
リ7bを、このスリーブ8と同心に配置している。この
従動プーリ7bは、鋼板、アルミニウム合金板等の金属
素材にプレス加工、絞り加工、鍛造加工等の塑性加工を
施す事により、一体に造っており、内径側円筒部13と
外径側円筒部14と連結部15とを有する、断面略コ字
形に形成している。このうちの内径側円筒部13は、そ
の内側に次述するサポート軸受9a、9a及びローラク
ラッチ16を装着する為、比較的厚肉に形成している。
又、上記外径側円筒部14は、内周面の幅方向に関する
断面形状を波形として、上記内径側円筒部13と同心に
配置している。この様な外径側円筒部14の外周面に
は、所謂ポリVベルトと呼ばれる、内周面に複数の突条
を有する無端ベルトの一部を掛け渡す。更に、円輪状に
形成された上記連結部15の外周縁は上記外径側円筒部
14の軸方向一端縁(図1の右端縁)に、同じく内周縁
は上記内径側円筒部13の軸方向一端縁に、それぞれ連
続させて、これら外径側円筒部14と内径側円筒部13
とを互いに同心に結合している。
【0015】前述の様に構成するスリーブ8の外周面と
上述の様に構成する従動プーリ7bの内周面との間に
は、1対のサポート軸受9a、9aと、1個のローラク
ラッチ16とを設けている。このうちのサポート軸受9
a、9aは、上記従動プーリ7bに加わるラジアル荷重
を支承しつつ上記スリーブ8と従動プーリ7bとの相対
回転を自在とする。図示の例では、大きなラジアル荷重
を支承自在とすべく、上記各サポート軸受9a、9aと
して、ころ軸受を使用している。又、上記ローラクラッ
チ16は、上記従動プーリ7bがスリーブ8に対して所
定方向に回転する傾向となる場合にのみ、従動プーリ7
bとスリーブ8との間での回転力の伝達を自在とする。
【0016】この様なサポート軸受9a、9a及びロー
ラクラッチ16を構成する為、上記スリーブ8の外周面
に、サポート軸受用内輪17、17とローラクラッチ用
内輪18とを、それぞれ締まり嵌めにより外嵌固定して
いる。これら各内輪17、18は、軸受鋼等の硬質金属
により全体を円筒状に形成し、外周面は、それぞれ円筒
面としている。尚、上記各サポート軸受用内輪17、1
7は、それぞれの一端縁に外向フランジ状の内輪側鍔部
19を形成する事により、断面L字形で全体を円筒状に
形成している。この様な各サポート軸受用内輪17、1
7は、上記内輪側鍔部19を互いに反対側に位置させた
状態で上記スリーブ8に締まり嵌めにより外嵌し、それ
ぞれの先端縁を上記ローラクラッチ用内輪18の軸方向
両端縁に突き当てている。
【0017】一方、上記従動プーリ7bの中間部内周面
には外輪20を、締まり嵌めにより内嵌固定している。
この外輪20は、やはり軸受鋼等の硬質金属製の板材に
プレス加工を施す等により、全体を円筒状に形成してお
り、軸方向両端縁に、それぞれ内向フランジ状の外輪側
鍔部21a、21bを形成している。尚、これら両外輪
側鍔部21a、21bのうち、一方(図1の左方)の外
輪側鍔部21aは、他の構成各部材と組み合わせる以前
に形成する為、上記外輪20の本体部分と同等の厚さ寸
法を有する。これに対して、他方(図1の右方)の外輪
側鍔部21bは、他の構成各部材と組み合わせた後に形
成する為、薄肉にしている。又、上記外輪20の内周面
のうち、軸方向中間部には、図2に示す様な、円周方向
に関する凹凸面であるカム面22を形成し、軸方向両側
部分は円筒面としている。尚、このカム面22は、上記
外輪20の中間部内周面に代えて、上記ローラクラッチ
用内輪18の外周面に形成する場合もある。特に、使用
回転速度が高い場合には、上記カム面22をローラクラ
ッチ用内輪18の外周面に形成する事が好ましい。この
理由は、遠心力によりローラクラッチの接続が切れたま
まとなるのを防止する為である。
【0018】本例の場合には、前記ローラクラッチ16
は、上記外輪20の中間部内周面に形成したカム面22
と上記ローラクラッチ用内輪18の外周面とを含んで構
成している。即ち、このカム面22とこのローラクラッ
チ用内輪18の外周面との間に、合成樹脂により籠型円
筒状に形成した保持器23と、それぞれが図3に示す様
な円柱状に形成された複数個のローラ24と、これら各
ローラ24と同数のばね25とを設けている。本例の場
合、これら各ローラ24が請求項に記載した係合子であ
る。そして、これら各ローラ24を、Cr の含有量が8
〜20重量%の範囲内の値であるx重量%の鋼により構
成すると共に、このローラ24の表面に、Nの濃度が、
3重量%以上で(0.26x+4.42)重量%以下で
ある窒化層を設け、且つ、この表面の硬度をHV 110
0以上としている。この様に規制する理由に就いては後
述する。
【0019】上記保持器23の一部外周面は上記カム面
22と係合させて、上記外輪20に対する相対回転を阻
止している。又、上記各ローラ24は、それぞれ上記保
持器23に転動自在に保持している。又、上記各ばね2
5は、それぞれ保持器23と上記各ローラ24との間に
設けて、これら各ローラ24を、円周方向に関して同方
向に、弾性的に押圧している。尚、上記各ばね25は、
金属製の板ばねを上記保持器23に係止する他、合成樹
脂製の保持器23と一体に形成する場合もある。
【0020】ここで、ローラ24を構成する各成分の含
有量を上述の様に規制した理由に就いて説明する。先
ず、Cr の含有量を8〜20重量%としている理由は、
8%未満とすると、窒化層中に十分なクロム窒化物が析
出しない為、上記ローラ24の表面の硬度として、HV
1100という値が安定的に得られなくなる為である。
即ち、鋼の表面にNを浸透させる事によって形成される
窒化層は、鋼自体にCrを含んでいると著しく硬度が高
くなる性質がある。これは、N原子が鋼に含まれるCr
と反応する事により、クロム窒化物が生成され、このク
ロム窒化物が析出する事により硬化する為である。従っ
て、Cr の含有量が少ないと十分なクロム窒化物が析出
せず、必要とする表面硬度が得られない。一方、20重
量%を越えるCr を含有させると、必要とする表面硬度
の確保の面から無駄になり、徒にコストが嵩むだけでな
く、脆いδフェライト層が生成して、上記窒化層が損傷
し易くなる。
【0021】又、鋼の表面に形成した窒化層中に含まれ
るNの含有量を3重量%以上としている理由は、3重量
%未満とすると、Cr と反応するN原子が少ない為、上
記クロム窒化物が十分に析出せず、HV 1100以上の
表面硬度を安定して確保する事が難しい為である。これ
に対して、Nの含有量を(0.26x+4.42)重量
%未満としているのは、これを越えると、基地のα−F
e が減少して、著しく脆化が進み、耐衝撃性が低下する
為である。
【0022】尚、鋼に含まれているC(炭素)の含有量
に関しては、Cr の含有量との関係で上限を設ける。具
体的には、Cの含有量をy重量%とした場合に、このy
重量%は、上記Cr の含有量であるx重量%との関係
で、(y≦1.41−0.05x)の範囲に規制する。
これは、鋼に含まれるCは凝固過程でCr と結合して炭
化物を生成するが、Cの含有量が(1.41−0.05
x)重量%を越えると、この凝固過程で直径10μmを
越える様な、巨大な共晶炭化物が生成し、加工上のトラ
ブルが発生し易くなる他、仕上加工によって目標精度を
得る事が難しくなる為である。従って、耐摩耗性の面か
らは特にCの含有量を規制しないが、加工上の面から、
このCの含有量を(1.41−0.05x)重量%以下
に抑える事が望ましい。
【0023】一方、前記各サポート軸受9a、9aは、
前記各サポート軸受用内輪17、17と、上記外輪20
の軸方向両端寄り部分とを含んで構成している。即ち、
上記各サポート軸受用内輪17、17の外周面と上記外
輪20の軸方向両端寄り部分の内周面との間に、それぞ
れ合成樹脂により籠型円筒状に形成された保持器26
と、この保持器26により転動自在に保持された複数の
ローラ27、27とを配置して、ラジアルころ軸受を構
成している。
【0024】上述の様に構成する本例の一方向クラッチ
内蔵型プーリ装置により、例えばエンジンのクランクシ
ャフトによりオルタネータ1の回転軸3を回転駆動する
場合には、この回転軸3の端部でオルタネータ1のハウ
ジング2(図7)から突出した部分に、前記スリーブ8
を外嵌固定する。そして、上記クランクシャフトの端部
に固定した駆動シャフトと上記従動プーリ7bとの間
に、無端ベルト11(図8)を掛け渡す。この際、上記
回転軸3の回転方向に関して、上記従動プーリ7bの回
転角速度が回転軸3の回転角速度よりも早くなる傾向の
場合に、前記ローラクラッチ16がロックされ(接続状
態となり)、上記従動プーリ7bの回転が上記スリーブ
8を介して上記回転軸3に伝達される様に、その装着方
向を規制する。逆に言えば、上記回転軸3の回転方向に
関して、上記従動プーリ7bの回転角速度が回転軸3の
回転角速度よりも遅い場合には、上記ローラクラッチ1
6がフリー(オーバーラン状態)となり、上記従動プー
リ7bと上記回転軸3との間で回転力の伝達が行なわれ
ない様にする。この為、前述した様な、無段ベルトの耐
久性並びにオルタネータ1の発電効率の向上と言った効
果を得られる。
【0025】特に、本発明では、このローラクラッチ1
6を構成する各ローラ24を、上述した様に、Cr の含
有量(x重量%)が8〜20重量%である鋼製とし、上
記ローラ24の表面に、Nの含有量が3〜(0.26x
+4.42)重量%である窒化層を形成し、表面硬度を
V 1100以上としている為、上記各ローラ24を通
常の鋼とした場合よりも、優れた耐摩耗性、耐焼付性を
持たせる事ができる。又、上記各ローラ24に、セラミ
ック製とした場合よりも優れた耐衝撃性を持たせる事が
できる。これらにより、オーバーラン状態の時に、上記
各ローラ24の表面が焼き付いたり摩耗したりする事が
なく、又、オーバーラン状態から接続状態に変化する時
に生じる衝撃荷重に拘らず、上記各ローラ24が破損す
る事を有効に防止できる。又、セラミック等の高価な材
料を使用してない為、コスト上昇も抑えられる。特に、
図1に示した様なオルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ
装置は、上記オーバーラン状態では、上記各ローラ24
の転動面と前記ローラクラッチ用内輪18の外周面(カ
ム面をローラクラッチ用内輪18の外周面に設けた場合
には外輪20の内周面)との相対速度が大きい為、ロー
ラ24の転動面に焼き付き、摩耗等が生じ易い、厳しい
運転条件となる。これに対して、上述の様に構成される
各ローラ24を備えるローラクラッチ16を組み込む事
によって、信頼性の高いオルタネータ用クラッチ内蔵型
プーリ装置を低コストで実現できる。
【0026】尚、本発明の一方向クラッチとしては、上
述したローラクラッチ以外にも、カムクラッチやスプラ
グクラッチに採用する事もできる。但し、本発明を実施
する場合には、一方向クラッチを構成する複数の係合子
を得る為に、高硬度の部材(係合子)を加工する必要が
ある。この為、係合子の形状が単純な、ローラクラッチ
として本発明を実施する事が、加工の面倒を抑える面か
ら、最も有効である。
【0027】
【実施例】次に、窒化層中のNの濃度と表面硬度とが、
滑り摩擦時の摩耗量に及ぼす影響を知る為に行なった試
験に就いて説明する。試験は、図4に示す様なボールデ
ィスク試験機28を使用して行なった。このボールディ
スク試験機28による試験は、試料であるボール29を
回転円盤30の上面に所定の荷重で所定時間押しつけて
摺接部を摩耗させ、その摩耗量から、耐摩耗性の良否を
判定するものである。上記所定の荷重は1.37N(1
40gf)とし、所定時間は300秒とした。又、滑り
速度は、0.2m/s (回転速度=100min-1 、走行跡
直径=40mm)とした。又、上記回転円盤30は高炭素
クロム軸受鋼であるSUJ2とし、表面硬度はHV 73
0とした。又、摺接部は無潤滑とした。摩耗量は、上記
所定時間経過後に上記ボール29を取り出し、摩耗部の
直径D(図5)を測定して、この測定値から摩耗部の体
積を、計算により求めた。
【0028】この様な条件で行なった実験の結果を、図
6に示す。この様な図6から明らかな通り、窒化層中の
Nの濃度が3重量%以上で、しかも表面の硬度がHV
100以上あれば、窒化層を形成した部材の摩耗を十分
に低く抑えられる。尚、図6に示した各点のうち、Nの
濃度が3重量%以上である○印のみが、表面硬度がH V
1100である。□印及び△印は、Nの濃度が4重量%
であるが、表面硬度はそれぞれHV 700、HV 900
である。これら両試料の場合には、摩耗量が多くなっ
た。この事から、Nの濃度が3重量%以上であっても、
表面硬度がHV 1100未満の場合には、十分な耐摩耗
性を得られない事が分かる。更に、窒化層中のNの濃度
が3重量%以上で、且つ表面硬度がHV 1100であ
る、本発明に属するものの場合には、上記ボール29の
摩耗が抑えられただけでなく、前記回転円盤30の摩耗
も著しく抑えられた。この事は、本発明に属する窒化層
を表面に形成した部材は、相手部材の摩耗も抑えて、こ
の相手部材(前述したローラクラッチ16の場合には、
ローラクラッチ用外輪18及び外輪20)の耐久性向上
も図れる事を意味する。
【0029】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用するので、十分な耐衝撃性を確保しつつ、従来構造に
比べて優れた耐摩耗性及び耐焼付性を有する一方向クラ
ッチを得られる。そして、この一方向クラッチを備えた
オルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置では、オーバ
ーラン状態の時に生じる滑り摩擦により係合子の表面が
大きく摩耗したり焼き付いたりする事がなく、又、オー
バーラン状態から接続状態になる瞬間に生じる衝撃荷重
により係合子が破損する事もない。又、セラミック等の
高価な材料を使用しない。従って、信頼性の高いオルタ
ネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置を低コストで得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す部分断面図。
【図2】従動プーリとスリーブとを除いた状態で示す、
図1の拡大A−A断面図。
【図3】一方向クラッチ用のローラのみを取り出して示
す図で、(a)は側面図、(b)は端面図。
【図4】本発明の効果を確認する為の試験に使用したボ
ールディスク試験機の側面図。
【図5】試験の評価方法を示す、ボールの斜視図。
【図6】本発明の効果を確認する為に行なった試験の結
果を示す線図。
【図7】従来から知られているオルタネータの1例を示
す断面図。
【図8】従来構造の1例を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 オルタネータ 2 ハウジング 3 回転軸 4 転がり軸受 5 ロータ 6 整流子 7、7a、7b 従動プーリ 8 スリーブ 9、9a サポート軸受 10 一方向クラッチ 11 無端ベルト 12 雌スプライン部 13 内径側円筒部 14 外径側円筒部 15 連結部 16 ローラクラッチ 17 サポート軸受用内輪 18 ローラクラッチ用内輪 19 内輪側鍔部 20 外輪 21a、21b 外輪側鍔部 22 カム面 23 保持器 24 ローラ 25 ばね 26 保持器 27 ローラ 28 ボールディスク試験機 29 ボール 30 回転円盤

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に固定する内径側部材と、この内
    径側部材の周囲にこの内径側部材と同心に配置された筒
    状の外径側部材と、これら内径側部材の外周面と外径側
    部材の内周面との間に設けられた複数の係合子とを備
    え、上記外径側部材が上記内径側部材に対し所定方向に
    相対回転する傾向となる場合にのみ、これら外径側部材
    と内径側部材との間で上記各係合子を介して回転力の伝
    達を自在とする一方向クラッチに於いて、これら各係合
    子を、Cr の含有量が8〜20重量%の範囲内の値であ
    るx重量%である鋼により構成すると共に、上記各係合
    子の表面に、Nの濃度が、3重量%以上で(0.26x
    +4.42)重量%以下である窒化層を設け、且つ、上
    記各係合子の表面の硬度をHV 1100以上とした事を
    特徴とする一方向クラッチ。
  2. 【請求項2】 オルタネータの回転軸の端部周囲に、こ
    の回転軸と同心に配置する従動プーリと、これら回転軸
    の外周面と従動プーリの内周面との間に設けられ、この
    従動プーリに加わるラジアル荷重を支承しつつこれら回
    転軸と従動プーリとの相対回転を自在とするサポート軸
    受と、上記回転軸の外周面とこの従動プーリの内周面と
    の間に設けられ、この従動プーリがこの回転軸に対し所
    定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これら従
    動プーリと回転軸との間で複数の係合子を介して回転力
    の伝達を自在とする一方向クラッチとを備えたオルタネ
    ータ用クラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、この一方向
    クラッチが請求項1に記載した一方向クラッチである、
    オルタネータ用クラッチ内蔵型プーリ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011021676A (ja) * 2009-07-15 2011-02-03 Jtekt Corp 転がり軸受装置

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