JP2000222721A - 磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末及びその製造法並びに磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末及びその製造法並びに磁気記録媒体

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JP2000222721A JP2233699A JP2233699A JP2000222721A JP 2000222721 A JP2000222721 A JP 2000222721A JP 2233699 A JP2233699 A JP 2233699A JP 2233699 A JP2233699 A JP 2233699A JP 2000222721 A JP2000222721 A JP 2000222721A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、表面平滑性がより優れており、且
つ、磁気記録層中に分散されている鉄を主成分とする針
状金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣化が抑制
された磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末と
して好適な針状ヘマタイト粒子粉末を提供する。 【解決手段】 表面平滑性が優れており、且つ、磁気特
性の劣化が抑制された磁気記録媒体の非磁性下地層用非
磁性粒子粉末として好適な針状ヘマタイト粒子粉末と
は、長軸径の幾何標準偏差値が1.50以下であって短
軸径の幾何標準偏差値が1.30以下であって、BET
比表面積値が40〜180m/gであり、且つ、粉体
pH値が8.0以上、可溶性ナトリウム塩の含有量がN
a換算で300ppm以下、可溶性硫酸塩の含有量がS
換算で150ppm以下である平均長軸径が0.0
1〜0.2μmの針状ヘマタイト粒子粉末からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面平滑性がより優れ
ており、且つ、磁気記録層中に分散されている鉄を主成
分とする針状金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の
劣化が抑制された磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性
粒子粉末として好適な針状ヘマタイト粒子粉末を提供す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオ用、オーディオ用磁気記録
再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が進むにつれ
て、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に対す
る高性能化、即ち、高密度記録化、高出力特性、殊に周
波数特性の向上、低ノイズ化の要求が益々強まってい
る。
【0003】磁気記録媒体の上記諸特性を向上させるた
めに、磁性層に用いる磁性粒子粉末の高性能化及び磁気
記録層の薄層化の両面から種々の試みがなされている。
【0004】まず、磁性粒子粉末の高性能化についてい
えば、上記諸特性を満たすような磁性粒子粉末として
は、高い保磁力値と大きな飽和磁化値を有することが必
要である。
【0005】高い保磁力値と大きな飽和磁化値を有する
磁性粒子粉末として、近年、鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子粉末が広く使用されている。
【0006】鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末
は、高い保磁力値と大きな飽和磁化値とを有するもので
あるが、磁気記録媒体用の粒子粉末は1μm以下、殊
に、0.01〜0.3μm程度の非常に微細な粒子であ
るため、腐蝕しやすく、磁気特性が劣化し、殊に保磁力
値と飽和磁化値の減少を引き起こすという欠点がある。
【0007】従って、磁性粒子粉末として鉄を主成分と
する針状金属磁性粒子粉末を使用している磁気記録媒体
の特性を長期にわたって維持するためには、鉄を主成分
とする針状金属磁性粒子粉末の腐蝕を極力抑制すること
が強く要求される。
【0008】次に、磁気記録層の薄層化について述べ
る。
【0009】近時におけるビデオテープの高画像高画質
化に対する要求は益々強まっており、従来のビデオテー
プに比べ、記録されるキャリアー信号の周波数が短波長
領域に移行しており、その結果、磁気テープの表面から
の磁化深度が著しく浅くなっている。
【0010】短波長信号に対して、磁気記録媒体の高出
力特性、殊に、S/N比を向上させるためには、磁気記
録層の薄層化が強く要求されている。この事実は、例え
ば、株式会社総合技術センター発行「磁性材料の開発と
磁粉の高分散化技術」(1982年)第312頁の「‥
‥塗布型テープにおける高密度記録のための条件は、短
波長信号に対して、低ノイズで高出力特性を保持できる
ことであるが、その為には保磁力Hcと残留磁化Brが
‥‥共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄いことが必
要である。‥‥」なる記載の通りである。
【0011】磁気記録層の薄層化が進む中で、磁気記録
層の平滑化と厚みむらの問題が生じている。周知の通
り、磁気記録層を平滑で厚みむらがないものとするため
には、ベースフィルムの表面もまた平滑でなければなら
ない。この事実は、例えば、工学情報センター出版部発
行「磁気テープ−ヘッド走行系の摩擦摩耗発生要因とト
ラブル対策−総合技術資料集(−以下、総合技術資料集
という−)」(昭和62年)第180及び181頁の
「‥‥硬化後の磁性層表面粗さは、ベースの表面粗さ
(バック面粗さ)に強く依存し両者はほぼ比例関係にあ
り、‥‥磁性層はベースの上に塗布されているからベー
スの表面を平滑にすればするほど均一で大きなヘッド出
力が得られS/Nが向上する。‥‥」なる記載の通りで
ある。
【0012】そこで、ベースフィルム等の非磁性支持体
上に針状へマタイト粒子粉末等の非磁性粒子粉末を結合
剤樹脂中に分散させてなる下地層(以下、「非磁性下地
層」という。)を少なくとも一層設けることにより、磁
気記録層を形成するための基体の表面性等を改善するこ
とが提案され、実用化されている(特公平6−9329
7号公報、特開昭62−159338号公報、特開昭6
3−187418号公報、特開平4−167225号公
報、特開平4−325915公報、特開平5−7388
2号公報、特開平5−182177号公報、特開平9−
170003号公報等)。
【0013】非磁性下地層の表面平滑性の改善は強く求
められており、これまで長軸径の粒度に注目して、非磁
性粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末の分散性を向
上させることが試みられてきた。
【0014】更に、非磁性下地層の表面を平滑にし、且
つ、磁気記録層中に分散されている鉄を主成分とする針
状金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣化を抑制
するするために、非磁性下地層に含有されている非磁性
粒子粉末を改善することが望まれており、針状ヘマタイ
ト粒子粉末中に含有され、鉄を主成分とする針状金属磁
性粒子粉末の腐蝕及び針状ヘマタイト粒子間の凝集の原
因となる可溶性塩を低減することが試みられている(特
開平9−170003号公報、特開平10−19894
8号公報、特開平10−273325号公報等)。
【0015】更に、下地層の表面をより平滑にするため
に、針状へマタイト粒子粉末の分散性を改善することが
望まれており、本出願人は、非磁性下地層用非磁性粒子
粉末としての針状へマタイト粒子粉末中のヘマタイト超
微粒子を除去し、更に、針状ヘマタイト粒子粉末中に含
有されている可溶性塩を低減させた針状ヘマタイト粒子
粉末に係る発明を出願している(特願平9−36936
4号)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】表面平滑性がより優れ
ており、且つ、磁気記録層中に分散されている鉄を主成
分とする針状金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の
劣化が抑制された磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性
粒子粉末として好適な針状ヘマタイト粒子粉末は、現在
最も要求されているところであるが、未だ得られていな
い。
【0017】即ち、針状ヘマタイト粒子粉末の長軸径の
粒度を改善するために、針状ゲータイト粒子粉末又は該
針状ゲータイト粒子粉末を250〜400℃の温度範囲
で加熱脱水して得られた針状へマタイト粒子粉末を55
0℃以上の温度で加熱して高密度化された針状へマタイ
ト粒子粉末を得る方法では、後出比較例に示す通り、短
軸径の幾何標準偏差値が高く、短軸径の粒度が十分に均
斉であるとは言い難いものである。
【0018】また、前出特開平9−170003号公報
には、針状ヘマタイト粒子粉末をアルカリ水溶液中で加
熱処理し、針状ヘマタイト粒子粉末に含有されている可
溶性塩を低減させた針状ヘマタイト粒子粉末が記載され
ているが、磁気記録媒体の耐腐蝕性は改善され、可溶性
塩を低減させることによって粒子相互間の凝集を解きほ
ぐすことができるが、短軸径の幾何標準偏差値が高く、
短軸径の粒度が十分に均斉であるとは言い難いものであ
る。
【0019】また、前出特願平9−369364号は、
針状へマタイト粒子粉末を酸溶解することにより、針状
へマタイト粒子粉末中に存在する針状ヘマタイト微粒子
成分を溶解し、粒子径の粒度分布を改善したものであ
り、更に、アルカリ水溶液中で加熱処理し、針状ヘマタ
イト粒子粉末に含有されている可溶性塩を低減させたも
のであるが、後出比較例に示す通り、磁気記録媒体の耐
腐蝕性は改善されているが、短軸径の幾何標準偏差値が
高く、短軸径の粒度が十分に均斉であるとは言い難いも
のである。
【0020】そこで、本発明は、表面平滑性により優れ
た磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末として
好適な、均斉な粒度を有する、殊に短軸径の粒度が均斉
であって、凝集が解きほぐされ個々に独立した粒子であ
り、且つ、磁気記録層中に分散されている鉄を主成分と
する針状金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣化
を抑制することが可能な針状ヘマタイト粒子粉末を得る
ことを技術的課題とする。
【0021】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0022】即ち、本発明は、長軸径の幾何標準偏差値
が1.50以下であって短軸径の幾何標準偏差値が1.
30以下であって、BET比表面積値が40〜180m
/gであり、且つ、粉体pH値が8.0以上、可溶性
ナトリウム塩の含有量がNa換算で300ppm以下、
可溶性硫酸塩の含有量がSO換算で150ppm以下
である平均長軸径が0.01〜0.2μmの針状ヘマタ
イト粒子粉末からなることを特徴とする磁気記録媒体の
非磁性下地層用非磁性粒子粉末である(本発明1)。
【0023】また本発明は、本発明1における針状ヘマ
タイト粒子粉末の粒子表面が、アルミニウムの水酸化
物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ
素の酸化物から選ばれる少なくとも一種からなる表面被
覆物によって被覆されていることを特徴とする磁気記録
媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末である(本発明
2)。
【0024】また、本発明は、針状ゲータイト粒子粉末
を550〜850℃の温度範囲で加熱脱水処理して針状
ヘマタイト粒子粉末とするに当って、前記加熱脱水処理
に先立ってあらかじめ、前記針状ゲータイト粒子粉末を
100〜200℃の温度範囲で加熱処理して該針状ゲー
タイト粒子粉末に含まれているゲータイト超微粒子を針
状ゲータイト粒子に吸収させておき、550〜850℃
の温度範囲で加熱脱水して針状ヘマタイト粒子粉末を
得、該針状ヘマタイト粒子粉末を含有する水性懸濁液に
アルカリ水溶液を添加してpH値を13以上に調製し、
次いで、80〜103℃の温度範囲で加熱処理した後、
濾過、水洗、乾燥することを特徴とする上記の磁気記録
媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末の製造法である。
【0025】また、本発明は、非磁性支持体、該非磁性
支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とか
らなる非磁性下地層及び該非磁性下地層の上に形成され
る鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末と結合剤樹脂
とからなる磁気記録層からなる磁気記録媒体において、
前記非磁性粒子粉末が上記本発明1及び本発明2に係る
各非磁性下地層用非磁性粒子粉末であることを特徴とす
る磁気記録媒体である。
【0026】次に、本発明の構成をより詳しく説明すれ
ば次の通りである。
【0027】まず、本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉
末について述べる。
【0028】本発明に係る針状へマタイト粒子粉末は、
長軸径の幾何標準偏差値が1.50以下、短軸径の幾何
標準偏差値が1.30以下であって、BET比表面積値
が40〜180m/gであり、且つ、粉体pH値が
8.0以上、可溶性ナトリウム塩の含有量がNa換算で
300ppm以下、可溶性硫酸塩の含有量がSO換算
で150ppm以下、平均長軸径が0.01〜0.2μ
mである。
【0029】本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末の粒
子形状は、針状である。ここで「針状」とは、文字どお
りの針状はもちろん、紡錘状や米粒状などを含む意味で
ある。
【0030】長軸径の幾何標準偏差値が1.50を超え
る場合、又は短軸径の幾何標準偏差値が1.30を超え
る場合には、存在する粗大粒子が塗膜の表面平滑性に悪
影響を与えるために好ましくない。塗膜の表面平滑性を
考慮すれば、長軸径の幾何標準偏差値は、好ましくは
1.40以下、より好ましくは1.35以下である。ま
た、短軸径の幾何標準偏差値は、好ましくは1.28以
下、より好ましくは1.25以下である。工業的な生産
性を考慮すれば、得られる針状へマタイト粒子粉末の長
軸径及び短軸径の幾何標準偏差値の下限値は、1.01
である。
【0031】本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末の平
均長軸径が0.01μm未満の場合には、粒子の微粒子
化による分子間力の増大により、ビヒクル中における分
散が困難となる。平均長軸径が0.2μmを超える場合
には、粒子サイズが大きすぎるため、塗膜の表面平滑性
を害するので好ましくない。ビヒクル中における分散性
及び塗膜の表面平滑性を考慮すれば平均長軸径は0.0
2〜0.1μmが好ましい。
【0032】本発明に係る針状へマタイト粒子粉末の平
均短軸径は0.005〜0.1μmが好ましい。
【0033】本発明に係る針状へマタイト粒子粉末の平
均短軸径の下限値及び上限値を定めた理由は、上記平均
長軸径の場合と同様である。ビヒクル中における分散性
及び塗膜の表面平滑性を考慮すれば平均短軸径は0.0
1〜0.05μmがより好ましい。
【0034】本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末は、
BET比表面積値が40〜180m /gである。BE
T比表面積値の下限値及び上限値を定めた理由は、上記
平均長軸径の上限値及び下限値と同様である。ビヒクル
中における分散性及び塗膜の表面平滑性を考慮すれば、
BET比表面積値は45〜160m/gが好ましく、
より好ましくは50〜150m/gである。
【0035】本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末の粉
体pH値は8.0以上である。粉体pH値が8.0未満
の場合には、非磁性下地層の上に形成されている磁気記
録層中に含まれる鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉
末を徐々に腐蝕させ、磁気特性の劣化を引き起こす。鉄
を主成分とする針状金属磁性粒子粉末の腐蝕防止効果を
考慮すると、粉体pH値は8.5〜11が好ましく、よ
り好ましくは9.0〜10.5である。
【0036】本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末の可
溶性ナトリウム塩の含有量はNa換算で300ppm以
下である。300ppmを超える場合には、非磁性下地
層の上に形成されている磁気記録層中に含まれる鉄を主
体とする針状金属磁性粒子粉末を徐々に腐蝕させ、磁気
特性の劣化を引き起こす。また、ビヒクル中における針
状ヘマタイト粒子粉末の分散性が害されやすくなった
り、磁気記録媒体の保存状態、特に湿度の高い環境下に
おいては白華現象を生じる場合がある。鉄を主成分とす
る針状金属磁性粒子粉末の腐蝕防止効果を考慮すると、
好ましくは250ppm以下、より好ましくは200p
pm以下、更により好ましくは150ppm以下であ
る。工業的な生産性を考慮すれば、その下限値は0.0
1ppmである。
【0037】本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末の可
溶性硫酸塩の含有量はSO換算で150ppm以下で
ある。150ppmを超える場合には、非磁性下地層の
上に形成されている磁気記録層中に含まれる鉄を主体と
する針状金属磁性粒子粉末を徐々に腐蝕させ、磁気特性
の劣化を引き起こす。また、ビヒクル中における針状ヘ
マタイト粒子粉末の分散性が害されやすくなったり、磁
気記録媒体の保存状態、特に湿度の高い環境下において
は白華現象を生じる場合がある。鉄を主成分とする針状
金属磁性粒子粉末の腐蝕防止効果を考慮すると、好まし
くは100ppm以下、より好ましくは70ppm以
下、更により好ましくは50ppm以下である。工業的
な生産性を考慮すれば、その下限値は0.01ppmで
ある。
【0038】本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末は、
軸比(平均長軸径と平均短軸径の比―以下「軸比」とい
う。)が2〜20が好ましい。軸比が2未満の場合に
は、十分な強度を有する塗膜が得られ難い。軸比が20
を超える場合には、ビヒクル中での粒子の絡み合いが多
くなり、分散性が低下したり、粘度が増加したりするこ
とがある。ビヒクル中における分散性及び得られた塗膜
の強度を考慮すると、より好ましくは3〜10である。
【0039】本発明に係る針状へマタイト粒子粉末の密
度化の程度は、0.5〜2.5が好ましい。密度化の程
度はBET法により測定した比表面積SBET値と電子
顕微鏡写真に示されている粒子から計測された長軸径及
び短軸径から算出した表面積STEM値との比(S
BET/STEM値)で示した。
【0040】SBET/STEM値が0.5未満の場合
には、針状へマタイト粒子粉末の高密度化が達成されて
はいるが、粒子及び粒子相互間の焼結により、粒子径が
増大しており、十分な表面平滑性を有する塗膜が得られ
ない。SBET/STEM値が2.5を超える場合に
は、高密度化が十分ではなく、粒子内部及び粒子表面に
多数の脱水孔が存在するため、ビヒクル中における分散
が不十分となる。ビヒクル中における分散性及び塗膜の
表面平滑性を考慮するとSBET/STEM値は0.7
〜2.0が好ましく、より好ましくは0.8〜1.6で
ある。
【0041】本発明に係る針状へマタイト粒子粉末は、
必要により、粒子表面がアルミニウムの水酸化物、アル
ミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化
物から選ばれる少なくとも1種からなる表面被覆物によ
って被覆されていてもよい。粒子表面が表面被覆物で被
覆されている針状ヘマタイト粒子粉末は、ビヒクル中に
分散させた場合に、結合剤樹脂とのなじみがよく、容易
に所望の分散度が得られ易い。
【0042】前記被覆物の量は、針状へマタイト粒子粉
末に対しアルミニウムの水酸化物やアルミニウムの酸化
物はAl換算で、ケイ素の水酸化物やケイ素の酸化物は
SiO換算で、それぞれ0.01〜50重量%が好ま
しい。0.01重量%未満である場合には、被覆による
分散性向上効果がほとんどなく、50重量%を超える場
合には、被覆効果が飽和するため、必要以上に被覆する
意味がない。ビヒクル中における分散性向上効果及び工
業的な生産性を考慮すれば、0.05〜20重量%がよ
り好ましい。
【0043】アルミニウム化合物とケイ素化合物の両化
合物で被覆されている場合には、針状ヘマタイト粒子粉
末に対し、Al換算量とSiO換算量との総和で0.
01〜50重量%が好ましい。
【0044】本発明に係る表面被覆物で被覆されている
針状へマタイト粒子粉末は、表面被覆物で被覆されてい
ない本発明に係る針状へマタイト粒子粉末とほぼ同程度
の粒子サイズ、幾何標準偏差値、BET比表面積値、軸
比及びSBET/STEM値を有している。また、粉体
pH値、可溶性ナトリウム塩及び可溶性硫酸塩の含有量
についてもほぼ同程度である。
【0045】次に、本発明に係る針状へマタイト粒子粉
末の製造法について述べる。
【0046】本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末は、
第一鉄塩と水酸化アルカリ水溶液、炭酸アルカリ水溶液
又は水酸化アルカリと炭酸アルカリ水溶液との混合水溶
液のいずれかの水溶液を用いて反応して得られる鉄含有
沈殿物を含む懸濁液に空気等の酸素含有ガスを通気し、
出発原料粒子粉末となる針状ゲータイト粒子粉末を生成
させ、該ゲータイト粒子粉末を100〜200℃の温度
範囲で加熱処理した後、更に550〜850℃の温度範
囲で加熱脱水処理し、次いで、該針状へマタイト粒子粉
末を含有する水性懸濁液にアルカリ水溶液を添加してp
H値を13以上のアルカリ性懸濁液とし、80℃〜10
3℃の温度範囲で加熱処理した後、濾過、水洗、乾燥し
て得ることができる。
【0047】本発明における出発原料粒子粉末としての
針状ゲータイト粒子粉末は、長軸径の幾何標準偏差値が
1.70以下、短軸径の幾何標準偏差値が1.50以
下、平均長軸径が0.01〜0.25μm、BET比表
面積値が50〜250m/g、粉体pH値が2〜8、
可溶性ナトリウム塩がNa換算で300〜1500pp
m、可溶性硫酸塩がSO換算で150〜3000pp
mである。好ましくは、平均短軸径が0.005〜0.
125μm、軸比が2〜20である。
【0048】なお、針状ゲータイト粒子の生成反応中
に、粒子の長軸径、短軸径、軸比等の諸特性向上のため
に通常添加されているNi、Zn、P、Si等の異種元
素が添加されていても支障はない。
【0049】加熱処理温度が100℃未満の場合、ゲー
タイト超微粒子を十分に針状ゲータイト粒子に吸収させ
ることが困難であり、粒度が均斉な粒子を得ることがで
きない。200℃を超える場合、ゲータイト超微粒子成
分が存在したまま針状ゲータイト粒子の脱水が始まるた
め、粒子間で焼結が起こり、粒度が均斉な粒子粉末を得
ることができない。工業的な生産性等を考慮すれば加熱
処理温度は好ましくは、120〜200℃である。
【0050】加熱処理の時間は、5〜60分が好まし
い。
【0051】100〜200℃の温度範囲で加熱処理し
た針状ゲータイト粒子粉末は、長軸径の幾何標準偏差値
が1.50以下、短軸径の幾何標準偏差値が1.30以
下、平均長軸径が0.01〜0.2μm、BET比表面
積値が50〜250m/g、粉体pH値が3〜8、可
溶性ナトリウム塩がNa換算で300〜1500pp
m、可溶性硫酸塩がSO換算で150〜3000pp
mである。好ましくは、平均短軸径が0.005〜0.
10μm、軸比が2〜20である。
【0052】加熱脱水処理の温度が550℃未満の場合
には、焼きしめによる高密度化が不十分であるため針状
へマタイト粒子粉末の粒子内部及び粒子表面に脱水孔が
多数存在しており、その結果、ビヒクル中における分散
が不十分となり、非磁性下地層を形成した時、表面平滑
な塗膜が得られにくい。850℃を超える場合には、針
状へマタイト粒子粉末の高密度化は十分なされている
が、粒子及び粒子相互間の焼結が生じるため、粒子径が
増大し、同様に表面平滑な塗膜は得られにくい。加熱温
度の上限値は好ましくは800℃である。
【0053】なお、本発明に係る針状へマタイト粒子粉
末としては、100〜200℃の温度範囲で加熱処理し
た針状ゲータイト粒子粉末を、あらかじめ250〜50
0℃の温度範囲で加熱脱水処理を行い低密度針状ヘマタ
イト粒子粉末を得、次いで、該低密度針状ヘマタイト粒
子粉末を550〜850℃の温度範囲で焼きしめを行う
ことにより得られる高密度針状へマタイト粒子粉末であ
ることが好ましい。
【0054】あらかじめ行う加熱脱水処理の温度が25
0℃未満の場合には、脱水反応に長時間を要する。加熱
脱水温度が500℃を超える場合には、脱水反応が急激
に生起し、粒子の形状が崩れやすくなったり、粒子相互
間の焼結を引き起こす可能性がある。加熱脱水処理して
得られる針状ヘマタイト粒子は、針状ゲータイト粒子か
らHOが脱水され、脱水孔を多数有する低密度粒子で
あり、BET比表面積値が針状ゲータイト粒子粉末の
1.2〜2倍程度となる。
【0055】焼きしめ処理の温度が550℃未満の場合
には、高密度化が不十分であるため針状へマタイト粒子
粉末の粒子内部及び粒子表面に脱水孔が多数存在してお
り、その結果、ビヒクル中における分散が不十分とな
り、非磁性下地層を形成した時、表面平滑な塗膜が得ら
れにくい。850℃を超える場合には、針状へマタイト
粒子粉末の高密度化は十分なされているが、粒子相互間
の焼結が生じるため、粒子径が増大し、同様に表面平滑
な塗膜は得られにくい。加熱温度の上限値は好ましくは
800℃である。
【0056】本発明に係る針状へマタイト粒子粉末は、
550〜850℃の加熱脱水処理又は焼きしめ処理に先
立って、あらかじめ粒子表面を焼結防止剤で被覆処理し
ておくことが好ましい。焼結防止剤による被覆処理は、
出発原料粒子粉末である針状ゲータイト粒子粉末、10
0〜200℃で加熱処理後の針状ゲータイト粒子粉末、
又は該針状ゲータイト粒子粉末を250〜500℃の温
度範囲で加熱脱水処理して得られる低密度針状ヘマタイ
ト粒子粉末を含むいずれかの水懸濁液中に焼結防止剤を
添加し、混合攪拌した後、濾別、水洗、乾燥すればよ
い。
【0057】焼結防止剤としては、通常使用されるヘキ
サメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸、オルトリン酸等
のリン化合物、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウ
ム、メタケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカ等のケイ
素化合物、ホウ酸等のホウ素化合物、酢酸アルミニウ
ム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミ
ニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ソーダ等のア
ルミン酸アルカリ塩、アルミナゾル等のアルミニウム化
合物、硫酸チタニル等のチタン化合物を使用することが
できる。
【0058】針状ヘマタイト粒子粉末を水性懸濁液とす
るに当って、あらかじめ乾式で粗粉砕をして粗粒をほぐ
した後、スラリー化し、次いで、湿式粉砕することによ
り更に粗粒をほぐしておくことが好ましい。湿式粉砕
は、少なくとも44μm以上の粗粒が無くなるようにボ
ールミル、サンドグラインダー、コロイドミル等を用い
て行えばよい。湿式粉砕の程度は44μm以上の粗粒が
10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは0%
である。44μm以上の粗粒が10%を超えて残存して
いると、次工程におけるアルカリ性懸濁液中での加熱処
理の効果が得られ難い。
【0059】アルカリ水溶液は、針状ヘマタイト粒子粉
末を水中へ分散させた針状ヘマタイト粒子粉末を含有す
る水性懸濁液へ添加する。
【0060】針状ヘマタイト粒子粉末を含有する水性懸
濁液中における針状ヘマタイト粒子粉末の濃度は、50
〜250g/lが好ましい。
【0061】アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水
酸化アルカリの水溶液を用いることができる。
【0062】針状ヘマタイト粒子粉末を含有するアルカ
リ性懸濁液中のpH値は13以上である。pH13未満
の場合には、針状へマタイト粒子粉末の粒子表面に存在
する焼結防止剤に起因する固体架橋を効果的に取りはず
すことができず、粒子内部及び粒子表面に存在する可溶
性ナトリウム塩、可溶性硫酸塩等の効果的な洗い出しが
できない。pH値の上限は14である。針状へマタイト
粒子表面に存在する焼結防止剤に起因する固体架橋の取
りはずしや可溶性ナトリウム塩、可溶性硫酸塩等の洗い
出しの効果、更には、アルカリ性懸濁液中の加熱処理に
おいて針状へマタイト粒子表面に付着したナトリウム等
のアルカリを除去するための洗浄効果を考慮すれば、p
H値は13.1〜13.8の範囲が好ましい。
【0063】前記針状ヘマタイト粒子粉末を含有するア
ルカリ性懸濁液の加熱温度は、80〜103℃である。
80℃未満の場合には、針状へマタイト粒子表面に存在
する焼結防止剤に起因する固体架橋を効果的に取りはず
すことが困難となる。103℃を超える場合には、固体
架橋は効果的に取りはずすことはできるが、オートクレ
ーブ等が必要となったり、常圧下においては被処理液が
沸騰するなど工業的に不利となる。より好ましくは90
〜100℃である。
【0064】アルカリ性懸濁液中で加熱処理した針状ヘ
マタイト粒子粉末は、常法によって、濾別、水洗するこ
とにより、粒子内部及び粒子表面から洗い出した可溶性
ナトリウム塩及び可溶性硫酸塩やアルカリ性懸濁液処理
中に針状へマタイト粒子表面に付着したナトリウム等の
アルカリを除去し、次いで、乾燥する。
【0065】水洗は、デカンテーションによって洗浄す
る方法、フィルターシックナーを使用して希釈法で洗浄
する方法、フィルタープレスに通水して洗浄する方法等
の工業的に通常使用されている方法を行えばよい。
【0066】なお、針状ヘマタイト粒子粉末の粒子内部
に含有されている可溶性ナトリウム塩や可溶性硫酸塩を
洗い出しておけば、それ以降の工程、例えば、後出する
被覆処理工程において針状ヘマタイト粒子粉末の粒子表
面に可溶性ナトリウム塩や可溶性硫酸塩が付着しても水
洗により容易に除去することができる。
【0067】次に、本発明に係る表面被覆物で被覆され
ている針状ヘマタイト粒子粉末の表面被覆処理は、本発
明に係る針状ヘマタイト粒子粉末を水溶液中に分散して
得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ素化合
物又は当該両化合物を添加して混合攪拌することによ
り、または、必要により、混合攪拌後にpH値を調整す
ることにより、前記針状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面
に、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、
ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物を被覆すればよ
く、次いで、濾別、水洗、乾燥、粉砕する。必要によ
り、更に、脱気・圧密処理等を行ってもよい。
【0068】表面被覆処理に用いるアルミニウム化合物
及びケイ素化合物としては、前出焼結防止剤として用い
ているアルミニウム化合物及びケイ素化合物と同じもの
が使用できる。
【0069】次に、本発明に係る磁気記録媒体について
述べる。
【0070】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持
体、該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層及び該
非磁性下地層上に形成された磁気記録層とからなる。
【0071】前記非磁性支持体としては、現在、磁気記
録媒体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポ
リエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミ
ド、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、
ステンレス等金属の箔や板および各種の紙を使用するこ
とができる。その厚みは、その材質により種々異なる
が、通常好ましくは1.0〜300μm、より好ましく
は2.0〜200μmである。磁気ディスクの場合、非
磁性支持体としてはポリエチレンテレフタレートが通常
用いられ、その厚みは、通常50〜300μm、好まし
くは60〜200μmである。磁気テープの場合は、ポ
リエチレンテレフタレートの場合、その厚みは、通常3
〜100μm、好ましくは4〜20μm、ポリエチレン
ナフタレートの場合、その厚みは、通常3〜50μm、
好ましくは4〜20μm、ポリアミドの場合、その厚み
は、通常2〜10μm、好ましくは3〜7μmである。
【0072】本発明における非磁性下地層は、本発明に
係る針状へマタイト粒子粉末又は本発明に係る表面被覆
物で被覆されている針状へマタイト粒子粉末と結合剤樹
脂とからなる。
【0073】結合剤樹脂としては、現在、磁気記録媒体
の製造に当って汎用されている塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−マ
レイン酸共重合体、ウレタンエラストマー、ブタジエン
−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、
ニトロセルロース等セルロース誘導体、ポリエステル樹
脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂、エポキシ樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリイソシアネート、電子線硬化
型アクリルウレタン樹脂等とその混合物を使用すること
ができる。また、各結合剤樹脂には−OH、−COO
H、−SOM、−OPO、−NH等の極性基
(但し、MはH、Na、Kである。)が含まれていても
よい。本発明に係る針状へマタイト粒子粉末のビヒクル
中における分散性を考慮すれば、極性基として−COO
H、−SOMが含まれている結合剤樹脂が好ましい。
【0074】本発明に係る針状へマタイト粒子粉末又は
本発明に係る表面被覆物で被覆されている針状へマタイ
ト粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂1
00重量部に対し、針状へマタイト粒子粉末が5〜20
00重量部、好ましくは100〜1000重量部であ
る。
【0075】非磁性支持体上に形成された非磁性下地層
の塗膜厚さは、0.2〜10μmである。0.2μm未
満の場合には、非磁性支持体の表面粗さを改善すること
が困難となり、塗膜の強度も不十分となりやすい。磁気
記録媒体の薄層化及び塗膜の強度を考慮すれば、塗膜厚
さはより好ましくは0.5〜5μmである。
【0076】なお、非磁性下地層に、通常の磁気記録媒
体の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等
を、必要により、添加してもよい。
【0077】粒子表面が前記表面被覆物によって被覆さ
れていない本発明に係る針状へマタイト粒子粉末を用い
た非磁性下地層は、塗膜の光沢度が196〜300%、
好ましくは200〜300%、より好ましくは204〜
300%であって、塗膜表面粗度Raが0.5〜8.2
nm、好ましくは0.5〜7.9nmであって、より好
ましくは0.5〜7.4nm、塗膜の強度は、ヤング率
(相対値)が120〜160、好ましくは123〜16
0である。
【0078】粒子表面が前記表面被覆物によって被覆さ
れている本発明に係る針状へマタイト粒子粉末を用いた
非磁性下地層は、塗膜の光沢度が198〜300%、好
ましくは202〜300%、より好ましくは206〜3
00%であって、塗膜表面粗度Raが0.5〜8.0n
m、好ましくは0.5〜7.5nm、より好ましくは
0.5〜7.0nmであって、塗膜の強度は、ヤング率
(相対値)が122〜160、好ましくは126〜16
0である。
【0079】本発明における磁気記録層は、鉄を主成分
とする針状金属磁性粒子粉末と結合剤樹脂とからなる。
【0080】本発明における鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子粉末は、鉄を50〜99重量%、好ましくは6
0〜95重量%含有している粒子粉末であり、必要によ
り、鉄以外のAl、Co、Ni、P、Si、B、Nd、
La、Y等を0.05〜10重量%程度含有していても
よい。
【0081】殊に、アルミニウムを含有した鉄を主成分
とする針状金属磁性粒子粉末を使用して本発明に係る磁
気記録媒体を製造した場合には、より耐久性に優れた磁
気記録層や磁気記録媒体を得ることができる。アルミニ
ウムの含有量はFeに対してAl換算で0.05〜10
重量%が好ましい。
【0082】Feに対してAl換算で0.05重量%以
上のアルミニウムを含有する鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子粉末を使用して本発明に係る磁気記録媒体を製
造した場合には、アルミニウムを含有する鉄を主成分と
する針状金属磁性粒子粉末の樹脂吸着強度が向上するた
め、耐久性がより向上する。10重量%を超える場合に
は、磁気記録媒体は十分な耐久性を有しており、必要以
上に存在させる意味がない。また、非磁性成分であるア
ルミニウムの増加により鉄を主成分とする針状金属磁性
粒子粉末の磁気特性が損なわれる。
【0083】なお、AlとNd、La、Y等の希土類金
属とを含有している鉄を主成分とする針状金属磁性粒子
粉末を使用して、磁気記録媒体を製造した場合には、よ
り耐久性に優れた磁気記録媒体を得ることができる。殊
に、AlとNdとを含有している鉄を主成分とする針状
金属磁性粒子粉末がより好ましい。
【0084】鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末
は、平均長軸径が0.01〜0.5μm、好ましくは
0.03〜0.3μmである。該粒子粉末の粒子の形状
は針状が好ましい。ここで「針状」とは、文字通りの針
状はもちろん、紡錘状や米粒状などを含む意味である。
【0085】鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末の
軸比は3以上、好ましくは5以上であり、ビヒクル中に
おける分散性を考慮すれば、その上限値は15であり、
好ましくは10である。
【0086】特に、アルミニウムを含有する鉄を主成分
とする針状金属磁性粒子粉末の樹脂吸着強度は65%以
上であり、好ましくは68%以上であり、より好ましく
は70%以上である。
【0087】鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末の
磁気特性は、保磁力値が800〜3500Oe、好まし
くは900〜3500Oe、飽和磁化値が90〜170
emu/g、好ましくは100〜170emu/gであ
る。
【0088】結合剤樹脂としては、前記非磁性下地層を
形成するために用いた結合剤樹脂を使用することができ
る。
【0089】非磁性下地層上に設けられた磁気記録層の
塗膜厚さは、0.01〜5μmの範囲である。0.01
μm未満の場合には、均一な塗布が困難であり、塗りむ
ら等の現象が出やすくなるため好ましくない。5μmを
超える場合には、反磁界の影響のため、所望の電磁変換
特性が得られにくくなる。好ましくは0.05〜1μm
の範囲である。
【0090】鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末と
結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に
対し、磁性粒子粉末が200〜2000重量部、好まし
くは300〜1500重量部である。
【0091】磁気記録層中には、通常用いられる潤滑
剤、研磨剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0092】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性下地
層用非磁性粒子粉末として表面被覆物によって被覆され
ていない本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末を用いた
場合には、保磁力値が800〜3500Oe、好ましく
は900〜3500Oe、角形比(残留磁束密度Br/
飽和磁束密度Bm)が0.87〜0.95、好ましくは
0.88〜0.95、塗膜の光沢度が197〜300
%、好ましくは202〜300%、塗膜表面粗度Raが
8.2nm以下、好ましくは2.0〜7.9nm、より
好ましくは2.0〜7.4nm、ヤング率が126〜1
60、好ましくは130〜160、耐久性のうち走行耐
久性は19分以上、好ましくは21分以上、すり傷特性
はA又はB、好ましくはA、耐腐蝕性のうち、保磁力値
の変化率(%)で示す耐腐蝕性が10.0%以下、好ま
しくは9.5%以下、飽和磁束密度値の変化率(%)で
示す耐腐蝕性が10.0%以下、好ましくは9.5%以
下である。
【0093】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性下地
層用非磁性粒子粉末として表面被覆物によって被覆され
ている本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末を用いた場
合には、保磁力値が800〜3500Oe、好ましくは
900〜3500Oe、角形比(残留磁束密度Br/飽
和磁束密度Bm)が0.87〜0.95、好ましくは
0.88〜0.95、塗膜の光沢度が200〜300
%、好ましくは205〜300%、塗膜表面粗度Raが
8.0nm以下、好ましくは2.0〜7.7nm、より
好ましくは2.0〜7.2nm、ヤング率が128〜1
60、好ましくは132〜160、耐久性のうち走行耐
久性は22分以上、好ましくは24分以上、すり傷特性
はA又はB、好ましくはA、耐腐蝕性のうち、保磁力値
の変化率(%)で示す耐腐蝕性が10.0%以下、好ま
しくは9.5%以下、飽和磁束密度値の変化率(%)で
示す耐腐蝕性が10.0%以下、好ましくは9.5%以
下である。
【0094】磁気記録媒体の耐久性を考慮して、磁性粒
子粉末としてアルミニウムを含有した鉄を主成分とする
針状金属磁性粒子粉末を用い、非磁性下地層用非磁性粒
子粉末として表面被覆物によって被覆されていない本発
明に係る針状ヘマタイト粒子粉末を用いた場合には、保
磁力値が800〜3500Oe、好ましくは900〜3
500Oe、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度
Bm)が0.87〜0.95、好ましくは0.88〜
0.95、塗膜の光沢度が200〜300%、好ましく
は205〜300%、塗膜表面粗度Raが8.0nm以
下、好ましくは2.0〜7.7nm、より好ましくは
2.0〜7.2nm、ヤング率が128〜160、好ま
しくは132〜160、耐久性のうち走行耐久性は24
分以上、好ましくは26分以上、すり傷特性はB又は
A、好ましくはA、耐腐蝕性のうち、保磁力値の変化率
(%)で示す耐腐蝕性が10.0%以下、好ましくは
9.5%以下、飽和磁束密度値の変化率(%)で示す耐
腐蝕性が10.0%以下、好ましくは9.5%以下であ
る。
【0095】磁性粒子粉末としてアルミニウムを含有す
る鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末を用い、非磁
性下地層用非磁性粒子粉末として表面被覆物によって被
覆されている本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末を用
いた場合には、保磁力値が800〜3500Oe、好ま
しくは900〜3500Oe、角形比(残留磁束密度B
r/飽和磁束密度Bm)が0.87〜0.95、好まし
くは0.88〜0.95、塗膜の光沢度が202〜30
0%、好ましくは207〜300%、塗膜表面粗度Ra
が7.8nm以下、好ましくは2.0〜7.5nm、よ
り好ましくは2.0〜7.0nm、ヤング率が130〜
160、好ましくは134〜160、耐久性のうち走行
耐久性は25分以上、好ましくは27分以上、すり傷特
性はB又はA、好ましくはA、耐腐蝕性のうち、保磁力
値の変化率(%)で示す耐腐蝕性が10.0%以下、好
ましくは9.5%以下、飽和磁束密度値の変化率(%)
で示す耐腐蝕性が10.0%以下、好ましくは9.5%
以下である。
【0096】なお、前記非磁性下地層及び前記磁気記録
層の形成に当って用いる溶剤としては、磁気記録媒体に
汎用されているメチルエチルケトン、トルエン、シクロ
ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフ
ラン及びその混合物等を使用することができる。
【0097】溶剤の使用量は、粒子粉末100重量部に
対しその総量で65〜1000重量部である。65重量
部未満では塗料とした場合に粘度が高くなりすぎ塗布が
困難となる。1000重量部を超える場合には、塗膜を
形成する際の溶剤の揮発量が多くなりすぎ工業的に不利
となる。
【0098】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0099】粒子の平均長軸径、平均短軸径は、電子顕
微鏡写真(×30,000)を縦方向及び横方向にそれ
ぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個につ
いて長軸径、短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示
した。
【0100】軸比は、平均長軸径と平均短軸径との比で
示した。
【0101】粒子の長軸径及び短軸径(以下、「粒子
径」という。)の粒度分布は、下記の方法により求めた
幾何標準偏差値で示した。
【0102】即ち、上記拡大写真に示される粒子の粒子
径を測定した値を、その測定値から計算して求めた粒子
の実際の粒子径と個数から統計学的手法に従って対数正
規確率紙上に横軸に粒子径を、縦軸に所定の粒子径区間
のそれぞれに属する粒子の累積個数(積算フルイ下)を
百分率でプロットする。そして、このグラフから粒子の
個数が50%及び84.13%のそれぞれに相当する粒
子径の値を読みとり、幾何標準偏差値=積算フルイ下8
4.13%における粒子径/積算フルイ下50%におけ
る粒子径(幾何平均径)に従って算出した値で示した。
幾何標準偏差値が1に近い程、粒子の粒度分布が優れて
いることを意味する。
【0103】比表面積値はBET法により測定した値で
示した。
【0104】針状ヘマタイト粒子粉末及び鉄を主成分と
する針状金属磁性粒子粉末の粒子内部や粒子表面に存在
するAl量、Si量、P量及びNd量のそれぞれは「蛍
光X線分析装置3063M型」(理学電機工業(株)
製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析
通則」に従って測定した。
【0105】粉体pH値は、試料5gを300mlの三
角フラスコに秤り取り、煮沸した純水100mlを加
え、加熱して煮沸状態を約5分間保持した後、栓をして
常温まで放冷し、減量に相当する水を加えて再び栓をし
て1分間振り混ぜ、5分間静置した後、得られた上澄み
液のpH値をJIS Z 8802−7に従って測定
し、得られた値を粉体pH値とした。
【0106】可溶性ナトリウム塩及び可溶性硫酸塩の含
有量は、上記粉体pH値の測定用に作製した上澄み液を
No.5Cの濾紙を用いて濾過し、濾液中のNa及び
SO 2−を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(セイ
コー電子工業株式会社製)を用いて測定した。
【0107】針状へマタイト粒子粉末の密度化の程度
は、前述した通り、SBET/STE 値で示した。こ
こで、SBET値は、上記BET法により測定した比表
面積の値である。STEM値は、前記電子顕微鏡写真か
ら測定した粒子の平均長軸径lcm、平均短軸径wcm
を用いて粒子を直方体と仮定して数1に従って算出した
値である。
【0108】
【数1】STEM値(m/g)=〔(4lw+2
)/(lw・ρ)〕×10−4 (但し、ρはへマタイト粒子の真比重であり、5.2
g/cmを用いた。)
【0109】樹脂吸着強度は、樹脂が針状へマタイト粒
子粉末に吸着される程度を示すものであり、下記の方法
により求めた値が100に近いほど樹脂が針状へマタイ
ト粒子粉末の粒子表面に強く吸着されていることを示
す。
【0110】先ず、樹脂吸着量Waを求める。被測定粒
子粉末20gとスルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビ
ニル樹脂2gを溶解させた混合溶剤とを3mmφスチー
ルビーズ120gとともに100mlポリビンに入れ、
60分間ペイントシェーカーで混合分散する。
【0111】次に、この塗料組成物50gを取り出し5
0mlの沈降管に入れ回転数10000rpmで15分
間遠心分離を行い、固形部分と溶剤部分とを分離する。
そして、溶剤部分に含まれる樹脂固形分濃度を重量法に
よって定量し、仕込みの樹脂量との差し引きにより、固
形部分に存在する樹脂量を求め。これを粒子に対する樹
脂吸着量Wa(mg/g)とする。
【0112】次に、先に分離した固形部分のみを100
mlトールビーカーに全量取り出し、これに混合溶剤
(メチルエチルケトン25g、トルエン15g、シクロ
ヘキサノン10g)50gを加え、15分間超音波分散
を行って懸濁状態とした後、50ml沈降管に入れ回転
数10000rpmで15分間遠心分離を行い、固形部
分と溶剤部分とを分離する。そして、溶剤部分の樹脂固
形分濃度を測定することによって、粒子表面に吸着して
いた樹脂のうち溶剤相に抽出された樹脂量を定量する。
【0113】更に、上記固形部分のみの100mlトー
ルビーカーへの全量取り出しから溶剤相に溶け出した樹
脂量の定量までの操作を2回繰り返し、合計3回の溶剤
相中における樹脂の抽出量の総和We(mg/g)を求
め、数2に従って求めた値を樹脂吸着強度(%)とし
た。
【0114】
【数2】樹脂吸着強度(%)=〔(Wa−We)/W
a〕×100
【0115】塗料粘度は、得られた塗料の25℃におけ
る塗料粘度を、E型粘度計EMD−R(株式会社東京計
器製)を用いて測定し、ずり速度D=1.92sec
−1における値で示した。
【0116】非磁性下地層及び磁気記録層の塗膜表面の
光沢度は、「グロスメーターUGV−5D」(スガ試験
機株式会社製)を用いて塗膜の45°光沢度を測定して
求めた。
【0117】表面粗度Raは、「Surfcom−57
5A」(東京精密株式会社製)を用いて塗布膜の中心線
平均粗さを測定した。
【0118】鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末及
び磁気記録媒体の磁気特性は、「振動試料型磁力計VS
M−3S−15」(東英工業株式会社製)を使用し、外
部磁場10KOeまでかけて測定した。
【0119】磁気記録媒体の耐久性については、次に示
す走行耐久性とすり傷特性を評価した。
【0120】走行耐久性は、「Media Durab
ility Tester MDT−3000」(St
einberg Associates社製)を用い
て、負荷200gw、ヘッドとテープとの相対速度16
m/sにおける実可動時間で評価した。実可動時間が長
い程走行耐久性が良いことを示す。
【0121】すり傷特性は、走行後のテープの表面を顕
微鏡で観察し、すり傷の有無を目視で評価し、下記の4
段階の評価を行った。 A:すり傷なし B:すり傷若干有り C:すり傷有り D:ひどいすり傷有り
【0122】塗膜の強度は、「オートグラフ」(株式会
社島津製作所製)を用いて塗膜のヤング率を測定して求
めた。ヤング率は市販ビデオテープ「AV T−120
(日本ビクター株式会社製)」との相対値で表した。相
対値が高いほど塗膜の強度が良好であることを示す。
【0123】磁気記録層中の鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気記録媒体の磁気特性の経
時変化は、磁気記録媒体を温度60℃、相対湿度90%
の環境下に14日間放置し、放置前後の保磁力値及び飽
和磁束密度値を測定し、その変化量を放置前の値で除し
た値を変化率として百分率で示した。
【0124】磁気記録媒体を構成する非磁性支持体、非
磁性下地層及び磁気記録層の各層の厚みは、次の通りの
測定手法によって測定した。
【0125】デジタル電子マイクロメーターK351C
(安立電気株式会社製)を用いて、先ず、非磁性支持体
の膜厚(A)を測定する。次に、非磁性支持体と該非磁
性支持体上に形成された非磁性下地層との厚み(B)
(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みとの総和)
を同様にして測定する。更に、非磁性下地層上に磁気記
録層を形成することにより得られた磁気記録媒体の厚み
(C)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁
気記録層の厚みとの総和)を同様にして測定する。そし
て、非磁性下地層の厚みは(B)−(A)で示し、磁気
記録層の厚みは(C)−(B)で示した。
【0126】<紡錘状ヘマタイト粒子粉末の製造>硫酸
第一鉄水溶液と炭酸ナトリウム水溶液とを用いて得られ
た紡錘状ゲータイト粒子粉末(平均長軸径0.0812
μm、長軸径の幾何標準偏差値1.53、平均短軸径
0.0110μm、短軸径の幾何標準偏差値1.33、
軸比7.4、BET比表面積値168.9m/g、粉
体pH値6.8、可溶性ナトリウム塩(Na換算)12
12ppm及び可溶性硫酸塩(SO換算)1816p
pm)1200gを水中に懸濁させてスラリーとし、固
形分濃度を8g/lに調整した。このスラリー150l
を加熱し、温度を60℃とし、0.1NのNaOH水溶
液を加えてスラリーのpH値を10.0に調整した。
【0127】次に、上記アルカリ性スラリー中に、焼結
防止剤として3号水ガラス36.0gを徐々に加え、添
加が終わった後、60分間熟成を行った。次に、このス
ラリーに0.1Nの酢酸溶液を加え、スラリーのpH値
を6.0に調整した。その後、常法により、濾別、水
洗、乾燥、粉砕を行い、ケイ素の酸化物が粒子表面に被
覆されている紡錘状ゲータイト粒子粉末を得た。ケイ素
の含有量はSiO換算で0.78重量%であった。
【0128】得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末を金属
製の熱処理炉に入れ、150℃で30分間加熱処理を行
い、紡錘状ゲータイト粒子粉末中に含まれるゲータイト
超微粒子を紡錘状ゲータイト粒子に吸収させた。
【0129】得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末は、平
均長軸径0.0813μm、長軸径の幾何標準偏差値
1.38、平均短軸径0.0110μm、短軸径の幾何
標準偏差値1.17、軸比7.4、BET比表面積値1
90.6m/g、粉体pH値7.5、可溶性ナトリウ
ム塩(Na換算)809ppm及び可溶性硫酸塩(SO
換算)421ppmであった。ケイ素の含有量はSi
換算で0.78重量%であった。
【0130】次いで、得られた紡錘状ゲータイト粒子粉
末を再度、金属製の熱処理炉に入れ、320℃で30分
間加熱脱水処理を行い、紡錘状ゲータイト粒子粉末を脱
水して、低密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末を得た。得ら
れた低密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末は、平均長軸径
0.0736μm、長軸径の幾何標準偏差値1.38、
平均短軸径0.0118μm、短軸径の幾何標準偏差値
1.16、軸比6.2、BET比表面積値190.3m
/g、SBET/STEM値2.70、粉体pH値
6.1、可溶性ナトリウム塩(Na換算)1826pp
m及び可溶性硫酸塩(SO換算)2512ppmであ
った。ケイ素の含有量はSiO換算で0.78重量%
であった。
【0131】次に、上記低密度紡錘状ヘマタイト粒子粉
末850gをセラミック製の回転炉に投入し、回転駆動
させながら空気中650℃で30分間熱処理を行い、脱
水孔の封孔処理を行った。高密度化された紡錘状ヘマタ
イト粒子粉末は、平均長軸径0.0727μm、長軸径
の幾何標準偏差値1.38、平均短軸径0.0120μ
m、短軸径の幾何標準偏差値1.17、軸比6.1、B
ET比表面積値86.8m/g、SBET/STEM
値1.25、粉体pH値5.8、可溶性ナトリウム塩
(Na換算)2121ppm及び可溶性硫酸塩(SO
換算)2832ppmであった。ケイ素の含有量はSi
換算で0.87重量%であった。
【0132】<紡錘状ヘマタイト粒子粉末のアルカリ性
懸濁液中の加熱処理>得られた高密度紡錘状ヘマタイト
粒子粉末800gを奈良式粉砕機で粗粉砕した後、純水
4.7lに投入し、ホモミキサー(特殊機化工業株式会
社製)を用いて60分間解膠した。
【0133】次に、得られた高密度紡錘状ヘマタイト粒
子粉末のスラリーを横型SGM(ディスパマットSL:
エスシー・アディケム株式会社製)で循環しながら、軸
回転数2000rpmのもとで3時間混合・分散した。
得られたスラリー中の紡錘状ヘマタイト粒子粉末の32
5mesh(目開き44μm)における篩残分は0%で
あった。
【0134】得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末の水洗
スラリーに水を添加して濃度を50g/lとし、スラリ
ーを5lを採取した。このスラリーを攪拌しながら、6
NのNaOH水溶液を加えてスラリーのpH値を13.
4に調整した。次に、このスラリーを攪拌しながら加熱
して95℃まで昇温し、その温度で3時間保持した。
【0135】次に、このスラリーをデカンテーション法
により水洗し、pH値が10.5のスラリーとした。正
確を期すため、この時点でのスラリー濃度を確認したと
ころ98g/lであった。
【0136】次に、得られた水洗スラリー1lをブフナ
ーロートを用いて濾別し、純水を通水して濾液の電導度
が30μs以下になるまで水洗し、その後、常法によっ
て乾燥させた後、粉砕して、目的とする紡錘状ヘマタイ
ト粒子粉末を得た。得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末
は、平均長軸径0.0726μm、長軸径の幾何標準偏
差値1.38、平均短軸径0.0120μm、短軸径の
幾何標準偏差値1.17、軸比6.1、BET比表面積
値(SBET)86.2m/g、SBET/STEM
値1.24、粉体pH値9.0、可溶性ナトリウム塩の
含有量がNa換算で86ppm及び可溶性硫酸塩の含有
量がSO換算で32ppmであった。
【0137】<非磁性下地層の形成>得られた高密度紡
錘状ヘマタイト粒子粉末と結合剤樹脂及び溶剤とを混合
し、固形分率75重量%でプラストミルを用いて30分
間混練した。しかる後、所定量の混練物を取り出し、ガ
ラスビンにガラスビーズ及び溶剤とともに添加し、ペイ
ントコンディショナーで6時間混合・分散を行った。
【0138】得られた非磁性塗料の組成は、下記の通り
であった。
【0139】 紡錘状ヘマタイト粒子粉末: 100重量部、 スルホン酸ナトリウム基を有する 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂: 10重量部、 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂: 10重量部、 シクロヘキサノン: 44.6重量部、 メチルエチルケトン: 111.4重量部、 トルエン: 66.9重量部。
【0140】得られた非磁性塗料の塗料粘度は、435
cPであった。
【0141】得られた非磁性塗料を厚さ14μmのポリ
エチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを
用いて55μmの厚さに塗布し、次いで、乾燥させるこ
とにより非磁性下地層を形成した。
【0142】得られた非磁性下地層の厚みは3.4μ
m、光沢は208%、表面粗度Raは6.4nm、ヤン
グ率は134であった。
【0143】<磁気記録層の形成>鉄を主成分とする針
状金属磁性粒子粉末(平均長軸径0.103μm、平均
短軸径0.0152μm、軸比6.8、保磁力値191
0Oe、飽和磁化値136emu/g)と結合剤樹脂及
び溶剤とを混合し、固形分率78重量%でプラストミル
を用いて30分間混練して混練物を得た。この混練物を
ガラスビンにガラスビーズ及び溶剤とともに添加し、ペ
イントコンディショナーで6時間混合・分散を行った。
【0144】その後、研磨剤、潤滑剤及び硬化剤とを加
え、更に、15分間混合・分散した。得られた磁性塗料
の組成は下記の通りであった。
【0145】 鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末: 100重量部、 スルホン酸ナトリウム基を有する 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂: 10重量部、 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂: 10重量部、 研磨剤(AKP−30): 10重量部、 カーボンブラック #3250B: 1.0重量部、 潤滑剤(ミリスチン酸:ステアリン酸ブチル=1:2): 3.0重量部、 硬化剤(ポリイソシアネート): 5重量部、 シクロヘキサノン: 64.9重量部、 メチルエチルケトン: 162.2重量部、 トルエン: 97.3重量部。
【0146】得られた磁性塗料を前記非磁性下地層の上
にアプリケーターを用いて15μmの厚さに塗布した
後、磁場中において配向・乾燥し、次いで、カレンダー
処理を行った後、60℃で24時間硬化反応を行い0.
5インチ幅にスリットして磁気テープを得た。
【0147】得られた磁気記録層の膜厚は1.0μmで
あった。
【0148】得られた磁気テープのHcは1991O
e、角型比(Br/Bm)は0.88、光沢度は235
%、表面粗度Raは5.8nm、ヤング率は137であ
った。耐久性のうち走行耐久性は、29.8分、すり傷
特性はAであった。
【0149】磁気テープの磁気特性の経時変化は、保磁
力値については4.6%、飽和磁束密度値は3.8%で
あった。
【0150】
【作用】本発明において重要な点は、加熱脱水処理に先
立って、針状ゲータイト粒子粉末を100〜200℃の
温度範囲で加熱処理し、該ゲータイト粒子粉末を加熱脱
水処理又は250〜500℃の加熱脱水処理及び焼きし
め処理を行って針状ヘマタイト粒子粉末とした後、該針
状へマタイト粒子粉末の懸濁液をアルカリ性懸濁液中で
加熱処理することにより、長軸径の幾何標準偏差値が
1.50以下であって、短軸径の幾何標準偏差値が1.
30以下である粒度が均斉な、殊に短軸径の粒度が均斉
であって、且つ、粉体pH値が8.0以上、可溶性ナト
リウム塩の含有量がNa換算で300ppm以下、可溶
性硫酸塩の含有量がSO換算で150ppm以下であ
る針状へマタイト粒子粉末を得ることができるという事
実である。
【0151】本発明に係る粒度が均斉な針状ヘマタイト
粒子粉末が得られる理由について、本発明者は、針状ゲ
ータイト粒子粉末を、100〜200℃の温度範囲で加
熱処理することにより、ゲータイト超微粒子が針状ゲー
タイト粒子に吸収されるため、超微粒子成分が少なく、
長軸径の粒度が均斉であるとともに短軸径の粒度も均斉
である針状ゲータイト粒子粉末が得られるとともに、ゲ
ータイト超微粒子成分が減少することによって、その後
の加熱脱水処理においてゲータイト超微粒子に起因する
粒子相互間の焼結が起こりにくいことにより、針状ゲー
タイト粒子粉末の均斉な粒度を保持した針状ヘマタイト
粒子粉末を得ることができるためと考えている。
【0152】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性下地
層用非磁性粒子粉末として本発明に係る針状ヘマタイト
粒子粉末を用いた場合、優れた表面平滑性を有し、且
つ、磁気記録層中に分散されている鉄を主成分とする針
状金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣化を抑制
することができる。
【0153】本発明に係る磁気記録媒体の表面平滑性が
向上する理由について、本発明者は、本発明に係る針状
ヘマタイト粒子粉末の長軸径の幾何標準偏差値が1.5
0以下、短軸径の幾何標準偏差値が1.30以下であ
り、粗大な粒子や微細な粒子の存在が少ない均斉な粒子
であること及びBET比表面積値が40〜180m
gであり、粒子内部及び粒子表面に脱水孔が少ない粒子
であることの相乗効果により、ビヒクル中での分散性が
より向上したこと、また、針状ヘマタイト粒子相互を強
固に架橋して凝集させる原因となっている可溶性ナトリ
ウム塩や可溶性硫酸塩を十分水洗除去することができた
ことに起因して、凝集物が解きほぐされて、実質的に独
立している粒子とすることができ、その結果、得られる
非磁性下地層の表面平滑性も更に向上したものと考えて
いる。
【0154】また、本発明に係る磁気記録媒体の磁気記
録層中に分散されている鉄を主成分とする針状金属磁性
粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣化が抑制されている
理由として、本発明者は、金属の腐蝕を促進する可溶性
ナトリウム塩や可溶性硫酸塩等の可溶性分が本発明に係
る針状ヘマタイト粒子粉末中に少ないこと及び針状ヘマ
タイト粒子粉末自体の粉体pH値が8以上と高いことに
起因して、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末の腐
蝕の進行が抑制できたものと考えている。
【0155】殊に、磁性粒子粉末としてアルミニウムを
含有している鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末を
用いた磁気記録媒体の耐久性がより向上する理由につい
て、本発明者は、アルミニウムが存在している鉄を主成
分とする針状金属磁性粒子粉末とビヒクル中における結
合剤樹脂との樹脂吸着強度が高まり、その結果、磁気記
録層中における磁性粒子粉末と結合剤樹脂との密着度や
磁気記録層自体の非磁性下地層に対する密着度が高まっ
たこと等によるものと考えている。
【0156】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0157】ゲータイト粒子1〜2 出発原料粒子粉末として、表1に示す特性を有する針状
ゲータイト粒子粉末1及び2を準備した。
【0158】
【表1】
【0159】ゲータイト粒子3〜5 出発原料粒子の種類、焼結防止剤の種類及び量を種々変
化させた以外は、前記本発明の発明の実施の形態と同様
にして焼結防止処理を行った針状ゲータイト粒子粉末を
得た。
【0160】得られた針状ゲータイト粒子粉末の諸特性
を表2に示す。
【0161】
【表2】
【0162】<加熱処理> ゲータイト粒子6〜9 出発原料粒子の種類、加熱処理における温度及び時間を
種々変化させた以外は前記発明の実施の形態と同様にし
て針状ゲータイト粒子粉末を得た。
【0163】この時の主要製造条件を表3に、得られた
針状ゲータイト粒子粉末の諸特性を表4に示す。
【0164】
【表3】
【0165】
【表4】
【0166】<低密度針状へマタイト粒子粉末の製造> ヘマタイト粒子1〜4 ゲータイト粒子の種類及び加熱脱水処理における温度及
び時間を種々変化させた以外は前記発明の実施の形態と
同様にして低密度針状ヘマタイト粒子粉末を得た。
【0167】この時の主要製造条件を表5に、得られた
低密度針状へマタイト粒子粉末の諸特性を表6に示す。
【0168】
【表5】
【0169】
【表6】
【0170】ヘマタイト粒子5〜8及び比較例1〜5 被処理粒子の種類、高温加熱処理における温度及び時間
を種々変化させた以外は前記発明の実施の形態と同様に
して針状ヘマタイト粒子粉末を得た。
【0171】この時の主要製造条件を表7に、得られた
針状へマタイト粒子粉末の諸特性を表8に示す。
【0172】
【表7】
【0173】
【表8】
【0174】<アルカリ溶液中の加熱処理> 実施例1〜4及び参考例1、2 被処理粒子の種類、アルカリ性懸濁液中加熱処理のpH
値、温度及び時間を種々変化させた以外は前記発明の実
施の形態と同様にして針状ヘマタイト粒子粉末を得た。
【0175】この時の主要製造条件を表9に、得られた
針状へマタイト粒子粉末の諸特性を表10に示す。
【0176】
【表9】
【0177】
【表10】
【0178】比較例6 (特願平9−369364号公
報の追試実験例) <高密度針状ヘマタイト粒子粉末の製造>ゲータイト粒
子粉末5(出発原料粒子粉末)1000gを、ステンレ
ス製回転炉に投入し、回転駆動させながら空気中で34
0℃で30分間熱処理を行って加熱脱水し、低密度針状
ヘマタイト粒子粉末を得た。得られた低密度針状ヘマタ
イト粒子粉末は、平均長軸径が0.0839μm、長軸
径の幾何標準偏差値が1.52、平均短軸径が0.01
34μm、短軸径の幾何標準偏差値が1.38、軸比が
6.3、BET比表面積値が213.6m/g、S
BET/STEM値が3.45、粉体pH値が7.8、
可溶性ナトリウム塩の含有量がNa換算で1651pp
m、可溶性硫酸塩の含有量がSO換算で724pp
m、ケイ素の含有量はSiO換算で1.21重量%で
あった。
【0179】次に、上記低密度針状ヘマタイト粒子粉末
850gをセラミック製の回転炉に投入し、回転駆動さ
せながら空気中630℃で20分間熱処理を行い、脱水
孔の封孔処理を行った。高密度化された針状ヘマタイト
粒子粉末は、平均長軸径が0.0830μm、長軸径の
幾何標準偏差値が1.52、平均短軸径が0.0138
μm、短軸径の幾何標準偏差値が1.38、軸比が6.
0、BET比表面積値が69.4m/g、SBET
TEM値が1.15、粉体pH値が6.8、可溶性ナ
トリウム塩の含有量がNa換算で2683ppm、可溶
性硫酸塩の含有量がSO換算で2031ppm、ケイ
素の含有量はSiO換算で1.22重量%であった。
【0180】得られた高密度針状ヘマタイト粒子粉末8
00gを奈良式粉砕機で粗粉砕した後、純水4.7lに
投入し、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用
いて60分間解膠し、スラリーを横型SGM(ディスパ
マットSL:エスシー・アディケム株式会社製)で循環
しながら、軸回転数2000rpmのもとで3時間分散
した。得られたスラリー中の高密度針状ヘマタイト粒子
粉末の325mesh(目開き44μm)における篩残
分は0%であった。
【0181】<高密度針状ヘマタイト粒子粉末の酸によ
る溶解処理>得られた高密度針状ヘマタイト粒子粉末の
スラリーに水を添加して該スラリーの濃度を100g/
lとした後、当該スラリーを7l採取した。採取したス
ラリーを攪拌しながら、70重量%の硫酸水溶液を加え
て硫酸濃度を1.3Nとし、スラリーのpH値を0.5
9に調整した。次に、このスラリーを攪拌しながら加熱
して80℃まで昇温し、その温度で3時間保持して溶解
処理を行って、液中に存在している高密度針状ヘマタイ
ト粒子粉末全体量の20.2重量%を溶解させた。
【0182】次に、このスラリーを濾過して濾液(硫酸
鉄の酸性水溶液)を分離した後、デカンテーション法に
より水洗し、pH値が5.0の水洗スラリーとした。こ
の時点でのスラリー濃度を確認したところ79g/lで
あった。
【0183】次に、得られた水洗スラリー2lをブフナ
ーロートを用いて濾別し、純水を通水して濾液の電導度
が30μs以下になるまで水洗し、その後、常法によっ
て乾燥させた後、粉砕して、高密度針状ヘマタイト粒子
粉末を得た。得られた高密度針状ヘマタイト粒子粉末
は、平均長軸径が0.0785μm、長軸径の幾何標準
偏差値が1.46、平均短軸径が0.0128μm、短
軸径の幾何標準偏差値が1.33、軸比が6.1、BE
T比表面積値が74.8m/g、SBET/S TEM
値が1.15、粉体pH値が4.6、可溶性ナトリウム
塩の含有量がNa換算で128ppm、可溶性硫酸塩の
含有量がSO換算で356ppm、ケイ素の含有量は
SiO換算で1.33重量%であった。
【0184】<アルカリ性懸濁液中の加熱処理>上記酸
による溶解処理後の紡錘状ヘマタイト粒子粉末の水洗ス
ラリーに水を添加して濃度を50g/lとし、スラリー
5lを採取した。このスラリーを攪拌しながら、6Nの
NaOH水溶液を加えてスラリーのpH値を13.6に
調整した。次に、このスラリーを攪拌しながら加熱して
95℃まで昇温し、その温度で3時間保持した。
【0185】次に、このスラリーをデカンテーション法
により水洗し、pH値が10.5のスラリーとした。正
確を期すため、この時点でのスラリー濃度を確認したと
ころ98g/lであった。
【0186】次に、得られた水洗スラリー1lをブフナ
ーロートを用いて濾別し、純水を通水して濾液の電導度
が30μs以下になるまで水洗し、その後、常法によっ
て乾燥させた後、粉砕して、目的とする紡錘状ヘマタイ
ト粒子粉末を得た。
【0187】得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末は、平
均長軸径が0.0785μm、長軸径の幾何標準偏差値
が1.46、平均短軸径が0.0128μm、短軸径の
幾何標準偏差値が1.33、軸比が6.1、BET比表
面積値が73.9m/g、SBET/STEM値が
1.14、可溶性ナトリウム塩の含有量がNa換算で1
08ppm、可溶性硫酸塩の含有量がSO換算で36
ppm、粉体pH値が8.9であった。
【0188】<表面被覆処理> 実施例5 実施例1で得られた針状へマタイト粒子粉末700gを
奈良式自由粉砕機で粗粉砕した後、純水7lに投入し、
ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて60
分間邂逅した。次に、得られた針状へマタイト粒子粉末
を含むスラリーを横形サンドグラインダー「ディスパマ
ットSL」(エスシー・アディケム株式会社製)を用い
て軸回転数2000rpmのもとで6時間混合・分散し
て、針状へマタイト粒子粉末のスラリーを得た。得られ
た針状へマタイト粒子粉末の分散スラリーのpH値を、
0.1N酢酸水溶液を用いて4.0に調製した。次に、
該スラリーに水を加えスラリー濃度を45g/lに調製
した。このスラリー10lを加熱して60℃とし、この
スラリー中に1.0mol/lの酢酸アルミニウム溶液
500ml(針状へマタイト粒子粉末に対してAl換算
で3.0重量%に相当する)を加え、30分間保持した
後、0.1N水酸化ナトリウム溶液を用いてpH値を
7.1に調製した。この状態で30分間保持した後、濾
過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面がアルミニウムの水
酸化物によって被覆されている針状へマタイト粒子粉末
を得た。
【0189】この時の主要製造条件を表11に、得られ
た表面被覆物によって被覆された針状へマタイト粒子粉
末の諸特性を表12に示す。
【0190】
【表11】
【0191】
【表12】
【0192】実施例6〜8 被処理粒子の種類、被覆工程の添加前pH値、添加物の
種類、添加量及び最終pH値を種々変化させた以外は前
記実施例5と同様にして表面被覆物によって被覆された
針状ヘマタイト粒子粉末を得た。
【0193】この時の主要製造条件を表11に、得られ
た表面被覆物によって被覆された針状へマタイト粒子粉
末の諸特性を表12に示す。
【0194】実施例9〜16、比較例7〜12及び参考
例3、4 実施例1〜8、比較例1〜6及び参考例1、2で得られ
た各非磁性粒子粉末を用いて前記発明の実施の形態と同
様にして非磁性下地層を形成した。
【0195】この時の主要製造条件及び得られた非磁性
下地層の諸特性を表13に示す。
【0196】
【表13】
【0197】磁性粒子a〜d 磁気記録媒体用磁性粒子として磁性粒子a〜dを用意し
た。
【0198】磁性粒子a〜dの諸特性を表14に示す。
【0199】
【表14】
【0200】実施例17〜28、比較例13〜18及び
参考例5、6 非磁性下地層の種類及び磁性粒子の種類を種々変化させ
た以外は前記発明の実施の形態と同様にして磁気記録媒
体を得た。
【0201】この時の主要製造条件及び得られた磁気記
録媒体の諸特性を表15に示す。
【0202】
【表15】
【0203】
【発明の効果】本発明に係る針状へマタイト粒子粉末
は、非磁性下地層用非磁性粒子粉末として用いた場合、
表面平滑性に優れた非磁性下地層を得ることができ、該
非磁性下地層を用いて磁気記録媒体とした場合、表面平
滑性に優れ、磁気記録層中に分散されている鉄を主成分
とする針状金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣
化が抑制された磁気記録媒体を得ることができるため、
高密度磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末と
して好適である。
【0204】また、本発明に係る磁気記録媒体は、上述
した通り、表面平滑性に優れ、且つ、磁気記録層中に分
散されている鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末の
腐蝕に伴う磁気特性の劣化が抑制されているので高密度
磁気記録媒体として好適である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G002 AA03 AA06 AA12 AB05 AD01 AE03 5D006 BA04 BA08 CA01 FA01 5D112 AA03 AA05 BB02 BB06 BD03 GB03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長軸径の幾何標準偏差値が1.50以下
    であって短軸径の幾何標準偏差値が1.30以下であっ
    て、BET比表面積値が40〜180m/gであり、
    且つ、粉体pH値が8.0以上、可溶性ナトリウム塩の
    含有量がNa換算で300ppm以下、可溶性硫酸塩の
    含有量がSO換算で150ppm以下である平均長軸
    径が0.01〜0.2μmの針状ヘマタイト粒子粉末か
    らなることを特徴とする磁気記録媒体の非磁性下地層用
    非磁性粒子粉末。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の針状ヘマタイト粒子粉末
    の粒子表面が、アルミニウムの水酸化物、アルミニウム
    の酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選
    ばれる少なくとも一種からなる表面被覆物によって被覆
    されていることを特徴とする磁気記録媒体の非磁性下地
    層用非磁性粒子粉末。
  3. 【請求項3】 針状ゲータイト粒子粉末を550〜85
    0℃の温度範囲で加熱脱水処理して針状ヘマタイト粒子
    粉末とするに当って、前記加熱脱水処理に先立ってあら
    かじめ、前記針状ゲータイト粒子粉末を100〜200
    ℃の温度範囲で加熱処理して該針状ゲータイト粒子粉末
    に含まれているゲータイト超微粒子を針状ゲータイト粒
    子に吸収させておき、550〜850℃の温度範囲で加
    熱脱水して針状ヘマタイト粒子粉末を得、該針状ヘマタ
    イト粒子粉末を含有する水性懸濁液にアルカリ水溶液を
    添加してpH値を13以上に調製し、次いで、80〜1
    03℃の温度範囲で加熱処理した後、濾過、水洗、乾燥
    することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の非
    磁性下地層用非磁性粒子粉末の製造法。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成
    される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とからなる非磁性下
    地層及び該非磁性下地層の上に形成される鉄を主成分と
    する針状金属磁性粒子粉末と結合剤樹脂とからなる磁気
    記録層からなる磁気記録媒体において、前記非磁性粒子
    粉末が請求項1又は請求項2記載の非磁性下地層用非磁
    性粒子粉末であることを特徴とする磁気記録媒体。
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