JP2000221401A - レンズ光学系 - Google Patents

レンズ光学系

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JP2000221401A
JP2000221401A JP11025686A JP2568699A JP2000221401A JP 2000221401 A JP2000221401 A JP 2000221401A JP 11025686 A JP11025686 A JP 11025686A JP 2568699 A JP2568699 A JP 2568699A JP 2000221401 A JP2000221401 A JP 2000221401A
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lens
group
optical system
diffraction grating
chromatic aberration
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Shigeto Omori
滋人 大森
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Minolta Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回折格子を効果的に用いることにより収差的
な面からコンパクト化が達成されたレンズ光学系を提供
する。 【解決手段】 物体側より順に、正のパワーを有する第
1群(Gr1)と、負のパワーを有する第2群(Gr2)と、正の
パワーを有する第3群(Gr3)と、を備える。第1群(Gr1)
と第2群(Gr2)との間隔等を変化させることによりズー
ミングを行う。第3群(Gr3)が回折格子(r11*#)を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレンズ光学系に関す
るものであり、更に詳しくは回折格子を有するレンズを
用いたレンズ光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光学機器(例えば、デジタルカメラ,ビ
デオカメラ,銀塩カメラ)に用いられるレンズ光学系(例
えば、ズームレンズ等の撮像光学系,ファインダー光学
系等の観察光学系)をコンパクト化するには、回折格子
を用いることが収差補正上有効である。具体的には、光
学要素の表面や媒質境界面に形成された回折格子で回折
光学面が構成され、その回折作用によってレンズ作用を
実現する回折光学素子(すなわち回折レンズ)を用いれば
よい。回折レンズを有するズームレンズは、特開平10-1
48757号公報や特開平10-161022号公報で提案されてい
る。前者は正・負・正・正の4成分タイプのズームレン
ズであり、第2群又は第3群に回折レンズを有してい
る。一方、後者は負・正の2成分タイプのズームレンズ
であり、第2群に回折レンズを有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来例
とは異なるズームタイプに回折格子を効果的に用いるこ
とにより、収差的な面からコンパクト化が達成されたレ
ンズ光学系を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明のレンズ光学系は、物体側より順に、正
のパワーを有する第1群と、負のパワーを有する第2群
と、正のパワーを有する第3群と、を備え、前記第1群
と前記第2群との間隔を変化させることによりズーミン
グを行うレンズ光学系であって、前記第3群が回折格子
を有することを特徴とする。
【0005】第2の発明のレンズ光学系は、上記第1の
発明の構成において、前記回折格子について以下の条件
式を満たすことを特徴とする。 0.01<φDOE/φgr3<0.04 ただし、 φDOE:回折格子によるレンズパワー、 φgr3:第3群のパワー、 である。
【0006】第3の発明のレンズ光学系は、上記第1又
は第2の発明の構成において、前記回折格子について以
下の条件式を満たすことを特徴とする。 0.1<tW/fW<0.6 ただし、 tW:広角端での回折格子と絞りとの空気換算軸上面間
隔、 fW:広角端でのズーム全系の焦点距離、 である。
【0007】第4の発明のレンズ光学系は、上記第1又
は第2の発明の構成において、以下の条件式を満たすこ
とを特徴とする。 |Y'max/PZ|<0.4 ただし、 Y'max:最大像高、 PZ:像面から射出瞳位置までの距離、 である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施したレンズ光
学系を、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施の形
態のズームレンズを示すレンズ構成図であり、その広角
端[W],ミドル(中間焦点距離状態)[M]及び望遠端[T]
でのレンズ配置を示している。レンズ構成図中、di(i=
1,2,3,...)が付された空気間隔は、物体側から数えてi
番目の軸上面間隔のうち、ズーミングにおいて変化する
可変間隔を示している。またレンズ構成図中、ri(i=1,
2,3,...)が付された面は物体側から数えてi番目の面{た
だし最終面は像面(I)}であり、riに*印が付された面は
非球面、riに#印が付された面は回折格子が形成された
回折レンズ面である。
【0009】本実施の形態は、物体側より順に、正のパ
ワーを有する第1群(Gr1)と、負のパワーを有する第2
群(Gr2)と、正のパワーを有する第3群(Gr3)と、を備え
た3成分タイプのズームレンズであり、第1群(Gr1)と
第2群(Gr2)との間隔等を変化させることによりズーミ
ングを行う構成になっている。第2群(Gr2)と第3群(Gr
3)との間には第3群(Gr3)と共にズーム移動する絞り(S)
が配置されており、最も像面(I)側にはローパスフィル
ター(LPF)が配置されている。
【0010】実施の形態(図1)において、各群は物体側
から順に以下のように構成されている。第1群(Gr1)
は、物体側に凸の負メニスカスレンズと物体側に凸の正
メニスカスレンズとから成る接合レンズで構成されてい
る。第2群(Gr2)は、像側に凹の負メニスカスレンズ
と、両凸の正レンズと両凹の負レンズとから成る接合レ
ンズと、で構成されている。第3群(Gr3)は、両凸の正
レンズと、物体側に凹の負メニスカスレンズと、で構成
されており、第11面(r11)に回折格子を有している。
このズームタイプのレンズ光学系をコンパクト化するた
めには、第3群(Gr3)に回折格子を用いることが収差補
正上有効であり、これについては後で詳しく説明する。
【0011】次に、本実施の形態のように第3群(Gr3)
に回折格子を有する、正・負・正の3成分を備えたズー
ムタイプのレンズ光学系が満足することの望ましい条件
式を説明する。なお、以下に示す全ての条件式を同時に
満たす必要はなく、個々の条件式をそれぞれ単独に満足
すれば対応する作用・効果を達成することが可能であ
る。もちろん、複数の条件式を満足する方が、光学性
能,コンパクト化等の観点からより望ましいことはいう
までもない。
【0012】前記回折格子について以下の条件式(1)を
満たすことが望ましい。 0.01<φDOE/φgr3<0.04 …(1) ただし、 φDOE:回折格子によるレンズパワー、 φgr3:第3群(Gr3)のパワー、 である。
【0013】条件式(1)は、第3群(Gr3)のパワーφgr3
(φDOEを含む。)に対する回折格子によるレンズパワー
φDOEの比の望ましい条件範囲を規定している。この条
件式(1)を満たすことにより、コンパクトなレンズ光学
系を達成することができる。条件式(1)の下限を下回っ
た場合、回折レンズの色収差補正効果が得られなくなる
ため、レンズ光学系の大きさが大きくなる。条件式(1)
の上限を上回った場合、回折レンズの非点収差が増大す
るため、それを補正するためにレンズ光学系の大きさが
大きくなる。
【0014】前記回折格子について以下の条件式(2)を
満たすことが望ましい。この条件式(2)を満たすことに
より、色収差の良好なレンズ光学系を達成することがで
きる。条件式(2)の下限を下回った場合、レンズ保持が
できなくなる。条件式(2)の上限を上回った場合、広角
端[W]での軸上色収差補正が不十分となる。 0.1<tW/fW<0.6 …(2) ただし、 tW:広角端[W]での回折格子と絞り(S)との空気換算軸
上面間隔、 fW:広角端[W]でのズーム全系の焦点距離、 である。
【0015】以下の条件式(3)を満たすことが望まし
い。この条件式(3)を満たすことにより、撮像素子を用
いた場合に画面周辺の照度低下が良好な範囲となる。 |Y'max/PZ|<0.4 …(3) ただし、 Y’max:最大像高、 PZ:像面(I)から射出瞳位置までの距離、 である。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施したレンズ光学系の構成
等を、コンストラクションデータ,収差図等を挙げて、
更に具体的に説明する。なお、以下に挙げる実施例は、
前述した実施の形態に対応しており、実施の形態を表す
レンズ構成図(図1)は、対応する実施例のレンズ構成を
示している。また、実施例に対する比較例(回折格子を
有しない。)を併せて示すとともに、そのレンズ構成を
図3に示す。
【0017】実施例及び比較例のコンストラクションデ
ータにおいて、ri(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番
目の面の曲率半径、di(i=1,2,3,...)は物体側から数え
てi番目の軸上面間隔を示しており、Ni(i=1,2,3,...),
νi(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の光学要素
のd線に対する屈折率(nd),アッベ数(νd)を示してい
る。また、コンストラクションデータ中、ズーミングに
おいて変化する軸上面間隔(可変間隔)は、広角端(短焦
点距離端)[W]〜ミドル(中間焦点距離状態)[M]〜望遠
端(長焦点距離端)[T]での各群間の軸上空気間隔であ
る。各焦点距離状態[W],[M],[T]に対応する全系の焦
点距離f,半画角ω(°)及びFナンバーFNO、並びに条件
式対応値を併せて示す。
【0018】曲率半径riに*印が付された面は、非球面
で構成された面であることを示し、非球面の面形状を表
わす以下の式(AS)で定義されるものとする。また、曲率
半径riに#印が付された面は、回折格子が形成された回
折レンズ面であることを示し、回折レンズ面のピッチの
位相形状を表す以下の式(DS)で定義されるものとする。
各非球面の非球面データ及び各回折レンズ面の回折面デ
ータを他のデータと併せて示す。
【0019】 Z(H)=(C0・H2)/{1+√(1-C02・H2)}+(A・H4+B・H6+C・H8+D・H10) …(AS) ただし、式(AS)中、 Z(H) :高さHの位置での光軸方向の変位量(面頂点基
準)、 H :光軸からの高さ(光軸垂直方向高さ)、 C0 :近軸曲率、 A,B,C,D:非球面係数、 である。
【0020】 Φ(H)=(2π/λ0)・(C1・H2+C2・H4+C3・H6) …(DS) ただし、式(DS)中、 Φ(H) :位相関数、 H :光軸からの高さ(光軸垂直方向高さ)、 λ0 :設計波長、 C1,C2,C3:位相係数、 である。
【0021】 《実施例》 f= 5.2 〜12.2〜29.4 ω=30.9 〜14.2〜 6.0(°) FNO= 2.75〜 3.5〜 4.1 [曲率半径] [軸上面間隔][屈折率] [アッベ数] r1*= 9.99 d1= 0.28 N1=1.755 ν1=27.6 r2*= 6.17 d2= 2.41 N2=1.667 ν2=52.6 r3*= 59.98 d3= 0.3〜2.8〜5.9 r4*= 23.81 d4= 0.28 N3=1.72 ν3=50.3 r5*= 3.63 d5= 2.15 r6*= 19.99 d6= 1.56 N4=1.805 ν4=25.4 r7= -4.72 d7= 0.28 N5=1.75 ν5=35.2 r8*= 12.50 d8=12.8〜5.1〜0.1 r9= ∞(S) d9= 0.10 r10*= 5.63 d10=2.97 N6=1.713 ν6=53.9 r11*#=-8.33 d11=0.10 r12*= -6.42 d12=1.34 N7=1.805 ν7=25.4 r13*=-27.54 d13=6.53〜10.3〜14.6 r14= ∞ d14=3.40 N8=1.517 ν8=64.1 r15= ∞ d15=1.42 r16= ∞(I)
【0022】 [第1面(r1)の非球面データ] A=-1.14×10-4,B= 3.31×10-6,C=-1.21×10-7,D= 2.55×10-9 [第2面(r2)の非球面データ] A=-8.21×10-4,B= 3.13×10-5,C=-1.58×10-6,D= 2.13×10-8 [第3面(r3)の非球面データ] A=-5.33×10-6,B=-1.34×10-7,C= 6.52×10-8,D=-2.45×10-10 [第4面(r4)の非球面データ] A=-1.90×10-4,B= 2.79×10-6,C= 1.01×10-6,D=-2.38×10-8 [第5面(r5)の非球面データ] A=-1.93×10-3,B=-2.31×10-5,C=-3.04×10-6,D=-1.01×10-7 [第6面(r6)の非球面データ] A=-3.98×10-3,B= 7.53×10-5,C=-2.21×10-6,D=-2.84×10-8 [第8面(r8)の非球面データ] A=-4.40×10-3,B= 1.48×10-4,C=-5.67×10-6 [第10面(r10)の非球面データ] A=-7.81×10-4,B=-5.46×10-5,C=-7.39×10-6,D=-4.74×10-7 [第11面(r11)の非球面データ] A= 1.99×10-3,B=-1.56×10-4,C=-1.40×10-5,D= 7.32×10-7 [第12面(r12)の非球面データ] A= 8.10×10-3,B=-2.30×10-4,C= 4.00×10-6 [第13面(r13)の非球面データ] A= 6.58×10-3,B= 6.09×10-5,C= 1.33×10-5
【0023】 [第11面(r11)の回折面データ] C1=-1.28×10-3,C2=3.05×10-5
【0024】 [条件式対応値] 条件式(1):φDOE/φgr3=0.021 条件式(2):tW/fW=0.35 条件式(3)(広角端[W]時):|Y'max/PZ|=0.24 条件式(3)(望遠端[T]時):|Y'max/PZ|=0.15
【0025】 《比較例》 f= 5.2 〜12.2〜29.4 ω=31.0 〜14.2〜 6.0(°) FNO= 2.75〜 3.5〜 4.1 [曲率半径] [軸上面間隔][屈折率] [アッベ数] r1*= 12.39 d1= 0.28 N1=1.697 ν1=30.4 r2*= 5.94 d2= 2.91 N2=1.675 ν2=51.5 r3*= 109.43 d3= 0.3〜3.2〜6.7 r4*= 158.75 d4= 0.28 N3=1.72 ν3=50.3 r5*= 4.24 d5= 1.98 r6*= 21.94 d6= 1.58 N4=1.805 ν4=25.4 r7= -4.79 d7= 0.28 N5=1.75 ν5=35.2 r8*= 15.57 d8=13.9〜5.4〜0.1 r9= ∞(S) d9= 0.10 r10*= 5.92 d10=3.39 N6=1.713 ν6=53.9 r11*= -5.99 d11=0.10 r12*= -5.70 d12=1.65 N7=1.805 ν7=25.4 r13*=-50.19 d13=6.58〜10.2〜14.3 r14= ∞ d14=3.40 N8=1.517 ν8=64.1 r15= ∞ d15=1.00 r16= ∞(I)
【0026】 [第1面(r1)の非球面データ] A=-5.36×10-6,B= 1.43×10-6,C=-2.28×10-8,D= 7.88×10-10 [第2面(r2)の非球面データ] A=-1.26×10-3,B= 6.23×10-5,C=-2.44×10-6,D= 2.46×10-8 [第3面(r3)の非球面データ] A= 8.05×10-5,B=-1.51×10-6,C= 1.16×10-7,D=-1.19×10-9 [第4面(r4)の非球面データ] A= 7.22×10-4,B= 9.51×10-6,C=-1.11×10-6,D= 1.62×10-8 [第5面(r5)の非球面データ] A=-1.01×10-3,B= 1.17×10-4,C=-3.54×10-6,D= 4.70×10-7 [第6面(r6)の非球面データ] A=-4.04×10-3,B= 7.04×10-5,C= 4.41×10-6,D=-3.40×10-7 [第8面(r8)の非球面データ] A=-4.01×10-3,B= 1.34×10-4,C=-5.00×10-6 [第10面(r10)の非球面データ] A=-8.75×10-4,B=-5.15×10-5,C=-4.27×10-6,D=-5.78×10-7 [第11面(r11)の非球面データ] A= 2.32×10-3,B=-9.64×10-5,C=-1.10×10-5,D= 6.38×10-7 [第12面(r12)の非球面データ] A= 6.91×10-3,B=-2.33×10-4,C= 1.10×10-5 [第13面(r13)の非球面データ] A= 5.28×10-3,B=-2.64×10-5,C= 1.67×10−5
【0027】上記比較例は正・負・正の3成分ズームレ
ンズであり、第1群(Gr1)が負レンズと正レンズと
の2枚、第2群(Gr2)が負レンズと正レンズと負レンズ
との3枚、第3群(Gr3)が正レンズと負レンズとの2
枚、で構成されている。表1に、比較例の広角端[W],
望遠端[T]における、光学系全体の色収差係数と各群(G
r1〜Gr3)の色収差係数を示す(ただし、LC:軸上色収
差係数,TC:倍率色収差係数である。)。比較例の光
学系全体での色収差係数値から、広角端[W]での軸上色
収差係数LCと倍率色収差係数TCが正に大きいこと、
望遠端[T]での倍率色収差係数TCが正に大きいことが
分かる。この比較例の第1群(Gr1),第2群(Gr2)又は第
3群(Gr3)に回折レンズを用いたときの色収差補正効果
を以下に検討する。
【0028】
【表1】
【0029】上記比較例の第1群(Gr1)に回折レンズを
配置したと仮定する。第1群(Gr1)は絞り(S)から離れて
前に位置するため、倍率色収差係数TCが大きくなる。
これを補正するために負の倍率色収差係数TCを発生す
る回折レンズを第1群(Gr1)に用いた場合、その回折レ
ンズによって正の軸上色収差係数LCが発生することに
なる。その軸上色収差係数LCは大きさ的には小さい
が、光学系全体の軸上色収差係数LCは正に増大するこ
とになる。したがって、第1群(Gr1)に回折レンズを配
置することは適当でない。
【0030】上記比較例の第2群(Gr2)に回折レンズを
配置したと仮定する。第2群(Gr2)は広角端[W]では絞
り(S)から離れて前に位置し、望遠端[T]では絞り(S)直
前に位置するため、広角端[W]では倍率色収差係数TC
が大きくなり、望遠端[T]では軸上色収差係数LCが大
きくなる。比較例において、広角端[W]での倍率色収差
係数TCと望遠端[T]での軸上色収差係数LCとは、符
号が共に正である。しかし、第2群(Gr2)の回折レンズ
では軸上色収差係数LCと倍率色収差係数TCとが互い
に異なる符号であるため、相性が悪いと予測される。し
たがって、第2群(Gr2)に回折レンズを配置することは
適当でない。
【0031】上記比較例の第3群(Gr3)に回折レンズを
配置したと仮定する。この場合のレンズ構成は前記実施
例に相当する。表2に、実施例の広角端[W],望遠端
[T]における、光学系全体の色収差係数と各群(Gr1〜Gr
3)の色収差係数を、表1と同様に示す。ただし、第3群
(Gr3)で発生する色収差係数については、第3群(Gr3)全
体での色収差係数と回折レンズが発生する色収差係数と
に分けて示す。
【0032】
【表2】
【0033】第3群(Gr3)は絞り(S)直後に位置するた
め、軸上色収差係数LCが大きくなる。したがって、第
3群(Gr3)の回折レンズで発生する広角端[W]での負の
軸上色収差係数LCが、広角端[W]での全体の軸上色収
差係数LCを小さくする上で効果的に作用する。また前
記実施例の場合、広角端[W]での軸上色収差係数LCと
共に、望遠端[T]での倍率色収差係数TCも小さくな
る。したがって、回折レンズを第3群(Gr3)に配置する
のが適当であり、このとき回折レンズによる色収差補正
効果が最も大きいことが分かる。
【0034】次に、回折レンズを用いたときの非点収差
とペッツバールの効果を以下に検討する。図5(a)〜
(c)に示す3種類の薄肉レンズの光学系: (a)正・負の接合レンズ,(b)接合面が回折レンズ面
(破線部)から成る正・負の接合レンズ,(c)回折レンズ
面(破線部)を有する正の単レンズ,をモデルとして考え
る。モデル(a)では正・負の接合で色収差補正が行わ
れ、モデル(b)では正・負の接合と回折レンズ面で色収
差補正が行われ、モデル(c)では回折レンズ面のみで色
収差補正が行われる。回折レンズによる色収差補正度合
いには(a)<(b)<(c)の関係があるため、回折レンズ
のレンズパワーにも(a)<(b)<(c)の関係が生じる。
したがって、回折レンズによる色収差補正度合いの最も
大きいモデル(c)の回折レンズのレンズパワーが最も大
きくなる。
【0035】前記比較例の第3群(Gr3)は正レンズと負
レンズで構成されており、正レンズの硝種は相対的に低
屈折率・低分散、負レンズの硝種は相対的に高屈折率・
高分散である。そこで、モデル(a),(b)の接合レンズ
も、正レンズの硝種を相対的に低屈折率・低分散とし、
負レンズの硝種を相対的に高屈折率・高分散とする。表
3に、各硝種データ(ただし、nd:d線に対する屈折
率,νd:アッベ数である。)を示す。
【0036】
【表3】
【0037】表4に、各モデル(a)〜(c)の光学系全体
の収差係数を示す(ただし、PT:ペッツバール係数,
AS:非点収差係数である)。比較例において第3群(Gr
3)は絞り(S)より後ろに位置するため、各モデル(a)〜
(c)も同様に絞り(S)より後ろに位置すると仮定して、
収差係数の計算を行った。また、各モデル(a)〜(c)の
収差係数算出に当たっては、光学系全体の球面収差係数
が最小となるベンディングを与えた。表4から、ペッツ
バール係数PTは回折レンズのレンズパワーが大きくな
るほど小さくなり、非点収差係数ASは回折レンズのレ
ンズパワーが大きくなるほど大きくなることが分かる。
【0038】
【表4】
【0039】表5に、比較例と実施例{第3群(Gr3)に回
折レンズを有する光学系}のペッツバール係数PTと非
点収差係数ASを示す。2つの光学系は、同等のレンズ
性能が得られる大きさで設計した。表5から分かるよう
に、比較例は広角端[W]で非点収差係数ASが正に大き
い。一方、第3群(Gr3)の回折レンズのパワーを大きく
すると、色収差補正効果は得られるが、非点収差係数A
Sが増大するため、この点では逆効果になると予測され
る。
【0040】
【表5】
【0041】以上の検討結果から、回折レンズを用いる
場合、色収差補正効果とペッツバール及び非点収差の影
響とのバランスにより、コンパクト化度合いが決まるこ
とが分かる。そして、本実施例のように正・負・正の3
成分を備えたズームタイプの第3群(Gr3)に回折レンズ
を用いれば、色収差補正効果によりコンパクトな光学系
を得ることができる。
【0042】図2は実施例の収差図、図4は比較例の収
差図であり、それぞれ広角端[W],ミドル[M],望遠端
[T]での諸収差を示している。各焦点距離状態での収差
図は、左から順に、[A]球面収差,[B]非点収差,[C]
歪曲収差を表している。球面収差図[A]において、縦軸
は入射瞳への入射高さHをその最大高さH0(=1)で規格化
した値(すなわち入射瞳平面を切る相対高さ)H/H0であ
り、横軸は近軸結像位置からの光軸方向のズレ量(mm)で
ある。破線はC線(波長:λC=656.3nm)に対する球面収差
量、実線はd線(波長:λd=587.6nm)に対する球面収差
量、一点鎖線はg線(波長:λg=435.8nm)に対する球面収
差量を表している。非点収差図[B]において、縦軸は像
高Y'(mm)であり、横軸は近軸結像位置からの光軸方向の
ズレ量(mm)である。また、実線Xはサジタル面での非点
収差を表しており、実線Yはメリディオナル面での非点
収差を表している。歪曲収差図[C]において、縦軸は像
高Y'(mm)であり、横軸は歪曲収差量(%)である。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、回
折格子が効果的に用いられるため、収差的な面からレン
ズ光学系のコンパクト化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態(実施例)のレンズ構成図。
【図2】実施例の収差図。
【図3】比較例のレンズ構成図。
【図4】比較例の収差図。
【図5】回折レンズを用いた場合の非点収差とペッツバ
ールの効果を説明するための図。
【符号の説明】
Gr1 …第1群 Gr2 …第2群 Gr3 …第3群 S …絞り LPF …ローパスフィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H087 KA02 KA03 KA14 PA05 PA19 PB07 QA02 QA07 QA17 QA21 QA26 QA37 QA41 QA46 RA05 RA12 RA13 RA36 RA43 RA46 SA13 SA17 SA19 SA62 SA63 SA64 SB03 SB14 SB23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側より順に、正のパワーを有する第
    1群と、負のパワーを有する第2群と、正のパワーを有
    する第3群と、を備え、前記第1群と前記第2群との間
    隔を変化させることによりズーミングを行うレンズ光学
    系であって、前記第3群が回折格子を有することを特徴
    とするレンズ光学系。
  2. 【請求項2】 前記回折格子について以下の条件式を満
    たすことを特徴とする請求項1記載のレンズ光学系; 0.01<φDOE/φgr3<0.04 ただし、 φDOE:回折格子によるレンズパワー、 φgr3:第3群のパワー、 である。
  3. 【請求項3】 前記回折格子について以下の条件式を満
    たすことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のレン
    ズ光学系; 0.1<tW/fW<0.6 ただし、 tW:広角端での回折格子と絞りとの空気換算軸上面間
    隔、 fW:広角端でのズーム全系の焦点距離、 である。
  4. 【請求項4】 以下の条件式を満たすことを特徴とする
    請求項1又は請求項2記載のレンズ光学系; |Y'max/PZ|<0.4 ただし、 Y'max:最大像高、 PZ:像面から射出瞳位置までの距離、 である。
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