JP2000220845A - 加熱調理装置 - Google Patents

加熱調理装置

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JP2000220845A
JP2000220845A JP11024388A JP2438899A JP2000220845A JP 2000220845 A JP2000220845 A JP 2000220845A JP 11024388 A JP11024388 A JP 11024388A JP 2438899 A JP2438899 A JP 2438899A JP 2000220845 A JP2000220845 A JP 2000220845A
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JP
Japan
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film
cooking
coating
cooking chamber
heating
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JP11024388A
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English (en)
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Yasuaki Sakane
安昭 坂根
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 曇り防止機能と汚れ除去機能とを有する透明
窓を備える加熱調理装置を提供する。 【解決手段】 加熱調理装置1には、調理室4内の調理
物の調理状態を観察することができる透明窓8が設けら
れている。透明窓8の内側窓材30は、透光性を有する
基体35と基体35の調理室4側に形成される第1皮膜
36を有している。第1皮膜36は、親水性を有するシ
リカ37と光を照射されることによって汚れ物質を酸化
分解する光触媒38とを含んでいる。加熱調理時に、第
1皮膜36は付着する汚れ物質を酸化分解して除去し、
かつ水分による曇りを防止することができるので、透明
窓8を通して調理物の調理状態を観察することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調理物を加熱調理
するオーブンレンジ、電子レンジ、オーブントースタな
どの加熱調理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から食品である調理物を加熱調理す
るために、たとえばオーブンレンジなどの加熱調理装置
が用いられている。加熱調理装置は、調理物を加熱調理
する調理室を有し、調理室に収納される調理物は、たと
えばマグネトロンおよびヒータから成る加熱手段によっ
て加熱される。また加熱調理装置には、調理室内に収納
され、加熱調理される調理物の調理状態を観察すること
ができる透明窓が設けられている。しかし、このような
加熱調理装置においては、調理物を加熱調理することに
よって油脂などの汚れ物質が調理室内に飛散し、透明窓
の調理室側の表面に付着するという問題があった。
【0003】このような問題を解決するために、たとえ
ば特開平2−150620号公報に開示される加熱調理
装置の透明窓では、該透明窓を構成するガラスなどの透
光性材料から成る基体の調理室側に、調理室に臨んで透
明なフッ素樹脂膜が形成されている。このように基体の
調理室側にフッ素樹脂膜が形成されることによって、調
理物を加熱調理することによって飛散して透明窓の調理
室側の表面に付着する油脂などの汚れ物質を容易に拭取
って除去することができる。したがって調理窓に付着し
た汚れ物質によって、透明窓を通して調理物の調理状態
が観察できなくなることが防止できる。
【0004】また透明窓において基体とフッ素樹脂膜と
の間には、たとえばアルミニウムから成る網目状に形成
される金属膜が設けられている。この加熱調理装置がヒ
ータによるオーブン加熱を行う場合には、赤外線を調理
室内に反射し、透明窓に吸収される赤外線および透明窓
を透過して外部に放散される赤外線の量を減少させて、
加熱効率を高くすることができる。
【0005】また特開平9−89267号公報、特開平
9−89268号公報に開示される加熱調理装置の透明
窓では、基体の調理室側の表面に、光触媒が塗布される
ことによって設けられている。この光触媒は、光を受け
て活性化することに基づいて、油脂などの汚れ物質を酸
化分解する機能を有している。したがって光触媒に光照
射することによって、調理物を加熱調理するときに、透
明窓の調理室側に臨む面に付着する汚れ物質を酸化分解
することができる。したがって汚れ物質が透明窓に付着
することによって、調理物の調理状態が観察できなくな
ることが防止される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような加熱調理装
置によって加熱調理を行うときには、調理物の水分が蒸
発し、透明窓の調理室側の表面に結露して多数の微細な
水滴を形成し、曇りを発現する。これによって透明窓の
視認性が悪くなり、調理物の調理状態を観察できなくな
るという問題がある。また加熱調理を行うときに、油脂
などの汚れ物質が透明窓の調理室側の表面に付着する場
合、汚れ物質に水分が結露するために、さらに水蒸気に
よる曇りを顕著にするという問題がある。
【0007】特開平2−150620号公報に開示され
る加熱調理装置の透明窓の調理室側の表面には、フッ素
樹脂膜が形成されているが、フッ素樹脂は撥水性を有し
ているので、水蒸気による曇りは防止することができな
い。また特開平9−89267号公報、特開平9−89
268号公報に開示される加熱調理装置の透明窓の調理
室側の表面には光触媒が塗布されているが、光触媒は光
を照射されている間のみ親水性を有し、光が照射されて
いない状態においては水分に対する接触角は30度以上
となるので、調理室側の表面には多数の微細な水滴が形
成され曇りが発現する。したがって、このような加熱調
理装置において曇りを防止するためには、常に光触媒に
光を照射し続ける必要がある。
【0008】また、特開平2−150620号公報に開
示される加熱調理装置の透明窓において、基体とフッ素
樹脂膜との間には赤外線を反射する金属膜が設けられて
いるが、フッ素樹脂膜に汚れ物質が付着している状態で
は、フッ素樹脂膜によって反射される赤外線の割合、す
なわち赤外線の反射率が低下して、加熱効率が低くなる
問題がある。またマグネトロンによってレンジ加熱を行
う場合には、マイクロ波が金属膜に当たることによって
放電を生じ、金属膜が局部的に高温となるので、金属膜
の組成が変化して赤外線の反射率が低下してしまうとい
う問題がある。
【0009】本発明の目的は、加熱調理を行うときに、
水分による曇りを防止するとともに付着する汚れ物質を
除去することができる透明窓を有する加熱調理装置を提
供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、調理物を収納
する調理室と、調理室内に収納される調理物を加熱する
加熱手段とを有し、調理室内に収納される調理物の調理
状態を観察することができる透明窓が設けられる加熱調
理装置において、前記透明窓は、透光性を有する基体
と、基体の調理室側に形成され、水分による曇りを防止
する機能と、汚れ物質を酸化分解して除去する機能とを
有する第1皮膜とを含むことを特徴とする加熱調理装置
である。
【0011】本発明に従えば、透明窓の基体の調理室側
に調理室に臨んで形成される第1皮膜は、水分による曇
りを防止する機能を有している。したがって、調理物を
加熱調理したときに発生する水蒸気によって透明窓の調
理室側の表面が曇ることが防止され、調理室内に収納さ
れ加熱調理される調理物の調理状態を透明窓を通して観
察できなくなることが防止される。
【0012】また第1皮膜は、汚れ物質が付着した場合
に汚れ物質を酸化分解して、汚れ物質を除去する機能を
有している。したがって、調理物を加熱調理したときに
調理室内に飛散する油脂などの汚れ物質が透明窓の調理
室側の表面に付着したときに、第1皮膜が汚れ物質を酸
化分解して汚れ物質を除去する。これによって、加熱調
理される調理物の調理状態を透明窓を通して観察できな
くなることが防止される。またこのように透明窓の調理
室側の表面に付着した汚れ物質が除去されるので、この
ような汚れ物質に水蒸気が結露して、曇りが発現するこ
とが防止される。
【0013】また本発明は、前記透明窓は、基体と第1
皮膜との間に形成され、基体が酸化分解することを防止
する第2皮膜をさらに含むことを特徴とする。
【0014】本発明に従えば、基体と第1皮膜との間に
は、基体が酸化分解することを防止する第2皮膜が形成
されているので、基体が第1皮膜によって酸化分解され
るような材料から成る場合においても、基体が酸化分解
することが防止される。
【0015】また本発明は、前記透明窓は、基体と第1
皮膜との間に形成され、赤外線を反射する第3皮膜をさ
らに含むことを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、基体と第1皮膜との間に
は赤外線を反射する第3皮膜が形成されているので、透
明窓に吸収される赤外線および透明窓を透過して外部に
放散される赤外線が少なくなる。したがって、加熱効率
を高くすることができるので、調理物をより短時間で加
熱することができるとともに、ヒータなどの加熱手段に
供給されるエネルギ、たとえば電力などの消費量を少な
くすることができる。
【0017】また赤外線を反射する第3皮膜の調理室側
の表面には、汚れ物質を酸化分解する第1皮膜が形成さ
れるので、付着した汚れ物質を酸化分解することによっ
て常に清潔な状態に保つことができる。したがって、付
着した汚れ物質によって赤外線の反射が妨げられること
がないので、第3皮膜を形成することによる加熱効率を
高くする効果を得ることができる。
【0018】また本発明は、前記透明窓は、基体と第1
皮膜との間に形成される第2皮膜と、基体と第2皮膜と
の間に形成され、赤外線を反射する第3皮膜とを有し、
前記第2皮膜は、第3皮膜が酸化分解することを防止す
る機能を有することを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、汚れ物質を酸化分解する
第1皮膜と、赤外線を反射して加熱効率を高くする第3
皮膜との間には、第3皮膜が酸化分解することを防止す
る機能を有する第2皮膜が形成されている。これによっ
て、第3皮膜が第1皮膜によって酸化分解されるような
材料から成る場合においても、基体が酸化分解すること
が防止される。
【0020】また本発明は、前記第1皮膜は、親水性材
料と、光照射によって汚れ物質を酸化分解する光触媒と
を含むことを特徴とする。
【0021】本発明に従えば、第1皮膜は水分による曇
りを防止する機能を有するために、親水性材料を含んで
いる。これによって第1皮膜の調理室側の表面に水蒸気
が結露する場合においても、第1皮膜と水分との接触角
を低下させる。さらに詳しく説明すると接触角を1度以
下とすることができる。したがって第1皮膜の調理室側
の表面に結露する水分は、多数の微細な水滴状に形成さ
れることなく膜状に広がり、調理室側の表面が曇ること
が防止される。このように第1皮膜の水分による曇りを
防止する機能は、第1皮膜が親水性材料を含んで形成さ
れることによって、常に親水性を有する状態に保持され
ることによって達成されるので、第1皮膜に他に何らか
の作用、たとえば光を照射したり、電気を通電させたり
する必要がない。
【0022】また第1皮膜は、光を照射されることによ
って汚れ物質を酸化分解する光触媒を含んでいる。これ
によって第1皮膜の調理室側の表面に汚れ物質が付着す
る場合においても、汚れ物質を酸化分解することができ
るので、汚れ物質を除去することができる。また第1皮
膜が光触媒を含むことによって、赤外線が反射されるの
で、透明窓に吸収される赤外線および透明窓を透過して
外部に放散される赤外線が少なくなる。したがって、加
熱手段の加熱効率を高くすることができる。
【0023】また第1皮膜が含有する光触媒は、光を照
射されることによって活性化して親水性なる。したがっ
て第1皮膜に光を照射することによって、第1皮膜によ
る曇り防止効果をさらに確実にすることができる。
【0024】また本発明は、前記光触媒は、酸化チタン
または酸化亜鉛から成り、前記親水性材料は、シリカま
たはシリコーン樹脂から成ることを特徴とする。
【0025】本発明に従えば、前記光触媒は、酸化チタ
ンまたは酸化亜鉛から成るので、光を照射されることに
よって粉末状の粒子の表面が活性化して強い酸化力を持
つ状態になることによって、汚れ物質を酸化分解するこ
とができる。また親水性材料はシリカまたはシリコーン
樹脂から成るので、水分との接触角を小さくすることが
できる。
【0026】また本発明は、前記第2皮膜は、シリカ、
シリコーン樹脂、フッ素樹脂およびアルミナのうちのい
ずれか1つから成ることを特徴とする。
【0027】本発明に従えば、第2皮膜は、シリカ、シ
リコーン樹脂、フッ素樹脂およびアルミナのうちのいず
れか1つから成るので、第1皮膜に含有される光触媒に
よって酸化分解されることが防止される。
【0028】また本発明は、前記第3皮膜は、ITO
(Indium Tin Oxide)膜、酸化スズ膜、および網目状に
形成された金属膜のうちのいずれか1つから成ることを
特徴とする。
【0029】本発明に従えば、第3皮膜はITO膜、酸
化スズ膜および網目状に形成された金属膜のうちのいず
れか1つから成るので、赤外線を調理室内に反射するこ
とができる。
【0030】また本発明は、紫外線波長領域を含む光を
発光し、第1皮膜の調理室側の表面を照射するように調
理室内を照射する室内灯が設けられることを特徴とす
る。
【0031】本発明に従えば、第1皮膜の調理室側の表
面を照射するように調理室内を照射する室内灯が設けら
れ、この室内灯は紫外線波長領域を含む光を発光する。
これによって、第1皮膜が含有する光触媒がさらに活性
化されるので、付着した汚れ物質を酸化分解する効果を
大きくすることができ、また光触媒が親水化されて光触
媒による曇り防止効果を得ることができる。
【0032】さらに本発明は、前記室内灯は、殺菌灯で
あることを特徴とする。
【0033】本発明に従えば、前記室内灯は、紫外線波
長領域のうち特に短い波長領域の光を発光する殺菌灯で
あるので、第1皮膜の光触媒をさらに活性化し、汚れ物
質を酸化分解する効果をさらに大きくすることができ
る。また、殺菌灯によって調理室内を照射することによ
って、調理室内を清潔にすることができるので、調理物
を加熱調理する上で衛生的である。
【0034】
【発明の実施の形態】図1(1)は、本発明の第1の実
施形態である加熱調理装置1を示す斜視図である。たと
えばオーブンレンジである加熱調理装置1は、略直方体
状のレンジ本体3を有し、レンジ本体3の内部には、前
方に開放し、食品である調理物を収納して加熱調理する
ための調理室4が形成されている。この調理室4に下か
ら臨むレンジ本体3の下壁3a上には、所定の方向に回
転するターンテーブル5が設けられ、加熱調理される調
理物はターンテーブル5に載置される。
【0035】レンジ本体3の前面側には、開閉扉2と操
作パネル6とが設けられている。開閉扉2は、レンジ本
体3に開閉自在に設けられ、一側部がレンジ本体3に角
変位自在に取付けられることによって調理室4を開閉す
る。また開閉扉2の他側部には、開閉扉2を開閉すると
きに把持する把持部材2aが設けられている。図1
(1)に示すように開閉扉2を開状態にすると、調理室
4が前方に開放され、調理物を調理室4内に収納するこ
とができるとともに、加熱調理済みの調理物を調理室4
から取出すことができる。また開閉扉2を閉状態にする
と、調理室4の前方が閉じられ、後述するように調理室
4内に収納された調理物を加熱調理することができる。
【0036】また開閉扉2には窓枠7が形成され、窓枠
7の内側には透明窓8が設けられている。開閉扉2が閉
状態であるとき、この透明窓8を介して、調理室4内に
収納されて加熱調理される調理物の調理状態を観察する
ことができる。
【0037】操作パネル6の下部には、調理物の加熱調
理装置を入力するための操作ダイヤル9が設けられてお
り、操作ダイヤル9を所定の方向に角変位させることに
よって、加熱調理時間を任意に設定することができる。
また操作パネル6の上部には、たとえば蛍光表示管から
成り、加熱調理時間などの調理情報を表示するための表
示手段10が設けられている。
【0038】加熱調理装置1は、レンジ本体3内に調理
物を加熱調理するための加熱手段を有している。加熱手
段は、マイクロ波を発生することによって調理物を加熱
調理する、すなわちレンジ加熱するマグネトロン12
と、赤外線を発生して調理物を加熱調理する、すなわち
オーブン加熱するヒータ13とから成る。マグネトロン
12は、商用電源から供給される、たとえば100V、
60Hzの交流電流が高圧トランス23によって昇圧さ
れた高圧電流によって付勢され、マイクロ波を発生す
る。マグネトロン12が発生したマイクロ波は、レンジ
本体3内に設けられた導波管24を通り調理室4内に照
射され、調理室4内に収納される調理物が加熱される。
【0039】ヒータ13は、上側ヒータ14と下側ヒー
タ15とから構成されている。上側ヒータ14は、調理
室4に上方から臨むレンジ本体3の上壁3bに下方に開
放して形成される上側ヒータ収納部16に設けられる。
同様に下側ヒータ15は、レンジ本体3の下壁3aに上
方に開放して形成される下側ヒータ収納部17に設けら
れる。このような上側ヒータ14および下側ヒータ15
が加熱されることによって、調理室4内に赤外線が照射
され、調理室4内に収納される調理物が加熱される。
【0040】レンジ本体3には、レンジ本体3の外部か
らの空気をレンジ本体3内に送込む送風ファン18が設
けられている。このような送風ファン18からレンジ本
体3内に送込まれる空気は、調理物を加熱するために付
勢されるマグネトロン12を冷却し、マグネトロン12
が発生する熱を回収して、レンジ本体3内に設けられる
送風ダクト19に送込まれる。このような送風ダクト1
9は、調理室4に側方から臨むレンジ本体3の側壁3c
に設けられ、網目状に形成される給気口20を介して、
調理室4に連通している。これによって送風ダクト19
に送込まれた空気は、給気口20を介して調理室4内に
送込まれる。また調理室4に後方から臨む後壁3dの一
部には、網目状に形成される排気口21が設けられてお
り、調理室4は排気口21を介してレンジ本体3の外部
と連通している。調理室4内に送込まれた空気は、加熱
調理時に調理物から発生する水蒸気および臭いなどとと
もに、排気口21からレンジ本体13の外部に排出され
る。
【0041】送風ダクト19の給気口20に近接する部
分には、給気口20を通して調理室4内に光を照射し、
調理室4内を照射するための照明灯26が設けられてい
る。また照明灯26に近接して、波長が400nm以下
である紫外線波長領域を含む光を発光する室内灯とし
て、波長が234nmである光を含んで発光する殺菌灯
27が設けられている。このような殺菌灯27は、給気
口20を通して、開閉扉2に設けられる透明窓8の調理
室4側の表面を含んで調理室4内を照射する。
【0042】開閉扉2に設けられる透明窓8は、調理室
4側に配設される内側窓材30と、外部に臨む外側に配
設され、たとえば透明なガラスから成り、透光性を有す
る外側窓材31とを有しており、内側窓材30と外側窓
材31との間には空気層32が形成されている。内側窓
材30の外側には、網目状に形成されたパンチング板3
3が設けられ、パンチング板33は加熱調理装置1がレ
ンジ加熱を行うときに、マグネトロン12が発生するマ
イクロ波が透明窓4を透過して外部に漏洩することを防
止する。
【0043】図1(2)は、透明窓4の内側窓材30を
模式的に示す断面図であり、厚み方向に切断したときの
断面を示す。内側窓材30は、たとえば透明なガラスか
ら成る基体35と、基体35の調理室4側に形成される
第1皮膜36とを有している。第1皮膜36は、水分に
よる曇りを防止する機能と、付着する汚れ物質を除去す
る機能とを有し、親水性材料であるシリカ37と、光照
射によって活性化して汚れ物質を酸化分解する、たとえ
ば酸化チタンから成る光触媒38とを含んでいる。この
ような第1皮膜36は透明皮膜であり、たとえばバイン
ダ法によって、バインダ成分となるシリカ37を含むコ
ロイダルシリカ溶液に微粒子状の光触媒38の粉末を混
合したものを、基体35の表面に塗布して焼付けること
によって、基体35の表面上に膜状に形成される。これ
によってバインダ成分であるシリカ37に光触媒38が
分散された状態で第1皮膜36が形成される。また上述
した方法で形成される第1皮膜36においては、バイン
ダ成分であるシリカ37が第1皮膜36における親水性
材料を兼ねている。
【0044】また、第1皮膜36におけるシリカ37と
光触媒38との固形分比率は1:1に設定され、第1皮
膜36の膜厚tは、大きくすることによって蓄水量を増
し曇り防止効果を大きくすることができるが、第1皮膜
36を介して調理室4内を観察することができる充分な
透明性が得られる範囲内であるように、10μm以下に
設定される。
【0045】上述した加熱調理装置1において、調理物
を加熱調理するときは、開閉扉2を開状態にして調理室
4内に設けられたターンテーブル5に調理物を載置し、
開閉扉2を閉状態にする。次に図示しない調理開始ボタ
ンを押圧することによって、加熱調理装置1は操作ダイ
ヤル9によって入力された加熱調理時間分レンジ加熱お
よびオーブン加熱を行う。レンジ加熱を行っている場合
は、マグネトロン12から発生するマイクロ波が導波管
24を通り調理室4内に照射され、これによって調理室
4内に収納された調理物はマイクロ波を吸収することに
よって加熱される。またオーブン加熱を行っている場合
は、ヒータ13が調理室4内に赤外線を照射することに
よって調理物が加熱される。
【0046】このように加熱調理が行われているとき
は、送風ファン17が作動しており、マグネトロン12
が冷却されるとともに、給気口20から調理室4内に空
気が送込まれ排気口19から空気が排出されることによ
って、調理室4内の空気が外部に排出される。また加熱
調理中は、照明灯26が点灯して調理室4内を照明す
る。同様に殺菌灯27が点灯して調理室4内を照射し、
調理室4内を殺菌するとともに、透明窓8の調理室4側
の表面に形成される第1皮膜36に紫外線波長領域を含
む光を照射して、第1皮膜36が含有する光触媒38を
活性化させる。
【0047】加熱調理装置1は、入力された加熱調理時
間分、調理物を加熱した後、加熱調理を終了する。この
ような加熱調理装置1には、タイマ手段が設けられてお
り、加熱調理終了後に、開閉扉2を開状態にして調理物
を調理室4内から取出し、再び開閉扉2を閉状態にする
ことによって、殺菌灯27が一定時間、たとえば1分間
点灯して調理室4内および透明窓8の第1皮膜36を照
射する。また加熱調理装置1には、図示しないクリーニ
ングボタンが設けられており、このクリーニングボタン
を押圧すると、タイマ手段によって殺菌灯27をさらに
1時間点灯させることができる。
【0048】このように調理物の加熱が行われることに
よって、加熱された調理物の水分が蒸発して水蒸気が発
生する場合がある。このような水蒸気は、送風ファン1
8の作用によって調理室4を通って排気口21から排出
される空気とともに外部へ排出されるが、一部の水蒸気
は調理室4内に残留する。調理室4内に残留した水蒸気
は、調理室4内の温度と透明窓8を隔てた外部の温度と
が相違することによって、透明窓8の調理室4に臨む表
面となる第1皮膜36の調理室4側の表面に結露する。
このとき、第1皮膜36は親水性材料であるシリカ37
を有しているので、第1皮膜36と水分との接触角は1
度以下、すなわちほぼ0度となる。これによって、第1
皮膜36の表面に結露する水分は、多数の微細な水滴状
となって表面に形成されることなく、表面に膜状に広が
って形成される。したがって第1皮膜36の調理室4側
の表面が水分によって曇ることが防止され、調理室4内
で加熱調理される調理物の調理状態を透明窓8を通して
観察できなくなることが防止される。
【0049】またこのように第1皮膜36は、親水性材
料であるシリカ37を含有して常時親水性を保つことに
よって、水分による曇りを防止する。これによって第1
皮膜36が曇りを防止するために、第1皮膜36に何ら
かの作用、たとえば光を照射したり、電気を通電させた
りする必要がない。したがって加熱調理装置1に、その
ための構造を設ける必要がなく、装置全体の構成を簡単
にすることができる。
【0050】また調理物の加熱が行われるときには、調
理物の種類によって、油脂または水溶性物質などの汚れ
物質が調理室4内に飛散し、透明窓8の調理室4側に臨
む表面となる第1皮膜36の調理室4側の表面に付着す
る場合がある。このとき第1皮膜36は光触媒38を含
んでいるので、殺菌灯27からの光を照射されることに
よって光触媒38が活性化して汚れ物質を酸化分解す
る。酸化分解された汚れ物質はガス状となり、送風ファ
ン18の作用によって排気口21から排出される空気と
ともに外部に排出される。このように第1皮膜36は、
付着した汚れ物質を酸化分解して除去することができる
ので、第1皮膜36に汚れ物質が付着することによっ
て、透明窓8を通して調理物の調理状態が観察できなく
なることが防止される。また第1皮膜36に汚れ物質が
付着した場合、汚れ物質に水蒸気が結露して水滴状とな
ることによって、第1皮膜36の表面に曇りが発現する
が、このように光触媒38が汚れ物質を酸化分解するこ
とによって曇りの発現を防止することができる。
【0051】また加熱調理装置1がヒータ13によって
オーブン加熱を行っているときには、第1皮膜36が光
触媒38を含んでいるので、該光触媒38によって赤外
線が反射し、透明窓8に吸収される赤外線および透明窓
を透過して外部に放散される赤外線が少なくなる。した
がって、ヒータ13の加熱効率を高くすることができ、
より短時間で調理物を加熱調理することができるので、
ヒータ13を加熱するために必要なエネルギ、たとえば
電力などを節約することができる。
【0052】また加熱調理中は、紫外線波長領域を含む
光を照射する室内灯として、殺菌灯27が第1皮膜36
を照射しているので、光触媒38がさらに活性化され、
付着した汚れ物質を酸化分解する効果を大きくすること
ができるとともに、光触媒38を親水化して光触媒38
による曇り防止効果を得ることができる。また室内灯と
して紫外線波長領域のうち、特に短い波長領域の光を発
光する殺菌灯27を用いているので、光触媒38による
汚れ物質を酸化分解する効果および曇り防止効果をさら
に大きくすることができる。さらに室内灯として殺菌灯
27を用いて、調理室4内を照射することによって、調
理室4内を殺菌して清潔な状態で調理物を加熱調理する
ことができる。
【0053】
【表1】
【0054】表1は、上述した加熱調理装置1の透明窓
8における曇り防止効果を示す。表1に示す曇り防止効
果は、加熱調理装置1によって水100ccを調理物と
して、加熱調理時間を2分に設定し、マイクロ波による
レンジ加熱を500Wの出力で行い、その直後に殺菌灯
27を1分間照射した場合、またはその直後に紫外線波
長領域を含む光を発光する室内灯として約360nmの
波長の光を含んで発光するブラックライトを10分間照
射した場合、または光を照射しなかった場合のそれぞれ
の場合において上記レンジ加熱を繰返し行ったときの透
明窓8の曇り状態を示したものである。なお、表1にお
ける「◎」は曇りが発現することなく透明窓8を通して
の調理物の視認性が良好な場合を示し、「○」は曇りは
発現していないが上記視認性が少し悪い場合を示し、
「△」は一部が曇る、または薄く曇った場合を示し、
「×」は全体が曇り、視認性が悪く調理物がほとんど見
えない場合を示している。
【0055】表1に示すように、加熱調理を行った後
に、紫外線波長領域を含む光を透明窓8の調理室4に臨
む表面に形成される第1皮膜36に照射することによっ
て、光触媒38が活性化されて親水性を保持し、第1皮
膜36による曇り防止効果を再生し、さらに確実にする
ことができる。また紫外線波長領域を含む光を照射する
室内灯としては、ブラックライトより波長が短い約25
0nmの波長の光を含んで発光する殺菌灯27を用いる
方が、高い曇り防止効果を得ることができる。したがっ
て加熱調理装置1において、加熱調理が終了した後に、
表1からも明らかなように殺菌灯27を1分間照射する
ことによって、第1皮膜36による曇り防止効果を確実
にすることができる。
【0056】
【表2】
【0057】表2は、加熱調理装置1の透明窓8におい
て、汚れ物質が付着した場合の曇り防止効果を示す。表
2に示す曇り防止効果は、透明窓8の第1皮膜36に付
着する汚れ物質としてサラダ油を第1皮膜36に塗布
し、その後に洗剤によって軽く水洗いした場合と、水洗
いしなかった場合のそれぞれの場合において、一定時間
殺菌灯27を照射した後、上述したように水100cc
を2分間加熱したときの第1皮膜36がサラダ油を酸化
分解することによる曇り防止効果を示したものである。
なお、表1と同様に、表2における「◎」は透明窓8を
通しての視認性が良好な場合を示し、「○」は視認性が
少し悪い場合を示し、「△」は透明窓8の一部が曇る、
または薄く曇る場合を示し、「×」は視認性が悪く調理
物がほとんど見えない場合を示している。
【0058】表2に示すように、透明窓8に汚れ物質と
してサラダ油が塗布された場合においても、殺菌灯27
を照射することによって、第1皮膜36が含有する光触
媒38が活性化してサラダ油を酸化分解するとともに親
水性を保持し、第1皮膜36による曇り防止効果を再生
し、さらに確実にすることができる。また曇り防止効果
を再生するためには、洗剤によって軽く水洗いした場合
は、殺菌灯27を60分間照射することによって第1皮
膜36による曇り防止効果を再生することができ、水洗
いしなかった場合と比較して殺菌灯27の照射時間を短
くすることができる。したがって、加熱調理装置1にお
いて加熱調理したときに、特に透明窓8の汚れが大きい
場合には、付着した汚れ物質を洗剤を含ませた濡れた布
で軽く拭取るなどして、加熱調理装置1に設けられたク
リーニングボタンを押圧して殺菌灯を1時間(60分
間)点灯させることによって、第1皮膜36による曇り
防止効果を確実に再生することができる。
【0059】本実施形態においては、第1皮膜36が含
有する親水性材料はシリカ37から成っているが、これ
に代えてシリコーン樹脂から成ってもよい。また第1皮
膜36はバインダ法によって形成され、バインダ成分は
シリカ37から成るが、これに代えて、シリコーン樹
脂、フッ素樹脂またはアルミナなどの光触媒38によっ
て酸化分解されない透明材料から成ってもよい。またバ
インダ成分をシリカまたはシリコーン樹脂として第1皮
膜を形成する場合には、バインダ成分が第1皮膜におけ
る親水性材料を兼ねる。
【0060】また本実施形態においては、透明窓8の調
理室4側の表面に形成される第1皮膜36は、バインダ
法によって形成されているが、これに代えてゾル・ゲル
法またはスパッタ法などによって形成されてもよい。ゾ
ル・ゲル法では、ゾル状の光触媒38と、シリカ37の
アルコキシドと、たとえばアルコールとを混合したも
の、または光触媒38となるテトラエトキシチタンのよ
うなチタンのアルコキシドと、ゾル状のシリカ37であ
るシリカゾルと、たとえばアルコールとを混合したもの
を、基体35の表面に塗布した後、焼付けて加水分解す
ることにより、第1皮膜36を基体35の表面に膜状に
形成する。またスパッタ法では、アルゴンなどの低圧気
体中に保持されたシリカ37および光触媒38の材料片
を加熱、またはイオンを衝突させ、材料片から分子を蒸
発または衝撃によって気体中に飛散させて基体35の表
面に付着させることによって、第1皮膜36を基体35
の表面に膜状に形成する。
【0061】また本実施形態においては、第1皮膜36
が含有する光触媒38は酸化チタンから成っているが、
これに代えて酸化亜鉛などから成ってもよい。
【0062】図2は、本発明の第2の実施形態である加
熱調理装置における透明窓の内側窓材41を模式的に示
す断面図であり、厚み方向に切断したときの断面を示
す。本実施形態の加熱調理装置は上述した加熱調理装置
1に類似しており、対応する部分には同一の参照符号を
付し、その説明を省略する。
【0063】内側窓材41は、たとえば透明な樹脂材料
から成る基体42と、基体42の調理室4側に形成され
る第1皮膜36とを含み、基体42と第1皮膜36との
間には第2皮膜43が形成されている。第2皮膜43
は、たとえばシリカから成る透明な皮膜であり、たとえ
ばバインダ法によって基体42の調理室4側の表面に形
成される。さらに第2皮膜44の調理室4側の表面に
は、シリカ37と光触媒38とを含み、曇り防止機能と
汚れ除去機能とを有する第1皮膜36が形成されてい
る。したがって基体42の調理室4側には、第1および
第2皮膜36,43が、基体42から離反する方向に第
2皮膜43、第1皮膜36の順に積層して形成されてい
る。
【0064】本実施形態においては、基体42は樹脂材
料から成るので、このような基体42には第1皮膜36
が含有する光触媒38によって酸化分解される。したが
って内側窓材41においては、基体42と第1皮膜36
との間に光触媒38によって酸化分解されない材料であ
るシリカから成る第2皮膜43が形成されているので、
第1皮膜36が含有する光触媒38によって基体42が
酸化分解されることが防止され、基体42が分解されて
剥離したりすることが防止される。このように第2皮膜
43を形成することによって、基体42を光触媒38に
よって酸化分解されるような材料で構成することができ
る。
【0065】また本実施形態において、第2皮膜43は
バインダ法によって形成されているが、これに代えて、
ゾル・ゲル法またはスパッタ法によって形成されていて
もよい。また、第2皮膜43をシリコーン樹脂、フッ素
またはアルミナで実現してもよい。
【0066】図3は、本発明の第3の実施形態である加
熱調理装置における透明窓の内側窓材51を模式的に示
す断面図であり、厚み方向に切断したときの断面を示
す。本実施形態の加熱調理装置は、上述した加熱調理装
置1に類似しており、対応する部分には同一の参照符号
を付し、その説明を省略する。
【0067】内側窓材51は、たとえば透明なガラスか
ら成る基体52と、基体52の調理室4側に形成される
第1皮膜36とを含み、基体52と第1皮膜36との間
には第3皮膜53が形成されている。第3皮膜53は、
たとえばITO(Indium TinOxide)膜から成る透明な
導電性皮膜であり、第3皮膜53はたとえばディップコ
ート法、スピンコート法によって基体52の調理室4側
の表面に形成される。さらに第3皮膜53の調理室4側
の表面には、シリカ37と光触媒38とを含み、曇り防
止機能と汚れ除去機能とを有する第1皮膜36が形成さ
れる。したがって基体52の調理室4側には、第1およ
び第3皮膜36,53が基体52から離反する方向に第
3皮膜53、第1皮膜36の順に積層して形成されてい
る。
【0068】本実施形態において、基体52と第1皮膜
36との間に形成される第3皮膜53は、赤外線を反射
する機能を有している。したがってヒータ13によるオ
ーブン加熱を行うときには、赤外線が反射し、透明窓に
吸収される赤外線および透明窓を透過して外部に放射さ
れる赤外線が少なくなる。これによってヒータ13によ
る調理室4内に収納された調理物の加熱効率を高くする
ことができる。またこれによって調理物をより短時間で
加熱することができるとともに、ヒータ13に供給され
るエネルギ、たとえば電力などの消費量を少なくするこ
とができる。
【0069】また赤外線を反射する第3皮膜53の調理
室4側の表面には、汚れ物質を酸化分解する第1皮膜3
6が形成されている。これによって第1皮膜36が加熱
調理時に付着した汚れ物質を酸化分解することによっ
て、透明窓の調理室4側に臨む表面は常に清潔な状態に
保つことができる。したがって、付着した汚れ物質に赤
外線が吸収されることが防止され、赤外線の反射が妨げ
られることがないので、透明窓において第3皮膜53を
形成することにより加熱効率を高くする効果を得ること
ができる。さらに第1皮膜36は微粒子状の光触媒38
を含んでおり、この光触媒38は赤外線を反射する。し
たがって第1皮膜36を第3皮膜53の調理室4側に臨
む表面に形成することによって、第3皮膜53および光
触媒38において赤外線を調理室4内に確実に反射する
ことができるので、ヒータ13の加熱効率をさらに高く
することができる。
【0070】また第3皮膜53の調理室4側の表面に形
成される第1皮膜36が含有する光触媒38は、ほぼ絶
縁体に近い材料である酸化チタンから成る。したがって
マイクロ波によるレンジ加熱を行ったときに、マイクロ
波が導電性の第3皮膜53に当たることが阻止され、第
3皮膜53において放電を生じて局部的に高温となり、
第3皮膜53の組成が変化して赤外線の反射性能が低下
してしまうことが防止される。
【0071】また本実施形態における第3皮膜53は、
ITO膜から成っているが、これに代えて導電性を有す
る酸化スズ膜、たとえば銀から成る網目状に形成された
金属膜などから成ってもよい。
【0072】図4は、本発明の第4の実施形態である加
熱調理装置における透明窓の内側窓材61を模式的に示
す断面図であり、厚み方向に切断したときの断面を示
す。本実施形態の加熱調理装置は、上述した加熱調理装
置1に類似しており、対応する部分には同一の参照符号
を付し、その説明を省略する。
【0073】内側窓材61は、たとえば透明なガラスか
ら成る基体62と、基体62の調理室4側に形成される
第1皮膜36とを有している。また基体62と第1皮膜
36との間には、たとえばシリカから成る第2皮膜63
が形成され、基体62と第2皮膜63との間には、たと
えば樹脂材料から成り、赤外線を反射する第3皮膜64
が形成されている。したがって基体62の調理室4側に
は、第1、第2および第3皮膜36,63,64が、基
体62から離反する方向に第3皮膜64、第2皮膜6
3、第1皮膜36の順に積層して形成されている。
【0074】本実施形態においては、第3皮膜64は第
1皮膜36が含有する光触媒38によって酸化分解され
る材料から成っている。したがって第3皮膜64と第1
皮膜36との間に、光触媒38によって酸化分解されな
いようにシリカから成る第2皮膜63を形成することに
よって、第1皮膜36の光触媒38によって酸化分解さ
れることが防止され、第3皮膜64が分解されて剥離し
たりすることが防止される。
【0075】また本実施形態における第2皮膜63はシ
リカから成っているが、光触媒38によって酸化分解さ
れない材料であればよく、シリコーン樹脂、フッ素樹脂
またはアルミナなどから成ってもよい。
【0076】
【発明の効果】請求項1の本発明によれば、透明窓の基
体の調理室側に調理室に臨んで形成される第1皮膜は、
曇り防止機能を有している。したがって、調理物を加熱
調理したときに発生する水蒸気によって透明窓の調理室
側の表面が曇ることが防止され、調理室内に収納され加
熱調理される調理物の調理状態を透明窓を通して観察で
きなくなることが防止される。
【0077】また第1皮膜は、汚れ物質を除去する機能
を有している。したがって、調理物を加熱調理したとき
に透明窓の調理室側の表面に付着する汚れ物質によって
調理物の調理状態を透明窓を通して観察できなくなるこ
とが防止される。またこのように透明窓の調理室側の表
面に付着した汚れ物質が除去されるので、このような汚
れ物質に水蒸気が結露して、曇りが発現することが防止
される。
【0078】請求項2の本発明によれば、基体と第1皮
膜との間には、基体が酸化分解することを防止する第2
皮膜が形成されているので、基体が第1皮膜によって酸
化分化されるような材料から成る場合においても、基体
が酸化分解することが防止される。
【0079】請求項3の本発明によれば、基体と第1皮
膜との間には赤外線を反射する第3皮膜が形成されてい
るので、透明窓に吸収される赤外線および透明窓を透過
して外部に放散される赤外線が再び調理室内に反射され
る。したがって、調理室の加熱効率を高くすることがで
き、調理物をより短時間で加熱することができるととも
に、ヒータなどの加熱手段に供給されるエネルギ、たと
えば電力などの消費量を少なくすることができる。
【0080】また赤外線を反射する第3皮膜の調理室側
の表面には、第1皮膜が形成されるので、付着した汚れ
物質を酸化分解することによって常に清潔な状態に保つ
ことができる。したがって、付着した汚れ物質によって
赤外線の反射が妨げられることがないので、第3皮膜を
形成することによる加熱効率を高くする効果を得ること
ができる。
【0081】請求項4の本発明によれば、汚れ物質を酸
化分解する第1皮膜と、赤外線を反射して加熱効率を高
くする第3皮膜との間には、第3皮膜が酸化分解するこ
とを防止する機能を有する第2皮膜が形成されている。
これによって、第3皮膜が第1皮膜によって酸化分解さ
れるような材質から成る場合においても、基体が酸化分
解することが防止される。
【0082】請求項5の本発明によれば、第1皮膜は水
分による曇り防止機能を有するために、親水性を有する
親水性材料を含んでいる。これによって第1皮膜の調理
室側の表面に水蒸気が結露する場合においても、第1皮
膜と水分との接触角を低下させることができる。したが
って第1皮膜の調理室側の表面に結露する水分は膜状に
広がり、調理室側の表面が曇ることが防止される。この
ように第1皮膜の水分による曇り防止機能は、親水性材
料を含んで形成されることによって、第1皮膜が常に親
水性を有する状態に保持されることによって達成される
ので、第1皮膜に他に何らかの作用、たとえば光を照射
したり、電気を通電させたりする必要がない。
【0083】また第1皮膜は、光照射によって汚れ物質
を酸化分解する光触媒を含んでいる。これによって第1
皮膜の調理室側の表面に汚れ物質が付着する場合におい
ても、汚れ物質を酸化分解することができるので、汚れ
物質を除去することができる。また第1皮膜が光触媒を
含むことによって赤外線を反射し、透明窓に吸収される
赤外線および透明窓を透過して外部に放散される赤外線
を少なくするので、加熱手段の加熱効率を高くすること
ができる。
【0084】また第1皮膜が含有する光触媒は、光照射
によって活性化して親水性となる。したがって第1皮膜
に光を照射することによって、第1皮膜による曇り防止
効果をさらに確実にすることができる。
【0085】請求項6の本発明によれば、前記光触媒
は、酸化チタンまたは酸化亜鉛から成るので、光を照射
されることによって粉末状の粒子の表面が活性化して強
い酸化力を持つ状態になることによって、汚れ物質を酸
化分解することができる。また親水性材料はシリカまた
はアルミナから成るので、水分との接触角を小さくする
ことができる。
【0086】請求項7の本発明によれば、第2皮膜は、
シリカ、シリコーン、フッ素樹脂およびアルミナのうち
いずれか1つから成るので、第1皮膜に含有される光触
媒によって酸化分解されることが防止される。
【0087】請求項8の本発明によれば、第3皮膜はI
TO膜、酸化スズ膜または網目状に形成された金属膜の
うちいずれか1つから成るので、赤外線を再び調理室内
に反射することができる。
【0088】請求項9の本発明によれば、第1皮膜の調
理室側の表面を照射するように調理室内を照射する室内
灯が設けられ、この室内灯は紫外線波長領域を含む光を
発光する。これによって、第1皮膜が含有する光触媒が
さらに活性化されるので、付着した汚れ物質を酸化分解
する効果を大きくすることができるとともに、光触媒を
親水化して光触媒による曇り防止効果を得ることができ
る。
【0089】請求項10の本発明によれば、前記室内灯
は、紫外線波長領域のうち特に短い波長領域の光を発光
する殺菌灯であるので、第1皮膜の光触媒をさらに活性
化し、汚れ物質を酸化分解する効果をさらに大きくする
ことができる。また、殺菌灯によって調理室内を照射す
ることによって、調理室内を照射することによって、調
理室内を清潔にすることができるので、調理物を加熱調
理する上で衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(1)は本発明の第1の実施形態である加
熱調理装置1を示した斜視図であり、図1(2)は加熱
調理装置1における内側窓材30を模式的に示す断面図
である。
【図2】本発明の第2の実施形態である加熱調理装置に
おける内側窓材41を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態である加熱調理装置に
おける内側窓材51を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態である加熱調理装置に
おける内側窓材61を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 加熱調理装置 2 開閉扉 3 レンジ本体 4 調理室 8 透明窓 12 マグネトロン 13 ヒータ 27 殺菌灯 30,41,51,61 内側窓材 31 外側窓材 35 基体 36 第1皮膜 37 シリカ 38 光触媒 43,63 第2皮膜 53,64 第3皮膜

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 調理物を収納する調理室と、調理室内に
    収納される調理物を加熱する加熱手段とを有し、 調理室内に収納される調理物の調理状態を観察すること
    ができる透明窓が設けられる加熱調理装置において、 前記透明窓は、透光性を有する基体と、 基体の調理室側に形成され、水分による曇りを防止する
    機能と、汚れ物質を酸化分解して除去する機能とを有す
    る第1皮膜とを含むことを特徴とする加熱調理装置。
  2. 【請求項2】 前記透明窓は、基体と第1皮膜との間に
    形成され、基体が酸化分解することを防止する第2皮膜
    をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の加熱調理
    装置。
  3. 【請求項3】 前記透明窓は、基体と第1皮膜との間に
    形成され、赤外線を反射する第3皮膜をさらに含むこと
    を特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
  4. 【請求項4】 前記透明窓は、基体と第1皮膜との間に
    形成される第2皮膜と、基体と第2皮膜との間に形成さ
    れ、赤外線を反射する第3皮膜とを有し、前記第2皮膜
    は、第3皮膜が酸化分解することを防止する機能を有す
    ることを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
  5. 【請求項5】 前記第1皮膜は、親水性材料と、光照射
    によって汚れ物質を酸化分解する光触媒とを含むことを
    特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の
    加熱調理装置。
  6. 【請求項6】 前記光触媒は、酸化チタンまたは酸化亜
    鉛から成り、前記親水性材料は、シリカまたはシリコー
    ン樹脂から成ることを特徴とする請求項5記載の加熱調
    理装置。
  7. 【請求項7】 前記第2皮膜は、シリカ、シリコーン樹
    脂、フッ素樹脂およびアルミナのうちのいずれか1つか
    ら成ることを特徴とする請求項2または4記載の加熱調
    理装置。
  8. 【請求項8】 前記第3皮膜は、ITO(Indium Tin O
    xide)膜、酸化スズ膜、および網目状に形成された金属
    膜のうちのいずれか1つから成ることを特徴とする請求
    項3または4記載の加熱調理装置。
  9. 【請求項9】 紫外線波長領域を含む光を発光し、第1
    皮膜の調理室側の表面を照射するように調理室内を照射
    する室内灯が設けられることを特徴とする請求項5記載
    の加熱調理装置。
  10. 【請求項10】 前記室内灯は、殺菌灯であることを特
    徴とする請求項9記載の加熱調理装置。
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