JP2000220590A - ロータリ圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 シリンダに設けられためねじに対してボルト
締結される２シリンダロータリ圧縮機において、ボルト
の締結力によりめねじに応力が生じることを防止する。 【解決手段】 ボルト９により２つのシリンダ２，３を
互いに締結してなる２シリンダロータリ圧縮機に於い
て、該ボルトを螺合するめねじをシリンダには有さず、
該ボルトは中間仕切り板６に設けられためねじに螺合さ
れるようにする。第１端板４ａまたは第２端板５ａに配
されたナット１６に螺合する構成としてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍空調機用冷媒
回路に用いられる２シリンダロータリ圧縮機に係り、特
に、２つのシリンダの締結構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図５は、例えば特開昭６２−２２５７９
２号公報に示された従来のロータリ圧縮機の締結構造を
示す部分断面図である。即ち、圧縮機構部は密閉容器
（図示せず）内に電動要素（図示せず）とともに組み込
まれ、電動要素の駆動力を伝達する駆動軸１、上下積層
状態に設けられた上下シリンダ２、３、これらシリンダ
２、３を閉塞し、駆動軸１を支持する上部軸受４と下部
軸受５、上記シリンダ２、３に挟まれた中間仕切り板
６、及び上下軸受４、５に装着された上下吐出マフラ
７、８により構成されて、これらは上側シリンダを貫通
する通しボルト９及び下側ボルト１０により、下シリン
ダ３に設けられためねじ３ａに対して締結された構成と
なっている。

【０００３】次に動作について説明する。冷媒ガスは密
閉容器に設けられた吸入パイプ（図示せず）よりシリン
ダ内へ吸入される。電動要素により駆動軸１が回転する
と、この駆動軸１の１８０°対称な偏心部に嵌合された
ロ−リングピストン（図示せず）が上下のシリンダ２、
３内を回転することにより、上下のシリンダ２、３内で
は１８０°位相がずれて冷媒ガスの圧縮が行われる。圧
縮された冷媒ガスは上下吐出マフラ７、８内を経て、密
閉容器内へと吐出され、密閉容器に設けられた吐出パイ
プ（図示せず）を通って冷凍装置へ供給される。

【０００４】また、図７は、実開昭５８−１７９０号公
報に示された従来のロータリ圧縮機の締結構造を示す部
分断面図である。上下積層状態に設けられたシリンダ
２、３、このシリンダ２、３に挟まれた中間仕切り板
６、上記シリンダ２、３を閉塞する両外側の軸受端板
４、５により構成され、上下通しボルト９、１０によ
り、中間仕切り板６に嵌装されためねじ付きノックピン
１１に対して螺合され締結された構成となっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た図５の従来のロータリ圧縮機の締結構造は、上下の締
結ボルトが下シリンダに設けられためねじに対して締結
される構成であるため、ボルトの締結力によりめねじに
応力が生じ、その影響が下シリンダ内径まで波及するた
め図６に模式的に示すように下シリンダ内径に歪みが生
じていた。したがって、結果として圧縮過程において冷
媒の漏洩が生じ、圧縮機効率が低下する問題があった。

【０００６】また、図７の従来のロータリ圧縮機の締結
構造に依れば、上下のシリンダは通しボルト締結用のめ
ねじを有さないため、ボルト締結による歪みの発生を抑
制できるが、めねじ付きノックピンは締結力に対し十分
な強度を有する必要があるためノックピン外径寸法の小
型化が困難で、ノックピン外径寸法はボルト通し穴とし
て本来必要十分な寸法である下シリンダ通し穴３ｂ内径
を上回ってしまうため、結果として中間仕切り板６と上
下シリンダ２、３との有効シート面積が減少し、中間仕
切り板によるシリンダの閉塞性が損なわれ、冷媒の漏洩
が生じ、圧縮機効率が低下する問題があった。

【０００７】この発明は上記のような問題点を解消する
ためなされたもので、ボルトの締結に起因するシリンダ
歪みを抑制し、シ−ル性の良い高効率の２シリンダ圧縮
機を提供することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項１記
載のロータリ圧縮機は、密閉容器内に電動要素と圧縮要
素とを備え、該圧縮要素は２つのシリンダと、電動要素
により回転し回転角に対して互いに１８０°ずれた２つ
の偏心軸を有するクランクシャフトと、このクランクシ
ャフトの各々の偏心軸に嵌挿されるピストンと、ベーン
と、前記クランクシャフトが回転自在に嵌挿される第１
軸受と第２軸受の一対の軸受と、前記第１軸受と第２軸
受に各々装着される吐出マフラを有し、前記２つのシリ
ンダは、第１軸受と一体の第１端板、第２軸受と一体の
第２端板及び２つのシリンダに挟まれる中間仕切り板で
閉塞され、ボルトにより２つのシリンダを互いに締結し
てなる２シリンダロータリ圧縮機に於いて、ボルトは中
間仕切り板に設けられためねじに螺合されるようにした
ものである。

【０００９】また、請求項２記載のロータリ圧縮機は、
密閉容器内に電動要素と圧縮要素とを備え、該圧縮要素
は２つのシリンダと、電動要素により回転し回転角に対
して互いに１８０°ずれた２つの偏心軸を有するクラン
クシャフトと、このクランクシャフトの各々の偏心軸に
嵌挿されるピストンと、ベーンと、前記クランクシャフ
トが回転自在に嵌挿される第１軸受と第２軸受の一対の
軸受と、前記第１軸受と第２軸受に各々装着される吐出
マフラを有し、前記２つのシリンダは、第１軸受と一体
の第１端板、第２軸受と一体の第２端板及び２つのシリ
ンダに挟まれる中間仕切り板で閉塞され、ボルトにより
２つのシリンダを互いに締結してなる２シリンダロータ
リ圧縮機に於いて、ボルトは第１端板又は第２端板に配
されたナットに螺合されるようにしたものである。

【００１０】また、請求項３記載のロータリ圧縮機は、
密閉容器内に電動要素と圧縮要素とを備え、該圧縮要素
は２つのシリンダと、電動要素により回転し回転角に対
して互いに１８０°ずれた２つの偏心軸を有するクラン
クシャフトと、このクランクシャフトの各々の偏心軸に
嵌挿されるピストンと、ベーンと、前記クランクシャフ
トが回転自在に嵌挿される第１軸受と第２軸受の一対の
軸受と、前記第１軸受と第２軸受に各々装着される吐出
マフラを有し、前記２つのシリンダは、第１軸受と一体
の第１端板、第２軸受と一体の第２端板及び２つのシリ
ンダに挟まれる中間仕切り板で閉塞され、ボルトにより
２つのシリンダを互いに締結してなる２シリンダロータ
リ圧縮機に於いて、ボルトは吐出マフラに設けられため
ねじに螺合されるようにしたものである。

【００１１】また、請求項４記載のロータリ圧縮機は、
密閉容器内に電動要素と圧縮要素とを備え、該圧縮要素
は２つのシリンダと、電動要素により回転し回転角に対
して互いに１８０°ずれた２つの偏心軸を有するクラン
クシャフトと、このクランクシャフトの各々の偏心軸に
自転自在に嵌挿され前記シリンダの内周に沿って公転す
るローリングピストンと、このピストンに先端が接触し
ながら前記シリンダに開設された溝内を往復運動するベ
ーンと、前記クランクシャフトが回転自在に嵌挿される
第１軸受と第２軸受の一対の軸受と、前記第１軸受と第
２軸受に各々装着される吐出マフラを有し、前記２つの
シリンダは、第１軸受と一体の第１端板、第２軸受と一
体の第２端板及び２つのシリンダに挟まれる中間仕切り
板で閉塞され、ボルトにより２つのシリンダを互いに締
結してなるローリングピストンタイプの２シリンダロー
タリ圧縮機に於いて、ボルトは第１端板又は第２端板に
設けられためねじに螺合されるようにしたものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】実施の形態１．図１は本発明の実
施の形態１によるロータリ圧縮機の締結構造を示す断面
図であり、密閉容器１２内に電動要素１４と圧縮要素１
３とを備えている。圧縮要素１３は、上下積層状態に設
けられた上下シリンダ２、３、電動要素１４により回転
し回転角に対して互いに１８０°ずれた２つの偏心軸を
有するクランクシャフト１、このクランクシャフト１の
各々の偏心軸に嵌挿されるピストン１７、シリンダ内を
吸入側と圧縮側に分けるベーン、前記クランクシャフト
１が回転自在に嵌挿される上下一対の上部軸受(第１軸
受)４と下部軸受(第２軸受)５、この上部軸受４と下部
軸受５に各々装着された吐出マフラ７、８を有し、前記
上下２つのシリンダ２、３は、上部軸受４と一体の上部
端板(第１端板)４ａ、下部軸受５と一体の下部端板(第
２端板)５a及び上下シリンダ２、３に挟まれる中間仕切
り板６で閉塞され、軸受芯だし用の仮締めボルト１５に
より構成されている。これらは複数の上側の通しボルト
９及び下側の通しボルト１０により、中間仕切り板６に
設けられためねじに螺合され各部品を軸方向に締め付け
ている。

【００１３】次に動作について説明する。冷媒ガスは吸
入マフラ１１を通して密閉容器１２内に設けられた吸入
パイプよりシリンダ２、３内へ吸入される。電動要素１
４によりクランクシャフト１が回転すると、このクラン
クシャフト１の１８０°対称な偏心部に勘合されたピス
トン１７が上下のシリンダ２、３内を回転することによ
り、上下のシリンダ２、３内では１８０°位相がずれて
冷媒ガスの圧縮が行われる。圧縮された冷媒ガスは上下
の吐出マフラ７、８内を経て、密閉容器１２内へと吐出
され、密閉容器１２に設けられた吐出パイプを通って冷
凍装置へ供給される。

【００１４】上記のように本実施形態の冷媒圧縮機は、
上下の締結ボルト９、１０が中間仕切板６に設けられた
めねじに対して締結される構成で、シリンダ２、３には
めねじを設けない構造になっている。ボルト９、１０の
締結力により中間仕切り板６に設けられためねじに応力
が生じても、シリンダ２、３には締結による歪みは波及
しない。従って、従来の締結方式では避けられなかった
シリンダ内径への歪みが改善される。さらに、シリンダ
２、３は上下部端板４a、５a及び中間仕切り板６により
上下から均等に締め付けられるため、シリンダ平面度に
対しても歪みを生じさせる影響は小さい。従って、シリ
ンダの歪みは従来と比較して大幅に改善されるため、圧
縮過程における冷媒の漏洩が防止でき、高い圧縮機効率
を達成できる。

【００１５】なお本実施形態では軸受芯だし用の仮締め
ボルト１５を有しているが、このような締結構造強度に
影響を与えない仮締めボルトあるいはノックピン等の存
在は本発明の効果を低下せしめるものではない。

【００１６】実施の形態２．図２は、本発明における実
施の形態２によるロータリ圧縮機の締結構造を示す要部
断面図である。実施の形態１と同様の部分は同一符号で
示し、説明を省略する。この実施形態では、ナット１６
を用いてボルトを締結する構成で、実施の形態１と同様
シリンダにはめねじを設けない構造になっている。ボル
ト９の締結力によりナット１６に応力が生じても、シリ
ンダ２、３には締結による歪みは波及しない。従って、
従来の締結方式では避けられなかったシリンダ内径への
歪みが改善される。さらに、シリンダ２、３は、上下部
端板４a、５a及び中間仕切り板６により上下から均等に
締め付けられるため、シリンダ平面度に対しても歪みを
生じさせる影響は小さい。従って、シリンダの歪みは従
来と比較して大幅に改善されるため、圧縮過程における
冷媒の漏洩が防止でき、高い圧縮機効率を達成できる。
また、本実施形態では実施形態１とは異なり中間仕切り
板にめねじを有さないため、中間仕切り板の平面度に対
しても歪みを生じさせない点で優れた特性を有する。

【００１７】なお、本実施形態２を示す図２では、下部
端板５a側にナット１６を配して上部端板４a側から通し
ボルト９により、ナット１６に螺合するようにしている
が、上部端板側にナットを配して下部端板側から通しボ
ルトにより、ナットに螺合するようにしてもよい。

【００１８】また、上部端板４a側及び下部端板５a側に
ナット１６を配して、複数の通しボルトのうち上部端板
４a側及び下部端板５a側からの通しボルトに対して、各
々下部端板５a側及び上部端板４a側のナットに螺合する
ようにしてもよい。

【００１９】実施の形態３．図３は、本発明における実
施の形態３によるロータリ圧縮機の締結構造を示す要部
断面図である。実施の形態１と同様の部分は同一符号で
示し、説明を省略する。この実施形態では、吐出マフラ
８にめねじを設けてボルト９によって螺合されるように
したものである。このように、吐出マフラ８にめねじを
配した形態においても、実施の形態２と同様の効果を奏
するが、本実施形態はナットを用いず吐出マフラにナッ
トと同様の役割を持たせることで部品数の削減が図れ優
れた生産性を有する。

【００２０】なお、本実施形態３を示す図３では、下側
の吐出マフラ８にめねじを設けて上部端板４a側から通
しボルト９により螺合するようにしているが、上側の吐
出マフラ７にめねじを設けて下部端板５a側から通しボ
ルトにより螺合するようにしてもよい。

【００２１】また、上下の吐出マフラ７、８に各々めね
じを設けて、複数の通しボルトのうち上部端板４a側及
び下部端板５a側からの通しボルトに対して、各々下側
吐出マフラ８及び上側吐出マフラ７のめねじに螺合する
ようにしてもよい。

【００２２】実施の形態４．図４は、本発明における実
施の形態４によるロータリ圧縮機の締結構造を示す断面
図である。実施の形態１と同様の部分は同一符号で示
し、説明を省略する。この実施形態では、上部端板４a
からのボルト９、下部端板５aからのボルト１０により
各々下部端板５ａ及び上部端板４ａに設けられためねじ
に螺合することで各部品を軸方向に締め付ける構造にな
っている。ボルト９、１０の締結力により下部端板５a
及び上部端板４aに設けられためねじに応力が生じて
も、シリンダ２、３には締結による歪みは波及しない。
従って、従来の締結方式では避けられなかったシリンダ
内径への歪みが改善され、圧縮過程における冷媒の漏洩
が防止でき、高い圧縮機効率を達成できる。

【００２３】また、本実施形態は実施形態２のようなナ
ットや実施形態３のようなめねじ付きの吐出マフラを有
さないため、生産性は更に良好となる。

【００２４】なお、本実施形態４を示す図４では、下部
端板５a及び上部端板４aにめねじを設けて、上部端板４
a側からの通しボルト９及び下部端板５a側からの通しボ
ルト１０により、各々下部端板５a及び上部端板４aのめ
ねじに螺合するようにしているが、下部端板５a側又は
上部端板４a側の片側にめねじを設けて、上部端板４a側
からの通しボルト又は下部端板５a側からの通しボルト
により下部端板５a又は上部端板４aのめねじに螺合する
ようにしてもよい。

【００２５】また、本実施形態は中間仕切り板にめねじ
を設けた実施形態１よりもめねじかかり長さを多く確保
できるため、高い締結力を得ることが出来る。また、実
施形態２のようなナツトや実施形態３のような吐出マフ
ラにめねじを設けるよりも、上下端板に直接めねじを設
けた本実施形態の方が、高い締結力を得ることが出来
る。

【００２６】特に、本実施形態の締結方法は、ピストン
とベーンが個々に独立したローリングピストンタイプの
ロータリ圧縮機に適している。ローリングピストンタイ
プのロータリ圧縮機では、ピストン及びベーンの軸方向
高さを別々に管理して最適な高さとすることが容易とな
る。つまり、シリンダ内を公転するピストンについては
シリンダ高さ最小値（ボルト近傍での軸方向高さ）に対
して抵抗なく通過できるだけの軸方向高さ、シリンダに
設けた溝内を往復するベーンについては溝近傍における
シリンダの軸方向高さに対して抵抗なく通過できるだけ
の軸方向高さとすることが、本実施形態の締結方法の優
位性を発揮する必要条件である。

【００２７】なお、本実施形態の締結方法においてピス
トンとベーンが一体となった形状を採用すると、締結後
のボルトの軸力によるシリンダ軸方向高さの変化に対応
した適切な隙間設定が困難となり、本実施形態の優位性
を発揮できなくなる。

【００２８】なお、上記実施の形態１〜４ではクランク
シャフト１が縦方向になっているものについて説明した
が、同様の機構でクランクシャフト１が水平乃至斜めで
ある形態を除外するものではない。

【００２９】

【発明の効果】以上のように、本発明に係る請求項１の
ロータリ圧縮機は、密閉容器内に電動要素と圧縮要素と
を備え、該圧縮要素は２つのシリンダと、電動要素によ
り回転し回転角に対して互いに１８０°ずれた２つの偏
心軸を有するクランクシャフトと、このクランクシャフ
トの各々の偏心軸に嵌挿されるピストンと、前記クラン
クシャフトが回転自在に嵌挿される第１軸受と第２軸受
一対の軸受と、前記第１軸受と第２軸受に各々装着され
る吐出マフラを有し、前記２つのシリンダは、第１軸受
と一体の第１端板と第２軸受と一体の第２端板及び２つ
のシリンダに挟まれる中間仕切り板とで閉塞され、ボル
トにより２つのシリンダを互いに締結してなる２シリン
ダロータリ圧縮機に於いて、ボルトは中間仕切り板に設
けられためねじに螺合されるようにしたので、ボルトの
締結によりめねじに発生する応力の影響がシリンダに波
及せず、シリンダの歪みのない圧縮機を得ることができ
る。従って、圧縮過程における冷媒の漏洩が抑制され、
高い圧縮機効率を発揮するロータリ圧縮機を得ることが
できるものである。

【００３０】また、請求項２のロータリ圧縮機は、ボル
トは第１端板又は第２端板に配されたナットを用いて各
部品を軸方向に締め付けるようにしたので、シリンダ本
体、及びシリンダを閉塞する中間仕切り板、第１端板、
第２端板のいずれにもボルト締結用のめねじを有さない
構造となっている。従ってボルトの締結によりめねじに
発生する応力の影響がシリンダに波及せず、シリンダの
歪みのない圧縮機を得ることができる。従って、圧縮過
程における冷媒の漏洩が抑制され、高い圧縮機効率を発
揮するロータリ圧縮機を得ることができるものである。
また、請求項１とは異なり中間仕切り板にめねじを有さ
ないため、中間仕切り板の平面度に対しても歪みを生じ
させない点で優れた特性を有するものである。

【００３１】また、請求項３のロータリ圧縮機は、ボル
トは吐出マフラに設けられためねじにて各部品を軸方向
に締め付けるようにしたので、請求項２と同様、シリン
ダ本体、及びシリンダを閉塞する中間仕切り板、第１端
板、第２端板のいずれにもボルト締結用のめねじを有さ
ない構造となっている。従ってボルトの締結によりめね
じに発生する応力の影響がシリンダに波及せず、シリン
ダの歪みのない圧縮機を得ることができる。従って、圧
縮過程における冷媒の漏洩が抑制され、高い圧縮機効率
を発揮するロータリ圧縮機を得ることができるものであ
る。また、吐出マフラにナットと同様の役割を持たせる
ことで部品数の削減が図れ優れた生産性を有するもので
ある。

【００３２】また、請求項４のロータリ圧縮機は、密閉
容器内に電動要素と圧縮要素とを備え、該圧縮要素は２
つのシリンダと、電動要素により回転し回転角に対して
互いに１８０°ずれた２つの偏心軸を有するクランクシ
ャフトと、このクランクシャフトの各々の偏心軸に自転
自在に嵌挿され前記シリンダの内周に沿って公転するロ
ーリングピストンと、このピストンに先端が接触しなが
ら前記シリンダに開設された溝内を往復運動するベーン
と、前記クランクシャフトが回転自在に嵌挿される第１
軸受と第２軸受一対の軸受と、前記第１軸受と第２軸受
に各々装着される吐出マフラを有し、前記２つのシリン
ダは、第１軸受と一体の第１端板と第２軸受と一体の第
２端板及び２つのシリンダに挟まれる中間仕切り板とで
閉塞され、ボルトにより２つのシリンダを互いに締結し
てなるロ−リングピストンタイプの２シリンダロータリ
圧縮機に於いて、ボルトは第１端板又は第２端板に設け
られためねじに螺合されるようにしたので、ボルトの締
結によりめねじに発生する応力の影響がシリンダに波及
せず、従って、圧縮過程における冷媒の漏洩が抑制さ
れ、高い圧縮機効率を発揮するロータリ圧縮機を得るこ
とができるものである。また、請求項２のようなナット
や請求項３のようなめねじ付きの吐出マフラを有さない
ため、生産性は更に良好となる。さらに、ピストンとベ
ーンに関して締結後のボルトの軸力によるシリンダ軸方
向高さの変化に対応した適切な隙間設定が容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施の形態１によるロータリ圧縮機
の締結構造を示す断面図である。

【図２】 本発明の実施の形態２によるロータリ圧縮機
の締結構造を示す要部断面図である。

【図３】 本発明の実施の形態３によるロータリ圧縮機
の締結構造を示す要部断面図である。

【図４】 本発明の実施の形態４によるロータリ圧縮機
の締結構造を示す断面図である。

【図５】 従来のロータリ圧縮機の締結構造を示す部分
断面図である。

【図６】 従来のロータリ圧縮機の締結歪みを模式的に
示す部分断面図である。

【図７】 従来のロータリ圧縮機の締結構造を示す部分
断面図である。

【符号の説明】

１．クランクシャフト ２．シリンダ ３．シリンダ
４．上部軸受 ４ａ．上部端板 ５．下部軸受 ５ａ．
下部端板 ６．中間仕切り板 ７．吐出マフラ ８．吐出マフラ ９．通しボルト １０．通しボルト
１２．密閉容器 １３．圧縮要素 １４．電動要素 １
６．ナット １７．ピストン。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千代延 守 東京都千代田区丸の内二丁目２番３号 三 菱電機株式会社内 Ｆターム(参考） 3H029 AA04 AA09 AA13 AA21 AB03 BB16 BB32 BB43 CC03 CC04 CC05 CC16 CC27 CC28

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 密閉容器内に電動要素と圧縮要素とを備
   え、該圧縮要素は２つのシリンダと、電動要素により回
   転し回転角に対して互いに１８０°ずれた２つの偏心軸
   を有するクランクシャフトと、このクランクシャフトの
   各々の偏心軸に嵌挿されるピストンと、ベーンと、前記
   クランクシャフトが回転自在に嵌挿される第１軸受と第
   ２軸受の一対の軸受と、前記第１軸受と第２軸受に各々
   装着される吐出マフラを有し、前記２つのシリンダは、
   第１軸受と一体の第１端板、第２軸受と一体の第２端板
   及び２つのシリンダに挟まれる中間仕切り板で閉塞さ
   れ、ボルトにより２つのシリンダを互いに締結してなる
   ２シリンダロータリ圧縮機に於いて、ボルトは中間仕切
   り板に設けられためねじに螺合されることを特徴とした
   ロータリ圧縮機。
2. 【請求項２】 密閉容器内に電動要素と圧縮要素とを備
   え、該圧縮要素は２つのシリンダと、電動要素により回
   転し回転角に対して互いに１８０°ずれた２つの偏心軸
   を有するクランクシャフトと、このクランクシャフトの
   各々の偏心軸に嵌挿されるピストンと、ベーンと、前記
   クランクシャフトが回転自在に嵌挿される第１軸受と第
   ２軸受の一対の軸受と、前記第１軸受と第２軸受に各々
   装着される吐出マフラを有し、前記２つのシリンダは、
   第１軸受と一体の第１端板、第２軸受と一体の第２端板
   及び２つのシリンダに挟まれる中間仕切り板で閉塞さ
   れ、ボルトにより２つのシリンダを互いに締結してなる
   ２シリンダロータリ圧縮機に於いて、ボルトは第１端板
   または第２端板に配されたナットに螺合されることを特
   徴としたロータリ圧縮機。
3. 【請求項３】 密閉容器内に電動要素と圧縮要素とを備
   え、該圧縮要素は２つのシリンダと、電動要素により回
   転し回転角に対して互いに１８０°ずれた２つの偏心軸
   を有するクランクシャフトと、このクランクシャフトの
   各々の偏心軸に嵌挿されるピストンと、ベーンと、前記
   クランクシャフトが回転自在に嵌挿される第１軸受と第
   ２軸受の一対の軸受と、前記第１軸受と第２軸受に各々
   装着される吐出マフラを有し、前記２つのシリンダは、
   第１軸受と一体の第１端板、第２軸受と一体の第２端板
   及び２つのシリンダに挟まれる中間仕切り板で閉塞さ
   れ、ボルトにより２つのシリンダを互いに締結してなる
   ２シリンダロータリ圧縮機に於いて、ボルトは吐出マフ
   ラに設けられためねじに螺合されることを特徴としたロ
   ータリ圧縮機。
4. 【請求項４】 密閉容器内に電動要素と圧縮要素とを備
   え、該圧縮要素は２つのシリンダと、電動要素により回
   転し回転角に対して互いに１８０°ずれた２つの偏心軸
   を有するクランクシャフトと、このクランクシャフトの
   各々の偏心軸に自転自在に嵌挿され前記シリンダの内周
   に沿って公転するローリングピストンと、このピストン
   に先端が接触しながら前記シリンダに開設された溝内を
   往復運動するベーンと、前記クランクシャフトが回転自
   在に嵌挿される第１軸受と第２軸受の一対の軸受と、前
   記第１軸受と第２軸受に各々装着される吐出マフラを有
   し、前記２つのシリンダは、第１軸受と一体の第１端
   板、第２軸受と一体の第２端板及び２つのシリンダに挟
   まれる中間仕切り板で閉塞され、ボルトにより２つのシ
   リンダを互いに締結してなるローリングピストンタイプ
   の２シリンダロータリ圧縮機に於いて、ボルトは第１端
   板又は第２端板に設けられためねじに螺合されることを
   特徴としたロータリ圧縮機。