JP2000220056A - ニット調外観織物およびその製造方法 - Google Patents

ニット調外観織物およびその製造方法

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JP2000220056A
JP2000220056A JP11018553A JP1855399A JP2000220056A JP 2000220056 A JP2000220056 A JP 2000220056A JP 11018553 A JP11018553 A JP 11018553A JP 1855399 A JP1855399 A JP 1855399A JP 2000220056 A JP2000220056 A JP 2000220056A
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temporary
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warp
yarns
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Toshihiko Kimura
俊彦 木村
Kazuo Umeda
和生 梅田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ニット調の表面凹凸効果と「サラサラ」した触
感の風合いに優れたニット調外観織物を提供する。 【解決手段】100〜500デニールの熱可塑性合成繊
維マルチフィラメント糸からなる仮ヨリコイルケン縮糸
をタテ糸および/またはヨコ糸に用いてなる織物であっ
て、該織物のタテ糸および/またはヨコ糸は、仮ヨリ加
ネンのヨリ位相が揃ったコイル部分とストレート部分を
有しており、1インチ当たりの平均コイル数nが2〜1
0個であって、かつ仮ヨリ加ネン方向に実ヨリを有し、
該タテ糸とヨコ糸の交錯部が斜向した組織点を有するこ
とを特徴とする織物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニット調の表面凹
凸効果と「サラサラ」した触感の風合いに優れたニット
調外観織物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、シボなどの表面凹凸効果や「サラ
サラ」した感触の風合いを有する織物として、強ネン糸
や先ヨリ未解ネン糸をタテ糸やヨコ糸に用いたり、ある
いは梨地調外観の織物組織に製織した織物が商品化され
てきた。
【0003】前者において、強ネン糸を用いた織物では
ヨリ数を多く挿入するとシボなどの表面凹凸効果は細か
く上品な外観となり、またドレープ性や柔らかさに優れ
た風合いの織物が得られるので、デシンやパレスなどの
名称で商品化されている。しかし、強ネン糸や先ヨリ未
解ネン糸はせいぜ100デニール以下の薄地分野であっ
て、100デニール以上の中厚地分野ではヨリ数を下げ
ても本発明の狙いとする「ザックリ」としたニット調の
外観を有する織物を得ることは極めて困難である。
【0004】後者において、梨地調の組織を有する織物
では複雑な織組織になるため製織性が低く、表面凹凸感
効果に欠けるなどの問題がある。
【0005】そこで現在は、100デニール以上のニッ
ト・デ・ニット糸を織物に用いて商品化されているが、
製造コストが高くなることや、元々ニット・デ・ニット
糸のケン縮発現力が弱く、製織工程の温度や張力を受け
やすく、十分な凹凸表面効果は得られにくいなどの問題
があり、生産量は伸び悩んでいる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ニット調の
外観と「サラサラ」した感触の風合いを有する「ザック
リ」とした織物およびその合理的な製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のニット調外観織
物およびその製造方法は、前記課題を解決するため、以
下の構成を有する。
【0008】すなわち、100〜500デニールの熱可
塑性合成繊維マルチフィラメント糸からなる仮ヨリコイ
ルケン縮糸をタテ糸および/またはヨコ糸に用いてなる
織物であって、該織物のタテ糸および/またはヨコ糸
は、仮ヨリ加ネンのヨリ位相が揃ったコイル部分とスト
レート部分を有しており、1インチ当たりの平均コイル
数nが2〜10個であって、かつ仮ヨリ加ネン方向に実
ヨリを有し、該タテ糸とヨコ糸の交錯部が斜向した組織
点を有することを特徴とする織物である。
【0009】また、100〜500デニールの熱可塑性
合成繊維マルチフィラメント糸にあらかじめ交絡処理を
施した後、複数本引き揃えて仮ヨリ域で合流させ仮ヨリ
加工を行い、次いで該複数本の糸を分繊もしくはそのま
ま引き揃えた状態において、仮ヨリ加ネンと同方向に1
00〜1000T/mの追ネンを施した仮ヨリコイルケ
ン縮糸をタテ糸および/またはヨコ糸に用いて製織する
ことを特徴とする織物の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図を用いて本発明のニット
調外観織物について説明する。
【0011】図1は本発明のニット調織物のタテ糸とヨ
コ糸の交錯点θをモデル的に示した概略図である。図2
は、従来の平二重組織の織物のタテ糸とヨコ糸の交錯点
θοをモデル的に示した概略図である。
【0012】図2に示すように、従来品の交錯点におけ
る角度θοはタテ糸とヨコ糸がほぼ直行しており90°
近辺であるが、図1に示すように、本発明のタテ糸
(イ)とヨコ糸(ロ)の交錯点における角度θは斜めに
交差しているので、30°<θ<80°あるいは100
°<θ<160°に交差し、いわゆる「よろけ」を起こ
している。
【0013】図3は本発明のニット調外観織物に用いる
仮ヨリコイルケン縮糸の形態の一例を示す概略図であ
る。
【0014】図3に示すように、本発明のニット調外観
織物に用いる仮ヨリコイルケン縮糸は、仮ヨリ加ネンの
ヨリ位相が揃ったコイル部分(ニ)と、仮ヨリ加ネンの
ヨリ位相が揃ったストレート部分(ハ)を有している。
【0015】また、上記仮ヨリコイルケン縮糸の残留ト
ルクヨリ数は、仮ヨリ加ネン方向に追ネンされているの
でほぼゼロに近い。
【0016】本発明の織物について説明するならば、本
発明の織物を構成する仮ヨリケン縮糸条は、100〜5
00デニールの熱可塑性合成繊維マルチフィラメント糸
からなる。素材はポリエステル、ポリアミドなどのフィ
ラメント糸であって、品種は未延伸糸(UY)、部分延
伸糸(POY)、あるいは延伸糸(DT)等の各種延伸
糸が採用でき、デニール、単繊維フィラメント数、収縮
率、断面形状、シックアンドシン、光沢および染色性な
どに特徴を有するものなどあらゆるフィラメント糸条を
採用できる。
【0017】合流仮ヨリ加工後、分繊加工した単糸条使
いは分繊加工性を向上させるため、できる限り同種類の
フィラメント糸を用いる方が好ましく、合流仮ヨリ加工
後、分繊加工しない複合糸条使いでは複合糸の特徴をよ
り効果的に表現するため、できる限り異種フィラメント
糸の組み合わせであることが好ましい。
【0018】例えば、収縮差の組み合わせでは糸長差を
設けて織物のハリ・腰などの風合いを改善したり、染色
差を設けて杢調の外観を表現したり、光沢差を設けるこ
とにより陰影感を表現したり、シックアンドシンのフィ
ラメント糸を用いることにより清涼感の風合いや梨地表
面効果および杢感などの特徴をより表現することができ
る。
【0019】本発明の織物を構成する仮ヨリコイルケン
縮糸は、仮ヨリ加ネンのヨリ位相が揃ったコイル状部分
とほぼストレート状に近い部分が糸長さ方向に交互に繰
り返され糸形成されている。このコイル状部分とストレ
ート状部分の繰り返しが存在することにより、織物内で
糸の糸長さ方向の収縮差が生じたり、トルク発現の方向
が逆転したり、するなど不規則な方向になることから、
タテ糸とヨコ糸の交錯点におけるバランスが崩れ、直行
交差から斜向に交差しやすくなる。その結果、「よろ
け」の現象を起こし凹凸表面効果が得られるのである。
なお、手触り感は凹凸表面効果によって「サラサラ」し
た風合いの織物が得られる。
【0020】本発明の織物を構成するケン縮糸の平均コ
イル数nは1インチ当たり10個以下2個以上が好まし
く、ピッチが粗くなることが特徴である。コイル数が1
インチ当たり10個を越えると細かくなり過ぎ、凹凸感
が表現されにくく独特の「ザックリ」感が出なくなり、
2個以下では個数が少な過ぎるので、凹凸表面効果は当
然弱くなる。
【0021】なお、平均コイル数の測定方法は、ケン縮
糸を10インチ以上採取し、定荷重0.1g/dを吊し
て10インチの長さに印を付け、定荷重をのぞき2mg
/dの荷重を吊した時に発現するコイル数を読取り1イ
ンチ当たりに換算したもので10回以上の平均値をと
る。
【0022】該ケン縮糸は仮ヨリ加ネン方向に実ヨリを
有しているが、これはトルクの発生を押さえ製織性の向
上をはかることと、マルチフィラメント糸のヨリ位相を
揃え、織物の表面凹凸効果を大きくしたり、「サラサ
ラ」感の風合効果を大きくする目的がある。
【0023】該ケン縮糸を織物のタテ糸やヨコ糸もしく
はタテ糸およびヨコ糸の双方に用いることによって、ニ
ット調外観の凹凸表面校を表現したり、織物の密度設計
を粗くしたり、織組織を単調な平組織などとすることに
より、交錯点が「よろけ」組織がぼやけるのでニット調
外観織物になる。
【0024】また、本発明の織物を構成する熱可塑性合
成繊維マルチフィラメント糸の断面形状は中空部がほぼ
完全に潰れた痕跡を有する断面であることが好ましい。
これは、仮ヨリ加工工程において通常の仮ヨリ条件より
高温・高ヨリの過酷な仮ヨリ条件を採用し断面形状をつ
ぶしたものである。通常、中空断面のマルチフィラメン
ト糸の仮ヨリ加工は、中空断面の効果をいかすため、な
るべく低ヨリ、低温度の弱仮ヨリ加工を施すが、本発明
は逆に強ネン・高温仮ヨリ加工を採用し、中空断面の
「つぶれ」と仮ヨリ加ネンのヨリ賦形を断面と側面に付
与することにより、ニット調外観の織物と「サラサラ」
した触感の風合いを与えることが、本発明の特徴であ
る。
【0025】この「つぶれ」効果は、他の異形断面糸、
たとえば三角、四角、星形、楕円形などについても同様
の効果を得るが、中空断面糸を用いた場合が最も効果が
大きいのである。
【0026】「つぶれ」度合いの測定方法として、中空
断面糸では元糸の中空部の面積S1と「つぶれ」た後に
残る中空部の面積S2とするならば、r=(S2/S
1)×100のrが95%以上が好ましい。なお、他の
異形断面糸たとえば三角、四角、星形、楕円形などは、
内接円の半径比をとることにより同様に測定することが
できる。
【0027】図4および図5は本発明の製造工程の一例
をモデル的に示した概略図である。
【0028】図4に従い本発明の製造方法を説明するな
らば、マルチフィラメント糸1および2をそれぞれ別々
に引き揃えてフィードローラ3へ供給し、空気交絡ノズ
ル4および5にてそれぞれのフィラメント糸に先交絡処
理を施す。交絡処理したフィラメント糸をフィードロー
ラ6から仮ヨリヒータ7に供給し、それぞれ仮ヨリヒー
タ7にて熱セットを施す。両糸条をヒータ7の出口にお
いて合流ガイド8にて合流させ、引揃えた状態で仮ヨリ
ツイスタ9にて仮ヨリ加工を施す。デリベリーローラ1
0から引き出し分繊ローラ11、12により元の両糸条
に分繊しチーズ13、14にそれぞれ巻き取る。巻き取
ったそれぞれの糸条に仮ヨリ加ネン方向に追ネンを施し
タテ糸および/またはヨコ糸用として製織に用いるので
ある。
【0029】また、図5においては、デリベリーローラ
10から分繊することなく引き揃え状態にてデリベリー
ローラ10からチーズ15に巻き取る方法である。
【0030】さらに詳細に説明するならば、マルチフィ
ラメント糸1、2は前記したように、ポリエステル、ポ
リアミドなどのフィラメント糸であって、未延伸糸(U
Y)、部分延伸糸(POY)および延伸糸(DT)等の
各種延伸糸、デニール、単繊維フィラメント数、収縮
率、断面形状、シックアンドシン、光沢および染色性な
どに特徴を有するあらゆるフィラメント糸条を用いるこ
とができる。
【0031】分繊する場合には、分繊加工工程の糸加工
性の点からできるだけ同種類のフィラメント糸を用いる
方が好ましい。また、分繊することなく、引揃え状態で
複合糸とする場合には、同種類より全く糸特性の異なる
フィラメント糸の組み合わせを用いる方が、新規な特徴
の複合糸を製造することができる。例えば、収縮差、光
沢差、断面形状差、シックアンドシン、デニール差、、
異染色性を設けることにより、それぞれ外観、風合い、
色ムラ、陰影感、杢感などの特徴をより付け加えること
ができるのである。
【0032】本発明においては、あらかじめフィラメン
ト糸にそれぞれ空気処理を施す。該交絡処理は、交絡
型、乱流型、仮より型などいずれであっても構わない
が、糸加工性やコストあるいは糸質から交絡型のノズル
が好ましい。交絡数は多いほど本発明の効果は大きくな
るので好ましく、具体的には30個/mから200個/
mの範囲が適しており、50個/m以上は極めて好まし
い。フィードローラ3、6間の交絡処理フィード率は弛
緩状態であり、1%から4%の過剰供給条件が好まし
い。
【0033】ヒータ温度はフィラメント糸の融点以下5
0℃から融点の範囲の高温域が適しており、融点の温度
に近くなるほど本発明の効果は大きくなる。例えば、ポ
リエステルフィラメント糸であれば、230℃〜245
℃が好ましい条件である。
【0034】合流ガイド8での合流位置はフィードロー
ラ6から仮ヨリヒータ7の間および仮ヨリヒータ7の
中、あるいは仮ヨリヒータ7から仮ヨリツイスタ9の冷
却域のいずれでも構わないが、仮ヨリヒータ出口の位置
が最も効果が大きく好ましい。
【0035】仮ヨリ数は複合した状態の太さに対するヨ
リ数を採用するが、通常のウーリ加工糸の範囲より10
%以上多く挿入することにより本発明の効果を大きくす
ることができる。例えば100デニールのフィラメント
糸であれば通常2600〜3000T/mが採用される
が3000T/mから3200T/mが好ましい。
【0036】仮ヨリ方式はベルトニップ型、フリクショ
ンディスク型、スピンドル型のいずれであっても良い
が、仮より数を多く確実に挿入するにはスピンドル型が
好ましい装置である。
【0037】デリベリローラ10から分繊ローラ11、
12において分繊加工を行うのであるが、分繊長さが短
くなると分繊加工性が低下するので30cm以上の間隔
を設けることが好ましい。
【0038】デリベリローラ10から引き揃え状態で巻
き取る場合は特に留意することなく巻き取ることができ
る。
【0039】追ネンは仮ヨリ加工糸に仮ヨリ加ネン方向
と同方向に実ヨリを施すのであるが、追ネンの実ヨリ数
は仮より加ネントルクがほぼゼロになる程度が好まし
く、少な過ぎても多すぎても好ましくないのである。例
えば、150デニールのポリエステルフィラメント糸を
複合糸にし300デニールとした場合、250から40
0T/mの追ネンの実ヨリが好ましい。
【0040】トルク数の測定方法は1mの糸長を採取し
その中央に2mg/dの小荷重を吊し、両端を中央に寄
せたとき、小荷重が回転する回数を読取り、50cmの
トルク数を測定し1m当たりに換算するのである。トル
ク数はゼロに近いほど好ましいが、その範囲としては2
0個/m以下に押さえることが好ましい。
【0041】さらに本発明においては、上記の仮ヨリ加
工糸を用いて製織するのであるが、タテ糸あるいはヨコ
糸、またはタテ糸およびヨコ糸のいずれにも適用できる
が、織物組織と織密度の設計が極めて重要になる。
【0042】織物組織は、仕上げ状態が「ザックリ」し
た密度の粗い織物を製造するため、基本組織は平を主体
に生地がしっかりした構造であって、クリンプが発現し
やすくなるよう、交錯点が弱くかつ織密度が粗いくなる
ような設計が好ましい。例えば、仮ヨリ加工糸をタテ糸
とヨコ糸使いの平二重、経二重などで粗く設計すると交
錯点が移動しやすくなり、熱処理によりトルクやケン縮
が発現しやすい。その結果、織クリンプとして浮き出た
り、タテ糸とヨコ糸が「よろけ」て交錯点が不明瞭にな
り、ニット調外観を有する織物を得ることができるので
ある。
【0043】製織条件は、織密度が粗くスケ感がなくか
つ軽量を満足する条件として目付対織密度の比が重要で
ある。例えば、目付対織密度の比をrとしp=目付(g
/m 2 )/織密度{タテ糸本数(本/インチ)×ヨコ糸
本数(本/インチ)}で表すならば、pを0.025
{g/m2 /(本/インチ)2 }以下に仕上げた織物で
は、「ザックリ」したニット調外観の織物を得ることが
できる。
【0044】具体例を示すならば、170デニールのケ
ン縮糸(S加ネン)をタテ・ヨコに用いた場合、追ネン
数S250T/mを施し、平二重組織において織上げ密
度はタテ60〜70本/インチ、ヨコ65〜75本/イ
ンチで製織することにより達成することができる。この
場合、pは0.02となる。
【0045】pが0.01以下では、梨地凹凸感効果は
大きくなるが織物のスケ感が大きくなりまた生地が弱く
なり、逆に0.03以上ではニット調外観織物の凹凸表
面効果は小さくなり,織物の生地は強くなるが、凹凸感
効果は低くなり過ぎる傾向にある。
【0046】織物の組織を梨地組織に用いるとドビーが
複雑になり製織性が低くなることや、クリンプが細かく
なり過ぎて「ザックリ」感が表現できなくなり好ましく
ない。
【0047】また、ツイルなどの組織では表地と裏地の
密度バランスがよくないので、生地が弱くなりやすく好
ましくない。
【0048】ノリ付け工程ではトルク数が小さいのでノ
リ付け工程を省略することもできるが、ノリ付けする場
合はクリンプ発現を大きくするため、なるべく低温短時
間処理の弱ノリ付けが好ましい。
【0049】織機については、中厚地を主体として「ザ
ックリ」した組織の設計が必須となるので、ウオータジ
ェットルームよりフライシャットルやレピアあるいはエ
アージェトルームが好ましいい。
【0050】染色仕上げ加工では、単糸使いの織物では
無地染めになるが、複合糸では異色染めができるので、
杢効果や「カスリ」効果あるいは4色染め、プリント加
工も可能になる。その他、形態安定加工、静電防止加
工、撥水加工、抗菌防臭加工などあらゆる後加工を組み
合わせることができる。
【0051】本発明の織物の用途としては、外観や手触
りはニット感覚であり、生地はしっかりとしており、春
夏用の婦人・紳士のカーディガンやジャケットに用いる
と最適である。衣料用以外では、テーブルクロス、壁
布、カーテンなど装飾・インテリア用、またボトルや楽
器あるいはスポーツ用具入、小物入れグッズなどの包装
・資材用にも適している。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により説
明する。
【0053】なお、風合いと外観の評価方法について
は、「サラサラ」感の大きいほうを(○)とし、小さい
方を(×)としてn数5で評価し、同様に外観の表面効
果が大きいほうを(○)、小さい方を(×)としてn数
5で評価した。[実施例1]170デニール48フィラ
メント中空率25%の中空ポリエステルマルチフィラメ
ント糸条に空気圧力5Kg/cm2 、オーバフィード率
+1%にて交絡処理を施した2糸条を、仮撚り加工装置
のフィードローラに供給し、仮撚り数1800T/m,
ヒータ温度235℃、にて両糸条をヒータ出口の合流ガ
イドで合流させ仮ヨリ加工した。つづいてオーバフィー
ド率+1%にて両糸条を分繊しながら別々のチーズに巻
き取り、巻取った仮ヨリ加工糸に仮ヨリ加ネン方向と同
方向にS300T/mの甘ヨリを加えた。
【0054】得られたケン縮糸は次の特性を有してい
た。
【0055】 コイル数 :7個/インチ 潰れ度合い(%):95(中空部ほぼなし) 伸縮復元率 :8.5% トルクヨリ数 :S方向2回/m 上記のケン縮糸をレピア織機にて次の条件にて製織し
た。
【0056】 組織 :平二重 タテ糸 :上記ケン縮糸(170デニール、48フィラメント) ヨコ糸 :上記ケン縮糸(170デニール、48フィラメント) 織り上げ密度 :タテ 64本/インチ :ヨコ 71本/インチ 生機目付対織密度の比 :0.02{g/m2 /(本/インチ)2 } 得られた生機を黒色の分散染料により通常の高温染色加
工(130℃)した。
【0057】 得られた織物の評価結果は次のとおりである。
【0058】 風合い :「サラサラ」感 (○) 織物外観 :ニット調梨地表面(○) [実施例2]150デニール36フィラメント丸断面シ
ックアンドシン糸のポリエステルマルチフィラメント糸
条に空気圧力5Kg/cm2 、オーバフィード率+1%
にて交絡処理を施した2糸条を、仮ヨリ加工装置のフィ
ードローラに供給し、仮撚り数1930T/m,ヒータ
温度240℃、にて両糸条をヒータ出口の合流ガイドで
合流させ仮ヨリ加工した。つづいてオーバフィード率+
1%にて両糸条を分繊しながら別々のチーズに巻き取
り、巻取った仮ヨリ加工糸に仮ヨリ加ネンと同方向にS
350T/mの甘ヨリを加えた。
【0059】得られたケン縮糸は次の特性を有してい
た。
【0060】 コイル数 :8個/インチ 伸縮復元率 :9.8% トルクヨリ数 :S方向3回/m 該ケン縮糸をレピア織機にて次の条件にて製織した。
【0061】 組織 :平二重 タテ糸 :上記ケン縮糸(150デニール、36フィラメント) ヨコ糸 :上記ケン縮糸(150デニール、35フィラメント) 織り上げ密度 :タテ 70本/インチ :ヨコ 75本/インチ 生機目付対織密度の比 :0.02{g/m2 /(本/インチ)2 } 生機を青色の分散染料により通常の高温染色加工(13
0℃)した。
【0062】 得られた織物の特徴は次の通りであった。
【0063】 [実施例3]150デニール36フィラメント丸断面糸
のポリエステルマルチフィラメント糸条に空気圧力5K
g/cm2 、オーバフィード率+1%で交絡処理を施し
た2糸条を、仮撚り加工装置のフィードローラに供給
し、仮撚り数2000T/m、ヒータ温度245℃にて
両糸条をヒータ出口の合流ガイドで合流させ仮ヨリ加工
した。つづいてオーバフィード率+1%にて両糸条を分
繊しながら別々のチーズに巻き取り、巻取った仮ヨリ加
工糸に仮ヨリ加ネンと同方向にS350T/mの甘ヨリ
を加えた。
【0064】得られたケン縮糸は次の特性を有してい
た。
【0065】 コイル数 :8個/インチ 伸縮復元率 :12.3% トルクヨリ数 :S方向5回/m 該ケン縮糸をレピア織機にて次の条件にて製織した。
【0066】 組織 :平二重 タテ糸 :上記ケン縮糸(150デニール、36フィラメント) ヨコ糸 :上記ケン縮糸(150デニール、35フィラメント) 織り上げ密度 :タテ 72本/インチ :ヨコ 77本/インチ 生機目付対織密度の比 :0.023{g/m2 /(本/インチ)2 } 得られた生機を分散染料により通常の高温染色加工(1
30℃)した。
【0067】 得られた織物の特徴は次の通りである。
【0068】 風合い :「サラサラ」感 (○〜△) 織物外観 :ニット調梨地表面(○〜△)
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、織物に用いるケン縮糸
の元糸の種類により効果の度合いが大きく異なってく
る。実施例1に示したように、中空断面糸を用いると、
仮ヨリ加工において中空断面が潰れることにより、断面
形状は大きく変形し側面形状においても合流仮ヨリによ
る波型状の賦型が行われる。その結果、凹凸梨地表面効
果と「サラサラ」感の風合いを織物に付与することがで
きるのである。断面形状が潰れない条件ではこれらの効
果は極めて小さい。
【0070】実施例2に示したように、シックアンドシ
ン糸を用いると、シック部は元々伸度がシン部より大き
く仮ヨリ温度の影響を受けやすいので、シャープな波型
状ケン縮が付与されやすくなり、染色した場合濃色にな
る。逆に、シン部はケン縮が付与されにくく、染色した
場合淡色になる。その結果、「サラサラ」感の風合いに
濃淡色の「カスリ」ムラが付与することができるのであ
る。
【0071】その他、分散染料で染色される通常のポリ
エステルフィラメント糸とカチオン染料で染色されるポ
リエステルフィラメント糸を用いて本発明の複合仮ヨリ
加工を実施したケン縮糸を用いた織物では、凹凸梨地表
面効果と「サラサラ」感の風合いに異色効果が付与され
た視覚的に高質感な織物を得ることができる。
【0072】同様に、フルダルフィラメント糸とスーパ
ブライト糸の組み合わせでは、凹凸梨地表面効果と「サ
ラサラ」感の風合いに陰影感が付与された高質感の織物
を得ることができる。
【0073】また、フルダルフィラメント糸と三角断面
のブライト糸を組み合わせると、凹凸梨地表面効果と
「サラサラ」感の風合いにシルバーグレー調の落ち着い
た真珠様の光沢感が付与された高質感の織物を得ること
ができる。
【0074】該織物の表面は、梨地調外観に加えて、さ
らに凹凸の「うねり」を有する。これは、該仮ヨリケン
縮の波型部分とストレート部分が熱処理によりトルク発
現することにより、タテ糸とヨコ糸がある平面部分で凸
部と凸部が重なる時、盛り上がりや逆に凹部と凹部が重
なる時、盛り下がりを形成し、「うねり」が発生すると
考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のニット調織物のタテ糸とヨコ糸の交錯
点θをモデル的に示した概略図である。
【図2】従来の平二重組織の織物のタテ糸とヨコ糸の交
錯点θοをモデル的に示した概略図である。
【図3】本発明のニット調外観織物に用いる仮ヨリケン
縮糸の糸形態の一例を示す概略図である。
【図4】本発明のニット調外観織物の製造方法の一例を
示す概略図である。
【図5】本発明のニット調外観織物の他の製造方法の一
例を示す概略図である。
【符号の説明】
イ:タテ糸部分 ロ:ヨコ糸部分 ハ:波型状の部分 ニ:ストレートの部分 1:フィラメント糸 2:フィラメント糸 3:フィードローラ 4:交絡ノズル 5:交絡ノズル 6:フィードローラ 7:ヒータ 8:合流ガイド 9:ツイスター 10:デリベリーローラ 11:分繊ローラ 12:分繊ローラ 13:巻き上げチーズ 14:巻き上げチーズ 15:巻き上げチーズ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】100〜500デニールの熱可塑性合成繊
    維マルチフィラメント糸からなる仮ヨリコイルケン縮糸
    をタテ糸および/またはヨコ糸に用いてなる織物であっ
    て、該織物のタテ糸および/またはヨコ糸は、仮ヨリ加
    ネンのヨリ位相が揃ったコイル部分とストレート部分を
    有しており、1インチ当たりの平均コイル数nが2〜1
    0個であって、かつ仮ヨリ加ネン方向に実ヨリを有し、
    該タテ糸とヨコ糸の交錯部が斜向した組織点を有するこ
    とを特徴とする織物。
  2. 【請求項2】前記織物を構成するマルチフィラメント糸
    の断面形状は、中空部が95%以上潰れた痕跡を有する
    ものであることを特徴とする請求項1記載の織物。
  3. 【請求項3】100〜500デニールの熱可塑性合成繊
    維マルチフィラメント糸にあらかじめ交絡処理を施した
    後、複数本仮ヨリ域で合流させ引き揃えて仮ヨリ加工を
    行い、次いで該複数本の糸を分繊もしくはそのまま引き
    揃えた状態において、仮ヨリ加ネンと同方向に100〜
    1000T/mの追ネンを施した仮ヨリコイルケン縮糸
    をタテ糸および/またはヨコ糸に用いて製織することを
    特徴とする織物の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7400592B2 (ja) 2020-03-31 2023-12-19 東レ株式会社 糸条、その製造方法、および織物

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