JP2000219946A - 溶融亜鉛めっき鋼板のドロス欠陥抑止方法および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛めっき鋼板のドロス欠陥抑止方法および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP2000219946A
JP2000219946A JP11020061A JP2006199A JP2000219946A JP 2000219946 A JP2000219946 A JP 2000219946A JP 11020061 A JP11020061 A JP 11020061A JP 2006199 A JP2006199 A JP 2006199A JP 2000219946 A JP2000219946 A JP 2000219946A
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Masahiko Hori
雅彦 堀
Teruaki Arioka
照晃 有岡
Masahiro Arai
正浩 荒井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドロス欠陥のない溶融亜鉛めっき鋼板および
/ または合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造を可能とし、
ドロス除去作業を低減する製造方法を提供する 。 【解決手段】 母材の鋼板に、Si:0.015〜0.
200重量%、P:0.005〜0.100重量%、お
よびSi(重量%)+P(重量%)≧0.035の関係
を満たす鋼板を用い、亜鉛浴への浸漬時間を7.0s以
下とする。亜鉛浴にMgを0.01〜0.20重量%含
有させるとさらによい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶融亜鉛めっき鋼板
のドロス欠陥抑止方法およびこのドロス欠陥抑止方法を
用いた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、家電、建材、および自動車などの
産業分野において、溶融亜鉛めっき鋼板が大量に使用さ
れている。とりわけ、経済性、防錆機能、塗装性能の点
で合金化溶融亜鉛めっき鋼板が広く用いられている。
【0003】合金化溶融亜鉛めっき鋼板の素材となる溶
融亜鉛めっき鋼板は通常、母材の冷延鋼板を脱脂洗浄し
た後、もしくは脱脂洗浄を経ず非還元性雰囲気または還
元性雰囲気で予熱した後、水素+窒素の還元性雰囲気で
焼鈍し、めっき温度付近まで冷却し、溶融亜鉛浴に浸漬
して製造する。後工程で合金化処理を行う場合、合金化
処理の時間を短縮するため、亜鉛浴のAl濃度を0.0
8〜0.15重量%程度とするが、これは合金化処理を
しない通常の溶融亜鉛めっき鋼板が0.15〜0.20
重量%とするのに比べて低い。
【0004】Al濃度の高い通常の溶融亜鉛めっき鋼板
の亜鉛浴にはFe−Al−Zn系のドロスと称する異物
が生成されるが、これは比重が小さいため亜鉛浴上部に
浮かび、比較的除去しやすい。これに対して、Al濃度
が低い合金化溶融亜鉛めっき鋼板用の亜鉛浴では比重の
大きいFe−Zn系のドロスが亜鉛浴中に生成され、こ
れが鋼板に付着してドロス疵となると製品品質を著しく
劣化させる。特に、自動車外装材のプレス成形で、「プ
レスぶつ」と称する表面欠陥が発生し問題になる。これ
らの欠陥を総称してドロス欠陥という。
【0005】Fe−Zn系のドロスは生成後、粒子同士
が凝集し、比重が大きいため、時間が経てば浴底に沈降
するが、沈降するまでの浮遊ドロス、および浴底から巻
き上げられたドロスがドロス欠陥の原因になる。
【0006】従来、ドロス欠陥を抑止するため、例え
ば、特開平3−47956号公報には鋼板またはシンク
ロールの動きによる亜鉛浴の攪拌作用によって、浴底の
堆積ドロスが巻き上げられないように、遮蔽板を用いて
亜鉛浴の流動を抑制する方法が開示されている。
【0007】しかし、同公報に記載の方法は、ドロスが
粗大に成長するまでは亜鉛浴中に浮遊したままとなるの
でドロス欠陥を完全には抑止できず、長期間操業すると
沈降したドロスが遮蔽板の上部にも多量に堆積し、溶融
亜鉛の流動によってドロスが巻き上げられるため、沈殿
したドロスを頻繁に除去する作業が必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は溶融亜
鉛めっき鋼板の製造における亜鉛浴中のFe−Zn系浮
遊ドロスを低減し、ドロス除去作業を軽減し、めっき鋼
板製品のドロス欠陥を抑制する方法およびこの方法を用
いた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、まず、ド
ロス生成量と鋼板からの溶出Fe量との関係について、
詳細な検討を行った。Fe−Zn系ドロスは鋼板から溶
出するFeに起因するものであるが、その溶出量は鋼中
のSi、Pの存在によって著しく低減できることを見出
した。さらに、詳細調査した結果、Fe溶出を抑制でき
る鋼中Si含有量には、下限値があり、PはSiの存在
下でFe溶出量を減少させる補助効果を持っていること
を知見した。
【0010】この理由は以下のように推定できる。鋼板
からのFe溶出速度はめっき初期に鋼板の表面に生成さ
れるFe−Al合金層の安定性に依存し、Fe−Al合
金層が安定であれば、溶出したFeが拡散する際のバリ
アー層となるためFe溶出を防止できる。SiおよびP
はFe−Al合金層の生成および安定性に影響を及ぼし
ていると推定される。SiはAlとの親和性が良くFe
−Al合金層の生成量を増加させる働きが大きく、鋼板
表面の被覆率を大きくしたり、この合金層の総量を増加
させることにより、バリアー効果を高くしている。一
方、Pは生成されたFe−Al合金層を安定化させ、破
壊を防止する効果を持つものと考えられる。従って、あ
る程度、Fe−Al合金層の被覆率が高くなければ、F
e−Al合金層を安定化させたとしても、バリアー効果
は薄く、SiがないとPの効果も望めない。
【0011】溶出Fe量をSiおよびPの含有量の総和
で整理すると、この総和がある値以上のとき溶出Fe量
は急激に減少することが実験的に確認できた。すなわ
ち、Si量が前記の下限値以上であればSiとPは同等
の効果があることが判明した。
【0012】一方、鋼板をさらに長時間溶融亜鉛浴に浸
漬すると浴中のAl量が少ないために、鋼板近傍のAl
はすぐに減少し、FeとZnが直接反応してFe−Zn
合金層が生成される。このFe−Zn合金層中へAlが
拡散し、Fe−Alのバリアー層が破壊されるため、長
時間浸漬すると界面合金層がFe−Al合金層からFe
−Zn合金層に変化する。Fe−Zn合金層はFe−A
l合金層に比較して、Feの拡散を抑制する効果が小さ
く、Fe溶出抑制効果は減殺されるため、浸漬時間の上
限管理が必要である。
【0013】上述のように、鋼中のSi、Pの含有量を
規定し、浸漬時間を規定することによってFeの溶出速
度を低下させることができるが、完全には防止すること
はできない。溶出したFeはいずれにせよFe−Zn系
の微小ドロスを生成するが、このドロスは成長速度が遅
く、沈降しにくい。ドロスのサイズが小さい時は、品質
上問題にはならないが、何らかの操業条件の変動がある
と浮遊していた微小ドロスが急激に粗大化し、めっき鋼
板にドロス欠陥を発生させることがある。操業条件変動
とドロス欠陥発生の関係を調査したところ、例えば1時
間につき浴中Al濃度の変化量で±0.005%、浴温
変化量は±5℃変動した場合、浴中で粗大ドロスが生成
されやすいことが判明した。
【0014】通常操業の場合、これらの操業条件の変動
がないようにすれば、上記のように母材鋼板のSiとP
を規定することで効果がある。しかし、このように操業
変動の制限を加えて、長時間操業を行うことは困難であ
るため、Fe溶出量が少ない状態でも沈降速度が大きく
なる方法を検討することにした。
【0015】発明者らは浮遊ドロスの沈降速度を大きく
する方策を検討した結果、亜鉛浴に微量のMgを含有さ
せることによって、沈降速度を早めることができ、浮遊
ドロスを減少できることを知見した。また、沈降した浴
低ドロスも安定的に堆積し、多少の亜鉛浴流動があって
もドロスは再浮遊しないことも判明した。
【0016】この理由は、以下のように推定できる。F
e−Zn系ドロスにはAlが固溶している場合が多く、
亜鉛浴の比重に近い比重になるため、沈降速度が遅いと
考えられる。浴中にMgを含有させた場合、生成するド
ロス中に固溶するAl量が減少し、ドロス自身の比重が
重くなることによって沈降速度が促進されると考えられ
る。この場合、浴中にMgを含有しない場合に比べて、
小さいドロスが沈降し浴底に堆積することになる。浴底
ではドロスの成長は主として、ドロス相互が接着するこ
とによって粗大化するため、小さなドロスでも相互の接
触面積が増加するため、成長が促進され、強固に堆積す
るものと考えられる。
【0017】本発明は上記の知見に基づいて完成したも
のであり、その要旨は、以下の(1)〜(3) にある。
【0018】(1) 溶融亜鉛めっき鋼板の製造において、
鋼中のSiとPが、Si:0.015〜0.200重量
%、P:0.005〜0.100重量%、およびSi
(重量%)+P(重量%)≧0.035の関係を満たす
鋼板を用い、前記鋼板の亜鉛浴への浸漬時間を7.0s
以下とすることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板のドロ
ス欠陥抑止方法。
【0019】(2) 亜鉛浴に、Mgを0.01〜0.20
重量%含有することを特徴とする前記(1) 項に記載の溶
融亜鉛めっき鋼板のドロス欠陥抑止方法。
【0020】(3) 前記(2) 項に記載のドロス欠陥抑止方
法を用いることを特徴とするドロス欠陥の少ない合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施に際し、めっき対象
の母材鋼板には冷延鋼板を使用し、溶融めっき設備内で
還元焼鈍してめっきするが、熱延材、または予め焼鈍を
施した材料を用いてもよい。母材鋼板はSiとPを含有
し、Si:0.015〜0.200重量%、P:0.0
05〜0.100重量%、およびSi(重量%)+P
(重量%)≧0.035の関係を満たすものとする。
【0022】Siは0.015重量%未満では、Fe溶
出を抑制する効果がない。Si含有量が0.200重量
%を超えると、亜鉛浴浸漬前の焼鈍時にSiの酸化物が
表面に濃化するため、不めっきが生じる。望ましくは、
Si:0.020〜0.150重量%、さらに望ましく
は0.030〜0.100重量%である。
【0023】Pは単独では、Fe溶出を抑制する効果は
少ないが、Siを0.015重量%以上含有する鋼材で
は著しくFe溶出抑制の補助効果を示す。Pの含有量が
0.005重量%未満ではこの補助効果が期待できな
い。さらに、P含有量を0.005重量%未満とするた
めには製鋼工程での脱Pコストが高くなる。Pの含有量
が0.100重量%を超えると、鋼材が硬くなり、加工
性が劣化する。望ましくはP:0.008〜0.050
重量%、さらに望ましくは、0.010〜0.025重
量%である。
【0024】Si(重量%)+P(重量%)が0.03
5%未満の場合は、SiおよびPが前記の条件のそれぞ
れ下限値に近い場合に相当し、Fe−Al合金層の形成
と安定化が不十分になって、Fe溶出量を減少させるこ
とはできない。表面性状、スケールの問題などの理由で
Si含有量を極力少なくする必要のある鋼材の場合、P
の含有量を増加させることにより、鋼中Si+Pの総和
が0.035重量%以上となるようにすればよい。
【0025】亜鉛浴への鋼板浸漬時間は7s以下とす
る。この浸漬時間は、ライン速度と鋼板の浸漬長さに依
存するが、鋼板の浸漬長さは設備固有であるため、ライ
ン速度で調整することになる。
【0026】本発明のように鋼中に、Si、Pなどの合
金化遅延をもたらす元素を含有する場合には、溶融めっ
き後、合金化処理に時間を要するため、ライン速度を遅
くして操業することになる。しかしながら、浸漬時間が
長くなると、Fe溶出が増加する。浸漬時間の上限を7
sとするのは、これを超えて浸漬時間が長くなると、S
i、Pにより安定化された界面のFe−Al合金層破壊
が生じ、Fe溶出量を減少させることができないためで
ある。生産性も考慮すると、できる限りライン速度を速
くすることが有利であるため、浸漬時間は望ましくは1
〜5s、さらに好ましくは1〜3sとするのがよい。
【0027】亜鉛浴中のドロスの沈降速度を大きくする
ために含有させるMg濃度は0.01〜0.20重量%
とするのがよい。Mg含有量が0.01重量%未満であ
ると、ドロスの比重を大きくできず、ドロスの沈降速度
を大きくする効果がない。また、Mgを0.20重量%
を超えて含有させても効果は飽和し、コストが増大す
る。
【0028】浴中のAl濃度は特に限定するものではな
く、通常の合金化溶融亜鉛めっき用の0.08〜0.1
5重量%の範囲でよい。Al濃度が上記の下限値未満で
あるとZn皮膜の密着性が損なわれ、目付量の制御が困
難になる。上限値を超えるとFe−Zn合金化を抑制す
るため合金化処理工程の生産効率が低下する。
【0029】亜鉛浴の温度は通常の440〜500℃で
よい。440℃未満であると、浴表面のZnが局所的に
凝固しやすく、また、溶融亜鉛の粘性が高くなるため、
目付量の制御性が悪くなり、生産に悪影響を及ぼす。亜
鉛浴温度が500℃を超えると、亜鉛浴表面のZnの蒸
発が多くなり、スナウト部(還元焼鈍された鋼板が浴面
に浸漬されるまで外気から保護する炉体部分)にZnが
凝縮し堆積する。このZn堆積物が脱落し、鋼板表面に
付着して欠陥となる。
【0030】実際の操業では合金化溶融亜鉛めっきの母
材鋼板として本発明の規定するSi、Pの範囲を外れる
ものを製造したり、亜鉛浴浸漬時間が7sを超えること
もある。このような場合、亜鉛浴が「汚れる」ため、例
えば下記(a) 〜(c) のような操業を行えばよい。
【0031】(a) これらの母材鋼板の製造を堆積ドロス
除去作業の直前のタイミングに行う。 (b) これらの母材鋼板の製造後、Al濃度を増加させ、
通常の溶融亜鉛めっき鋼板の製造に切り替える。 (c) これらの母材鋼板の製造後、本発明範囲の成分で低
グレードの表面品質の母材鋼板を製造し、亜鉛浴の浮遊
ドロス量を減少させるクリーニング操業を行う。
【0032】
【実施例】(実施例1)母材鋼板の化学組成の影響を調
査する試験として、表1に示す鋼材成分A〜Lの冷延鋼
板から試験片を採取し、バッチ方式で溶融亜鉛めっきを
行った。試験片の寸法は厚さ0.8mm×幅100mm
×長さ220mmであった。亜鉛浴は、Al濃度0.1
4重量%、亜鉛浴温度460℃、試験片の浸漬時間は3
sとした。
【0033】
【表1】
【0034】溶出Fe量の測定結果を表2に示す。同表
において、亜鉛浴中に溶出したFe量の測定は下記の測
定値から計算したものである。
【0035】(a) 試験片鋼板の重量変化:A A=めっき前鋼板重量−めっき後のめっき被膜を溶解除
去した鋼板の重量、として求めたものである。めっき被
膜はインヒビターを含有する塩酸に浸漬して溶解除去し
た。
【0036】(b) めっき被膜のFe量:B、Zn量:C 前記(a) の溶解除去しためっき被膜成分を含む塩酸中の
Fe量:B、およびZn量:Cとを化学分析により求め
たものである。
【0037】(c) 亜鉛浴中のFe濃度:D(重量%) 溶融亜鉛をサンプリングし、化学分析で求めたものであ
る。
【0038】上記のA〜Dの値に基づき、Fe溶出量:
Xを(鋼板重量変化−界面合金反応に使用されたFe)
として、下記のXを求めた。 X=A−{B−(C×D)}
【0039】
【表2】
【0040】溶融亜鉛めっきの実生産プロセスにおい
て、製造する最大板幅1450mm×浸漬長さ(3.4
m)×2(両面)=浸漬面積10.0(m2 )を想定し
た時、溶出Fe量が0.8g以下であれば、ドロスの沈
降する量とバランスし、浮遊ドロス量が増加しない限界
となる。従って表2において、鋼板の単位面積あたり、
溶出Fe量0.08g/m2 以下を「良好:○」、これ
を超えるものを「不良:×」と評価した。
【0041】表2に示すように、試験片No.1〜8
(鋼板成分A〜H)のSiおよびPは本発明の範囲を満
たし、No.9〜12(同I〜L)はSi量が低く本発
明の範囲を満たしていない。試験片No.1〜8の溶出
Fe量は、いずれも0.06g/m2 以下であるのに対
し、試験片No.9〜12では、Fe溶出量が2〜5倍
に増加した。このことから、SiおよびPのFe溶出抑
制効果が明らかとなった。
【0042】試験片No.11ではP含有量が高く、S
i+Pの含有量総和が0.035重量%を超えているに
もかかわらず、Siが本発明の下限値未満であるため、
Fe溶出抑制効果は十分でないことが示されており、P
の効果が補助効果であることが明らかになった。
【0043】(実施例2)浸漬時間の影響を調査する試
験を行った。表1に示す組成の鋼板A、B、Cから実施
例1と同寸法の試験片を採取し、亜鉛浴中Al濃度0.
14%、亜鉛浴温度460℃、浸漬時間1〜10sとし
てバッチ方式で溶融亜鉛めっきを行った。溶出Fe量の
測定(実施例1と手法は同様)を行った結果を表3に示
す。
【0044】
【表3】
【0045】表3のFe溶出量の「良好:○」、「不
良:×」の評価基準は実施例1と同様である。同表に示
すように、試験片No.13〜21の浸漬時間は本発明
の規定する7s以下であり、溶出Fe量は0.08g/
2 以下で良好であった。本発明範囲外である試験片N
o.22〜27はFe溶出量が0.11g/m2 以上と
なり、実生産プロセスでは浮遊ドロス量が増加すること
が予想されるため、不良と判定した。
【0046】(実施例3)めっき条件を各種変更し、連
続操業状態での浮遊ドロスの個数密度と、浮遊ドロス量
を評価する試験を行った。
【0047】試験では、連続溶融めっきシミュレータを
用い、幅80mmの鋼帯(鋼成分は表1のA〜C、J、
およびK)を24時間めっきする試験を行った。めっき
シミュレータのライン速度は5mpmで一定とした。め
っきの総面積は両面で1152m2 であった。亜鉛浴中
のAl濃度を0.08〜0.15重量%、Mg濃度を
0.01未満〜0.20重量%でそれぞれ変化させた。
亜鉛浴の温度は460℃とし、浸漬時間は3sで一定と
した。結果を表4および5に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】表4のドロスカウントとは、各試験の最後
に亜鉛浴の上部〜中央部の鋼板パス近傍から溶融亜鉛を
採取し、凝固させ研磨後、顕微鏡視野下で10mm角中
に存在するドロスの個数と大きさを測定したものであ
る。
【0051】表5のドロス量とはFe換算の、浴底に沈
降し堆積したドロス以外の浮遊ドロスの全量である。全
浮遊ドロス量の算定方法は、以下の通りである。
【0052】各めっき試験後、亜鉛浴の上部〜中部の鋼
板パス近傍から溶融亜鉛を採取し、化学分析によりFe
濃度を求めた。さらに、亜鉛浴槽を外部から水冷して亜
鉛浴を凝固させ、底部数箇所を高さ方向に1mmピッチ
でドリル屑を採取して、Fe量を測定し(溶液分析)、
この値が急変する位置を堆積ドロスの境界線とし、この
部分を除外した亜鉛浴の体積と前記のFe濃度の積を全
浮遊ドロス量(Fe換算量)とした。
【0053】表4に示すように、本発明の範囲内である
鋼材A〜Cを用いた試験No.1〜8では、本発明範囲
外の鋼材JおよびKを用いた試験No.9〜14と比較
して、ドロス欠陥に有害な恐れのある20μm以上のサ
イズのドロスカウントが少なく、特に有害な30μm以
上のドロスは極めて少なかった。
【0054】また、表5に示すように、本発明の範囲内
の鋼材A〜Cを用いた試験No.1〜8では、本発明範
囲外の試験No.9〜14と比較して、全浮遊ドロス量
は1/2〜1/4のレベルであった。
【0055】
【発明の効果】本発明の製造方法により、ドロス欠陥の
ない表面品質に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造が可能
である。本発明は特に合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造
に適する。本発明の方法では、ドロスの発生量が少ない
ため堆積ドロスを周期的に除去する作業を低減でき、設
備の稼働率を上げることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒井 正浩 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA23 AB28 AB42 AC73 AE03 AE04 AE18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融亜鉛めっき鋼板の製造において、鋼
    中のSiとPが、Si:0.015〜0.200重量
    %、P:0.005〜0.100重量%、およびSi
    (重量%)+P(重量%)≧0.035の関係を満たす
    鋼板を用い、前記鋼板の亜鉛浴への浸漬時間を7.0s
    以下とすることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板のドロ
    ス欠陥抑止方法。
  2. 【請求項2】 亜鉛浴に、Mgを0.01〜0.20重
    量%含有することを特徴とする請求項1に記載の溶融亜
    鉛めっき鋼板のドロス欠陥抑止方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のドロス欠陥抑止方法を
    用いることを特徴とするドロス欠陥の少ない合金化溶融
    亜鉛めっき鋼板の製造方法。
JP11020061A 1999-01-28 1999-01-28 溶融亜鉛めっき鋼板のドロス欠陥抑止方法および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Withdrawn JP2000219946A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010024507A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶融亜鉛めっき鋼材の製造方法
WO2011024290A1 (ja) * 2009-08-28 2011-03-03 大和鋼管工業株式会社 金属めっき鋼管の製造方法及び製造システム

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