JP2000218953A - 光重合性平版印刷版 - Google Patents

光重合性平版印刷版

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JP2000218953A
JP2000218953A JP2691199A JP2691199A JP2000218953A JP 2000218953 A JP2000218953 A JP 2000218953A JP 2691199 A JP2691199 A JP 2691199A JP 2691199 A JP2691199 A JP 2691199A JP 2000218953 A JP2000218953 A JP 2000218953A
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JP
Japan
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acid
photopolymerizable
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plate
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JP2691199A
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English (en)
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Tadashi Endo
正 遠藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐強固な感光層と支持体の密着力により、よ
り高感度でかつ酸性プレートクリーナーで版面のインキ
を除去しても又多量の印刷を行っても細線やハイライト
が飛ばず、耐刷性にも優れる直接レーザー書き込み可能
なネガ型光重合性平版印刷版を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 粗面化し、陽極酸化処理したアルミニウ
ム支持体上に、付加重合可能なエチレン性二重結合を有
する化合物、光重合開始剤及び有機高分子重合体を含有
する光重合性感光層を有する光重合性平版印刷版におい
て、該陽極酸化皮膜層と該光重合性感光層との間に耐酸
性皮膜層を有することを特徴とする上記光重合性平版印
刷版により、著しく支持体と感光層との密着力を向上さ
せることができ、更なる高感度化が達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光重合性感光層を
有する光重合性平版印刷版に関するものである。特に可
視光領域の光線に対して高感度でかつ調子再現性が良好
な光重合性組成物を用いた直接製版可能なネガ型光重合
性平版印刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ネガ型平版印刷版は広く知ら
れており種々の感光層がある。ジアゾ樹脂含有型、光重
合型、光架橋型等がある。このような平版印刷版を作成
するには、これらの平版印刷版上に透明のネガフィルム
原稿(リスフィルム)をのせ、紫外線を用いて画像露光
するのが一般的であり、そのため作業に非常に手間暇が
かかっていた。近年、画像形成技術の発展に伴い、可視
領域の光線に対し高い感光性を有するフォトポリマーが
要請されている。それは、例えば非接触型の投影露光製
版や可視光レーザー製版等に適合した感光材料であり、
光重合系が最も高感度で有望である。該可視光レーザー
としてはArレーザーの488、514.5nm光、半
導体レーザーの第2高調波光(SHG−LD、350〜
600nm)、SHG−YAGレーザーの532nm光
などが、有望視されている。そこで感光層にある種の高
感度な光重合性感光層を用いる事で、細くビームを絞っ
たレーザー光をその版面上に走査させ、文字原稿、画像
原稿などを直接版面上に形成させ、フイルム原稿を用い
ず直接製版が可能となる。例えば、特公昭61−962
1号、特開昭63−178105号、特開平2−244
050号公報等に記載の感光性組成物の使用により、フ
イルム原稿を用いず直接製版が可能である。しかしなが
ら、従来のこうした高感度光重合性の印刷版は感光層と
支持体の密着力が必ずしも強力ではないため、高速で大
部数の印刷に使用すると、ベタ画像が抜けたり、細線や
ハイライト部が飛んだりする不具合を生じる。
【0003】そのため高感度光重合系においては支持体
と感光層の光接着性は重要なファクターであり、数多く
研究、開発されている。例えば、特開平7−15998
3号公報には、ラジカルによる付加反応を起こし得る官
能基を支持体表面上に共有結合により植え付け、光重合
性感光層との接着力を持たせようとしたことが記載され
ている。また、感光層と支持体の密着力を更に強力にす
るために、支持体表面の粗面を粗くすることが考えられ
る。しかし、確かに密着力及び画像の耐久性は向上する
反面、印刷時の感光層の磨耗の影響がでやすく、アルミ
ニウムの親水面が表面に出やすいため欠陥のある印刷物
となったり、非画像部の親水性が低下し、印刷時に汚れ
を生じる結果となる。また、印刷時汚れが生じると印刷
機上で版面をプレートクリーナーで拭き、インキを除去
するが、感光層と支持体の密着力が弱いとアルカリ性の
プレートクリーナーでは問題ないが、特に酸性のプレー
トクリーナーではハイライト部が飛ぶという問題があっ
た。そのため従来印刷時にはプレートクリナーを印刷版
により数種類も準備しなければならなかった。更に印刷
枚数が多い場合、感光層と支持体の密着力が弱いと版面
を酸性のプレートクリーナーで拭いた場合と同様に細線
やハイライト部が除々に飛ぶという問題があった。
【0004】一方、最近の市場動向として、生産性の向
上のため露光時間の短縮化や、レーザーの長寿命化のた
めになるべく低出力で使用したいなどの要求が強く、直
接製版可能な平版印刷版の更なる高感度化が求められて
いる。しかしながら、感光層と支持体の密着力を十分に
有し、印刷途中版面をプレートクリーナー等で拭いて
も、又数十万枚印刷しても、スタート時の印刷物と調子
再現性が同じ高感度な光重合性平版印刷版を得ることは
非常に難しい状況にあった。この対策として例えば特開
平10−97056号公報ではシリケート処理し、次に
酸処理することにより汚れずに密着させようとした。し
かしながらこの方法においても必要十分な密着力を得る
までには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、強固
な感光層と支持体の密着力により、より高感度でかつ酸
性プレートクリーナーで版面のインキを除去しても又多
量の印刷を行っても細線やハイライトが飛ばず、耐刷性
にも優れる直接レーザー書き込み可能なネガ型光重合性
平版印刷版を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究の結果、陽極酸化皮膜を有するアル
ミニウム支持体上に、付加重合可能なエチレン性二重結
合を有する化合物、光重合開始剤及び有機高分子重合体
を含有する光重合性感光層を塗設してなる光重合性平版
印刷版であって、該陽極酸化皮膜層と該光重合性感光層
との間に耐酸性皮膜層を有することを特徴とする上記光
重合性平版印刷版により、著しく支持体と感光層との密
着力を向上させることができ、更なる高感度化が達成で
きることを見いだし、本発明を完成させた。すなわち、
本発明は支持体と光重合性感光層との間に耐酸性皮膜層
を設けると支持体表面の耐酸性が向上し、これにより支
持体と感光層との密着力が向上することを見いだし、完
成したものである。また、上記光重合性平版印刷版にお
いて、該耐酸性皮膜層と該光重合性感光層との間に、さ
らに付加反応性官能基を有するシリコーン化合物を含有
する層を設けることによって、他の性能、特に印刷時の
汚れ難さを劣化させることなく、著しく支持体と感光層
との密着力を向上させることができ、更なる高感度化が
達成できる。
【0007】
【発明実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。 (耐酸性皮膜層)本発明の光重合性平版印刷版は、後述
するように陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム支持体
表面上を適切な方法で耐酸性処理を行って耐酸性皮膜層
を設けた後、光重合性感光層を設けたものであることに
特徴を有する。本明細書において、耐酸性とは、酸性溶
液に対して支持体表面が耐性を示す(反応性及び溶解性
が小さい)ことを意味する。耐酸性皮膜層を設けて耐酸
性を支持体表面に付与することにより、非画像部を酸性
プレートクリーナー等の酸性溶液で処理した時に隣接す
る画像部における感光層と支持体との密着力の低下を防
止する。耐酸性は、40℃のpH2リン酸水溶液中に1
20秒間浸漬して評価を行い、溶出量が0.02g/m
2 以下のものを耐酸性が有るとした。
【0008】本発明において耐酸性皮膜層とは、陽極酸
化皮膜層の上にさらに形成されたものでもよいし、陽極
酸化皮膜層の一部を処理することにより耐酸性皮膜層に
変化させて形成させたものでもよい。本発明における耐
酸性皮膜層は、例えば、陽極酸化皮膜を有する支持体を
溶液による浸漬処理、スプレー処理、加熱処理、冷却処
理、コーティング処理、蒸着処理、スパッタリング、イ
オンプレーティング、溶射、鍍金等により処理して設け
た耐酸性皮膜層等いずれのものでもよいが、これらに限
定されるものではない。例えば、上記加熱処理として
は、100℃〜500℃、好ましくは200℃〜450
℃の加熱温度において、10秒〜300分、好ましくは
1分〜150分の間加熱する処理が挙げられる。雰囲気
は大気中、酸素気流中、窒素気流中、不活性ガス中、等
のいずれでもかまわないが、皮膜表面を加熱によって結
晶質のアルミナに変化させることによって耐酸性を向上
させるのが目的であるから、水素気流中のような強力な
還元性雰囲気下は好ましくない。加熱方法はいかなる方
法によってもかまわないが、例えば、市販の電気炉、乾
燥用オーブン、ガラス封入管中で加熱する方法、大気中
でガスバーナーやパネルヒーターによる直接加熱、赤外
線ヒーターによる放射加熱、熱風加熱する方法等が挙げ
られる。
【0009】また本発明の耐酸性皮膜層としては、チタ
ン、ジルコニウム、ハフニウム、亜鉛、フッ素からなる
群から選ばれる少なくとも1種類の元素を含む耐酸性皮
膜層が、耐酸性もよく好ましい。本発明の耐酸性皮膜層
に上記元素を含有させるためには、例えば、各元素を含
む化合物を使用して処理することができる。そのような
化合物としては、塩化チタン、シュウ酸チタンカリウ
ム、シュウ酸チタンナトリウム、フッ化チタンカリウ
ム、フッ化チタンナトリウム、ヘキサフルオロチタン酸
アンモニウム、硫酸チタン、塩化酸化ジルコニウム、塩
化ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニ
ウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウム、フッ化
ジルコニウムカリウム、二塩化ジルコノセン、ナフテン
酸ジルコニウム、硝酸ハフニウム、硫酸ハフニウム、塩
化ハフニウム、塩化亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、過塩
素酸亜鉛、ギ酸亜鉛、クエン酸亜鉛、ケイフッ化亜鉛、
酢酸亜鉛、臭化亜鉛、シュウ酸亜鉛、酒石酸亜鉛、硝酸
亜鉛、ステアリン酸亜鉛、炭酸亜鉛、乳酸亜鉛、ピロリ
ン酸亜鉛、フッ化亜鉛、硼酸亜鉛、硫酸亜鉛、ケイフッ
化アンモニウム、ケイフッ化カリウム、フッ化アルミニ
ウムフッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カ
リウム、ヘキサフルオロアルミン酸カリウム、テトラフ
ルオロアルミン酸カリウム、フッ化ストロンチウム、フ
ッ化セシウム、フッ化ネオジム、フッ化バリウム、フッ
化リチウム、ホウフッ化アンモニウム、ホウフッ化カリ
ウム、ホウフッ化銅、ホウフッ化ナトリウム、ホウフッ
化マンガン等が挙げられる。
【0010】上記化合物を用いて上記元素を含有する耐
酸性皮膜層を形成する方法としては、例えば、陽極酸化
処理後、上記化合物を含む水溶液中に浸漬等する処理方
法が挙げられる。水溶液として使用する場合には、チタ
ン、ジルコニウム、ハフニウム、亜鉛、フッ素は、水溶
液中に溶解していてもよく、もしくは均一に分散してい
れば、単体イオン、錯イオン、コロイド等いかなる形態
でも構わない。該水溶液中にそれ以外の添加元素、化合
物が同時に存在しても差し支えない。濃度としては、F
元素として0.0001〜10g/l、好ましくは0.
001〜5g/lである。チタン、ジルコニウム及びハ
フニウムは元素として0.0001〜10g/l,好ま
しくは0.001〜5g/lである。亜鉛は元素として
0.0005〜5g/l添加することが好ましく、更に
好ましくは0.001〜2g/lの範囲である。処理温
度は10〜80℃、好ましくは20〜60℃である。浸
漬処理時間は1〜300秒、好ましくは3〜60秒であ
る。
【0011】(接着層)このようにして耐酸性皮膜層を
設けたアルミニウム基板は、感光層の密着性を向上させ
るため更にその表面にラジカルによって付加反応を起こ
し得る官能基(以下、付加反応性官能基と呼ぶ)を有す
るシリコーン化合物を含む接着層が塗設されてもよい。
この付加反応性官能基を有するシリコーン化合物を含む
層の塗設は、有機シリコーン化合物を原料として用いる
方法によるのが好ましい。具体的には、付加反応性官能
基をR1 と表わした時、下記式(1): R1 Si(OR2)3 (1) (式中、R1 はアルケニル基、アルキニル基等のラジカ
ルによって付加反応を起こし得る官能基を表す。OR2
は加水分解可能なアルコキシ基又は−OCOCH 3 基を
表す。)で表わされる有機シリコーン化合物(1)を用
いてアルミニウム基板を処理することにより、基板表面
の金属、金属酸化物、水酸化物、−OH基、又は基板の
化成処理によって形成されたシラノール基などと反応さ
せて基板表面と共有結合を形成させ、下記式(2): (R3 O)2(R1 )Si− (2) で示される官能基を基板表面に結合(又は植え付け)さ
せればよい。式中、R3はR2 と同種もしくは異種のア
ルキル基又は水素原子、もしくは隣接する別のSi原子
との結合を表わす。上記において、付加反応性官能基
(R1 )が中央のSi原子に2個以上結合した下記式
(1a)又は(1b): (R1)2 Si(OR2)2 (1a) (R1)3 SiOR2 (1b) で表わされる有機シリコ−ン化合物(1a)(1b)を
用いることもできる。
【0012】また、付加反応性官能基(R1 )が−O−
を介して中央のSi原子に結合する官能基である場合
は、 (R1)4 Si (1c) で表わされる有機シリコーン化合物(1c)を用いるこ
ともできる。有機シリコーン化合物(1)は、中央のS
i原子に結合する4個のR1 のうち少なくとも1個が加
水分解されずに残っている状態の時にアルミニウム基板
に塗布される。有機シリコーン化合物(1)をアルミニ
ウム基板上に塗設する際、このものを単独で用いてもよ
く、又は適当な溶媒で希釈して用いてもよい。アルミニ
ウム基板上で有機シリコーン化合物(1)をより強固に
結合させるために、水及び/又は触媒を加えることがで
きる。溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ヘキ
シレングリコール等のアルコール類が好ましく、触媒と
しては塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などの酸、又はアンモ
ニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの塩
基が使用できる。
【0013】アルミニウム基板上の付加反応性官能基の
量は、結合させる付加反応性官能基の種類によって異な
るが、10nm2 当り一般に0.01〜1000個、好
ましくは0.05〜200個、更に好ましくは0.1〜
50個とすることが適当である。付加反応性官能基量が
10nm2 当り0.01個より少ないと十分な光接着強
度が得られ難い。有機シリコーン化合物(1)を厚く塗
り重ねることによって、10nm2 当りの付加反応性官
能基量を実質的に幾らでも多くすることが可能である
が、最表面に顔を出す付加反応性官能基量は10nm2
当り高々10個であるので、厚く塗り過ぎても無駄にな
る。付加反応性官能基量が多過て、PS板として使用し
た時の非画像部の親水性が不足しないためには、10n
2 当りの付加反応性官能基の量は1000個以内とす
るのが好ましい。
【0014】従って、有機シリコーン化合物を用いてア
ルミニウム基板表面に付加反応性官能基を結合する(植
え付ける)際は、有機シリコーン化合物を希釈する溶媒
の種類と量、基板表面上での加水分解用に加える水の量
(必要な場合)、基板表面上での加水分解を促進するた
めの触媒の種類と量(必要な場合)、有機シリコーン化
合物の溶液を基板上に施用する方法、基板に施用した後
の乾燥雰囲気、乾燥温度、乾燥時間等のプロセスパラメ
ータを種々変更し、基板表面に保持される付加反応性官
能基量が上記の量の範囲内となるように制御することが
必要である。アルミニウム基板表面に保持される付加反
応性官能基の量は、処理後の基板表面を適当な方法、例
えばケイ光X線分析法、赤外線吸収法等の方法で測定
し、表面にあるSi原子量の定量、炭素−炭素の多重結
合量の定量等を行なうことによって決定することができ
る。
【0015】上記のようにして付加反応性官能基を有す
るシリコーン化合物を含有する層を設けることができ
る。但し、この付加反応性支持体を用いてPS版を構成
する場合、式(1)の有機シリコーン化合物のみを用い
てアルミニウム基板の処理をしただけでは印刷汚れを生
じる場合がある。即ち、付加反応性官能基を結合してな
る支持体上に光重合性の感光性組成物を塗布して感光層
を設け、これに像様露光して画像通りの界面光接着を起
させ、現像液で未露光部を取り去ることにより、支持体
上には光のパターン通りの光重合密着膜が残る。そし
て、これにインクと水を塗ると、インクは光重合接着し
た像様露光部へ、水は未露光部へそれぞれ付着して印刷
版となるが、上記有機シリコーン化合物を単独で使用し
た場合には、水が付着するべき未露光部に過剰の有機官
能基が存在ことがあり、水の他にインクも付着して印刷
物上に汚れとなって観察されることがある。
【0016】そこで、この印刷汚れを防ぐために、アル
ミニウム基板表面上に付加反応性官能基(R1 )の他に
OH基を多く固定して親水性を強くすることが好まし
い。好ましくは、アルミニウム基板表面への付加反応性
官能基の結合において、式(1):R1 Si(OR2 )3
表わされる有機シリコーン化合物(1)の他に、式
(3): Si(OR4)4 (3) (式中、−OR4 は加水分解可能なアルコキシ基、アル
コキシアルコキシ基、アリールオキシ基又は−OCOC
3 基であり、R4 はR2 と同じであっても異なっても
よい。)で表わされる有機シリコーン化合物を併用し、
基板表面に前述の式(2)で示される反応サイトを結合
すると同時に、式(4): (R3 O)2(OH)Si− (4) で示される親水性サイトを結合することが好ましい。こ
こで、式中、R3 はアルキル基、水素原子、又は隣接す
る別のSi原子との結合を表わすが、R3 が水素原子で
あることが親水性の面からは最も好ましい。なお、R3
が水素原子以外のもののときは、必要に応じて、表面を
アルカリ溶液で洗うことによって、親水性を高めること
ができる。
【0017】式(1)の有機シリコーン化合物(1)と
式(3)の有機シリコーン化合物(3)との混合比は、
支持体の性状によってそれぞれのものの支持体表面への
結合(植えつけ)効率が変動するため、一概に好適な範
囲を決めることができない。しかし、具体的には、両者
の比を種々に変えて支持体処理を行ない、付加反応性官
能基R1 に基づく光接着性と、式(4)で示される部分
構造に由来する親水性とが両立する条件を実験的に確定
して使用することになる。いずれにしても、付加反応性
官能基の密度が前記範囲内になるようにすればよい。具
体的には、有機シリコーン化合物(1)に対する有機シ
リコーン化合物(3)の混合モル比は0.05〜500
が適当であるが、好ましくは0.2〜200、更に好ま
しくは1〜100である。またこの範囲内で、式(3)
の有機シリコーン化合物(3)に由来する親水性基の量
を多くすればするほど非画像部の親水性が増す。ただ
し、親水性基の密度が低い場合でも、付加反応性官能基
を親水化処理することによって親水性基の密度を向上さ
せることができる。
【0018】アルミニウム基板表面への付加反応性官能
基の結合には、大別すると、有機シリコーン化合物をそ
のまま用いることからなる上述の方法(以下、SC法と
呼ぶ)の他に、有機シリコーン化合物を加水分解すると
ともに重縮合させて得られた−Si−O−Si−結合を
含む無機高分子に付加反応性官能基が固定された形の有
機無機複合体を用いることからなる方法(以下、SG法
と呼ぶ)がある。この有機無機複合体をアルミニウム基
板に塗布して乾燥させると、無機高分子部分が基板と密
着し、付加反応性官能基はそのまま基板表面上に残る。
【0019】SC法の場合、アルミニウム基板表面にお
ける付加反応性官能基の結合位置は基板表面上の特定の
性質をもった位置となりやすく、基板表面上に一様に分
布させるのが困難な場合がある。つまり、特定の酸点や
塩基点においてのみSi原子との間の共有結合が形成さ
れ、付加反応性官能基の分布がアルミニウム基板表面の
酸点や塩基点の分布に支配されやすい。従って、光接着
強度や非画像部親水性にムラを生じる場合がある。こう
した状況の時はSG法に従うのが有利である。
【0020】細かく見れば、SC法、SG法の他に、中
間の態様、例えば式(1)の有機シリコーン化合物
(1):R1 Si(OR2 )3中のOR2 の一部もしくは全
部が加水分解して2分子又は3分子が結合した形の有機
シリコーン化合物を出発原料として用いる処理も可能で
ある。SG法による付加反応性官能基の結合法に従え
ば、式(1)の有機シリコーン化合物(1)を、場合に
より式(3)の有機シリコーン化合物(3)と所望の混
合比に混合し、液中で、必要により触媒の存在下で、付
加反応性官能基R1 では反応を起さずに−OR2 及び−
OR4 で加水分解させるとともに重縮合反応を行なわせ
て、中心のSi原子が−Si−O−Si−結合でつなが
った無機高分子を含む液状組成物として、これをアルミ
ニウム基板表面に塗布し、場合により乾燥させることに
よって、基板上に付加反応性官能基を結合する。SG法
を用いると、アルミニウム基板表面上に結合固定される
付加反応性官能基の分布が基板表面の酸点や塩基点など
の化学的な性質の分布に左右されることが少ない。ま
た、出発原料として有機シリコーン化合物(1)の他に
有機シリコーン化合物(3)を併用する場合、上記式
(2)で示される付加反応性官能基サイトと上記式
(4)で示される親水性サイトとの相対比が有機シリコ
ーン化合物(1)及び化合物(3)の仕込み比でほぼ決
められるため、最適表面を得るための処方決定の道筋が
SC法よりも整然とする利点がある。
【0021】本発明で使用する上記式(1)で示される
有機シリコーン化合物(1)の具体例として、以下のも
のを挙げることができる。 CH2 =CH−Si(OCOCH3)3 、CH2 =CH−S
i(OC2 5)3 、CH2 =CH−Si(OCH3)3 、CH
2 =CHCH2 −Si(OC2 5)3 、CH2 =CHCH
2 NH(CH2)3 −Si(OCH3)3 、CH2 =CHCO
O−(CH2)3 −Si(OCH3)3 、CH2 =CHCOO
−(CH2)3 −Si(OC2 5)3 、CH2 =C(C
3 )COO−(CH2)3 −Si(OCH3)3 、CH2
C(CH3)COO− (CH2)3 −Si(OC2 5)3 、C
2 =C(CH3)COO− (CH2)4 −Si(OC
3)3 、CH2 =C(CH3)COO− (CH2)5 −Si
(OCH3)3 、CH2 =CHCOO−(CH2)4 −Si
(OCH3)3 、(CH2 =C(CH3)COO−(C
2)3)2 −Si(OCH3)2 、CH2 =C(CH=CH2)
−Si(OCH3)3 、CH2 =CH−SO2 NH−(CH
2)3 −Si(OCH3)3 、CH2 =CH−ph−O−Si
(OCH3)3 、CH2 =CH−ph−CONH−(C
2)3 −Si(OCH3)3 、CH2 =CH−ph−CH2
NH−(CH2)3 −Si(OCH3)3 、 ph:ベンゼン環を示す HC≡C−Si(OC2 5)3 、CH3 C≡C−Si(OC
2 5)3
【0022】
【化1】
【0023】CH2 =CHCH2 O−Si(OCH3)3
(CH2 =CHCH2 O)4Si 、HO−CH2 −C≡C
−Si(OC2 5)3 、CH3 CH2 CO−C≡C−Si
(OC2 5)3 、CH2 =CHS−(CH2)3 −Si(O
CH3)3 、CH2 =CHCH2 O−(CH2)2 −SCH
2 −Si(OCH3)3 、CH2 =CHCH2 S−(CH2)
3 −S−Si(OCH3)3 、(CH3)3 CCO−C≡C−
Si(OC2 5)3 、(CH2 =CH)2N−(CH2)2
SCH2 −Si(OCH3)3 、CH3 COCH=C(CH
3)−O−Si(OCH3)3
【0024】また、式(3)で示される有機シリコーン
化合物(3)の具体例としてはテトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、
テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキ
シ)シラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラ
ン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、
テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラフ
ェノキシシラン、テトラアセトキシシランなどを挙げる
ことができ、中でもテトラエトキシシランが好ましい。
【0025】アルミニウム基板表面へ付加反応性官能基
を結合するのにSC法を用いる場合もSG法を用いる場
合も、溶媒の種類、基板への施用方法、乾燥方法等は共
通であるが、SG法の場合、付加反応性官能基が保持さ
れた無機高分子組成物を予かじめ調液しておく必要があ
る。以下にその好ましい具体例を示す。式(1)及び
(3)で表わされる有機シリコーン化合物(1)及び
(3)を加水分解とともに重縮合させてSG法に好適な
組成物とするのに使用できる溶媒は、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレング
リコール、ヘキシレングリコール等のアルコール類であ
る。溶媒の使用量は、使用する有機シリコーン化合物
(1)及び(3)の総重量に基づいて、一般に0.2〜
500倍、好ましくは0.5〜100倍、更に好ましく
は1〜20倍である。使用量が0.2倍より少ないと反
応液が経時でゲル化しやすく不安定となり好ましくな
い。また、500倍より多いと、反応が数日を要するよ
うになり好ましくない。有機シリコーン化合物を加水分
解するために加える水の量は、一般に有機シリコーン化
合物1モル当り0.1〜1000モル、好ましくは0.
5〜200モル、更に好ましくは1.5〜100モルで
ある。水の量が有機シリコーン化合物1モル当り、0.
1モルより少ない時は、加水分解とそれに続く重縮合反
応の進行が非常に遅くなり、安定な表面処理が可能とな
るまでに数日を要し好ましくない。一方、水の量が有機
シリコーン化合物1モル当り1000モルより多くなる
と、生成した組成物を金属表面に塗設した場合密着不良
を起す他、組成物の経時安定性が悪く、すぐにゲル化し
てしまうことが多いため、塗布作業を安定して行ないに
くくなる。
【0026】SG法に好適な組成物を調液するための反
応温度は室温〜100℃程度が常用されるが、以下に述
べる触媒の種類によっては室温以下あるいは100℃以
上の温度を用いることもできる。溶媒の沸点よりも高い
温度で反応させることも可能であり、必要に応じて反応
器に還流冷却器を付設するのがよい。必要に応じて使用
される触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢
酸、リンゴ酸、シュウ酸などの酸、又はアンモニア、テ
トラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウムなどの塩基が使用できる。触媒の
添加量は、有機シリコーン化合物(1)及び場合により
追加される有機シリコーン化合物(3)の合計量を基準
として、有機シリコーン化合物1モル当り0.001〜
1モル、好ましくは0.002〜0.7モル、更に好ま
しくは0.003〜0.4モルである。触媒添加量を1
モルより多くしても、その添加効果に比べて経済的に特
に利益があるわけではない。
【0027】酢酸、リンゴ酸等の弱酸を触媒として使用
する時は、反応温度を40℃〜100℃の範囲とするの
が有利であるが、硫酸、硝酸等の強酸を触媒として使用
する時は10℃〜60℃の範囲がよい。リン酸を触媒と
して用いる場合は10℃〜90℃で反応を行なわせるこ
とができる。SG法に用いる組成物の調液工程、及びこ
れをアルミニウム基板に塗布し乾燥する工程で、多くの
場合熱が加えられるが、揮発性の酸を触媒として使用す
ると、周囲の装置に揮発して付着し、これを腐食させる
場合がある。主として鉄を素材として用いる工程で本方
法を使用する場合は、不揮発性の硫酸及び/又はリン酸
を触媒として用いるのが好ましい。
【0028】以上述べたように、式(1)及び(3)で
表わされる有機シリコーン化合物と、有機溶媒、水、及
び場合により触媒からなる組成物を、適当な反応温度、
反応時間、及び場合により適当な撹拌条件を選んで反応
させると、加水分解とともに重縮合反応が起りSi−O
−Si結合を含む高分子又はコロイド状高分子が生成
し、液状組成物の粘度が上昇し、ゾル化する。式(1)
及び(3)で表わされる有機シリコーン化合物を両方使
用してゾル液を調製する場合、両方の有機シリコーン化
合物を反応の最初から反応容器内に装荷してもよく、あ
るいは一方のみで加水分解と重縮合反応をある程度進め
た後に他方の有機シリコーン化合物を加え、反応を終了
させてもよい。SG法で用いる上記ゾル液は、室温で放
置すると重縮合反応が引き続き進行しゲル化することが
ある。従って、一度上記の方法で調液したゾル液を、ア
ルミニウム基板への塗布時に希釈のために使用する予定
の溶媒で予じめ希釈して、ゾル液のゲル化を防止ないし
遅延させることができる。
【0029】SC法及びSG法のいずれにおいても、支
持体上に目的量の有機シリコーン化合物もしくは付加反
応性官能基を結合するために、また支持体上での有機シ
リコーン化合物もしくは付加反応性官能基の分布ムラが
無いようにするために、これらの処理液を支持体に塗布
する前に溶媒を加えて濃度調整を行なうことが好まし
い。この目的に使用する溶媒としてはアルコール類、殊
にメタノールが好適であるが、他の溶剤、有機化合物、
無機添加剤、界面活性剤などを加えることもできる。他
の溶剤の例としては、メチルエチルケトン、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−
メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタ
ン、乳酸メチル、乳酸エチル、アセチルアセトン、エチ
レングリコール等を挙げることができる。添加すること
のできる有機化合物の例としては、エポキシ樹脂、アク
リル樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、ノボラック
樹脂、ピロガロール−アセトン樹脂、ポリビニルピロリ
ドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテ
ル、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。無機添
加剤の例としては、コロイダルシリカ、コロイダルアル
ミナなどを挙げることができる。エチレングリコール、
エチレングリコールモノメチルエーテル等の高沸点溶剤
は、支持体に塗布する濃度にまで希釈された液の安定性
を高め、支持体に結合された付加反応性官能基の反応再
現性を保証する働きがある。ノボラック樹脂、ピロガロ
ール−アセトン樹脂等の有機化合物も同様の効果を有す
るが、得られる支持体の表面の親水性を低下させる副作
用があり、添加量を細かく調整する必要がある。
【0030】SG法に好適なゾル液もしくは液状組成物
は、アルミニウム基板表面に塗設後、風乾ないし加熱乾
燥させると、Si−O−Si結合からなる無機高分子が
ゲル化すると同時に基板表面と共有結合する。乾燥は溶
媒、残留水及び場合により触媒を揮散させるために行な
うものであるが、処理後の基板の使用目的によっては工
程を省くこともできる。SC法においても、この乾燥工
程は溶媒、残留水等の揮散という意味の他に、有機シリ
コーン化合物とアルミニウム基板との密着を確実にする
という意味を有する。従って、目的によっては、乾燥終
了後にも更に温度をかけ、加熱を継続してもよい。乾燥
及び場合により継続されるその後の加熱における最高温
度は付加反応性官能基R1 が分解しない範囲にあること
が好ましい。従って、使用できる乾燥温度条件は室温〜
200℃、好ましくは室温〜150℃、更に好ましくは
室温〜120℃である。乾燥時間は一般に1秒〜30分
間、好ましくは5秒〜10分間、更に好ましくは10秒
〜3分間である。本発明において用いられる液状組成物
(有機シリコーン化合物もしくはその溶液又はゾル液)
の施工方法は、ハケ塗り、浸漬塗布、アトマイジング、
スピンコーティング、ドクターブレード塗布等、各種の
ものも使用することができ、アルミニウム基板表面の形
状や必要とする処理膜厚等を勘案して決められる。
【0031】(アルミニウム支持体)本発明に用いられ
るアルミニウム支持体としては、寸度的に安定なアルミ
ニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたは
アルミニウム合金からなる。純アルミニウム板の他、ア
ルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、
又はアルミニウム(合金)がラミネートもしくは蒸着さ
れたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。更
に、特公昭48−18327号に記載されているような
ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウム
シートが結合された複合体シートでもかまわない。以下
の説明において、上記に挙げたアルミニウムまたはアル
ミニウム合金からなる基板をアルミニウム基板と総称し
て用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素に
は、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロ
ム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合
金中の異元素の含有量は10重量%以下である。本発明
では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なア
ルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに
異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適
用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるもの
ではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えばJI
S A 1050、JISA 1100、JIS A
3103、JISA 3005などを適宜利用すること
が出来る。また、本発明に用いられるアルミニウム基板
の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。
この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザ
ーの希望により適宜変更することができる。
【0032】(砂目立て処理)アルミニウム板はより好
ましい形状に砂目立て処理させる。砂目立て処理方法
は、特開昭56−28893号に開示されているような
機械的砂目立て、化学的エッチング、電解グレインなど
がある。さらに塩酸または硝酸電解液中で電気化学的に
砂目立てする電気化学的砂目立て方法、及びアルミニウ
ム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイ
ン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立です
るボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を
砂目立てするブラシグレイン法のような機械的砂目立て
法を用いることができ、上記砂目立て方法を単独あるい
は組み合わせて用いることもできる。その中でも本発明
に有用に使用される砂目表面を作る方法は、塩酸または
硝酸電解液中で化学的に砂目たてする電気化学的方法で
あり、適する電流密度は100C/dm2 〜400C/
dm2 の範囲である。さらに具体的には、0.1〜50
%の塩酸または硝酸を含む電解液中、温度20〜100
℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2 〜4
00C/dm2 の条件で電解を行うことが好ましい。
【0033】このように砂目立て処理したアルミニウム
基板は、酸またはアルカリにより化学的にエッチングさ
れる。酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構造
を破壊するのに時間がかかり、工業的に本発明を適用す
るに際しては不利であるが、アルカリをエッチング剤と
して用いることにより改善できる。本発明において好適
に用いられるアルカリ剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、
アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、
水酸化カリウム、水酸化リチウム等を用い、濃度と温度
の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃
であり、Alの溶解量が5〜20g/m3 となるような
条件が好ましい。エッチング後表面に残留する汚れ(ス
マット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられ
る酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフ
ッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理
後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭
53−12739号公報に記載されているような50〜
90℃の温度の15〜65重量%の硫酸と接触させる方
法及び特公昭48−28123号公報に記載されている
アルカリエッチングずる方法が挙げられる。
【0034】(陽極酸化処理)以上のようにして処理さ
れたアルミニウム基板は、さらに陽極酸化処理が施され
る。陽極酸化処理はこの分野で従来より行われている方
法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、ク
ロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン
酸等あるいはこれらの二種以上を組み合わせて水溶液ま
たは非水溶液中でアルミニウムに直流または交流を流す
とアルミニウム支持体表面に陽極酸化皮膜を形成するこ
とができる。陽極酸化処理の条件は使用される電解液に
よって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般
的には電解液の濃度が1〜80%、液温−5〜70℃、
電流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜100
V、電解時間10〜200秒の範囲が適当である。これ
らの陽極酸化処理のうちでも特に英国特許第1,41
2,768号明細書に記載されている、硫酸電解液中で
高電流密度で陽極酸化する方法が好ましい。本発明にお
いては、陽極酸化皮膜は1〜10g/m2 であることが
好ましく、1g/m2 以下であると版に傷が入りやす
く、10g/m2 以上は製造に多大な電力が必要とな
り、経済的に不利である。好ましくは、1.5〜7g/
2 である。更に好ましくは、2〜5g/m2である。
【0035】上記の如くアルミニウム基板上に、砂目立
て処理、陽極酸化処理、本発明の耐酸性皮膜性層を設
け、更に必要に応じ接着層を塗設してなる支持体上に、
後述される光重合性組成物からなる感光層を形成するこ
とで、本発明の光重合性平版印刷版が形成される。
【0036】(光重合性感光層)本発明で用いられる光
重合性感光層の主な成分は、付加重合可能なエチレン性
二重結合を含む化合物、光重合開始剤、有機高分子結合
剤等であり、必要に応じ、着色剤、可塑剤、熱重合禁止
剤等の種々の化合物が添加される。付加重合可能な二重
結合を含む化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少な
くとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から
任意に選択することができる。例えばモノマー、プレポ
リマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、ま
たはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化
学的形態をもつものである。モノマーおよびその共重合
体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロ
トン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合
物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン
化合物とのアミド等があげられる。
【0037】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アク
リル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3
−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリ
コールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、トリメチロール
プロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテ
ル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサン
ジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジア
クリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテト
ラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソ
ルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオ
キシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレ
ートオリゴマー等がある。
【0038】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビト
ールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリ
ルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメ
チルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキ
シ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0039】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等があ
る。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコール
ジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネ
ート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビト
ールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エ
ステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネー
ト、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビ
トールテトライソクロトネート等がある。
【0040】マレイン酸エステルとしては、エチレング
リコールジマレート、トリエチレングリコールジマレー
ト、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテ
トラマレート等がある。さらに、前述のエステルモノマ
ーの混合物もあげることができる。また、脂肪族多価ア
ミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの
具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチ
レンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレン
ビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−
メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリ
ルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレン
ビスメタクリルアミド等がある。その他の例としては、
特公昭48−41708号公報中に記載されている1分
子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシ
アネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸
基を含有するビニルモノマーを付加せしめた1分子中に
2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化
合物等があげられる。
【0041】 CH2 =C(R5 )COOCH2 CH(R6 )OH (A) (ただし、R5 およびR6 はHあるいはCH3 を示
す。)また、特開昭51−37193号に記載されてい
るようなウレタンアクリレート類、特開昭48−641
83号、特公昭49−43191号、特公昭52−30
490号各公報に記載されているようなポリエステルア
クリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反
応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレ
ートやメタクリレートをあげることができる。さらに日
本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ペー
ジ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマー
として紹介されているものも使用することができる。な
お、これらの使用量は、全成分に対して5〜70重量%
(以下%と略称する。)、好ましくは10〜50%であ
る。
【0042】光重合開始剤としては、使用する光源の波
長により、特許、文献等で公知である種々の光開始剤、
あるいは2種以上の光開始剤の併用系(光開始系)を適
宜選択して使用することができる。例えば400nm付
近の光を光源として用いる場合、ベンジル、ベンゾイン
エーテル、ミヒラーズケトン、アントラキノン、チオキ
サントン、アクリジン、フェナジン、ベンゾフェノン等
が広く使用されている。また、400nm以上の可視光
線、Arレーザー、半導体レーザーの第2高調波、SH
G−YAGレーザーを光源とする場合にも、種々の光開
始系が提案されており、例えば、米国特許第2,85
0,445号に記載のある種の感光性染料、染料とアミ
ンの複合開始系(特公昭44−20189号)、ヘキサ
アリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併
用系(特公昭45−37377号)、ヘキサアリールビ
イミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケト
ンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155
292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料
の系(特開昭48−84183号)、環状トリアジンと
メロシアニン色素の系(特開昭54−151024
号)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−1
12681号、特開昭58−15503号)、ビイミダ
ゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−
140203号)、有機過酸化物と色素の系(特開昭5
9−140203号、特開昭59−189340号)、
ローダニン骨格の色素とラジカル発生剤の系(特開平2
−244050号)、チタノセンと3−ケトクマリン色
素の系(特開昭63−221110号)、チタノセンと
キサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含
む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせ
た系(特開平4−221958号、特開平4−2197
56号)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系
(特開平6−295061号)等を挙げることができ
る。これらの光重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽
和化合物100重量部に対し、0.05〜100重量
部、好ましくは0.1〜70重量部、更に好ましくは
0.2〜50重量部の範囲で用いることができる。
【0043】光重合性組成物は、通常、バインダーとし
て有機高分子重合体を含有するが、このような有機高分
子重合体としては、光重合可能なエチレン性不飽和化合
物と相溶性を有している有機高分子重合体である限り、
どれを使用してもかまわない。好ましくは水現像或いは
弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水
可溶性又は膨潤性である有機高分子重合体が選択され
る。有機高分子重合体は、該組成物の皮膜形成剤として
だけでなく、水、弱アルカリ水或は有機溶剤現像剤とし
ての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有
機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。この様
な有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有
する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特
公昭54−34327号、特公昭58−12577号、
特公昭54−25957号、特開昭54−92723
号、特開昭59−53836号、特開昭59−7104
8号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共
重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、ク
ロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル
化マレイン酸共重合体等がある。
【0044】また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸
性セルロース誘導体がある。この外に水酸基を有する付
加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用で
ある。特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレー
ト/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重
合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)ア
クリレート(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の
付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。こ
の他に水溶性有機高分子として、ポリビニルピロリドン
やポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮
膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ポリアミドや
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン
とエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
これらの有機高分子重合体は全組成中に任意な量を混和
させることができる。しかし90重量%を超える場合に
は形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えな
い。好ましくは30〜85%である。また光重合可能な
エチレン性不飽和化合物と有機高分子重合体は、重量比
で1/9〜9/1の範囲とするのが好ましい。より好ま
しい範囲は2/8〜8/2であり、更に好ましくは3/
7〜7/3である。また他方、特開平10−23711
8号公報に記載の光重合性組成物を用いることも高感度
と膜強度向上の観点から好ましい。
【0045】また、本発明においては以上の基本成分の
他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において重合
可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止す
るために少量の熱重合禁止剤を添加することが望まし
い。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−
メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノ
ン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−
6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒ
ドロキシアミン第一セリウム塩等があげられる。熱重合
禁止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.01
%〜約5%が好ましい。また必要に応じて、酸素による
重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドの
ような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の
過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘
導体の添加量は、全組成物の約0.5%〜約10%が好
ましい。更に感光層の着色を目的として、着色剤を添加
してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシアニン
系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンな
どの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレッ
ト、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料
がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5
%〜約5%が好ましい。加えて、硬化皮膜の物性を改良
するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメ
チルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤
等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全組成物
の10%以下が好ましい。
【0046】本発明の光重合性組成物を支持体上に塗布
する際には種々の有機溶剤に溶かして使用に供される。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチル
ケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロ
ライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレン
グリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シ
クロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコ
ールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモ
ノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチ
ルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メ
トキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチ
レングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコー
ルモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピ
ルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳
酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混
合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固
形分の濃度は、1〜50重量%が適当である。
【0047】本発明における光重合性組成物には、塗布
面質を向上するために界面活性剤を添加することができ
る。その被覆量は乾燥後の重量で約0.1g/m2 〜約
10g/m2 の範囲が適当である。より好ましくは0.
3〜5g/m2 である。更に好ましくは0.7〜3g/
2 である。
【0048】(酸素遮断性保護層)本発明の光重合性平
版印刷版には水溶性ビニル重合体を含む酸素遮蔽性保護
層を適宜設けてもよい。本発明の酸素遮断性保護層に含
まれる水溶性ビニル重合体としては、ポリビニルアルコ
ール、およびその部分エステル、エーテル、およびアセ
タール、またはそれらに必要な水溶性を有せしめるよう
な実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有するそ
の共重合体があげられる。ポリビニルアルコールとして
は、71〜100%加水分解され、重合度が300〜2
400の範囲のものがあげられる。具体的には株式会社
クラレ製PVA−105,PVA−110,PVA−1
17,PVA−117H PVA−120,PVA−1
24,PVA−124H,PVA−CS,PVA−CS
T,PVA−HC,PVA−203,PVA−204,
PVA−205,PVA−210,PVA−217,P
VA−220,PVA−224,PVA−217EE,
PVA−220,PVA−224,PVA−217E
E,PVA−217E,PVA−220E,PVA−2
24E,PVA−405,PVA−420,PVA−6
13,L−8等があげられる。上記の共重合体として
は、88〜100%加水分解されたポリビニルアセテー
トクロロアセテートまたはプロピオネート、ポリビニル
ホルマールおよびポリビニルアセタールおよびそれらの
共重合体があげられる。その他有用な重合体としてはポ
リビニルピロリドン、ゼラチンおよびアラビアゴム、が
あげられ、これらは単独または、併用して用いても良
い。本発明の酸素遮断性保護層にはさらに塗布性を向上
させるための界面活性剤、皮膜の物性を改良するための
水溶性の可塑剤等の公知の添加剤を加えても良い。水溶
性の可塑剤としてはたとえばプロピオンアミド、シクロ
ヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等があ
る。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーなどを
添加しても良い。
【0049】かくして得られた感光性平版印刷版は、A
rレーザー、半導体レーザーの第2高調波(SHG−L
D、350〜600nm)、YAG−SHGレーザーに
より直接露光された後、現像処理される。かかる現像処
理に使用される現像液としては従来より知られているア
ルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウ
ム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、
同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、
同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アン
モニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモ
ニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウ
ム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムお
よび同リチウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。ま
た、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルア
ミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチル
アミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミ
ン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノー
ルアミン、モノイソプロパノールアン、ジイソプロパノ
ールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリ
ジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
【0050】これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以
上を組み合わせて用いられる。上記のアルカリ水溶液の
内、本発明による効果が一段と発揮される現像液はアル
カリ金属ケイ酸塩を含有するpH12以上の水溶液であ
る。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液はケイ酸塩の成分で
ある酸化ケイ素SiO2 とアルカリ金属酸化物M2 Oの
比率(一般に〔SiO2 〕/〔M2 O〕のモル比で表
す)と濃度によって現像性の調節が可能であり、例え
ば、特開昭54−62004号公報に開示されているよ
うな、SiO2 /Na2 Oのモル比が1.0〜1.5(即ち
〔SiO2 〕/〔Na2 O〕が1.0〜1.5であって、S
iO2 の含有量が1〜4重量%のケイ酸ナトリウムの水
溶液や、特公昭57−7427号公報に記載されている
ような、〔SiO2 〕/〔M〕が0.5〜0.75(即
ち〔SiO2 〕/〔M2 O〕が1.0〜1.5)であっ
て、SiO2 の濃度が1〜4重量%であり、かつ該現像
液がその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基
準にして少なくとも20%のカリウムを含有しているこ
ととからなるアルカリ金属ケイ酸塩が好適に用いられ
る。
【0051】更に、自動現像機を用いて、該感光性平版
印刷版を現像する場合に、現像液よりもアルカリ強度の
高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、
長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量の
感光性平版印刷版を処理することができることが知られ
ている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用
される。例えば、特開昭54−62004号公報に開示
されているような現像液の〔SiO2 〕/〔Na2 O〕
のモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO2 〕/〔Na
2 O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2 の含有量
が1〜4重量%のケイ酸ナトリウムの水溶液を使用し、
しかもポジ型感光性平版印刷版の処理量に応じて連続的
または断続的にSiO2 /Na2 Oのモル比が0.5〜
1.5(即ち〔SiO2 〕/〔Na2 O〕が0.5〜
1.5)のケイ酸ナトリウム水溶液(補充液)を現像液
に加える方法、更には、特公昭57−7427号公報に
開示されている、〔SiO2 〕/〔M〕が0.5〜0.
75(即ち、〔SiO2 〕/〔M2 O〕が1.0〜1.
5)であって、SiO2 の濃度が1〜4重量%であるア
ルカリ金属ケイ酸塩の現像液を用い、補充液として用い
るアルカリ金属ケイ酸塩の〔SiO2 〕/〔M〕が0.
25〜0.75(即ち〔SiO2 〕/〔M2 O〕が0.
5〜1.5)であり、かつ該現像液および該補充液のい
ずれもがその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子
を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有してい
ることとからなる現像方法が好適に用いられる。このよ
うにして現像処理された感光性平版印刷版は特開昭54
−8002号、同55−115045号、同59−58
431号等の各公報に記載されているように、水洗水、
界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉
誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明の感
光性平版印刷版の後処理にはこれらの処理を種々組み合
わせて用いることができる。このような処理によって得
られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数
枚の印刷に用いられる。
【0052】印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプ
レートクリーナーとしては、従来より知られているPS
版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL−
1,CL−2,CP,CN−4,CN,CG−1,PC
−1,SR,IC,(富士写真フイルム株式会社製)等
があげられる。
【0053】
【実施例】以下実施例をもって本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 [実施例1〜6、比較例1及び2]厚さ0.24mmの
材質1050のアルミニウム板を8号ナイロンブラシと
800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表
面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化
ナトリウムに73℃で20秒間浸漬してエッチングした
後、流水で水洗後、20%HNO3 で中和洗浄、水洗し
た。これをVA =12.7Vの条件下で正弦波の交番波
形電流を用いて1%硝酸水溶液中で270クーロン/dm2
の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗
さを測定したところRa=0.35μm(東京精密製surf
com575、cut-off 0.8 、触針2 μmR)であった。ひき
つづいて30%のH2 SO4 水溶液中に浸漬し、60℃
で45秒間デスマットした後、50℃、100g/l H2
SO4 水溶液中で、砂目立てした面に陰極を配置して、
電流密度20A/dm2において皮膜厚さが2.7g/m2
なるように陽極酸化した。
【0054】(耐酸性処理及び評価)その後、この支持
体を61×30cmにカットし、表1に示す種々の方法
で耐酸性を付与する処理を施した(この際浸漬処理の場
合には処理後水洗乾燥した)。この段階の支持体を耐酸
性評価用に別途100×200mmにカットし、支持体裏
面に耐酸性のあるテープを貼って用意し、40℃のpH
2リン酸水溶液中に120秒間浸漬してから水洗乾燥し
た。リン酸水溶液に浸漬前後での支持体表面の溶解量の
重量変化を耐酸性とした。その得られた値を表1に示
す。
【0055】次に下記の手順によりSG法の液状組成物
(ゾル液)を調整した。ビーカーに下記組成物を秤量
し、25℃で20分間撹拌した。 Si(OC2 5)4 38g 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 13g 85%リン酸水溶液 12g イオン交換水 15g メタノール 100g その溶液を三口フラスコに移し、還流冷却器を取り付け
三口フラスコを室温のオイルバスに浸した。三口フラス
コの内容物をマグネティックスターラーで撹拌しなが
ら、30分間で50℃まで上昇させた。浴温を50℃に
保ったまま、更に1時間反応させ液組成物(ゾル液)を
得た。このゾル液をメタノール/エチレングリコール=
20/1(重量比)で0.5重量%になるように希釈し
て、上述した耐刷性皮膜層を設けた各基板にホイラー塗
布し、100℃で1分乾燥させた。その時の塗布量は4
mg/m2 であった。ケイ光X線分析法によりSi元素
量を求め、それを塗布量とした。このように処理された
アルミニウム板上に、下記組成の高感度光重合性組成物
を乾燥塗布重量が1.4g/m2 となるように塗布し、
100℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。
【0056】 [光重合性組成物] ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.0g アリルメタアクリレート/メタクリル酸共重合体 2.0g (共重合モル比 75/25) 化合物A(下記化学式参照) 0.50g 化合物B(下記化学式参照) 0.06g 化合物C(下記化学式参照) 0.10g メチルエチルケトン 20g プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20g
【0057】
【化2】
【0058】この感光層上にポリビニルアルコール(ケ
ン化度98モル%、重合度500)の3重量%の水溶液
を乾燥塗布重量が2.5g/m2 となるように塗布し、
120℃で3分間乾燥させ、光重合性平版印刷版を得
た。これらの版をオプトロニクス社製XLP4000
(Arレーザー75mW、488nm)を用い種々のエ
ネルギーで、4000dpi175線/インチの条件で
1%きざみで1〜99%をそれぞれ2箇所づつ露光し
た。その後120℃に20秒間さらし、後加熱処理を施
した。
【0059】現像は、下記の現像液に25℃で、30秒
間浸漬して行った。 (現像液) 1Kケイ酸カリウム 30g 水酸化カリウム 15g C1225−C6 4 −O−C6 4 −SO3 Na 3g 水 1000g
【0060】次に富士写真フイルム(株)製ガム液FP
−2Wを水で2倍に希釈し用法に沿って版面を処理し
た。耐刷性測定には印刷機としてハイデルベルグ社製S
ORKZを使用し、インキとしては、大日本インキ社製
グラフG(N)を使用した。プレートクリーナーとして
は、酸性のPSプレートクリーナーCL−2(富士写真
フイルム(株)製)を用いた。印刷スタートから5, 0
00枚目にCL−2を印刷用スポンジにしみこませ、網
点部をふき版面のインキを洗浄した。その後10,00
0枚毎に195,000枚目まで同様にCL−2で版面
のインキを洗浄し、150, 000枚印刷した。10,
000枚毎に印刷物を抜き取り、CL−2で版面を洗浄
した網点と洗浄しない網点を目視評価で比較した結果を
ハイライト再現性として表1に示す。また印刷枚数があ
る程度以上になると印刷物上のベタ画像部分の濃度が低
下していくので、印刷物として許容可能なベタ濃度で印
刷できる限界の枚数を耐刷力として表1に示す。 (実施例7)SG液を塗設しないこと以外は実施例1と
同様に作成したサンプルの測定値及び評価結果を表1に
示す。 (比較例3)SG液を塗設しないこと以外は比較例1と
同様に作成したサンプルの測定値及び評価結果を表1に
示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
感光層と支持体とが強固に密着し、高感度で酸性のプレ
ートクリーナーで版面のインキを除去しても又多量の印
刷を行ってもハイライトが飛ばず、耐刷性があるレーザ
ー書き込み可能な光重合性平版印刷版を提供することで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/11 503 G03F 7/11 503 Fターム(参考) 2H025 AA00 AA01 AA14 AB03 AC08 AD01 BC32 BC42 CB10 CB13 DA18 DA36 DA37 DA40 EA01 FA03 FA17 2H096 AA00 AA07 AA08 BA05 BA20 CA03 CA05 CA20 EA04 GA08 2H114 AA04 AA14 AA23 AA28 BA02 DA04 DA08 DA13 DA25 DA26 DA49 DA62 DA73 DA78 EA03 EA04 EA06 GA03 GA09 GA34 GA38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極酸化皮膜を有するアルミニウム支
    持体上に、付加重合可能なエチレン性二重結合を有する
    化合物、光重合開始剤及び有機高分子重合体を含有する
    光重合性感光層を塗設してなる光重合性平版印刷版であ
    って、該陽極酸化皮膜層と該光重合性感光層との間に耐
    酸性皮膜層を有することを特徴とする上記光重合性平版
    印刷版。
  2. 【請求項2】 該耐酸性皮膜層と該光重合性感光層と
    の間に、さらに付加反応性官能基を有するシリコーン化
    合物を含有する層を設けることを特徴とする、請求項1
    に記載の光重合性平版印刷版。
  3. 【請求項3】 該耐酸性皮膜層がチタン、ジルコニウ
    ム、ハフニウム、亜鉛、フッ素からなる群から選ばれる
    少なくとも1種類の元素を含むことを特徴とする請求項
    1又は2に記載の光重合性平版印刷版。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005205895A (ja) * 2003-12-26 2005-08-04 Okamoto Kagaku Kogyo Kk 平版印刷版用アルミニウム支持体および平版印刷版用原版
CN102616049A (zh) * 2011-01-31 2012-08-01 富士胶片株式会社 平版印刷版载体和预制感光版

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