JP2000218945A - 被熱転写シート - Google Patents
被熱転写シートInfo
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Abstract
せ、且つ、優れた走行性及び耐ブロッキング性を有し、
高品質且つ高解像度の画像を形成する。 【解決手段】 基材とこの基材上に形成された染料受容
層とからなる被熱転写シートにおいて、染料受容層が、
下記化学式(1)で表される化合物と他の単量体との共
重合体を含有していることを特徴とする。
Description
熱転写シートと組み合わせて使用され、熱量印加によっ
て熱転写シートからの染料が転写される被熱転写シート
に関する。
画紙等の被熱転写シート上に現像する方法としては、昇
華性染料や熱溶融染料を用いる方法が用いられている。
染料を有する染料層が形成された熱転写シート(インク
リボン)と、上記染料を受容するための受容層が形成さ
れた被熱転写シート(印画紙)とを、染料層と受容層と
が対向するように重ね合わせ、サーマルヘッド等によ
り、画像信号に応じて点状に熱を印加する。これによ
り、染料層の染料が昇華または溶融して印画紙の受容層
に移行し、印画紙上に画像が現れることになる。
材と、このシート状基材上に形成された受容層とからな
る2層構造とされる。そして、この受容層2は、インク
リボンから移行する染料、例えば、昇華性の分散染料の
画像を受容し、受容により形成された画像を維持する層
であり、従来よりポリエステル、ポリカーボネート、ポ
リ塩化ビニル等の染着性樹脂から形成されている。
に、硬化剤としてポリイソシアネートを添加する場合も
ある。更に、受容層には、染料の転写感度及び光退色
性、即ち耐光性を向上させる為に、可塑剤を添加する場
合もある。さらにまた、受容層には、熱転写シートの染
料層表面との剥離性を向上させる為に、離型剤としてシ
リコーンオイル等を添加する場合もある。
基材上にイエロー、マゼンタ、シアン及び必要に応じて
ブラックの各色のインク層を面順次に形成したものが一
般的であるが、上記各インク層とは別にラミネート層を
有するようなものもある。このラミネート層は、熱転写
シート上に画像が形成された後に受容層上に保護膜とし
て転写される層である。すなわち、ラミネート層を有す
る熱転写シートは、被熱転写シートの受容層上に保護膜
を形成することができる。
熱転写シートにおいて、ラミネート層の転写性を向上さ
せるためには、受容層に対して添加されるポリイソシア
ネート等の硬化剤の添加量を減少させたり、受容層に可
塑剤を添加して樹脂のガラス転移点を低下させたりし、
受容層を軟化させることが考えられる。しかしながら、
この場合、被熱転写シートでは、高温条件下での走行に
おいて、熱転写シートのインク面と受容層とが融着して
しまい、形成された画像の品位が損なわれたり、走行不
良を起こす虞がある。また、この場合、受容層が軟化さ
れているため、高温条件下で重ねて保存すると、受容層
が重ね合わされた被熱転写シートの裏面に張り付く、い
わゆるブロッキングが生じる虞もある。
高温条件下における走行性や耐ブロッキング性を向上さ
せるためには、ポリイソシアネート等の硬化剤の添加量
を増加させて受容層を硬化させたり、シリコーンオイル
等の添加量を増加させて熱転写シートと被熱転写シート
の離型性を向上させることが考えられる。しかしなが
ら、この場合、被熱転写シートは、ラミネート層の転写
性が悪化し、ラミネート層が転写しなかったり、欠けが
生じたりする虞がある。
ラミネート層の転写性と高温条件下での走行性及び耐ブ
ロッキング性との間にトレードオフの関係が存在し、こ
れらを同時に満足させることができないといった問題が
あった。
を鑑みて案出されたものであり、熱転写シートのラミネ
ート層を確実に転写させ、且つ、優れた走行性及び耐ブ
ロッキング性を有し、高品質且つ高解像度の画像を形成
することのできる被熱転写シートを提供することを目的
とする。
本発明に係る被熱転写シートは、基材とこの基材上に形
成された染料受容層とからなる被熱転写シートにおい
て、上記染料受容層は、化学式(1)で表される化合物
と他の単量体との共重合体を含有し、上記共重合体中、
化学式(1)で表される化合物の割合が5〜25重量%
であることを特徴とするものである。
転写シートは、化学式(1)で示す化合物とアクリル系
樹脂との共重合体を、化学式(1)で示す化合物の割合
を所定の範囲に規定して使用するため、染料受容層の柔
軟性を所望の状態にすることができる。具体的には、化
学式(1)で示す化合物の割合を5〜25重量%に規定
する。化学式(1)で示す化合物の割合を5重量%未満
にした場合には、染料受容層の強度が低下してしまう。
また、化学式(1)で示す化合物の割合を25重量%よ
り大とした場合には、共重合体のガラス転移点が低くな
りすぎ、染料受容層が軟化しすぎてしまう。
トの具体的な実施の形態について図面を参照して詳細に
説明する。
に示す。この被熱転写シートは、いわゆる印画紙とし
て、染料を含有する染料層を有するインクリボン等の熱
転写シートと組み合わせて用いられ、熱転写シートから
移行した染料により所定の画像を形成するものである。
と、この基材1上に形成されて染料を受容する染料受容
層2とを備える。そして、この被熱転写シートでは、例
えばビデオ信号に応じて、サーマルヘッドによる選択的
な熱量印加により熱転写シートより染料が染料受容層2
に移行し、画像が形成される。
に、熱転写シート基材5と、この熱転写シート基材5の
一主面上に配設されたイエロー染料層6、マゼンタ染料
層7及びシアン染料層8を有するインク層9と、インク
層9に隣接して熱転写シート5の一主面5a上に配設さ
れたラミネート層10とから構成されている。そして、
上述した被熱転写シートでは、染料受容層2とインク層
9とが対向するように熱転写シートと組み合わされ、画
像が形成されることとなる。
1としては、従来より用いられているものを使用するこ
とができ、例えば、上質紙、コート紙等の紙類、種々の
プラスチックシート、或いはこれらの複合シート等を使
用することができる。
料受容層2は、化学式(1)にて示される化合物と他の
単量体とからなる共重合体を含有してなる。
としては、フェノキシポリエチレングリコールメタクリ
レート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート、イソボロニルメタクリレート、アミノエチルメ
タクリレート等のアクリル酸エステル又はメタクリル酸
エステル、並びに、スチレン、クロロスチレン、ビニル
フェノール等のビニル系モノマー、安息香酸ビニル、ク
ロル安息香酸ビニル等のビニル芳香族カルボン酸エステ
ル等を挙げることができる.これらは単独で使用しても
良く、複数種を併用使用しても良い。
されても良く、製造方法には限定されない。具体的に、
共重合体は、懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合
等任意の重合方式により作製することができる。
学式(1)と他の単量体とからなる共重合体の成分割合
を、化学式(1)が5〜25重量%となるように規定し
ている。
%未満である場合には、硬化剤として添加されるイソシ
アネート等と反応する水酸基が十分に存在しないため、
硬化剤による染料受容層2の強度が低下してしまう。
10を有する熱転写シートに対して使用するような場
合、化学式(1)における水酸基が極性基であるため、
ラミネート層10を構成する樹脂とこの水酸基との間に
結合を形成する。このとき、染料受容層2の共重合体中
における化学式(1)の割合が5重量%未満であると、
ラミネート層10を構成する樹脂との間に結合を形成す
るための水酸基が不足してしまう。このため、共重合体
中における化学式(1)の割合が5重量%未満である
と、ラミネート層10を染料受容層2に対して確実に転
写することができなくなってしまう。
超えると、共重合体のガラス転移点Tgが低すぎること
となり、染料受容層2が軟化し過ぎて高温条件下での走
行性が悪くなったり、ブロッキングが発生する。更に
は、この場合、染料受容層2表面の光沢性が悪化し、形
成された画像の品位を損なう虞れもある。
10万〜100万程度が好ましい。共重合体の重量平均
分子量が10万未満であるような場合、染料受容層2が
脆くなり、染料受容層2形成時の塗膜特性が悪化する虞
れがある。また、共重合体の重量平均分子量が100万
を超えるような場合、共重合体を含有する塗料を塗布し
て染料受容層2を形成する際して、塗料の粘度が高くな
り塗工しにくくなる虞がある。
せるため、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等の
無機顔料や蛍光増白剤を添加することができる。また、
染料受容層2には、離型剤を添加しても良い。例えば、
離型剤としては、メチルスチレン変性シリコーンオイ
ル、オレフィン変性シリコーンオイル、ポリエーテル変
性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、エ
ポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコー
ンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルビノール
変性シリコーンオイルのようなシリコーンオイルや、フ
ッ素系離型剤等を挙げることができる。
させる為に硬化剤を添加することが好ましい。硬化剤と
しては、例えば、エポキシ系硬化剤、イソシアネート系
硬化剤等を挙げることができ、特に、無黄変タイプの多
官能イソシアネート化合物を使用することが好ましい。
このような多官能イソシアネート化合物としては、例え
ば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシ
レンジイソシアネート(XDI)、トルエンジイソシア
ネート(TDI)、ビューレット等を挙げることができ
る。これら硬化剤は、単独で使用しても良いし、複数種
を併用しても良い。
置内で走行する時に静電気が発生することを防止するた
め、帯電防止剤を使用することが好ましい。帯電防止剤
としては、例えば、陽イオン型界面活性剤(第4級アン
モニウム塩、ポリアミン誘導体等)、陰イオン型界面活
性剤(アルキルベンゼンスルホネート、アルキル硫酸エ
ステルナトリウム塩等)、両性イオン型界面活性剤もし
くは、非イオン型界面活性剤等の各種の界面活性剤を挙
げることができる。これらの帯電防止剤は、染料受容層
2に添加しても良いし、染料受容層2の表面にコーティ
ングして使用してもよい。
塑剤を添加することができる。例えば、可塑剤として
は、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリ
ット酸エステル、ピロメリット酸エステル、多価フェノ
ールエステル等を挙げることができる。さらに、染料受
容層2には、保存性を向上させるため紫外線吸収剤や酸
化防止剤等を適宜配合することができる。例えば、紫外
線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ジフェニルアク
リレート系、ベンゾトリアゾール系を例示することがで
き、酸化防止剤としては、フェノール系、有機硫黄系、
ホスファイト系、リン酸系等を例示することができる。
は、染料受容層2が所望な硬度を有するように形成され
ているため、当該染料受容層2とインク層9とが融着し
てしまうようなことが防止され、優れた画像品質を確保
することができる。また、この被熱転写シートでは、染
料受容層2が所望の硬度を有するため、例えば、高温条
件下で複数枚が重ね合わされて保存されたような場合で
も、染料受容層2が隣接する基材1の背面に張り付く、
いわゆるブロッキングが発生するようなことがない。し
たがって、この被熱転写シートは、高温条件下において
も、優れた走行性を有するものとなる。
ネート等の硬化剤を添加することによって、優れた被膜
特性を有することとなる。すなわち、被熱転写シート
は、硬化剤を添加した場合でも、イソシアネート基と化
学式(1)のヒドロキシル基とが効率よく反応し、イソ
シアネート等の硬化剤が確実に機能することとなる。
は、シリコーンオイル等の離型剤を添加することが好ま
しい。この被熱転写シートの場合、硬化剤を添加した場
合でも、イソシアネート基と化学式(1)のヒドロキシ
ル基とが効率よく反応し、イソシアネート基とシリコー
ンオイルとの反応が抑制される。仮に、染料受容層2中
に含有される重合体が上記化学式(1)で示す化合物を
有さない場合、イソシアネートは、シリコーンオイルの
ヒドロキシル基と反応してしまい、シリコーンオイルと
ともに染料受容層2表面にブリードしてしまうことがあ
った。このように、イソシアネートが染料受容層2の表
面にブリードしてしまうと、ラミネート層10の転写性
が劣化してしまう。
は、イソシアネート等の硬化剤が化学式(1)と効率よ
く反応するため、硬化剤のブリードが抑制され、ラミネ
ート層10が良好に転写されることとなる。したがっ
て、この被熱転写シートは、高品質・高解像度の画像を
表示することができる。
な実施例及びこれと比較するための比較例について説明
する。
さ150μmの合成紙(王子油化株式会社製、商品名Y
UPO FPG−150)を使用した。また、染料受容
層を形成するための塗料を表1に示すような成分で調整
した。
成分としては、表2及び表3に示すように、上記化学式
(1)で示される「ヒドロキシエチルアクリレート」及
び/又は「ヒドロキシエチルメタクリレート」を所定量
含有させた。
の固形分の合計が、メチルエチルケトン/トルエン(1
/1重量比)の混合溶媒で20%溶液となるようにし、
ディソルバーにて1時間撹拌後、50μm口径のフィル
ターを通して調製した。このようにして得られた染料受
容層用塗料をコイルバーを用いて、シート状の基材の表
面に乾燥塗膜が5〜6μmになるように塗布し、120
℃にて2分間乾燥後、50℃にて48時間キュアリング
することによって、実施例1乃至実施例31の被熱転写
シートを作製した。
たように配合した以外は、実施例1と同様にして被熱転
写シートを作製した。
例1乃至比較例5に関して、ラミネートフィルムの転写
性、耐ブロッキング性、高温条件下における走行性及び
表面の光沢性について以下に示すように評価した。
被熱転写シートに対し、熱転写プリンタ(ソニー(株)
製、UP−D8800プリンタ)を使用し、イエロー
(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色素及びラ
ミネートフィルム(L)からなるインクリボン(ソニー
(株)製、UPC一8840)を用い、ラミネートフィ
ルム(L)をイエロー(Y)に切り貼りし、イエロー信
号にて20階調の印画を行い、ラミネートフィルム
(L)の被熱転写シートヘの転写開始階調の測定を行っ
た。そして転写階調の値によって、次のように評価した ◎:転写階調≦10階調 ○:10階調<転写階調≦14階調 △:14階調<転写階調≦18階調 ×:18階調<転写階調 <耐ブロッキング性>被熱転写シート作製過程におい
て、染料受容層用塗料を基材の表面に塗布し、120℃
2分間乾燥させた後、5cm×5cmの大きさに裁断
し、その後、被熱転写シートの染料受容層と裏面とが合
わされるように重ねあわせ、その上に重り(5kg、底
辺5cm×5cm)を載せ、50℃で48時間放置し
た。その後、重ねあわせた一対の被熱転写シートをはが
し、被熱転写シートの表面の初期からの形状変化を目視
視察した。そしてこの場合の形状変化の程度によって次
のようにブロッキング性の評価を行った。
て、熱転写プリンタ(ソニー(株)製、UP−D880
0プリンタ)を使用し、イエロ(Y)、マゼンタ
(M)、シアン(C)の各色素及びラミネートフィルム
(L)からなるインクリボン(ソニー(株)製、UPC
−8840)を用い、50℃50%条件下で黒ベタ連続
印画を行った。そのとき、走行後の被熱転写シートの表
面状態及び走行中の剥離音、走行性を目視視察した。そ
して走行性の程度によって次のように高温条件下走行性
を評価した。
がなく、かつ走行音、走行不良無し。 ○:走行音が少しするが、熱転写シートとの融着無く、
走行不良なし。
融着無く、走行不良なし。
の発生存り。又は走行不良発生あり。
光沢性は、染料受容層表面の光沢を目視観察することに
よって評価した。そして光沢性の程度によって次の様に
評価した。
うレベルではない。
及び高温条件下における走行性の評価結果を表5に示
す。なお、この表5において、ラミネートフィルムの転
写性は「評価1」とし、耐ブロッキング性は「評価2」
とし、高温条件下における走行性は「評価3」とし、表
面の光沢性は「評価4」と記載した。
1で示したヒドロキシエチルアクリレート及び/又はヒ
ドロキシエチルメタクリレートを、5〜25重量%の成
分割合で含有する共重合体を有する実施例1乃至実施例
31の場合、ラミネートフィルムの転写性、耐ブロッキ
ング性、高温条件下における走行性及び表面光沢性の全
てにおいて、優れた結果を示すことがわかった。したが
って、染料受容層に含まれる共重合体において、上記化
学式1で示したヒドロキシエチルアクリレート及び/又
はヒドロキシエチルメタクリレートの成分割合を所定の
範囲と規定することによって、被熱転写シートは、ラミ
ネートフィルムが確実に転写されるものとなり、ブロッ
キングの発生が確実に抑制されたものとなり、又、高温
条件化においても確実に走行することができ、更に、優
れた表面光沢性を有することとなる。
係る被熱転写シートは、染料受容層に含有される共重合
体が所定の化合物を有し、且つ、この化合物を所定の割
合で含有するため、熱転写シートのラミネート層を確実
に転写させ、且つ、優れた走行性及び耐ブロッキング性
を有するとともに、優れた表面光沢性を有することとな
る。このため、この被熱転写シートは、高品質・高解像
度の画像を表示することが可能なものとなる。
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 基材とこの基材上に形成された染料受容
層とからなる被熱転写シートにおいて、 上記染料受容層は、化学式(1)で表される化合物と他
の単量体との共重合体を含有し、 上記共重合体中、化学式(1)で表される化合物の割合
が5〜25重量%であることを特徴とする被熱転写シー
ト。 【化1】 - 【請求項2】 上記染料受容層には、硬化剤が添加され
たことを特徴とする請求項1記載の被熱転写シート。
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