JP3561332B2 - 昇華型熱転写記録用印画紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、昇華型熱転写記録に適した昇華型熱転写記録用印画紙に関する。さらに詳しくは、耐皮脂性、耐可塑剤性、耐ブロッキング性、耐光性等の保存特性に優れた転写画像を形成することのできる染料受容層を有する昇華型熱転写記録用印画紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
昇華性又は熱拡散性の染料からなるインク層を有するインクリボンと、染料受容層を有する印画紙とを重ね合わせ、そのインクリボンのインク層をサーマルヘッド等により画像情報に応じて加熱し、インク層から印画紙の染料受容層に染料を移行させて画像を形成する昇華型熱転写記録方法が知られている。この方法は、連続的な階調のフルカラー画像を形成することができるという点から、ビデオ画像をハードコピーする方法として注目されている。
【0003】
図1は、昇華型熱転写記録に使用される一般的な印画紙1の断面図である。同図に示したように、印画紙1はシート状の基材2と染料受容層3との積層構造をなしている。ここで、染料受容層3は、熱転写記録時にインクリボンから移行してくる染料を受容し、それにより形成された画像を保持する層である。このような染料受容層3は、従来よりポリエステル、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の染着性樹脂から形成されている。
【0004】
ところで、図1に示したような印画紙には、近年、高速化プリンターに対応できるように、次のような性質を有することが要請されている:
(i) 高感度で染色性が高く、高濃度で光沢のある鮮明な画像を形成できること、
(ii)画像の保存安定性がよいこと、即ち、(a) 耐指紋性や耐皮脂性に優れていること、具体的には、手、指等の人体の一部等に画像が接触した場合に、画像を形成する染料が凝集や退色を起こさないこと、(b) 耐可塑剤性に優れていること、具体的には、可塑剤を含むプラスチック消しゴムあるいはその消し屑に画像が接触した場合に、画像を形成する染料が凝集や退色を起こさないこと、(c) 光に暴露した場合に画像の退色や変色が起こらないように高い耐光性を有すること、(d) 耐暗退色性にも優れていること。
【0005】
しかし、従来の染着性樹脂から形成された染料受容層では、これらの要請に応えることが十分にできないという問題があった。
【0006】
このため、本出願人は、これらの要請に応える印画紙として、フェノキシエチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂から形成した染料受容層を有する印画紙を提案した(特願平7−59844号公報)。この印画紙によれば、良好な品質と保存性とを有する転写画像を得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、印画紙の染料受容層の表面は、インクリボンのインク層からの染料を有効に移行させるために平坦であることが望まれている。この場合、染料受容層の層厚は、印画紙の基材の表面粗さが1〜3μm程度あることから、その表面粗さの影響を排除し染料受容層表面の平坦性を確保するために、一般に5〜8μm程度に設定されている。
【0008】
しかしながら、そのような層厚の染料受容層をアクリル系樹脂から形成した場合、アクリル系樹脂がポリエステル系樹脂などに比べ比較的柔軟性に欠けるために、印画紙を極端に屈曲させると染料受容層に多数のマイクロクラックが発生し、画像の品質の低下や画像の保存性の低下という問題が生じる。
【0009】
この問題に対し、染料受容層にジオクチルフタル酸エステルなどの可塑剤を配合して染料受容層の柔軟性を向上させることが考えられる。しかし、この場合には、クラッキングの発生を抑制するのに十分な量の可塑剤を配合すると、染料受容層のガラス転移点が過度に降下し、しかも可塑剤が過度に表面にブリードするために、ブロッキングが発生するという問題がある。
【0010】
あるいは、プラスチック材料の靭性を向上させるために広く用いられているブタジエン系ゴムを染料受容層に含有させることが考えられる。しかし、ブタジエン系ゴムのブタジエン重合単位には炭素−炭素二重結合が存在するために、染料受容層自体及び転写画像の耐候性(例えば、耐光性)が不十分となり、転写画像の長期保存性に問題が生ずることが懸念される。
【0011】
本発明は、以上の従来技術の課題を解決しようとするものであり、良好な画像品質と画像保存性とを実現可能なアクリル系樹脂から染料受容層を形成した場合に、ブロッキングの発生や画像の耐候性(例えば、耐光性)の低下を生じさせることなく、染料受容層にクラッキングが発生しないようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、アクリル系樹脂からなる染料受容層にシリコーン系ゴム微粒子を分散させると、アクリル系樹脂の好ましい特性を損なわずに、しかもブロッキングの発生や画像の耐候性(例えば、耐光性)の低下を生じさせることなく、染料受容層におけるクラッキングの発生を防止することができることを見出し、本発明を完成させるに至つた。
【0013】
すなわち、本発明は、基材と染料受容層からなる昇華型熱転写記録用印画紙に於いて、該染料受容層が、フェノキシエチルメタクリレートを含有してなるアクリル樹脂とシリコーン系ゴム微粒子からなることを特徴とする昇華型熱転写記録用印画紙を提供するものである。さらに、本発明は、シリコーン系ゴム微粒子が、メチルシロキサン又はフェニルシロキサンを重合単位として含有する重合体の微粒子である構成とするものである。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の印画紙1は、図1に示した印画紙と同様に構成されており、基本的にシ−ト状の基材2とその上に形成された染料受容層3とからなる。
【0015】
前述したように、染料受容層3は、アクリル系樹脂中にシリコーン系ゴム微粒子が分散した構造となっている。ここで、シリコーン系ゴムは反応性の二重結合を有さず、またゴム弾性を示す。従って、染料受容層にシリコーン系ゴムを配合することにより、転写画像の耐候性(例えば、耐光性)を低下させず、しかも印画紙1を極端に屈曲させた場合に染料受容層3におけるクラッキングの発生を抑制することができる。また、このようなシリコーン系ゴムを微粒子としてアクリル系樹脂に分散させることにより、染料受容層3の断面におけるアクリル系樹脂の占める割合が小さくなり、シリコーン系ゴム微粒子が応力を吸収することによって染料受容層3のクラッキングの発生をより抑制することができる。
【0016】
本発明で使用するフェノシキエチルメタクリレートを含有してなるアクリル系樹脂としては、フェノキシエチルメタクリレートの単一のホモポリマーであってもよく、または、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル、又はフェニルメタクリレート、メチルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、アリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト等のメタクリル酸エステルより選ばれた複数種とのコポリマーであってもよい。あるいはフェノシキエチルメタクリレートとこれらのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルと、それらと共重合可能な他のモノマーやオリゴマー、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、安息香酸ビニル等のビニル化合物や、エステルオリゴマー、ウレタンオリゴマーなどとのコポリマーでもよい。
【0017】
また、このアクリル系樹脂の重量平均分子量としては、小さ過ぎると塗膜特性が十分でなく、また、大き過ぎると塗工性が低下するので、5万〜100万程度が好ましい。
【0018】
なお、アクリル系樹脂の製造方法については特に制限はなく、公知の懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法等により製造することができる。
【0019】
本発明において使用するシリコーン系ゴム微粒子としては、重合単位としてシロキサン系化合物、好ましくはメチルシロキサン又はフェニルシロキサンを1重量%以上の割合で含有する重合体の微粒子を使用することが好ましい。この場合、シロキサン系化合物と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物等とのコポリマーの微粒子も使用することができる。
【0020】
シリコーン系ゴム微粒子の分子量に関しては、染料受容層3の形成時及び印画紙の使用時に粒子形状を保持できることを条件とする限り、特に制限はない。また、シリコーン系ゴム微粒子の平均粒径としては、大き過ぎると染料受容層3の表面平坦度が低下して良好な画像転写が困難となるので、2μm以下、好ましくは1μm以下とすることが好ましい。
【0021】
このようなシリコーン系ゴム微粒子の染料受容層3における含有量は、少な過ぎると本発明の効果が十分に得られず、多過ぎるとアクリル系樹脂に基づく画像の高保存特性が損なわれる傾向を示すので、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは10〜20重量%とする。
【0022】
なお、シリコーン系ゴム微粒子は、公知の懸濁重合、乳化重合等により製造することができる。
【0023】
本発明の昇華型熱転写記録用印画紙の染料受容層3には、以上のアクリル系樹脂及びシリコーン系ゴム微粒子に加えて、必要に応じて染着性向上剤や保存性向上剤を含有させることができる。このような染着性向上剤あるいは保存性向上剤としては、例えば、一般に可塑剤として使用されている各種エステル化合物(多価フェノールエステル、多価アルコールエステル、フタル酸エステル、リン酸エステル等)や、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル系樹脂等の種々の樹脂をあげることができる。
【0024】
このような染着性向上剤あるいは保存性向上剤を、前述のアクリル系樹脂とシリコーン系ゴム微粒子と共に染料受容層3に含有させる場合、染料受容層の50重量%を超えないようにすることが好ましい。
【0025】
更に、本発明の昇華型熱転写記録用印画紙の染料受容層3には、種々の添加剤を加えることができる。例えば、染料受容層3の白色度を向上させて画像の鮮明度を高め、また画像表面に筆記性を付与し、さらにまた熱転写により形成された画像の再転写を防止するために、蛍光増白剤(蛍光染料)や白色顔料を含有させることができる。このような蛍光増白剤としては、チバガイギー社製のユビテックスOB等の市販品を使用することができる。また、白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等を含有させることができる。これらは単独で又は複数種を併せて使用することができる。
【0026】
また、染料受容層3には、画像の耐候性をより向上させるために、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、表面改質剤等も一種又は複数種を添加することができる。
【0027】
また、染料受容層3には、熱転写時のインクリボンとの離型性を向上させるために離型剤を含有させることができる。離型剤としては、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワックス類、フッ素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーンオイル、高融点シリコーンワックス等を使用することができる。なかでも、離型性、耐久性の点からシリコーンオイルを使用することが好ましい。この場合、シリコーンオイルとしては、油状のものも反応(硬化)型のものも、適宜選択して使用することができる。ここで、反応(硬化)型シリコーンオイルとしては、アルコール変性シリコーンオイルとイソシアネートとの反応硬化物、エポキシ変性シリコーンオイル(エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル)とカルボキシ変性シリコーンオイル(カルボキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル)との反応硬化物、アミノ変性シリコーンオイル(アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル)とカルボキシ変性シリコーンオイル(カルボキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル)との反応硬化物等を使用することができる。
【0028】
更に、染料受容層3には、その機械的強度等を向上させるために種々の硬化剤を含有させることができる。このような硬化剤としては、例えば、エポキシ系硬化剤、イソシアネート系硬化剤等を使用することができ、なかでも、無黄変タイプの多官能イソシアネート化合物が好ましい。このような多官能イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビウレット等の脂肪族ポリイソシアネートや、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族ポリイソシアネートをあげることができる。これらは、単独で使用してもよく複数種を併用してもよい。
【0029】
また、染料受容層3には、印画紙の加工工程あるいはプリンター内での走行時における静電気の発生を抑制するために帯電防止剤を含有させることができる。帯電防止剤としては、陽イオン型界面活性剤(第4級アンモニウム塩、ポリアミン等)、陰イオン型界面活性剤(アルキルベンゼンスルホネート、アルキル硫酸エステルナトリウム塩等)、両性イオン型界面活性剤、非イオン型界面活性剤等の種々の界面活性剤を使用することができる。なお、このような帯電防止剤は、染料受容層3内に含有させる他、染料受容層3の表面にコーティング等により塗布してもよい。
【0030】
本発明の昇華型熱転写記録用印画紙の基材2としては、従来の印画紙の基材と同様の構成とすることができ、例えば、上質紙、コート紙、合成紙等の紙類、種々のプラスチックシート、あるいはこれらの複合シート等を使用することができる。
【0031】
なお、基材2の染料受容層3と反対側の面には、プリンター内での印画紙の走行性を向上させ、また印画紙の重送を防止するために、シリコーン樹脂等の公知の材料からなるバックコート層を形成することが好ましい。
【0032】
本発明の昇華型熱転写記録用印画紙1は、常法により製造することができ、基材2の片面に、アクリル系樹脂とシリコーン系ゴム微粒子と、必要に応じて他の成分とからなる塗工液を基材2に塗布し、乾燥することにより製造することができる。ここで、アクリル系樹脂とシリコーン系ゴム微粒子とからなる塗工液の調製方法に特に制限はない。例えば、有機溶剤に溶解したアクリル系樹脂と有機溶剤に分散したシリコーン系ゴム微粒子とを混合してもよく、あるいは水系溶剤に両者を分散させてもよく、また、溶融アクリル系樹脂中にシリコーン系ゴム微粒子を混合してもよい。
【0033】
本発明の昇華型熱転写記録用印画紙に対する画像形成方法には特に制限はなく、例えば、昇華型熱転写記録用インクリボンを使用し、市販のビデオプリンター等により、昇華型熱転写記録を行うことができる。
【0034】
【作用】
本発明の昇華型熱転写記録用印画紙においては、染料受容層をアクリル系樹脂とシリコーン系ゴム微粒子とから構成する。このため、染料受容層におけるクラッキングの発生を防止し、しかも染料受容層に形成された転写画像の保存安定性、例えば、耐皮脂性、耐光性、耐可塑剤性等を、従来のアクリル系樹脂を主体とする染料受容層の場合に得られる保存安定性と同程度に維持することが可能となる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0036】
実施例1〜7及び比較例1〜7
シート状の基材として、150μm厚の合成紙(王子油化社製、FPG−150)を用意した。一方、表1及び表2の成分を含有する染料受容層形成用塗料を調整した。このとき、固形分の合計が2−ブタノン/トルエン(1/1重量比)混合溶媒で20%溶液となるようにした。
【0037】
得られた塗料をワイヤーバーを用いて、基材表面に乾燥膜厚が5〜6μmとなるように塗布し、温風乾燥機で120℃、1分間乾燥させ、更に50℃で48時間エ−ジングすることにより実施例及び比較例の印画紙をそれぞれ作製した。
【0038】
なお、表1及び表2において使用した成分は以下の通りである。
*アクリル系樹脂*1: フェノキシエチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/スチレン(90/5/5)の共重合体(Mw=20万)
*シリコーンオイル*2: SF8427,東レダウコーニング社製
*イソシアネート化合物*3: タケネートD110N,武田薬品工業社製
*シリコーン系ゴム微粒子*4: メタプレンS2001(平均粒径0.3μm(ヘリウム−ネオンレーザー光散乱法による測定による),三菱レーヨン社製
*ブタジエン系ゴム微粒子*5: MBRゴム(平均粒径0.3μm(ヘリウム−ネオンレーザー光散乱法による測定による),日本合成ゴム社製
*可塑剤*6: ジオクチルフタレート,和光純薬社製
【0039】
【表1】
Figure 0003561332
【0040】
【表2】
Figure 0003561332
【0041】
(評価)
各実施例及び各比較例の印画紙について、(1)転写感度、(2)耐ブロッキング性、(3)耐光性、(4)耐皮脂性、及び(5)耐クラッキング性を以下のように試験し評価した。また、染料受容層のガラス転移点(Tg(℃))をパーキンエルマー社製DSC−7を使用し、昇温速度20℃/minで測定した。これらの結果を表3及び表4に示す。
【0042】
(1)転写感度
作製した印画紙に対し、昇華型熱転写インクリボン(UPC−7010,ソニー(株)製)を使用し、カラービデオプリンター(UP−D7000ソニー社製)で黒色のステップ印画を行い、得られた画像の最高濃度(ODmax)をマクベス反射濃度計(TR−924)を使用して測定し、以下の評価基準に従って転写感度を評価した。
【0043】
転写感度評価基準
ランク 状態
◎: ODmax >=2.4
○: 2.4>ODmax >=2.2
△: 2.2>ODmax >=1.8
×: 1.8>ODmax
【0044】
(2)耐ブロッキング性
印画紙の形成過程に於いて、染料受容層形成用塗料をシート状基材の表面に塗布し、温風乾燥機で120℃、1分間乾燥させた後、その塗布面と印画紙基材裏面を重ね合わせ、その上におもり(1kg,底面5×5cm)を載せ、50℃で48時間放置した。その後、重ねた印画紙をはがし、以下の評価基準に従って耐ブロッキング性を評価した。
【0045】
耐ブロッキング性評価基準
ランク 状態
○: 全くはりつきが見られない場合(ブロッキングなし)
△: 部分的にはりつきが見られた場合
×: 全面的にはりついた場合
【0046】
(3)耐光性
上記(1)と同様に印画紙に画像形成し、その画像をキセノンフェードメーターで90000kJ/m(30℃、65%RH)照射した。この照射前後の光学濃度をマクベス反射濃度計を使用して測定し、染料残存率を次の式(1)に従って算出し、以下の染料残存率に基づく評価基準に従って耐光性を評価した。
【0047】
【数1】
染料残存率(%)=(照射後の光学濃度/照射前の光学濃度)×100 (1)
【0048】
耐光性評価基準
ランク 状態
◎: 染料残存率>=80%
○: 80%>染料残存率>=65%
△: 65%>染料残存率>=50%
×: 50%>染料残存率
【0049】
(4)耐皮脂性
上記(1)の転写感度試験の場合と同様に印画紙に画像形成し、その画像を人工皮脂に35℃で2分間浸漬し、取り出した後、表面の人工皮脂を拭き取った。そしてこの処理の前後の光学濃度から、(3)の耐光性試験の場合と同様に測定して染料残存率を求め、同じ評価基準に従って耐皮脂性を評価した。
【0050】
(5)耐クラッキング性
形成された印画紙の染料受容層表面が山になるように折り曲げ、その際に折り目の近傍を目視にて観察し、以下の評価基準に従って耐クラッキング性を評価した。
【0051】
耐クラッキング性評価基準
ランク 状態
○: クラックが全く見られなかった場合
△: 微小なクラックが観察された場合
×: 大きなクラックが観察された場合
【0052】
【表3】
Figure 0003561332
【0053】
【表4】
Figure 0003561332
【0054】
表3の結果から、実施例1〜7の印画紙は、いずれの評価項目の点で優れた結果を示した。なお、シリコーン系ゴム微粒子の添加量に関し、最も少ない実施例1の印画紙の場合、耐クラッキング性が他の実施例の印画紙に比べ多少劣っていることがわかる。また、最も多い実施例7の印画紙の場合、転写感度と耐皮脂性との点で他の実施例の印画紙に比べ劣っていることがわかる。従って、シリコーン系ゴム微粒子の好ましい添加量は、少なくとも実施例2〜6の範囲、即ち10〜50重量%であることがわかる。
【0055】
一方、比較例1の印画紙は、アクリル系樹脂から染料受容層が構成されているので、画像保存性の点では良好であるが、シリコーン系ゴム微粒子を使用してしないので、耐クラッキング性が不十分であった。比較例2及び3は、シリコーン系ゴム微粒子に代えて可塑剤を添加することにより耐クラッキング性を向上させようとする例であるが、十分な耐クラッキング性を実現するに必要な量の可塑剤を使用すると、比較例3に示すように、染料受容層のTgが低下し、耐ブロッキング性が劣化することがわかる。また、比較例4〜7の印画紙は、シリコーン系ゴム微粒子に代えてブタジエン系ゴム微粒子を添加することにより耐クラッキング性を向上させようとする例であるが、耐光性が大きく劣化してしまうことがわかる。
【0056】
【発明の効果】
本発明の昇華型熱転写記録用印画紙によれば、高感度の画像形成が可能であり、しかも保存性に優れた画像が得られる。さらに染料受容層の耐クラッキング性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な印画紙の断面図である。
【符号の説明】
1 印画紙
2 基材
3 染料受容層

Claims (4)

  1. 基材とその上に形成された染料受容層とからなる昇華型熱転写記録用印画紙において、該染料受容層がフェノキシエチルメタクリレートを含有してなるアクリル系樹脂とシリコーン系ゴム微粒子とを含有し、該シリコーン系ゴム微粒子が、メチルシロキサン又はフェニルシロキサンを重合単位として含有する重合体の微粒子であることを特徴とする昇華型熱転写記録用印画紙。
  2. シリコーン系ゴム微粒子中のメチルシロキサン又はフェニルシロキサンの重合単位の含有量が1重量%以上である請求項1記載の昇華型熱転写記録用印画紙。
  3. 染料受容層中のシリコーン系ゴム微粒子の含有量が、10〜50重量%である請求項1〜2のいずれかに記載の昇華型熱転写記録用印画紙。
  4. シリコーン系ゴム微粒子の平均粒径が2μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の昇華型熱転写記録用印画紙。
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