JP2000218646A - 樹脂製発泡板およびそれを使用した矢板および樹脂製発泡板の製造方法 - Google Patents

樹脂製発泡板およびそれを使用した矢板および樹脂製発泡板の製造方法

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JP2000218646A
JP2000218646A JP11022935A JP2293599A JP2000218646A JP 2000218646 A JP2000218646 A JP 2000218646A JP 11022935 A JP11022935 A JP 11022935A JP 2293599 A JP2293599 A JP 2293599A JP 2000218646 A JP2000218646 A JP 2000218646A
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Yoshinori Omura
吉典 大村
Koji Yamatsuta
浩治 山蔦
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Sumika Plastech Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易であるとともに、高い強度と剛性
とを併せ持つ樹脂製発泡板を得る。 【解決手段】 樹脂製発泡板1は、内層部3とこの内層
部3の両側に形成された表層部2・2とからなり、これ
ら内層部3と表層部2・2とが樹脂を材料として一体成
形されており、内層部3と表層部2・2とが発泡構造を
有し、表層部2・2の密度が内層部3の密度より高くな
っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡構造を有する
樹脂製発泡板およびそれを使用した矢板および樹脂製発
泡板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、土木や建設現場等でのコンクリー
ト打設用のせき板や土止め用の矢板、その他、棚板な
ど、強度と剛性とを併せ持つ必要がある板材として、木
製板や金属製板が多用されている。
【0003】しかしながら、上記の金属製板は、重量が
大きく取り扱いが容易でない上、錆びやすいという欠点
を有する。また、上記の木製板は、金属製板ほどではな
いものの、やはり重量が大きく、かつ腐り易くて耐久性
が低いという欠点を有する。
【0004】そこで、このような問題を解決するため
に、上記金属製板や木製板に代わる樹脂製板が開発され
ている。例えば、発泡板、発泡サンドイッチ板、ハニカ
ムサンドイッチ板および一方向リブ強化サンドイッチ板
などである。
【0005】上記の発泡板は、単に板状に発泡成形され
たものである。また、図5に示すように、上記の発泡サ
ンドイッチ板51は、一定の発泡倍率を有する発泡板5
2(上記発泡板)の両面に補強用樹脂板53・53を貼
り合わせたものである。ハニカムサンドイッチ板は、ハ
ニカム構造板の両面に樹脂板を貼り合わせたものであ
り、一方向リブ強化サンドイッチ板は、表面板の内部に
一方向に並ぶリブを有する構造のものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
発泡板は、製造工程として発泡成形のみを行えばよいた
め、製造が容易である反面、剛性が低いため用途が限定
される。即ち、コンクリート打設用のせき板や土止め用
の矢板などには使用することができない。
【0007】また、発泡サンドイッチ板およびハニカム
サンドイッチ板は、補強用樹脂板53・53が貼着され
ていることにより、上記発泡板と比較して強度および剛
性が優れている。しかしながら、補強用樹脂板53・5
3の接着強度を十分に得難く、このために剛性が低下
し、また使用時に過大な負荷が掛かったときに、接着界
面での剪断破壊が生じ易いといった問題点を有してい
る。さらに、製造工程として、中間層部分を樹脂成形に
て製造した後、この中間層部分に補強用樹脂板53・5
3を貼着する工程が必要であり、製造工数が多いという
問題点を有している。
【0008】また、一方向リブ強化サンドイッチ板は、
表面板と一方向リブとを有する構造であることから、上
記発泡板と比較して強度および剛性が優れている。さら
に、リブが一方向のみであることから押出し成形にて成
形可能であり、製造が容易である。しかしながら、上記
リブ方向の剛性は高いものの、上記リブ方向と直交する
方向の剛性は低くなるという問題点を有している。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題点
を解決するためになされたものであって、製造工数が少
なくて製造が容易であるとともに、高い強度と剛性とを
併せ持つ樹脂製発泡板およびそれを使用した矢板および
樹脂製発泡板の製造方法の提供を目的としている。
【0010】上記の課題を解決するために、請求項1の
発明の樹脂製発泡板は、内層部とこの内層部の両側に形
成された表層部とからなり、これら内層部と表層部とが
樹脂を材料として一体成形されており、前記内層部と表
層部とが発泡構造を有し、表層部の密度が内層部の密度
より高くなっていることを特徴としている。
【0011】請求項1の構成によれば、樹脂製発泡板
は、それぞれ発泡構造を有する表層部と内層部とからな
り、表層部の密度が内層部の密度より高くなっているの
で、軽量であり、かつ表層部により高い強度と剛性を備
えることができる。
【0012】また、樹脂製発泡板は、内層部と表層部と
が樹脂を材料として一体成形されている。したがって、
内層部の成形後に表層部を内層部に貼着するといった工
程が不要であり、樹脂製発泡板は容易に製造することが
できる。これに加えて、表層部と内層部との間での剥離
や剪断破壊が起こり難く、負荷が加えられたときに発生
する応力を樹脂製発泡板の内部において効率的に伝達で
きるため、剛性の低下を生じ難くなっている。
【0013】請求項2の発明の樹脂製発泡板は、請求項
1の発明の樹脂製発泡板において、前記樹脂の理論密度
に対し、前記表層部の密度が90%以上であり、前記内
層部の密度が30%以下であり、かつ(両表層部の厚み
の和)/(内層部の厚み)の比が0.05以上、0.3
以下であることを特徴としている。
【0014】請求項2の構成によれば、請求項1の発明
の作用に加えて、軽量かつ高剛性という樹脂製発泡板の
機能を一層高めることができる。
【0015】請求項3の発明の樹脂製発泡板は、請求項
2の発明の樹脂製発泡板において、前記樹脂の理論密度
に対し、前記内層部の密度が20%以下であり、かつ
(両表層部の厚みの和)/(内層部の厚み)の比が0.
1以上、0.2以下であることを特徴としている。
【0016】請求項3の構成によれば、請求項2の発明
の作用に加えて、軽量かつ高剛性という樹脂製発泡板の
機能をさらに一層高めることができる。
【0017】請求項4の発明の矢板は、請求項1から3
の何れかの樹脂製発泡板からなることを特徴としてい
る。
【0018】これにより、本発明の矢板は、軽量であり
かつ高い強度と剛性を備えることができ、矢板として適
したものとなる。
【0019】請求項5の発明の樹脂製発泡板の製造方法
は、樹脂製発泡板の材料となる溶融樹脂を金型内に充填
し、一定時間後に金型を若干開き、この状態で金型内の
樹脂を冷却することにより、内層部とこの内層部の両側
に形成された表層部とからなり、前記内層部と表層部と
が発泡構造を有し、表層部の密度が内層部の密度より高
くなっている樹脂製発泡板を得ることを特徴としてい
る。
【0020】請求項5の構成によれば、軽量でありかつ
高い強度と剛性を備える樹脂製発泡板を容易に得ること
ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態を図1ない
し図4に基づいて以下に説明する。図2に示すように、
本実施の形態の樹脂製発泡板1は、例えば長方形の板状
に形成されている。この樹脂製発泡板1は、図1に示す
ように、樹脂製発泡板1の外面を形成する両側の表層部
2・2と、これら表層部2・2間に形成された内層部3
とを有する構成である。これら表層部2・2と内層部
3、即ち樹脂製発泡板1は、樹脂の発泡成形により一体
的に形成されている。
【0022】上記表層部2・2の発泡倍率は、内層部3
の発泡倍率よりも小さくなっており、かつ表層部2・2
および内層部3の発泡倍率は、樹脂製発泡板1の厚み方
向の中心に向かうにしたがって大きくなっている。
【0023】表層部2の密度は、樹脂製発泡板1の樹脂
材料の理論密度の90%以上であることが好ましい。9
0%よりも小さいと、表層部2の弾性率が低下し、樹脂
製発泡板1としての剛性が低くなってしまう。一方、内
層部3の密度は、高過ぎると樹脂製発泡板1の重量の増
加に対する剛性の増加が顕著でなく、軽量で剛性が高い
という樹脂製発泡板1の特性が損なわれるため、上記樹
脂材料の理論密度の30%以下が好ましい。さらに好ま
しくは20%以下である。
【0024】なお、表層部2および内層部3の密度を上
記樹脂材料の理論密度に対する値で示しているのは、上
記樹脂材料には後述のように各種フィラーや強化用繊維
が添加されている場合もあるからである。ここで、理論
密度とは、樹脂の密度とフィラー等の密度から計算され
るボイド等の存在しない理想的な状態での密度を意味
し、下記の式で定義される。
【0025】理論密度=1/((Wf/フィラー密度)
+(1−Wf)/樹脂密度) (但し、Wfはフィラーの重量分率) 樹脂製発泡板1では、両表層部2・2の厚みの和と内層
部3の厚みとを比較した場合、内層部3の厚みの方が厚
くなっている。そして、両表層部2・2の厚みの和と内
層部3の厚みとの比(内層部3の厚みに対する両表層部
2・2の厚みの和の比)が小さくなるにしたがい、剛性
が徐々に低下するとともに、重量が急激に減少する。し
たがって、樹脂製発泡板1において、上記の比が大き過
ぎると軽量という利点が損なわれる一方、上記の比が小
さ過ぎると高剛性という利点が損なわれてしまう。上記
の比は、好ましくは0.05以上かつ0.3以下であ
り、さらに好ましくは0.1以上かつ0.2以下であ
る。
【0026】上記のように、樹脂製発泡板1の材料とな
る樹脂の理論密度に対し、表層部2の密度を90%以
上、内層部3の密度を30%以下とし、かつ(両表層部
2・2の厚みの和)/(内層部3の厚み)を0.05以
上かつ0.3以下とすれば、樹脂製発泡板1は、軽量か
つ高剛性のものとなる。この機能は、樹脂製発泡板1の
材料となる樹脂の理論密度に対し、内層部3の密度を2
0%以下とし、かつ(両表層部2・2の厚みの和)/
(内層部3の厚み)を0.1以上、0.2以下とすれ
ば、さらに高めることができる。
【0027】また、樹脂製発泡板1では、内層部3が発
泡構造となっているので、内層部としてリブ構造を有す
る従来のサンドイッチ構造板と比較して、縦横剛性比な
どの機械的物性や断熱機能等の面で優れている。上記発
泡構造としては、連続気泡構造と独立気泡構造との何れ
でも可能であるものの、気泡径については小さい方が断
熱機能を高める上において好ましい。気泡径は好ましく
は1mm以下である。
【0028】表層部2および内層部3としては、密度が
連続的に変化している構造が好ましい。この構造であれ
ば、樹脂製発泡板1は、軽量化を図りつつ高い強度を備
えることができる。
【0029】樹脂製発泡板1の厚みは特に限定されるも
のではないが、剛性/重量の比を考慮して3mm以上か
つ100mm以下が好ましい。3mmよりも薄い場合、
剛性/重量の比に顕著な改善が得られず、100mmよ
りも厚いと非実用的なものとなる。
【0030】樹脂製発泡板1の樹脂材料としては、熱可
塑性樹脂および熱硬化性樹脂が使用可能であるものの、
成形サイクルやリサイクルの点からは熱可塑性樹脂が好
ましい。
【0031】上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポ
リアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレ
ート等の一般的熱可塑性樹脂、これらの変成物ポリマー
アロイ、またはこれらのブレンド物を上げることができ
る。また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、またはメラミン
樹脂等を上げることができる。特に、ポリプロピレンを
材料とした場合には、高い耐熱性、剛性および断熱性を
得易くなる。
【0032】このような樹脂には、通常用いられる熱安
定剤、紫外線防止剤等の各種添加剤や着色剤を必要に応
じて配合してもよい。
【0033】また、これらの樹脂には、強度向上や弾性
率向上のために、カーボンブラック、炭酸カルシウム、
タルク、マイカ等の通常用いられる各種のフィラー・強
化用繊維(フィラーもしくは強化用繊維またはこれらの
両者)等の無機充填剤を添加することができる。フィラ
ーとしてはタルクやマイカなどの扁平形状を有するもの
が、剛性を向上する効果が高く好適である。強化用繊維
としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等を上
げることができる。強化繊維の長さは、通常、0.1〜
50mmであり、衝撃改良効果の観点から好ましくは1
〜15mmの範囲である。強化用繊維の長さを上記範囲
の上限値以下とすることは、均一に繊維が分散した製品
を得る上で、また廃棄時における粉砕や再使用を容易に
する上で好ましい。
【0034】マトリクス樹脂への上記のフィラー・強化
用繊維の配合量は、その含有量として5〜60重量%が
好ましく、さらに好ましくは10〜50重量%の範囲で
ある。含有量を上記範囲の下限値以上とすることは、製
品の機械的強度を高める上で有効であり、含有量を上記
範囲の上限値以下とすることは、製品の成形を容易に行
う上で有効である。
【0035】例えば、樹脂製発泡板1の材料として、ガ
ラス繊維を15重量%以上、50%以下含有するポリプ
ロピレン樹脂を使用した場合には、高い耐熱性、剛性お
よび成形性を得ることができる。
【0036】樹脂製発泡板1の成形法としては、プレス
法や射出成形法または射出プレス成形法等の各種の方法
を採用可能である。材料として好ましい強化繊維含有熱
可塑性樹脂により樹脂製発泡板1を成形する場合には、
熱プレス法が好ましい。
【0037】上記の熱プレスにおいて、原料として用い
られるフィラー・強化繊維含有熱可塑性樹脂(フィラー
と強化繊維との少なくとも一方を含有する熱可塑性樹
脂)は、フィラー・強化繊維を含有した熱可塑性樹脂の
溶融体、例えば化学発泡体または炭酸ガスなどの気体を
圧力下で含有した熱可塑性樹脂の溶融体であってもよい
し、予め製造されたフィラー・強化繊維含有熱可塑性樹
脂シート、例えばスタンパブルシートを樹脂の溶融温度
以上に加熱したものであってもよいものの、前者の溶融
体を使用することが好ましい。
【0038】樹脂製発泡板1は、通常、成形された状態
のまま、即ち図2に示した状態のまま製品とされるが、
表層部2の表面をさらに平滑化したり、所望の機能を付
与する等の目的で、表層部2・2に必要に応じて表面材
が貼着されていてもよい。この種の表面材としては、各
種熱可塑性樹脂シート、フィルムあるいは織物を例示す
ることができる。
【0039】次に、樹脂製発泡板1の製造方法について
説明する。樹脂製発泡板1の成形の際には、例えば図3
に示す上型11aと下型11bとからなる金型11を有
する射出成形機12を使用する。
【0040】先ず、樹脂製発泡板1の材料として、発泡
剤を含んだ溶融樹脂13を金型11内に入れ込む。
【0041】次に、上型11aを下型11b上に降ろし
て金型11を型閉めする。これにより、金型11内に上
記溶融樹脂が充填された状態となる。このときの面圧は
約3MPAである。
【0042】次に、一定時間後、金型11を若干開き、
この状態で放置する。ここでの金型11の開き幅は、通
常、1〜50mm程度、好ましくは3〜30mm程度で
ある。また、上記の一定時間は、表層部2の所望する厚
みに応じて設定される。通常、数秒で表層部2が500
μm程度の厚みとなる。また、上記の放置時間は、通
常、2〜3分程度である。この放置時間中に内層部3の
発泡構造が得られる。
【0043】その後、金型11内において成形された樹
脂製発泡板1が冷却されると、金型11を完全に型開き
し、樹脂製発泡板1を取り出して製造工程を終了する。
これによって、表層部2・2と内層部3とを有する樹脂
製発泡板1が得られる。
【0044】なお、成形開始時の金型11の温度は、製
品の反りの発生具合や成形サイクルにより金型11の冷
却温度が異なることから、例えば製品の大きさ、形状、
冷却効率および装置構造等に応じて最適に設定される。
即ち、金型温度が低いほど、成形サイクルが早くなる一
方、製品の反りが大きくなる。逆に、金型温度が高いほ
ど、製品の反りが小さくなる一方、成形サイクルが長く
なる。このような点を考慮して、例えば10〜80℃の
範囲内とされ、通常、10〜40℃の範囲内に設定され
る。
【0045】上記のように、樹脂製発泡板1は、それぞ
れ発泡構造を有する表層部2・2と内層部3とからな
り、表層部2・2の発泡倍率が内層部3の発泡倍率より
も小さくなっている構成である。したがって、軽量であ
り、かつ表層部2・2によって高い強度と剛性を備える
ことができる。加えて、耐水性および耐蝕性に優れてい
る。
【0046】また、上記のように、樹脂製発泡板1は、
表層部2・2と内層部3とからなるものとして一体成形
することができる。したがって、内層部3の成形後に表
層部2・2を内層部3に貼着するといった工程が不要で
ある。これにより、樹脂製発泡板1は、軽量かつ高い強
度と剛性を有するとともに、容易に製造することができ
る。
【0047】さらに、樹脂製発泡板1は、表層部2・2
と内層部3とが同一材料にて一体成形されていることに
より、即ち表層部2・2と内層部3とをそれぞれ個別に
成形した後にこれらを互いに貼着したものではないか
ら、表層部2・2と内層部3との間での剥離や剪断破壊
が起こり難く、負荷が加えられたときに発生する応力を
樹脂製発泡板1の内部において効率的に伝達できるた
め、剛性の低下も少なくなっている。
【0048】また、樹脂製発泡板1は、内層部3が発泡
構造であり、これによっても、負荷が加えられたときに
発生する応力を内層部3の内部において均一に伝達でき
るため、高剛性を示し得るとともに、高い断熱機能を備
えることができる。
【0049】ここで、本発明の樹脂製発泡板1と従来の
樹脂板との性能を比較した結果を表1に示しておく。同
表においては、2種類の樹脂製発泡板1を本発明1およ
び2として示し、従来の2種類の樹脂板を比較例1およ
び2として示している。比較例1・2は異形押出し品
(一方向リブ強化サンドイッチ板)である。
【0050】本発明1および比較例1の材料は何れもポ
リプロピレン(PP)である。また、本発明2および比
較例2の材料は、何れもグラスファイバー(GF)とポ
リプロピレンの重量%の比率が20:80となったもの
である。比較例2、即ちグラスファイバーが混入されて
いる異形押出し品は成形できなかった。
【0051】また、本発明1・2と比較例1・2の寸法
は下記の通りである。 本発明1・2−総厚み:12mm、表層部2の厚み:1mm 比較例1・2−総厚み:12mm、表面板の厚み:1mm、一方向リブのリブ 間隔:10mm また、同表中におけるMDは押出し成形における押出し
方向を示し、TDは押出し方向と直交する幅方向を示し
ている。但し、本発明1・2では、押出し成形を行って
いないので、MD(押出し方向)を長手方向と見なし、
TDをこの長手方向と直交する幅方向と見なす。
【0052】
【表1】
【0053】表1の結果から明らかなように、本発明1
・2(樹脂製発泡板1)は、比較例1・2(従来品)と
比較して、曲げ弾性率および曲げ破壊強度においてTD
とMDの各方向での異方性がなく、かつ上記各性能にお
いて高い数値を示し得るものとなった。また、強化用繊
維を含有する樹脂材料によっても容易に製造可能であ
り、この場合には上記各性能をさらに高めることができ
た。
【0054】上記の樹脂製発泡板1は、図4に示すよう
に、土木および建設現場のコンクリート打設用や土砂止
め用の矢板21として使用することができる。この場
合、複数の矢板21(樹脂製発泡板1)は、所定の間隔
をおいて立設されたH型鋼22・22間に例えば横向き
に配される。即ち、矢板21は、長手方向の端部をH型
鋼22のコ字形部に嵌入させ、壁を形成するように複数
段に積み上げられる。上記矢板21の縦、横、厚みの寸
法は、例えば1800×600×25mmであり、各表
層部2の厚みは例えば2mmである。
【0055】矢板21に適した樹脂製発泡板1の寸法お
よび剛性の好ましい範囲としては、厚さが40mm以
下、単位幅当たりの剛性が20,000kg・cm2
cm以上である。
【0056】上記のように樹脂製発泡板1を使用した矢
板21は、高い耐水性および耐蝕性を有し、かつ軽量で
あるとともに、矢板として十分な強度と剛性を備えるこ
とができる。したがって、この矢板21は、従来の鋼製
や木製の矢板と比較して、保管および運搬に非常に便利
である。さらに、矢板21は、高い断熱性を併せ持つこ
とができるので、地下室などの施工に使用した場合に
は、別の断熱工事が不要になるなど、実用上の利用価値
が非常に高いものとなっている。
【0057】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明の樹脂製
発泡板は、内層部とこの内層部の両側に形成された表層
部とからなり、これら内層部と表層部とが樹脂を材料と
して一体成形されており、前記内層部と表層部とが発泡
構造を有し、表層部の密度が内層部の密度より高くなっ
ている構成である。
【0058】これにより、軽量であり、かつ表層部によ
り高い強度と剛性を備えることができる。また、内層部
の成形後に表層部を内層部に貼着するといった工程が不
要であり、容易に製造することができる。これに加え
て、表層部と内層部との間での剥離や剪断破壊が起こり
難く、負荷が加えられたときに発生する応力を樹脂製発
泡板の内部において効率的に伝達できるため、剛性の低
下を生じ難くなっているという効果を奏する。
【0059】請求項2の発明の樹脂製発泡板は、請求項
1の発明の樹脂製発泡板において、前記樹脂の理論密度
に対し、前記表層部の密度が90%以上であり、前記内
層部の密度が30%以下であり、かつ(両表層部の厚み
の和)/(内層部の厚み)の比が0.05以上、0.3
以下である構成となっている。
【0060】これにより、請求項1の発明の効果に加え
て、軽量かつ高剛性という樹脂製発泡板の機能を一層高
めることができるという効果を奏する。
【0061】請求項3の発明の樹脂製発泡板は、請求項
2の発明の樹脂製発泡板において、前記樹脂の理論密度
に対し、前記内層部の密度が20%以下であり、かつ
(両表層部の厚みの和)/(内層部の厚み)の比が0.
1以上、0.2以下である構成となっている。
【0062】これにより、請求項2の発明の効果に加え
て、軽量かつ高剛性という樹脂製発泡板の機能をさらに
一層高めることができるという効果を奏する。
【0063】請求項4の発明の矢板は、請求項1から3
の何れかの樹脂製発泡板からなる構成である。
【0064】これにより、本発明の矢板は、軽量であり
かつ高い強度と剛性を備えることができ、矢板として適
したものとなるという効果を奏する。
【0065】請求項5の発明の樹脂製発泡板の製造方法
は、樹脂製発泡板の材料となる溶融樹脂を金型内に充填
し、一定時間後に金型を若干開き、この状態で金型内の
樹脂を冷却することにより、内層部とこの内層部の両側
に形成された表層部とからなり、前記内層部と表層部と
が発泡構造を有し、表層部の密度が内層部の密度より高
くなっている樹脂製発泡板を得る構成である。
【0066】これにより、軽量でありかつ高い強度と剛
性を備える樹脂製発泡板を容易に得ることができるとい
う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂製発泡板を示す断面図である。
【図2】図1に示した樹脂製発泡板の斜視図である。
【図3】図1に示した樹脂製発泡板の成形工程を示す説
明図である。
【図4】図1に示した樹脂製発泡板の矢板としての使用
例を示す斜視図である。
【図5】従来の発泡サンドイッチ板を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 樹脂製発泡板 2 表層部 3 内層部 11 金型 12 射出成形機 13 溶融樹脂 21 矢板 22 H型鋼

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内層部とこの内層部の両側に形成された表
    層部とからなり、これら内層部と表層部とが樹脂を材料
    として一体成形されており、前記内層部と表層部とが発
    泡構造を有し、表層部の密度が内層部の密度より高くな
    っていることを特徴とする樹脂製発泡板。
  2. 【請求項2】前記樹脂の理論密度に対し、前記表層部の
    密度が90%以上であり、前記内層部の密度が30%以
    下であり、かつ(両表層部の厚みの和)/(内層部の厚
    み)の比が0.05以上、0.3以下であることを特徴
    とする請求項1に記載の樹脂製発泡板。
  3. 【請求項3】前記樹脂の理論密度に対し、前記内層部の
    密度が20%以下であり、かつ(両表層部の厚みの和)
    /(内層部の厚み)の比が0.1以上、0.2以下であ
    ることを特徴とする請求項2に記載の樹脂製発泡板。
  4. 【請求項4】請求項1から3の何れかの樹脂製発泡板か
    らなることを特徴とする矢板。
  5. 【請求項5】樹脂製発泡板の材料となる溶融樹脂を金型
    内に充填し、一定時間後に金型を若干開き、この状態で
    金型内の樹脂を冷却することにより、内層部とこの内層
    部の両側に形成された表層部とからなり、前記内層部と
    表層部とが発泡構造を有し、表層部の密度が内層部の密
    度より高くなっている樹脂製発泡板を得ることを特徴と
    する樹脂製発泡板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013187041A1 (ja) * 2012-06-12 2013-12-19 シャープ株式会社 断熱・緩衝材およびその製造方法

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