JP2000213608A - フリ―ピストン型オ―トテンショナ - Google Patents

フリ―ピストン型オ―トテンショナ

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JP2000213608A JP11183850A JP18385099A JP2000213608A JP 2000213608 A JP2000213608 A JP 2000213608A JP 11183850 A JP11183850 A JP 11183850A JP 18385099 A JP18385099 A JP 18385099A JP 2000213608 A JP2000213608 A JP 2000213608A
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宏仁 寺島
Katsumi Hirabayashi
勝美 平林
Koji Hotta
浩二 堀田
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Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アイドラを押圧するロッドを可及的に短くす
ることが可能なフリーピストン型オートテンショナを提
供すること。 【解決手段】 円筒状のボデー内周に往復動可能にボデ
ー内に配設され、ボデーから突出してアイドラを介して
帯状動力伝達部材を押圧するロッドと、ボデー内周に形
成され、ロッドを摺動可能に支持し且つロッドとともに
作動油を貯留する第1油室を構成し、ピストンとともに
作動油を貯留する第2油室を構成し、第1油室と第2油
室とを連通する油路を有する油室ブロックと、ロッドを
ボデーから突出する方向に付勢する中空円筒状の第1弾
性部材と、第2油室を加圧する方向にピストンを付勢す
る円筒状の第2弾性部材と、第1油室と第2油室の間で
の作動油の流動を制御し帯状動力伝達部材の張力が低下
時にアイドラの推進運動を即座に許容させ帯状動力伝達
部材の張力が上昇時にはアイドラの後退運動を徐々に許
容させてアイドラの移動を減衰させる減衰手段と、を備
えるフリーピストン型オートテンショナ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン用タイミ
ングベルトのノイズ対策、或いはタイミングベルトの長
寿命化のためにベルトの張力を適正に保持するオートテ
ンショナに関するものであり、特にボデー内でピストン
を摺動させるフリーピストン型オートテンショナに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術として、実開昭63−157
558号公報に開示されるフリーピストン型オートテン
ショナがある。図11に上記公報のフリーピストン型オ
ートテンショナ30を示す。この公報には、ボデー31
と、ボデー31内を摺動するプランジャー32と、プラ
ンジャー32と一体に形成されボデー31から突出する
ロッド部33と、ボデー31の内周とロッド部33の外
周の間にそれぞれシール34、35を介して摺動可能に
挿入されるピストン36と、ピストン36をプランジャ
ー32に向けて押圧する弾性部材37とを備え、ピスト
ン36とプランジャー32の間の油室38を加圧するフ
リーピストン型のオートテンショナ30が開示されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】オートテンショナはア
イドラを介してベルトの張力を適正に保持すべく、ロッ
ドの一端がアイドラに取付けられているが、車両への取
付後の経時変化によってベルトが伸びたり、温度変化に
よってベルトの張力が変化するので、ロッドの軸方向と
垂直方向の力がロッドに加わらないような理想的な位置
でオートテンショナを作動させることは不可能である。
ロッドの軸方向と垂直な方向に非常に大きな力が加わる
場合には、ロッドが折損する可能性がある。ロッドが折
損するとベルトの張力を適正化することができなくなっ
て、ベルトがばたついて異音が発生したり、ベルトが目
飛びする怖れがあり、好ましくない。
【0004】しかしながら上記の従来技術では、ピスト
ン36がロッド部33の外周を摺動するように構成され
ているために、少なくともピストン36の軸方向長さ分
とピストン36のストローク分と弾性体37の長さ分を
合わせた長さだけロッド部33の長さが必要であり、ロ
ッドの折損を回避するためにロッド部33を短縮するこ
とが困難である。
【0005】そこで本発明は、上記問題点を解決すべく
アイドラを押圧するロッドを可及的に短くすることが可
能なフリーピストン型オートテンショナを提供すること
を技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明は、帯状動力伝達部材に常時適正な緊
張力を与えるフリーピストン型オートテンショナにおい
て、円筒状のボデーと、ボデーの軸方向に往復動可能に
ボデー内に配設され、ボデーから突出してアイドラを介
して帯状動力伝達部材を押圧するロッドと、ボデー内周
に形成され、一端側でロッドを介して作動油を貯留する
第1油室を構成し、他端側でピストンとともに作動油を
貯留する第2油室を構成し、第1油室と第2油室とを連
通する油路を有する油室ブロックと、ロッドをボデーか
ら突出する方向に付勢する中空円筒状の第1弾性部材
と、第2油室を加圧する方向にピストンを付勢する円筒
状の第2弾性部材と、第1油室と第2油室の間での作動
油の流動を制御し帯状動力伝達部材の張力が低下したと
きには第1弾性部材によるアイドラの推進運動を即座に
許容させまた帯状動力伝達部材の張力が上昇したときに
は第1弾性部材に抗したアイドラの後退運動を徐々に許
容させる減衰手段と、を備えた。
【0007】請求項1によると、ピストンをロッドと反
対側に配設したことによって、ロッドの外周でピストン
を摺動させる必要がなくなり、従来の技術に比べてロッ
ドを短縮することが可能になる。また、ピストンの摺動
接触面はピストンの外周面のみであるので、従来のフリ
ーピストン型オートテンショナに対してピストンをシー
ルする部位が少なくなり、部品点数の減少、低コスト化
及び信頼性の面で好適である。
【0008】請求項2の発明は、請求項1における減衰
手段の具体的な構成を示しており、油室ブロック内に設
けられ第2油室から第1油室への作動油の流入を許容し
第1油室から第2油室への作動油の流入を禁止する逆止
弁を介して第1油室と第2油室の間を連通可能な油路
と、油室ブロックの一端側とロッドとの摺動部分を介し
て第1油室と第2油室の間を連通可能な摺動隙間と、を
備えるようにした。
【0009】請求項2によると、帯状動力伝達部材の張
力が低下すると第1弾性部材の付勢力によりロッドがア
イドラの推進運動に向ってボデーから突出しようとす
る。このとき、ロッドが油室ブロックの一端側を摺動し
て第1油室に負圧が発生し、逆止弁により第2油室から
第1油室への作動油の流入が許容され、ロッドは素早く
ボデーから突出してアイドラの推進運動が即座に許容さ
れる。また、帯状動力伝達部材の張力が高くなると第1
弾性部材の付勢力に抗して第1油室の容積を減少する方
向にロッドが摺動する。このとき逆止弁により第1油室
から第2油室への作動油の流入が禁止されるので第1油
室は高圧になり、第1油室内の作動油は摺動隙間から第
2油室に向って流出し、ロッドは徐々に摺動してアイド
ラの後退運動が徐々に許容されアイドラの移動を減衰さ
せる。
【0010】このように、帯状動力伝達部材の張力の変
化に応じてロッドを減衰動作させるので、帯状動力伝達
部材の張力を常時適切に保持することが可能になる。
【0011】請求項3の発明は、請求項2において、逆
止弁は、油室ブロックと別体に構成されるシート部材
と、シート部材の着座面に着座可能に配されるチェック
ボールと、チェックボールの第1油室側に形成されると
ともにチェックボールの移動量を規制するリテーナとを
備えた。
【0012】ここで、油室ブロックはロッドを保持して
いるため、チェックボールの着座面は油室ブロックの奥
深い位置になる。したがって、油室ブロック自体にチェ
ックボールの着座面を構成した場合には、着座面を加工
する際に刃具がぶれてしまい、寸法精度を確保すること
が困難になる。請求項3ではシート部材を油室ブロック
と別体で設けたので、着座面の加工の寸法精度を確保す
ることが可能になる。更に、チェックボールの着座面は
耐摩耗性を要する箇所であるために熱処理等の耐摩耗性
を向上するための処理を施す必要があるが、油室ブロッ
クとロッドとの摺動部分には着座面ほどの耐摩耗性を必
要とせず、油室ブロックと着座面とが一体の部材で構成
されている場合には油室ブロック全体を熱処理しなけれ
ばならかったが、請求項3ではシート部材を油室ブロッ
クと別体で設けたので、耐摩耗性を向上するための熱処
理を施すのはシート部材だけでよく、油室ブロック全体
を熱処理する必要がなくなる。
【0013】請求項4の発明は、請求項3において、シ
ート部材の外周側寸法を油室ブロックの内周側寸法より
小さくした。
【0014】請求項4によると、リテーナによってチェ
ックボール及びシート部材が第1油室側へは移動しない
ように構成されているので、シート部材の外径側寸法を
油室ブロックの内径側寸法より小さくすることが可能に
なる。これによってシート部材の外径側寸法を高精度に
加工する必要がなくなり、製造上好適である。
【0015】請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4
において、第1油室を形成する油室ブロックの外周とボ
デーの内周との間に第1弾性部材を配設した。
【0016】請求項5によると、第1弾性部材の外径を
ボデー内径まで設定することができるので、第1弾性部
材の付勢力の調整範囲が広くなり、好適である。
【0017】請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5
において、第2弾性部材の外径を第1弾性部材の内径よ
り小さくした。
【0018】請求項6によると、請求項7に示すように
第1弾性部材と第2弾性部材とを軸方向に関して並列に
配設することができ、オートテンショナ全体の軸方向長
さを短くすることができる。
【0019】請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7
において、第2油室をピストンとボデー内周面と油室ブ
ロックの他端側とで規定された空間により構成し、ピス
トンがボデー内周面を摺動するようにした。
【0020】請求項9の発明は、請求項8において、油
室ブロックをボデー内周面の径方向に対して移動可能に
配設した。
【0021】請求項9によると、油室ブロックに配設さ
れたロッドの軸心とロッドの径方向位置をガイドする部
材の軸心とが一致しない場合には、油室ブロックがボデ
ーに対して径方向に移動可能なため、油室ブロックに配
設されたロッドの軸心はロッドの径方向位置をガイドす
る部材の軸心に必然的に一致する、したがって、ロッド
の摺動時にロッドが拗れることなく滑らかに摺動するこ
とが可能になる。
【0022】請求項10の発明は、請求項9において、
ピストンは中心部分に薄肉部を有し、油室ブロックの油
路部分がピストンの薄肉部に向かって突出する突出部を
構成したことである。尚、ピストンの薄肉部とは、ピス
トンの軸方向長さよりも肉厚の薄い部分のことである。
【0023】請求項10によると、油室ブロックの端面
で肉厚の必要な油路部分は突出部を構成して充分な肉厚
を確保し、この突出部をピストンの薄肉部に向かって延
在させるので、オートテンショナの軸方向長さは突出部
の軸方向長さに影響されることがなく、オートテンショ
ナ全体の長さを短縮することが可能になる。
【0024】請求項11の発明は、請求項1乃至請求項
7において、第2油室をピストンと油室ブロックの他端
側の円筒状の筒状部とで規定された空間により構成し、
ピストンが筒状部内周を摺動するようにした。
【0025】請求項12の発明は、請求項1乃至請求項
11において、第1弾性部材がロッドの径方向外方に延
在するフランジ部と油室ブロックとの間に配設され、フ
ランジ部及び油室ブロックの少なくとも一方における第
1弾性部材を支持する箇所にテーパ面を形成した。
【0026】請求項12によると、フランジ部及び油室
ブロックの少なくとも一方に第1弾性部材を支持するテ
ーパ面を形成したことにより、油室ブロックに対する第
1弾性部材の中心位置が規定される。これによって第1
弾性部材がロッド、油室ブロック或いはボデーと摺接す
ることを防ぐことが可能になり、耐久性及び信頼性の面
で好適である。
【0027】請求項13の発明は、請求項1乃至請求項
12において、ロッドの第1油室側に油室ブロックの内
周を摺動可能な摺動部材をロッドと別体で配設した。
【0028】請求項13によると、ロッドの往復動時に
は摺動部材が油室ブロックの内周を摺動する。したがっ
て、ロッドの軸方向と垂直な方向に荷重が加わる場合で
あっても、摺動部材にはこの荷重が伝達されないので、
油室ブロックの内周の摩耗が低減され、耐久性の面から
好適である。更に、油室ブロックの内周寸法に合わせて
ロッドの外周寸法を高精度に加工する必要がなくなるの
で、製造上好適である。
【0029】請求項14の発明は、請求項13を具体的
に示すものであり、摺動部材を球体とした。
【0030】請求項14によると、摺動部材が球体であ
るので油室ブロックと球体との間では転がり接触とな
り、球体と油室ブロックとの間の摩耗が更に低減され、
好適である。更に、一般的に球体は円柱状の部材に比べ
て精度良く加工できるので、油室ブロック側の寸法精度
を上げる必要がなくなり、油室ブロックと球体とのクリ
アランスの管理が容易になる。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
して説明する。図1〜図3は本実施の形態のフリーピス
トン型オートテンショナ1の断面図及びその作動を示す
図である。本実施の形態におけるフリーピストン型オー
トテンショナ1は、エンジンのクランク軸(図示省略)
の動力をカム軸(図示省略)に伝達する帯状動力伝達部
材であるタイミングベルトVに常時適正な緊張力を与え
るために用いられており、タイミングベルトVに外周が
係合するアイドラ4を介してタイミングベルトVに張力
を付与している。
【0032】本実施の形態におけるフリーピストン型オ
ートテンショナ1は、円筒状のボデー2と、ボデー2の
軸方向に往復動可能にボデー2内に配設されボデー2か
ら突出してタイミングベルトVを押圧するロッド3と、
ボデー2の内周に形成され、一端側でロッド3を摺動可
能に配設し且つロッド3とともに作動油を貯留する第1
油室7を構成し、他端側でピストン6とともに作動油を
貯留する第2油室8を構成し、第1油室7と第2油室8
とを連通する油路9を有する油室ブロック5と、第1油
室7を形成する油室ブロック5の外周とボデー2の内周
との間に配設されてロッド3をボデー2から突出する方
向に付勢する中空円筒状の第1弾性部材10と、第2油
室8を加圧する方向にピストン6を付勢する円筒状の第
2弾性部材11と、第1油室7と第2油室8の間での作
動油の流動を制御してアイドラ4を移動させる減衰手段
と、を備える。
【0033】ロッド3は径方向外方に延在するフランジ
部3aを有しており、フランジ部3aと油室ブロック5
の間に第1弾性部材10を配設することによって、ロッ
ド3は常にボデー2から突出する方向に付勢される。ま
た、作動油が外部へ漏出するのを防止するためにボデー
2とロッド3の間にシール14が設けられている。更
に、シール14の下部にはロッド3の径方向位置を規制
するためのガイド15が配設されている。
【0034】油室ブロック5はボデー2に対して摺動不
能にボデー2内周に圧入されており、第1油室7と第2
油室8の間を連通可能な油路9と、油路9内に配設され
第2油室8から第1油室7への作動油の流入を許容し第
1油室7から第2油室8への作動油の流入を禁止する逆
止弁12と、ロッド3との摺動隙間13と、により減衰
手段を構成している。尚、摺動隙間13の流路面積は油
路9の流路面積に比べて非常に小さく、第1油室7が高
圧になると摺動隙間13から徐々に作動油が漏出するよ
うになっている。
【0035】ピストン6は、ピストン端面と油室ブロッ
ク5の筒状部5aとで規定された空間により第2油室8
を構成している。本発明の構成ではピストン6をロッド
3の反対側に配設することで、ロッド3がピストン6を
貫通しない構成をとっているので、ピストン6に取付け
られるシールは、油室ブロック5の筒状部5aとの摺動
面に設けられるシールリング16だけでよく、従来のフ
リーピストン型オートテンショナ1に比べてピストン6
に取付けるシールが少なくなり、部品点数が減少してコ
ストを抑えることができる。
【0036】第2弾性部材11の外径は第1弾性部材1
0の内径より小さく設定され、第1弾性部材10と第2
弾性部材11とが軸方向に関して並列に配設される。こ
の構成によりフリーピストン型オートテンショナ1の全
長が短くなる。
【0037】次に、上記したフリーピストン型オートテ
ンショナ1の作動について説明する。
【0038】タイミングベルトVの張力が増大すると、
ロッド3が図2に示す矢印方向に移動して、第1油室7
内の油圧が上昇する。このとき、油路9を介する第1油
室から第2油室への作動油の流通は逆止弁12の作用に
より禁止されているので、第1油室7内の作動油は油室
ブロック5とロッド3の摺動隙間13を通って、シール
14、ボデー2の内周、油室ブロック5、ピストン6に
より規定される内部空間17に徐々に流れ込む。内部空
間17は第2油室8と連通しており、ロッド3が内部空
間17に浸入した分だけピストン6が下降する。これに
よりタイミングベルトVは弛緩し、タイミングベルトV
の張力の増大は緩徐に吸収される。この状態ではロッド
3の位置は図2に示す位置になっている。
【0039】次に、タイミングベルトVの張力が減少す
ると、第1弾性部材10によりロッド3が図3の矢印方
向に押し上げられて、タイミングベルトVの張力の減少
分は敏速に吸収される。ロッド3が押し上げられると第
1油室7内の油圧は第2油室8内の油圧より低くなり、
第2油室8内の作動油は逆止弁12を介して油路9から
第1油室7内に導入される。このとき、ピストン6はス
プリング11に付勢されて内部空間17からロッド3が
退出した分だけ上昇する。この状態ではロッド3の位置
は図1及び図3に示す位置になっている。
【0040】上述した作動によると、タイミングベルト
Vの弛みに対してはアイドラ4の移動が敏速になり、ま
たタイミングベルトVの張りに対してはアイドラ4の移
動が緩徐とされアイドラ4の移動が減衰されて、タイミ
ングベルトVの緊張力が的確に調整される。
【0041】次に、本発明の第2の実施の形態について
説明する。図4は第2の実施の形態におけるフリーピス
トン型オートテンショナ20の断面図である。第2の実
施の形態は第1の実施の形態に対して油室ブロック25
及びピストン26の保持が異なるものであり、それ以外
の構成および作動については第1の実施の形態と同じで
あるので、説明を省略する。
【0042】第2の実施の形態では、ピストン26とボ
デー22の内周面と油室ブロック25の他端側とで規定
された空間により第2油室28を構成し、ピストン26
はボデー22の内周面を摺動している。尚、油室ブロッ
ク25はボデー42内周との接触面から油路29に向か
って複数のスリットが形成されており、このスリットに
よって第1油室から流出した作動油がピストン26と対
向する第2油室に流れ込むように構成されている。この
構成では第1の実施の形態に比べて油室ブロック25が
簡素化され、油室ブロック25の加工工数が減少するも
のである。
【0043】また、第2の実施の形態では油室ブロック
25はボデー22の内周面の径方向に対して移動可能と
なるように、油室ブロック25の外径はボデー22の内
径より小さく構成されている。この構成により、ロッド
23の軸心とガイド24の軸心とが一致しない場合に
は、油室ブロック25がボデー22に対して径方向に移
動可能なため、ロッド23の軸心はガイド24の軸心に
必然的に一致する、これによってロッド23の摺動方向
とボデー22の軸心が平行となり、ロッド23は油室ブ
ロック25に対して滑らかに摺動することができる。
【0044】次に、本発明の第3の実施の形態について
説明する。図5は第3の実施の形態におけるフリーピス
トン型オートテンショナ40の断面図である。第3の実
施の形態は、第2の実施の形態と同様に第1の実施の形
態に対して油室ブロック25及びピストン26の保持が
異なるものであり、第2の実施の形態に対して油室ブロ
ック45の端面側にスリットを形成していない点で異な
るものであり、それ以外の構成および作動については第
2の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
【0045】第3の実施の形態では、油室ブロック45
の端面にはスリットが設けられず、油室ブロック45の
ボデー42内周との接触面のみに複数のスリット45A
が形成されているだけである。このスリット45Aはピ
ストン46の外径よりも径方向内側に形成され、ピスト
ン46と対向する第2油室48と連通する。この構成で
は、油室ブロック45端面には油路49に通じるスリッ
トが設けられていないので、油室ブロック45の軸方向
における肉厚を薄くすることができ、オートテンショナ
40全体の軸方向長さを短縮できる。
【0046】次に、本発明の第4の実施の形態について
説明する。図6は第4の実施の形態におけるフリーピス
トン型オートテンショナ60の断面図である。第4の実
施の形態は、第3の実施の形態に対して油室ブロック及
びピストンの形状が異なるものであり、それ以外の構成
および作動については第3の実施の形態と同じであるの
で、説明を省略する。
【0047】第4の実施の形態では、ピストン66の中
心部分の薄肉部66A、ボデー62の内周面、及び油室
ブロック65により第2油室68が規定され、油室ブロ
ック65の油路69がピストン66の薄肉部66Aに向
かって軸方向に延在している。油室ブロック65は、第
3の実施の形態で示すようにボデー62内周との接触面
に複数のスリット65Aが設けられており、ピストン6
6と対向する第2油室68と連通する。この構成では、
油室ブロック65の端面には油路69に通じるスリット
が設けられておらず、油室ブロック65端面の肉厚を要
する油路69に関しては軸方向に突出部65Bを設けて
厚肉としている。しかしながら、突出部65Bは薄肉部
66Aに延在してピストン66の軸方向と重なっている
ので、突出部65Bを設けたことによりオートテンショ
ナ60全体の長さが長くなることはなく、オートテンシ
ョナ60全体の軸方向長さを短縮できる。
【0048】次に、本発明の第5の実施の形態について
説明する。図7は第5の実施の形態におけるフリーピス
トン型オートテンショナ80の断面図、図8は図7の主
要拡大図である。第5の実施の形態は、第3の実施の形
態に対して逆止弁の構成が異なるものであり、それ以外
の構成および作動については第3の実施の形態と同じで
あるので、説明を省略する。
【0049】第5の実施の形態では、逆止弁92が油室
ブロック85と別体に構成されるシート部材92Aと、
シート部材92Aの着座面92A1に着座可能に配され
るチェックボール92Bと、チェックボール92Bの第
1油室87側に形成されるとともにチェックボール92
Bの移動量を規制するリテーナ92Cとを備えており、
シート部材92Aの外周側寸法(外径)は油室ブロック
85の内周側寸法(内径)より小さく設定されている。
リテーナ92Cには、チェックボール92Bが着座面9
2A1に着座していないときに第1油室87側へ作動油
が流れるように外周部にスリット92C1が形成されて
いる。この構成によると、シート部材92Aと油室ブロ
ック85とが別体で設けられているので、着座面92A
1の加工の寸法精度を確保することができる。また、リ
テーナ92Cを油室ブロック85に圧入することによっ
てシート部材92Aの軸方向端面のシール性が保持さ
れ、且つチェックボール92B及びシート部材92Aは
リテーナ92Cによって第1油室87側への移動が禁止
されているので、シート部材92Aの外径側寸法を油室
ブロック85の内径側寸法より小さくすることができ、
シート部材92Aの外径側寸法を高精度に加工する必要
がなくなって、製造上好適であるとともに、シート部材
92Aの組付けも容易であり、好適である。
【0050】次に、本発明の第6の実施の形態について
説明する。図9は第6の実施の形態におけるフリーピス
トン型オートテンショナ100の断面図である。第6の
実施の形態は、第3の実施の形態に対して第1弾性部材
の支持構造が異なるものであり、それ以外の構成および
作動については第3の実施の形態と同じであるので、説
明を省略する。
【0051】第6の実施の形態では、フランジ部103
a及び油室ブロック105の第1弾性部材110を支持
する箇所にはそれぞれテーパ面103b、105bが形
成され、このテーパ面103b、105bの間に第1弾
性部材110が挟持されることで油室ブロック105に
対する第1弾性部材110の中心位置が規定される。し
たがって、第1弾性部材110がロッド103、油室ブ
ロック105或いはボデー102の内周面と摺接するこ
とを防ぐことが可能になり、耐久性及び信頼性が向上す
る。尚、第1弾性部材110の中心位置を規定するため
のテーパ面103b、105bは、必要に応じてフラン
ジ部103a或いは油室ブロック105のどちらか一方
のみに形成するだけでもよい。
【0052】次に、本発明の第7の実施の形態について
説明する。図10は第7の実施の形態におけるフリーピ
ストン型オートテンショナ120の断面図である。第7
の実施の形態は、第3の実施の形態に対してロッド及び
第1油室の構成が異なるものであり、それ以外の構成お
よび作動については第3の実施の形態と同じであるの
で、説明を省略する。
【0053】第7の実施の形態では、ロッド123の第
1油室127側に油室ブロック125の内周を摺動可能
な摺動部材としての球体138をロッド123と別体に
配設している。球体138はロッド123の端部に対し
て固定されておらず、タイミングベルトVの張力及びス
プリング139によって球体138は常にロッド123
に向けて付勢されて両者が接触した状態になっている。
この構成によると、ロッド123の往復動時にロッド1
23の軸方向と垂直な方向に荷重が加わる場合であって
も、球体138にはこの荷重が伝達されないので、油室
ブロック125の内周の摩耗が低減され、耐久性が向上
する。更に、油室ブロック125の内周寸法に合わせて
ロッド123の外周寸法を高精度に加工する必要がなく
なるので、製造上有利である。また、油室ブロック12
5と球体138との間は転がり接触となり、球体と油室
ブロックとの間の摩耗は可及的に低減される。
【0054】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明は上述した実施の形態に限定される意図は
なく、本発明の主旨に沿った形態のフリーピストン型オ
ートテンショナであれば、どのような形態であってもよ
い。
【0055】
【発明の効果】請求項1によると、ピストンをロッドと
反対側に配設したことによって、ロッドの外周でピスト
ンを摺動させる必要がなくなり、従来の技術に比べてロ
ッドを短縮することが可能になる。また、ピストンの摺
動接触面はピストンの外周面のみであるので、従来のフ
リーピストン型オートテンショナに対してピストンがロ
ッドをシールしなくてもよく、部品点数の減少、低コス
ト化及び信頼性向上の面で好適である。
【0056】請求項2によると、帯状動力伝達部材の張
力の変化に応じてロッドを減衰動作させるので、帯状動
力伝達部材の張力を常時適切に保持することが可能にな
る。
【0057】請求項3によると、シート部材を油室ブロ
ックと別体で設けたので、着座面の加工の寸法精度を確
保することが可能になる。また、油室ブロックとシート
部材とを異なる材料で製造することができ、耐摩耗性を
向上するための熱処理を施すのはシート部材だけでよ
く、油室ブロック全体を熱処理する必要がなくなる。
【0058】請求項4によると、シート部材の外径側寸
法を高精度に加工する必要がなくなり、製造上好適であ
る。
【0059】請求項5によると、第1弾性部材の外径を
ボデー内径まで設定することができるので、第1弾性部
材の付勢力の調整範囲が広くなり、好適である。
【0060】請求項6及び請求項7によると、第1弾性
部材と第2弾性部材とを軸方向に関して並列に配設する
ことができ、オートテンショナ全体の軸方向長さを短く
することができる。
【0061】また、請求項9によると、油室ブロックに
配設されたロッドの軸心とロッドの径方向位置をガイド
する部材の軸心とが一致しない場合には、油室ブロック
がボデーに対して径方向に移動可能なため、油室ブロッ
クに配設されたロッドの軸心はロッドの径方向位置をガ
イドする部材の軸心に必然的に一致する、この為、ロッ
ドの摺動時にロッドが拗れることなく滑らかに摺動する
ことが可能になる。
【0062】請求項10によると、油室ブロックの端面
で肉厚の必要な油路部分は突出部を構成して充分な肉厚
を確保し、この突出部をピストンの薄肉部に向かって延
在させるので、オートテンショナの軸方向長さは突出部
の軸方向長さに影響されることがなく、オートテンショ
ナ全体の長さを短縮することが可能になる。
【0063】請求項12によると、フランジ部及び油室
ブロックの少なくとも一方に第1弾性部材を支持するテ
ーパ面を形成したことにより、油室ブロックに対する第
1弾性部材の中心位置が規定される。これによって第1
弾性部材がロッド、油室ブロック或いはボデーと摺接す
ることを防ぐことが可能になり、耐久性及び信頼性の面
で好適である。
【0064】請求項13によると、ロッドの往復動時に
は摺動部材が油室ブロックの内周を摺動する。したがっ
て、ロッドの軸方向と垂直な方向に荷重が加わる場合で
あっても、摺動部材にはこの荷重が伝達されないので、
油室ブロックの内周の摩耗が低減され、耐久性の面から
好適である。更に、油室ブロックの内周寸法に合わせて
ロッドの外周寸法を高精度に加工する必要がなくなるの
で、製造上好適である。
【0065】請求項14によると、摺動部材が球体であ
るので油室ブロックと球体との間では転がり接触とな
り、球体と油室ブロックとの間の摩耗が更に低減され、
好適である。更に、一般的に球体は円柱状の部材に比べ
て精度良く加工できるので、油室ブロック側の寸法精度
を上げる必要がなくなり、油室ブロックと球体とのクリ
アランスの管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態におけるオートテンシ
ョナの断面図である。
【図2】第1の実施の形態の作動を示す図である。
【図3】第1の実施の形態の作動を示す図である。
【図4】本発明の第2実施の形態におけるオートテンシ
ョナの断面図である。
【図5】本発明の第3実施の形態におけるオートテンシ
ョナの断面図である。
【図6】本発明の第4実施の形態におけるオートテンシ
ョナの断面図である。
【図7】本発明の第5実施の形態におけるオートテンシ
ョナの断面図である。
【図8】図7の主要拡大図である。
【図9】本発明の第4実施の形態におけるオートテンシ
ョナの断面図である。
【図10】本発明の第5実施の形態におけるオートテン
ショナの断面図である。
【図11】従来のオートテンショナの断面図である。
【符号の説明】
1、20、40、60、80、100、120・・・フ
リーピストン型オートテンショナ 2、22、42、62、102・・・ボデー 3、23、83、103、123・・・ロッド 4・・・アイドラ 5、25、45、65、85、105、125・・・油
室ブロック 6、26、46、66・・・ピストン 7、87、127・・・第1油室 8、28、48、68・・・第2油室 9、49、69・・・油路 10、110・・・第1弾性部材 11・・・第
2弾性部材 12、92・・・逆止弁 13・・・摺
動隙間 14・・・シール 15・・・ガ
イド 16・・・シールリング 17・・・内
部空間 138・・・球体(摺動部材) V・・・タイミングベルト(帯状動力伝達部材)

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状動力伝達部材に常時適正な緊張力を
    与えるオートテンショナであって、 円筒状のボデーと、 該ボデーの軸方向に往復動可能にボデー内に配設され、
    前記ボデーから突出してアイドラを介して前記帯状動力
    伝達部材を押圧するロッドと、 前記ボデー内周に形成され、一端側で前記ロッドを介し
    て作動油を貯留する第1油室を構成し、他端側でピスト
    ンとともに作動油を貯留する第2油室を構成し、前記第
    1油室と第2油室とを連通する油路を有する油室ブロッ
    クと、 前記ロッドを前記ボデーから突出する方向に付勢する中
    空円筒状の第1弾性部材と、 前記第2油室を加圧する方向に前記ピストンを付勢する
    円筒状の第2弾性部材と、 前記第1油室と第2油室の間での作動油の流動を制御し
    前記帯状動力伝達部材の張力が低下したときには前記第
    1弾性部材による前記アイドラの推進運動を即座に許容
    させまた前記帯状動力伝達部材の張力が上昇したときに
    は前記第1弾性部材に抗した前記アイドラの後退運動を
    徐々に許容させる減衰手段と、 を備えるフリーピストン型オートテンショナ。
  2. 【請求項2】 前記減衰手段は、油室ブロック内に設け
    られ前記第1油室と第2油室の間を連通可能な油路と、
    該油路内に配設され前記第2油室から第1油室への作動
    油の流入を許容し前記第1油室から第2油室への作動油
    の流入を禁止する逆止弁と、前記第1油室と第2油室の
    間を連通可能な前記油室ブロックの一端側とロッドとの
    摺動隙間と、により構成されることを特徴とする、請求
    項1のフリーピストン型オートテンショナ。
  3. 【請求項3】 前記逆止弁は、前記油室ブロックと別体
    に構成されるシート部材と、該シート部材の着座面に着
    座可能に配されるチェックボールと、該チェックボール
    の前記第1油室側に形成されるとともに前記チェックボ
    ールの移動量を規制するリテーナと、を備えることを特
    徴とする、請求項2のフリーピストン型オートテンショ
    ナ。
  4. 【請求項4】 前記シート部材の外周側寸法は前記油室
    ブロックの内周側寸法より小さいことを特徴とする、請
    求項3のフリーピストン型オートテンショナ。
  5. 【請求項5】 前記第1弾性部材は前記第1油室を形成
    する油室ブロックの外周と前記ボデーの内周との間に配
    設されることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のフ
    リーピストン型オートテンショナ。
  6. 【請求項6】 前記第2弾性部材の外径は前記第1弾性
    部材の内径より小さいことを特徴とする、請求項1乃至
    請求項5のフリーピストン型オートテンショナ。
  7. 【請求項7】 前記第1弾性部材と第2弾性部材とは軸
    方向に関して並列に配設されることを特徴とする、請求
    項6のフリーピストン型オートテンショナ。
  8. 【請求項8】 前記第2油室はピストンとボデー内周面
    と油室ブロックの他端側とで規定された空間により構成
    され、前記ピストンはボデー内周面を摺動することを特
    徴とする、請求項1乃至請求項7のフリーピストン型オ
    ートテンショナ。
  9. 【請求項9】 前記油室ブロックは、ボデー内周面の径
    方向に対して移動可能に配設されることを特徴とする、
    請求項8のフリーピストン型オートテンショナ。
  10. 【請求項10】 前記ピストンは中心部分に薄肉部を有
    し、前記油室ブロックの油路部分が前記ピストンの薄肉
    部に向かって突出する突出部を構成することを特徴とす
    る、請求項9のフリーピストン型オートテンショナ。
  11. 【請求項11】 前記第2油室はピストンと油室ブロッ
    クの他端側の円筒状の筒状部とで規定された空間により
    構成され、前記ピストンは筒状部内周を摺動することを
    特徴とする、請求項1乃至請求項7のフリーピストン型
    オートテンショナ。
  12. 【請求項12】 前記第1弾性部材は前記ロッドの径方
    向外方に延在するフランジ部と前記油室ブロックとの間
    に配設され、前記フランジ部及び油室ブロックの少なく
    とも一方における前記第1弾性部材を支持する箇所には
    テーパ面が形成されることを特徴とする、請求項1乃至
    請求項11のフリーピストン型オートテンショナ。
  13. 【請求項13】 前記ロッドの前記第1油室側には前記
    油室ブロックの内周を摺動可能な摺動部材が前記ロッド
    と別体で配設されていることを特徴とする、請求項1乃
    至請求項12のフリーピストン型オートテンショナ。
  14. 【請求項14】 前記摺動部材は球体であることを特徴
    とする、請求項13のフリーピストン型オートテンショ
    ナ。
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