JP2000211052A - 収縮性積層フィルム - Google Patents

収縮性積層フィルム

Info

Publication number
JP2000211052A
JP2000211052A JP11013203A JP1320399A JP2000211052A JP 2000211052 A JP2000211052 A JP 2000211052A JP 11013203 A JP11013203 A JP 11013203A JP 1320399 A JP1320399 A JP 1320399A JP 2000211052 A JP2000211052 A JP 2000211052A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas barrier
layer
film
thermoplastic resin
resin layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11013203A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4183323B2 (ja
Inventor
Tomoaki Sato
智明 佐藤
Hiroyuki Oba
弘行 大場
Juichi Wakabayashi
寿一 若林
Masayuki Kashimura
雅之 樫村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kureha Corp filed Critical Kureha Corp
Priority to JP01320399A priority Critical patent/JP4183323B2/ja
Publication of JP2000211052A publication Critical patent/JP2000211052A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4183323B2 publication Critical patent/JP4183323B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたガスバリア性を有し、しかも加熱殺菌
処理時にもデラミネーション(層間剥離)の発生を抑制
することが可能な積層フィルムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂層(P)と、該熱可塑性樹
脂層(P)上に配置された有機系ガスバリア性層(G)
との少なくとも2層でガスバリア性積層体を構成し、該
ガスバリア性積層体に、収縮性を有する熱可塑性樹脂層
(S)を導入して収縮性積層フィルムとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素ガスバリア性
と収縮性との双方を有する積層フィルムに関する。本発
明の積層フィルムは、酸素による品質等の劣化、および
他の要素(例えば、細菌等の微生物)による汚染が問題
となる食品等の被包装物の包装に、特に好適に使用可能
である。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活の高度化・食品の多様化、
法規制(リサイクル、PL法)の強化等に起因して、食
品等の被包装物を、より長期にわたって変質や腐敗等を
防止しつつ保存することの必要性が、年々高まりつつあ
る。このような状況に伴い、包装材料に使用されるべき
プラスチックフィルムに対しても、従来と比べて格段に
高いガスバリア性が要求されるようになって来ている。
【0003】従来より、プラスチックフィルムにカスバ
リア性を付与するための積層フィルムに関して、特開平
06−114966号は、透明フィルムの少なくとも片
面に300〜3000Åの金属酸化物の薄膜を設け、次
いで、10〜20μmのポリエチレン樹脂層をエキスト
ルージョンラミネート法にて設けることにより、ポリエ
チレン樹脂層を積層した後でも、ガス遮断性の劣化を抑
制した金属酸化物の蒸着膜を有する蒸着フィルム積層体
の製造方法を開示している。
【0004】また、リサイクルないし廃棄・焼却時等の
問題を少なくするように、金属、金属酸化物のカスバリ
ア性蒸着膜(連続膜)の使用を排除したものとして、特
公平06−86106号(特許1952391号)は、
外層の架橋助剤を含有するポリオレフィン及び中間層の
多官能アクリレートを含むPVDC(ポリ塩化ビニリデ
ン)と内層のポリオレフィン及び接着層の接着性重合体
を、外層/接着剤層/中間層/接着剤層/内層の順に積
層して急冷し、これを電子線照射したインフレーション
法により2軸延伸を行うことにより、中間層PVDCを
架橋し、ガスバリア性を有し、収縮後も透明性を有する
熱収縮性積層フィルムを開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】他方、上記したガスバ
リア性の観点とは別個に、近年、食品等の被包装物を、
より長期にわたって変質や腐敗等を防止しつつ保存する
ために、該被包装物を加熱殺菌処理して、細菌等の微生
物による被包装物の汚染を防止することの必要性が、年
々高まりつつある。このような観点から、ガスバリア性
を有する包装物で包装した被包装物(食品等)を、ボイ
ル処理、レトルト処理等により加熱殺菌処理すること
が、強く要請されるようになって来ている。
【0006】しかしながら、上記した従来のガスバリア
性材料を加熱殺菌処理すると、デラミネーション(層間
剥離)が多く発生する傾向があり、このデラミネーショ
ンが生じると、その剥離箇所によっては所望のガスバリ
ア性が著しく低下することは避け難く、したがって酸素
による被包装物の劣化防止と、微生物による被包装物の
汚染防止とを両立させることは困難であった。更に、デ
ラミネーションの発生によって、商品(包装物および/
又は被包装物)価値は無くなるか、あるいは著しく低減
される場合が多い。
【0007】本発明の目的は、上述した従来技術の欠点
を解消した積層フィルムを提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、優れたガスバリア性
を有し、しかも加熱時にもデラミネーション(層間剥
離)の発生を抑制することが可能な積層フィルムを提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明らは鋭意研究の結
果、熱収縮性が低い(あるいは熱収縮性が無い)有機系
ガスバリア層を含むフィルム構成に、むしろ積極的に
「熱収縮性を有する層」を導入して、積層フィルム構成
全体として熱収縮性を付与することが、上記目的の達成
のために極めて効果的なことを見出した。
【0010】本発明の積層フィルムは上記知見に基づく
ものであり、より詳しくは、熱可塑性樹脂層(P)と、
該熱可塑性樹脂層(P)上に配置された有機系ガスバリ
ア性層(G)との少なくとも2層からなるガスバリア性
積層体と;収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)とを少
なくとも含むことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、必要に応じて図面を参照し
つつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載におい
て量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り
重量基準とする。
【0012】(収縮性積層フィルム)本発明の積層フィ
ルムの層構成の一態様を、図1の模式断面図に示す。図
1を参照して、この態様における積層フィルム1は、熱
収縮性を有する熱可塑性樹脂層11と、ガスバリア性積
層体12とからなる。該ガスバリア性積層体12は、熱
可塑性樹脂層13と、これに隣接する有機系ガスバリア
性層14とからなる。
【0013】安定したガスバリア性と、積層フィルムと
してのデラミネーション抑制とのバランスの点からは、
ガスバリア性積層体12の95℃の熱水中における収縮
率は+3%以下(更には−2%〜+3%、特に−1%〜
+3%)であることが好ましい。なお、上記収縮率にお
ける「マイナス」値は、ガスバリア性積層体が膨張して
いることを示しており、該マイナス値の絶対値が大きい
ものほど、膨張の程度が大である。
【0014】(熱収縮性を有する熱可塑性樹脂層S)熱
収縮性を有する熱可塑性樹脂層11を構成する熱可塑性
樹脂層は特に制限されず、公知の熱収縮性を有する熱可
塑性樹脂から適宜選択して使用することが可能である。
熱収縮性と、積層フィルム全体としてのデラミネーショ
ン抑制とのバランスの点からは、(同じ厚さを有するフ
ィルムとした場合に)95℃の熱水中における収縮率が
50%以下、更には0.5〜50%、特に1〜40%
(更に2〜30%)の熱可塑性樹脂層を用いることが好
ましい。
【0015】また、積層フィルム全体としてのデラミネ
ーション抑制の点からは、(同じ厚さを有するフィルム
とした場合に)95℃の熱水中における収縮応力(X)
が、1〜10MPa(更には4〜8MPa)の熱可塑性
樹脂層を用いることが好ましい。
【0016】上記した収縮率、および収縮応力は、以下
の方法により好適に測定可能である(後述する熱可塑性
樹脂層P、ガスバリア性積層体、収縮性積層フィルム等
についても、同様の方法により収縮率・収縮応力を測定
することが可能である)。
【0017】<収縮率の測定方法>その収縮率を評価す
べき熱可塑性樹脂層と同じ材質、および同じ厚さを有す
るフィルム試料を10cm×10cmの大きさ(浸漬前
の長さ=acm)に切出し、95℃の熱水中に3分間浸
漬する。浸漬後、熱水からフィルム試料を取り出し、浸
漬後のフィルムの長さ(bcm)を室温(25℃)で測
定する。前後のフィルムの長さの変化、{(a−b)/
a}×100(%)の平均値から、上記した収縮率を算
出する。この際、同様の測定を10回行い、その相加平
均を計算するものとする。
【0018】<収縮応力の測定方法>(株)東洋ボール
ドウィン社製のTMI RTM−100型TENSILONを用
いて、95℃の熱水中における収縮応力を測定する。そ
の収縮応力を評価すべき熱可塑性樹脂層と同じ材質、お
よび同じ厚さを有するフィルム試料を、試長30mm、
試幅25mmのサンプル形状とし、該サンプルを熱水中
に浸すための移動速度は500mm/minとする。収
縮応力の測定に際しては、前記サンプルが95℃の熱水
中に漬かり始めてから完全に浸漬された後、1分間が経
過するまでの間の最大収縮力を収縮力として測定する。
このようにして測定された、単位面積(mm2)当たり
の収縮力を、収縮応力とする。
【0019】本発明で使用可能な収縮性を有する熱可塑
性樹脂層(S)としては、より具体的には、延伸ポリア
ミド(ONy)フィルム、延伸ポリエステルフィルム、
延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム等が好ましい。
上記ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ
ート(PEN)などが好ましく、また前記ポリアミドと
しては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、
ナイロン612などが好ましい。
【0020】収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)の厚
さは特に制限されないが、通常は、5〜50μm(更に
は10〜30μm)程度であることが好ましい。(熱可
塑性樹脂層P)
【0021】本発明において、その上に有機系ガスバリ
ア性層(G)を配置すべき熱可塑性樹脂からなる層
(P)を構成する熱可塑性樹脂は特に制限されず、公知
の樹脂から適宜選択して使用することが可能である。
【0022】本発明においては、熱可塑性樹脂層(P)
上に有機系ガスバリア性層(G)を配置ないし形成する
際に、必要に応じて、これらの熱処理を行う場合があ
る。このように熱処理を行う態様においては、熱可塑性
樹脂層Pは熱収縮率が小さい層であることが好ましい。
より具体的には、熱収縮率が10%以下(更には5%以
下、特に3%以下)の熱可塑性樹脂層を用いることが好
ましい。
【0023】このような熱可塑性樹脂の具体例として
は、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレ
ンサルファイド(PPS)などが好適に使用可能であ
る。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)な
どが好ましい。ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイ
ロン66、ナイロン610、ナイロン612などが好ま
しい。
【0024】(有機系ガスバリア性層G)本発明におい
ては、有機系ガスバリア性層(G)が、上記した熱可塑
性樹脂層(P)とともにガスバリア性積層体を構成す
る。本明細書において、「有機系ガスバリア性層」と
は、該ガスバリア性層のガスバリア作用を実質的に担う
材料としての、「無機物からなる連続膜」の使用を排除
する意味で用いる。したがって、本発明において、有機
系ガスバリア性層(G)における種々の特性を補う目的
で、該層に添加される「添加物」としての無機系材料
(ただし、連続膜は除く)の使用は許容される。本発明
の積層フィルムは、金属薄膜からなるガスバリア性層を
使用しないため、食品等の被包装物検査における金属探
知機の使用を阻害しない。
【0025】本発明でその使用が排除される連続膜を構
成する無機物としては、金属および金属酸化物からなる
連続膜(蒸着膜等)が挙げられる。該無機連続膜は、廃
棄・焼却等の際に、これらが実施される設備への負担度
が著しく大きい。
【0026】本発明の積層体を構成する有機系ガスバリ
ア層は、該積層体に好適なガスバリア性を付与する点か
らは、温度20℃、相対湿度80%(80%RH)の条
件下で測定した(2μmの厚さでの)酸素ガス透過度
が、100ml(STP)/m 2・24h・atm以
下、更には50ml(STP)/m2・24h・atm
以下、特に10ml(STP)/m2・24h・atm
以下、最適には1ml(STP)/m2・24h・at
m以下であることが好ましい。
【0027】(酸素透過度)JISK7126B法に準
じ、Modern Contro1社製の酸素透過度測定装置OX−T
RAN2/20型を用い、20℃、80%RHの条件で
測定する。具体的には、基材(支持体;例えばPETフ
ィルム)及び有機系ガスバリア性層で形成された構層体
の酸素透過度(20℃、80%RH)を測定し、以下の
計算式により有機系ガスバリア性層の酸素透過度を算出
する。 1/Ptotal=1/Player 十 1/Psupport Ptotal:基材及び有機系ガスバリア性層で形成された
積層体の酸素透過度 Player:有機系ガスバリア性層の酸素透過度 Psupport:基材の酸素透過度
【0028】(ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー)ポ
リ(メタ)アクリル酸系ポリマーは、カルボキシル基を
1分子内に2個以上含有するポリマーである。ポリ(メ
タ)アクリル酸系ポリマーの具体例としては、例えば、
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタ
クリル酸との共重合体、ポリマレイン酸、或いはこれら
の2種以上の混合物等が挙げられる。
【0029】中でも、アクリル酸のホモポリマー、メタ
アクリル酸のホモポリマー、またはアクリル酸とメタア
クリル酸との共重合体が好適に使用可能である。特に、
アクリル酸のホモポリマー、またはアクリル酸とメタア
クリル酸との共重合体であって、該共重合体を構成する
アクリル酸のモル数がメタアクリル酸のモル数より多い
共重合体が、ガスバリア性の点で特に好適に使用でき
る。
【0030】本発明に使用可能なポリ(メタ)アクリル
酸系ポリマーの分子量は、特に制限されないが、コート
層を形成する際の塗工溶液の塗工性の点からは、数平均
分子量が1×103〜4×106(更には2×103
2.5×105)の範囲のものが好適に使用可能であ
る。
【0031】本発明で使用可能なポリ(メタ)アクリル
酸系ポリマーは、ポリ(メタ)アクリル酸部分中和物で
あってもよい。このようなポリ(メタ)アクリル酸部分
中和物は、前記ポリ(メタ)アクリル酸を適当なアルカ
リ、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のア
ルカリ金属化合物やアンモニア水で適宜中和することに
よって得ることが出来る。ポリ(メタ)アクリル酸部分
中和物の中和度が、0を越え20%以下の場合には、熱
処理条件および両成分(ポリ(メタ)アクリル酸系ポリ
マーと、ポリアルコール系ポリマー)の混合割合を適宜
選択することにより、ガスバリア性に優れたフィルムを
得ることが容易となる。他方、該中和度が20%を越え
る場合には、ガスバリア性が低下する傾向が強まる。し
たがって、ガスバリア性の点からは、ポリ(メタ)アク
リル酸部分中和物の中和度は、通常20%以下、更には
15%以下(特に2〜15%)とすることが好ましい。
ここで「中和度」は以下の式により求められる。 中和度=(A/B)×100(%) A:部分中和されたポリ(メタ)アクリル酸1g中の、
中和されたカルボキシル基のモル数。 B:部分中和されるべき(メタ)アクリル酸1g中の、
部分中和前のカルボキシル基の全モル数。
【0032】上記した「カルボキシル基のモル数」は、
アクリル酸については、アクリル酸のモノマー単位であ
る分子量72g/モルを用いて、アクリル酸系ポリマー
の質量からモル数を求め、メタクリル酸については、メ
タクリル酸のモノマー単位である分子量86g/モルを
用いて、メタクリル酸系ポリマーの重量からモル数を求
めるものとする。
【0033】(ポリアルコール系化合物)ポリアルコー
ル系化合物とは、1分子内に2個以上の水酸基を持つポ
リマーである。このポリアルコール系化合物の具体例と
しては、ポリビニルアルコール、糖類等が挙げられる。
【0034】(ポリビニルアルコール)ポリビニルアル
コールとしては、従来より公知のものを用いることが可
能であるが、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとの組
み合わせにおいて好適な酸素バリア性を発揮する点から
は、ケン化度が通常95%以上であって、平均重合度が
3×102〜2.5×103(更には、3×102〜1.
5×103)の範囲のものが好適に使用可能である。
【0035】(糖類)一方、上記した「糖類」(ないし
糖質類)の具体例としては、単糖類、オリゴ糖類、多糖
類や各種置換体・誘導体が挙げられる。有機系ガスバリ
ア性層を形成するための塗工液調製の容易性の点から
は、これらの糖類は水溶性のものを用いることが好まし
い。
【0036】上記した糖類の各種置換体・誘導体として
は、単糖類、オリゴ糖類、多糖類の還元性末端をアルコ
ール化して得られる糖アルコール類、更に、前記それぞ
れを化学修飾してなるものが挙げられる。ポリビニルア
ルコール同様、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとの
組み合わせにおいて好適な酸素バリア性を発揮する点か
らは、マルトオリゴ糖、水溶性澱粉、それらの糖アルコ
ール、ソルビトール、デキストリン、プルラン等が更に
好適に使用可能である。
【0037】(一価金属塩)本発明においては、必要に
応じて、一価金属塩を使用してもよい。本発明において
使用可能な一価金属塩は、水に可溶な無機酸の金属塩及
び有機酸の金属塩である限り特に限定はされない。金属
としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアル
カリ金属を挙げることができる。一価金属塩の具体例と
しては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、臭化ナトリウム、亜リン酸水素ニナトリウム、リン
酸二水素ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、酢酸
ナトリウム、安息香酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウ
ム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、亜
硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0038】(次亜リン酸塩)本発明で使用可能な次亜
リン酸塩としては、陰イオンが次亜リン酸からなる水に
可溶な金属塩であれば特に限定はされない。金属として
は、例えば、リチウム。ナトリウム、カリウムなどのア
ルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属などが
挙げられる。次亜リン酸塩の好ましい例としては、次亜
リン酸ナトリウム及び次亜リン酸カルシウムが挙げられ
る。なお、次亜リン酸塩が次亜リン酸ナトリウムのよう
な一価金属塩である場合には、前記一価金属塩と重複す
るが、一価金属塩の中でも次亜リン酸塩は、幅広い添加
割合で有機系ガスバリア性層に好適な酸素カスバリア性
を付与することができる。
【0039】また、次亜リン酸塩の場合には、一価金属
塩に限定されず、次亜リン酸カルシウムなどの二価金属
塩であっても、有機系ガスバリア性層に好適な酸素カス
バリア性を付与することができる。
【0040】(有機系ガスバリア性層の混合割合)上記
したポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー(A)とポリア
ルコール系化合物(B)との混合割合(A:B)は、酸
素カスバリア性の点からは、重量比で90:10〜1
0:90(更には90:10〜20:80、特に90:
10〜40:60)であることが好ましい。一価金属塩
は、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、1×1
-5〜2×10-3mol/g(更には1×10-4〜1.
5×10-3mol/g)の範囲内で添加することが好ま
しい。
【0041】次亜リン酸塩は、(A)成分と(B)成分
の合計量に対して、1×10-5〜3×10-3mol/g
(更には1×10-5〜2×10-3mol/g、特に5×
10 -4〜1.4×10-3mol/g)の範囲内で添加す
ることが好ましい。
【0042】(有機系ガスバリア性層の形成方法)本発
明では、例えば、上記(A)成分と(B)成分とを含有
する混合物から塗工層を形成し、該塗工層を100℃
(373K)以上の温度で熱処理することにより、所望
のガスバリア性を有する有機系ガスバリア性層を形成す
ることができる。
【0043】(塗工液)本発明において、上記した熱可
塑性樹脂層(P)上に有機系ガスバリア性層(G)を形
成するための塗工液は、(メタ)アクリル酸系ポリマー
(A)と、ポリアルコール系化合物(B)と、溶媒とを
少なくとも含む溶液ないし分散液である。これらの溶液
または分散液は、溶液、懸濁液、コロイドあるいはラテ
ックス等の種々の形態で使用することができる。塗工液
濃度の安定性の点からは、上記溶媒は、水系媒体(すな
わち、塗工液は水系溶液または水系分散液)であること
が好ましい(本明細書中の塗工液の各成分の詳細につい
ては、例えば、特開平8−41218号公報を参照する
ことができる)。
【0044】上記(A)成分と(B)成分との混合物
は、相溶性に優れており、任意の混合割合において、例
えば、水溶液にした場合に均−な混合溶液を得ることが
できる。
【0045】(一価金属塩及び次亜リン酸塩も水溶性で
ある)。これらの混合物から有機系ガスバリア性層を作
成するには、通常、該混合物の水溶液をガラス板やプラ
スチックフィルムなどの支持体上に流延し、乾燥して皮
膜を形成させる方法(溶液流延法;コーターによる塗布
法をも包含する)等が使用可能である。溶液流延法は、
透明性に優れた乾燥皮膜を容易に得ることができるため
好ましい。
【0046】溶液流延法では、固形分温度は、通常、1
〜30重量%程度とすることが好ましい。水溶液を調製
する場合、所望によりアルコールなどの水以外の溶剤や
柔軟剤、熱安定剤等を適宜添加してもよい。
【0047】(添加剤)上記したように、本発明におい
て用いる塗工液は、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー
と、ポリアルコール系化合物とを少なくとも含むが、必
要に応じて、その他の添加剤を更に含有していてもよ
い。このような添加剤としては、例えば、熱安定剤、紫
外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤(染料ないし顔
料)、無機塩等の公知の添加剤が挙げられる。該無機塩
としては、例えば、次亜リン酸ナトリウム等を添加する
ことが特に好ましい。該無機塩の添加量は、ポリ(メ
タ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系化合物
との合計量(100重量部)に対して、20重量部以下
であることが好ましい。
【0048】各成分の混合物溶液からフィルムを作成す
るには、混合物溶液を、例えば、エアーナイフゴータ
ー、キスロールゴーター、メタリングバーコーター、グ
ラビアロールコーター、リパースロールコーター、ディ
ップコーター、ダイコーターなどの装置、あるいは、そ
れらを組み合わせた装置を用いて、基材上に、所望の厚
さにコーティングし、次いで、アーチドライヤー、スト
レートパスドライヤー、タワードライヤー、ドラムドラ
イヤーなどの装置、あるいは。それらを組み合わせた装
置を用いて、熱風の吹き付けや赤外線照射などにより水
分を蒸発させて乾燥させ、皮膜を形成させればよい。そ
の後、必要に応じて乾燥皮膜を熱処理することができ
る。
【0049】また、T−ダイ方式の押出機により熱可塑
性樹脂層(P)を形成し、該層(P)を延伸、熱処理す
る工程中に、ガスバリア性層(G)をコーティングす
る、いわゆるインラインコート方式で得られる積層フィ
ルムを使用することもできる。
【0050】(コート層の熱処理)本発明において、コ
ート層の被コーティングフィルムへの熱固定、および該
コート層自体の熱処理(ガスバリア性の付与)の目的で
熱処理する際の熱処理条件は、これらの処理を実質的に
妨げない条件である限り、特に制限されない。通常は、
温度が、100〜380℃、更には150〜300℃
(特に、220〜260℃)程度;熱処理時間が1秒〜
10分(更には2秒〜5分)程度であることが好まし
い。
【0051】このようにして熱処理されたコート層に
は、好適な耐水性が付与される。より具体的には、熱処
理されたコート層約12を80℃の水500cm3中に
投入し、10分間浸漬した後、不溶分を回収し、乾燥し
た場合に、浸漬する前のコート層の重量の80重量%以
上(更には85重量%以上)が、不溶分として回収され
ることが好ましい。
【0052】(各層の厚さ)本発明のコーティングフィ
ルムを構成する各層の厚さは、該フィルムに付与すべき
各種の物性(例えば、ガスバリア性、強度、シール
性)、ないし各層の材料に応じて適宜選択することが可
能であるが、通常は、下記のような厚さであることが好
ましい。 熱可塑性樹脂層(P):3〜40μm(更には5〜30
μm) 有機系ガスバリア性層(G):0.1〜30μm(更に
は0.1〜10μm) 収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S):5〜50μm
(更には10〜30μm)
【0053】(酸素ガス透過度)本発明の製法により得
られるフィルムの酸素ガス透過度は、100cm3/m2
・24h・atm以下、更には50cm3/m2・24h
・atm以下、特に10cm3/m2・24h・atm以
下(最適には5cm3/m2・24h・atm以下)であ
ることが好ましい。
【0054】(収縮性積層フィルムの収縮率)本発明の
収縮性積層フィルム(例えば、図1の態様)の収縮率
は、0を越え5%まで、更には0.1〜5%(特に0.
5〜3%)であることが好ましい。本発明の収縮性積層
フィルムは、安定したバリア性を維持する点からは、レ
トルト処理後においてもデラミネーションが無く、且
つ、0.1〜15%(更には0.5〜10%)の収縮率
を示すことが好ましい。
【0055】<レトルト処理後の収縮率の測定方法>市
販のレトルト処理装置(日阪製作所製、商品名:フレー
バーエース)を用いて、測定対象たる積層フィルム(大
きさ:10cm×10cm)を125℃、20分の条件
でレトルト処理する。該レトルト処理後の積層フィルム
について、前述した「収縮率の測定方法」と同様の方法
により、95℃の熱水中における収縮率を測定する。
【0056】<レトルト処理後のデラミネーションの有
無>上記と同様にレトルト処理した後の積層フィルム
(収縮前の大きさ:10cm×10cm)において、目
視でデラミネーションの有無を確認する。この際、デラ
ミネーションの発生の有無は、積層フィルムが各構成フ
ィルムに分離しているか否かで容易に確認することがで
きる。
【0057】(収縮性積層フィルムの収縮力)本発明の
収縮性積層フィルムにおいて、デラミネーションをでき
る限り抑制する点からは、以下の関係が成立するよう
に、収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)、ガスバリア
性積層体(G+P)を選択することが好ましい。 |(X−Y)−Z|≦500
【0058】上記式中、Xは、収縮性を有する熱可塑性
樹脂層(S)の収縮力(g/25mm巾)を、Yはガス
バリア性積層体(G+P)の反発力(g/25mm巾)
を、Zは収縮性積層フィルム(E)の収縮力(g/25
mm巾)を表す。ここで、反発力(g/25mm巾)Y
は、フィルムの引張り弾性率の大きさから、25mm巾
当りの力に換算した値である。
【0059】<引張り弾性率の測定方法>JIS K
7127に規定される弾性率(引張り割線弾性率=引張
応力−ひずみ曲線間で規定された引張応力とひずみの
比)測定方法に基づいて測定する。この際の測定条件
は、以下の通りである。
【0060】(株)東洋ボールドウィン社製のTMI
RTM−100型TENSILONを用いて、95℃の熱水中に
おける引張り弾性率を測定する。試長30mm、試幅2
0mmの短冊状の試料とし、95℃の熱水中に1分間浸
漬後、引張速度5mm/分で測定し、伸度1%における
引張割線弾性率(1% Secant Modulus)を求める。
【0061】(収縮率の関係)ガスバリア性積層体(G
+P)の95℃における熱水収縮率R(G+P)に対する収
縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)の95℃における熱
水収縮率R(S)の比|R(G+P)/R(S)|は、1以下(更
には0.5以下)程度であることが好ましい。
【0062】(他の層構成)本発明の積層フィルム1
は、図2の模式断面図に示すような層構成とすることも
可能である。この図2の態様における積層フィルム1
は、熱収縮性を有する熱可塑性樹脂層11が、ガスバリ
ア性積層体12の有機系ガスバリア性層14側に配置さ
れてなる。
【0063】また、図3の模式断面図に示すように、図
1の態様の熱収縮性を有する熱可塑性樹脂層11と、ガ
スバリア性積層体12との間に、必要に応じて、接着剤
層2を配置してもよい。該接着剤層2を構成する材料と
しては、例えば、ウレタン系、チタネート系、イミン
系、ブタジエン系、オレフィン系、アクリル系、EVA
系等が挙げられる。また、該接着剤層2の厚さは、0.
5〜50μm(更には1〜30μm)が好ましい。
【0064】また、図4の模式断面図に示すように、収
縮性を有する熱可塑性樹脂層11と、上記のガスバリア
性積層体12と、さらに、ポリオレフィン系フィルム3
とを含む積層フィルムの態様としてもよい。
【0065】この態様におけるポリオレフィン系フィル
ム3は、低密度ポリエチレン(VLDPE,LLDP
E,LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高
密度ポリエチレン(HDPE)、ポリピロピレン(P
P)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹
脂、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アク
リル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共
重合体、等から、少なくとも1種類以上選ばれる重合体
からなることが好ましい。また、必要に応じて、所謂イ
ージーピール性(易剥離性)を付与するため、定法のマ
レイン酸変性ポリオレフィン等を付与してもよい。
【0066】このような図4の態様の収縮性積層フィル
ムの収縮率は、0.1〜5%(更には0.5〜3%)で
あることが好ましい。
【0067】このような図4の態様の収縮性積層フィル
ムは、収縮により内容物(食品)との空隙を無くすこと
ができ、美観を向上させることが可能な点から、食品を
密着させて包装する用途に特に好適に使用可能である。
【0068】(蓋材用途に好適な構成)本発明の積層フ
ィルムは、図5の模式断面図に示すように、収縮性を有
する熱可塑性樹脂層11の片面(必要に応じて、両面)
に接着剤層2を介して、ガスバリア性積層体12を配
し、さらに、熱可塑性樹脂層11の反対側に、接着剤層
2aを介してポリオレフィン系フィルム3または、ポリ
エステル系フィルム4を配置してもよい。
【0069】このような態様で使用可能なポリオレフィ
ン系フィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン
(VLDPE,LLDPE,LDPE)、中密度ポリエ
チレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDP
E)、ポリピロピレン(PP)、エチレン・酢酸ビニル
共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・メタクリル酸
共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチ
レン・アクリル酸エチル共重合体、等から、少なくとも
1種類以上選ばれる重合体が挙げられる。また、所謂イ
ージーピール性(易剥離性)を付与するため、この接着
剤層に定法(公知)のマレイン酸変性ポリオレフィン等
を使用ないし添加することも可能である。
【0070】また、このような態様で使用可能なポリエ
ステル系フィルムとしては、ヒートシール可能なポリエ
チレンテレフタレート(PET)からなる重合体を含
み、必要に応じて、ポリカーボネート(PC)、ポリエ
チレン(PE)等から選ばれる重合体からなる積層体等
が挙げられる。
【0071】このような図5の態様の収縮性積層フィル
ムの収縮率は、0.1〜5%(更には0.5〜3%)で
あることが好ましい。このような図5の態様の収縮性積
層フィルムは、収縮によるフィルムの「張り」が美観を
向上させるという点から、食品包装用容器の蓋として特
に好適に使用可能である。
【0072】(ケーシング、ピロー袋等に好適な構成)
本発明の積層フィルムは、図6の模式断面図に示すよう
に、ガスバリア性積層体12の片面(必要に応じて、両
面)に接着剤層(2ないし2a)を介して、収縮性を有
する熱可塑性樹脂層11を配置してもよい。このような
態様の収縮性積層フィルムの収縮率は、0.1〜5%
(更には0.5〜3%)であることが好ましい。
【0073】このような図6の態様の収縮性積層フィル
ムは、いわゆるピロー形態の製袋機を用いて、最内層と
最外層、または、最内層と最内層を融着させて、食品を
包装する用途に、特に好適に使用可能である。以下、実
施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0074】
【実施例】以下の実施例において、収縮率、収縮応力、
弾性率および酸素ガス透過度は、それぞれ上述した方法
により測定した。
【0075】実施例1 (ガスバリア性フィルムの形成)ポリアクリル酸(PA
A)として、和光純薬工業(株)製のPAA(固形分2
5%、8〜12Pa・s(30℃)、数平均分子量15
×104)を水で希釈し、10重量%(固形分10%)
の水溶液に調製した。この液に、PAAのカルボキシル
基のモル数に対して、中和度が10%となるように水酸
化ナトリウムを添加し、10重量%のPAA部分中和物
(PAANa)水溶液を調製した。一方、糖類(ポリア
ルコール系化合物)として、和光純薬工業(株)製の可
溶性澱粉を用い、この10重量%水溶液を調製した。
【0076】上記のPAANa水溶液と可溶性澱粉水溶
液を、固形分比70:30となるように混合し、混合物
の10重量%水溶液を調製した。この水溶液を、熱可塑
性樹脂層13たるPETフィルム(厚み12μm)上に
塗工し、ドライヤーを用いて水を蒸発させ、乾燥皮膜層
(厚み1μm;有機系ガスバリア性層14)を形成し
た。この乾燥皮膜層が形成されたPETフィルムを23
0℃の熱風で1分間熱処理した。
【0077】(積層フィルムの形成)このようにして得
られた、ガスバリア性フィルムのPET面に、95℃の
熱水中における収縮率が22%、その際の収縮応力が5
MPaである、ONyフィルム(厚み15μm;収縮性
の熱可塑性樹脂層11)を、接着剤(東洋モートン社
製、主剤:AD−590、硬化剤:CAT−56)層2
を介してドライラミネートした。
【0078】さらに、ONyフィルム面に同様な方法
で、ポリオレフィン系フィルム3としてCPPフィルム
(厚み35μm;未延伸ポリプロピレンフィルム)をド
ライラミネートして、図5に示した層構成を有する積層
フィルムを作成した。このようにして得られた積層フィ
ルムの95℃の熱水中における収縮率は0.5%であっ
た。
【0079】(レトルト処理)市販のレトルト処理装置
(日阪製作所製、商品名:フレーバーエース)を用い
て、上記で得られた積層フィルムを125℃、20分の
条件でレトルト処理した。このレトルト処理後の積層フ
ィルムにおいても、目視でデラミネーションは認められ
なかった(デラミネーションの発生の有無は、レトルト
処理後の積層フィルムが、各構成フィルムに剥離してし
まっているか否かで判断した)。該レトルト処理後の積
層フィルムの95℃の熱水中における収縮率は1.0%
であった。
【0080】実施例2 (容器の形成)呉羽化学工業株式会社製の多層シート
(商品名:マルチエース;厚み800μm)を用いて、
100mmφ(直径)×30mm(高さ)のフランジ付
多層容器を成形した。
【0081】(密封容器の作成)上記フランジ付多層容
器の中に水を充填し、そのフランジ部に、実施例1で得
られた積層フィルムをかぶせ、市販の装置(テスター産
業(株)製、商品名:リングシールテスター)を用いて
ヒートシール(温度200℃、圧力2kgf/cm2
1秒間)した。 (レトルト処理)
【0082】上記密封容器を、125℃、20分の条件
で、レトルト処理した。該レトルト処理により容器部分
が微収縮したが、該容器にかぶせられた積層フィルムの
微収縮が同時に発現するため、該積層フィルムが「張
り」が有って「見栄え」が良い容器蓋材となった。
【0083】実施例3 (ガスバリア性フィルムの形成)実施例1と同様に、P
AANaと可溶性澱粉との混合物水溶液を調製した。
【0084】得られた水溶液を、PETフィルム(厚み
6μm)上に塗工し、ドライヤーを用いて水を蒸発さ
せ、乾燥皮膜層(厚み1μm)を得た。この乾燥皮膜層
が形成されたPETフィルムを215℃の熱風で80秒
間熱処理した。
【0085】(積層フィルムの形成)このようにして得
られた、ガスバリア性フィルムのPET面に、実施例1
と同様のONyフィルムを、実施例1と同様の接着剤層
を介してドライラミネートした。さらに、ONyフィル
ム面に実施例1と同様の方法で、CPPフィルム(厚み
35μm)をドライラミネートし、95℃の熱水中にお
ける収縮率が1.0%である積層フィルムを作成した。
【0086】(レトルト処理)上記積層フィルムを、1
25℃、20分の条件でレトルト処理したところ、この
レトルト処理後の積層フィルムにおいても、目視でデラ
ミネーションは認められなかった。該レトルト処理後の
積層フィルムの95℃の熱水中における収縮率は3.5
%であった。
【0087】実施例4 (ガスバリア性フィルムの形成)実施例1と同様に、P
AANaと可溶性澱粉との混合物水溶液を調製した。
【0088】実施例1と同様の方法で、得られた水溶液
を、PETフィルム(厚み6μm)上に塗工し、ドライ
ヤーを用いて水を蒸発させ、乾燥皮膜層(厚み1μm)
を得た。この乾燥皮膜層が形成されたPETフィルムを
215℃の熱風で40秒間熱処理した。
【0089】(積層フィルムの形成)このようにして得
られた、ガスバリア性フィルムのPET面に、実施例1
と同様のONyフィルムを、実施例1と同様の接着剤層
を介してドライラミネートした。さらに、ONyフィル
ム面に実施例1と同様の方法で、CPPフィルム(厚み
35μm)をドライラミネートし、95℃の熱水中にお
ける収縮率が1.5%である積層フィルムを作成した。
【0090】(レトルト処理)上記積層フィルムを、1
25℃、20分の条件でレトルト処理したところ、この
レトルト処理後の積層フィルムにおいても、目視でデラ
ミネーションは認められなかった。該レトルト処理後の
積層フィルムの95℃の熱水中における収縮率は5.0
%であった。
【0091】比較例1 (ガスバリア性フィルムの形成)実施例1と同様に、ガ
スバリア性フィルムを形成した。
【0092】(積層フィルムの形成)このようにして得
られた、ガスバリア性フィルムのPET面に、95℃の
熱水中における収縮率が0%、その際の収縮応力が0M
Paである、ONyフィルム(厚み15μm)を、実施
例1と同様の接着剤層を介してドライラミネートした。
さらに、ONyフィルム面に実施例1と同様の方法で、
CPPフィルム(厚み35μm)をドライラミネート
し、95℃の熱水中における収縮率が0%である積層フ
ィルムを作成した。
【0093】(レトルト処理)上記積層フィルムを、1
25℃、20分の条件でレトルト処理した結果、デラミ
ネーションは起きなかったが、収縮挙動も得られなかっ
た。
【0094】比較例2 (容器の形成)実施例2と同様のフランジ付多層容器を
成形した。
【0095】(密封容器の作成)上記フランジ付多層容
器の中に水を充填し、そのフランジ部に、比較例1で得
られた積層フィルムをかぶせ、実施例2と同様にヒート
シールした。
【0096】(レトルト処理)上記密封容器を、実施例
2と同様にレトルト処理したところ、容器部分は微収縮
したが、積層フィルムは全く収縮しなかった。この結
果、「張り」が無く、「見栄え」の悪い容器蓋材となっ
た。
【0097】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、熱可塑
性樹脂層(P)と、該熱可塑性樹脂層(P)上に配置さ
れた有機系ガスバリア性層(G)との少なくとも2層か
らなるガスバリア性積層体と;収縮性を有する熱可塑性
樹脂層(S)とを少なくとも含むことを特徴とする収縮
性積層フィルムが提供される。
【0098】上記構成を有する本発明の積層フィルム
は、優れたガスバリア性を有し、しかも加熱時された場
合にもデラミネーション(層間剥離)の発生を抑制する
という優れた特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の収縮性積層フィルムの基本的な層構成
の態様を示す模式断面図である。
【図2】収縮性の熱可塑性樹脂層11を図1と反対側に
配置してなる、本発明の収縮性積層フィルムの層構成の
他の態様を示す模式断面図である。
【図3】図1の収縮性の熱可塑性樹脂層11上にポリオ
レフィン層3を配置してなる、本発明の収縮性積層フィ
ルムの層構成の他の態様を示す模式断面図である。
【図4】図1の有機系ガスバリア層14上に接着層2を
配置してなる、本発明の収縮性積層フィルムの層構成の
他の態様を示す模式断面図である。
【図5】図3の収縮性の熱可塑性樹脂層11側に、更に
接着層2およびポリオレフィン層3を配置してなる、本
発明の収縮性積層フィルムの層構成の他の態様を示す模
式断面図である。
【図6】図3の有機系ガスバリア層14上に、更に接着
層2および収縮性の熱可塑性樹脂層11を配置してな
る、本発明の収縮性積層フィルムの層構成の他の態様を
示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…収縮性積層フィルム、2…接着層、3…ポリオレフ
ィン層、11…熱収縮性樹脂層、12…ガスバリア性積
層体、13…熱可塑性樹脂層、14…有機系ガスバリア
性層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 65/40 B65D 65/40 D C08L 29/04 C08L 29/04 C 33/08 33/08 33/10 33/10 (72)発明者 若林 寿一 茨城県新治郡玉里村大字上玉里18−13 呉 羽化学工業株式会社樹脂加工技術センター 内 (72)発明者 樫村 雅之 茨城県新治郡玉里村大字上玉里18−13 呉 羽化学工業株式会社樹脂加工技術センター 内 Fターム(参考) 3E086 BA15 BA24 BA29 BB01 BB22 BB67 CA01 4F100 AJ07 AJ07B AK01A AK01C AK25 AK25B AK42 AK46 AK46C AK69B AL05B AT00A BA03 BA07 BA10A BA10B BA10C CC01 GB15 JA03 JA03C JB16A JB16C JD02 JD02B JK01 JK01C YY00C 4J002 AB00X BE02X BG04W BG05W GF00 GG02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂層(P)と、該熱可塑性樹
    脂層(P)上に配置された有機系ガスバリア性層(G)
    との少なくとも2層からなるガスバリア性積層体と;収
    縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)とを少なくとも含む
    ことを特徴とする収縮性積層フィルム。
  2. 【請求項2】 前記有機系ガスバリア性層(G)が、ポ
    リ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコール系化
    合物とを含有する混合物からなる請求項1記載の収縮性
    積層フィルム。
  3. 【請求項3】 前記ポリアルコール系化合物が、糖類ま
    たはポリビニルアルコールのいずれかである請求項1ま
    たは2記載の収縮性積層フィルム。
  4. 【請求項4】 前記収縮性熱可塑性樹脂層(S)の収縮
    率が0.5〜50%である請求項1〜3のいずれかに記
    載の収縮性積層フィルム。
  5. 【請求項5】 前記収縮性熱可塑性樹脂層(S)の収縮
    応力が1〜10MPaである請求項1〜4のいずれかに
    記載の収縮性積層フィルム。
  6. 【請求項6】 前記ガスバリア性積層体の弾性率が3〜
    6MPaである請求項1〜5のいずれかに記載の収縮性
    積層フィルム。
JP01320399A 1999-01-21 1999-01-21 収縮性積層フィルム Expired - Fee Related JP4183323B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01320399A JP4183323B2 (ja) 1999-01-21 1999-01-21 収縮性積層フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01320399A JP4183323B2 (ja) 1999-01-21 1999-01-21 収縮性積層フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000211052A true JP2000211052A (ja) 2000-08-02
JP4183323B2 JP4183323B2 (ja) 2008-11-19

Family

ID=11826608

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP01320399A Expired - Fee Related JP4183323B2 (ja) 1999-01-21 1999-01-21 収縮性積層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4183323B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002067237A (ja) * 2000-08-24 2002-03-05 Kureha Chem Ind Co Ltd 透明積層フィルム及び包装容器
JP2002236212A (ja) * 2001-02-08 2002-08-23 Nitto Denko Corp 偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
JP2019214418A (ja) * 2018-06-14 2019-12-19 共同印刷株式会社 ブリスターパック用蓋材

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002067237A (ja) * 2000-08-24 2002-03-05 Kureha Chem Ind Co Ltd 透明積層フィルム及び包装容器
JP4649023B2 (ja) * 2000-08-24 2011-03-09 株式会社クレハ 透明積層フィルム及び包装容器
JP2002236212A (ja) * 2001-02-08 2002-08-23 Nitto Denko Corp 偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
JP2019214418A (ja) * 2018-06-14 2019-12-19 共同印刷株式会社 ブリスターパック用蓋材
WO2019239871A1 (ja) * 2018-06-14 2019-12-19 共同印刷株式会社 ブリスターパック用蓋材
JP7105625B2 (ja) 2018-06-14 2022-07-25 共同印刷株式会社 ブリスターパック用蓋材

Also Published As

Publication number Publication date
JP4183323B2 (ja) 2008-11-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5156161B2 (ja) 少なくとも1つのポリマー/ナノクレイ複合層を含む多層樹脂/紙ラミネート構造体およびそれによって製造されたパッケージング材料
EP1697129B1 (en) Thermoformable polyester-containing laminates
JP2601474B2 (ja) 良好な接着性をもつ多層フイルム
US20040043238A1 (en) Packaging film, package and process for aseptic packaging
EP1391295B1 (en) Packaging film, package and process for aseptic packaging
EP2730403A1 (en) Printed films for packaging and packages obtained therefrom.
US7029734B1 (en) Packaging film, package and process for aseptic packaging
JP3484891B2 (ja) ガスバリア性オレフィン系樹脂積層体
JP4816883B2 (ja) 包装袋
JP4441270B2 (ja) 包装体の熱処理方法
US20160067950A1 (en) Packaging Film and Packaging Process
JP2003305817A (ja) 多層フィルムまたはシート
CA2473117A1 (en) Composite material for light-, gas- and liquid-tight heat-sealing packagings
JP2000211052A (ja) 収縮性積層フィルム
JP2022501210A (ja) 包装用超疎水性熱可塑性フィルム及びそれから製造されるパッケージ
JP4979048B2 (ja) バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JPS5824451A (ja) 包装体の製造方法
JP5428190B2 (ja) 包装用フィルムおよび包装体
JP2002052662A (ja) 漬物包装用積層フィルム、それからなる袋、及び漬物を充填した包装体
JP2024021358A (ja) 底テープの選定方法、底テープの評価方法及び自立性包装袋
US20040132600A1 (en) Method for manufacturing a packaging laminate
JP2024015769A (ja) 包装袋及び底テープ用積層フィルム
JP2001018340A (ja) 真空包装用フィルム
JP2002283519A (ja) 加熱殺菌食品包装用積層フィルム
JP2000272666A (ja) 包装体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051118

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080514

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080520

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080717

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080826

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080902

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110912

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110912

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110912

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120912

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120912

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130912

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees