JP4183323B2 - 収縮性積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素ガスバリア性と収縮性との双方を有する積層フィルムに関する。本発明の積層フィルムは、酸素による品質等の劣化、および他の要素(例えば、細菌等の微生物)による汚染が問題となる食品等の被包装物の包装に、特に好適に使用可能である。
【0002】
【従来の技術】
近年、食生活の高度化・食品の多様化、法規制(リサイクル、PL法)の強化等に起因して、食品等の被包装物を、より長期にわたって変質や腐敗等を防止しつつ保存することの必要性が、年々高まりつつある。このような状況に伴い、包装材料に使用されるべきプラスチックフィルムに対しても、従来と比べて格段に高いガスバリア性が要求されるようになって来ている。
【0003】
従来より、プラスチックフィルムにカスバリア性を付与するための積層フィルムに関して、特開平06−114966号は、透明フィルムの少なくとも片面に300〜3000Åの金属酸化物の薄膜を設け、次いで、10〜20μmのポリエチレン樹脂層をエキストルージョンラミネート法にて設けることにより、ポリエチレン樹脂層を積層した後でも、ガス遮断性の劣化を抑制した金属酸化物の蒸着膜を有する蒸着フィルム積層体の製造方法を開示している。
【0004】
また、リサイクルないし廃棄・焼却時等の問題を少なくするように、金属、金属酸化物のカスバリア性蒸着膜(連続膜)の使用を排除したものとして、特公平06−86106号(特許1952391号)は、外層の架橋助剤を含有するポリオレフィン及び中間層の多官能アクリレートを含むPVDC(ポリ塩化ビニリデン)と内層のポリオレフィン及び接着層の接着性重合体を、外層/接着剤層/中間層/接着剤層/内層の順に積層して急冷し、これを電子線照射したインフレーション法により2軸延伸を行うことにより、中間層PVDCを架橋し、ガスバリア性を有し、収縮後も透明性を有する熱収縮性積層フィルムを開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
他方、上記したガスバリア性の観点とは別個に、近年、食品等の被包装物を、より長期にわたって変質や腐敗等を防止しつつ保存するために、該被包装物を加熱殺菌処理して、細菌等の微生物による被包装物の汚染を防止することの必要性が、年々高まりつつある。このような観点から、ガスバリア性を有する包装物で包装した被包装物(食品等)を、ボイル処理、レトルト処理等により加熱殺菌処理することが、強く要請されるようになって来ている。
【0006】
しかしながら、上記した従来のガスバリア性材料を加熱殺菌処理すると、デラミネーション(層間剥離)が多く発生する傾向があり、このデラミネーションが生じると、その剥離箇所によっては所望のガスバリア性が著しく低下することは避け難く、したがって酸素による被包装物の劣化防止と、微生物による被包装物の汚染防止とを両立させることは困難であった。更に、デラミネーションの発生によって、商品(包装物および/又は被包装物)価値は無くなるか、あるいは著しく低減される場合が多い。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消した積層フィルムを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、優れたガスバリア性を有し、しかも加熱時にもデラミネーション(層間剥離)の発生を抑制することが可能な積層フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明らは鋭意研究の結果、熱収縮性が低い(あるいは熱収縮性が無い)有機系ガスバリア層を含むフィルム構成に、むしろ積極的に「熱収縮性を有する層」を導入して、積層フィルム構成全体として熱収縮性を付与することが、上記目的の達成のために極めて効果的なことを見出した。
【0010】
本発明の積層フィルムは上記知見に基づくものであり、より詳しくは、熱可塑性樹脂層(P)と、該熱可塑性樹脂層(P)上に配置された有機系ガスバリア性層(G)との少なくとも2層からなるガスバリア性積層体と;収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)とを少なくとも含むことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準とする。
【0012】
(収縮性積層フィルム)
本発明の積層フィルムの層構成の一態様を、図1の模式断面図に示す。図1を参照して、この態様における積層フィルム1は、熱収縮性を有する熱可塑性樹脂層11と、ガスバリア性積層体12とからなる。該ガスバリア性積層体12は、熱可塑性樹脂層13と、これに隣接する有機系ガスバリア性層14とからなる。
【0013】
安定したガスバリア性と、積層フィルムとしてのデラミネーション抑制とのバランスの点からは、ガスバリア性積層体12の95℃の熱水中における収縮率は+3%以下(更には−2%〜+3%、特に−1%〜+3%)であることが好ましい。なお、上記収縮率における「マイナス」値は、ガスバリア性積層体が膨張していることを示しており、該マイナス値の絶対値が大きいものほど、膨張の程度が大である。
【0014】
(熱収縮性を有する熱可塑性樹脂層S)
熱収縮性を有する熱可塑性樹脂層11を構成する熱可塑性樹脂層は特に制限されず、公知の熱収縮性を有する熱可塑性樹脂から適宜選択して使用することが可能である。熱収縮性と、積層フィルム全体としてのデラミネーション抑制とのバランスの点からは、(同じ厚さを有するフィルムとした場合に)95℃の熱水中における収縮率が50%以下、更には0.5〜50%、特に1〜40%(更に2〜30%)の熱可塑性樹脂層を用いることが好ましい。
【0015】
また、積層フィルム全体としてのデラミネーション抑制の点からは、(同じ厚さを有するフィルムとした場合に)95℃の熱水中における収縮応力(X)が、1〜10MPa(更には4〜8MPa)の熱可塑性樹脂層を用いることが好ましい。
【0016】
上記した収縮率、および収縮応力は、以下の方法により好適に測定可能である(後述する熱可塑性樹脂層P、ガスバリア性積層体、収縮性積層フィルム等についても、同様の方法により収縮率・収縮応力を測定することが可能である)。
【0017】
<収縮率の測定方法>
その収縮率を評価すべき熱可塑性樹脂層と同じ材質、および同じ厚さを有するフィルム試料を10cm×10cmの大きさ(浸漬前の長さ=acm)に切出し、95℃の熱水中に3分間浸漬する。浸漬後、熱水からフィルム試料を取り出し、浸漬後のフィルムの長さ(bcm)を室温(25℃)で測定する。前後のフィルムの長さの変化、{(a−b)/a}×100(%)の平均値から、上記した収縮率を算出する。この際、同様の測定を10回行い、その相加平均を計算するものとする。
【0018】
<収縮応力の測定方法>
(株)東洋ボールドウィン社製のTMI RTM−100型TENSILONを用いて、95℃の熱水中における収縮応力を測定する。その収縮応力を評価すべき熱可塑性樹脂層と同じ材質、および同じ厚さを有するフィルム試料を、試長30mm、試幅25mmのサンプル形状とし、該サンプルを熱水中に浸すための移動速度は500mm/minとする。収縮応力の測定に際しては、前記サンプルが95℃の熱水中に漬かり始めてから完全に浸漬された後、1分間が経過するまでの間の最大収縮力を収縮力として測定する。このようにして測定された、単位面積(mm2)当たりの収縮力を、収縮応力とする。
【0019】
本発明で使用可能な収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)としては、より具体的には、延伸ポリアミド(ONy)フィルム、延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム等が好ましい。上記ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが好ましく、また前記ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などが好ましい。
【0020】
収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)の厚さは特に制限されないが、通常は、5〜50μm(更には10〜30μm)程度であることが好ましい。
(熱可塑性樹脂層P)
【0021】
本発明において、その上に有機系ガスバリア性層(G)を配置すべき熱可塑性樹脂からなる層(P)を構成する熱可塑性樹脂は特に制限されず、公知の樹脂から適宜選択して使用することが可能である。
【0022】
本発明においては、熱可塑性樹脂層(P)上に有機系ガスバリア性層(G)を配置ないし形成する際に、必要に応じて、これらの熱処理を行う場合がある。このように熱処理を行う態様においては、熱可塑性樹脂層Pは熱収縮率が小さい層であることが好ましい。より具体的には、熱収縮率が10%以下(更には5%以下、特に3%以下)の熱可塑性樹脂層を用いることが好ましい。
【0023】
このような熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などが好適に使用可能である。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが好ましい。ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などが好ましい。
【0024】
(有機系ガスバリア性層G)
本発明においては、有機系ガスバリア性層(G)が、上記した熱可塑性樹脂層(P)とともにガスバリア性積層体を構成する。本明細書において、「有機系ガスバリア性層」とは、該ガスバリア性層のガスバリア作用を実質的に担う材料としての、「無機物からなる連続膜」の使用を排除する意味で用いる。したがって、本発明において、有機系ガスバリア性層(G)における種々の特性を補う目的で、該層に添加される「添加物」としての無機系材料(ただし、連続膜は除く)の使用は許容される。本発明の積層フィルムは、金属薄膜からなるガスバリア性層を使用しないため、食品等の被包装物検査における金属探知機の使用を阻害しない。
【0025】
本発明でその使用が排除される連続膜を構成する無機物としては、金属および金属酸化物からなる連続膜(蒸着膜等)が挙げられる。該無機連続膜は、廃棄・焼却等の際に、これらが実施される設備への負担度が著しく大きい。
【0026】
本発明の積層体を構成する有機系ガスバリア層は、該積層体に好適なガスバリア性を付与する点からは、温度20℃、相対湿度80%(80%RH)の条件下で測定した(2μmの厚さでの)酸素ガス透過度が、100ml(STP)/m2・24h・atm以下、更には50ml(STP)/m2・24h・atm以下、特に10ml(STP)/m2・24h・atm以下、最適には1ml(STP)/m2・24h・atm以下であることが好ましい。
【0027】
(酸素透過度)
JISK7126B法に準じ、Modern Contro1社製の酸素透過度測定装置OX−TRAN2/20型を用い、20℃、80%RHの条件で測定する。具体的には、基材(支持体;例えばPETフィルム)及び有機系ガスバリア性層で形成された構層体の酸素透過度(20℃、80%RH)を測定し、以下の計算式により有機系ガスバリア性層の酸素透過度を算出する。
1/Ptotal=1/Player 十 1/Psupport
Ptotal:基材及び有機系ガスバリア性層で形成された積層体の酸素透過度
Player:有機系ガスバリア性層の酸素透過度
Psupport:基材の酸素透過度
【0028】
(ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー)
ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーは、カルボキシル基を1分子内に2個以上含有するポリマーである。ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーの具体例としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、ポリマレイン酸、或いはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0029】
中でも、アクリル酸のホモポリマー、メタアクリル酸のホモポリマー、またはアクリル酸とメタアクリル酸との共重合体が好適に使用可能である。特に、アクリル酸のホモポリマー、またはアクリル酸とメタアクリル酸との共重合体であって、該共重合体を構成するアクリル酸のモル数がメタアクリル酸のモル数より多い共重合体が、ガスバリア性の点で特に好適に使用できる。
【0030】
本発明に使用可能なポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーの分子量は、特に制限されないが、コート層を形成する際の塗工溶液の塗工性の点からは、数平均分子量が1×103〜4×106(更には2×103〜2.5×105)の範囲のものが好適に使用可能である。
【0031】
本発明で使用可能なポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーは、ポリ(メタ)アクリル酸部分中和物であってもよい。このようなポリ(メタ)アクリル酸部分中和物は、前記ポリ(メタ)アクリル酸を適当なアルカリ、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物やアンモニア水で適宜中和することによって得ることが出来る。ポリ(メタ)アクリル酸部分中和物の中和度が、0を越え20%以下の場合には、熱処理条件および両成分(ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系ポリマー)の混合割合を適宜選択することにより、ガスバリア性に優れたフィルムを得ることが容易となる。他方、該中和度が20%を越える場合には、ガスバリア性が低下する傾向が強まる。したがって、ガスバリア性の点からは、ポリ(メタ)アクリル酸部分中和物の中和度は、通常20%以下、更には15%以下(特に2〜15%)とすることが好ましい。ここで「中和度」は以下の式により求められる。
中和度=(A/B)×100(%)
A:部分中和されたポリ(メタ)アクリル酸1g中の、中和されたカルボキシル基のモル数。
B:部分中和されるべき(メタ)アクリル酸1g中の、部分中和前のカルボキシル基の全モル数。
【0032】
上記した「カルボキシル基のモル数」は、アクリル酸については、アクリル酸のモノマー単位である分子量72g/モルを用いて、アクリル酸系ポリマーの質量からモル数を求め、メタクリル酸については、メタクリル酸のモノマー単位である分子量86g/モルを用いて、メタクリル酸系ポリマーの重量からモル数を求めるものとする。
【0033】
(ポリアルコール系化合物)
ポリアルコール系化合物とは、1分子内に2個以上の水酸基を持つポリマーである。このポリアルコール系化合物の具体例としては、ポリビニルアルコール、糖類等が挙げられる。
【0034】
(ポリビニルアルコール)
ポリビニルアルコールとしては、従来より公知のものを用いることが可能であるが、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとの組み合わせにおいて好適な酸素バリア性を発揮する点からは、ケン化度が通常95%以上であって、平均重合度が3×102〜2.5×103(更には、3×102〜1.5×103)の範囲のものが好適に使用可能である。
【0035】
(糖類)
一方、上記した「糖類」(ないし糖質類)の具体例としては、単糖類、オリゴ糖類、多糖類や各種置換体・誘導体が挙げられる。有機系ガスバリア性層を形成するための塗工液調製の容易性の点からは、これらの糖類は水溶性のものを用いることが好ましい。
【0036】
上記した糖類の各種置換体・誘導体としては、単糖類、オリゴ糖類、多糖類の還元性末端をアルコール化して得られる糖アルコール類、更に、前記それぞれを化学修飾してなるものが挙げられる。ポリビニルアルコール同様、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとの組み合わせにおいて好適な酸素バリア性を発揮する点からは、マルトオリゴ糖、水溶性澱粉、それらの糖アルコール、ソルビトール、デキストリン、プルラン等が更に好適に使用可能である。
【0037】
(一価金属塩)
本発明においては、必要に応じて、一価金属塩を使用してもよい。本発明において使用可能な一価金属塩は、水に可溶な無機酸の金属塩及び有機酸の金属塩である限り特に限定はされない。金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属を挙げることができる。一価金属塩の具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、亜リン酸水素ニナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0038】
(次亜リン酸塩)
本発明で使用可能な次亜リン酸塩としては、陰イオンが次亜リン酸からなる水に可溶な金属塩であれば特に限定はされない。金属としては、例えば、リチウム。ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属などが挙げられる。次亜リン酸塩の好ましい例としては、次亜リン酸ナトリウム及び次亜リン酸カルシウムが挙げられる。なお、次亜リン酸塩が次亜リン酸ナトリウムのような一価金属塩である場合には、前記一価金属塩と重複するが、一価金属塩の中でも次亜リン酸塩は、幅広い添加割合で有機系ガスバリア性層に好適な酸素カスバリア性を付与することができる。
【0039】
また、次亜リン酸塩の場合には、一価金属塩に限定されず、次亜リン酸カルシウムなどの二価金属塩であっても、有機系ガスバリア性層に好適な酸素カスバリア性を付与することができる。
【0040】
(有機系ガスバリア性層の混合割合)
上記したポリ(メタ)アクリル酸系ポリマー(A)とポリアルコール系化合物(B)との混合割合(A:B)は、酸素カスバリア性の点からは、重量比で90:10〜10:90(更には90:10〜20:80、特に90:10〜40:60)であることが好ましい。一価金属塩は、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、1×10-5〜2×10-3mol/g(更には1×10-4〜1.5×10-3mol/g)の範囲内で添加することが好ましい。
【0041】
次亜リン酸塩は、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、1×10-5〜3×10-3mol/g(更には1×10-5〜2×10-3mol/g、特に5×10-4〜1.4×10-3mol/g)の範囲内で添加することが好ましい。
【0042】
(有機系ガスバリア性層の形成方法)
本発明では、例えば、上記(A)成分と(B)成分とを含有する混合物から塗工層を形成し、該塗工層を100℃(373K)以上の温度で熱処理することにより、所望のガスバリア性を有する有機系ガスバリア性層を形成することができる。
【0043】
(塗工液)
本発明において、上記した熱可塑性樹脂層(P)上に有機系ガスバリア性層(G)を形成するための塗工液は、(メタ)アクリル酸系ポリマー(A)と、ポリアルコール系化合物(B)と、溶媒とを少なくとも含む溶液ないし分散液である。これらの溶液または分散液は、溶液、懸濁液、コロイドあるいはラテックス等の種々の形態で使用することができる。塗工液濃度の安定性の点からは、上記溶媒は、水系媒体(すなわち、塗工液は水系溶液または水系分散液)であることが好ましい(本明細書中の塗工液の各成分の詳細については、例えば、特開平8−41218号公報を参照することができる)。
【0044】
上記(A)成分と(B)成分との混合物は、相溶性に優れており、任意の混合割合において、例えば、水溶液にした場合に均−な混合溶液を得ることができる。
【0045】
(一価金属塩及び次亜リン酸塩も水溶性である)。
これらの混合物から有機系ガスバリア性層を作成するには、通常、該混合物の水溶液をガラス板やプラスチックフィルムなどの支持体上に流延し、乾燥して皮膜を形成させる方法(溶液流延法;コーターによる塗布法をも包含する)等が使用可能である。溶液流延法は、透明性に優れた乾燥皮膜を容易に得ることができるため好ましい。
【0046】
溶液流延法では、固形分温度は、通常、1〜30重量%程度とすることが好ましい。水溶液を調製する場合、所望によりアルコールなどの水以外の溶剤や柔軟剤、熱安定剤等を適宜添加してもよい。
【0047】
(添加剤)
上記したように、本発明において用いる塗工液は、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系化合物とを少なくとも含むが、必要に応じて、その他の添加剤を更に含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤(染料ないし顔料)、無機塩等の公知の添加剤が挙げられる。該無機塩としては、例えば、次亜リン酸ナトリウム等を添加することが特に好ましい。該無機塩の添加量は、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーと、ポリアルコール系化合物との合計量(100重量部)に対して、20重量部以下であることが好ましい。
【0048】
各成分の混合物溶液からフィルムを作成するには、混合物溶液を、例えば、エアーナイフゴーター、キスロールゴーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リパースロールコーター、ディップコーター、ダイコーターなどの装置、あるいは、それらを組み合わせた装置を用いて、基材上に、所望の厚さにコーティングし、次いで、アーチドライヤー、ストレートパスドライヤー、タワードライヤー、ドラムドライヤーなどの装置、あるいは。それらを組み合わせた装置を用いて、熱風の吹き付けや赤外線照射などにより水分を蒸発させて乾燥させ、皮膜を形成させればよい。その後、必要に応じて乾燥皮膜を熱処理することができる。
【0049】
また、T−ダイ方式の押出機により熱可塑性樹脂層(P)を形成し、該層(P)を延伸、熱処理する工程中に、ガスバリア性層(G)をコーティングする、いわゆるインラインコート方式で得られる積層フィルムを使用することもできる。
【0050】
(コート層の熱処理)
本発明において、コート層の被コーティングフィルムへの熱固定、および該コート層自体の熱処理(ガスバリア性の付与)の目的で熱処理する際の熱処理条件は、これらの処理を実質的に妨げない条件である限り、特に制限されない。通常は、温度が、100〜380℃、更には150〜300℃(特に、220〜260℃)程度;熱処理時間が1秒〜10分(更には2秒〜5分)程度であることが好ましい。
【0051】
このようにして熱処理されたコート層には、好適な耐水性が付与される。より具体的には、熱処理されたコート層約12を80℃の水500cm3中に投入し、10分間浸漬した後、不溶分を回収し、乾燥した場合に、浸漬する前のコート層の重量の80重量%以上(更には85重量%以上)が、不溶分として回収されることが好ましい。
【0052】
(各層の厚さ)
本発明のコーティングフィルムを構成する各層の厚さは、該フィルムに付与すべき各種の物性(例えば、ガスバリア性、強度、シール性)、ないし各層の材料に応じて適宜選択することが可能であるが、通常は、下記のような厚さであることが好ましい。
熱可塑性樹脂層(P):3〜40μm(更には5〜30μm)
有機系ガスバリア性層(G):0.1〜30μm(更には0.1〜10μm)収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S):5〜50μm(更には10〜30μm)
【0053】
(酸素ガス透過度)
本発明の製法により得られるフィルムの酸素ガス透過度は、100cm3/m2・24h・atm以下、更には50cm3/m2・24h・atm以下、特に10cm3/m2・24h・atm以下(最適には5cm3/m2・24h・atm以下)であることが好ましい。
【0054】
(収縮性積層フィルムの収縮率)
本発明の収縮性積層フィルム(例えば、図1の態様)の収縮率は、0を越え5%まで、更には0.1〜5%(特に0.5〜3%)であることが好ましい。
本発明の収縮性積層フィルムは、安定したバリア性を維持する点からは、レトルト処理後においてもデラミネーションが無く、且つ、0.1〜15%(更には0.5〜10%)の収縮率を示すことが好ましい。
【0055】
<レトルト処理後の収縮率の測定方法>
市販のレトルト処理装置(日阪製作所製、商品名:フレーバーエース)を用いて、測定対象たる積層フィルム(大きさ:10cm×10cm)を125℃、20分の条件でレトルト処理する。該レトルト処理後の積層フィルムについて、前述した「収縮率の測定方法」と同様の方法により、95℃の熱水中における収縮率を測定する。
【0056】
<レトルト処理後のデラミネーションの有無>
上記と同様にレトルト処理した後の積層フィルム(収縮前の大きさ:10cm×10cm)において、目視でデラミネーションの有無を確認する。この際、デラミネーションの発生の有無は、積層フィルムが各構成フィルムに分離しているか否かで容易に確認することができる。
【0057】
(収縮性積層フィルムの収縮力)
本発明の収縮性積層フィルムにおいて、デラミネーションをできる限り抑制する点からは、以下の関係が成立するように、収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)、ガスバリア性積層体(G+P)を選択することが好ましい。
|(X−Y)−Z|≦500
【0058】
上記式中、Xは、収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)の収縮力(g/25mm巾)を、Yはガスバリア性積層体(G+P)の反発力(g/25mm巾)を、Zは収縮性積層フィルム(E)の収縮力(g/25mm巾)を表す。
ここで、反発力(g/25mm巾)Yは、フィルムの引張り弾性率の大きさから、25mm巾当りの力に換算した値である。
【0059】
<引張り弾性率の測定方法>
JIS K 7127に規定される弾性率(引張り割線弾性率=引張応力−ひずみ曲線間で規定された引張応力とひずみの比)測定方法に基づいて測定する。この際の測定条件は、以下の通りである。
【0060】
(株)東洋ボールドウィン社製のTMI RTM−100型TENSILONを用いて、95℃の熱水中における引張り弾性率を測定する。試長30mm、試幅20mmの短冊状の試料とし、95℃の熱水中に1分間浸漬後、引張速度5mm/分で測定し、伸度1%における引張割線弾性率(1% Secant Modulus)を求める。
【0061】
(収縮率の関係)
ガスバリア性積層体(G+P)の95℃における熱水収縮率R(G+P)に対する収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)の95℃における熱水収縮率R(S)の比|R(G+P)/R(S)|は、1以下(更には0.5以下)程度であることが好ましい。
【0062】
(他の層構成)
本発明の積層フィルム1は、図2の模式断面図に示すような層構成とすることも可能である。この図2の態様における積層フィルム1は、熱収縮性を有する熱可塑性樹脂層11が、ガスバリア性積層体12の有機系ガスバリア性層14側に配置されてなる。
【0063】
また、図3の模式断面図に示すように、図1の態様の熱収縮性を有する熱可塑性樹脂層11と、ガスバリア性積層体12との間に、必要に応じて、接着剤層2を配置してもよい。該接着剤層2を構成する材料としては、例えば、ウレタン系、チタネート系、イミン系、ブタジエン系、オレフィン系、アクリル系、EVA系等が挙げられる。また、該接着剤層2の厚さは、0.5〜50μm(更には1〜30μm)が好ましい。
【0064】
また、図4の模式断面図に示すように、収縮性を有する熱可塑性樹脂層11と、上記のガスバリア性積層体12と、さらに、ポリオレフィン系フィルム3とを含む積層フィルムの態様としてもよい。
【0065】
この態様におけるポリオレフィン系フィルム3は、低密度ポリエチレン(VLDPE,LLDPE,LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリピロピレン(PP)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、等から、少なくとも1種類以上選ばれる重合体からなることが好ましい。また、必要に応じて、所謂イージーピール性(易剥離性)を付与するため、定法のマレイン酸変性ポリオレフィン等を付与してもよい。
【0066】
このような図4の態様の収縮性積層フィルムの収縮率は、0.1〜5%(更には0.5〜3%)であることが好ましい。
【0067】
このような図4の態様の収縮性積層フィルムは、収縮により内容物(食品)との空隙を無くすことができ、美観を向上させることが可能な点から、食品を密着させて包装する用途に特に好適に使用可能である。
【0068】
(蓋材用途に好適な構成)
本発明の積層フィルムは、図5の模式断面図に示すように、収縮性を有する熱可塑性樹脂層11の片面(必要に応じて、両面)に接着剤層2を介して、ガスバリア性積層体12を配し、さらに、熱可塑性樹脂層11の反対側に、接着剤層2aを介してポリオレフィン系フィルム3または、ポリエステル系フィルム4を配置してもよい。
【0069】
このような態様で使用可能なポリオレフィン系フィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン(VLDPE,LLDPE,LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリピロピレン(PP)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、等から、少なくとも1種類以上選ばれる重合体が挙げられる。また、所謂イージーピール性(易剥離性)を付与するため、この接着剤層に定法(公知)のマレイン酸変性ポリオレフィン等を使用ないし添加することも可能である。
【0070】
また、このような態様で使用可能なポリエステル系フィルムとしては、ヒートシール可能なポリエチレンテレフタレート(PET)からなる重合体を含み、必要に応じて、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)等から選ばれる重合体からなる積層体等が挙げられる。
【0071】
このような図5の態様の収縮性積層フィルムの収縮率は、0.1〜5%(更には0.5〜3%)であることが好ましい。このような図5の態様の収縮性積層フィルムは、収縮によるフィルムの「張り」が美観を向上させるという点から、食品包装用容器の蓋として特に好適に使用可能である。
【0072】
(ケーシング、ピロー袋等に好適な構成)
本発明の積層フィルムは、図6の模式断面図に示すように、ガスバリア性積層体12の片面(必要に応じて、両面)に接着剤層(2ないし2a)を介して、収縮性を有する熱可塑性樹脂層11を配置してもよい。このような態様の収縮性積層フィルムの収縮率は、0.1〜5%(更には0.5〜3%)であることが好ましい。
【0073】
このような図6の態様の収縮性積層フィルムは、いわゆるピロー形態の製袋機を用いて、最内層と最外層、または、最内層と最内層を融着させて、食品を包装する用途に、特に好適に使用可能である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0074】
【実施例】
以下の実施例において、収縮率、収縮応力、弾性率および酸素ガス透過度は、それぞれ上述した方法により測定した。
【0075】
実施例1
(ガスバリア性フィルムの形成)
ポリアクリル酸(PAA)として、和光純薬工業(株)製のPAA(固形分25%、8〜12Pa・s(30℃)、数平均分子量15×104)を水で希釈し、10重量%(固形分10%)の水溶液に調製した。この液に、PAAのカルボキシル基のモル数に対して、中和度が10%となるように水酸化ナトリウムを添加し、10重量%のPAA部分中和物(PAANa)水溶液を調製した。
一方、糖類(ポリアルコール系化合物)として、和光純薬工業(株)製の可溶性澱粉を用い、この10重量%水溶液を調製した。
【0076】
上記のPAANa水溶液と可溶性澱粉水溶液を、固形分比70:30となるように混合し、混合物の10重量%水溶液を調製した。この水溶液を、熱可塑性樹脂層13たるPETフィルム(厚み12μm)上に塗工し、ドライヤーを用いて水を蒸発させ、乾燥皮膜層(厚み1μm;有機系ガスバリア性層14)を形成した。この乾燥皮膜層が形成されたPETフィルムを230℃の熱風で1分間熱処理した。
【0077】
(積層フィルムの形成)
このようにして得られた、ガスバリア性フィルムのPET面に、95℃の熱水中における収縮率が22%、その際の収縮応力が5MPaである、ONyフィルム(厚み15μm;収縮性の熱可塑性樹脂層11)を、接着剤(東洋モートン社製、主剤:AD−590、硬化剤:CAT−56)層2を介してドライラミネートした。
【0078】
さらに、ONyフィルム面に同様な方法で、ポリオレフィン系フィルム3としてCPPフィルム(厚み35μm;未延伸ポリプロピレンフィルム)をドライラミネートして、図5に示した層構成を有する積層フィルムを作成した。このようにして得られた積層フィルムの95℃の熱水中における収縮率は0.5%であった。
【0079】
(レトルト処理)
市販のレトルト処理装置(日阪製作所製、商品名:フレーバーエース)を用いて、上記で得られた積層フィルムを125℃、20分の条件でレトルト処理した。このレトルト処理後の積層フィルムにおいても、目視でデラミネーションは認められなかった(デラミネーションの発生の有無は、レトルト処理後の積層フィルムが、各構成フィルムに剥離してしまっているか否かで判断した)。該レトルト処理後の積層フィルムの95℃の熱水中における収縮率は1.0%であった。
【0080】
実施例2
(容器の形成)
呉羽化学工業株式会社製の多層シート(商品名:マルチエース;厚み800μm)を用いて、100mmφ(直径)×30mm(高さ)のフランジ付多層容器を成形した。
【0081】
(密封容器の作成)
上記フランジ付多層容器の中に水を充填し、そのフランジ部に、実施例1で得られた積層フィルムをかぶせ、市販の装置(テスター産業(株)製、商品名:リングシールテスター)を用いてヒートシール(温度200℃、圧力2kgf/cm2、1秒間)した。
(レトルト処理)
【0082】
上記密封容器を、125℃、20分の条件で、レトルト処理した。該レトルト処理により容器部分が微収縮したが、該容器にかぶせられた積層フィルムの微収縮が同時に発現するため、該積層フィルムが「張り」が有って「見栄え」が良い容器蓋材となった。
【0083】
実施例3
(ガスバリア性フィルムの形成)
実施例1と同様に、PAANaと可溶性澱粉との混合物水溶液を調製した。
【0084】
得られた水溶液を、PETフィルム(厚み6μm)上に塗工し、ドライヤーを用いて水を蒸発させ、乾燥皮膜層(厚み1μm)を得た。この乾燥皮膜層が形成されたPETフィルムを215℃の熱風で80秒間熱処理した。
【0085】
(積層フィルムの形成)
このようにして得られた、ガスバリア性フィルムのPET面に、実施例1と同様のONyフィルムを、実施例1と同様の接着剤層を介してドライラミネートした。さらに、ONyフィルム面に実施例1と同様の方法で、CPPフィルム(厚み35μm)をドライラミネートし、95℃の熱水中における収縮率が1.0%である積層フィルムを作成した。
【0086】
(レトルト処理)
上記積層フィルムを、125℃、20分の条件でレトルト処理したところ、このレトルト処理後の積層フィルムにおいても、目視でデラミネーションは認められなかった。該レトルト処理後の積層フィルムの95℃の熱水中における収縮率は3.5%であった。
【0087】
実施例4
(ガスバリア性フィルムの形成)
実施例1と同様に、PAANaと可溶性澱粉との混合物水溶液を調製した。
【0088】
実施例1と同様の方法で、得られた水溶液を、PETフィルム(厚み6μm)上に塗工し、ドライヤーを用いて水を蒸発させ、乾燥皮膜層(厚み1μm)を得た。この乾燥皮膜層が形成されたPETフィルムを215℃の熱風で40秒間熱処理した。
【0089】
(積層フィルムの形成)
このようにして得られた、ガスバリア性フィルムのPET面に、実施例1と同様のONyフィルムを、実施例1と同様の接着剤層を介してドライラミネートした。さらに、ONyフィルム面に実施例1と同様の方法で、CPPフィルム(厚み35μm)をドライラミネートし、95℃の熱水中における収縮率が1.5%である積層フィルムを作成した。
【0090】
(レトルト処理)
上記積層フィルムを、125℃、20分の条件でレトルト処理したところ、このレトルト処理後の積層フィルムにおいても、目視でデラミネーションは認められなかった。該レトルト処理後の積層フィルムの95℃の熱水中における収縮率は5.0%であった。
【0091】
比較例1
(ガスバリア性フィルムの形成)
実施例1と同様に、ガスバリア性フィルムを形成した。
【0092】
(積層フィルムの形成)
このようにして得られた、ガスバリア性フィルムのPET面に、95℃の熱水中における収縮率が0%、その際の収縮応力が0MPaである、ONyフィルム(厚み15μm)を、実施例1と同様の接着剤層を介してドライラミネートした。さらに、ONyフィルム面に実施例1と同様の方法で、CPPフィルム(厚み35μm)をドライラミネートし、95℃の熱水中における収縮率が0%である積層フィルムを作成した。
【0093】
(レトルト処理)
上記積層フィルムを、125℃、20分の条件でレトルト処理した結果、デラミネーションは起きなかったが、収縮挙動も得られなかった。
【0094】
比較例2
(容器の形成)
実施例2と同様のフランジ付多層容器を成形した。
【0095】
(密封容器の作成)
上記フランジ付多層容器の中に水を充填し、そのフランジ部に、比較例1で得られた積層フィルムをかぶせ、実施例2と同様にヒートシールした。
【0096】
(レトルト処理)
上記密封容器を、実施例2と同様にレトルト処理したところ、容器部分は微収縮したが、積層フィルムは全く収縮しなかった。この結果、「張り」が無く、「見栄え」の悪い容器蓋材となった。
【0097】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、熱可塑性樹脂層(P)と、該熱可塑性樹脂層(P)上に配置された有機系ガスバリア性層(G)との少なくとも2層からなるガスバリア性積層体と;収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)とを少なくとも含むことを特徴とする収縮性積層フィルムが提供される。
【0098】
上記構成を有する本発明の積層フィルムは、優れたガスバリア性を有し、しかも加熱時された場合にもデラミネーション(層間剥離)の発生を抑制するという優れた特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の収縮性積層フィルムの基本的な層構成の態様を示す模式断面図である。
【図2】収縮性の熱可塑性樹脂層11を図1と反対側に配置してなる、本発明の収縮性積層フィルムの層構成の他の態様を示す模式断面図である。
【図3】図1の収縮性の熱可塑性樹脂層11上にポリオレフィン層3を配置してなる、本発明の収縮性積層フィルムの層構成の他の態様を示す模式断面図である。
【図4】図1の有機系ガスバリア層14上に接着層2を配置してなる、本発明の収縮性積層フィルムの層構成の他の態様を示す模式断面図である。
【図5】図3の収縮性の熱可塑性樹脂層11側に、更に接着層2およびポリオレフィン層3を配置してなる、本発明の収縮性積層フィルムの層構成の他の態様を示す模式断面図である。
【図6】図3の有機系ガスバリア層14上に、更に接着層2および収縮性の熱可塑性樹脂層11を配置してなる、本発明の収縮性積層フィルムの層構成の他の態様を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…収縮性積層フィルム、2…接着層、3…ポリオレフィン層、11…熱収縮性樹脂層、12…ガスバリア性積層体、13…熱可塑性樹脂層、14…有機系ガスバリア性層。
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂層(P)と、該熱可塑性樹脂層(P)上に配置された有機系ガスバリア性層(G)との少なくとも2層からなるガスバリア性積層体と;
収縮性を有する熱可塑性樹脂層(S)とを少なくとも含むことを特徴とする収縮性積層フィルムであって、
前記有機系ガスバリア性層(G)が、ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとポリアルコール系化合物とを含有する混合物からなる収縮性積層フィルム。 - 前記ポリアルコール系化合物が、糖類またはポリビニルアルコールのいずれかである請求項1記載の収縮性積層フィルム。
- 前記収縮性熱可塑性樹脂層(S)の収縮率が0.5〜50%である請求項1または2記載の収縮性積層フィルム。
- 前記収縮性熱可塑性樹脂層(S)の収縮応力が1〜10MPaである請求項1〜3のいずれかに記載の収縮性積層フィルム。
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