JP2000210659A - 気泡収縮を利用した液体処理方法および処理装置 - Google Patents
気泡収縮を利用した液体処理方法および処理装置Info
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Abstract
最小限に抑制しながら、液体中の揮発性の低い成分や親
水性の強い成分を効率良く分解できる液体処理方法およ
び処理装置を提供する。 【解決手段】 反応容器12の側面二箇所に円形の圧電
素子13を対向的に接着固定し、この反応容器12中に
粉末状光触媒を分散した処理対象液14を入れ、同時に
反応容器12にはガス導入管11を挿入し、その先端の
微小気泡発生部15から気泡用ガスをバブリングさせな
がら、圧電素子13により超音波を発生させ、気泡収縮
作用に伴う紫外光と光触媒の酸化作用の組合せによっ
て、液体中の有害物質を効果的に分解する。
Description
合成を促進する方法およびその装置に関する。
中で物体を高速度で運動させることに伴い気泡が生じ、
それが収縮することは知られている。そして、その気泡
収縮に伴い、光が発生することも知られている。また、
超音波を共鳴させることにより液体中で気泡収縮が起こ
り、発光する現象も、ソノルミネッセンスとして知られ
ている。上記のいずれの光のスペクトルとも、紫外域か
ら可視域までのブロードのスペクトルである。これらの
気泡収縮に伴い、気泡中では高温・高圧場が生じ、燃焼
反応の形で、化学反応が進行することが報告されてい
る。例えば、液体中に有機化合物が存在する場合、この
気泡収縮に伴い、この有機化合物は分解することが知ら
れている。一方、光触媒は、そのエネルギーバンドギャ
ップ以上のエネルギーを持つ光を照射することに伴い、
表面に強力な酸化作用を持つ活性種が生成されるといわ
れている。それにより、水の分解による水素・酸素の生
成、有機物分解による浄化、殺菌、防汚などの特性を持
つことが知られている。
うな従来の液体中の気泡収縮に伴う化学反応にあって
は、完全分解に近い形で、反応が進行するが、反応場は
気泡中であり、従って揮発性の高い物質が効率的に分解
されるものの、揮発性の低いもの、あるいは水中であれ
ば、親水性の強いものは反応しなかったり、反応速度が
遅いことが問題であった。即ち、液体中に留まる物質の
処理には不向きであるという問題点があった。一方、光
触媒は強い酸化作用を発生し、液体中に置けば、活性種
を表面に発生させ、光触媒近傍に拡散してきた物質を酸
化分解する。すなわち、液体中の難分解性物質も分解す
る。ただし、光照射が必要であり、表面反応であるため
光触媒を大面積、あるいは液との触媒面積を増やすため
に複雑な形状にした場合、効果的な光照射が不可能とな
るか、あるいは多大なエネルギーを必要とした。また、
粉末状の光触媒を用い、液体中に分散させても、有色液
など光が透過しにくい液体の処理の場合には、効果的な
処理が不可能となるという問題点があった。さらに、光
触媒反応に伴い、有害物質であるホルムアルデヒドを副
生するという問題点があった。
なされたものであり、気泡収縮作用と光触媒の酸化作用
を組合わせて、液体中の揮発性の低い成分や親水性の強
い成分も効率的に分解できる液体処理方法およびそのた
めの装置を提供することを目的とする。また、結果とし
て、光触媒作用により副生成する有害物質であるホルム
アルデヒドの量を最小限に抑えることができる。
対する超音波の分解効果について研究を続けてきた。ま
た、超音波を液体に照射した際に液体中の気泡が発光す
るソノルミネッセンスについても鋭意研究を続けてき
た。その結果、超音波を照射すると、液体中で気泡が生
じ、その気泡は収縮し、ある半径に達すると光を放出す
る。この光は、紫外域から可視域までブロードのスペク
トルであり、黒体放射に類似していると言われている。
特に発光スペクトルは紫外域に行くほど強くなることを
知見した。そして、この局部的に発する紫外光を利用
し、光触媒の分解作用を生成することによって、液体中
にある蒸気圧の低いもの、また水中であれば、親水性の
強いものも分解することができることを見出した。ま
た、光触媒だけでは完全酸化分解が難しく、有害な副生
物を生じる物質も、気泡収縮で分解可能となることも知
見した。本発明者は、上記の複数の知見に基づいて本発
明を完成するに至った。
のである。 1. 液体に化学反応を引き起こす方法において、光触
媒の存在下に気泡収縮を起こさせることを特徴とする液
体処理方法。 2. 液体に化学反応を引き起こす装置において、光触
媒を内蔵した流路、光触媒の存在下に気泡を発生する手
段と気泡収縮を起こさせる手段とを具備していることを
特徴とする液体処理装置。 3. 気泡収縮を起こさせる手段として、超音波発生装
置を用いることを特徴とする前項2記載の液体処理装
置。 4. 気泡収縮を起こさせる手段として、発生させた超
音波の共鳴を利用することを特徴とする前項3記載の液
体処理装置。 5. 気泡収縮を起こさせる手段として、バブリング装
置と超音波発生装置を併用することを特徴とする前項3
記載の液体処理装置。 6. 気泡収縮を起こさせる手段として、液体を高速度
で運動させる機構を有することを特徴とする前項2記載
の液体処理装置。 7. 液体を高速度で運動させる機構として、プロペ
ラ、円盤またはタービン翼のいずれか1種を用いること
を特徴とする前項6記載の液体処理装置。 8. 気泡収縮を起こさせる手段として、高速ノズル流
または絞り流のいずれかの発生装置を利用することを特
徴とする前項2記載の液体処理装置。 9. 前記流路が、光触媒を担持した流路であることを
特徴とする前項2記載の液体処理装置。
まない理由の一つは、反応対象への接触面積を拡大する
ことと、効率的な表面へ光照射することが両立しない点
にある。しかし、気泡収縮に伴う放射光を利用すること
により、この問題が解決する。反応対象液体内部におい
て、すなわち、反応場近傍で、発光があり、その光で光
触媒反応が進めば、外部からの光の供給が必要無いこと
と、光触媒の酸化分解反応で生じた揮発性の高い副生物
が気泡中に移動し、効果的に完全分解が進むことで、理
想的な有害物質の処理反応となる。例えば、水の分解に
伴う水素・酸素の生成や、処理の難しい有害物質である
ダイオキシン類、PCB類などにおいても、効果的に反
応・分解が進行する。
壊を起こす方法として、超音波照射、液体中での物体の
高速運動、オリフィスからの高速通過流などがある。な
お、本発明において、「気泡崩壊」とは、気泡が生成
し、収縮し、爆発することをさすが、気泡が収縮し、発
光すれば、爆発する必要はない。超音波照射の場合、処
理容器に固有の周波数を照射することで、超音波を共鳴
させることができ、さらに効果的に反応が進む。また、
バブリングを併用させても効果的に反応が進む。バブリ
ングするガスとして水素、酸素、オゾンなどもあるが、
キセノン、アルゴンなどの希ガスやヘリウムなどのガス
にするとより効果的である。光触媒体としては、光触媒
粒子、光触媒を表面へコーティングした中空体、平面
板、細管、ハニカムなどを液体中に置き利用する。ま
た、本発明は、このような固定床式の触媒保持方式の
他、光触媒体を流動床として反応槽内に配置してもよ
い。
〜第5の実施の形態)について、図面を参照して詳細に
説明する。 (第1の実施形態)図1は、本発明の方法を実施するた
めの反応装置の一実施の形態(第1の実施形態)を説明
する概略説明図である。図1の装置は、光触媒微粒子を
液体中に分散させ、超音波発生装置を備えたものであ
る。反応容器12の側面二箇所に圧電素子13を対向的
に接着固定してある。その中に粉末状光触媒を分散した
処理対象液14を入れる。反応容器12にはガス導入管
11が設置してあり、その先端には微小気泡発生部15
がある。ガス導入管11から、気泡用ガスを供給しなが
ら、圧電素子13により超音波を発生させる。気泡は超
音波により収縮し、光を放出する。放出した光は液体中
に分散した粉末状光触媒に到達し、光触媒は表面に活性
部位を形成する。一方、収縮気泡は、内部に高温高圧の
反応場を形成する。これら2つの反応場により、分解な
どの化学反応が進行する。
を実施するための液体処理装置の一実施の形態(第2の
実施形態)を説明する概略説明図である。図2の装置
は、光触媒をコーティングした板からなる反応器を設置
した反応装置である。図1の反応装置と同様に、二つの
圧電素子22と、微小気泡の発生部23があり、二つの
圧電素子22の間に多数枚の光触媒をコーティングした
板からなる反応器21がある。これらを、処理溶液の入
った容器内に設置し、気泡発生とともに、超音波を発生
させることで、分解などの化学反応が進行する。
を実施するための液体処理装置の一実施の形態(第3の
実施形態)を説明する概略説明図である。図3の装置
は、上記の図1および図2に示す液体処理装置と違っ
て、別途散気管などの微小気泡の発生部を必要としない
ものである。すなわち、図3に示す液体処理装置は、多
数の光触媒をコーティングした管31と超音波発生用の
装置32だけから構成される。これを処理溶液中に設置
し、管内で超音波が共鳴する周波数の超音波を発生させ
る。管内の多数の個所で、共鳴点が形成され、そこで微
小気泡の発生、収縮が起こる。そのとき発生した、光が
管内面の光触媒に到達する。これより、分解などの化学
反応が進行する。
を実施するための液体処理装置の一実施の形態(第4の
実施形態)を説明する概略説明図である。図4の装置
は、図3に示す液体処理装置と同様に別途散気管のよう
な微小気泡の発生部を必要としないで、液体を高速度で
運動させる手段によって微小気泡の発生、収縮を起こさ
せるものである。すなわち、図4の装置は、光触媒微粒
子を液体中に分散させ、攪拌機を備えた反応装置を示す
ものである。反応容器42の中に、粉末状の光触媒を分
散させた処理溶液43を入れる。駆動部41を持つ高速
に回転するプロペラ44を溶液内に入れ、回転させる。
このとき微小気泡が発生、そして収縮し、前述と同様、
分解などの化学反応が進行する。しかも、この反応装置
は圧電素子のような高価な機器を必要としない利点も有
する。
を実施するための液体処理装置の一実施の形態(第5の
実施形態)を説明する概略説明図である。図5の装置
も、図4に示す液体処理装置と同様に散気管のような微
小気泡の発生部も圧電素子も必要としないものである。
すなわち、図5の装置は、光触媒微粒子を液体中に分散
させ、流路にオリフィスを設置した反応装置を示すもの
である。流路管51内に、オリフィス52を設置し、光
触媒微粒子を分散させた処理溶液53を高速、高圧で流
す。オリフィス52の下流側には気泡が発生、収縮し、
前述と同様に分解などの化学反応が進行する。
するが、本発明は、この実施例に限定されるものではな
い。
に円形の圧電素子を対向的に二個接着固定した。そのフ
ラスコの中に100ミリリットルのフェノール水溶液(濃度1
0mg/リットル)を入れた。容器にはバブリング用の管が
設置してある。バブリングガスとして、アルゴンを毎分
1リットルの割合で供給した。光触媒は、ゾルゲル法で作製
したアナターゼ型酸化チタン微粒子50mgを液中に分
散させた。46.3kHzの超音波を照射するとともに
水中のフェノールの濃度変化を測定した。結果として、
照射時間とともにフェノール濃度は減少し、6時間照射
するとフェノール濃度は初期の30%まで減少した。ま
た、同時にホルムアルデヒド生成量を測定した。ホルム
アルデヒドの濃度は50μg/リットル程度であり、時間に
よって変化はなかった。
た。光触媒微粒子を添加せず、バブリングガスとして、
アルゴンを毎分1リットルの割合で供給した。46.3kH
zの超音波を照射し、水中のフェノールの濃度変化を測
定した。結果として、6時間照射したところ、フェノー
ル濃度は70%程度までしか減少しなかった。
100ミリリットルのフェノール水溶液(濃度10mg/リット
ル)を入れた。容器にはバブリング用の管が設置してあ
る。バブリングガスとして、アルゴンを毎分1リットルの割
合で供給した。光触媒は、ゾルゲル法で作製したアナタ
ーゼ型酸化チタン微粒子50mgを液中に分散させた。
この容器に高圧水銀ランプからの光を照射し、照射時間
とともに水中のフェノールの濃度変化を測定した。結果
として、照射時間とともにフェノール濃度は減少し、6
時間照射するとフェノール濃度は初期の約50%まで減
少した。また、同時にホルムアルデヒド生成量を測定し
たところ、ホルムアルデヒドの濃度は照射時間とともに
増加し、6時間後には濃度200μg/リットルにまで達し
た。
気泡収縮作用に伴い、放出される紫外光と光触媒の酸化
作用を組合せることによって、有害物質であるホルムア
ルデヒドの副生量を最小限に抑制しながら、液体中の揮
発性の低い成分や親水性の強い成分も効率良く分解でき
る液体処理方法および処理装置を提供することが可能に
なった。
の液体中に光触媒微粒子を分散させた液体処理装置の一
実施例の概略説明図である。
設した液体の反応処理装置の概略説明図である。
設した液体処理装置の概略説明図である。
に光触媒微粒子を分散させた液体の反応処理装置の概略
説明図である。
せ、流路にオリフィスを設置した液体の反応処理装置の
概略説明図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 液体に化学反応を引き起こす方法におい
て、光触媒の存在下に気泡収縮を起こさせることを特徴
とする液体処理方法。 - 【請求項2】 液体に化学反応を引き起こす装置におい
て、光触媒を内蔵した流路、光触媒の存在下に気泡を発
生する手段と気泡収縮を起こさせる手段とを具備してい
ることを特徴とする液体処理装置。 - 【請求項3】 気泡収縮を起こさせる手段として、超音
波発生装置を用いることを特徴とする請求項2記載の液
体処理装置。 - 【請求項4】 気泡収縮を起こさせる手段として、発生
させた超音波の共鳴を利用することを特徴とする請求項
3記載の液体処理装置。 - 【請求項5】 気泡収縮を起こさせる手段として、バブ
リング装置と超音波発生装置を併用することを特徴とす
る請求項3記載の液体処理装置。 - 【請求項6】 気泡収縮を起こさせる手段として、液体
を高速度で運動させる機構を有することを特徴とする請
求項2記載の液体処理装置。 - 【請求項7】 液体を高速度で運動させる機構として、
プロペラ、円盤またはタービン翼のいずれか1種を用い
ることを特徴とする請求項6記載の液体処理装置。 - 【請求項8】 気泡収縮を起こさせる手段として、高速
ノズル流または絞り流のいずれかの発生装置を利用する
ことを特徴とする請求項2記載の液体処理装置。 - 【請求項9】 前記流路が、光触媒を担持した流路であ
ることを特徴とする請求項2記載の液体処理装置。
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1999
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