JP2000209946A - 植物育成床及び植物育成方法 - Google Patents

植物育成床及び植物育成方法

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JP2000209946A
JP2000209946A JP11346833A JP34683399A JP2000209946A JP 2000209946 A JP2000209946 A JP 2000209946A JP 11346833 A JP11346833 A JP 11346833A JP 34683399 A JP34683399 A JP 34683399A JP 2000209946 A JP2000209946 A JP 2000209946A
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plant
culture soil
sheet
container
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JP11346833A
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Tadashi Ito
正 伊東
Shoichi Ishimoto
正一 石本
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Mikado Chemical MFG Co
Original Assignee
Mikado Chemical MFG Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】培養土の酸素を欠乏させることなく根部全体の
健全な成長を促進でき、給水作業を簡易にでき、しかも
給水量を増やしても根腐現象を起こすことがなく、また
通気性に優れ、植物育成床内の湿度や温度を過度に上昇
させることなく、植物の成育環境を良好に保てる植物育
成床及び植物育成方法を提供すること。 【構成】内部に植物育成用の培養土を充填する収納体
が、坪量20〜100g/m2、可視光線の反射率60%以
上、通気性10〜200秒/100ccである織布又は不
織布シートからなる不透水性の樹脂シートにより袋状又
は筒状に形成され、前記培養土に供給した水の余剰水を
排出して一定の水位になるように保水する構成を有する
ことを特徴とする植物育成床。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物育成床及び植
物育成方法に関し、詳しくはカーネーション、トルコキ
キョウ、ストック、カスミソウ、金魚草等の切花類、ト
マト、キュウリ、メロン、いんげん豆、ピーマン、さや
えんどう、みつ葉、ちんげん菜、セロリ等の農作物の育
成に有用であり、自動化・省力化に優れた植物育成床及
びこれを用いた植物育成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、植物を育成栽培するために、袋や
筒内に培養土を充填した植物育成床は知られている。
【0003】袋や筒内に培養土を充填した植物育成床の
利点としては、作物の病気を防ぐための蒸気による消毒
や土壌の燻蒸等の処理が、従来の露地栽培やハウス栽培
等に比べ、非常に容易であり、また燻蒸に使用する薬剤
の量を少なくすることができるということである。
【0004】また、植物育成床を使用する他の利点とし
ては、今日の農業に望まれている自動化・省力化による
施設の高度利用化を容易にすることが挙げられる。高度
利用化のためには、育成する作物の種類を時期に応じて
変え、それによって土壌のpH、肥料、水分含量等を育
成する作物に応じて調整することが要求される。通常の
露地栽培等では、作物の種類によっては、直前の土壌の
条件を大きく変える必要があり、そのために休作期間を
設けたり、畝を耕し直したりする必要が生じる。しか
し、袋や筒内に培養土を充填した植物育成床は、育成す
る作物の切り替えに応じて培養土の切り替えが簡単にで
き、自動化・省力化による高度利用化に適しているので
ある。
【0005】上述した利点を有する植物育成床として
は、例えば特開平2−215322号には、液体や空気
を通さない樹脂フィルムを用いて植物育成床を形成した
例が開示されている。しかし、樹脂フィルムの通気性が
悪いと植物育成床内の湿度や温度が上昇し、培養土中の
酸素が欠乏して、植物の成育に悪影響を及ぼす欠点があ
る。また植物育成床に水抜きがないため、水を与え過ぎ
ると過剰による根腐れを引き起こすという問題がある。
この問題を解決するため、適量ずつ定期的に水をあたえ
る必要が生じるが、これは煩雑である。
【0006】このため特開平2−20224号には、植
物育成床の底面に水抜き穴を設けた植物育成床が開示さ
れている。しかし、植物育成床内に水が保持されないた
めに頻繁に水を与えなければならない問題がある。
【0007】植物育成床内の底部に水を保持するため
に、特開平8−4013号には袋の側面に水排出用の穴
を設ける技術が開示されている。特開平8−4013号
に記載の袋は上部と下部の材質が異なっており、上部が
多孔質の樹脂フィルム又はネットからなり、下部は非通
水性の樹脂シートからなる。
【0008】しかし、上部に多孔質の樹脂フィルム又は
ネットを用いているため、通気性はよいが、培養土外の
温度の影響を受けやすく、また病害虫や病原菌が侵入し
易いという問題がある。また下部に非通水性の樹脂シー
トを用いているため、通気性が悪く、植物育成床内の湿
度や温度が上昇してムレてしまい、植物の成育に悪影響
を及ぼす欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、培
養土の酸素を欠乏させることなく根部全体の健全な成長
を促進でき、給水作業を簡易にでき、しかも給水量を増
やしても根腐現象を起こすことがなく、また通気性に優
れ、植物育成床内の湿度や温度を過度に上昇させること
なく、植物の成育環境を良好に保てる植物育成床及び植
物育成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明に係る植物育成床は、内部に植物育成用の培養土を充
填する収納体が、坪量20〜100g/m2、可視光線の反
射率60%以上、通気性10〜200秒/100ccであ
る織布又は不織布シートからなる不透水性の樹脂シート
により袋状又は筒状に形成され、前記培養土に供給した
水の余剰水を排出して一定の水位になるように保水する
保水部を有することを特徴とする。
【0011】好ましい態様としては、収納体の外面が白
色又はシルバー色であり、内面が光吸収性のある色で着
色されていることや、前記収納体の側面に、複数の小孔
を並設し、小孔から前記余剰水を排出すること、また前
記収納体の側面に、スリット状の開口を設け、開口を水
は通過するが植物の根は通過しない透水性防根シートで
密封し、開口を密封する透水性防根シートから前記余剰
水を排出することである。
【0012】他の好ましい態様としては、保水部が左右
等の2つに分散されていることである。
【0013】また、上記課題を解決する本発明に係る植
物育成方法は、内部に植物育成用の培養土を充填する収
納体が、坪量20〜100g/m2、可視光線の反射率60
%以上、通気性10〜200秒/100ccである織布又
は不織布シートからなる不透水性の樹脂シートにより袋
状又は筒状に形成され、前記収納体の側面に、複数の小
孔を並設し、前記培養土に供給した水の余剰水を小孔か
ら排出して一定の水位になるように保水する保水部を有
する植物育成床を土面に載置する際に、収納体の底面と
収納体の両側面又は一側面を押圧支持可能な金具によっ
て支持しつつ載置することを特徴とする。
【0014】好ましくは、金具が、収納体の底面と該収
納体の両側面を押圧支持可能な凹型金具であることであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基いて説明する。
【0016】図1は本発明の一実施例を示す斜視図、図
2は図1のII−II線断面図である。
【0017】図1及び図2において、1は植物育成床で
あり、筒状の収納体2の内部に植物育成用の培養土3が
収納・充填されている。4は植生用の間隙であり、間隙
4に植物5が植生されている。6は培養土3に供給した
水を一定の水位になるように保水する保水部である。
【0018】図1及び図2においては、培養土3に供給
した水の余剰水は、収納体2の側面に複数並設された小
孔7Aから排出される。
【0019】小孔の場合には、その形状は丸、角、線状
等のいずれでもよい。小孔7Aの大きさは、丸孔の場
合、直径0.5〜10mmが好ましい。小孔7Aは収納体
2の側面に沿って収納体2の底面から一定の高さの位置
に直線状に並設され、好ましくは5〜30mmの高さの位
置に直線状に並設されることである。小孔7Aの位置に
よって保水部6の高さを5〜30mmの範囲に規定できる
からである。
【0020】小孔7Aの長手方向の間隔は適当に設定で
きるが、狭過ぎると透水が早過ぎて植物育成床1内に均
一に給水されず、また広過ぎると植物育成床1内が過湿
になりやすいので、通常50〜100cm程度の間隔が適
当である。
【0021】本発明は、植物の育成に必要な水分を保水
部6に保持し、かつ保水部6の水分量が多量にならない
ように、余剰水を排出することによって、保水部6の高
さ、即ち、保水部6の水分量を規定している。
【0022】かかる保水部6の存在によって、植物5の
根に水を常時供給でき、また保水部の高さを規定するこ
とにより、収納体2内の滞水を底部の浅い保水部6に制
限できるので、根腐れを起こすこともない。
【0023】保水部6の深さ(高さ)は5〜30mmが好
ましく、この範囲であれば収納体2内に十分給水するこ
とで植物の根に水を常時供給できる。なお保水部の水の
液面と植物の根の下端は10〜100mm程度の間隙を有
していてもよく、培養土土壌の毛管作用で水は根に到達
可能である。
【0024】本発明では、保水部6に水を補給するため
に、灌水チューブを設けてもよいし、外部から散水して
水を補給してもよい。
【0025】本発明の収納体2を形成する不透水性の樹
脂シートは、坪量20〜100g/m2、可視光線の反射率
60%以上、通気性10〜200秒/100ccである織
布又は不織布シートが用いられる。
【0026】坪量が20g/m2未満であると植物育成用シ
ートとしての強度、特に本実施形態のように内部に培養
土を充填し筒状として用いる時の強度を保持できず、ま
た反射率の低下を防止できない。また坪量が100g/m2
を越えると、通気性を付与できず、コスト高となる。特
に好ましい坪量は30〜60g/m2の範囲である。
【0027】また可視光線(波長400〜800nm)の
反射率が60%未満であると、培養土内の温度を、培養
土外の温度より5〜7℃低く保つことができず好ましく
ない。好ましい反射率は75〜100%である。反射率
は日立分光光度計U-3210型(積分球式)で測定できる。
【0028】更に通気性(JIS P8117 のガーレー法によ
る透気度)が10秒/100cc未満であると、病害虫や
病原菌が容易に侵入し、シート自体の強度を保持でき
ず、高反射率を維持できないので好ましくない。また2
00秒/100ccを越えると水分蒸発による放熱効果を
期待できないので好ましくない。
【0029】本発明に用いられる植物育成用の培養土と
しては、ピートモス、稲ワラ、もみがらくん炭、腐葉
土、ヒノキ、スギ等の樹皮、おがくず、木炭末、水苔等
の植物性培養土原料の1種又は数種を混合し、更に必要
により礫、砂、バーミキュライト、赤土、鹿沼土等の鉱
物性培養土原料を少なくとも1種を混合して、醸成した
ものが好ましい。
【0030】また、培養土の過度な温度上昇を防ぐため
には、適度な水分を含んだ培養土を用いたり、また、空
隙を有する培養土を用いることが好ましい。培養土に空
隙を設ける際に、粘土鉱物、軽石、火山灰土を培養土に
混合することができる。
【0031】更に培養土原料には地理的特徴を生かして
カキ殻、甲殻類カラ、骨料、魚粕等を加えることもでき
る。また培養土には肥料、殺虫剤、保温剤等を配合して
もよい。特に緩効性肥料及び固形有機複合肥料を入れて
おくことが好ましい。
【0032】上記の培養土に用いる土壌は充填前に作物
の病気を防ぐために消毒、燻蒸処理を行なうことが好ま
しい。本発明では従来の露地栽培やハウス栽培等のよう
に圃場全体の土壌を処理する必要がなく、培養土に必要
な土壌のみを消毒、燻蒸処理するので、手数や費用が少
なく消毒、燻蒸処理が容易である。また殺虫剤の使用量
も少なくて済む。また培養土をあらかじめ加熱殺菌する
ことも好ましいことである。加熱殺菌には、太陽熱を利
用すると、化石エネルギー(例えば石炭、石油、天然ガ
ス等)を使用せずに殺菌できるので好ましい。
【0033】上述したように配合された培養土は、保水
性、吸水性、透水性、保肥性、通気性及び又は病害に対
する安全性に優れた配合土壌であり、植物の育成に有効
な培養土であり、収納体の内部に上述の培養土を設ける
だけで植物の栽培が可能となる。
【0034】上述した植物育成床を形成するには、図3
に示すように、不透水性の樹脂シート2Aを広げて敷設
し、中央に培養土3を載置し、その培養土3を両側から
包み、培養土3の上部中央で樹脂シート2Aの両側縁又
はその近傍を接合(連結)する。同時にあるいは前後し
て長手方向も折り込む。両側縁の接合方法としては、接
着、溶着、縫合、ステープル止め、針金による引掛等の
いずれの方法でもよい。このようにして図1に示す植物
育成床1を形成できる。
【0035】本発明の不透水性の樹脂シート2Aとして
は、前述したように、坪量20〜100g/m2、可視光線
の反射率60%以上、通気性10〜200秒/100cc
であり、水蒸気は通過するが、水や液肥等の液体は通過
しない不透水性の織布又は不織布シートをもちいること
が好ましい。樹脂シートに用いられる樹脂としては、ポ
リエチレン(特に高密度ポリエチレン)、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリアミド等およびこれらの共重合
体等が挙げられる。これらの樹脂は単独で、または混合
して使用することができる。強度、耐久性、コストの点
では高密度ポリエチレン樹脂のシートが望ましい。
【0036】上記の樹脂シートとしては、地温を調節し
て夏期の高温から保護するために、表面が白色又はシル
バー色とし、裏面を光吸収性のある色に着色とした織布
又は不織布シートものが好ましく用いられる。光吸収性
のある色とは、黒、青、赤等であるが、好ましくは遮光
性に優れた黒色である。
【0037】図3に示すように、培養土3をこのシート
2Aで包み込むに際しては、培養土3に接する内面側
(図面ではシート2Aの上面側)をシートの着色面と
し、外面側(図面ではシート2Aの裏面側)を白色又は
シルバー色面となるように配置することが好ましい。こ
の際、可視光線の透過率が10%以下となる織布又は不織
布シートを用いることが、更に好ましい。
【0038】シートの外面側を白色又はシルバー色面に
すると、散乱光ではあるが可視光線を反射し、作物栽培
床内の温度を低く保つ効果がある。即ち、作物の根部成
長を阻害する程の高温になることが防止される。又、シ
ートの外面側が白色又はシルバー色面であると、紫外線
の反射率も高く、有翅アブラムシ、ミナミキイロアザミ
ウマ等の飛来が少なく、ウイルス性病害発生等を最小限
に抑止する。
【0039】一方、シートの内面を光吸収性のある色に
することにより、光をできるだけこの光吸収性のある色
の層(面)即ち着色面に吸収させ、培養土に届く光線を
遮断し、培養土とシートの内面との間に苔や藻類及び雑
草が発生しないようにすると共に、根の発育を促進する
ことができる。
【0040】上述したように、着色面と白色又はシルバ
ー色面を有する不織布シートを製造する方法としては下
記の方法が挙げられる。
【0041】(a)高密度ポリエチレンをフラッシュ紡
糸して製造した白色不織布の片面を黒(墨)色グラビア
印刷インキ、オフセット印刷インキ、スクリーン印刷イ
ンキ等の黒色インキを用いてベタ印刷する。 (b)酸化チタン、硫酸バリウム等の白色顔料、アルミ
ニウム粉末を3〜15重量%含有する高密度ポリエチレン
をフラッシュ紡糸法により製造した不織布と、カーボン
ブラックを 0.5〜5重量%含有する高密度ポリエチレン
をフラッシュ紡糸法により製造した不織布とを接着剤を
用いて貼合する。 (c)白色またはシルバー色の不織布の裏面を、黒
(墨)色のグラビア印刷インキ、オフセット印刷イン
キ、スクリーン印刷インキ等の黒色インキを用いてベタ
印刷する。 (d)黒色の不織布の表面にアンカーコート剤を塗布し
た後、アルミニウムを蒸着させる。 (e)黒色の不織布の裏面に、白色塗料またはアルミニ
ウム塗料を塗布し、乾燥させる。
【0042】次に、収納体2に小孔7Aを形成するに
は、図4に示すように、凹型の金具30を収納体2に嵌
合し、金具30に設けられた穴31から、鋭利部材32
を通し、収納体2に所定の高さ、間隔になるように複数
個の小孔7Aを穿設する。
【0043】尚、小孔7Aは金具30を用いなくても、
鋭利部材32だけでも形成できるが、高さを正確に一致
させるには上記の金具30を用いることは好ましいこと
である。
【0044】小孔7Aは、収納体2の形成時または形成
後すぐに開けられてもよいが、本発明の植物育成床1の
使用状況に合わせて、例えば、植物を植生した後に、開
けることもできる。
【0045】更に本発明の植物育成床の形崩れを防止
し、複数個の小孔7Aを常時一定の高さに保持するため
に、上記の金具30は非常に効果的である。即ち収納体
の底面と収納体の両側を押圧可能な金具30を用いるこ
とによって、形崩れを防止し、小孔7Aの高さ位置を一
定に保持できる。図示の例では鋭利部材32は突き刺し
たままでもよいし、抜いておいてもよい。培養土の流出
を防ぐためには刺したままがよく、その場合には鋭利部
材32には”水みち”を適宜設けるとよい。金具30は
収納体2の長手方向に所定間隔で複数設けることができ
る。
【0046】金具としては、図5に示すように、L字型
の側面に突起33を有する形態のものを使用することも
できる。この突起33は図面の上下方向に複数設けるこ
とができる。また図6に示すようにL字型の側面に穴3
1を設け、収納体2と接触する側に両面テープ34を設
けた形態のものも使用することができる。
【0047】次に、本発明の植物育成床の他の実施例を
図7に示す。図7に示す例は、前述した小孔の代わり
に、収納体2の側面にスリット状の開口7Bを設け、開
口7Bを水は透過するが植物の根は透過しない透水性防
根シート2Bで密閉し、その透水性防根シート2Bの部
位から余剰水を排出する構成を有している。
【0048】これらの透水性防根シートを用いると、植
物の根が収納体の外に出てしまうことを防止できる。植
物の根を外部に出さないようにする理由は、外部に出た
根を通じて、外部の消毒、燻蒸処理を施していない大地
から病原菌が侵入するのを防止するためである。また、
植物が育成床の外部にまで根を張ってしまうと、育成が
終わった後の後片付けの際に、根と育成床を切断する作
業を行わなければならないので、後片付けを容易にする
ためにも、植物の根が収納体の外に出ないようにする必
要がある。
【0049】また、透水性防根シート2Bとしては、主
に透水性の熱可塑性樹脂繊維製の織布、不織布又はフェ
ルトを用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポ
リエチレン(特に高密度ポリエチレン)、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリアミド等およびこれらの共重合
体を挙げることができる。これらの樹脂は単独で、また
は混合して使用することができる。強度、耐久性の点で
はポリエステルが望ましい。なお、透水性防根シート2
Bとしては、天然繊維を用いることもできる。
【0050】上記の透水性防根シート2Bにおいて、シ
ートの透水性とは、一定の面積と厚さをもつシートの中
を水が透過する速度であり、図8及び図9に示す装置に
よって測定した値によって規定する。
【0051】即ち、図8及び図9に示すように、内径20
mmのガラス管50の下端に、試料シート60を接着剤5
1を用いて張付け固定する。垂直に立設したガラス管5
0に水柱高52が100 cm以上になるように水を入れ、下
端の試料シート60を透過させて、受槽53に排出す
る。しかして、水柱高52が100 cmの標線を通過したと
きに測定を開始して透水速度を測定する。
【0052】上記のシートとしては、この手法による測
定によって、水柱高52が90cmに達するまでの時間が60
分以内、好ましくは30分以内、更に好ましくは10分以内
の透水性を有するシートが用いられる。
【0053】また、上述した透水性防根シート2Bは、
防根性を有しているが、好ましくは、根の通過を止める
ために、繊維間に大きな間隙を有していないものが用い
られることであり、不織布では繊維間の間隙が微小で繊
維の重なりの多いものが用いられる。
【0054】防根性は透水性とは直接の関係は有しない
が、一般に、上述の測定法において水柱高が10cmになる
までの時間が1.5 秒以上、好ましくは3秒以上の透水速
度のものが使用される。
【0055】以上のようにして得られたシートの坪量
は、強度や反射率の低下を防止する観点等から60〜 2
00g/m2が好ましい。
【0056】本発明において、開口7Bを覆う透水性防
根シート2Bは、図示のように、収納体2の内側に設け
られていてもよく、また、収納体2の外側に設けられて
いてもよい。
【0057】また、図1のように、小孔を形成し、その
小孔を密閉するように、透水性防根シートを設けること
もできる。
【0058】次に、本発明の植物育成方法について説明
する。本発明の植物育成方法の一実施例としては、図4
に示すように、土面20に載置する際に、収納体2の底
面と収納体2の両側面又は一側面を押圧支持可能な金具
30によって支持しつつ載置することができる。このよ
うに、金具30によって支持しつつ載置することは、収
納体2の形崩れを防止でき好ましい。
【0059】次に、植物育成床の他の例を図10に基づ
いて説明する。
【0060】図10において、20は土面であり、21
は土面を断面山状に盛り土して形成された長尺状の畝で
ある。このように、畝21上に植物育成床1を載置する
と、収納体2内に保水された水は畝21の両側の各々の
傾斜面の下方に分離され、保水部6aと6bが形成され
る。図10に示すような形態は、保水部を分散し、培養
土3の厚さを薄くすることができるので、植物5の根部
周辺の通気性が良くなるという利点がある。即ち、植物
5の根部が湿度による影響を受けにくくなり、根部の環
境を良好に保つことができる。
【0061】また、図10に示すような例は、保水部を
2つに分散することによって、圃場の畝のように、平ら
にすることが困難な場所に載置する場合において、収納
体2の位置決めを行うことができる。
【0062】上記の植物育成床は、上述した畝21以外
にも、傾斜した土面又は凹凸のある土面上でも使用する
ことができる。
【0063】図10において、収納体2の余剰水は小孔
7Aから排出する例が示されているが、小孔7Aの代わ
りに、収納体の側面に、スリット状の開口を設け、開口
を水は通過するが植物の根は通過しない透水性防根シー
トで密封し、開口を密封する透水性防根シートから余剰
水を排出してもよい。また、小孔7Aを密閉するよう
に、透水性防根シートを貼合することもできる。
【0064】また、図10には、収納体2内部下方に保
水材8を設けた例が示されている。保水材8は、保水部
6の水にその一端を浸漬し、他端は保水された水の上部
の培養土3の内部に延出している。
【0065】保水材8を図示したように設けると、保水
部6a、6bの保水作用を補助することができる。保水
材8を設けると、特に、図10のように平らにすること
が困難な場所に載置する場合に、有効であり、植物は保
水材を介して必要な水分を受け取ることができる。保水
材8としては軟質ウレタン発泡体、硬質ウレタン発泡
体、フェノール樹脂製発泡体、ウレア製発泡体、干し草
等がシート状に形成されたものが好ましく用いられる。
【0066】また、上記の植物育成床において、図11
に示すように、植物育成床1の収納体2の外部下方に、
余剰水として排出される水を受ける不透水性の樋体22
を設けることができる。樋体22を設けることによっ
て、余剰水として排出された水を再び植物育成床1に返
送することができ、水を有効に利用できる。また、余剰
水として排出された水は、培養土3を通過した水である
ので、植物の育成に必要な養分を含んでいる。従って、
この水は再び植物育成床1に返送することが好ましい。
上記樋体22の代わりに不透水性の皿を設けることもで
きる。
【0067】以上の実施の形態は、収納体を筒状に形成
した例であるが、本発明では収納体は図12に示すよう
な袋状であってもよい。同図において、図1と同一の符
号の部位は同一の構成であるのでその説明を省略する。
【0068】本発明は、一般の露地に於ける植物の栽培
床として利用でき、露地栽培の自動化・省力化を可能に
する。またガラス室、プラスチックハウス等の施設とし
て使用できることは当然であるが、通常、農耕が不可能
とされる塩類集積地や砂利、コンクリート、アスファル
ト等で舗装された一定地積を農作物栽培生産に利用する
こともできる。
【0069】また、土壌面からの蒸発が多い通常の栽培
床に比べて水の有効利用が可能であり、乾燥地、砂漠地
での植物育成にも利用できる。更に、傾斜面の多い山間
地等でも有効利用できる。
【0070】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、従来の露
地栽培の自動化・省力化を可能にし、特に、培養土の酸
素を欠乏させることなく根部全体の健全な成長を促進で
き、給水作業を簡易にでき、しかも給水量を増やしても
根腐現象を起こすことがなく、また通気性に優れ、植物
育成床内の湿度や温度を過度に上昇させることなく、植
物の成育環境を良好に保てる植物育成床及び植物育成方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図
【図2】図1のII−II線断面図
【図3】植物育成床の製造例を示す斜視図
【図4】植物育成方法の一例を示す斜視図
【図5】金具の一例を示す要部断面図
【図6】金具の他の例を示す要部断面図
【図7】植物育成床の他の例を示す断面図
【図8】透水性を規定する装置を示す斜視図
【図9】図8の要部拡大断面図
【図10】植物育成床の他の例を示す斜視図
【図11】植物育成床の他の例を示す断面図
【図12】本発明の他の実施例を示す斜視図
【符号の説明】
1:植物育成床 2:収納体 2A:不透水性樹脂シート 2B:透水性防根シート 3:培養土 4:間隙 5:植物 6:保水部 7A:小孔 7B:開口 8:保水材 20:土面 21:畝 22:樋体 30:金具 31:穴 32:鋭利部材 33:突起 34:両面テープ 50:ガラス管 51:接着剤 52:水柱高 53:受槽 60:試料シート

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に植物育成用の培養土を充填する収納
    体が、坪量20〜100g/m2、可視光線の反射率60%
    以上、通気性10〜200秒/100ccである織布又は
    不織布シートからなる不透水性の樹脂シートにより袋状
    又は筒状に形成され、前記培養土に供給した水の余剰水
    を排出して一定の水位になるように保水する保水部を有
    することを特徴とする植物育成床。
  2. 【請求項2】収納体の外面が白色又はシルバー色であ
    り、内面が光吸収性のある色で着色されていることを特
    徴とする請求項1記載の植物育成床。
  3. 【請求項3】前記収納体の側面に、複数の小孔を並設
    し、該小孔から前記余剰水を排出することを特徴とする
    請求項1又は2記載の植物育成床。
  4. 【請求項4】前記収納体の側面に、スリット状の開口を
    設け、該開口を水は通過するが植物の根は通過しない透
    水性防根シートで密封し、該開口を密封する透水性防根
    シートから前記余剰水を排出することを特徴とする請求
    項1又は2記載の植物育成床。
  5. 【請求項5】内部に植物育成用の培養土を充填する収納
    体が、坪量20〜100g/m2、可視光線の反射率60%
    以上、通気性10〜200秒/100ccである織布又は
    不織布シートからなる不透水性の樹脂シートにより袋状
    又は筒状に形成され、前記収納体の側面に、複数の小孔
    を並設し、前記培養土に供給した水の余剰水を該小孔か
    ら排出して一定の水位になるように保水する保水部を有
    する植物育成床を土面に載置する際に、該収納体の底面
    と該収納体の両側面又は一側面を押圧支持可能な金具に
    よって支持しつつ載置することを特徴とする植物育成方
    法。
  6. 【請求項6】金具が、収納体の底面と該収納体の両側面
    を押圧支持可能な凹型金具であることを特徴とする請求
    項5記載の植物育成方法。
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