JP2000206407A - リアフォ―カス式のズ―ムレンズ及びそれを用いた光学機器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 全ズーム域・全物体距離にわたって良好な性
能を有する高変倍比のリアフォーカス式のズームレンズ
及びそれを用いた光学機器を得ること。 【解決手段】 物体側より順に、正、負、正、そして正
の屈折力の第４群の４つのレンズ群を有し、該第２群を
像面側へ移動させて広角端から望遠端への変倍を行い、
変倍に伴う像面変動を該第４群を移動させて補正すると
共に該第４群を移動させてフォーカスを行い、該第３群
は最も物体側に絞りを有しその像面側に物体側のレンズ
面が凸面でかつ少なくとも１つのレンズ面が非球面であ
る正レンズＧ３Ｆと、最も像面側には像面側に強い凹面
を向けたメニスカス状の負レンズＧ３Ｒを有し、該第４
群は両レンズ面が凸面で少なくとも１つのレンズ面が非
球面の正レンズと負レンズとの接合レンズより成り、望
遠端における無限遠物体に合焦した時の第４群の倍率β
４Ｔ、該第ｉ群の焦点距離ｆｉを適切に設定したこと。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、リアフォーカス式
のズームレンズ及びそれを用いた光学機器に関し、特に
ビデオカメラやフィルムカメラそして放送用カメラ等に
好適に用いられる、ズーム比が１０倍程度と高変倍比で
ありながら、広角端のＦナンバーが１．６程度と大口径
比で構成するレンズ枚数が比較的少ないリアフォーカス
式のズームレンズ及びそれを用いた光学機器に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来より写真用カメラやビデオカメラな
どの光学機器に使われるズームレンズにおいて、物体側
の第１群より後方のレンズ群を移動させてフォーカスを
行う、いわゆるリアフォーカス方式を採用した例が色々
と提案されている。これは、リアフォーカス方式が比較
的、小型軽量のレンズ群を移動させるので、レンズ群の
駆動力が小さくてすみ、かつ、迅速な焦点合わせができ
るのでオートフォーカスシステムとの相性がいい等の特
徴があるためである。

【０００３】このようなリアフォーカス式のズームレン
ズが例えば、特開昭６２−２０６５１６号公報や特開昭
６２−２４２１３号公報や特開昭６３−２４７３１６号
公報、そして特開平４−４３３１１号公報で提案されて
いる。これらの各公報のリアフォーカス式のズームレン
ズでは、物体側より順に正の屈折力の第１群、負の屈折
力の第２群、正の屈折力の第３群、正の屈折力の第４群
の４つのレンズ群を有し、第２群を移動させて変倍を行
い、変倍に伴う像面変動を第４群を移動させて補正する
と共にフォーカスを行っている。

【０００４】又、特開昭６３−２９７１８号公報では、
物体側より順に正の屈折力の第１群と、負レンズ、負レ
ンズ、正レンズの３枚のレンズにて構成され全体として
負の屈折力で変倍時に可動であって主として変倍をつか
さどる第２群と、正の屈折力を有し非球面を含む第３群
と、少し大きな空気間隔をあけて正の屈折力を有し変倍
に伴う像面変動を補正し、合焦のために移動する第４群
より構成したズームレンズを開示している。

【０００５】特開平５−７２４７２号公報では、物体側
より順に正の屈折力で固定の第１群、負の屈折力で変倍
のための第２群、固定で集光作用を有し正の屈折力の第
３群、像面位置を維持するために光軸上を移動する正の
屈折力の第４群を有する非球面を用いたズームレンズを
開示している。これは、第２群はメニスカス状の負レン
ズと両凹レンズと正レンズを配し、第３群は１面以上の
非球面である単レンズから構成され、第４群は１面以上
の非球面を有するレンズで構成されている。

【０００６】米国特許明細書第４２９９４５４では、物
体側より順に第１正レンズ群、第２負レンズ群、後方の
正レンズ群より構成され、負レンズ群を含む少なくとも
２つのレンズ群を移動させて変倍を行い、第２負レンズ
群は物体側から第１、第２の負レンズと正のダブレット
から成るズームレンズが開示されている。同公報では、
第２群に非球面を配した実施例は開示されていない。

【０００７】又、特開平８−２９２３６９号公報では、
物体側より順に正の屈折力の第１群、非球面を有する負
の屈折力の第２群、非球面を有する正の屈折力の第３
群、非球面を有する正の屈折力の第４群の４つのレンズ
群を有し、第２群を移動させて変倍を行い、変倍に伴う
像面変動を第４群を移動させて補正すると共にフォーカ
スを行っている。

【０００８】また、所用４群リアフォーカス式のズーム
レンズにおいて、変倍用の第２群の屈折力を強めて所定
の変倍比を確保するための第２群の光軸方向の移動量を
少なくする方法がある。

【０００９】上記のような構成にすると、変倍系である
レンズ群の第１群と第２群の間隔が短くなり、又絞りか
ら第１群までの距離が短くなるので前玉径が小さくな
る。それによって第１群の厚さを薄くすることが可能に
なるので、レンズ系全体の小型化が容易になる。

【００１０】また、結像系である第３群と第４群を小型
化する方法として、具体的に、第３群を物体側から順に
正レンズと負レンズで構成し、第３群を所謂、望遠レン
ズタイプとして第３群の主点位置を物体側に移動させて
第３群と第４群の実距離間隔を短くして小型化を図る方
法がある。このような構成のズームレンズが、例えば特
開平５−１９１６５号公報、特開平５−２９７２７５号
公報、特開平５−６０９７３号公報、特開平５−６０９
７４号公報、特開平５−１０７４７３号公報、特開平６
−１３０２９７号公報、特開平８−３０４７００号公
報、ＵＳＰ５１８９５５８号公報、ＵＳＰ５３９６３６
７号公報等で提案されている。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、リアフォー
カス方式を採用しレンズ系全体を小型化し、迅速なフォ
ーカスを可能とし、かつ第１群がズーミング時、固定で
メカ機構が簡単で、ズーム比が１０倍程度と高変倍比に
もかかわらず高い光学性能を有し、かつＦナンバーが
１．６程度と大口径比でありながら、レンズの構成枚数
が少ないリアフォーカス式のズームレンズ及びそれを用
いた光学機器の提供を目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明のリアフ
ォーカス式のズームレンズは、物体側より順に、正の屈
折力の第１群、負の屈折力の第２群、正の屈折力の第３
群、そして正の屈折力の第４群の４つのレンズ群を有
し、該第２群を像面側へ移動させて広角端から望遠端へ
の変倍を行い、変倍に伴う像面変動を該第４群を移動さ
せて補正すると共に該第４群を移動させてフォーカスを
行い、該第３群は最も物体側に絞りを有しその像面側に
物体側のレンズ面が凸面でかつ少なくとも１つのレンズ
面が非球面である正レンズＧ３Ｆと、最も像面側には像
面側に強い凹面を向けたメニスカス状の負レンズＧ３Ｒ
を有し、該第４群は両レンズ面が凸面で少なくとも１つ
のレンズ面が非球面の正レンズと負レンズとの接合レン
ズより成り、望遠端における無限遠物体に合焦した時の
第４群の倍率をβ４Ｔ、該第ｉ群の焦点距離をｆｉとお
いたとき ０．３７＜β４Ｔ＜０．４９ ０．６＜ｆ３／ｆ４＜１．１５ なる条件式を満足することを特徴としている。

【００１３】請求項２の発明のリアフォーカス式のズー
ムレンズは、物体側より順に、正の屈折力の第１群、負
の屈折力の第２群、正の屈折力の第３群、そして正の屈
折力の第４群の４つのレンズ群を有し、該第２群を像面
側へ移動させて広角端から望遠端への変倍を行い、変倍
に伴う像面変動を該第４群を移動させて補正すると共に
該第４群を移動させてフォーカスを行い、該第３群は最
も物体側に絞りを有しその像面側に物体側のレンズ面が
凸面でかつ少なくとも１つのレンズ面が非球面である正
レンズＧ３Ｆと、最も像面側には像面側に強い凹面を向
けたメニスカス状の負レンズＧ３Ｒをし、該第４群は両
レンズ面が凸面で少なくとも１つのレンズ面が非球面の
正レンズと負レンズとの接合レンズより成り、望遠端に
おける無限遠物体に合焦した時の第４群の倍率をβ４Ｔ
とおいたとき、 ０．３７＜β４Ｔ＜０．４３ なる条件式を満足することを特徴としている。

【００１４】請求項３の発明のリアフォーカス式のズー
ムレンズは、物体側より順に、正の屈折力の第１群、負
の屈折力の第２群、正の屈折力の第３群、そして正の屈
折力の第４群の４つのレンズ群を有し、該第２群を像面
側へ移動させて広角端から望遠端への変倍を行い、変倍
に伴う像面変動を該第４群を移動させて補正すると共に
該第４群を移動させてフォーカスを行い、該第３群は最
も物体側に絞りを有しその像面側に物体側のレンズ面が
凸面でかつ少なくとも１つのレンズ面が非球面である正
レンズＧ３Ｆと、最も像面側には像面側に強い凹面を向
けたメニスカス状の負レンズＧ３Ｒを有し、該第４群は
両レンズ面が凸面で少なくとも１つのレンズ面が非球面
の正レンズと負レンズとの接合レンズより成り、広角端
及び望遠端における全系の焦点距離をｆｗ，ｆｔ、広角
端のＦナンバーをＦＮＷ、該負レンズＧ３Ｒの像面側の
レンズ面の曲率半径をＲｒ、該負レンズＧ３Ｒの材質の
屈折率をＮｒ、該第ｉ群の焦点距離をｆｉとし、

【００１５】

【数４】

【００１６】とおいたとき、 ０．２８＜｛｜ｆ２／ｆＡ｜｝×ＦＮＷ＜０．５１ ０．３＜Ｒｒ／｛（Ｎｒ−１）ｆＡ｝＜０．６ なる条件式を満足することを特徴としている。

【００１７】請求項４の発明のリアフォーカス式のズー
ムレンズは、物体側より順に、正の屈折力の第１群、負
の屈折力の第２群、正の屈折力の第３群、そして正の屈
折力の第４群の４つのレンズ群を有し、該第２群を像面
側へ移動させて広角端から望遠端への変倍を行い、変倍
に伴う像面変動を該第４群を移動させて補正すると共に
該第４群を移動させてフォーカスを行い、該第３群は最
も物体側に絞りを有しその像面側に物体側のレンズ面が
凸面でかつ少なくとも１つのレンズ面が非球面である正
レンズＧ３Ｆと、最も像面側には像面側に強い凹面を向
けたメニスカス状の負レンズＧ３Ｒをし、該第４群は両
レンズ面が凸面で少なくとも１つのレンズ面が非球面の
正レンズと負レンズとの接合レンズより成り、広角端及
び望遠端における全系の焦点距離をｆｗ，ｆｔ、広角端
のＦナンバーをＦＮＷ、該第ｉ群の焦点距離をｆｉと
し、

【００１８】

【数５】

【００１９】とおいたとき、 ０．２８＜｛｜ｆ２／ｆＡ｜｝×ＦＮＷ＜０．５１ ０．６＜ｆ３／ｆ４＜１．１５ なる条件式を満足することを特徴としている。

【００２０】請求項１５の発明の光学機器は、請求項１
の発明から請求項４の発明のいずれか１つのリアフォー
カス式のズームレンズを有することを特徴としている。

【００２１】

【発明の実施の形態】図１は本発明のリアフォーカス式
のズームレンズの実施形態１の要部断面図、図２，図
３，図４は実施形態１の広角端，中間，望遠端のズーム
位置における収差図である。図５は本発明のリアフォー
カス式のズームレンズの実施形態２の要部断面図、図
６，図７，図８は実施形態２の広角端，中間，望遠端の
ズーム位置における収差図である。図９は本発明のリア
フォーカス式のズームレンズの実施形態３の要部断面
図、図１０，図１１，図１２は実施形態３の広角端，中
間，望遠端のズーム位置における収差図である。図１３
は本発明のリアフォーカス式のズームレンズの実施形態
４の要部断面図、図１４，図１５，図１６は実施形態４
の広角端，中間，望遠端のズーム位置における収差図で
ある。

【００２２】図中Ｌ１は正の屈折力の第１群、Ｌ２は負
の屈折力の第２群、Ｌ３は正の屈折力の第３群、Ｌ４は
正の屈折力の第４群である。ＳＰは開口絞りであり、第
３群Ｌ３の前方に配置している。Ｇは色分解プリズムや
フェースプレートやフィルター等のガラスブロックであ
る。ＩＰは像面であり、ＣＣＤ等の撮像素子が配置され
ている。

【００２３】本実施形態では広角端から望遠端への変倍
に際して矢印のように第２群を像面側へ移動させると共
に、変倍に伴う像面変動を第４群を物体側に凸状の軌跡
を有しつつ移動させて補正している。

【００２４】また、第４群を光軸上移動させてフォーカ
スを行うリアフォーカス式を採用している。同図に示す
第４群の実線の曲線４ａと点線の曲線４ｂは各々無限遠
物体と近距離物体にフォーカスしているときの広角端か
ら望遠端への変倍に伴う際の像面変動を補正するための
移動軌跡を示している。尚、第１群と第３群は変倍及び
フォーカスの際固定である。

【００２５】本実施例においては、第４群を移動させて
変倍に伴う像面変動の補正を行うと共に第４群を移動さ
せてフォーカスを行うようにしている。特に同図の曲線
４ａ，４ｂに示すように広角端から望遠端への変倍に際
して物体側へ凸状の軌跡を有するように移動させてい
る。これにより第３群と第４群との空間の有効利用を図
りレンズ全長の短縮化を効果的に達成している。

【００２６】本実施例において、例えば望遠端において
無限遠物体から近距離物体へフォーカスを行う場合は同
図の直線４ｃに示すように第４群を前方へ繰り出すこと
により行っている。そして、本実施形態のリアフォーカ
ス式のズームレンズは、該第３群は最も物体側に絞りを
有しその像面側に物体側のレンズ面が凸面でかつ少なく
とも１つのレンズ面が非球面である正レンズＧ３Ｆと、
最も像面側には像面側に強い凹面を向けたメニスカス状
の負レンズＧ３Ｒを有し、該第４群は両レンズ面が凸面
で少なくとも１つのレンズ面が非球面の正レンズと負レ
ンズとの接合レンズより成っていることを基本構成とし
ている。尚、これらの構成要件のうち非球面は多少の光
学性能の低下はあるが必ずしも設けなくとも良い。

【００２７】本実施形態のリアフォーカス式のズームレ
ンズは以上の基本構成の基で、(アー1) 第１発明は、望遠
端における無限遠物体に合焦した時の第４群の倍率をβ
４Ｔ、該第ｉ群の焦点距離をｆｉとおいたとき ０．３７＜β４Ｔ＜０．４９…（１ａ） ０．６＜ｆ３／ｆ４＜１．１５…（１ｂ） なる条件式を満足することを特徴としている。

【００２８】(アー2) 第２発明は、望遠端における無限遠
物体に合焦した時の第４群の倍率をβ４Ｔとおいたと
き、 ０．３７＜β４Ｔ＜０．４３…（２ａ） なる条件式を満足することを特徴としている。

【００２９】(アー3) 第３発明は、広角端及び望遠端にお
ける全系の焦点距離をｆｗ，ｆｔ、広角端のＦナンバー
をＦＮＷ、該負レンズＧ３Ｒの像面側のレンズ面の曲率
半径をＲｒ、該負レンズＧ３Ｒの材質の屈折率をＮｒ、
該第ｉ群の焦点距離をｆｉとし、

【００３０】

【数６】

【００３１】とおいたとき、 ０．２８＜｛｜ｆ２／ｆＡ｜｝×ＦＮＷ＜０．５１…（３ａ） ０．３＜Ｒｒ／｛（Ｎｒ−１）ｆＡ｝＜０．６…（３ｂ） なる条件式を満足することを特徴としている。

【００３２】(アー4) 第４発明は、広角端及び望遠端にお
ける全系の焦点距離をｆｗ，ｆｔ、広角端のＦナンバー
をＦＮＷ、該第ｉ群の焦点距離をｆｉとし、

【００３３】

【数７】

【００３４】とおいたとき、 ０．２８＜｛｜ｆ２／ｆＡ｜｝×ＦＮＷ＜０．５１…（４ａ） ０．６＜ｆ３／ｆ４＜１．１５…（４ｂ） なる条件式を満足することを特徴としている。

【００３５】本実施形態では以上のようにレンズ構成を
設定することにより、全変倍範囲にわたり、又、物体距
離全体にわたり高い光学性能を得ている。

【００３６】次に前述の各条件式の技術的な意味につい
て説明する。

【００３７】条件式（１ａ），（２ａ）の範囲に設定す
ることにより結像系である第３群から第４群及び像面ま
でを短くしている。

【００３８】条件式（１ａ），（２ａ）の上限値を超え
るとバックフォーカスが短くなりすぎて、像面に配した
ＣＣＤの光学部材と干渉してくる。逆に下限値を超える
とバックフォーカスが長くなりすぎ、レンズ全長の大型
化を招き好ましくない。

【００３９】条件式（１ｂ），（４ｂ）は結像系である
第３群と第４群を小型化を図るための最適な屈折力配分
を表している。特に第３群と第４群の間隔を最適にした
時、第３群から射出する光束を第４群に略アフォーカル
で入射させ、最適なバックフォーカスを確保するための
ものである。

【００４０】上限値を超えると第３群から射出する光束
がアフォーカルから逸脱し、第４群が大型化してくる。
また第４群の移動に伴う収差変動が大きくなり好ましく
ない。逆に下限値を超えると第４群の屈折力が弱くな
り、フォーカスのための移動量が大きくなり全長が長く
なってくる。

【００４１】本発明のようなタイプのズームレンズにお
いて、変倍に大きく寄与する第２群の屈折力を強くする
と、変倍に伴う第２群の移動量を少なくすることが可能
になり、レンズ全長を短くすることができる。

【００４２】しかしこれは、該ズームレンズのＦナンバ
ーにも関係し、このファクターを考慮する必要がある。
Ｆナンバーが暗ければ焦点距離ｆ２を小さくすることが
可能になるが、実際そのような仕様のレンズは製品にす
ることは困難である。

【００４３】条件式（３ａ），（４ａ）はこのようなこ
とに基づいて設定したものであり、条件式（３ａ），
（４ａ）の上限値を超えて焦点距離が長くなりすぎる
と、収差上は好ましいが、所望のズーム比を得るために
は該第２群の移動量を大きくしなくてはならず、レンズ
系全体の大型化を招き好ましくない。逆に下限値を超え
るとペッツバール和が負に大きくなり、像面が倒れてく
るので良好な光学性能を保つのが困難になる。

【００４４】条件式（３ｂ）は第３群の負レンズＧ３Ｒ
に関するものであり、条件式（３ｂ）の上限値を超える
と第３群での望遠タイプの効果が小さくなり、バックフ
ォーカスが短くなってくるので好ましくない。逆に下限
値を超えると曲率半径が小さくなりすぎて、該面で発生
する収差が大きくなり、第３群で補正するのが困難にな
ると同時に、第４群との距離が狭くなり、第４群と干渉
してくるので良くない。

【００４５】尚、第１，第２，第４発明においては、前
記負レンズＧ３Ｒの像面側のレンズ面の曲率半径をＲ
ｒ、該負レンズＧ３Ｒの材質の屈折率をＮｒとしたと
き、 ０．３＜Ｒｒ／｛（Ｎｒ−１）ｆＡ｝＜０．６…（５） なる条件式を満足することが良い。この条件式（５）の
技術的意味は前述の条件式（３ｂ）と同じである。

【００４６】又、第２，第３発明においては、前記第ｉ
群の焦点距離をｆｉとしたとき、 ０．６＜ｆ３／ｆ４＜１．１５…（６） なる条件式を満足することが良い。この条件式（６）の
技術的意味は前述の条件式（１ｂ）と同じである。

【００４７】尚、第１発明から第４発明において、更に
光学性能を良好に維持しつつ、レンズ全長の短縮を達成
するためには、以下の条件のうち少なくとも１つを満足
することが望ましい。

【００４８】(イ-1)前記第２群は２枚以上の負レンズと
１枚の正レンズから構成されていることである。本発明
のようなズームタイプで変倍比を上げる場合、変倍機能
に大きく寄与する第２群の移動量を大きくするか、該第
２群の焦点距離を短くする必要がある。前記の方法は、
ズームレンズの大型化を招き好ましくなく、後記の方法
はレンズは大きくならないものの第２群に負担が大きく
かかり、光学性能を良好に保つ事が困難になってくる。
そこで上述のごとく第２群を構成することにより光学性
能を良好に補正する事ができる。

【００４９】(イ-2)前記第２群は、物体側より順に像面
側に強い凹面を向けた負の第２１レンズ、両レンズ面が
凹面の負の第２２レンズ、物体側に強い凸面を向けた正
の第２３レンズにより構成されることである。これは前
述の(イ−1)で述べたのと同じ理由である。

【００５０】(イ-3)前記負の第２２レンズと前記正の第
２３レンズは接合されていることである。これによって
第２群中の色収差を良好に補正している。

【００５１】(イ-4)前記第２群は非球面を有しているこ
とである。この非球面を配置することにより軸外の光学
性能を向上している。

【００５２】(イ-5)前記第２群中の非球面はＲ０を光軸
近傍の曲率半径としたとき、 １．０＜｜Ｒ０／ｆ２｜＜４．０…（７） の条件式を満足する面に配置されていることである。本
発明では非球面を、曲率半径の小さいレンズ面に配置す
ることにより、より効果的に収差を補正している。特に
軸外のフレアーを良好に補正している。条件式（７）の
上限値を超えると軸外の性能の補正効果が少なくなり好
ましくない。逆に下限値をこえると曲率が小さく成りす
ぎて、非球面を製造するのが困難になってくる。なお、
非球面は、レンズの周辺部にいくにしたがって屈折力が
弱くなる形状となることが望ましい。

【００５３】(イ-6)前記第１群の物体側の第１レンズ面
から近軸像面までの距離をＬ（最も像面側に配置したロ
ーパスフィルター等のダミーガラスは、空気に換算値）
とおいたとき、 ２．７＜Ｌ／ｆＡ＜３．９…（８） なる条件式を満足することである。条件式（８）の上限
値を超えるとレンズ全長が長くなり良くない。逆に下限
値を超えるとペッツバール和が負に大きくなり、像面が
倒れてくるので良好な光学性能を保つのが困難になる。

【００５４】(イ-7)前記第２群の最も物体側の負レンズ
の媒質の屈折率をＮ２ｆとおいたとき、 １．８４＜Ｎ２ｆ＜１．９５…（９） なる条件式を満足することである。これはペッツバール
和に関係し、像面湾曲をバランスよく補正する条件であ
る。条件式（９）の上限値を超えると像面湾曲は有利に
なるが、実際に使用可能な硝材を考慮するとアッベ数が
小さくなり、色収差の補正が困難になってくる。逆に下
限値を超えると像面が物体側に凹となるように湾曲し好
ましくない。

【００５５】(イ−8)前記第３群の最も物体側のレンズ面
から最も像面側のレンズ面までの光軸上の距離をＤ３、
広角端と望遠端における全系の焦点距離をｆｗ，ｆｔと
し、

【００５６】

【数８】

【００５７】とおいたとき、 ０．１５＜Ｄ３／ｆＡ＜０．５４…（１０） なる条件式を満足することである。条件式（１０）の上
限値を超えると全長の増大化を招き、逆に下限値を超え
ると全長は有利であるが、Ｆナンバーの大口径化が難し
くなってくる。

【００５８】次に本発明のズームレンズを撮影光学系と
して用いたビデオカメラ（光学機器）の実施形態を図１
７を用いて説明する。

【００５９】図１７において、１０はビデオカメラ本
体、１１は本発明のズームレンズによって構成された撮
影光学系、１２は撮影光学系１１によって被写体像を受
光するＣＣＤ等の撮像素子、１３は撮像素子１２が受光
した被写体像を記録する記録手段、１４は不図示の表示
素子に表示された被写体像を観察するためのファインダ
ーである。上記表示素子は液晶パネル等によって構成さ
れ、撮像素子１２上に形成された披写体像が表示され
る。１５は、前記ファインダーと同等の機能を有する液
晶表示パネルである。

【００６０】このように本発明のズームレンズをビデオ
カメラ等の光学機器に適用することにより、小型で高い
光学性能を有する光学機器を実現している。

【００６１】以下に、本発明の数値実施例を記載する。

【００６２】数値実施例において、Ｒｉは物体側より順
に第ｉ番目のレンズ面の曲率半径、Ｄｉは物体側より順
に第ｉ番目のレンズ厚及び空気間隔、Ｎｉとνｉはそれ
ぞれ物体側より順に第ｉ番目のレンズのガラスの屈折率
とアッベ数である。

【００６３】非球面形状は、光軸方向にＸ軸、光軸と垂
直方向にＨ軸、光の進行方向を正とし、Ｒを近軸曲率半
径、各非球面係数をＫ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆとしたと
き、

【００６４】

【数９】

【００６５】なる式で表している。また、例えば「ｅ−
Ｚ」の表示は「１０^-Z」を意味する。前述の各条件式と
数値実施例における諸数値との関係を表−１に示す。

【００６６】

【外１】

【００６７】

【外２】

【００６８】

【外３】

【００６９】

【外４】

【００７０】

【表１】

【００７１】

【発明の効果】本発明によれば以上説明したように構成
することにより、レンズ系全体を小型化し、迅速なフォ
ーカスを可能とし、かつ第１群がズーミング時固定でメ
カ機構が簡単で、ズーム比が１０倍程度と高変倍比にも
かかわらず高い光学性能を有し、かつＦナンバーが１．
６程度と大口径比でありながら、レンズの構成枚数が少
ないリアフォーカス式のズームレンズ及びそれを用いた
光学機器を実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の数値実施例１のレンズ断面図

【図２】 本発明の数値実施例１の広角端の収差図

【図３】 本発明の数値実施例１の中間の収差図

【図４】 本発明の数値実施例１の望遠端の収差図

【図５】 本発明の数値実施例２のレンズ断面図

【図６】 本発明の数値実施例２の広角端の収差図

【図７】 本発明の数値実施例２の中間の収差図

【図８】 本発明の数値実施例２の望遠端の収差図

【図９】 本発明の数値実施例３のレンズ断面図

【図１０】 本発明の数値実施例３の広角端の収差図

【図１１】 本発明の数値実施例３の中間の収差図

【図１２】 本発明の数値実施例３の望遠端の収差図

【図１３】 本発明の数値実施例４のレンズ断面図

【図１４】 本発明の数値実施例４の広角端の収差図

【図１５】 本発明の数値実施例４の中間の収差図

【図１６】 本発明の数値実施例４の望遠端の収差図

【図１７】 本発明の光学機器の要部概略図

【符号の説明】

Ｌ１ 第１群 Ｌ２ 第２群 Ｌ３ 第３群 Ｌ４ 第４群 ＳＰ 絞り Ｇ ガラスブロック ＩＰ 像面 ｄ ｄ線 ｇ ｇ線 ΔＭ メリディオナル像面 ΔＳ サジタル像面

Claims (15)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 物体側より順に、正の屈折力の第１群、
   負の屈折力の第２群、正の屈折力の第３群、そして正の
   屈折力の第４群の４つのレンズ群を有し、該第２群を像
   面側へ移動させて広角端から望遠端への変倍を行い、変
   倍に伴う像面変動を該第４群を移動させて補正すると共
   に該第４群を移動させてフォーカスを行い、該第３群は
   最も物体側に絞りを有しその像面側に物体側のレンズ面
   が凸面でかつ少なくとも１つのレンズ面が非球面である
   正レンズＧ３Ｆと、最も像面側には像面側に強い凹面を
   向けたメニスカス状の負レンズＧ３Ｒを有し、該第４群
   は両レンズ面が凸面で少なくとも１つのレンズ面が非球
   面の正レンズと負レンズとの接合レンズより成り、望遠
   端における無限遠物体に合焦した時の第４群の倍率をβ
   ４Ｔ、該第ｉ群の焦点距離をｆｉとおいたとき ０．３７＜β４Ｔ＜０．４９ ０．６＜ｆ３／ｆ４＜１．１５ なる条件式を満足することを特徴とするリアフォーカス
   式のズームレンズ。
2. 【請求項２】 物体側より順に、正の屈折力の第１群、
   負の屈折力の第２群、正の屈折力の第３群、そして正の
   屈折力の第４群の４つのレンズ群を有し、該第２群を像
   面側へ移動させて広角端から望遠端への変倍を行い、変
   倍に伴う像面変動を該第４群を移動させて補正すると共
   に該第４群を移動させてフォーカスを行い、該第３群は
   最も物体側に絞りを有しその像面側に物体側のレンズ面
   が凸面でかつ少なくとも１つのレンズ面が非球面である
   正レンズＧ３Ｆと、最も像面側には像面側に強い凹面を
   向けたメニスカス状の負レンズＧ３Ｒをし、該第４群は
   両レンズ面が凸面で少なくとも１つのレンズ面が非球面
   の正レンズと負レンズとの接合レンズより成り、望遠端
   における無限遠物体に合焦した時の第４群の倍率をβ４
   Ｔとおいたとき、 ０．３７＜β４Ｔ＜０．４３ なる条件式を満足することを特徴とするリアフォーカス
   式のズームレンズ。
3. 【請求項３】 物体側より順に、正の屈折力の第１群、
   負の屈折力の第２群、正の屈折力の第３群、そして正の
   屈折力の第４群の４つのレンズ群を有し、該第２群を像
   面側へ移動させて広角端から望遠端への変倍を行い、変
   倍に伴う像面変動を該第４群を移動させて補正すると共
   に該第４群を移動させてフォーカスを行い、該第３群は
   最も物体側に絞りを有しその像面側に物体側のレンズ面
   が凸面でかつ少なくとも１つのレンズ面が非球面である
   正レンズＧ３Ｆと、最も像面側には像面側に強い凹面を
   向けたメニスカス状の負レンズＧ３Ｒを有し、該第４群
   は両レンズ面が凸面で少なくとも１つのレンズ面が非球
   面の正レンズと負レンズとの接合レンズより成り、広角
   端及び望遠端における全系の焦点距離をｆｗ，ｆｔ、広
   角端のＦナンバーをＦＮＷ、該負レンズＧ３Ｒの像面側
   のレンズ面の曲率半径をＲｒ、該負レンズＧ３Ｒの材質
   の屈折率をＮｒ、該第ｉ群の焦点距離をｆｉとし、 【数１】 とおいたとき、 ０．２８＜｛｜ｆ２／ｆＡ｜｝×ＦＮＷ＜０．５１ ０．３＜Ｒｒ／｛（Ｎｒ−１）ｆＡ｝＜０．６ なる条件式を満足することを特徴とするリアフォーカス
   式のズームレンズ。
4. 【請求項４】 物体側より順に、正の屈折力の第１群、
   負の屈折力の第２群、正の屈折力の第３群、そして正の
   屈折力の第４群の４つのレンズ群を有し、該第２群を像
   面側へ移動させて広角端から望遠端への変倍を行い、変
   倍に伴う像面変動を該第４群を移動させて補正すると共
   に該第４群を移動させてフォーカスを行い、該第３群は
   最も物体側に絞りを有しその像面側に物体側のレンズ面
   が凸面でかつ少なくとも１つのレンズ面が非球面である
   正レンズＧ３Ｆと、最も像面側には像面側に強い凹面を
   向けたメニスカス状の負レンズＧ３Ｒをし、該第４群は
   両レンズ面が凸面で少なくとも１つのレンズ面が非球面
   の正レンズと負レンズとの接合レンズより成り、広角端
   及び望遠端における全系の焦点距離をｆｗ，ｆｔ、広角
   端のＦナンバーをＦＮＷ、該第ｉ群の焦点距離をｆｉと
   し、 【数２】 とおいたとき、 ０．２８＜｛｜ｆ２／ｆＡ｜｝×ＦＮＷ＜０．５１ ０．６＜ｆ３／ｆ４＜１．１５ なる条件式を満足することを特徴とするリアフォーカス
   式のズームレンズ。
5. 【請求項５】 前記負レンズＧ３Ｒの像面側のレンズ面
   の曲率半径をＲｒ、該負レンズＧ３Ｒの材質の屈折率を
   Ｎｒとしたとき、 ０．３＜Ｒｒ／｛（Ｎｒ−１）ｆＡ｝＜０．６ なる条件式を満足することを特徴とする請求項１，２又
   は４のリアフォーカス式のズームレンズ。
6. 【請求項６】 前記第ｉ群の焦点距離をｆｉとしたと
   き、 ０．６＜ｆ３／ｆ４＜１．１５ なる条件式を満足することを特徴とする請求項２、又は
   ３のリアフォーカス式のズームレンズ。
7. 【請求項７】 前記第２群は２枚以上の負レンズと１枚
   の正レンズから構成されていることを特徴とする請求項
   １から６のいずれか１項のリアフォーカス式のズームレ
   ンズ。
8. 【請求項８】 前記第２群は、物体側より順に像面側に
   強い凹面を向けた負の第２１レンズ、両レンズ面が凹面
   の負の第２２レンズ、物体側に強い凸面を向けた正の第
   ２３レンズにより構成されることを特徴とする請求項７
   のリアフォーカス式のズームレンズ。
9. 【請求項９】 前記負の第２２レンズと前記正の第２３
   レンズは接合されていることを特徴とする請求項８のリ
   アフォーカス式のズームレンズ。
10. 【請求項１０】 前記第２群は非球面を有していること
    を特徴とする請求項１から９のいずれか１項のリアフォ
    ーカス式のズームレンズ。
11. 【請求項１１】 前記第２群中の非球面はＲ０を光軸近
    傍の曲率半径としたとき、 １．０＜｜Ｒ０／ｆ２｜＜４．０ の条件式を満足する面に配置されていることを特徴とす
    る請求項１０のリアフォーカス式のズームレンズ。
12. 【請求項１２】 前記第１群の物体側の第１レンズ面か
    ら近軸像面までの距離をＬ（最も像面側に配置したロー
    パスフィルター等のダミーガラスは、空気に換算値）と
    おいたとき、 ２．７＜Ｌ／ｆＡ＜３．９ なる条件式を満足することを特徴とする請求項１から１
    １のいずれか１項のリアフォーカス式のズームレンズ。
13. 【請求項１３】 前記第２群の最も物体側の負レンズの
    媒質の屈折率をＮ２ｆとおいたとき、 １．８４＜Ｎ２ｆ＜１．９５ なる条件式を満足することを特徴とする請求項１から１
    ２のいずれか１項のリアフォーカス式のズームレンズ。
14. 【請求項１４】 前記第３群の最も物体側のレンズ面か
    ら最も像面側のレンズ面までの光軸上の距離をＤ３、広
    角端と望遠端における全系の焦点距離をｆｗ，ｆｔと
    し、 【数３】 とおいたとき、 ０．１５＜Ｄ３／ｆＡ＜０．５４ なる条件式を満足することを特徴とする請求項１から１
    ３のいずれか１項のリアフォーカス式のズームレンズ。
15. 【請求項１５】 請求項１から１４のいずれか１項のリ
    アフォーカス式のズームレンズを有することを特徴とす
    る光学機器。