JP2000204200A - ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ

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JP2000204200A
JP2000204200A JP11009447A JP944799A JP2000204200A JP 2000204200 A JP2000204200 A JP 2000204200A JP 11009447 A JP11009447 A JP 11009447A JP 944799 A JP944799 A JP 944799A JP 2000204200 A JP2000204200 A JP 2000204200A
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rubber
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Mitsuru Araki
充 荒木
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 氷雪上での駆動性、制動性及び操縦安定性な
どが向上した空気入りタイヤを与えるゴム組成物、及び
このものを用いた空気入りタイヤを提供すること。 【解決手段】 ゴム成分と短繊維と好ましくは発泡剤を
配合してなるゴム組成物において、該短繊維として、二
つ以上の異なる樹脂材が長手方向に連続して延在してな
る実質上円柱形状を有し、かつ断面構造において、上記
二つ以上の異なる樹脂材が中心線又は中心点に対し、非
対称に配置されてなる短繊維を用いたゴム組成物、及び
このゴム組成物をトレッドに用いた空気入りタイヤであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム組成物及びそ
れを用いた空気入りタイヤに関する。更に詳しくは、本
発明は氷雪上で駆動性、制動性及び操縦安定性などのタ
イヤ性能(以下、氷雪上性能と称することがある。)の
向上したタイヤを与えるゴム組成物、及びこのものをト
レッドに用いた空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、冬期においてはタイヤを交換する
ことなく夏期と同様に使用しうる、いわゆるオールシー
ズンタイヤの需要が伸びてきている。この種のタイヤ
は、 冬期においても夏期と同様のドライグリップ性、ウ
ェットグリップ性、操縦安定性、耐久性、低燃費性を有
し、さらに、氷上や雪上においても、充分な駆動性及び
制動性を有することが要求される。従来、このようなタ
イヤに使用されるトレッドゴムとしては、例えばサマー
用トレッドゴムの低温での硬度を低くしたり、低温での
弾性率を適切に保持するために軟化剤を加えたゴム組成
物を使用することが試みられている。
【0003】しかしながら、トレッドゴムに前者のゴム
組成物を用いたタイヤにおいては、ポリマーのヒステリ
シス特性のために、氷雪温度領域ではある程度の性能が
発揮されても、湿潤路面や乾燥路面での制動性や操縦性
が充分ではないという問題がある。一方、トレッドゴム
に後者のゴム組成物(例えば、特開昭55−13514
9号公報,特開昭58−199203号公報,特開昭6
0−137945号公報など)を用いたタイヤにおいて
は、氷雪上性能は改良されるものの、一般路を走行した
際の耐摩耗性や耐久性に及ぼす悪影響が大きいなどの問
題点が指摘されている。また、これらはいずれも、−5
℃以下の比較的低温領域における、いわゆるドライ・オ
ン・アイスでの氷雪上性能は良好であるものの、0℃付
近の湿潤状態、いわゆるウェット・オン・アイスでの氷
雪上性能については充分な摩擦係数が得られず、駆動
性、制動性及び操縦安定性が充分に改良されているとは
いえない。
【0004】これに対し、近年、トレッドゴム自体に摩
擦力向上のための工夫を加えることが試みられている。
その第1の方法としては、トレッドゴムを適当な方法で
発泡させ、独立気泡を生成させる方法がある(例えば特
開昭63−89547号公報など)。この方法で得られ
たトレッドゴムの表面は多数の気孔で覆われているた
め、氷面に対する除水効果及び気孔部のミクロな運動に
よる氷を削り取るエッジ効果の発現によって、氷上高摩
擦性を発現する。この手法は、実際のタイヤトレッドに
取り入れられ、スタッドレスタイヤとして実用化されて
いる。また、トレッドゴムに各種の異物、例えば砂やも
みがらなどの天然物などを混入させ、タイヤ走行時にこ
れらの異物が抜け落ちることによって、気孔を発生させ
る方法も検討されている。この方法は、氷上高摩擦化の
メカニズムとしては、上記発泡トレッドゴムと同一であ
る。第2の方法は、各種の高硬度材料をトレッドゴム中
に混入させ、該高硬度材料の氷面に対する引き掻き効果
を利用して、トレッドゴムの氷上高摩擦化を実現しよう
としたものである(特公昭46−31732号公報、特
開昭51−147803号公報、特開昭56−5205
7号公報、特公平6−102737号公報など)。この
方法は、前記第1の方法とは明らかに異なったメカニズ
ムによるトレッドゴムの氷上高摩擦化方法であって、多
くの場合、該高硬度材料を多量に混入すればするほど、
トレッドゴムは氷上高摩擦化される傾向にある。
【0005】さらに第3の方法として、ミクロな短繊維
を配合することで、氷雪上性能を向上させることが試み
られている(特開平6−328907号公報、特開平6
−328908号公報など)。この技術は、ミクロな短
繊維をタイヤ周方向に配向させることにより、トレッド
にきざみ込んだ溝、サイプによって低下するブロック剛
性やサイプ剛性を補強し、踏面内での「周方向たおれ込
み変形量」を抑制することによって、氷路との接触面積
の低下を防ぐという発想によるものである。しかしなが
ら、これら第1〜第3の方法は、いずれも必ずしも充分
に満足しうる方法とはいえないのが実状である。例え
ば、第1の方法においては、凹部の水分を吸排水する体
積に限界があるため、大量の水が存在する0℃近傍の氷
路では吸排水機能が飽和し、効果が頭打ちになるのを免
れないという欠点がある。また、第2の方法において
は、水分の多い0℃付近での氷雪上性能改良効果が小さ
い上、高硬度材料がゴムに対して親和性のない異物とし
て存在するため、耐摩擦性や破壊特性の低下が著しいな
どの欠点がある。更に、第3の方法においては、氷路と
の接地面内で発生する水分を吸排水する機能に乏しいた
め、氷雪上性能改善効果が充分ではないという欠点があ
る。
【0006】そこで、このような欠点を改良するため
に、融点が異なる鞘−芯の二層構造を有する短繊維を発
泡ゴム系に配合したゴム組成物を、トレッドゴムに用い
ることが提案されている(特開平10−36562号公
報)。このゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに用いた
場合、加硫中に短繊維の鞘部が溶融し、この軟らかくな
った部分に周囲のゴムマトリックス中で発生する発泡ガ
スが集まり、その結果、該短繊維を核とした連続気孔が
形成され、個々に独立した気孔よりも、より効果的に排
水路となる空洞部が形成されて氷雪上性能が向上する。
しかしながら、前記ゴム組成物をトレッドゴムに加工す
る際の押出し工程において、該短繊維が押出し方向へ配
向するため、形成される連続気孔も、タイヤの進行(前
後)方向に揃って向くことになる。その結果、タイヤ前
後方向での氷雪路面上の排水効率がよくなり、特に制動
性能の向上が見られるが、反面、タイヤの横方向(左右
方向)での排水性の向上効果が不充分となり、タイヤの
前後と左右とで性能が異なるものとなる。
【0007】このような性能の不均等は、特に接地面積
が大きく、接地圧も大きくなってくると顕在化してくる
ことが判明しており、したがって、PSR(乗用車用タ
イヤ)では問題がなくとも、TBR(トラック・バス用
タイヤ)では、氷路上での操縦安定性の低下が生じる恐
れがあって、前記ゴム組成物を安易には適用できないと
いう問題がある。ゴム組成物の押出し工程において、短
繊維が配向するのを防止する方法としては、例えば押出
し装置の改良なども考えられるが、この場合、設備変更
によるコスト増や、生産性の低下が生じるなどの問題が
ある上、配向方向に角度をもたせる程度で、完全な無配
向とすることは困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、氷雪上でのタイヤの前後及び左右における性
能が良好にバランスし、駆動性、制動性及び操縦安定性
などの氷雪上性能が向上したタイヤを与えるゴム組成
物、及びこのものを用いた空気入りタイヤを提供するこ
とを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、ゴム成分と特定
の構造を有する短繊維を含有するゴム組成物、特に、さ
らに発泡剤を配合してなるゴム組成物により、その目的
を達成しうることを見出した。本発明はかかる知見に基
づいて完成したものである。すなわち、本発明は、ゴム
成分と短繊維を含有するゴム組成物において、該短繊維
として、二つ以上の異なる樹脂材が長手方向に連続して
延在してなる実質上円柱形状を有し、かつ断面構造にお
いて、上記二つ以上の異なる樹脂材が中心線又は中心点
に対し、非対称に配置されてなる短繊維を用いたことを
特徴とするゴム組成物、特に好ましくは、さらに発泡剤
を配合してなるゴム組成物を提供するものである。ま
た、本発明は、上記ゴム組成物をトレッドに用いたこと
を特徴とする空気入りタイヤをも提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のゴム組成物は、ゴム成分
と、短繊維と、さらに好ましくは発泡剤とを配合するも
のであって、上記ゴム成分としては、特に制限はなく、
従来タイヤのトレッドに慣用されているものの中から、
任意のものを適宜選択して用いることができる。このゴ
ム成分としては、天然ゴムやジエン系合成ゴムが好まし
く、ジエン系合成ゴムの例としては、ポリイソプレン合
成ゴム(IR),ポリブタジエンゴム(BR),スチレ
ン−ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリルブタ
ジエンゴム(NBR),クロロプレンゴム(CR),ブ
チルゴム(IIR)などが挙げられる。この天然ゴムや
ジエン系合成ゴムは単独で用いてもよく、二種以上を組
合わせて用いてもよい。
【0011】本発明の組成物においては、短繊維とし
て、二つ以上の異なる樹脂材が長手方向に連続して延在
してなる実質上円柱形状を有し、かつ断面構造におい
て、上記二つ以上の異なる樹脂材が中心線又は中心点に
対し、非対称に配置されているものを用いることが必要
である。このような構造の短繊維を用いることにより、
ゴム組成物の押出し時に、該短繊維が配向しても、加硫
時に「くの字」型に折曲することによって、配向をなく
すことができるので、タイヤの前後及び左右における性
能をバランスさせることができ、本発明の目的が達せら
れる。
【0012】このような現象は、上記二つ以上の異なる
樹脂材が、それぞれ融点及び/又は熱収縮率が異なる熱
可塑性樹脂からなるものである場合に効果的に発揮され
る。特に、二つ以上の異なる樹脂材が、(A)150〜
200℃の融点をもつ熱可塑性樹脂材と(B)80〜1
40℃の融点をもつ熱可塑性樹脂材の二つから構成さ
れ、そして、24℃から100℃に昇温した際の熱収縮
率が、上記(B)の熱可塑性樹脂材よりも、(A)の熱
可塑性樹脂材の方が大きい場合、ゴム組成物の加硫時
に、(A)材は溶けず、(B)材のみが溶融・軟化し、
しかも(A)材の熱収縮率が(B)材よりも大きいの
で、該短繊維は「くの字」型に効果的に折曲する。
(A)材の熱収縮が不充分であったり、(A)材の融点
が低く、(B)材と共に溶融したりすると、「くの字」
型への折曲が不充分となり好ましくない。また、短繊維
が、上記(A)材と(B)材の二つから構成される場
合、その断面構造において、(A)材の面積比率は、5
〜70%の範囲にあるのが好ましい。(A)材の面積比
率が5%未満であったり、70%を超えると「くの字」
型への折曲が不充分となり、また、面積比率が70%を
超える場合には、(A)材が加硫ゴムから脱落しやすく
なるので、氷雪上性能及び耐摩耗性などの点から、好ま
しくない。
【0013】この短繊維の形態としては特に制限はない
が、「くの字」型への折曲効果及び紡糸の容易さなどの
点から、(1)断面積及び樹脂自体が異なる二つの樹脂
材から構成され、かつそれらの接合面が平面を形成して
いる構造のもの、及び(2)それぞれ異なる二つの樹脂
材からなる鞘−芯構造を有し、芯部の樹脂材の融点が鞘
部の樹脂材の融点よりも高く、かつ芯部が中心から偏在
しているものが好ましい。そして、上記二つの樹脂材と
しては、融点及び/又は熱収縮率が異なる二つの熱可塑
性樹脂材、特に前記の(A)材及び(B)材が好適であ
る。二つの樹脂材が(A)材と(B)材である場合、上
記(2)の鞘−芯構造では、芯部に(A)材が、鞘部に
(B)材が用いられる。図1は、本発明に係わる短繊維
の異なる構成の例を示す斜視図であって、(a)は、断
面積の異なる(A)材1と(B)材2とから構成され、
かつ接合面が平面を形成している円柱形状の短繊維を示
し、一方、(b)は、鞘部及び芯部が、それぞれ(B)
材2と(A)材1からなる鞘−芯構造を有し、かつ芯部
が中心から偏在している円柱形状の短繊維を示す。
【0014】本発明においては、この短繊維はタイヤの
氷雪上性能及その他性能などの点から、長さ0.3〜10.
0mm、直径1.0〜1000μm及びアスペクト比5以
上のものが好ましい。また、この短繊維を構成する二つ
以上の異なる樹脂材としては、前記したようにそれぞれ
融点及び/又は熱収縮率が異なる熱可塑性樹脂が好まし
く用いられるが、この熱可塑性樹脂としては、特に制限
はなく、様々な樹脂の中から適宜選択して用いることが
できる。中でも、紡糸性,融点,熱収縮率,機械物性な
どの点から、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリ
オレフィン系樹脂が好ましく、このポリオレフィン系樹
脂の中から、適宜選択し、組み合わせて用いるのが有利
である。本発明で用いる短繊維の製造方法としては特に
制限はなく、従来鞘−芯構造などの複合型繊維の製造に
おいて使用されている公知の方法を用いることができ
る。例えば、二つの異なる熱可塑性樹脂材から構成され
る短繊維を製造する場合には、2種の熱可塑性樹脂材料
を用い、押出機2台と複合型繊維用ノズルを備えた複合
紡糸装置により、所定の紡糸温度で紡糸したのち、所望
の長さにカットすることにより、目的の短繊維が得られ
る。
【0015】本発明のゴム組成物においては、前記短繊
維の含有量は、タイヤの氷雪上性能及びその他性能など
の点から、ゴム成分100重量部当たり、0.3〜10重
量部の範囲が好ましく、特に、2.0〜4.0重量部の範囲
が好ましい。本発明のゴム組成物においては、さらに発
泡剤を配合して、発泡性ゴム組成物とするのが特に好ま
しい。これにより、加硫によって、その際生じる発泡ガ
スが「くの字」型に折曲した短繊維の樹脂材溶融部に集
まり、該短繊維に沿って気孔が連続的に形成され、排水
路として機能する。すなわち、前記短繊維と発泡剤を含
有するゴム組成物を加硫し、タイヤトレッドゴムとして
用いた場合、該短繊維は「くの字」型に折曲するので、
実質上無配向となり、その結果、この短繊維に沿って形
成された排水路として機能する連続気孔部及びひっかき
エッジとして機能する短繊維の高融点樹脂材部の配向も
ランダム化し、氷雪上のタイヤの前後及び左右における
性能がバランスするので、駆動性,制動性及び操縦安定
性などの向上したタイヤが得られる。
【0016】前記発泡剤としては、従来公知の発泡剤、
例えばN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミ
ン;N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフ
タルアミド;アゾジカルボンアミド;アゾビスイソブチ
ロニトリル;ベンゼンスルホニルヒドラジド;p,p’
−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド);トル
エンスルホニルヒドラジド;p−トルエンスルホニルセ
ミカルバジド;トリヒドラジノトリアジンなどが挙げら
れる。これらの発泡剤は単独で用いてもよく、二種以上
を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量(配合
量)としては特に制限はなく、所望の気孔率が得られる
ように、適宜選定すればよい。加硫成形ゴムの気孔率と
しては、該加硫成形ゴムをタイヤのトレッドゴムとして
用いた場合に、優れた氷雪上性能が得られる点から、5
〜40%の範囲が好適である。この気孔率が5%未満で
は空洞効果が充分に発揮されないおそれがあり、また4
0%を超えるとトレッドの剛性が不充分となるため、耐
摩耗性の低下や溝底クラックの発生が大きくなるなどの
不都合が生じ、好ましくない。
【0017】本発明のゴム組成物には、前記のゴム成
分,短繊維,発泡剤以外に、カーボンブラックやシリカ
などの補強材,尿素やサリチル酸などの発泡助剤、さら
には、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加
硫剤,加硫促進剤,老化防止剤,スコーチ防止剤,軟化
剤,亜鉛華,ステアリン酸などを含有させることができ
る。このようにして得られた本発明のゴム組成物は、タ
イヤのトレッドゴムに好適に用いられる。本発明の空気
入りタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて通常の方法
によって製造される。すなわち、必要に応じて、上記の
ように各種薬品を含有させた本発明のゴム組成物が未加
硫の段階でトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成
形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤ
が成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧し
て、タイヤが得られる。このようにして得られた本発明
の空気入りタイヤは、氷雪上での駆動性や制動性に優れ
るとともに、タイヤの前後及び左右における性能がバラ
ンスしているので、操縦安定性にも優れている。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、得られたTBRタイヤの性能に
ついては、該タイヤを10tトラック車輛に装着し、下
記のようにして耐摩耗性,氷上制動性及び氷上せん回性
能を評価した。 (1)耐摩耗性 高速道路主体で5万km走行したのち、摩耗量を測定
し、その逆数を求め比較例1のタイヤの値を100とし
て指数表示した。数値は大きいほど、良好である。 (2)氷上制動性 −10℃の氷雪路面において、40km/時からの制動
時の制動距離の逆数を求め、比較例1のタイヤの値を1
00として指数表示した。数値は大きいほど、良好であ
る。
【0019】(3)氷上せん回性能 −10℃の氷雪路面において、直径50mのせん回路5
周のラップタイムを測定し、その逆数を求め、比較例1
のタイヤの値を100として指数表示した。数値は大き
いほど、良好である。また、得られたタイヤのトレッド
ゴムの気孔率は下記の方法に従って測定した。トレッド
ゴムから切り出したブロック状の試料の密度ρ1 (g/
cm3 )を測定するとともに、無発泡ゴム(固相ゴム)
の密度ρ0 (g/cm3 )を測定し、次式よりトレッド
ゴムの気孔率を求めた。 トレッドゴムの気孔率(%)=〔(ρ0 /ρ1 )−1〕
×100
【0020】実施例1及び比較例1〜3 第1表に示す種類のゴム成分100重量部に対し、カー
ボンブラックSAF50重量部、発泡剤のアゾジカルボ
ンアミド5.0重量部、尿素2.0重量部、加硫促進剤CZ
(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェン
アミド)1.0重量部、硫黄1.0重量部及び第1表に示す
種類と量の短繊維を配合して、ゴム組成物を調製したの
ち、このものをトレッドゴムとして適用し、常法に従
い、空気入りタイヤとして、11R22.5のTBRタイ
ヤを製造した。このTBRタイヤについて性能を評価す
るとともに、トレッドゴムの気孔率を測定した。その結
果を第1表に示す。実施例1で使用した短繊維は図1
(b)に示す中心軸に対して非対称に配置された鞘
〔(B)材〕−芯〔(A)材〕構造のものである。な
お、比較例1のゴム組成物は短繊維が配合されておら
ず、比較例2で使用した短繊維は単一構造のものであ
り、比較例3で使用した短繊維は中心軸に対して対称に
配置された鞘〔(B)材〕−芯〔(A)材〕構造のもの
である。さらに、図2(a),(b)及び(c)に、そ
れぞれ実施例1,比較例1及び比較例2で得られたトレ
ッドゴムから切り出したブロック状試料の模式的斜視図
を示す。この図において、3は通常発泡部分、4は短繊
維、4aは(B)材の溶融部空洞部分、4bは(A)材
部である。
【0021】
【表1】
【0022】(注) (1)(A)樹脂材及び(B)樹脂材の熱収縮率は、2
4℃から100℃に昇温した際の熱収縮率を測定し、比
較例2のPE(融点130℃)の熱収縮率を100とし
て、指数表示した。 (2)PE:ポリエチレン,PP:ポリプロピレン (3)(A)材の面積比率は、短繊維の断面構造におけ
る値である。 上記第1表から、以下に示すことが分かった。比較例2
は、ポリエチレン一種のみからなる短繊維を配合したも
のであり、繊維を含まない比較例1に比べて、直進時の
氷上制動性は向上しているものの、氷上せん回性能は若
干低下している。比較例3は、実施例1と同じ(A)樹
脂材及び(B)樹脂材を使用しているが、短繊維の構造
が、中心軸に対して対称に配置された鞘〔(B)材〕−
芯〔(A)材〕構造のものであり、比較例2に比べて氷
上制動性はさらに向上しているものの、比較例2と同様
に、氷上せん回性能はよくない。実施例1は、(A)/
(B)樹脂材からなる短繊維を配合したものであって、
(A)の熱収縮率は(B)のそれよりも大きく、加硫時
に繊維が「くの字」型に折曲する。また(A)樹脂材
は、加硫温度(145℃)よりも高融点であるので、溶
融せずに残るが、(B)樹脂材は加硫時に溶け、周囲の
ゴムから発生する発泡ガスが軟らかくなった(B)部に
集まる。この結果、図2(a)で示されるように、「く
の字」型になった(A)樹脂材とこれに付随する空洞部
が形成される。これらは非配向性であり、空洞部による
排水路としての機能及び(A)樹脂材による氷面のひっ
かき効果で、前後,左右の氷上摩擦係数が向上し、氷上
制動性,せん回性能共に、性能向上がみられる。なお、
耐摩耗性は気孔率が変化していないので低下していな
い。 実施例2 第2表に示す種類のゴム成分100重量部に対し、カー
ボンブラックSAF50重量部、発泡剤のアゾジカルボ
ンアミド5.0重量部、尿素2.0重量部、加硫促進剤CZ
(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェン
アミド)1.0重量部、硫黄1.0重量部及び第2表に示す
種類と量の短繊維を配合して、ゴム組成物を調製したの
ち、このものをトレッドゴムとして適用し、常法に従
い、空気入りタイヤとして、11R22.5のTBRタイ
ヤを製造した。このTBRタイヤについて性能を評価す
るとともに、トレッドゴムの気孔率を測定した。その結
果を第2表に示す。なお、使用した短繊維はいずれも図
1(b)に示す構造のものである。
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】(注) (1)(A)樹脂材及び(B)樹脂材の熱収縮率は、2
4℃から100℃に昇温した際の熱収縮率を測定し、比
較例2のPE(融点130℃)の熱収縮率を100とし
て、指数表示した。 (2)PE:ポリエチレン,PP:ポリプロピレン (3)(A)材の面積比率は、短繊維の断面構造におけ
る値である。 上記第2表から、以下に示すことが分かった。No. 1
は、使用した短繊維の(A)樹脂材の熱収縮率が、実施
例1で用いたものより、大きくなっているため、「くの
字」型の曲率が大きくなり、実施例1よりも、さらに左
右方向の摩擦係数の向上が認められる。No. 2は、短繊
維の配合量が、No. 1よりも多くなっており、氷上制動
性,せん回性能は向上しているが、気孔率の増大に伴
い、耐摩耗性が低下している。ただし、この場合、耐摩
耗性は許容レベル(80以上)である。No. 3は、使用
した短繊維の(A)樹脂材の存在比率がNo. 1で使用し
たものよりも大きくなっており、気孔率の低下と「くの
字」の曲率が若干下がることで、氷上性能がNo. 1に比
べて若干低下している。No. 4は、No. 1に比べて、繊
維長が長く、アスペクト比の大きな繊維を用いたもので
あって、「くの字」全体が長くなっているので、氷上性
能は向上しているが、気孔率が大きくなり、耐摩耗性が
若干低下している。
【0026】No. 5は、ゴム成分として、耐き裂進展性
に優れる天然ゴム/ポリブタジエンゴム/SBRを用い
たものであり、氷上性能を維持したまま、耐摩耗性が向
上している。No. 6は、使用した短繊維の(A),
(B)樹脂材の熱収縮率が同じであり、短繊維が「くの
字」型になりにくく、No. 1に比べて氷上性能が劣って
いる。(A)樹脂材の熱収縮率が、(B)樹脂材のそれ
よりも高い方がよいことが分かる。 No. 7は、短繊維
の配合量が多すぎるため、気孔率が増大し、耐摩耗性が
かなり低下している。短繊維の配合量が10重量部を超
えると好ましくないことが分かる。No. 8は、使用した
短繊維における(A)樹脂材の存在比率が少なすぎ、充
分に「くの字」型に折曲しにくいため、No. 1に比べて
せん回性能が悪い。
【0027】No. 9は、使用した短繊維における(A)
樹脂材の存在比率が多すぎるため、「くの字」型に折曲
しにくく、また気孔率も低くなり、No. 1に比べて氷上
性能がかなり低下している。No. 10は、使用した短繊
維の(A)樹脂材の融点が低すぎ、加硫中に(B)樹脂
材と共に溶融し、「くの字」型に折曲せず、No. 1に比
べて氷上性能が低下している。No. 11は使用した短繊
維の(B)樹脂材の融点が低すぎて、組成物調製におけ
る混練り時に溶けてしまい、加硫時には(A)樹脂材し
か残っていないため、「くの字」型に折曲せず、No. 1
より氷上性能がかなり低下している。
【0028】
【発明の効果】本発明のゴム組成物は、ゴム成分に特定
の構造の短繊維を配合したものであって、タイヤのトレ
ッドに用いた場合、氷雪上でのタイヤの前後及び左右に
おける性能が良好にバランスし、駆動性,制動性及び操
縦安定性などの氷雪上性能が向上した空気入りタイヤを
与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る短繊維の異なる構成の例を示す
斜視図である。
【図2】 実施例1,比較例1及び比較例2で得られた
トレッドゴムから切り出したブロック状試料の模式的斜
視図である。
【符号の説明】
1:(A)樹脂材 2:(B)樹脂材 3: 通常発泡部分 4: 短繊維 4a: (B)材の溶融部空洞部分 4b: (A)材部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 21/00 101:00) Fターム(参考) 4F074 AA06 AA09 AA13 AA17 AA24 AC02 AE04 BA13 BB06 CA24 CC03Y CC04Y CC06Y DA59 4J002 AC011 AC031 AC061 AC071 AC081 AC091 BB012 BB013 BB032 BB123 BB181 EQ016 ES006 EU186 EV266 FA042 FA043 FD010 FD012 FD013 FD326 GN01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム成分と短繊維を含有するゴム組成物
    において、該短繊維として、二つ以上の異なる樹脂材が
    長手方向に連続して延在してなる実質上円柱形状を有
    し、かつ断面構造において、上記二つ以上の異なる樹脂
    材が中心線又は中心点に対し、非対称に配置されてなる
    短繊維を用いたことを特徴とするゴム組成物。
  2. 【請求項2】 短繊維における二つ以上の異なる樹脂材
    が、それぞれ融点の異なる熱可塑性樹脂からなるもので
    ある請求項1記載のゴム組成物。
  3. 【請求項3】 短繊維における二つ以上の異なる樹脂材
    が、それぞれ熱収縮率が異なる熱可塑性樹脂からなるも
    のである請求項1又は2記載のゴム組成物。
  4. 【請求項4】 二つの異なる樹脂材が、(A)150〜
    200℃の融点を持つ熱可塑性樹脂材と(B)80〜1
    40℃の融点を持つ熱可塑性樹脂材の二つから構成され
    ている請求項2又は3記載のゴム組成物。
  5. 【請求項5】 24℃から100℃に昇温した際の熱収
    縮率が、(B)熱可塑性樹脂材よりも(A)熱可塑性樹
    脂材の方が大きい請求項4記載のゴム組成物。
  6. 【請求項6】 短繊維の断面構造において、(A)熱可
    塑性樹脂材の面積比率が5〜70%である請求項4又は
    5記載のゴム組成物。
  7. 【請求項7】 短繊維が、断面積及び樹脂自体が異なる
    二つの樹脂材から構成され、かつそれらの接合面が平面
    を形成している構造のものである請求項1ないし6のい
    ずれかに記載のゴム組成物。
  8. 【請求項8】 短繊維が、それぞれ異なる二つの樹脂材
    からなる鞘−芯構造を有し、芯部の樹脂材の融点が鞘部
    の樹脂材の融点よりも高く、かつ芯部が中心から偏在し
    ている請求項1ないし6のいずれかに記載のゴム組成
    物。
  9. 【請求項9】 短繊維が、長さ0.3〜10.0mm、直径
    0.1〜1000μm及びアスペクト比5以上のものであ
    る請求項1記載のゴム組成物。
  10. 【請求項10】 さらに発泡剤を配合してなる請求項1
    記載のゴム組成物。
  11. 【請求項11】 短繊維の含有量が、ゴム成分100重
    量部当たり、0. 3〜10重量部である請求項1又は10
    記載のゴム組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1又は10記載のゴム組成物を
    加硫成形した際に、加硫ゴム中で短繊維が折曲したもの
    である加硫ゴム組成物。
  13. 【請求項13】 請求項1又は10記載のゴム組成物を
    加硫成形した際に、短繊維に沿って気孔が形成されたも
    のである加硫ゴム組成物。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし13のいずれかに記載
    のゴム組成物をトレッドに用いたことを特徴とする空気
    入りタイヤ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009249457A (ja) * 2008-04-03 2009-10-29 Bridgestone Corp ゴム組成物、並びにそれを用いたトレッドゴム、タイヤ及び靴
JP2013132977A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Bridgestone Corp タイヤ
JP2017074855A (ja) * 2015-10-14 2017-04-20 株式会社ブリヂストン ランフラットタイヤ

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