JP2000204151A - ポリカ―ボネ―ト樹脂エマルジョンの分離方法 - Google Patents

ポリカ―ボネ―ト樹脂エマルジョンの分離方法

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JP2000204151A JP427899A JP427899A JP2000204151A JP 2000204151 A JP2000204151 A JP 2000204151A JP 427899 A JP427899 A JP 427899A JP 427899 A JP427899 A JP 427899A JP 2000204151 A JP2000204151 A JP 2000204151A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリカーボネート樹脂エマルジョンから、不
純物を含む水溶液が有効に除去され、不純物とダストが
低減されたポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液を効率
よく製造する方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と
水溶液とから構成され、液滴径が1〜100μmである
油中水分散型(W/O)エマルジョンを、ポリカーボネ
ート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とに分離する方法にお
いて、該エマルジョンを濾過精度10〜200μmの金
属フィルターに通液した後、1〜30分間静置分離させ
るポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
樹脂エマルジョンの分離方法に関し、詳しくはポリカー
ボネート樹脂エマルジョンからポリカーボネート樹脂の
有機溶媒溶液と水溶液に効率的に分離する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在ポリカーボネート樹脂の製造方法と
しては、塩化メチレンなどのハロゲン化有機溶媒を使用
した界面重縮合法による製造方法が一般的に用いられて
いる。界面重縮合法によるポリカーボネート樹脂の製造
においては、重縮合反応終了時にポリカーボネート樹脂
を含む有機溶媒溶液(以下、油相又はOと略すことがあ
る)と水溶液(以下、Wと略すことがある)の混合物が
得られる。ポリカーボネート樹脂を含む有機相は、重縮
合反応時の副生成物である不純物やアルカリ性水溶液を
含んでおりエマルジョン状を呈しているため、エマルジ
ョンをポリカーボネートの有機溶媒溶液と水溶液に分離
する必要がある。
【0003】また、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶
液に微量に残存している不純物を除去することを目的と
して、アルカリ性水溶液、酸性水溶液、純水などを加え
て洗浄する方法が一般的に行われるが、洗浄効率を向上
させるためにポリカーボネート樹脂溶液と洗浄液の混合
物を強力に攪拌すると、エマルジョン化する場合があっ
た。
【0004】従来、このエマルジョン化された混合溶液
からの分離は、液液遠心分離機、もしくは静置分離槽が
用いられてきた。しかしながら、遠心分離機によりエマ
ルジョンを分離する場合は、使用する遠心分離機が高価
なだけでなく、遠心分離機のメンテナンスや運転電力に
多大な費用の支出を余儀なくされる。また駆動部分や回
転部分の故障や摩耗のために、しばしば異常停止を引き
起こすことがあった。
【0005】また静置による分離は、内部に分離板や邪
魔板を挿入しても、分離のための滞在時間を確保するた
めには、分離槽が大きくなったり、ホールドアップも大
きくなるという欠点があった。
【0006】このような問題を解決する方法として、特
公昭46−41622号公報において、水との接触角が
40°以下の濾過層にポリカーボネート樹脂液を通して
分離する方法が開示されている。さらに、特開平7−3
09940号公報においてポリカーボネート樹脂溶液と
水性洗浄液を混合し水中油滴型乳化状態として洗浄した
後、濾過材を通過分離させる方法が開示されている。
【0007】また、特開昭55−104316号公報で
は、ポリカーボネート樹脂液をpH2〜14の範囲の水
溶性洗浄液を使用して乳化し、0.01〜2cm/秒の
空間速度で10〜500mmの厚さで0.2〜0.7g
/mlの見掛け密度の繊維層を通過させて2相に分離す
る方法が開示されている。しかし、これらの方法は、濾
材の流出や、ポリカーボネート樹脂溶液の粘度が高いた
め、充填物による大きな圧力損失が発生するという欠点
があった。
【0008】また、特開平9−104747号公報で
は、粗製ポリカーボネート溶液を洗浄水により攪拌下に
洗浄した後、洗浄水を含む粗製ポリカーボネート溶液
を、静置分離または遠心分離により、水相とポリカーボ
ネートを含む有機相とに分離し、ポリカーボネートを含
む有機相を孔径20〜180μmの濾過フィルターで濾
過流速60〜1000mm/minの条件で濾過する方法が開
示されている。しかしながらこの方法では、濾過フィル
ターを用いて濾過する前に、静置分離又は遠心分離を行
わなくてはならないが、ポリカーボネート樹脂の有機溶
媒溶液と水溶液から構成されるエマルジョンは静置分離
で分離させることは非常に困難であり、分離が可能であ
っても滞在時間確保のため長時間を要し、静置分離槽が
巨大化する。また遠心分離を行う場合においては、前述
したようにメンテナンスや運転電力のために多大な費用
の支出と、遠心分離機の異常停止対策のため予備機の設
置や運転操作が煩雑となる。
【0009】一方、ダストの混入を極力抑える必要があ
る成形材料品、例えばポリカーボネートの透明性、耐熱
性、耐加水分解性、寸法安定性等の特徴を生かしたコン
パクトディスク、レーザーディスク、光カード、MOデ
ィスク、DVD等の成形品においてダストの混入はサブ
ミクロンの信号の読み書きに悪影響を及ぼすため、ダス
トの低減化が望まれる。
【0010】光学用材料としてのポリカーボネート樹脂
は、『ダスト』は極力少ないものがよく、ここでいう
『ダスト』とは、空気中のチリやゴミ、原料中に含まれ
る不純物、溶媒中に残存する浮遊物、空送配管や駆動機
器の摩耗による金属粉などに由来するものであり、光学
用成形ディスク中に残存した場合に、読取りエラーや書
き込みエラーなどのトラブルを引き起こす原因となる、
短径0.5μm以上である物質を指し、通常市販されて
いる光学顕微鏡や微粒子カウンターなどの測定機器を用
いることによって、定量することができるものをいう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の欠点を解消し、ポリカーボネート樹脂エマルジョ
ンからポリカーボネート樹脂を含む有機溶媒溶液と不純
物を含む水溶液に効率よく分離する方法を提供すること
を目的とするものである。
【0012】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、ポリカー
ボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とから構成され、
液滴径が1〜100μmである油中水分散型(W/O)
エマルジョンを金属性の濾材に通液すると、エマルジョ
ンを構成している水相が濾材に一時捕集され、その後濾
材から押し出される時に効率的に濾材表面で凝集成長
し、低い圧力で容易に水相と油相に2相分離することを
見出した。さらに、濾材から溢流してくる水相と油相の
混合物をある一定時間静置分離させることにより、ポリ
カーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とに容易に分
離させることができ、不純物やダストが低減されたポリ
カーボネート樹脂溶液を得ることができることを見いだ
し、本発明を完成させた。
【0013】即ち、本発明はポリカーボネート樹脂の有
機溶媒溶液と水溶液とから構成され、液滴径が1〜10
0μmである油中水分散型(W/O)エマルジョンを、
ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とに分離
する方法において、該エマルジョンを濾過精度10μm
〜200μmの金属フィルターに通液した後、1分〜3
0分間静置分離させるポリカーボネート樹脂エマルジョ
ンの分離方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明でいうポリカーボネート樹
脂の製法は、従来のポリカーボネート樹脂の製法と同様
の製法、すなわち界面重合法、ピリジン法等の溶液法に
より製造されたものであり、二価フェノール系化合物を
主成分とし、少量の分子量調節剤および所望により分岐
化剤を用いてホスゲンと反応させることにより製造され
る。通常のビスフェノール類を使用してなる芳香族のホ
モ−或いはコーポリカーボネート樹脂、更に分岐化され
たもの、末端に長鎖アルキル基を導入したものなどの、
粘度平均分子量1,000〜100,000のものに適
用可能である。さらには、末端停止剤やコモノマーとし
て炭素−炭素二重結合その他のグラフト可能点を持つポ
リカーボネート樹脂を製造し、これにスチレンなどをグ
ラフトしたもの、またはポリスチレン等にフェノール系
水酸基、その他のポリカーボネート樹脂のグラフト重合
開始点を持つ化合物を共重合したもの、これにポリカー
ボネート樹脂をグラフト重合したものなど溶剤可溶性の
ポリカーボネート樹脂に使用可能である。通常用いられ
る芳香族ポリカーボネート樹脂としては、特に、2,2-ビ
ス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノール
A〕を主原料とするポリカーボネートが挙げられ、これ
に例えば、1,1-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン〔ビスフェノールZ〕や2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3,
5-ジメチルフェニル)プロパン〔テトラブロムビスフェ
ノールA〕などを併用して得られるポリカーボネート共
重合体、これらの分岐化物や末端長鎖アルキル変性した
ものにも適用可能である。
【0015】本発明で使用するビスフェノール系化合物
として好ましいものは、具体的にはビス(4−ヒドロキ
シフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキ
シフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロム−4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、1,1−ビス(2−t−ブチル
−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,
1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビス(3
−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エ
タン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(ビスフェノ−ルA;BPA)、2,2−ビス(3,
5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(T
BA),2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオ
ロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
1−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブ
ロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニルブタン、1,1−ビス(2−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタ
ン、1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−
t−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブ
タン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキ
シフェニル)プタン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ
−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−
t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘ
プタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オク
タン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
などのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン(ビスフェノールZ;BPZ)、1,1−ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル
−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメ
チルシクロヘキサンなどのビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニル、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルビ
フェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチ
ルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ
シクロヘキシルビフェニルなどのジヒドキシビフェニル
類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテルなど
のビス(ヒドロキシアリール)エーテル類;ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビス(ヒドロキ
シアリール)スルホン類;ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホキシド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)スルホキシド、ビス(3−フェニル−4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホキシドなどのビス(ヒドロキ
シアリール)スルホキシド類;ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルファイド、ビス(3−メチル4−ヒドロキ
シフェニル)スルファイドなどのビス(ヒドロキシアリ
ール)スルファイド類;ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ケトン、その他、両末端フェノール変成シロキサン
類などが例示される。これらは、2種類以上併用して用
いてもよい。中でもビスフェノ−ルA、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび2,
2−ビス(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、から選ばれるものが望ましい。
【0016】末端停止剤あるいは分子量調節剤としては
一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、
通常のフェノール、P-t-ブチルフェノール、トリブロモ
フェノール等の他、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カ
ルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボ
ン酸、芳香族酸クロライド、ヒドロキシ安息香酸アルキ
ルエステル、アルキルエーテルフェノールなどが挙げら
れる。また、反応性二重結合を有するフェノール類を末
端停止剤として用いてもよく、その場合の例として、ア
クリル酸、ビニル酢酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン
酸、5−ヘキセン酸、9−ウンデセン酸などの不飽和カ
ルボン酸;アクリル酸クロライド、ソルビン酸クロライ
ド、アリルアルコ−ルクロロホーメート、イソプロペニ
ルフェノールクロロホルメートまたはヒドロキシスチレ
ンクロロホーメート等の酸クロライドまたはクロロホー
メート;イソプロペニルフェノール、ヒドロキシスチレ
ン、ヒドロキシフェニルマレイミド、ヒドロキシ安息香
酸アリルエステルまたはヒドロキシ安息香酸メチルアリ
ルエステルなどの不飽和基を有するフェノール類等が挙
げられる。
【0017】これらの化合物は従来の末端停止剤と併用
してもよいものであり、上記した二価フェノール系化合
物1モルに対して、通常、1〜25モル%、好ましくは
1.5〜10モル%の範囲で使用される。
【0018】反応に用いられる有機溶媒としては、ジク
ロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、トル
エン、クロロベンゼン、1,1,1-トリクロロエタン、四塩
化炭素などの塩素化炭化水素類;ベンゼン等の芳香族炭
化水素;ジエチルエーテル等のエーテル系化合物を挙げ
ることができ、これらの有機溶媒は二種以上を混合して
使用することもできる。
【0019】更に分岐化剤を上記の二価フェノール系化
合物に対して、0.01〜5 モル%、特に0.1〜
3.0モル%の範囲で併用して分岐化ポリカーボネート
を合成することができ、分岐化剤としては、フロログル
シン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒド
ロキシフェニル)ヘプテン−3、3、4,6−ジメチル
−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテ
ン−2、1,3,5−トリ(2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾール、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチ
ルベンジル)−4−メチルフェノール、α,α′,α″
−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリ
イソプロピルベンゼンなどで例示されるポリヒドロキシ
化合物、及び3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−
クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサ
チンビスフェノール、5ーブロムイサチンビスフェノー
ルなどが例示される。
【0020】製造されるポリカーボネート樹脂の分子量
としては、粘度平均分子量として1,000〜100,
000の範囲の中から選ばれるが、成型物の耐衝撃性や
耐磨耗性などの要求される物性や成形性などから考慮す
ると、5,000〜50,000の範囲であることが好
ましい。
【0021】通常、界面重縮合反応では、芳香族ビスフ
ェノール化合物を苛性アルカリ水溶液に溶解し、有機溶
媒の存在下でホスゲン化反応させ、必要に応じて重縮合
触媒を添加し撹拌することにより重合反応を行う。重縮
合反応時におけるポリカーボネート樹脂の濃度は、有機
溶媒溶液として30wt%以下であることが好ましい。ポ
リカーボネート樹脂の濃度が高すぎると粘度が高くなり
好ましくない。
【0022】重合反応が終了すると、ポリカーボネート
の有機溶媒溶液(油相)と、副生成物の塩化物、炭酸
塩、苛性アルカリなどの不純物を含む水溶液(水相)か
らなる混合物が得られる。この混合物は、油相と水相に
分離することもあるが、油相中には依然として若干の水
分を含有していたり、水相中に微細な樹脂溶液粒子が浮
遊していたりしており、重合後の混合物はエマルジョン
状を呈している。このエマルジョンは、W/O(油中水
分散型)であることが多い。
【0023】また、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶
液から不純物を除去して純度の高いポリカーボネート樹
脂溶液を得る方法として、ポリカーボネート樹脂の有機
溶媒溶液に対して、アルカリ性水溶液、酸性水溶液、純
水などの洗浄水を加えて攪拌混合下に精製される。こう
した洗浄はいずれかのみ、あるいは2種類または3種類
以上の洗浄方法を組み合わせる場合があるが、本発明で
はいずれの洗浄方法にも適用可能である。
【0024】ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と洗
浄水の混合方法としては、液−液混合を目的とした、市
販に入手できる如何なる機器も使用可能であるが、所望
の攪拌効率を得るために、一方回転式の攪拌機の他、往
復反転式の攪拌機、インラインミキサー、スタティック
ミキサー、オリフィスミキサー、フルゾーン(神鋼パン
ティック(株))、マックスブレンド(住友重機械工業
(株))、ホモミキサー(特殊機化工業(株))、スル
ーザーミキサー(住友重機械工業(株))やスタティッ
クミキサーなどが好適である。
【0025】エマルジョンを構成している油相と水相と
の関係は、O/W(水中油型)あるいはW/O(油中水
型)の場合があるが、本発明においては、廃水を減少さ
せることを目的として、W/O(油中水型)のエマルジ
ョンにする。また、エマルジョンを構成している油相中
の液滴径は、ポリカーボネート樹脂溶液の濃度、水溶液
のpH、洗浄水の種類、油相と水相の容積比などによっ
て異なるが、通常、1〜100μmが好ましい。液滴径
は100μmを超えると、洗浄効果が悪くなり好ましく
ない。一方、1μm未満になると分離性能が低下してく
るため好ましくない。
【0026】本発明において、洗浄水と混合されたポリ
カーボネートの有機溶媒溶液は、上記の液滴径を有する
ため、攪拌を止めても容易に油相と水相に分離すること
はなく、通常エマルジョン状を呈している。
【0027】エマルジョンの粘度は、10〜500cp
の範囲であることが好ましい。エマルジョンの粘度を1
0cpより小さくするためには、ポリカーボネート樹脂
溶液を有機溶媒で希釈しなければならず、その結果、濾
過フィルターでの処理量が増大するため好ましくない。
また、粘度が500cpを超える場合には、濾材での液
体粒子の凝集作用が低下したり、濾過フィルターでの圧
損が大きくなったりするため好ましくない。
【0028】本発明の方法においては、重縮合反応終了
時や洗浄水による精製工程において、ポリカーボネート
樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とから構成されるエマルジ
ョンを、金属フィルターに通液する。エマルジョンはフ
ィルターを通過する際に、微細な水滴が金属フィルター
を構成している濾材に捕集され、その後濾材から押し出
された水滴が効率的に濾材表面で凝集成長する。
【0029】濾過フィルターの濾過精度は10〜200
μmのものを用いることが好ましい。さらに好ましく
は、10μmから100μmである。本発明において規
定している濾過精度は絶対濾過精度を意味し、その孔径
での硬質異物の濾過効率が100%であることをいう。
【0030】使用するフィルターの濾過精度が10μm
以下になると、液体粒子の凝集効果は上昇するが、異物
によるフィルターの閉塞を生じ、一方で、フィルター圧
損が極端に上昇してしまう。そのため再生あるいは更新
に係わるランニングコストの増大を招くため好ましくな
い。また、濾過精度が200μm以上のフィルターを用
いても、粒子の凝集作用が悪くなりエマルジョンの分離
が不十分になってしまうため好ましくない。
【0031】ポリカーボネート樹脂エマルジョンがフィ
ルターを通過する際の線速度すなわち濾過速度は、0.
01cm/secから20cm/secの範囲から選ばれることが好
ましい。濾過速度を0.01cm/sec未満にすると、必要
なフィルターの本数が多くなり装置が大きくなるので好
ましくなく、20cm/secを超える場合にはフィルターで
のエマルジョンの分離が不十分になり、後工程である静
置分離で完全に分離させることができないため好ましく
ない。
【0032】本発明において、使用される金属フィルタ
ーは、金属繊維でできたものが好ましく、金属繊維の不
織布でできているものが特に好ましい。
【0033】金属フィルターの材質としては特に制限は
ないが、なかでも、液体粒子の凝集効果やフィルターの
圧損、耐溶剤性、耐腐食性などの観点から、オーステナ
イト系ステンレス鋼またはニッケル合金、中でも、SU
S304、SUS316、SUS316L、SUS31
7、SUS347からなる金属材料、あるいは、ハステ
ロイC、インコロイ、モネルからなる金属材料を使用す
ることが好ましい。
【0034】フィルターの厚みについては、フィルター
圧損に支障が無い程度で厚み(depth) が大きい程効果が
ある。具体的には、フィルターの厚みとして0.1mm〜
200mmが一般的に用いられ、好ましくは0.1mm〜1
00mm、さらに好ましくは0.2mm〜50mmである。
【0035】以上の操作によって、ポリカーボネート樹
脂の有機溶媒溶液と水溶液とから構成されるエマルジョ
ンは、油相と水相に分離されてフィルターから溢流して
くる。しかしながら、エマルジョン状態に比べて液滴径
は大きくなったものの、油相と水相が完全には分離して
いない。従って、本発明では、フィルターから溢流した
混合液を1分〜30分間静置分離させることにより、油
相と水相の分離を完全に行う。静置時間が1分未満では
分離効果が不十分であり、30分を超えると大きな静置
分離槽が必要になるため好ましくない。静置分離槽は単
純な滞在槽でもよく、傾斜板を初めとする公知の技術を
用いてもよい。
【0036】また、フィルターから溢流してくる混合液
を静置分離する際に、エマルジョンの中に含まれていた
ダストが、油相と水相の界面に集まってくる。これによ
り、ポリカーボネート有機溶媒溶液中のダスト濃度が低
減される。油相から界面付近へのダストの移動を効率的
に行うためにも、上述した様に、1分〜30分の静置分
離時間が必要になる。さらに、連続運転を継続すると、
油相と水相の界面にダストが蓄積することになるが、界
面付近の水相と油相を除去して、重合反応工程や未反応
フェノールの回収工程へ送り処理することが好ましい。
【0037】以上の操作を1回あるいは複数回繰り返す
ことにより精製されたポリカーボネート樹脂の有機溶媒
溶液(油相)を得ることができる。このポリカーボネー
ト樹脂の有機溶媒溶液中の0.5〜1.0μmのダスト
数は、ポリカーボネート樹脂1g当たり、50,000
個以下にすることが可能であり、30,000個以下に
する事もできる。このポリカーボネート樹脂の有機溶媒
溶液は、公知の方法で有機溶媒を除去してポリカーボネ
ート樹脂固形物を得る。さらに必要に応じて、乾燥機を
用いて有機溶媒を完全に除去したり、押出機を用いてペ
レット化したりすることにより、ダストの少ない光学材
料等に有用なポリカーボネート樹脂を得ることができ
る。
【0038】
【実施例】次に本発明を実施例を用いて詳しく説明する
が、本発明の範囲はこれにより制限されるものではな
い。
【0039】(ダスト測定方法)ポリカーボネートの樹
脂液またはエマルジョン100mLをビーカーにサンプ
リングし、ホットプレート(表面温度120℃)にビー
カーを置き、溶媒と水分を蒸発させ、固形のポリカーボ
ネート樹脂を得た。固形ポリカーボネート樹脂1gをメ
チレンクロライド100ccに溶解し、ハイアック−ロイ
コ社製微粒子カウンター4100型を用いて、固形ポリ
カーボネート樹脂1g中に含まれる、0.5〜1.0μ
mのサイズのダスト数を測定した。なお、ダストの測定
値は他のどのような測定方法であっても、この数値は大
きく変わらない。
【0040】(樹脂エマルジョンの粘度測定方法)東京
計器製E型回転式粘度計、型番:デジタルビスコメータ
ーDV L−Bで測定した。 (エマルジョンの液滴径の測定方法)堀場製作所(株)
製超遠心式自動粒度分布測定装置、型番CAPA-700にて測
定した。 (ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の測定方法)
ウベローデ型の細管粘度計で極限粘度を測定し、シュネ
ルの式で換算した。 (ポリカーボネート樹脂溶液中の含水率の測定方法)カ
ールフィッシャー水分計(京都エレクトロニクス:型番
MKA−210)で測定した。
【0041】実施例1 (ポリカーボネート樹脂溶液の合成)水酸化ナトリウム
3.7kgを水42リットルに溶解し、これに二価フェ
ノールとしてビスフェノールA7kgおよびハイドロサ
ルファイト29gを溶解した。これにメチレンクロライ
ド(MC)35リットルを加えて撹拌しつつ、p−t−
ブチルフェノール120gを加え、次いでホスゲン3.
6kgを60分かけて吹き込んだ。ホスゲン吹き込み
後、激しく撹拌して反応液を乳化させ、乳化後、8gの
トリエチルアミンを加え約1時間撹拌し重合させた。混
合物を30分間静置させると、水溶液とMC層とに分離
した。得られたMC層をポリカーボネートの樹脂溶液と
して実施例で使用した。MC層を約10ccサンプリング
して溶媒を揮散させ固形のポリカーボネートを得、粘度
平均分子量を測定したところMv=28,500であっ
た。
【0042】(ポリカーボネート樹脂溶液の洗浄)前記
のポリカーボネート合成によって得られたポリカーボネ
ート樹脂溶液20Lに、1%硫酸2Lを加え、ホモミキ
サー(特殊機化工業)を用いて攪拌混合し、W/O(油
中水分散型)エマルジョン溶液を調製した。エマルジョ
ンの粘度は220cp、エマルジョンの液滴径は約80
μmであった。またダスト数は、135,600個/g
であった。
【0043】(フィルターによる液液分離)フィルター
としてTFSジャパン(株)製、材質SUS316、不
織布、品番421メタルフィルター、濾過精度30μ
m、大きさ52mmφ×254mm、厚さ5mmをガラ
ス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの
外から中へエマルジョン溶液を250kg/hの流量(濾過
速度:0.14cm/sec)でギアポンプを用いて圧送し
た。このときのフィルターの圧力損失は、0.3kg/cm2
であった。ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口
から取り出して分液ロートに移し、10分間静置分離し
たあと、塩化メチレン層のところをサンプリングして水
分を測定したところ0.2w/v %、ダスト数20,50
0個/gであった。
【0044】実施例2 フィルターとして日本ポール(株)製、材質SUS31
6、不織布、品番PMFポリマーメルト、濾過精度40
μm、大きさ35mmφ×250mm、厚さ5mmをガ
ラス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルター
の中から外へ、実施例1で使用したエマルジョン溶液を
250kg/h(濾過速度:0.21cm/sec)の流量でギア
ポンプを用いて圧送した。このときのフィルターの圧力
損失は、0.2kg/cm2で、ガラスハウジングを通してメ
タルフィルターの表面で凝集分離を確認するとともに、
ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出
して分液ロートに移し、5分間静置分離したあと、塩化
メチレン層の含水率を測定したところ0.2w/v %、ダ
スト数22,500個/gであった。
【0045】比較例1 実施例1で用いたエマルジョン溶液を、フィルター濾過
せず分液ロートに移しそのまま1時間静置分離したの
ち、塩化メチレン層の含水率を測定したところ3.2w/
v %、ダスト数110,500個/gであった。
【0046】比較例2 実施例2において、分液ロートでの静置分離を30秒間
にした以外は同様にして実験を行い、塩化メチレン層の
含水率を測定したところ2.5w/v %、ダスト数10
0,450個/gであった。
【0047】比較例3 実施例2において、フィルターとして日本ポール(株)
製、材質SUS316、不織布、品番PMFポリマーメ
ルト、濾過精度5μm、大きさ35mmφ×250m
m、厚さ5mmをガラス製ハウジングに取り付けて、攪
拌槽よりフィルターの中から外へエマルジョン溶液を5
0kg/h(濾過速度:0.04cm/sec)の流量でギアポン
プを用いて圧送した。このときのフィルターの圧力損失
は、8.3kg/cm2であった。ポリカーボネート樹脂溶液
をハウジング出口から取り出して分液ロートに移し、5
分間静置分離したあと、塩化メチレン層の含水率を測定
したところ、3.5w/v %、ダスト数113,400個
/gであった。
【0048】実施例3 実施例2において、フィルターとして日本ポール(株)
製、不織布、材質SUS316、品番PMFポリマーメ
ルト、濾過精度20μm、大きさ35mmφ×250m
m、厚さ5mmをガラス製ハウジングに取り付け、流量
600kg/h(濾過速度:0.51cm/sec)でフィルター
に送液した以外は同様にして実験を行ったところ、塩化
メチレン層の含水率は0.3w/v %、ダスト数24,7
00個/gであった。
【0049】実施例4 (ポリカーボネート樹脂溶液の合成)水酸化ナトリウム
3.7kgを水42リットルに溶解し、これに二価フェ
ノールとしてビスフェノールA7kgおよびハイドロサ
ルファイト29gを溶解した。これにメチレンクロライ
ド(MC)35リットルを加えて撹拌しつつ、p−t−
ブチルフェノール190gを加え、次いでホスゲン3.
7kgを60分かけて吹き込んだ。ホスゲン吹き込み
後、激しく撹拌して反応液を乳化させ、乳化後、8gの
トリエチルアミンを加え約1時間撹拌し重合させた。混
合物を30分間静置させると、水溶液とMC層とに分離
した。得られたMC層をポリカーボネートの樹脂溶液と
して実施例で使用した。MC層を約10ccサンプリング
して溶媒を揮散させ固形のポリカーボネートを得、粘度
平均分子量を測定したところMv=21,500であっ
た。
【0050】(ポリカーボネート樹脂溶液の洗浄)前記
のポリカーボネート合成によって得られたポリカーボネ
ート樹脂溶液20Lに、1%水酸化ナトリウム水溶液2
Lを加え、ホモミキサー(特殊機化工業)を用いて攪拌
混合し、W/O(油中水分散型)エマルジョン溶液を調
製した。エマルジョンの粘度は460cp、エマルジョ
ンの液滴径は約5μmであった。またダスト数は、14
7,300個/gであった。
【0051】(フィルターによる液液分離)フィルター
として実施例2で使用したものをガラス製ハウジングに
取り付けて、攪拌槽よりフィルターの中から外へエマル
ジョン溶液を400kg/hの流量(濾過速度:0.34cm
/sec)でギアポンプを用いて圧送した。このときのフィ
ルターの圧力損失は、0.4kg/cm2で、ガラスハウジン
グを通してメタルフィルターの表面で凝集分離を確認す
るとともに、ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出
口から取り出して分液ロートに移し、5分間静置分離し
たあと、塩化メチレン層の含水率を測定したところ0.
4w/v %、ダスト数は22,200個/gであった。
【0052】比較例4 実施例4で用いたエマルジョンを、フィルター濾過せず
分液ロートに移しそのまま1時間静置分離させたが、有
機相と水相に分離しなかった。
【0053】比較例5 実施例4で使用したエマルジョンを、市販のストレーナ
ー(配管サイズ1インチ、40メッシュ、線径0.23
mm、目開き405μ)に、流量250kg/hで送液し、
ストレーナーから溢流する液体を分液ロートに移して1
時間静置分離したが、依然としてエマルジョン状態を維
持しており、有機相と水相に分離しなかった。
【0054】比較例6 フィルターとして日本ポール(株)製、材質ポリプロピ
レン、品番プロファイルII、不織布、濾過精度30μ
m、大きさ53mmφ×254mm、厚さ20mmをガ
ラス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルター
の中から外へ、実施例4で使用したエマルジョン溶液を
250kg/h(濾過速度:0.14cm/sec)の流量でギア
ポンプを用いて圧送した。このときのフィルターの圧力
損失は、0.2kg/cm2で、ガラスハウジングを通してメ
タルフィルターの表面で凝集分離を確認するとともに、
ポリカーボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出
して分液ロートに移し、20分間静置分離したあと、塩
化メチレン層の含水率を測定したところ2.7w/v %、
ダスト数92,500個/gであった。
【0055】実施例5 (ポリカーボネート樹脂溶液の合成)水酸化ナトリウム
4.0kgを水42リットルに溶解し、これに二価フェ
ノールとしてビスフェノールA7kg、及びハイドロサ
ルファイト29gを溶解した。これにメチレンクロライ
ド(MC)35リットルを加えて撹拌しつつ、p−t−
ブチルフェノール240gを加え、次いでホスゲン3.
9kgを60分かけて吹き込んだ。ホスゲン吹き込み
後、激しく撹拌して反応液を乳化させ、乳化後、8gの
トリエチルアミンを加え約1時間撹拌し重合させた。混
合物を30分間静置させると、水溶液とMC層とに分離
した。得られたMC層をポリカーボネートの樹脂溶液と
して実施例で使用した。MC層を約10ccサンプリング
して溶媒を揮散させ固形のポリカーボネートを得、粘度
平均分子量を測定したところMv=17,300であっ
た。
【0056】(ポリカーボネート樹脂溶液の洗浄)前記
のポリカーボネート合成によって得られたポリカーボネ
ート樹脂溶液20Lに、1%水酸化ナトリウム水溶液2
Lを加え、ホモミキサー(特殊機化工業)を用いて攪拌
混合し、W/O(油中水分散型)エマルジョン溶液を調
製した。エマルジョンの粘度は370cp、エマルジョ
ンの液滴径は約12μmであった。またダスト数は、1
28,900個/gであった。
【0057】(フィルターによる液液分離)フィルター
としてTFSジャパン(株)製、材質SUS316、不
織布、品番421メタルフィルター、濾過精度30μ
m、大きさ52mmφ×254mm、厚さ5mmをガラ
ス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの
中から外へエマルジョン溶液を50kg/h(濾過速度:
0.03cm/sec)の流量でギアポンプで圧送した。この
ときのフィルターの圧力損失は、0.5kg/cm2で、ガラ
スハウジングを通してメタルフィルターの表面で凝集分
離を確認するとともに、ポリカーボネート樹脂溶液をハ
ウジング出口から取り出して分液ロートに移し、30秒
間静置分離した後、塩化メチレン層の含水率を測定した
ところ2w/v %であった。さらに5分間静置分離したあ
と、塩化メチレン層の含水率を測定したところ0.3w/
v %、ダスト数は22,100個/gであった。
【0058】実施例6 (ポリカーボネート樹脂溶液の洗浄)実施例5の(ポリ
カーボネート樹脂溶液の合成)で調製された樹脂溶液2
0Lに、3w/v %燐酸水溶液2Lを加え、ホモミキサー
(特殊機化工業)で攪拌混合し、W/O(油中水分散
型)エマルジョン溶液を調製した。このエマルジョン溶
液の粘度を測定したところ、220cp、またエマルジ
ョン液滴径の大きさは、約50μmであった。
【0059】(フィルターによる液液分離)フィルター
として富士フィルター工業(株)製、材質ハステロイ
C、不織布、フジメタルファイバー、濾過精度10μ
m、外径50mmφ、内径43mmφ、厚さ1mm、長
さ250mmをガラス製ハウジングに取り付けて、攪拌
槽よりフィルターの中から外へエマルジョン溶液を42
0kg/h(濾過速度:0.25cm/sec)の流量でギアポン
プで圧送した。このときのフィルターの圧力損失は、
0.4kg/cm2で、ガラスハウジングを通してメタルフィ
ルターの表面で凝集分離を確認するとともに、ポリカー
ボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出して分液
ロートに移し、10分間静置分離したあと、塩化メチレ
ン層の含水率を測定したところ0,2w/v %、ダスト数
は9,500個/gであった。
【0060】比較例7 実施例6において、ホモミキサーの代わりに一方回転式
タービン翼(翼直径440mm、翼幅15mm、回転数
120rpm)を使用した以外は同様に実験を行ったと
ころ、W/Oエマルジョンが得られ、液滴径は180μ
mであった。フィルターとしてTFSジャパン(株)
製、材質SUS316、不織布、品番421メタルフィ
ルター、濾過精度30μm、大きさ52mmφ×254
mm、厚さ5mmをガラス製ハウジングに取り付けて、
攪拌槽よりフィルターの中から外へエマルジョン溶液を
50kg/h(濾過速度:0.03cm/sec)の流量でギアポ
ンプで圧送した。このときのフィルターの圧力損失は、
0.7kg/cm2で、ガラスハウジングを通してメタルフィ
ルターの表面で凝集分離を確認するとともに、ポリカー
ボネート樹脂溶液をハウジング出口から取り出して分液
ロートに移し、10分間静置分離した後、塩化メチレン
層の含水率を測定したところ0.6w/v %、ダスト数は
124,300個/gであった。
【0061】実施例7 (ポリカーボネート樹脂溶液の合成)水酸化ナトリウム
4.5kgを水50リットルに溶解し、これに二価フェ
ノールとしてビスフェノールA7.3kg、及びハイド
ロサルファイト29gを溶解した。これにメチレンクロ
ライド(MC)50リットルを加えて撹拌しつつ、p−
t−ブチルフェノール100gを加え、次いでホスゲン
3.9kgを60分かけて吹き込んだ。ホスゲン吹き込
み後、激しく撹拌して反応液を乳化させ、乳化後、8g
のトリエチルアミンを加え約1時間撹拌し重合させた。
混合物を30分間静置させるても水溶液とMC層とには
分離せず、W/O(油中水分散型)のエマルジョンを呈
していた。エマルジョンを約10ccサンプリングして溶
媒と水分を揮散させ固形のポリカーボネートを得、粘度
平均分子量を測定したところMv=34,500であっ
た。エマルジョンの粘度は370cp、エマルジョンの
液滴径は約8μmであった。またダスト数は、117,
700個/gであった。
【0062】(フィルターによる液液分離)フィルター
としてTFSジャパン(株)製、材質SUS316、不
織布、品番421メタルフィルター、濾過精度30μ
m、大きさ52mmφ×254mm、厚さ5mmをガラ
ス製ハウジングに取り付けて、攪拌槽よりフィルターの
中から外へエマルジョン溶液を100kg/h(濾過速度:
0.56cm/sec)の流量でギアポンプで圧送した。この
ときのフィルターの圧力損失は、0.8kg/cm2で、ガラ
スハウジングを通してメタルフィルターの表面で凝集分
離を確認するとともに、ポリカーボネート樹脂溶液をハ
ウジング出口から取り出して分液ロートに移し、30秒
間静置分離した後、塩化メチレン層の含水率を測定した
ところ2.5w/v%、ダスト数は88,600個/gで
あった。さらに5分間静置分離したあと、塩化メチレン
層の含水率を測定したところ0.3w/v %、ダスト数は
15,700個/gであった。
【0063】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ポリカーボネー
ト樹脂エマルジョンから、不純物とダストが低減された
ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と、水溶液とに、
低コスト、省エネルギーで効率よく分離することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA09 AB05 BB10A BB10B BB12A BB12B BB13A BB13B BD09A BD09B BE05A BH02 BH04 DB07 DB13 DB14 HC01 JB063 KH03 KH04 KH05 LB05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液と
    水溶液とから構成され、液滴径が1〜100μmである
    油中水分散型(W/O)エマルジョンを、ポリカーボネ
    ート樹脂の有機溶媒溶液と水溶液とに分離する方法にお
    いて、該エマルジョンを濾過精度10〜200μmの金
    属フィルターに通液した後、1分〜30分間静置分離さ
    せることを特徴とするポリカーボネート樹脂エマルジョ
    ンの分離方法。
  2. 【請求項2】 金属フィルターが金属繊維である請求項
    1に記載のポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方
    法。
  3. 【請求項3】 金属フィルターが金属繊維の不織布であ
    る請求項1に記載のポリカーボネート樹脂エマルジョン
    の分離方法。
  4. 【請求項4】 金属フィルターの厚みが0.2〜50mm
    である請求項2に記載のポリカーボネート樹脂エマルジ
    ョンの分離方法。
  5. 【請求項5】 金属フィルターの材質がオーステナイト
    系ステンレス鋼またはニッケル合金からなる請求項1に
    記載のポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方法。
  6. 【請求項6】 金属フィルターの材質がSUS304、
    SUS316、SUS316L、SUS317およびS
    US347から選ばれた少なくとも1種である請求項5
    に記載のポリカーボネート樹脂エマルジョンの分離方
    法。
  7. 【請求項7】 金属フィルターの材質がハステロイC、
    インコロイおよびモネルから選ばれた少なくとも1種で
    ある請求項5に記載のポリカーボネート樹脂エマルジョ
    ンの分離方法。
  8. 【請求項8】 ポリカーボネート樹脂エマルジョンの粘
    度が、10〜500cpである請求項1記載のポリカー
    ボネート樹脂エマルジョンの分離方法。
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