JP4562851B2 - ポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法および洗浄装置 - Google Patents

ポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法および洗浄装置 Download PDF

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    • C11D17/0017Multi-phase liquid compositions
    • C11D2111/10

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法に関するものであり、詳しくは、界面重合法(ホスゲン法)によるポリカーボネートの製造において、重合後の不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液を、水性洗浄液を用いて効率よく精製することができる洗浄方法および洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、耐衝撃性などの機械的特性、耐熱性、透明性などに優れており、各種電気・電子部品、機械部品、自動車用部品、光ディスクなどの情報記録媒体用基板など巾広い分野で用いられている。ポリカーボネートは、通常、ビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応による界面重合方法(溶剤法)により製造されている。
【0003】
また、ジフェニルカーボネートとビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とを溶融重縮合する方法も知られている。しかしながら、溶融重縮合方法では、反応が高温・長時間にわたることに加えて、触媒残留物などの不純物の影響により、色相、耐熱性、耐スチーム性、耐候性などにおいて、満足できない場合がある。したがって、品質の点から界面重合方法が多用されているのが実情である。
【0004】
界面重合方法によるポリカーボネートの製造においては、重合反応の結果として副生する不純物、あるいはその他の不純物、特にハロゲン化アルカリ、カ性アルカリ、炭酸アルカリなどの無機塩やイオン、未反応のビスフェノールA、分子量調節剤としてのモノフェノール化合物、触媒としてのアミン類などの不純物が残留する。これらの不純物は少量であっても、ポリカーボネートの着色、熱安定性、耐スチーム性、耐クレーズ性などの低下の原因となる。
【0005】
これらの不純物は、攪拌槽、多段抽出塔、オリフィス塔、ラインミキサーなどの装置により、水性洗浄液を用いた洗浄により除去精製されている。これらの洗浄方法としては、バッチ方式と連続方式に大別される。しかしながら、ポリカーボネートの有機溶剤溶液の粘度が高くなると洗浄性が低下し、不純物の除去効率が悪く、精製度を高めることが困難である。
【0006】
このため、たとえば、攪拌槽を二段とし、油中水型分散相の条件で洗浄後、相分離の容易な水中油型分散相に相転換し、静置分離槽に供給する方法(特公昭59−38967号公報)、オリフィス塔を高い圧力損失で運転した後、大型の静置分離槽で分離する方法(特公昭57−37032号公報)などが提案されている。しかしながら、このような洗浄方法では、装置の大型化、操作の煩雑、洗浄時間など生産性が低いばかりか、洗浄効率も必ずしも十分でない場合がある。
【0007】
これらの問題を解消するポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法として、▲1▼特公平6−53793号公報には、粗製ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液を水相比で5〜30容量%に調製し、ラインミキサーを使用して、毎時0.1kW/m3 以上の、単位流量当たりの攪拌所要動力で、前記混合液を攪拌して油中水型分散相を形成させ、次いで、この混合液を遠心分離する方法が開示されている。また、特公平6−39523号公報には、ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液とを混合して油中水型分散相を形成して、前記分散相中の分散液滴粒径を100μm以下とした後に、前記分散相を遠心分離する方法が開示されている。
【0008】
また、▲2▼特開平7−309940号公報には、不純物を含有するポリカーボネート溶液を水性洗浄液により洗浄する方法において、ポリカーボネート溶液と水性洗浄液とを、混合器により混合し、水中油型乳化状態の混合溶液とした後、濾過層を通過させることにより、ポリカーボネート溶液相と水性洗浄液相とに分離することを特徴とするポリカーボネート溶液の洗浄方法が開示されている。
【0009】
これらの改良洗浄方法において、前者の▲1▼はポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液との混合において、油中水型分散相を形成させるのに対して、後者の▲2▼は水中油型分散相を形成させる点で全く異なるものである。これらの洗浄方法は共に優れた洗浄方法であると考えられる。
【0010】
しかしながら、後者の▲2▼の水中油型分散相を形成する方法では、水性洗浄液を、ポリカーボネート溶液に対して、0.7〜5容量倍、実施例では1.2〜1.5容量倍と多量の水性洗浄液を必要とするものである。このため、混合液の増大による、混合設備、分離設備の大型化、高能力化が必要となるとともに、洗浄廃水量が大幅に増加する。この廃水には、ポリカーボネート溶解用溶剤である、通常最もよく用いられるジクロルメタンが含まれており、この溶剤の回収のための費用がかさむなどの問題点が考えられる。
【0011】
一方、前者の▲1▼の油中水型分散相を形成する方法では、水性洗浄液を、ポリカーボネート有機溶剤溶液に対して、5〜30容量%、実施例では10〜25容量%と、▲2▼の洗浄方法に比較して、著しく少量の水性洗浄液を用いて洗浄できる大きな特徴がある。
【0012】
すなわち、ポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法は、洗浄混合液の分散(乳化)状態により、どちらの液を分散相としても洗浄自体は行うことができる。しかし、水中油型分散相での洗浄の場合には、水性洗浄液の量が少ない場合には、洗浄性が著しく低下する。このため、前記▲2▼のように、水性洗浄液の相比を高くする必要性があるわけである。また、前記▲1▼の油中水型分散相の場合においても、水性洗浄液の相比が高い方が洗浄効率は高くなることは言うまでもないことである。
【0013】
ところが、ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液の混合分散液からなる乳化状態は、混合分散液を形成する両液の性状変化により大きく影響される。すなわち、ポリカーボネート有機溶剤溶液の性状はポリカーボネートの末端構造、分子量、粘度、樹脂濃度の変化、不純物含有量など、また、水性洗浄液の性状は、pH、不純物含有量などにより混合分散液の分散相の形成に大きく影響を与える。
【0014】
このため、ポリカーボネート有機溶剤溶液に対する水性洗浄液の供給比率を一定にコントロールしていても、分散相状態は常に一定ではなく、油中水型分散相、水中油型分散相間で相転移する問題がある。したがって、洗浄性にすぐれる油中水型分散相を維持するためには、比較的、水性洗浄液の混合比率の低い条件、言い換えれば洗浄効率を一部犠牲にした洗浄条件を採用せざるを得ないのが実情である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリカーボネート有機溶剤溶液の水性洗浄液による洗浄において、水性洗浄液の使用量を抑え、洗浄効率を高いレベルに安定することができる経済的な洗浄方法、特に小型、連続プロセス化が可能なポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法および洗浄装置を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法における前記問題点について鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液の混合物における分散(乳化)状態、相転移が洗浄性に大きく影響するとともに、相転移時に混合分散液の粘度変化が見られることを見いだした。また、この粘度変化を基に、水性洗浄液の混合比率を制御することにより、洗浄を洗浄効率の高い条件で安定して洗浄が可能であることを見いだした。本発明は、これらの知見をもとになされたものである。
【0017】
すなわち、本発明は、
(1) 不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液を水性洗浄液を用いて洗浄する方法において、前記ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液との混合分散液の粘度を検知し、混合分散液の相状態と粘度の関係に基づいて水性洗浄液の混合比を制御するポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
(2) 混合分散液の相状態を主として油中水型分散相を形成するように、前記ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液の混合比を自動制御する(1)記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
【0018】
(3) 不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液のポリカーボネート含有量が、5〜30質量%であり、前記ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液との混合分散液の水相分率が10〜40容量%である(1)または(2)に記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
(4) 混合分散液の粘度を振動粘度計で検知する(1)〜(3)のいずれかに記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
(5) ラインミキサーを用いて混合分散液を形成する(1)〜(4)のいずれかに記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
(6) ラインミキサーでの単位流量当たりの攪拌動力が、毎時0.1kW/m3 以上である(1)〜(5)のいずれかに記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
【0019】
(7) 不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液の流量を検知する手段、水性洗浄液の流量を検知する手段、前記両液の混合分散手段、前記両液からなる混合分散液の粘度を検知する手段、粘度と混合分散液の相状態の関係に基づいて前記両液の混合比を制御する制御手段および混合分散液の分離手段を備えたことを特徴とするポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄装置。
(8) 混合分散液の粘度を検知する手段が振動粘度計である(7)記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄装置。
(9) 前記混合分散手段がラインミキサーで、前記分離手段が遠心分離機である(7)または(8)記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄装置を要旨とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法の対象となるポリカーボネート有機溶剤溶液(以下、ポリカーボネート溶液と略称することがある。)は、ポリカーボネートを製造する界面重合法、溶液重合法、特にポリカーボネート可溶溶剤の存在下、界面重合法により製造されたポリカーボネートを含有する反応混合物から、水相を除去した溶液である不純物を含む粗精製ポリカーボネート溶液である。
【0021】
ここで不純物とは、前記したところの、重合反応の結果として副生する不純物、あるいはその他の不純物、特にハロゲン化アルカリ、カ性アルカリ、炭酸アルカリなどの無機塩やイオン、未反応のビスフェノールA、分子量調節剤としてのモノフェノール化合物、触媒としてのアミン類などである。なお、本発明の洗浄方法は、他の手段による事前の洗浄工程を経た溶液、あるいは本発明方法で洗浄された粗精製ポリカーボネート溶液を対象とすることもできる。
【0022】
界面法による重合反応は、通常実施されている方法、すなわち、有機溶剤の存在下、ジヒドロキシ化合物のアルカリ塩水溶液とホスゲンを反応する重合方法である。ここで、ジヒドロキシ化合物としては、様々なものが挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。特に好ましい2価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールAを主原料としたものである。
【0023】
次に、前記反応で用いられる有機溶剤としては、ジクロルメタン、ジクロルエタン、トリクロルエタン、テトラクロルエタン、ペンタクロルエタン、ヘキサクロルエタン、ジクロルエチレンなどの脂肪族塩素化炭化水素、クロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族塩素化炭化水素、またはこれらの混合物などである。また、これらの塩素化炭化水素とジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトフェノンなどの有機溶剤との混合物などである。また、それらの塩素化炭化水素またはそれらの混合物に、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素などを混合した有機溶媒であってもよい。
【0024】
中でも、ジクロルメタン(塩化メチレン)が特に好ましい。ここで、ポリカーボネート有機溶剤溶液中のポリカーボネートの含有量は、通常、5〜30質量%、好ましくは6〜25質量%、特に好ましくは7〜20質量%の範囲である。このポリカーボネートの含有量が5質量%未満であると、ポリカーボネート溶剤溶液量が多くなり、これに伴って水性洗浄液を多量に必要とし、その結果、洗浄混合分散液の増大により洗浄工程の設備の大型化を招き好ましくない。また、洗浄後の精製ポリカーボネートのフレーク化において、多量の溶剤を留去する必要があり、経済的に不利になる場合がある。また、30質量%を越えると、分子量にもよるがポリカーボネート溶剤溶液の粘度が急激に上昇し、均一な洗浄が困難になる場合がある。したがって、このポリカーボネートの含有量は、ポリカーボネートの分子量、溶液粘度、洗浄性などにより適宜ジクロルメタンにより希釈して用いられる。
【0025】
次に、水性洗浄液としては、未反応のジオキシ化合物、モノフェノール類の除去の場合には、苛性ソーダ水溶液などのアルカリ性水溶液が用いられ、触媒、苛性アルカリなどの除去の場合には希塩酸水溶液、希リン酸水溶液などの希酸水溶液が好ましく用いられる。また、これらの洗浄で残留する塩化ナトリウムなどのハロゲン化アルカリの除去のためには、水、好ましくはイオン交換水、蒸留水などの高純度の水が用いられる。前記の不純物を含有するポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄は、一般的には、アルカリ洗浄、酸洗浄、純水洗浄がこの順に、各1回、必要により複数回行われる。
【0026】
本発明においては、先ず、不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液が混合される。ここで使用する水性洗浄液の量は、ポリカーボネート有機溶剤溶液中のポリカーボネートの含有量、種類、分子量、水性洗浄液の種類、洗浄装置の形式・種類・機能・サイズなどにより一様ではなく、適宜決定できる。しかし、本発明の洗浄方法にあっては、通常、用いるポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液との合計容量を100容量%としたときに、水性洗浄液の容量が、5〜50容量%、好ましくは10〜40容量%、より好ましくは15〜30容量%の範囲である。
【0027】
この水性洗浄液の量が、5容量%未満であると、洗浄性に優れた油中水型分散相が形成されるが、水性洗浄液の量が少なく洗浄効果が低下して、本発明の目的達成が困難な場合がある。また、50容量%を越えると、洗浄効率の低い水中油型分散相を形成することとなり、洗浄効果が極端に低下し、本発明の目的達成が困難になる場合がある。本発明では、この洗浄工程における混合液の混合比は、一定ではなく、必要により、連続的または段階的に各液の流量を制御、特に水性洗浄液の流量を変化させることにより混合液の混合比、すなわち相比を変更することができる。
【0028】
本発明のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法では、各種の混合洗浄設備を用いて洗浄することができる。ここで、混合手段としては、ポリカーボネート製造装置に組み込まれた手段が用いられ、前記混合液を十分混合分散できるものであれば特に制限はなく、攪拌翼を有する回分式混合装置または連続式混合装置があるが、連続式混合装置が好ましく用いられる。
【0029】
連続式混合装置としては、ホモジナイザーまたは攪拌翼を有する攪拌槽、静止型ミキサー(スタテックミキサー、オリフィスミキサー)、強制攪拌式ラインミキサーまたはこれらを組み合わせた混合装置を挙げることができる。ホモジナイザーとは、混合溶液を狭い隙間を強制的に通過させることにより混合分散状態を形成させるための装置である。攪拌翼としては、パドル翼、プロペラ翼、タービン翼などが挙げられる。
【0030】
静止型ミキサーとは、混合のために可動部分を持たず、管路中に液体分割作用を有するエレメントを直列または並列に数段配置し、短い滞留時間で微細な混合分散状態を形成させるための装置である。強制攪拌式ラインミキサーとは、ライン内に前記のホモジナイザー、攪拌翼、タービン翼が組み込まれた混合装置である。
【0031】
本発明では、装置が小型で、滞留時間が短く、高速攪拌混合が可能となる点からラインミキサーが好適に用いられる。ラインミキサーとしては、前記の静止型ミキサー、強制攪拌式ラインミキサーがある。本発明では、水性洗浄液比率が比較的少ない混合液を小粒子の分散液とすることができるラインミキサーが選定される。
【0032】
したがって、攪拌混合が強力に行われることが必要となる。このためには、前記の静止型ラインミキサーを用いる場合には、差圧を、たとえば0.5〜3MPa程度と、高くする必要があり、そのためには静止型ミキサーのエレメント数を多くする必要があり、また通過速度も速くすることが必要となる。このため、加圧流入動力が高くなるなど、設備費、運転費の高騰につながり経済的でなくなる場合がある。この静止型ミキサーの具体例としては、ノリタケスタテックミキサー〔ノリタケカンパニー(株)製〕、スルーザーミキサー〔住友重機工業(株)製〕、ハイミキサー〔東レ(株)製〕などのスタテックミキサーまたはオリフィスミキサーなどが挙げられる。
【0033】
また、本発明の洗浄方法では、前記の理由により、タービン翼などを備えた強制攪拌式のラインミキサーが好ましく使用できる。このラインミキサーの具体例としては、T.K.パイプラインホモミキサー、T.K.ホモミックラインフロー〔特殊機化工業(株)製〕、マルチラインミキサー〔佐竹化学機械(株)製〕、コマツスルーザーディスインテグレター〔小松ゼノア(株)製〕などを挙げることができる。
【0034】
本発明の洗浄方法では、不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液を前記混合分散装置に供給し、混合分散液を形成することにより洗浄が行われる。この場合のポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液の混合比率としては、特に制限はないが、通常、混合分散液中の水相(水性洗浄液)比を5〜50容量%、好ましくは10〜40容量%、より好ましくは15〜30容量%とする。ここで、ポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄においては、この水相比の範囲において、混合分散液の分散状態が、前記したように各種要因によって、油中水型分散(相)形態と水中油型分散(相)形態の両方を取りうる。すなわち、水相比が一定であっても、洗浄原料液の性状変化によって相互に相転移し易いと言う大きな特徴がある。
【0035】
この分散形態において、油中水型分散相(W/O)が、水中油型分散相(O/W)よりもポリカーボネート有機溶剤溶液中の不純物の抽出が良好であることが知られている。したがって、(W/O)分散相の状態で洗浄が行われることが好ましい。この(W/O)分散相の場合においては、水性洗浄液の比率が高い方、すなわち、水相比が高い方が洗浄効率がよいことは当然である。しかし、水相比が高くなると、(O/W)分散相へ相転移、すなわち洗浄効率の低い混合分散形態になってしまうと言う大きな問題点がある。したがって、(W/O)分散相を維持する条件で水性洗浄液比率を高めることが重要となる。
【0036】
ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液は混合され混合分散装置に供給され、分散液を形成し洗浄される。この場合、(W/O)分散相を形成するとともに、分散相中の分散液滴粒径を小さくすることにより、接触界面面積を増大した方が洗浄効率が向上する。したがって、分散液滴粒径を200μm以下とすることが好ましく、100μm以下とすることがより好ましく、50μm以下とすることが特に好ましい。
【0037】
このような分散液滴粒子径を得るためには、前記の静止型ミキサーでの混合分散効率の高いミキサーを選択することもできる。しかし、前記強制攪拌式ラインミキサーを用いて、前記混合液を混合分散するに当たって、単位流量当たりの攪拌所要動力を、好ましくは毎時0.2kW/m3 以上、より好ましくは、毎時0.5kW/m3 以上とすることによって達成することができる。この混合分散条件を確保するため、装置の大小、滞留時間、高速回転などの点から強制攪拌式ラインミキサーが好ましく用いられる。
【0038】
本発明の特徴は、不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液を水性洗浄液を用いて洗浄する方法において、前記ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液との混合分散液の粘度を検知(測定)し、その粘度変化にもとづいて混合分散液の相比を制御するものである。すなわち、本発明者らの検討において、この混合分散液が(W/O)分散相から(O/W)分散相に相転移する際に分散液の粘度が高くなる方向に変化することを見いだしたものである。
【0039】
この粘度変化を検知することにより、混合分散相を洗浄効率の高い、(W/O)主体の分散状態で洗浄するに際し、できるだけ水性洗浄液の使用比率を高める洗浄条件を設定しようとするものである。すなわち、(W/O)分散相を形成する混合分散液での相比条件下の混合分散相の粘度を連続的に検知するとともに、水性洗浄液の混合比率を連続的に、または段階的に増加することにより、水相比を高めて行く。その結果、水相比が高くなってくるとやがて、(O/W)への相転移が起こる。
【0040】
この相転移に伴って、粘度が上昇してくる。そこで、この粘度上昇を検知して、水性洗浄液の流量を減少させることにより、相転移を抑えることができ、または、相転移が起こっても、速やかに元の(W/O)分散相の条件に復帰させることが可能になる。すなわち、不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液、水性洗浄液の性状の変化などによって、相転移の生じる相比が経時的に変化しても、混合分散相の粘度の追尾によって確実に相転移を検出できることになる。
【0041】
次に、本発明の特徴である、混合分散液の粘度の検知(測定)は、各種の手段、たとえば粘度計が採用できる。ここで、粘度計としては、振動式粘度計、回転式粘度計、オリフィス式粘度計などを挙げることができる。これらの粘度計の中でも、(超音波)振動式粘度計が特に好ましく用いられる。これは、混合分散液の状態にできるだけ等しい状態での測定が必要であるからである。
【0042】
ここで、他の方式である、オリフィスを利用した粘度計では、オリフィスを通過した時点で相転移する場合があり好ましくなく、また、ネジリトルク型粘度計では、オンライン測定の場合に流速の影響を受け、流速を下げると混合分散相が相分離するため好ましくない。ここで、振動式粘度計は、連続洗浄ラインの混合分散装置の下流の本ラインまたはバイパスラインに設けることができる。振動粘度計としては、振動粘度計ビスコメイト:FVM−809A、VM−100A、VM−1G〔山一電機(株)製〕、超音波振動粘度計FUV−1〔富士工業(株)製〕などを挙げることができる。なお、粘度測定範囲としては、通常、10〜5000mPa・s程度である。
【0043】
本発明では、洗浄効率の優れた混合分散液の状態で洗浄された混合分散液は、次いで分離装置により、精製ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液(廃水)に分離される。この分離手段としては特に制限されるものではなく、静置分離、濾材層を用いた分離、遠心分離、コアレッサーなどを例示できる。この分離工程では、水性洗浄液に不純物が多量に含まれているので、分離後のポリカーボネート有機溶剤溶液中の水分量が極力低減できる装置の採用が好ましい。
【0044】
また、この分離工程においても、分離設備、分離時間、分離処理量、連続処理などから遠心分離方法の採用が好ましい。この遠心分離に使用する装置としては、強力なエマルジョンに対して、300G以上、好ましくは700G以上の高遠心力により油中の水分を飽和量近辺まで分離可能な装置の採用が特に好ましい。この遠心分離装置としては、具体的に、K.C.C.遠心抽出機〔川崎重工(株)製〕、日立Vリング遠心抽出機〔(株)日立製作所製〕、TA型遠心分離機〔ウェストファリアセパレーター(株)製〕などが挙げられる。
【0045】
次に、本発明のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法の一具体例である連続洗浄方法、洗浄装置の場合について、図面を基に具体的に説明する。なお、この例では、洗浄をアルカリ洗浄、酸洗浄、純水洗浄を連続的に行うものであり、また各洗浄液は洗浄後に遠心分離され、次工程の洗浄工程へ供給される方式となっている。
【0046】
図1は、本発明のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法の一例である、連続洗浄方法の概念説明図である。図1において、1は遠心分離機、2はポリカーボネート溶液、3は廃水、4は水性洗浄液、5はラインミキサー、6は粘度計、7は制御器、8は水性洗浄液流量制御弁、9は遠心分離機、10は精製ポリカーボネート溶液、11は廃水を示す。
【0047】
重合工程からの不純物を含むポリカーボネート樹脂のジクロルメタン溶液と水からなる反応液は、遠心分離機1により、不純物を含むポリカーボネート樹脂のジクロルメタン溶液2と廃水3に分離される。分離されたポリカーボネート溶液2に、水性洗浄液(苛性ソーダ水溶液)4が流量制御弁4より特定水相比となるように供給され、ポリカーボネート溶液と混合されラインミキサー5に入る。ラインミキサー5はタービン翼を備えており、単位流量当たりの攪拌所要動力(例えば毎時1kW/m3 程度)になるように強制攪拌混合分散され、分散液滴径が100μm以下の分散液を形成しアルカリ洗浄が行われる。
【0048】
この場合の混合分散液は、(W/O)分散相となるように、水性洗浄液の相比が選定され、これに見合った水性洗浄液が供給される。ラインミキサーを出た後の混合分散液の粘度は、(振動式)粘度計6により常時検知されている。この検知される粘度結果は、制御装置7に送られ、予め設定された、基準となる粘度〔(W/O)分散相を示す〕と対比されるようになっている。
【0049】
ここで、重合工程からのポリカーボネート溶液は、通常流量が略一定しているので、例えば水性洗浄液の流量を、図2に示すようなパターンで段階的に少しづづ増加させる。この洗浄液の増加は、水相比の増加となり、界面の面積増加により洗浄性が向上する。しかしながら、ある水相比に達すると、混合分散液の相転移が起こる。この粘度の変化は常時制御装置に送られている。この粘度の変化により、水性洗浄液の流量を図2に示すように低下させる。これにより粘度は元の状態に戻り安定した(W/O)分散相を形成するようになる。
【0050】
このような制御により、水相比の振れ巾を狭く、且つ高めの位置に制御することにより、効率の高い条件での洗浄が可能となる。また、この安定位置、すなわち、水相比は、ポリカーボネート溶液などの性状の変化によっても変化する。しかし、その変化点は粘度の変化で追随することができる。したがって、従来のように、サンプリングによる目視監視体制よりも、水相比を高いレベル、すなわち洗浄効率のすぐれた洗浄条件で運転でき、しかも自動化が可能となる。
【0051】
以上は、第1洗浄工程であるアルカリ洗浄工程について説明したが、酸洗浄工程、純水洗浄工程、あるいは更なる付加洗浄工程においても、同様な手法が採用できる。なお、各洗浄工程では、ポリカーボネート溶液の性状、水性洗浄液の性状が異なり、また、混合装置の攪拌動力、液滴粒径などにより、相転移の条件などは変化することになる。したがって、同じ水相比であっても、混合分散液の粘度は当然大きく異なる場合がある。しかし、相転移に対応して粘度が変化することには変わりなく、同様の制御方法によって洗浄条件の最適化が可能である。
【0052】
このように、各洗浄工程を経て精製、分離されたポリカーボネート溶液は、溶液の攪拌下、加熱濃縮結晶化によるフレーク化手段、貧溶媒を用いるフレーク化手段、スチームによるフレーク化手段などのポリマー回収手段を用いて回収される。ついで、通常押出成形機(ベント付)により、ペレット化して高品質の製品を得ることができる。
【0053】
本発明のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄装置は、前記詳述したように、不純分を含むポリカーボネート有機溶剤溶液の流量を検知する手段、水性洗浄液の流量を検知する手段、前記両液の混合分散手段、前記両液からなる混合分散液の粘度を検知する手段、粘度と混合分散液の相状態の関係に基づいて前記両液の混合比を制御する制御手段および混合分散液の分離手段を備えたことを特徴とするものであり、特に、前記混合分散手段がラインミキサーで、前記分離手段が遠心分離機である連続洗浄装置である。
【0054】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(I)洗浄時の混合分散液の相状態と粘度の関係
ビスフェノールAとホスゲンからの界面重合法で得られたポリカーボネート縮合反応後のエマルジョンを遠心分離し、不純物を含むポリカーボネートジクロルメタン溶液(A)を得た。この溶液は、▲1▼残留ビスフェノールA:32ppm、▲2▼粘度平均分子量:23,000、▲3▼ポリカーボネートの含有率:12.5質量%、▲4▼粘度:74mPa・s(23℃)であった。
【0055】
(1)アルカリ水洗浄工程
このジクロルメタン溶液(A)とpH12.5の苛性ソーダ水溶液(B1)とを、ジクロルメタン溶液相が80容量%、水溶液相が20容量%となるように、各々38リットル/hr、9.5リットル/hrでラインミキサー〔内容積:0.3リットル、第1タービン翼の直径:42.5mm、第2タービン翼の直径:48mm〕に供給し、単位流量当たりの攪拌所要動力を毎時0.33kW/m3 に調節して攪拌混合分散を行いアルカリ洗浄を行った。
【0056】
次に、ラインミキサー出口からの分散混合液を遠心抽出機〔内容積:4リットル、ローター径:430mm、商品名「K.C.C遠心抽出機」(川崎重工(株製)〕に導入して、回転数:3,000rpmで遠心抽出を行い、一次精製のポリカーボネートジクロルメタン溶液(A’)を38リットル/hrで得た。
【0057】
(2)酸性水洗浄工程
(1)で得られた一次精製のポリカーボネートジクロルメタン溶液(A’)と0.1N−塩酸水溶液(B2)とを、ジクロルメタン溶液相が80容量%、洗浄水相が20容量%になるように、各々38リットル/hr、9.5リットル/hrでラインミキサー〔内容積:1.2リットル、タービン翼の直径:48mm〕に供給し、単位流量当たりの攪拌所要動力を毎時0.67kW/m3 に調節して攪拌混合分散を行い酸洗浄を行った。
【0058】
次に、ラインミキサー出口からの分散混合液を遠心抽出機〔内容積:4リットル、ローター径:430mm、商品名「K.C.C遠心抽出機」(川崎重工(株製)〕に導入して、回転数:3,000rpmで遠心抽出を行い、二次精製のポリカーボネートジクロルメタン溶液(A”)を38リットル/hrで得た。
【0059】
(3)純水洗浄工程
(2)で得られた二次精製のポリカーボネートジクロルメタン溶液(A”)と純水(イオン交換水)〔比電気伝導度:0.1μS/cm〕(B3)とを、ジクロルメタン溶液相が80容量%、洗浄水相が20容量%になるように、各々38リットル/hr、9.5リットル/hrでラインミキサー〔内容積:0.3リットル、第1タービン翼の直径:42.5、第2タービン翼の直径:48mm〕に供給し、単位流量当たりの攪拌所要動力を毎時1.1kW/m3 に調節して攪拌混合を行い純水洗浄を行った。
【0060】
次に、ラインミキサー出口からの分散混合液を遠心抽出機〔内容積:4リットル、ローター径:430mm、商品名「K.C.C遠心抽出機」(川崎重工(株製)〕に導入して、回転数:3,000rpmで遠心抽出を行い、三次精製のポリカーボネートジクロルメタン溶液を38リットル/hrで得た。このような工程により、精製ポリカーボネート溶剤溶液を得た。
【0061】
前記の各洗浄工程の各混合分散工程であるラインミキサーの下流に、シールド型振動粘度計〔FVM−80A:山一電機(株)製〕を設置し、混合分散液の粘度が連続的に検出できるようにした。このときの粘度計の指示値は、
工程(1) 160mPa・s
工程(2) 130mPa・s
工程(3) 140mPa・s であった。
【0062】
このときの、各ラインミキサー出口で、ポリカーボネート溶液と水性洗浄液との混合分散液をサンプリングし、目視にて分散相状態を観察したところ、全て、油中水型分散相(W/O)、すなわち水相が分散相を形成していた。この洗浄方法で得られた精製ポリカーボネート溶液の不純物残留量は、ナトリウムイオン:0.02ppm、塩素イオン:0.03ppm、ビスフェノールA:3.7ppm(いずれも、ジクロルメタン溶液中)であり、十分精製されているものであった。
【0063】
つぎに、前記のそれぞれの洗浄工程における水性洗浄液の流量を20%づつ二段階で〔水相比20容量%の40%〕増加させて、粘度変化を測定した。このときの粘度計の指示値は、
工程(1) 650mPa・s
工程(2) 220mPa・s
工程(3) 190mPa・s であり、良好に粘度が検出できた。
また、同時に各ラインミキサー出口でサンプリングし、分散相状態を観察した結果、水中油型分散相(O/W)、すなわち水相が連続相に転相していることが確認できた。なお、この洗浄方法で得られた精製ポリカーボネート溶液の不純物残留量は、ナトリウムイオン:1.8ppm、塩素イオン:2.1ppm、ビスフェノールA:12ppm(いずれも、ジクロルメタン溶液中)であり、精製度が低いものであった。
【0064】
したがって、粘度の上昇により、相転移が確認でき、相転移前の粘度レベルに洗浄水比を制御することにより、混合液の相状態を、W/O型である良洗浄性条件に維持できることが明らかである。
(II)連続洗浄
前記の洗浄例において、図2に示すパターンに基づいて、各洗浄工程の水性洗浄液を例えば10%〔水性洗浄液基準〕づつ、段階的に増加させ、連続的に洗浄操作を行うことができる。また、混合分散液の粘度を連続的に検知し、粘度が増加した場合には各洗浄工程の水性洗浄液を自動的に例えば20%減じて、数分間運転するようにシーケンスを組んで連続洗浄を継続できる。すなわち、あらかじめ検討された各工程における混合分散液の相状態と粘度との相関関係により定められた基準粘度を基にして、粘度のレベルに設定することにより、(O/W)への相転移を防止し、あるいは相転移期間を短時間にすることで、洗浄性にすぐれる、(W/O)分散相が主体となり、しかも水相比が比較的高いレベルでの洗浄条件での洗浄を継続することが可能となる。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液の水性洗浄液による洗浄において、洗浄液の使用量が比較的少なく、洗浄効率が良好な条件である油中水型混合分散液の状態での洗浄を確実に制御できる。しかも、水性洗浄液の相比を高いレベルに自動制御できるので、洗浄効率の更なる向上、省力化が図られる。したがって、洗浄コストの低減、ポリカーボネートの品質の向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法の一例を示す連続洗浄方法の概念説明図である。
【図2】本発明の洗浄方法の流量制御パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
1:遠心分離機
2:ポリカーボネート溶液
3:廃水
4:水性洗浄液
5:ラインミキサー
6:粘度計
7:制御器
8:水性洗浄液流量制御弁
9:遠心分離機
10:精製ポリカーボネート溶液
11:廃水

Claims (9)

  1. 不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液を水性洗浄液を用いて洗浄する方法において、前記ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液との混合分散液の粘度を検知し、混合分散液の相状態と粘度の関係に基づいて水性洗浄液の混合比を制御するポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
  2. 混合分散液の相状態を主として油中水型分散相を形成するように、前記ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液の混合比を自動制御する請求項1記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
  3. 不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液のポリカーボネート含有量が、5〜30質量%であり、前記ポリカーボネート有機溶剤溶液と水性洗浄液との混合分散液の水相分率が10〜40容量%である請求項1または2に記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
  4. 混合分散液の粘度を振動粘度計で検知する請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
  5. ラインミキサーを用いて混合分散液を形成する請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
  6. ラインミキサーでの単位流量当たりの攪拌動力が、毎時0.1kW/m3 以上である請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄方法。
  7. 不純物を含むポリカーボネート有機溶剤溶液の流量を検知する手段、水性洗浄液の流量を検知する手段、前記両液の混合分散手段、前記両液からなる混合分散液の粘度を検知する手段、粘度と混合分散液の相状態の関係に基づいて前記両液の混合比を制御する制御手段および混合分散液の分離手段を備えたことを特徴とするポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄装置。
  8. 混合分散液の粘度を検知する手段が振動粘度計である請求項7記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄装置。
  9. 前記混合分散手段がラインミキサーで、前記分離手段が遠心分離機である請求項7または8記載のポリカーボネート有機溶剤溶液の洗浄装置。
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