JP2000199070A - 金属表面処理剤および耐食性金属板 - Google Patents

金属表面処理剤および耐食性金属板

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JP2000199070A
JP2000199070A JP10374136A JP37413698A JP2000199070A JP 2000199070 A JP2000199070 A JP 2000199070A JP 10374136 A JP10374136 A JP 10374136A JP 37413698 A JP37413698 A JP 37413698A JP 2000199070 A JP2000199070 A JP 2000199070A
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Shigeru Unno
茂 海野
Hiroyuki Ogata
浩行 尾形
Chiyoko Tada
千代子 多田
Katsuhei Kikuchi
勝平 菊池
Sachiko Suzuki
幸子 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】クロムを用いないで金属板あるいはさらに上塗
り塗装膜との密着性に優れ、緻密で耐食性および耐傷付
き性に優れるとともに、とくに加工部の耐食性に優れた
皮膜を形成しうる表面処理剤、この表面処理剤により形
成された皮膜を少なくとも片面に有する耐食性金属板の
提供。 【解決手段】(A-1) カルボキシル基と水酸基とを有する
有機樹脂と、(A-2) アミノ基および/またはメルカプト
基を有するシリコーン樹脂とを含む表面処理剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板との密着性
に優れ、緻密で耐食性および耐傷付き性とりわけ加工部
の耐食性に優れた皮膜を有する金属板に関する。
【0001】
【従来の技術】金属製品たとえば自動車、建材、家電品
などの分野では、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛
めっき鋼板などが広く使用されるが、これらめっき鋼板
類は亜鉛あるいはアルミニウムの腐食による白錆を発生
しやすい。この白錆は外観の低下だけでなく、塗装密着
性などにも悪影響を及ぼすため、従来よりめっき鋼板
は、防食性(防錆性)の付与、および塗装下地処理を含
めた塗装性向上のための表面処理が施されている。この
表面処理としては、従来一般的に、鋼板表面にクロメー
ト皮膜層を形成するクロメート処理が広く行われてい
る。クロメート処理は、耐食性金属製品が安価に得ら
れ、塗装下地処理としても優れているが、6価クロムを
含む処理液を用いるため特別な廃液処理が必要となりコ
ストアップとなる問題点があった。
【0002】このため近年、クロメート処理以外の方法
により表面処理を行うことが望まれており、クロメート
処理に代替し得る耐食性および塗装性が得られる金属表
面処理剤が盛んに検討されている。たとえばクロムを含
まない表面処理剤として、クロム以外の金属(モリブデ
ン、タングステンなど)のポリ金属酸化物(たとえば特
開昭57−5875号)、タンニン酸(たとえば特開昭
51−2902号)、アミノ基含有アルコキシシランと
不飽和結合含有エポキシ化合物とから得られるアルカリ
脱脂時に損傷しにくく耐汚染性に優れたポリシロキサン
系硬化皮膜(特公平5−15175号)、シラノール結
合を有する耐汚染性シリコーン樹脂皮膜(特開平9−3
8572号)などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらポリ金属
酸化物を用いる方法では、鋼板腐食に対するポリ金属酸
化物の安定領域はクロムのそれよりも狭く、クロメート
処理の場合と同等の耐食性を得ることは不可能である。
また、タンニン酸を用いる方法では、十分な耐食性を得
ようとするとタンニン酸による着色が生じるという問題
がある。これらのいずれの方法を用いても、処理した鋼
板は、クロメート皮膜のような自己修復作用を持たない
ため、皮膜に損傷を与えると耐食性は格段に低下する。
特公平5−15175号公報に開示される方法では、ポ
リシロキサンの高次元に架橋した皮膜を形成するため
に、その実施例に示すとおり長時間(10分間)の焼付
時間が必要であり、10分間未満の短時間の焼付けで
は、架橋が完全に進まず、耐食性が劣り、長時間焼付け
して完全に架橋した場合は加工部の耐食性が劣るという
問題があった。また特開平9−38572号公報に開示
される皮膜は、皮膜が非常に固くなるため加工部の耐食
性が劣るという問題があった。本発明は、このような情
況に鑑みてクロムを含まない金属表面処理剤であって、
緻密で耐食性および耐傷付き性に優れるとともに、とく
に加工部の耐食性に優れた耐食性皮膜を形成しうる金属
表面処理剤を提供すること、さらにはこの表面処理剤に
より形成された皮膜を有する耐食性金属板を提供するこ
とを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記のような目的は、カ
ルボキシル基と水酸基とを有する有機樹脂と、アミノ基
および/またはメルカプト基を有するシリコーン樹脂と
を含有する金属表面処理剤によって達成することができ
る。本発明に係る金属表面処理剤は、金属とくに亜鉛含
有めっき鋼板表面あるいは上塗り塗装膜との密着性に優
れるだけでなく、緻密で耐食性および耐傷付き性に優れ
るとともに、とくに加工部の耐食性に優れた皮膜を形成
することができる。本発明では、この表面処理剤より形
成された皮膜を少なくとも片面に有する耐食性金属板も
提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明に係る金属表面処理剤は、以下のような有機
樹脂(A-1) と、シリコーン樹脂(A-2) とを含む塗料であ
る。これは水または有機溶剤に後述する各種樹脂、添加
物などの各成分が所定割合で混合され分散あるいは溶解
した水系塗料であっても、有機溶剤系塗料であってもよ
い。
【0006】この有機樹脂(A-1) は、少なくともカルボ
キシル基と水酸基とを有している。すなわち有機樹脂(A
-1) は、カルボキシル基または酸性下でカルボキシル基
となりうる基たとえばカルボン酸塩など(以下これらを
単にカルボキシル基ともいう)と、水酸基あるいは酸性
下で水酸基となりうる基たとえばエポキシ基、さらには
アルデヒド、ケトンなどの還元性水酸基(以下これらを
単に水酸基ともいう)とを有していればよい。
【0007】本発明で用いられる有機樹脂(A-1) は、カ
ルボキシル基および水酸基を有する有機樹脂が得られれ
ばの製造方法は特に限定されない。たとえばカルボキシ
ル基を有するエチレン性不飽和化合物(i) と、水酸基を
有するエチレン性不飽和化合物(ii)とを重合成分とした
共重合体が好適に用いられる。これら不飽和化合物は、
1分子中にそれぞれ複数のカルボキシル基または水酸基
を有していてもよい。エチレン性不飽和化合物として
は、ビニル基、ビニリデン基、アクリロキシ基、メタク
リロキシ基などを含む化合物などが挙げられる。
【0008】具体的にカルボキシル基を有するエチレン
性不飽和化合物(i) としては、たとえばアクリル酸、メ
タクリル酸(以下これらを単に(メタ)アクリル酸と称
すこともある)、クロトン酸などのモノカルボン酸類、
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸
類、これらカルボン酸類のアルカリ金属塩、アンモニウ
ム塩、有機アミン塩が挙げられる。これらのうちでもア
クリル酸、メタクリル酸などが好ましい。
【0009】水酸基を有するエチレン性不飽和化合物(i
i)としては、たとえば(メタ)アクリル酸ヒドロキシエ
チル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、アクリル酸2,
2−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、(メタ)アクリ
ル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル
酸3−クロル−2−ヒドロキシプロピル、グリシジル
(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、β
−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エ
ポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなど
の(メタ)アクリル酸エステル類、アリルアルコール
類、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチ
ロール(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド
類、アクロレインなどのアルデヒド類、ヒドロキシスチ
レンなどが挙げられる。これらのうちでも、アクリル酸
2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエ
チルなどが好ましい。
【0010】本発明で用いられる有機樹脂(A-1) は、上
記のようなカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化
合物(i) から導かれる単位を、固形分として5〜40重
量%好ましくは10〜30重量%の量で、水酸基を有す
るエチレン性不飽和化合物(ii)から導かれる単位を固形
分として5〜40重量%好ましくは10〜30重量%の
量で含有していることが望ましい。なおこれら単位の含
有量は、実質的に共重合時の全重合成分中の各化合物の
重合量に相当する。
【0011】有機樹脂(A-1) は、上記各エチレン性不飽
和化合物(i) および/または(ii)の2種以上から導かれ
る単位を含有していてもよい。また有機樹脂(A-1) は、
上記以外にも、予め得られた重合体の変性によってカル
ボキシル基および水酸基をペンダントさせ、にしたも
の、あるいはカルボキシル基および水酸基を両具するエ
チレン性不飽和化合物を重合させて得られるものであっ
てもよい。
【0012】カルボキシル基および水酸基を有する有機
樹脂(A-1) は、金属あるいは塗装膜に対し優れた接着力
を発現するが、とくにカルボキシル基は亜鉛に対する密
着性に優れている。またカルボキシル基は、互いに会合
して凝集効果を高めるので塗膜に緻密性を付与する。
【0013】また有機樹脂(A-1) は、上記カルボキシル
基および水酸基のいずれも有さない他の重合成分から導
かれる単位を含んでいてもよい。他の重合成分として
は、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定さ
れないが、上記エチレン性不飽和化合物と共重合性の化
合物が挙げられ、たとえばスチレン、ビニルトルエンな
どの芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−
ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アク
リル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
【0014】これらのうちでも、有機樹脂(A-1) に疎水
性を付与しうるスチレン、柔軟性を付与しうるブチルメ
タクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなど
が好ましい。有機樹脂(A-1) は、2種以上の他の重合成
分から導かれる単位を含有していてもよい。他の重合成
分は、通常固形分として20重量%以下の量で含まれて
いてもよい。
【0015】有機樹脂(A-1) の分子量Mwは、10,000〜
100,000 程度であることが好ましい。なおMwが10,000
未満であると耐食性向上効果が得られず、一方分子量が
上記100,000 を超えてあまり大きいと塗料を形成したと
きの粘度が高くなって塗装の作業性が低下する傾向があ
る。有機樹脂(A-1) のガラス転移点Tgは、50〜15
0℃程度であることが好ましい。有機樹脂(A-1) の酸価
は10〜200であることが好ましい。酸価がこの範囲
であると、金属に対し優れた密着性を発現し、塗膜形成
後の金属板加工時にも剥離を生じにくい。なお酸価が2
00を超えると、皮膜の耐水性が低下し、耐食性が低下
する傾向がある。2種以上の有機樹脂(A-1) を併用して
もよい。
【0016】表面処理剤は、上記のような有機樹脂(A-
1) とともに、(A-2) アミノ基および/またはメルカプ
ト基を有するシリコーン樹脂を含有している。本発明で
は、水溶性シリコーン樹脂(A-2) が用いられる。このよ
うなシリコーン樹脂は、通常、アミノ基および/または
メルカプト基を有するシラン化合物の部分加水分解によ
る一部脱水縮合物として得られる。このようなシラン化
合物としては、たとえばN−(2−アミノエチル)3−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−ア
ミノエチル)3−アミノプロピルエチルジメトキシシラ
ン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシ
シランなどが挙げられる。シリコーン樹脂(A-2) は、こ
れらの2種以上から導かれてもよい。上記のようなシラ
ン化合物から得られるシリコーン樹脂は、たとえば下記
式で示すことができる。
【0017】
【化1】 (ここで、R1 、R2 :炭素数2以上のアルキル基、
Y:NH2 またはSH、m:2以上の整数) これらは、2次元または3次元に架橋していてもよい。
2種以上のシリコーン樹脂(A-2) を併用してもよい。
【0018】本発明では、上記のような有機樹脂(A-1)
と、シリコーン樹脂(A-2) とを混合して表面処理剤を調
製する際には、有機樹脂(A-1) 100重量部に対してシ
リコーン樹脂(A-2) を0.1〜100重量部の量で用い
ることができる。
【0019】シリコーン樹脂(A-2) 中のシラノール基S
iOHまたはSiORは、めっき金属との密着性に優
れ、とくに未反応シラノール基は溶出亜鉛を捕捉する作
用をして、防食性を発現する。また前記有機樹脂(A-1)
中の官能基との反応性が高い。このため樹脂成分(A-1)
と(A-2) との組合わせによって、これらの樹脂間架橋に
よる相互作用により凝集力が高められ、膜の緻密性が向
上し、優れた撥油性(油はじき性)、耐傷付き性を発現
する。このような効果は、とくに上記のような混合比に
より発現される。なおたとえば(A-1) 100重量部に対
して(A-2) の量が0.1重量部よりも少ないときには、
密着性および膜の緻密性向上効果が充分発現できず耐食
性が低下し、一方100重量部よりも多過ぎるときに
は、皮膜が剛直となりすぎて加工時に皮膜が剥離する傾
向がある。
【0020】本発明に係る表面処理剤は、上記のような
有機樹脂(A-1) と、シリコーン樹脂(A-2) (以下これら
を樹脂成分(A)とも称する)とを水または有機溶剤に
溶解または分散した状態で含んでいる。なお媒体として
水を使用する場合には、水と相溶性の有機溶剤たとえば
アルコールなどを含有していても差し支えない。このよ
うな水系塗料は、いわゆる有機溶剤系塗料のような有機
溶剤の使用にかかる塗装作業時の問題点を回避できるこ
とから好ましい。また水系塗料であってもエマルジョン
型塗料などのように界面活性剤を含有しないものが、皮
膜中に残存する界面活性剤の皮膜性能への悪影響(たと
えば塗料密着性など)を回避することができるので好ま
しい。表面処理剤中の樹脂成分(A)濃度は、塗装作業
性の面から5〜20重量%程度であることが好ましい。
【0021】本発明に係る表面処理剤は、本発明の効果
を損なわない範囲であれば、上記のような樹脂成分に加
えて、必要に応じて他の成分を任意に含有していてもよ
い。このような他の成分としては、たとえば(B)カッ
プリング剤が挙げられる。カップリング剤は、アミノ
基、エポキシ基(グリシドキシ基)、メルカプト基、ア
クリロイルオキシ基、ビニル基、アセチルアセトナート
基、ホスフェート基などの官能基を有する公知のものを
広く使用することができ、Si、Ti、Zr、Vおよび
Moから選ばれる金属を含むカップリング剤を用いるこ
とができる。たとえばγ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシ
ラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(2−メトキシ
エトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエト
キシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−[2
−(ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシランなどのSiカップリング剤、および
上記化合物中のSiをTi、Zr、VまたはMoに置換
したものに相当する化合物などが例示される。さらにイ
ソプロピルトリ(ジオクチルパイロホスフェート)チタ
ネート、ジ−イソプロポキシビス(アセチルアセトナ
ト)チタン、ジヒドロキシビス(ラクタト)チタン、ジ
−イソプロポキシビス(2,4−ペンタジオネート)チ
タニウム、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェー
ト)チタネートなどのTiカップリング剤、ジルコニウ
ムアセテート、アセチルアセトンジルコニウムブチレー
ト、ジルコニウムラクテートなどのZrカップリング剤
も挙げられる。これらを2種以上併用することもでき
る。
【0022】上記のようなカップリング剤(B)を、前
記樹脂成分(A)とともに用いると、相互作用(たとえ
ばファンデアワールス結合)し、疑似架橋密度が高くな
り、塗膜の密着性および耐食性をより一層向上させるこ
とができる。カップリング剤(B)は、樹脂成分(A)
合計量100重量部に対して、通常1〜30重量部、好
ましくは3〜10重量部の量で用いることが望ましい。
【0023】本発明では、表面処理剤の付加成分として
(C)Zn、Mg、Zr、Ti、Ca、Ba、Mn、N
b、Sr、Al、Y、Ni、Fe、Co、Wから選ばれ
る少なくとも1種の金属の塩を用いることもできる。具
体的には、これら金属のリン酸塩、酸性リン酸塩、硝酸
塩、硫酸塩、塩酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、酒
石酸塩、炭酸塩などが挙げられる。より具体的には、リ
ン酸亜鉛、リン酸水素亜鉛、リン酸マグネシウム、リン
酸アルミニウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ニッケ
ル(II)、リン酸コバルト(II)、リン酸鉄(II)、リン酸鉄
(III) 、リン酸マンガン(II)、硝酸アルミニウム、硝酸
カルシウム、硝酸亜鉛、硝酸ニッケル(II)、硝酸コバル
ト(II)、硝酸ジルコニウム(IV)、硫酸アルミニウム、硫
酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸ニッケル(II)、硫酸鉄
(II)、硫酸チタン(IV)、硫酸マンガン(II)アルミニウ
ム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化カルシ
ウム、塩化亜鉛、塩化コバルト(II)、塩化鉄(II)、塩化
ジルコニウム(IV)、塩化チタン(IV)、塩化マンガン(I
I)、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸コ
バルト、イットリウムなどが例示される。金属塩を2種
以上を併用してもよい。
【0024】上記金属塩(C)は、樹脂成分(A)合計
量100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好
ましくは0.5〜5重量部の量で用いることが望まし
い。これら金属塩は水系表面処理剤中で、Zn2+、Mg
2+、Zr4+、Ti4+、Ca 2+、Ba2+、Mn2+、M
4+、Nb3+、Nb5+、Sr2+、Al3+、Y3+、N
2+、Ni3+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、W6+
などの多価金属イオンを生成し、架橋性を発現する。し
たがって表面処理剤中にこのような金属塩(金属イオ
ン)を含ませることにより、膜の緻密性がさらに向上
し、より一層耐食(防錆)性、耐傷付性が向上する。
【0025】表面処理剤の付加成分として(D)リン酸
類、フッ酸および過酸化水素から選ばれる少なくとも1
種を含有していることが望ましい。このリン酸類は、リ
ン酸、ポリリン酸、次亜リン酸、亜リン酸、トリポリリ
ン酸、ヘキサメタリン酸、第一リン酸、第二リン酸、第
三リン酸、ポリメタリン酸、重リン酸のいっずれであっ
てもよい。このような成分(D)は、金属エッチング性
を発現し、皮膜の金属への密着性を向上させる。上記酸
(D)は、樹脂成分(A)合計量100重量部に対し
て、通常2〜60重量部、好ましくは5〜20重量部の
量で用いることが望ましい。なおこの(D)の添加量が
上記60重量部を越えると、塗料としての安定性が低下
する傾向がある。
【0026】表面処理剤の付加成分としては、(E)S
i、Zn、Mg、Ti、Zr、Sn、Al、Sb、Fe
から選ばれる金属の酸化物を用いることもできる。この
ような金属酸化物は、皮膜形成時にSiO2 となるもの
であればたとえばシリケートなどを用いてもよい。本発
明では、金属酸化物は、造膜性の高いコロイド(ゾル)
で用いることが望ましい。具体的には、SiO2 、Zn
O、MgO、TiO2 、ZrO2 、SnO2 、Al2
3 、Sb2 5 、Fe2 3 、Fe3 4 のコロイド
(ゾル)を用いることができ、これらを2種以上併用し
てもよい。これら金属酸化物を含む表面処理剤は、膜の
緻密性がさらに向上し、より一層耐食(防錆)性、耐傷
付性が向上するので好ましい。上記金属酸化物(E)
は、樹脂成分(A)合計量100重量部に対して、通常
5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部の量で用
いることが望ましい。上記のような付加成分は、適宜に
併用することもできる。上記のような表面処理剤は、金
属表面に直接塗布することにより、密着性に優れた皮膜
を形成することができる。
【0027】<耐食性金属板>本発明では、表面に、上
記のような金属表面処理剤により形成された皮膜を少な
くとも片面に有する耐食性金属板も提供される。表面処
理剤により処理される金属板は、とくに限定されず、鉄
板、亜鉛含有金属めっき鋼板、スズめっき鋼板、ステン
レス鋼板、アルミニウム板およびアルミニウム合金板な
どを広く用いることができる。これらのうちでも通常亜
鉛含有めっき鋼板を用いることができる。これら金属板
の厚みは特に限定されず、その用途に応じて選択されれ
ばよい。また金属板は、平板に限定されるものではな
く、帯状であってもよい。
【0028】上記のような表面処理剤は、通常、金属表
面の片面あたりの付着量(乾燥時)で0.1〜5g/m
2 程度が塗布することが望ましい。このような付着量で
は、通常、乾燥時0.1〜3μm程度の膜厚となる。表
面処理剤の処理は、一般的な塗布方法により行うことが
でき、ロールコート、スプレー塗装、刷毛塗り、浸漬塗
装、カーテンフローなどいずれの方法を採用してもよ
い。塗膜の乾燥は、50〜250℃程度の温度で行うこ
とが望ましい。上記皮膜は、金属板の両面に形成されて
いてもあるいは片面だけに形成されていてもよい。本発
明では、この皮膜の上にさらに上塗り塗装してもよい。
【0029】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 <評価方法>実施例または比較例で得られた表面処理し
た金属板(平板)について、以下のような評価を行っ
た。
【0030】(1)耐食性試験 JIS Z−2371に準拠して塩水噴霧試験を行い、
試験体の処理表面に5%白錆が発生するまでに要する時
間で評価した。 ◎…120時間以上 ○…100〜120時間 △…50〜100時間 ×…0〜50時間
【0031】(2)加工部耐食性 エリクセンカップ絞り試験機を用い、無塗油の各試験片
に下記の条件下で絞り加工をし、そのカップ絞り面に対
し、塩水噴霧試験(JIS Z−2371)を行い、試
験片の表面の20%に白錆が発生するまでに要する時間
を下記の評価基準に従って評価した。 プレス条件 しわ押え圧:2トン ポンチ径:33mmφ ブランク径:59mmφ 絞り比:1.78 絞り速度:500mm/s 評価基準 ◎…100時間以上 ○…80〜100時間 △…50〜80時間 ×…50時間未満
【0032】(3)傷付き性 試験体の処理表面を濃度の異なる鉛筆の芯で5回引っ掻
き、表面のすり傷が2回以上になる鉛筆の濃度記号によ
り一段落下位の濃度記号を記録した。 ◎…7H ○…5H △…3H ×…H
【0033】(4)油はじき性 水平に放置した試験体の処理表面に鉱物油(粘度:10
cSt)を滴下し、油のはじき性を接触角により評価した。 ○…90°超 △…70〜90° ×…70°未満
【0034】(実施例1〜4)電気亜鉛めっき鋼板(鋼
板厚さ1mm、Zn付着量20g/m2 )表面に、表1
に示す樹脂1〜4を含む表面処理剤(樹脂濃度10重量
%の水溶液)を、ロール塗布により、片面乾燥重量で
1.5gとなるように両面塗布し、20秒で板温が15
0℃となるように乾燥し、膜厚1μmの皮膜を形成し
た。得られた耐食性鋼板の評価結果を表1に示す。
【0035】(比較例1)実施例1において、表1に示
す樹脂に代えた以外は、実施例1と同様にして鋼板の表
面処理を行った。得られた耐食性鋼板の評価結果を表1
に示す。
【0036】
【0037】表中、 <有機樹脂(A-1) > スチレン(St)/ブチルメタクリレート(BMA)/
メタクリル酸(MAA)/2-エチルヘキシルアクリレー
ト(HEMA)=55/20/15/10(重量比)
(分子量Mw=30000、Tg=84℃、酸価=9
8)
【0038】<シリコーン樹脂(A-2) > S1…チッソ(株)製S330 R2Si(OR13 から導かれる樹脂 R1 :−CH2CH32 :−(CH23NH(CH22NH2 S2…チッソ(株)製S310 R23 Si(OR12 から導かれる樹脂 R1 :−CH32 :−(CH23NH(CH22NH23 :−CH3 S3…チッソ(株)製S810 R4Si(OR13 から導かれる樹脂 R1 :−CH34 :−(CH23SH S4…アミノシラン/ビニルエポキシ/ビニルシラン/
ケイ酸エステル=28/50/11/11(共重合比)
【0039】(実施例5〜21)実施例1〜4におい
て、表面処理剤に樹脂1〜4に加えて表2に示す添加剤
を含ませた以外は、実施例1〜4と同様にして乾燥重量
で1.5gとなるように塗膜を形成し、膜厚1μmの皮
膜を形成した。得られた耐食性鋼板の評価結果を表2に
示す。表中の各成分は以下のとおりである。 (B)Siカップリング剤…γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン(信越シリコン(株)製KBM40
3) Tiカップリング剤…イソプロピルトリ(ジオクチルパイ
ロホスフェート)チタネート(味の素(株)製KR38
S) Zrカップリング剤…ジルコニウムアセテート(松本工業
製薬(株)製オルガノチックスZB115) (C)リン酸マンガン(和光純薬製) リン酸マグネシウム(和光純薬製) リン酸亜鉛(和光純薬製) (D)リン酸(和光純薬製) フッ化水素酸(和光純薬製) 過酸化水素(和光純薬製) (E)SiO2 ゾル ZrO2 ゾル MgOゾル
【0040】
【表1】
【0041】(実施例22〜27)実施例1において、
金属板の種類を表3に示す各鋼板に代えた以外は、実施
例1と同様の皮膜を形成した。得られた耐食性鋼板の評
価結果を表3に示す。
【表2】
【0042】(実施例28〜37)実施例1において、
表面処理剤に樹脂1を加えて表4に示す添加剤を含ませ
た以外は実施例1と同様にして皮膜を形成した。得られ
た耐食性鋼板の評価結果を表4に示す。
【表3】
【0043】
【発明の効果】本発明に係る表面処理剤は、金属とくに
亜鉛含有めっき鋼板表面あるいは上塗り塗装膜との密着
性に優れるだけでなく、緻密で耐食性および耐傷付き性
に優れるとともに、とくに加工部の耐食性に優れた耐食
性皮膜を形成しうる。このような表面処理剤は、クロム
を用いない表面処理剤として使用することができる。ま
たこのような表面処理剤から形成される皮膜を表面に有
する金属板は、クロムを含まない耐食性金属板として自
動車、家電、建材、容器関連、食器関連、玩具類、屋内
用建材用途に広く利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多田 千代子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 菊池 勝平 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 鈴木 幸子 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4D075 CA02 CA13 CA33 DB05 DC01 DC12 DC18 EA06 EB42 4H025 AA12 AA14 AA68 AB00 AB02 AB03 AB05 AC01 AC07 BA04 4K026 AA02 AA11 BA03 BB08 CA23 CA35 CA38 CA39 CA41 DA02 DA03 DA06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボキシル基と水酸基とを有する有機樹
    脂と、アミノ基および/またはメルカプト基を有するシ
    リコーン樹脂とを含有する金属表面処理剤。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の金属表面処理剤により形
    成された皮膜を少なくとも片面に有する耐食性金属板。 【0001】
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003526727A (ja) * 2000-03-16 2003-09-09 ポーハング アイアン アンド スティール シーオー.,エルティディ. 絶縁膜を形成するための被覆組成物、その被覆組成物で被覆された無方向性電気鋼板、及びその鋼板上に絶縁膜を形成する方法

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