JP2000192784A - 矩形断面用シ―ルド掘進機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】特に長辺と短辺の比率が大きい矩形断面トンネ
ルであっても効果的に掘削でき、任意の矩形断面トンネ
ルを効率良く掘削する。 【解決手段】シールド本体の前部に、シールド軸心Ｏか
ら半径方向に延びる複数のカッタスポークを備えたカッ
タヘッド６を設け、このカッタスポークを、トンネルの
短辺部１３Ｂ側を掘削する長カッタスポーク１２Ａと、
トンネルの長辺部１３Ａ側を掘削する短カッタスポーク
１２Ｂとで構成し、前記長カッタスポーク１３Ａに、余
掘り用カッタ１６ｂを先端側に出退自在な余掘り装置１
６を配設し、シールド本体に、前記カッタヘッド６をカ
ッタスポーク１２Ａ，１２Ｂが少なくとも成す角度θの
範囲で往復回動させるカッタ駆動装置を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、矩形断面のトンネ
ルを掘削する矩形断面用シールド掘進機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、正方形や長方形のトンネルを掘削
するために、揺動ドラム式やルーロの三角形を用いたも
の、余掘装置を使用するものなど、様々なものが提案さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来構成
は構造や駆動制御機構が複雑であったり、掘削性能や土
砂の取込み性能、土砂の混練性能が低いという問題があ
った。また余掘り装置を使用するものでは、長径と短径
の比が大きくなると、余掘り用カッタに大きい掘削負荷
が加わり、構造上および強度上の問題が生じるという問
題があった。

【０００４】本発明は上記問題点を解決して、特に長辺
と短辺の比率が大きい矩形断面トンネルであっても効果
的に掘削でき、任意の矩形断面トンネルを効率良く掘削
できる矩形断面用シールド掘進機を提供することを目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１記載の発明は、シールド本体の前部に、シー
ルド軸心から半径方向に延びる複数のカッタスポークを
備えたカッタヘッドを設け、このカッタスポークを、ト
ンネルの短辺部側を掘削する長カッタスポークと、トン
ネルの長辺部側を掘削する短カッタスポークとで構成
し、前記長カッタスポークに、余掘り用カッタを先端側
に出退自在な余掘り装置を配設し、シールド本体に、前
記カッタヘッドを少なくとも隣接するカッタスポークと
の成す角度以上の所定範囲で往復回動させるカッタ駆動
装置を設けたものである。

【０００６】上記構成によれば、カッタヘッドを所定の
角度範囲で往復回動させて長カッタスポークによりトン
ネルの短辺部側を掘削するとともに、短カッタスポーク
により長辺部側を掘削し、さらに長カッタスポークから
余掘り用カッタを伸展して短辺部のコーナー部間を掘削
するので、長カッタスポークから突出される余掘り用カ
ッタの突出量を少なくすることができ、短辺と長辺の比
の大きい矩形断面のトンネルであっても、構造上無理な
く掘削することができる。

【０００７】また請求項２記載の発明は、上記構成にお
いて、長カッタスポークが各短辺部に対応して２本づつ
設けられるとともに、短カッタスポークが各長辺部に対
応して２本づつ設けられ、カッタ駆動装置は、複数本の
伸縮駆動装置によりカッタヘッドを略４５°の範囲で往
復回動させるように構成されたものである。

【０００８】上記構成によれば、カッタ駆動装置を複数
本の伸縮駆動装置により構成してカッタヘッドを略４５
°の範囲で往復回動させるので、極めて簡易な構造にす
ることができ、低コストで提供できる。

【０００９】さらに請求項３記載の発明は、シールド本
体の前部に、シールド軸心から半径方向に延びる複数の
カッタスポークを備えたカッタヘッドを設け、隣接する
カッタスポークの成す角を拡大縮小自在な可動カッタス
ポーク間に、中間部で折り曲げ自在に連結された一対の
リンクカッタを連結し、可動カッタスポークの拡縮動に
より、リンクカッタの折り曲げられた先端部をカッタス
ポークの外周軌跡より外側で半径方向に出退するように
構成し、シールド本体に、カッタヘッドをシールド軸心
周りに所定角度範囲で往復回動させるとともに可動カッ
タスポークの成す角を拡縮可能なスポーク拡縮機能付き
のカッタ駆動装置を設けたものである。

【００１０】上記構成によれば、可動カッタスポークを
所定の角度範囲で往復回動させるとともに、隣接する可
動カッタスポークとの成す角を変更することにより、リ
ンクカッタの先端部を出退させて短辺部側を掘削するこ
とができ、折り曲げることで出退自在に構成されたリン
クカッタは、従来のコピーカッタに比べて十分な強度と
高い掘削能力を確保することができので、短辺と長辺の
比の大きい矩形断面のトンネルであっても、効率良く掘
削することができる。

【００１１】請求項４記載の発明は、請求項３記載の構
成において、カッタスポークを全て可動カッタスポーク
により構成するとともに、一方に隣接する可動カッタス
ポーク間にリンクカッタを連結し、これら可動カッタス
ポークの長さをトンネルの短辺の長さに対応して設定
し、前記リンクカッタが短辺部に対応する位置で、可動
カッタスポークの成す角が縮小されてリンクカッタの先
端部を突出させ短辺部を掘削するように構成したもので
ある。

【００１２】また請求項５記載の発明は、請求項３また
は４の構成において、カッタ駆動装置を、複数の伸縮駆
動装置により構成したものである。

【００１３】上記構成によれば、カッタヘッドを伸縮駆
動装置により往復回動させるので、構造をより簡易化す
ることができる。

【００１４】さらに請求項６記載の発明は、シールド本
体の前部に、シールド軸心から半径方向に延びる複数の
カッタスポークを備えたカッタヘッドを設け、隣接する
カッタスポークの成す角を拡大縮小自在な可動カッタス
ポーク間に、中間部で折り曲げ自在に連結された一対の
リンクカッタを連結し、可動カッタスポークの拡縮動に
より、リンクカッタの折り曲げられた先端部をカッタス
ポークの外周軌跡より外側で半径方向に出退するように
構成し、シールド本体に、カッタヘッドをシールド軸心
周りに回動させるとともに可動カッタスポークの成す角
を拡縮可能なスポーク拡縮機能付きのカッタ駆動装置を
設けたものである。

【００１５】上記構成によれば、カッタヘッドを回転す
ることにより、請求項３の発明と同様の効果を奏するこ
とができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】ここで、本発明に係る矩形断面用
シールド掘進機の第１の実施の形態を図１〜図５に基づ
いて説明する。

【００１７】このシールド掘進機は、図２に示すよう
に、シールド本体１が掘削するトンネルに対応して矩形
断面に形成され、シールド本体１の前部に設けられた圧
力隔壁２により切羽崩壊土圧を支持する圧力室３が形成
されている。この圧力隔壁２のシールド軸心Ｏ位置に設
けられた軸受４にカッタ駆動軸５が回転自在に支持さ
れ、カッタ駆動軸５の先端部にカッタヘッド６が設けら
れるとともに、カッタ駆動軸５の基端側で大気室９に
は、カッタヘッド６を略４５°の範囲で往復回動させる
カッタ駆動装置７が設けられている。８は掘削土圧を保
持しつつ圧力室３から掘削土砂を排出するリボンスクリ
ュー式の排土装置である。

【００１８】前記カッタヘッド６は、図１に示すよう
に、シールド軸心Ｏ位置のセンター部材１１から４５°
ごとに半径方向に延びる８本のカッタスポーク１２Ａ，
１２Ｂが設けられており、これらカッタスポーク１２
Ａ，１２Ｂは、トンネルの長辺部１３Ａの１／２の長さ
に設定されて短辺部１３Ｂ側をそれぞれ掘削する２本２
組の長カッタスポーク１２Ａと、トンネルの短辺部１３
Ｂの１／２より少し長く設定されて長辺部１３Ａ側をそ
れぞれ掘削する２本２組の短カッタスポーク１２Ｂとで
構成されている。そして、これらカッタスポーク１２
Ａ，１２Ｂのうち長カッタスポーク１２Ａには、隣接す
る短カッタスポーク１２Ｂ側に、短カッタスポーク１２
Ｂと同一長さで半径方向に沿う傾斜段部１２ａが形成さ
れている。さらに、これらカッタスポーク１２Ａ，１２
Ｂには、左右の回転方向でそれぞれ地山を掘削可能な複
数のカッタビット１４が傾斜段部１２ａを含む両側にそ
れぞれ所定間隔ごとに装着されている。１５はカッタス
ポーク１２Ａ，１２Ｂの背面、圧力室３側に突出された
攪拌翼である。

【００１９】また長カッタスポーク１２Ａにはそれぞれ
トンネルのコーナー部１３Ｃを掘削する余掘り装置１６
が内蔵されており、出退用シリンダ１６ａにより余掘り
用カッタ１６ｂを先端側に出退するように構成される。

【００２０】前記カッタ駆動装置７は、図３に示すよう
に、一対の伸縮駆動装置であるカッタ駆動ジャッキ１
７，１７によりカッタヘッド６を略４５°の範囲で往復
回動させるように構成したもので、カッタ駆動軸の基端
部にリンクブラケット１８が取り付けられている。そし
て、カッタ駆動ジャッキ１７，１７の本体１７ａが、シ
ールド本体１の上部コーナー部に設けられた支持ブラケ
ット１９にシールド軸心方向の支持ピン２０を介して支
持され、カッタ駆動ジャッキ１７，１７の出力軸１７ｂ
がリンクブラケット１８にシールド軸心方向の連結ピン
２１を介して連結されている。したがって、カッタ駆動
ジャッキ１７，１７を交互に出退することによりカッタ
駆動軸５を介してカッタヘッド６を回動角θ≒４５°の
範囲で往復回動させることができる。なお、大きい駆動
力が必要な場合には、カッタ駆動ジャッキをさらに増設
することもできる。

【００２１】上記構成において、図１に示すように、両
長カッタスポーク１２Ａおよび両短カッタスポーク１２
Ｂがそれぞれトンネルの短辺部１３Ｂおよび長辺部１３
Ａに対応する位置を中心に回動角θ／２＝２２．５°づ
つ左右に回動される。この時長カッタスポーク１２Ａで
は、短辺部１３Ｂに対応して少し余掘り装置１６により
余掘り用カッタ１６ｂが突出される。そしてカッタ駆動
装置７によりカッタヘッド６が図左側に回転されると、
図４に示すように、長カッタスポーク１２Ａが左上およ
び右下コーナー部１３Ｃに対向される位置で余掘り用カ
ッタ１６ｂが最大量突出され、反対に右側の長カッタス
ポーク１２Ａの余掘り用カッタ１６ｂはさらに後退され
る。さらに図５に示すように、カッタヘッド６が図左側
にθ／２＝２２．５°回転されると、図上右側および下
左側の長カッタスポーク１２Ａが短辺部１３Ｂの中央部
に位置して、余掘り用カッタ１６ｂが完全に退入され
る。図上左側および下右の長カッタスポーク１２Ａの余
掘り用カッタ１６ｂは突出限位置から幾分後退される。

【００２２】このようにカッタ駆動装置７により図１に
示す位置から左右にカッタヘッド６がθ／２＝２２．５
°範囲で往復駆動されることにより、長カッタスポーク
１２Ａによりトンネルの短辺部１３Ｂからコーナー部１
３Ｃと長辺部１３Ａの外側の一部が掘削され、短カッタ
スポーク１２Ｂによりトンネルの長辺部１３Ａの残部が
掘削され、長カッタスポーク１２Ａの余掘り装置１６に
より短辺部１３Ｂに沿って掘削されることにより矩形断
面トンネルが掘削される。

【００２３】なお、ここで短カッタスポーク１２Ｂは短
辺部１３Ｂの長さの１／２より少し長く形成されて、長
辺部１３Ａに円弧凹部が掘削されることになるが、平面
状のセグメントが組立てられ、充填材が充填されること
により、後の行程で障害となることはない。

【００２４】上記実施の形態によれば、カッタヘッド６
に長カッタスポーク１２Ａと短カッタスポーク１２Ｂと
を設けて所定の回動角θの範囲で往復回動するように構
成し、長カッタスポーク１２Ａと余掘り用カッタ１６ｂ
とでトンネルのコーナー部１３Ｃを含む短辺部１３Ｂ側
を掘削するので、余掘り用カッタ１６ｂの突出量を少な
くして余掘り装置１６の構造上および強度上の問題を解
決することができ、特に長辺と短辺の比率が大きい矩形
断面トンネルであっても効果的に掘削できる。またカッ
タ駆動装置７はカッタヘッド６を略４５°の範囲で往復
回動させるだけとなるので、２本または３本以上のカッ
タ駆動ジャッキ１７，１７により構成することができ、
低コストで提供できるとともに設計の自由度を向上させ
メンテナンスも容易となる。さらに掘削性能や土砂の攪
拌性能を低下させることもなく、構造や制御を簡易化す
ることが可能となる。

【００２５】次に本発明に係る矩形断面シールド掘進機
の第２の実施の形態を図６〜図１２に基づいて説明す
る。

【００２６】このシールド掘進機は、図８に示すよう
に、掘削するトンネルに対応してシールド本体３１が矩
形断面に形成され、シールド本体３１の前部に設けられ
た圧力隔壁３２により切羽崩壊土圧を支持する圧力室３
３が形成されている。この圧力隔壁３２のシールド軸心
Ｏ位置に設けられた軸受３４にカッタ駆動軸３５Ａ，３
５Ｂが回転自在に支持され、カッタ駆動軸３５Ａ，３５
Ｂの先端部にカッタヘッド３６が設けられるとともに、
カッタ駆動軸３５Ａ，３５Ｂの基端側で大気室３９に、
カッタヘッド３６を往復回動させるカッタ駆動装置３７
が設けられている。３８は掘削土圧を保持しつつ圧力室
３３から掘削土砂を排出するリボンスクリュー式の排土
装置である。

【００２７】前記カッタ駆動軸３５Ａ，３５Ｂは、軸心
部のカッタ駆動内軸３５Ａと、このカッタ駆動内軸３５
Ａに外嵌されたカッタ駆動外軸３５Ｂから構成されてい
る。またカッタヘッド３６は、図６に示すように、カッ
タ駆動内軸３５Ａ先端のセンター部材４１から１８０°
隔てて半径方向に延びる第１可動カッタスポーク４２
Ａ，４２Ａが取付けられるとともに、カッタ駆動外軸３
５Ｂの先端部から１８０°隔てて半径方向に延びる第２
可動カッタスポーク４２Ｂ，４２Ｂが取付けられてい
る。これら第１，第２可動カッタスポーク４２Ａ，４２
Ｂは、同一長さでトンネルの短辺部１３Ｂより少し長く
形成され、カッタ駆動軸３５Ａ，３５Ｂにより成す角α
を所定範囲（図では約９５°〜６５°）で拡大縮小自在
に構成されている。そして、長径部１３Ａ側で隣接する
第１，第２可動カッタスポーク４２Ａ，４２Ｂおよびセ
ンター部材４１には、ブラケット４２ａ，４２ａにシー
ルド軸心方向の取付けピン４３を介してリンクカッタ４
４，４４がそれぞれ回動自在に連結され、これらリンク
カッタ４４，４４がシールド軸心方向の連結ピン４５を
介して回動自在に連結され、可動カッタスポーク４２
Ａ，４２Ｂの拡縮動により、リンクカッタ４４，４４の
先端部４４ａがカッタスポーク４２Ａ，４２Ｂの外周軌
跡より外側で出退移動される。また、第１，第２カッタ
スポーク４２Ａ，４２Ｂには、左右両方向の回転動によ
り地山を掘削するカッタビット４６が取り付けられ、さ
らにリンクカッタ４４，４４の第１，第２カッタスポー
ク４２Ａ，４２Ｂ側にも地山を掘削するカッタビット４
７が取付けられている。

【００２８】前記カッタ駆動装置３７は、図９，図１０
に示すように、伸縮駆動装置である一対の第１スポーク
回動ジャッキ５１Ａと、一対の第２スポーク回動ジャッ
キ５１Ｂとを具備し、これら第１，第２スポーク回動ジ
ャッキ５１Ａ，５１Ｂにより、第１，第２可動カッタス
ポーク４２Ａ，４２Ｂをそれぞれ所定範囲（図では９５
°）で往復回動可能に構成されるとともに、回動速度の
変動により互いに成す角（リンクカッタ側の）φを拡大
縮少するスポーク拡縮機能を奏することができる。

【００２９】すなわち、カッタ駆動内軸３５Ａの基端部
に第１リンクブラケット５２が取り付けられている。そ
して、シールド本体３１の上部コーナー部に設けられた
支持ブラケット５３にシールド軸心方向の支持ピン５４
を介して第１スポーク回動ジャッキ５１Ａ，５１Ａの本
体５１ａ，５１ａがそれぞれ支持され、第１スポーク回
動ジャッキ５１Ａ．５１Ａの出力軸５１ｂ，５１ｂが第
１受動フランジ５２にシールド軸心方向の連結ピン５５
を介して連結されている。また、カッタ駆動外軸３５Ｂ
の基端部に第２リンクブラケット６２が取り付けられて
いる。そして、シールド本体１の上部コーナー部に設け
られた支持ブラケット６３にシールド軸心方向の支持ピ
ン６４を介して第２スポーク回動ジャッキ５１Ｂ，５１
Ｂの本体５１ｃ，５１ｃがそれぞれ支持され、第２スポ
ーク回動ジャッキ５１Ｂ，５１Ｂの出力軸５１ｄ，５１
ｄが第２受動フランジ６２にシールド軸心方向の連結ピ
ン６５を介して連結されている。

【００３０】ところで、各部材の動作範囲は、図６，図
７に示すように、第１，第２カッタスポーク４２Ａ，４
２Ｂの成す角αが最大ではαmax≒１２０°であり、こ
の時リンクカッタ４４，４４の先端部４４ａは短辺部１
３Ｂの中央に位置して後退限となる。反対に第１，第２
カッタスポーク４２Ａ，４２Ｂの成す角αが最小ではα
min≒６５°であり、この時リンクカッタ４４，４４の
先端部４４ａがコーナー部１３Ｃに位置して突出限にあ
る。また、リンクカッタ４４，４４の先端部４４ａの回
動範囲βおよび第１カッタスポーク４２Ａの回動範囲γ
１ならびに第２カッタスポーク４２Ｂの回動範囲γ２
は、それぞれ約９５°である。

【００３１】そして、第１，第２スポーク回動ジャッキ
５１Ａ，５１Ｂにより第１，第２カッタスポーク４２
Ａ，４２Ｂがそれぞれ回転駆動され、この回動に伴って
リンクカッタ４４，４４の先端部４４ａが短辺部１３Ｂ
に沿って移動するように、第１，第２カッタスポーク４
２Ａ，４２Ｂの回転速度が制御されて角αが選択され
る。すなわち、図１１，図１２に示すように、リンクカ
ッタ４４，４４の先端部４４ａが短辺部１３Ｂの中央位
置の図１１（ａ）から図左側に回動して（ｂ）、（ｃ）
に移動し、さらに図１２（ｄ）から先端部４４ａがコー
ナー部１３Ｃを通過して（ｅ）の長辺部１３Ａに差し掛
かり、さらに（ｆ）に示すように長辺部１３Ａの外側を
所定範囲だけ掘削する。この図左側の掘削限から逆方向
に（ｆ）から（ａ）に順次移動し、更に反対方向に右側
の掘削限まで移動する。この掘削状態は（ａ）から
（ｆ）の図と線対称で表わすことができる。このように
往復可動されて矩形断面のトンネルが掘削される。

【００３２】なお、ここで第１，第２カッタスポーク４
２Ａ，４２Ｂが短辺部１３Ｂの長さの１／２より少し長
く形成されて、長辺部１３Ａの一部が円弧凹部が掘削さ
れることになるが、平面状のセグメントを組立て充填材
を充填することにより、後の行程で障害となることはな
い。

【００３３】上記構成によれば、第１，第２カッタスポ
ーク４２Ａ，４２Ｂを回動させるとともに、その成す角
αを変更することにより、リンクカッタ４４，４４の先
端部４４ａを出退させて短辺部１３Ｂを掘削するので、
長辺部１３Ａと短辺部１３Ｂの比の大きい矩形断面トン
ネルであっても良好に掘削することができ、開閉されて
出退されるリンクカッタ４４，４４では、十分な強度と
掘削能力を確保することができる。

【００３４】またカッタ駆動装置３７を一対２組のスポ
ーク回動ジャッキ５１Ａ，５１Ｂを使用して、直線運動
を回転運動に変更するリンク機構により構成したので、
構造を簡素化することができ、安価に提供することがで
きて大きい駆動力を得ることができる。さらに往復回動
するカッタヘッド３６に対して、油圧配管や信号線など
の接続構造に高価な回転継手やスリップリングなどが不
要となり、構造を簡易化、低コスト化を図ることができ
る。

【００３５】なお、上記第１および第２の実施の形態の
カッタ駆動装置７，３７においてカッタ駆動ジャッキの
直線運動を回転運動に変換するリンク機構を、図１３に
示すように、カッタ駆動ジャッキ５２，５２により往復
移動される駆動ラック５３，５３と駆動軸５４（５，３
５Ａ，３５Ｂに相当）に取付けられた受動ピニオン５５
とを備えたラック・ピニオン機構で構成してもよい。

【００３６】図１４は第２の実施の形態のカッタ駆動装
置がカッタヘッドを往復回動させたのに対して、このカ
ッタ駆動装置６１はカッタヘッド３６を回転駆動するよ
うにしたものである。

【００３７】すなわち、カッタ駆動内軸３５Ａの基端部
に第１受動ギヤ６２Ａが取付けられ、第１回転モータ６
３Ａにより駆動される第１駆動ピニオン６４Ａが第１受
動ギヤ６２Ａに噛合されている。またカッタ駆動外軸３
５Ｂの基端部に第２受動ギヤ６２Ｂが取付けられ、第２
回転モータ６３Ｂにより駆動される第２駆動ピニオン６
４Ｂが第２受動ギヤ６２Ｂに噛合されている。そしてカ
ッタ駆動内軸３５Ａおよびカッタ駆動外軸３５Ｂの回転
角度を検出する回転検出器６５Ａ，６５Ｂの検出信号に
基づいて回転制御装置６６から第１回転モータ６３Ａお
よび第２回転モータ６３Ｂのモータ制御部６３ａ，６３
ｂに制御信号が出力され、第１，第２カッタスポーク４
２Ａ，４２Ｂの角度αが制御される。

【００３８】上記構成によれば、第２の実施の形態と同
様の効果を奏することができる。

【００３９】なお、第２の実施の形態において、角度を
調整可能な可動カッタスポークのみとしたが、調整でき
ない固定カッタスポークを設けることもできる。

【００４０】

【発明の効果】以上に述べたごとく本発明の請求項１記
載の発明によれば、カッタヘッドを所定の角度範囲で往
復回動させて長カッタスポークによりトンネルの短辺部
側を掘削するとともに、短カッタスポークにより長辺部
側を掘削し、さらに長カッタスポークから余掘り用カッ
タを伸展して短辺部のコーナー部間を掘削するので、長
カッタスポークから突出される余掘り用カッタの突出量
を少なくすることができ、短辺と長辺の比の大きい矩形
断面のトンネルであっても、構造上無理なく掘削するこ
とができる。

【００４１】また請求項２記載の発明によれば、カッタ
駆動装置を複数本の伸縮駆動装置により構成してカッタ
ヘッドを略４５°の範囲で往復回動させるので、極めて
簡易な構造にすることができ、低コストで提供できる。

【００４２】さらに請求項３記載の発明によれば、可動
カッタスポークを所定の角度範囲で往復回動させるとと
もに、隣接する可動カッタスポークとの成す角を変更す
ることにより、リンクカッタの先端部を出退させて短辺
部側を掘削することができ、折り曲げることで出退自在
に構成されたリンクカッタは、従来のコピーカッタに比
べて十分な強度と高い掘削能力を確保することができる
ので、短辺と長辺の比の大きい矩形断面のトンネルであ
っても、効率良く掘削することができる。

【００４３】また請求項５記載の発明によれば、カッタ
ヘッドを伸縮駆動装置により往復回動させるので、構造
をより簡易化することができる。

【００４４】さらに請求項６記載の発明によれば、カッ
タヘッドを回転させることにより、請求項３の発明と同
様の効果を奏することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る矩形断面用シールド掘進機の第１
の実施の形態を示すカッタヘッドの正面図である。

【図２】同シールド掘進機の縦断面図である。

【図３】図２に示すＡ−Ａ断面図である。

【図４】同カッタヘッドのコーナー部の掘削動作を説明
する正面図である。

【図５】同カッタヘッドの回動限の掘削状態を説明する
正面図である。

【図６】本発明に係る矩形断面用シールド掘進機の第２
の実施の形態を示すカッタヘッドの正面図である。

【図７】同カッタヘッドのコーナー部の掘削動作を説明
する正面図である。

【図８】同シールド掘進機の縦断面図である。

【図９】図８に示すＢ−Ｂ断面図である。

【図１０】図８に示すＣ−Ｃ断面図である。

【図１１】（ａ）〜（ｃ）はそれぞれカッタヘッドの回
動状態を示す正面図である。

【図１２】（ｄ）〜（ｆ）はそれぞれカッタヘッドの回
動状態を示す正面図である。

【図１３】第１および第２の実施の形態におけるカッタ
駆動装置の変形例を示す横断面図である。

【図１４】第２の実施の形態におけるカッタ駆動装置の
他の変形例を示す横断面図である。

【符号の説明】

１ シールド本体 ５ カッタ駆動軸 ６ カッタヘッド ７ カッタ駆動装置 １２Ａ 長カッタスポーク １２Ｂ 短カッタスポーク １３Ａ 長辺部 １３Ｂ 短辺部 １３Ｃ コーナー部 １４ カッタビット １６ 余掘り装置 １６ａ 出退用シリンダ １６ｂ 余掘り用カッタ １７ カッタ駆動ジャッキ １８ リンクブラケット ３１ シールド本体 ３５Ａ カッタ駆動内軸 ３５Ｂ カッタ駆動外軸 ３６ カッタヘッド ３７ カッタ駆動装置 ４２Ａ 第１可動カッタスポーク ４２Ｂ 第２可動カッタスポーク ４４ リンクカッタ ４５ 連結ピン ４６，４７ カッタビット ５１Ａ 第１スポーク回動ジャッキ ５１Ｂ 第２スポーク回動ジャッキ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シールド本体の前部に、シールド軸心から
   半径方向に延びる複数のカッタスポークを備えたカッタ
   ヘッドを設け、 このカッタスポークを、トンネルの短辺部側を掘削する
   長カッタスポークと、トンネルの長辺部側を掘削する短
   カッタスポークとで構成し、 前記長カッタスポークに、余掘り用カッタを先端側に出
   退自在な余掘り装置を配設し、 シールド本体に、前記カッタヘッドを少なくとも隣接す
   るカッタスポークとの成す角度以上の所定範囲で往復回
   動させるカッタ駆動装置を設けたことを特徴とする矩形
   断面用シールド掘進機。
2. 【請求項２】長カッタスポークが各短辺部に対応して２
   本づつ設けられるとともに、短カッタスポークが各長辺
   部に対応して２本づつ設けられ、 カッタ駆動装置は、複数本の伸縮駆動装置によりカッタ
   ヘッドを略４５°の範囲で往復回動させるように構成さ
   れたことを特徴とする矩形断面用シールド掘進機。
3. 【請求項３】シールド本体の前部に、シールド軸心から
   半径方向に延びる複数のカッタスポークを備えたカッタ
   ヘッドを設け、 隣接するカッタスポークの成す角を拡大縮小自在な可動
   カッタスポーク間に、中間部で折り曲げ自在に連結され
   た一対のリンクカッタを連結し、 可動カッタスポークの拡縮動により、リンクカッタの折
   り曲げられた先端部をカッタスポークの外周軌跡より外
   側で半径方向に出退するように構成し、 シールド本体に、カッタヘッドをシールド軸心周りに所
   定角度範囲で往復回動させるとともに可動カッタスポー
   クの成す角を拡縮可能なスポーク拡縮機能付きのカッタ
   駆動装置を設けたことを特徴とする矩形断面用シールド
   掘進機。
4. 【請求項４】カッタスポークを全て可動カッタスポーク
   により構成するとともに、一方に隣接する可動カッタス
   ポーク間にリンクカッタを連結し、 これら可動カッタスポークの長さをトンネルの短辺の長
   さに対応して設定し、 前記リンクカッタが短辺部に対応する位置で、可動カッ
   タスポークの成す角が縮小されてリンクカッタの先端部
   を突出させ短辺部を掘削するように構成したことを特徴
   とする請求項３記載の矩形断面用シールド掘進機。
5. 【請求項５】カッタ駆動装置を、複数の伸縮駆動装置に
   より構成したことを特徴とする請求項３または４記載の
   矩形断面用シールド掘進機。
6. 【請求項６】シールド本体の前部に、シールド軸心から
   半径方向に延びる複数のカッタスポークを備えたカッタ
   ヘッドを設け、 隣接するカッタスポークの成す角を拡大縮小自在な可動
   カッタスポーク間に、中間部で折り曲げ自在に連結され
   た一対のリンクカッタを連結し、 可動カッタスポークの拡縮動により、リンクカッタの折
   り曲げられた先端部をカッタスポークの外周軌跡より外
   側で半径方向に出退するように構成し、 シールド本体に、カッタヘッドをシールド軸心周りに回
   動させるとともに可動カッタスポークの成す角を拡縮可
   能なスポーク拡縮機能付きのカッタ駆動装置を設けたこ
   とを特徴とする矩形断面用シールド掘進機。