JP2000191574A - p―メチルカリックス[7]アレ―ンの製造方法 - Google Patents

p―メチルカリックス[7]アレ―ンの製造方法

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JP2000191574A
JP2000191574A JP10372173A JP37217398A JP2000191574A JP 2000191574 A JP2000191574 A JP 2000191574A JP 10372173 A JP10372173 A JP 10372173A JP 37217398 A JP37217398 A JP 37217398A JP 2000191574 A JP2000191574 A JP 2000191574A
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water
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cresol
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Hiromasa Yamamoto
博将 山本
Masumi Nagashima
眞澄 長島
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
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    • C07C1/20Preparation of hydrocarbons from one or more compounds, none of them being a hydrocarbon starting from organic compounds containing only oxygen atoms as heteroatoms
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 p−メチルカリックス[7]アレーンを高収
率で再現性良く製造する方法を提供する。 【解決手段】 ホルマリン、クレゾール、及び塩基性触
媒を水を主成分とする媒体中で水を除去しながら加熱
し、反応系内の水分量を10重量%以下とした後に、該
反応系に有機溶媒を添加して加熱することによりp−メ
チルカリックス[7]アレーンを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カリックスアレー
ンの合成方法に関する。さらに詳しくはパラ位にメチル
基を有する環状7量体、すなわちp−メチルカリックス
[7]アレーンの合成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェノールとホルマリンとの縮合反応に
より得られる環状のフェノール樹脂であるカリックスア
レーン類は、1)官能基の導入や触媒反応に利用できる
フェノール性水酸基を有する、2)芳香族置換反応を利
用した修飾が容易なベンゼン環を有する、3)融点が高
く熱的安定性、また化学的安定性に優れる、4)一連の
環サイズ、即ち環を構成する芳香環の数の異なる化合物
が存在する、など機能化に適した数多くの特徴を有す
る。
【0003】そして、カリックスアレーン類は、これら
優れた特徴から例えば触媒、金属捕捉剤、イオンセンサ
ー、酸化防止剤、分離膜材料、相間移動触媒、人工酵
素、レジスト、その他用途への応用が検討されている。
【0004】カリックスアレーンの一般的な合成法とし
ては大きく分けて多段階合成法と直接合成法の二つが知
られており、その概要は、「カリックスアレーン(Ca
lixarenes)」(C. D.グッチェ編、Ro
yal Society ofChemistry、19
89年)、「カリックスアレーン(Calixaren
es)」(J. ヴィショーンら編、Kluwer A
cademic Publishiers、1991
年)等の成本、およびV.ベーマーの総説(Ange
w. Chem. Int. Ed. Engl. 34
巻、p713、1995年)などに記載されている。
【0005】多段階合成法は、パラ位をアルキル基で保
護したフェノール化合物を塩基性触媒の存在下に次々に
結合させ最終段階で環化を行う方法である。該多段階合
成法は、例えば環状4量体であるp−メチルカリックス
[4]アレーン(正式名称;5,11,17,23-tetra-methyl-
25,26,27,28-tetrahydroxycalix[4]arene)の合成に用
いられている。
【0006】上記多段階合成法では、合成時にクレゾー
ルをホルマリンでメチロール化し、さらにクレゾールと
反応させることによりメチレン架橋された鎖状2量体を
得、次々とメチロール化を繰り返し所望の環数を有する
鎖状分子とした後に環化を行うという手順で合成が行わ
れる。該多段階合成法には、確実に目的とするカリック
スアレーン化合物が得られるというメリットはあるが、
反応段階が数段階から場合によっては10段階以上にも
及び、合成に要する時間が長いばかりでなく、総収率も
非常に低くなるという問題がある。
【0007】これに対して直接合成法は、パラ位置換の
フェノール化合物とホルムアルデヒドとを塩基性触媒の
存在下に反応させることにより直接環状化合物であるカ
リックスアレーンを得る方法である。該直接合成法はそ
の方式の違いにより1ステップ法(Munch法とも言
う)と3ステップ法(Zinke−Conforth法
とも言う)の2種類が知られており、幾つかのカリック
スアレーンの合成に用いられている。
【0008】ここで、1ステップ法とは、パラ位置換の
フェノール化合物、ホルムアルデヒド(通常パラホルム
アルデヒド)、塩基性触媒および反応溶媒を一度に加
え、反応中に生成する水や原料に含まれている水を留去
しながら加熱還流を行う方法であり、3ステップ法と
は、パラ位置換のフェノール化合物、ホルムアルデヒド
(通常37%ホルマリン)、塩基性触媒を水を主体とす
る媒体中で水を留去しながら110℃程度まで加熱を行
い粘性の高い中間体を得た後、該中間体に溶媒を加えて
加熱還流を行い目的物を得る方法である。
【0009】これら直接合成法では、フェノール化合物
のメチロール化、縮合さらには環化を一挙に行えるた
め、多段階合成法に比べて合成にかかる時間が短くてす
むが、反応がうまく進行するか、或いはどの様な環サイ
ズのカリックスアレーンが得られるかは、反応を行って
みなければ分からず、該方法が適用可能なカリックスア
レーンの種類はいまのところ限られている。
【0010】これまでに直接法によりカリックスアレー
ンを合成した例は少なく、例えば、パラ位にt−ブチル
基を有するカリックスアレーン類であるp−t−ブチル
カリックス[n]アレーンについては、環状偶数量体す
なわち環状4、6、8量体の直接法による合成法がOr
ganic Syntheses(環状4量体について
は3ステップ法:68巻、p234、環状6量体につい
ては3ステップ法:68巻、p238、環状8量体につ
いては1ステップ法:68巻、p243)に報告されて
いる。
【0011】また、上記報告例がいずれも環状偶数量体
に関するものであることからも分かるように、一般に直
接合成法により奇数員環のカリックスアレーン化合物を
合成するのは難しく、その報告例も少ない。
【0012】例えば1ステップ法について、p−t−ブ
チルカリックス[5]アレーンについての蜷川らの報告
(Macromol. Chem. Rapid Com
mun. 3巻、p65、1982年)、同様に1ステ
ップ法についてp−t−ブチルカリックス[7]アレー
ンについての中本らの報告(Macromol. Ch
em. Rapid Commun. 3巻、p705、
1982年)が僅かに知られているが、いずれの場合も
目的物の収率は低い。
【0013】さらに直接合成法では、パラ位に結合して
いる置換基の種類により、塩基性触媒、溶媒、反応温度
等、同一の反応条件を用いても同じ環サイズの化合物が
得られない場合があり、特に、パラ位の置換基がメチル
基であるp−メチルカリックス[n]アレーン(括弧内
のnは環サイズを示し、通常はn=4〜8の整数であ
る。以下このようなカリックスアレーン化合物をpMC
nと略して表すこともある。)の直接法による合成につ
いてはあまり報告されていない。
【0014】p−メチルカリックス[7]アレーン(p
MC7)は、新しいレジスト材料としての用途が知られ
ているp−メチルヘキサアセトキシカリックス[6]ア
レーン(正式名称;5,11,17,23,29,35−ヘキサメチル−
37,38,39,40,41,42-ヘキサアセトキシカリックス[6]
アレーン)(特開平4−128253号公報)の原料と
なるp−メチル[6]カリックスアレーンと類似の構造
を有していることから興味が持たれる化合物である。該
pMC7は、pMCnのなかでも奇数員環からなってい
るので1ステップ法での合成は特に難しいと考えられ、
本発明者等が知る限りにおいて、これまでに知られてい
る1ステップ法での合成例は、Ostaszewski
らによってなされているもの(Polish. J. C
hem.71巻、p1053、1997年)だけであ
る。
【0015】上記文献には、s−ブチルベンゼンを用い
水酸化カリウムを塩基性触媒として用い173℃での加
熱還流下反応を行うことにより、質量分析(SIMS
法)による分析値で、最高70%という高収率でpMC
7が得られたことが記載されているが、本発明者等が前
記文献に従ってpMC7の合成を試みたところ、高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)法およびゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)法で分析した
単離収率は約25%と低く、数回試みても上記文献に記
載されている結果を再現することはできなかった。
【0016】なお、上記文献では、pMC7の分析を質
量分析で行っているが、一般にSIMS法ではその検出
感度は測定対象物の揮発性が小さくなると低下するた
め、測定対象物の分子量が大きくなるほど検出しにくく
なり、例えばポリマー成分については通常の条件では全
く検出されないこともある。このため、反応生成物が大
きな環員数のpMCnやpMCnの構成単位が直鎖状に
つながった構造を有するポリマー成分を含む場合には、
SIMS法により正しい組成を決定することは困難であ
る。このため、このような系の組成分析を正確に行うた
めには、HPLC法やGPC法を採用するのが一般的で
ある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】このように、pMC7
の合成法に関して、従来の直接合成法には、再現性に乏
しいという問題があり、再現性良くpMC7を高収率で
得る方法はこれまで知られていない。
【0018】本発明は、直接法を用いて、再現性良くp
MC7を高収率で得る方法を提供することを目的とす
る。
【0019】
【発明が解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究の結果、直接合成法の一種である
3ステップ法を用いた場合にp−メチルカリックス
[7]アレーンが高収率で得られることがあるという知
見を得た。そして更に検討を行った結果、反応中間体に
含まれる水分量を特定量以下とすることにより上記目的
を達成できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0020】即ち、本発明は、クレゾール、ホルマリ
ン、及び塩基性触媒を水主成分とする媒体中で水を除去
しながら加熱し、反応系内の水分量を10重量%以下と
した後に、該反応系に有機溶媒を添加して加熱すること
を特徴とするp−メチルカリックス[7]アレーンの製
造方法である。
【0021】本発明の製造方法によれば、再現性良くp
−メチルカリックス[7]アレーン(pMC7)を約5
0%という高い収率で得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のp−メチルカリックス
[7]アレーンの製造方法では、クレゾール、ホルマリ
ン、及び塩基性触媒を水を主成分とする媒体中で、水を
除去しながら加熱し、反応系内の水の量を特定値以下と
してから該反応系(以下、該反応系を構成する混合物を
中間体混合物とも言う。)に有機溶媒を添加し、更に加
熱し反応させてp−メチルカリックス[7]アレーンを
製造する。
【0023】本発明の製造方法で使用するクレゾール
は、特に限定されず、市販の薬品をそのまま用いること
が出来る。しかし、より再現性良く高収率でpMC7を
得るためには、蒸留、再結晶等により精製したものを用
いるのが好適である。
【0024】また、使用するホルマリンとしては、水中
に含有されるホルムアルデヒド濃度は特に限定されない
が、通常37%ホルムアルデヒド含有の水溶液が容易に
入手できるため好適に用いられる。
【0025】ホルマリンの添加量は、反応機構上、クレ
ゾールに対して1モル当量以上のホルムアルデヒドを与
える量であれば限定されない。しかしながら、大過剰に
添加すると反応中に反応系から飛散するホルムアルデヒ
ド量が多くなり、場合によっては反応管に多量に付着し
て、後の処理が行いにくくなる場合があるため、10モ
ル当量以下となる量使用するのが好ましく、製造原価の
点を考慮すると、特に1〜3モル当量となる量使用する
のが好ましい。
【0026】本発明の製造方法に用いる塩基性触媒はフ
ェノール化合物とホルムアルデヒドとの反応においてフ
ェノール化合物をメチロール化できるものであれば特に
限定されない。一般にはアルカリ金属またはアルカリ土
類金属を含む塩基性化合物が好適に用いられる。
【0027】これら化合物を具体的に例示すれば、水酸
化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化ルビジウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ金属お
よびアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ金属および
アルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウム、炭酸水素マグネシウム等のアルカリ金属
およびアルカリ土類金属の炭酸水素塩;水素化リチウ
ム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシ
ウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水素化
物;ナトリウム金属単体、カリウム金属単体等のアルカ
リ金属;リチウムブトキシド、ナトリウムエトキシド、
カリウムメトキシド、カリウムブトキシド、マグネシウ
ムブトキシド、マグネシウムエトキシド等のアルカリ金
属およびアルカリ土類金属のアルコキシド;を用いるこ
とができる。これらの塩基性化合物は1種類単独あるい
は2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0028】塩基性触媒の使用量は、特に限定されない
が、通常はクレゾールに対して0.005〜10モル当
量であり、反応速度、選択性、塩基性触媒の反応系への
溶解性等の観点から、特に0.1〜1モル当量であるの
が好適である。なお、これら塩基性触媒は通常固体のま
ま添加して使用されるが、1〜50重量%の水溶液の形
で使用しても良い。
【0029】本発明の製造方法では、まず、クレゾー
ル、ホルマリン、及び塩基性触媒を水を主成分とする媒
体(以下、水性媒体ともいう。)中で、水を除去しなが
ら加熱して、反応中間体を生成させる。
【0030】水性媒体を用いずに有機溶媒中で加熱を行
った場合には、各種環サイズのpMCnが一度に生成
し、pMC7を選択的に製造することが困難である。ま
た、水性媒体を使用しない場合には、反応制御が難しい
ため温度制御しにくく、ポリマー等が生成し、結果とし
て目的物の収率が低下する場合がある。
【0031】水性媒体は、水を主成分とするものであれ
ば特に限定されず、アルコール等の水溶性有機溶媒を全
水性媒体基準で30重量%程度まで含んでいても良い。
【0032】水性媒体の使用量は、塩基性触媒が溶解
し、各反応原料が溶解若しくは均一に分散して撹拌によ
り反応系の温度を制御し易い量であれば特に限定されな
いが、加熱時に水を除去する際の効率を考慮すると、ク
レゾール1重量部に対し水0.3〜2重量部であるのが
好適である。水は、塩基性触媒やホルマリンの溶媒とし
て使用されることが多く、溶媒として充分な量の水が使
用されている場合には、新たに水を加える必要は特にな
い。
【0033】また、本発明の製造方法では、各反応原料
及び塩基性触媒を水性媒体中で加熱するときに水を除去
することが必要である。水を除去しない場合には、反応
中間体が生成し難く、目的物を高収率で得ることができ
ない。
【0034】水を除去しながら加熱する方法は、特に限
定されず、例えば、前記したp−t−ブチルカリックス
[6]アレーンやp−t−ブチルカリックス[4]アレ
ーンの3ステップ合成法(Organic Synth
eses、68巻、p238およびp234)に示され
ている方法等が制限無く用いられる。
【0035】このとき、加熱する温度は、特に限定され
ないが、水分除去の容易さや上記中間体の生成効率の観
点から100〜150℃、特に110〜130℃である
のが好適である。
【0036】なお、このとき、温度制御を精度良く行う
ために撹拌を行うのが好ましい。撹拌にはメカニカルス
ターラー等、通常用いられる撹拌手段を制限なく用いる
ことが出来る。また、温度制御の方法は特に限定され
ず、プログラム式の温度コントローラーまたは一定温度
に制御できる温度コントローラーを用いて手動で温度制
御する等、公知の方法により行うことができる。
【0037】好適な方法を例示すれば、メカニカルスタ
ーラー、ディーンスターク水分留去器および窒素導入管
を取り付けた三ツ口フラスコにクレゾール、ホルマリ
ン、塩基性触媒溶媒、及び水を入れ窒素導入を行いなが
ら加熱し、水分を留去する方法が挙げられる。
【0038】水を除去しながら加熱することにより、ク
レゾールとホルマリンとがメチロール化した化合物、或
いは該化合物がクレゾールと反応させることによりメチ
レン架橋された鎖状2量体、さらには該鎖状2量体が次
々とメチロール化を繰り返した結果得られた鎖状数量体
(即ちオリゴマー)等の、カリックスアレーン原料とな
る各種反応中間体の混合物が得られると考えられる。
【0039】本発明の製造方法では、上記のようにして
水を除去しながら加熱を行い、反応系内の水の量を10
重量%以下、特に好適には5重量%以下としてから得ら
れた中間体混合物に有機溶媒を添加し、更に加熱して反
応を完結させる。
【0040】有機溶媒を添加する前の中間体混合物中の
水分量が10重量%を越える場合には、pMC7以外の
他の環サイズのカリックスアレーン類および鎖状ポリマ
ーが得られ易く、pMC7の収率が低下する。また、有
機溶媒を添加しないと撹拌状態が悪いため反応が進みに
くく、生成効率が極めて悪くなる。
【0041】なお、中間体混合物中に含まれる水分量の
定量は、カールフィッシャー水分定量装置等を用いて、
容易に分析することができる。
【0042】本発明の製造方法で用いる有機溶媒は特に
制限されないが、好適な有機溶媒としてはトルエン、キ
シレン、ブチルベンゼン等の芳香族系炭化水素類;ドデ
シルデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、
テトラリン、デカリン等の脂肪族炭化水素類;ジオキサ
ン、アニソール、ブチルフェニルエーテル、ジフェニル
エーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、
テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテ
ル類;テトラクロロエチレン、パークロロエタン、ジク
ロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;またはそれら
の混合物が挙げられる。
【0043】有機溶媒の添加量は特に制限されないが、
撹拌の効率及び生成収率の点で、クレゾール1重量部に
対して5〜20重量部加えるのが好適である。また有機
溶媒の添加方法については特に制限はなく、有機溶媒を
一度に添加しても、または溶解状態を確認しながら複数
回に分けて添加しても良い。有機溶媒を添加する際の中
間体混合物の温度については、該温度が有機溶媒の沸点
以下であるならば特に制限はなく、例えば水を留去した
状態での100℃を越える温度、あるいは室温程度に冷
却した状態、等のいずれの状態も好適である。
【0044】なお、有機溶媒を添加した後の反応中に
は、温度制御を精度良く行うために前記したような公知
の方法により撹拌を行うのが好ましい。
【0045】中間体混合物に有機溶媒を添加した後の反
応は、前記したような各種中間体が脱水縮合して目的物
であるpCM7を生成する反応であるため反応中に水を
生成する。このため反応時に生成する水や有機溶媒添加
時に含まれている水を除去しつつ反応を行うことが収率
を向上させる意味で好ましい。従って、水の沸点である
100℃以上、あるいは水と共沸する溶媒を使用する場
合に於いては、共沸温度以上の温度で反応を行うのが好
適である。反応開始温度を100℃未満(例えば室温)
で行い、その後加熱昇温を行うのが、操作も簡便であ
り、反応速度も速くすることができ、効率的に反応を行
うことができるので特に好適である。
【0046】反応系からの水分の除去は、ガス導入管等
を用いて不活性ガスを反応液に吹き込む、或いはディー
ンスターク等の水分除去装置を反応系に取り付けること
により行うことができる。なお、窒素、アルゴン等の不
活性ガスを吹き込んだ場合には、反応系から酸素が除去
され、副反応を抑制できるので、反応はこれら不活性ガ
スを吹き込み不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。
【0047】また本発明の製造方法に於ける反応時間は
特に制限されないが、通常1〜24時間程度で十分であ
る。
【0048】反応後の分離精製操作は一般的にカリック
スアレーン類やフェノール性化合物に用いられる方法を
制限なく用いることが出来る。例えばカラムクロマトグ
ラフィー、再結晶法、昇華法など、またはこれらの組み
合わせなどにより単離精製することができる。カリック
スアレーン自体は溶解性が低いため、場合によってはア
セチル化等の誘導体化を行ったのち精製することも可能
である。
【0049】
【実施例】以下に本発明をさらに具体的に説明するため
に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。
【0050】なお、pMCnおよびpMCnの構成単位
が直鎖状につながった構造を有するポリマーは有機溶媒
に対する溶解性が悪いため、これら化合物の構造確認は
定量反応であるアセチル化反応を行った後に、NMR、
質量分析、IR等を用いて行った。
【0051】また、pMC7の粗収率は、粗生成物をア
セチル置換体へ変換したのち分析し、次のようにして求
めた。
【0052】即ち、分析はHPLC(カラム:GLサイ
エンス社製、Inertsil 100-5;シラノール型、展開溶
媒:クロロホルム/ヘキサン)およびGPC(カラム:
JAIGEL−2H、排除限界分子量 2000、展開
溶媒:クロロホルム)を用いて行った。検出はUV25
4nmで行った。HPLCで算出される環サイズの異な
るpMCn(n=4〜8)の比、GPCから算出される
ポリマー成分とpMCn(n=4〜8)混合物との比、
および回収された粗生成物量から、pMC7の粗収率を
算出した。
【0053】また反応原料中に含まれる水分量の定量
は、カールフィッシャー水分定量装置(CA−20、三
菱化学製)を用いて分析を行った。
【0054】なお本実施例中において、各原料の仕込み
比とはクレゾールに対する各原料のモル当量数(モル
比)である。
【0055】実施例1 メカニカルスターラー、ディーンスターク水分留去器お
よび窒素導入管を取り付けた2Lの三ツ口フラスコにク
レゾール72g、37%ホルマリン135ml(メタノー
ル15%含有品)、水酸化カリウム15g(クレゾール
に対して0.34当量)を入れた。この時点での水分量
は約30重量%、メタノール含量は約10重量%であ
る。さらに反応器に窒素導入を行いながら撹拌しながら
120℃まで加熱し、水分を留去しながら反応を2時間
行い、中間体混合物Aを得た。該中間体混合物中の水分
量をカールフィッシャー法にて測定したところ、水の含
有量は4重量%であった。
【0056】次いで、上記中間体混合物A100gを2
Lの三ツ口フラスコに移し、メカニカルスターラー、ディ
ーンスターク水分留去器および窒素導入管を取り付け、
溶媒としてキシレン1Lを添加した。その後、この三ツ
口フラスコに窒素を導入しながら油浴にて加熱撹拌し、
水分を留去しながら約140℃にて4時間加熱還流を続
けた後、放冷した。
【0057】反応溶液内に析出した固形分をろ別した後
固形物をイオン交換水、続いてエタノールで洗浄し、真
空乾燥を行い粗生成物76gを得た。
【0058】得られた粗生成物をそのままアセチル化反
応に用いた。アセチル化反応は粗生成物1gにつき無水
酢酸1.1g、及びピリジン10mlを加え室温で12
時間撹拌することにより行った。アセチル化反応後、得
られた反応混合物を希塩酸中にあけ、得られた沈殿物を
ろ別した。回収された沈殿物を真空乾燥しアセチル置換
体の混合物を95g得た。
【0059】アセチル置換体の混合物を分析した結果か
ら、上記カリックスアレーン合成反応における各化合物
の粗収率は以下の通りであることが判った。すなわちp
MC4およびpMC5は検出限界以下、pMC6は4
%、pMC7は65%、pMC8は13%、ポリマーは
12%であることが判った。
【0060】また、上記したのと同じ反応条件にてpM
C7の合成を3回繰り返し行ったところ、pMC7の粗
収率は53%〜67%と安定していた。
【0061】実施例2〜6、及び比較例1〜2 実施例1に於ける中間体混合物Aの製造において、反応
時間をそれぞれ1.5時間、及び1時間とする他は同様
にして中間体混合物B、及び中間体混合物Cを得た。カ
ールフィッシャー法により各中間体混合物中の水分量を
測定したところ、中間体混合物B中の水分量は8重量%
であり、中間体混合物C中の水分量は12重量%であっ
た。
【0062】中間体混合物A〜Cを用い、表1に示す反
応条件で、実施例1と同様にして溶媒を加え、その後の
反応を行ってpMC7を合成した。次いで、実施例1と
同様にしてアセチル化反応を行って、pMC7の粗収率
を求めた。結果を併せて表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】表1に示されるように、中間体混合物中の
水分量を10重量%以下としてから有機溶媒を加えて反
応を行った場合には、pMC7が50%以上という高収
率で得られることが判った。
【0065】比較例3 従来技術の欄で引用した前記文献(Ostaszews
kiら、Polish. J. Chem. 71巻、p
1053、1997年)に記載された方法に準じて、下
記の条件で反応を行った。
【0066】即ち、15ミリモルの水酸化カリウムの1
0%水溶液、p−クレゾール1.6g、パラホルムアル
デヒド0.5gおよびs−ブチルベンゼンをディーンス
ターク水分留去器を取り付けた250mlの三ツ口フラ
スコにいれて窒素下6時間173℃にて加熱還流し、反
応を行った。その後、得られた固形分をろ別した後固形
物をイオン交換水、続いてエタノールで洗浄し、真空乾
燥を行い粗生成物1.6gを得た。
【0067】次いで、実施例1と同様な方法でアセチル
化を行った。アセチル置換体の混合物を分析したとこ
ろ、カリックスアレーン合成反応における各化合物の粗
収率は、pMC4およびpMC5は検出限界以下、pM
C6は6%、pMC7は32%、pMC8は7%、ポリ
マーは43%であった。
【0068】さらに、本比較例の合成条件の再現性を3
回確認したところpMC7の粗収率は10%〜37%と
ばらつきが大きかった。
【0069】
【発明の効果】p−メチルカリックス[7]アレーン
は、それ自体、或いは該化合物の誘導体は、触媒、金属
捕捉剤、イオンセンサー、酸化防止剤、分離膜材料、相
間移動触媒、人工酵素、レジスト材料等さまざまな用途
への応用が期待されているものであるが、本発明の製造
方法により、p−メチルカリックス[7]アレーンを高
収率で安定して製造することが可能となった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クレゾール、ホルマリン、及び塩基性触
    媒を水を主成分とする媒体中で水を除去しながら加熱
    し、反応系内の水分量を10重量%以下とした後に、該
    反応系に有機溶媒を添加して加熱することを特徴とする
    p−メチルカリックス[7]アレーンの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006232676A (ja) * 2005-02-22 2006-09-07 Wakayama Prefecture カリックスアレーン類の製造方法
JP2008504225A (ja) * 2004-02-17 2008-02-14 ジョンソン,トーマス,イー. 大環状化合物を形成するための方法、組成物および装置

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