JP2000178217A - p−メチルカリックス[7]アレーンの製造方法 - Google Patents

p−メチルカリックス[7]アレーンの製造方法

Info

Publication number
JP2000178217A
JP2000178217A JP10360222A JP36022298A JP2000178217A JP 2000178217 A JP2000178217 A JP 2000178217A JP 10360222 A JP10360222 A JP 10360222A JP 36022298 A JP36022298 A JP 36022298A JP 2000178217 A JP2000178217 A JP 2000178217A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
temperature
arene
methylcalix
formaldehyde
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10360222A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiromasa Yamamoto
博将 山本
Masumi Nagashima
眞澄 長島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP10360222A priority Critical patent/JP2000178217A/ja
Publication of JP2000178217A publication Critical patent/JP2000178217A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Phenolic Resins Or Amino Resins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 p−メチルカリックス[7]アレーンを高収
率で再現性良く製造する方法を提供する。 【解決手段】 クレゾールとホルムアルデヒドとを塩基
性触媒の存在下に反応させてp−メチルカリックス
[7]アレーンを製造する方法において、反応温度を常
に130℃未満として反応を行うか、又は反応を130
℃未満で開始した後に加熱を行い反応温度を130℃以
上として反応を行うに際し、100℃以上130℃未満
の温度に30分以上保持するか、又は100℃以下の温
度で反応を開始した後に加熱を行い反応温度を130℃
以上として反応を行うに際し、反応温度が100℃を越
えてから130℃に達するまでの昇温速度を1℃/分以
下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カリックスアレー
ンの製造方法に関する。さらに詳しくはパラ位にメチル
基を有する環状7量体、すなわちp−メチルカリックス
[7]アレーンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェノールとホルマリンとの縮合反応に
より得られる環状のフェノール樹脂であるカリックスア
レーン類は、1)官能基の導入や触媒反応に利用できる
フェノール性水酸基を有する、2)芳香族置換反応を利
用した修飾が容易なベンゼン環を有する、3)融点が高
く熱的安定性、また化学的安定性に優れる、4)一連の
環サイズ、即ち環を構成する芳香環の数の異なる化合物
が存在する、など機能化に適した数多くの特徴を有す
る。
【0003】そして、カリックスアレーン類は、これら
優れた特徴から例えば触媒、金属捕捉剤、イオンセンサ
ー、酸化防止剤、分離膜材料、相間移動触媒、人工酵
素、レジスト材料その他用途への応用が検討されてい
る。
【0004】カリックスアレーンの一般的な合成法とし
ては大きく分けて多段階合成法と直接合成法の二つが知
られており、その概要は、「カリックスアレーン(Ca
lixarenes)」(C. D.グッチェ編、Ro
yal Society ofChemistry、19
89年)、「カリックスアレーン(Calixaren
es)」(J. ヴィショーンら編、Kluwer Ac
ademic Publishiers、1991年)
等の成本、およびV.ベーマーの総説(Angew.
Chem. Int. Ed. Engl. 34巻、p7
13、1995年)などに記載されている。
【0005】多段階合成法は、パラ位をアルキル基で保
護したフェノール化合物を塩基性触媒の存在下に次々に
結合させ最終段階で環化を行う方法である。該多段階合
成法は、例えば環状4量体であるp−メチルカリックス
[4]アレーン(正式名称;5,11,17,23-tetra-methyl-
25,26,27,28-tetrahydroxycalix[4]arene)の合成に用
いられている。
【0006】しかしながら、上記多段階合成法では、合
成時にクレゾールをホルマリンでメチロール化し、さら
にクレゾールと反応させることによりメチレン架橋され
た鎖状2量体を得、次々とメチロール化を繰り返し所望
の環数を有する鎖状分子とした後に環化を行うという手
順で合成が行われるため、反応段階が数段階から場合に
よっては10段階以上にも及び、合成に要する時間が長
いばかりでなく、総収率も非常に低くなるという問題が
ある。
【0007】これに対して直接合成法は、パラ位をアル
キル基で保護したフェノール化合物とホルムアルデヒド
とを塩基性触媒の存在下に反応させることにより直接環
状化合物であるカリックスアレーンを得る方法である。
該直接合成法では、フェノール化合物のメチロール化、
縮合さらには環化を一挙に行えるため、合成にかかる時
間が短くすむという特徴がある。そして、該直接合成法
により、例えば、パラ位にt−ブチル基を有するカリッ
クスアレーン化合物のうち、環状偶数量体すなわち環状
4、6、8量体を合成することができる{Organi
c Syntheses(環状4量体については68
巻、p234、環状6量体については68巻、p23
8、環状8量体については68巻、p243)}。
【0008】また、p−t−ブチルカリックス[n]ア
レーンの直接合成法については、生成物分布に与える反
応温度、及び昇温速度の影響がC.D.グッチェらによ
り検討されており、反応温度、昇温速度によって生成物
が若干変わることが報告されている(J. Am. Ch
em. Soc. 103巻、13号、1981年、p3
782)。
【0009】すなわち、該文献には、反応をトルエン還
流下(110℃)で行った場合の生成物はほとんど鎖状
オリゴマーであり、カリックスアレーン類は極微量しか
生成しないこと、反応をキシレン還流下(約140℃)
で行った場合には、p−t−ブチルカリックス[8]ア
レーンおよび架橋鎖に酸素原子が含まれる環状化合物で
あるビスホモ化合物が主生成物として得られ、他にp−
t−ブチルカリックス[n]アレーン(n=4、6)が
いずれも生成比10%以下で得られること、並びにテト
ラリン還流下(207℃)で反応を行った場合にはp−
t−ブチルカリックス[8]アレーンが主生成物として
得られ、他にp−t−ブチルカリックス[n]アレーン
(n=4、6)がいずれも生成比14%で得られるがビ
スホモ化合物は得られないことが記載されている。
【0010】また、昇温速度については、出来うる限り
速く昇温し加熱還流した場合の生成物分布は、t−ブチ
ルカリックス[8]アレーン(45%)、ビスホモ化合
物(32.5%)、t−ブチルカリックス[6]アレー
ン(9.5%)、t−ブチルカリックス[4]アレーン
(9%)であるのに対して、2時間かけゆっくり昇温し
加熱還流した場合の生成物分布は、t−ブチルカリック
ス[8]アレーン(58%)、t−ブチルカリックス
[6]アレーン(7%)、t−ブチルカリックス[4]
アレーン(10%)、ビスホモ化合物(7.5%)であ
ることが記載されている。
【0011】しかしながら、上記文献で得られるカリッ
クスアレーンは、いずれも偶数員環のカリックスアレー
ンであり、奇数員環のカリックスアレーンについて反応
条件を検討した例は知られていない。
【0012】一般に直接合成法により奇数員環のカリッ
クスアレーン化合物を合成するのは難しく、その報告例
も少ない。例えばp−t−ブチルカリックス[5]アレ
ーンについての蜷川らの報告(Macromol. C
hem. Rapid Commun. 3巻、p65、
1982年)、p−t−ブチルカリックス[7]アレー
ンについての中本らの報告(Macromol. Ch
em. Rapid Commun. 3巻、p705、
1982年)が僅かに知られているが、いずれの場合も
目的物の収率は低い。
【0013】さらに、直接合成法でパラ位に置換基を有
するカリックスアレーン化合物合成する場合、置換基の
種類によっては、塩基性触媒、溶媒、反応温度等の反応
条件により得られるカリックスアレーン化合物の環サイ
ズが大きく異なり、目的とする奇数員環のカリックスア
レーン化合物が得られない場合もある。
【0014】例えば、パラ位の置換基がメチル基である
p−メチルカリックスアレーン化合物{以下、pMCn
(nは環員数を表す。)と表すこともある。}について
7員環のp−メチルカリックス[7]アレーン(pMC
7)を合成した例が知られているが(Polish.
J. Chem. 71巻、p1053、1997年)、
該報告例に従っても、目的物を高収率でしかも再現性良
く得ることは困難である。
【0015】即ち、上記文献には、s−ブチルベンゼン
を用い水酸化カリウムを塩基性触媒として用い173℃
での加熱還流下反応を行うことにより、質量分析(SI
MS法)による分析値で、最高70%という高収率でp
MC7が得られたことが記載されているが、本発明者等
が該文献に従ってpMC7の合成を試みたところ、高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)法およびゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で分析し
た単離収率は約25%と低く、数回試みても上記文献に
記載されている結果を再現することはできなかった。
【0016】なお、上記文献では、pMC7の分析を質
量分析で行っているが、一般にSIMS法ではその検出
感度は測定対象物の揮発性が小さくなると低下するた
め、測定対象物の分子量が大きくなるほど検出しにくく
なり、例えばポリマー成分については通常の条件では全
く検出されないこともある。このため、反応生成物が大
きな環員数のpMCnやpMCnの構成単位が直鎖状に
つながった構造を有するポリマー成分を含む場合には、
SIMS法により正しい組成を決定することは困難であ
る。このため、このような系の組成分析を正確に行うた
めには、HPLC法やGPC法を採用するのが一般的で
ある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】このように、pMC7
の合成法に関して、従来の直接合成法には、再現性に乏
しいという問題があり、再現性良くpMC7を高収率で
得る方法はこれまで知られていない。
【0018】本発明は、再現性良くpMC7を高収率で
得る方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究の結果、比較的低温で反応を行っ
た場合にp−メチルカリックス[7]アレーンの生成量
が増大するという知見を得た。そして更に検討を行った
結果、反応温度を特定の温度以下とするか、又は反応温
度を該特定の温度より高くする場合でも該特定の温度を
越えるまでの昇温の方法を制御することにより上記目的
を達成できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0020】即ち、第1の本発明は、クレゾールとホル
ムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下に反応させてp−
メチルカリックス[7]アレーンを製造する方法におい
て、反応温度を常に130℃未満とすることを特徴とす
るp−メチルカリックス[7]アレーンの製造方法であ
る。
【0021】また、第2の本発明は、クレゾールとホル
ムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下に反応させてp−
メチルカリックス[7]アレーンを製造する方法におい
て、130℃未満の温度で反応を開始した後に加熱を行
い反応温度を130℃以上として反応を行うに際し、1
00℃以上130℃未満の温度に30分以上保持するこ
とを特徴とするp−メチルカリックス[7]アレーンの
製造方法である。
【0022】さらに、第3の本発明は、クレゾールとホ
ルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下に反応させてp
−メチルカリックス[7]アレーンを製造する方法にお
いて、100℃以下の温度で反応を開始した後に加熱を
行い反応温度を130℃以上として反応を行うに際し、
反応温度が100℃を越えてから130℃に達するまで
の昇温速度を1℃/分以下とすることを特徴とするp−
メチルカリックス[7]アレーンの製造方法である。
【0023】上記第1〜第3の本発明の製造方法(これ
らを総称して単に本発明の製造方法ともいう。)によれ
ば、再現性良くp−メチルカリックス[7]アレーン
(pMC7)を約60%という高い収率で得ることがで
きる。この様な効果が得られる作用機構は必ずしも明ら
かではないが、pMC7は他の環サイズのカリックスア
レーンおよびポリマーと比較して比較的低温において速
度論的に生成しやすいためではないかと推定される。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明のp−メチルカリックス
[7]アレーンの合成法では、クレゾールとホルムアル
デヒドとを塩基性触媒の存在下に特定の温度条件下で反
応させてp−メチルカリックス[7]アレーンを製造す
る。
【0025】このとき、原料として使用するクレゾール
は、特に限定されず、市販の薬品をそのまま用いること
が出来る。しかし、より再現性良く高収率でpMC7を
得るためには、蒸留、再結晶等により精製したものを用
いるのが好適である。
【0026】また、もう一方の反応資剤であるホルムア
ルデヒドとしては、ホルムアルデヒドそのものを使用す
ることもできるが、反応系においてホルムアルデヒドを
発生させることの出来る公知の化合物の形で供給し反応
系で分解発生したホルムアルデヒドを使用することもで
きる(以下、これら反応資剤を総称して、ホルムアルデ
ヒド剤ともという。)。
【0027】本発明で好適に使用できるホルムアルデヒ
ド剤を具体的に例示すれば、ホルムアルデヒドの水溶液
であるホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサ
ン等が挙げられる。ホルマリンを用いる際には含有され
るホルムアルデヒド濃度は特に限定されないが、通常3
7%ホルムアルデヒド含有品が容易に入手できるため好
適に用いられる。また、パラホルムアルデヒドを用いる
場合、その分子量は、反応に殆ど影響を与えないので特
に限定されない。
【0028】ホルムアルデヒド剤の添加量は、反応機構
上、クレゾールに対して1モル当量以上のホルムアルデ
ヒドを与える量であれば限定されない。しかしながら、
大過剰に添加すると反応中に反応系から飛散するホルム
アルデヒド量が多くなり、場合によっては反応管に多量
に付着して、後の処理を行いにくくなる場合があるた
め、10モル当量以下となる量使用するのが好ましく、
製造原価の点を考慮すると、特に1〜3モル当量となる
量使用するのが好ましい。
【0029】本発明の製造方法に用いる塩基性触媒はフ
ェノール化合物とホルムアルデヒドとの反応においてフ
ェノール化合物をメチロール化できるものであれば特に
限定されない。一般にはアルカリ金属またはアルカリ土
類金属を含む塩基性化合物が好適に用いられる。
【0030】これら化合物を具体的に例示すれば、水酸
化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化ルビジウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ金属お
よびアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ金属および
アルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウム、炭酸水素マグネシウム等のアルカリ金属
およびアルカリ土類金属の炭酸塩、水素化リチウム、水
素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等
のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水素化物、ナ
トリウム金属単体、カリウム金属単体等のアルカリ金
属、リチウムブトキシド、ナトリウムエトキシド、カリ
ウムメトキシド、カリウムブトキシド、マグネシウムブ
トキシド、マグネシウムエトキシド等のアルカリ金属お
よびアルカリ土類金属のアルコキシドを用いることがで
きる。これらの塩基性化合物は1種類単独あるいは2種
類以上を組み合わせて用いても良い。
【0031】塩基性触媒の使用量は、特に限定されない
が、通常はクレゾールに対して0.005〜10モル当
量であり、反応速度、選択性、塩基性触媒の反応系への
溶解性等の観点から、特に0.1〜1モル当量であるの
が好適である。
【0032】本発明の製造方法では、反応温度の制御を
より容易にするため溶媒を使用するのが好適である。本
発明に用いる溶媒は特に制限されないが、好適な溶媒と
してはトルエン、キシレン、ブチルベンゼン等の芳香族
系炭化水素類、ドデシルデカン、シクロヘキサン、メチ
ルシクロヘキサン、テトラリン、デカリン等の脂肪族炭
化水素類、ジオキサン、アニソール、ブチルフェニルエ
ーテル、ジフェニルエーテル、トリエチレングリコール
ジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル
エーテル等のエーテル類、テトラクロロエチレン、パー
クロロエタン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水
素類、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0033】本発明の製造方法に於いては、反応の開始
を130℃未満の温度で行う必要がある。反応の開始温
度を130℃以上とした場合には、p−メチルカリック
ス[7]アレーンを高収率で得ることができない。本発
明の製造方法に於いて、反応開始は130℃未満であれ
ば特に限定されないが、操作の容易さ、安全性、等の観
点から100℃以下の温度で反応を開始するのが好適で
ある。
【0034】なお、本発明の製造方法に於いて、クレゾ
ールとホルムアルデヒドとの反応は、クレゾールとホル
ムアルデヒド剤と塩基性触媒とが接触したときに開始す
ると考えられる。そこで、本発明の製造方法に於いて、
反応開始点とは、クレゾール、ホルムアルデヒド剤、及
び塩基性触媒が混合された時点を指すこととする。
【0035】本発明の製造方法は、130℃未満の温度
で反応開始した後、大きく分けて2種類の温度条件で反
応を行うことができる。即ち、(A)反応開始後、反応
温度を常に130℃未満に保って反応を行ってもよい
し、(B)反応開始後加熱して反応温度を130℃以上
として反応を行ってもよい。ただし、上記(B)の場合
には、(B−1)反応開始後昇温の際に、100℃以上
130℃未満の温度に30分以上保持するか、又は(B
−2)反応開始温度を特に100℃以下とし、反応開始
後、昇温の際に100℃を越えてから130℃に達する
までの昇温速度を1℃/分以下にする必要がある。ここ
で、昇温速度とは反応温度が100℃を最初に越えてか
ら最初に130℃に達するまでの平均昇温速度を示す。
【0036】加熱を行って反応温度を最終的に130℃
以上とする場合{前記(B)の場合}には、100℃以
上130℃未満の温度での保持時間が30分未満であっ
たり、100℃を越えてから130℃に達するまでの昇
温速度が1℃/分を越える場合には、pMC6、pMC
8等のpMC7以外の環サイズのカリックスアレーン類
あるいはポリマー等が生成しやすくなり収率が低下す
る。前記(B−2)の場合に於いて、反応を開始した後
100℃以上130℃未満の温度での保持時間が1時間
以上とすると、より高い収率でpMC7が得られるため
特に好ましい。
【0037】前記(A)の場合において、反応開始後の
反応温度は130℃未満であれば特に限定されない。し
かしながら、本発明の製造方法に於けるクレゾールとホ
ルムアルデヒドとの反応は縮合反応であるため反応中、
水を生成する。このため反応時に生成する水や反応資剤
や塩基性触媒の溶媒として混入する水を除去しつつ反応
を行うことが収率を向上させる意味で好ましい。従っ
て、水の沸点である100℃以上、あるいは水と共沸す
る溶媒を使用する場合に於いては、共沸温度以上の温度
(130℃未満の温度であることは勿論である。)で反
応を行うのが好適である。反応開始温度を100℃未満
(例えば室温)で行い、その後加熱昇温を行って、反応
温度を100℃以上130℃未満の温度で一定に保って
反応を行うのが、操作も簡便であり、反応速度も速くす
ることができ、効率的に反応を行うことができるので特
に好適である。
【0038】また、前記(B−1)、及び前記(B−
2)の場合において反応温度が100℃に達するまでの
保持時間や昇温速度は、目的物の収率に大きな影響を与
えないので限定されない。
【0039】本発明の製造方法に於いては、前記した反
応開始温度、保持時間、及び昇温速度条件を満足すれ
ば、その他の反応条件や反応操作等は特に限定されな
い。
【0040】たとえば、反応の開始操作については、前
記各反応資剤、塩基性触媒、及び必要に応じて溶媒(以
下、反応資剤等ともいう。)を何ら加熱せずにそのまま
添加混合してもよいし、前記各反応資剤等の何れか1つ
以上を予め加熱してから混合してもよい。後者の場合に
は、温度制御が容易であるという観点から、予め100
℃未満の所定の温度に制御された溶媒に、反応資剤およ
び塩基性触媒を添加するのが好適である。
【0041】また、各反応資剤等の添加手順も特に限定
されず、クレゾール、ホルムアルデヒド剤、塩基性触
媒、及び必要に応じて反応溶媒を一度に混合してもよい
し、或いはクレゾールと塩基性触媒とを加え一定時間撹
拌して予めある程度フェノレートを形成させ、その後ホ
ルムアルデヒド剤および反応溶媒を加えてもよい。この
とき、塩基性触媒は、そのまま添加してもよく、或いは
あらかじめ水または可溶な溶媒に溶解させた後に添加し
てもよい。
【0042】なお、反応開始時、及び反応中には、温度
制御を精度良く行うために撹拌を行うのが好ましい。撹
拌にはマグネティックスターラー、あるいはメカニカル
スターラー等、通常用いられる撹拌手段を制限なく用い
ることが出来る。また、温度制御の方法は特に限定され
ず、プログラム式の温度コントローラーまたは一定温度
に制御できる温度コントローラーを用いて手動で温度制
御する等、公知の方法により行うことができる。
【0043】また、反応中は反応系から反応により生成
した水、又は反応資剤等に混入している水を除去しなが
ら行うのが好ましい。このとき、反応系からの水分の除
去は、ガス導入管等を用いて不活性ガスを反応液に吹き
込む、或いはディーンスターク等の水分除去装置を反応
系に取り付けることにより行うことができる。なお、窒
素、アルゴン等の不活性ガスを吹き込んだ場合には、反
応系から酸素が除去され、副反応を抑制できるので、反
応はこれら不活性ガスを吹き込み不活性ガス雰囲気で行
うのが好ましい。
【0044】また本発明の製造方法に於ける反応時間は
特に制限されないが、通常1〜24時間程度で十分であ
る。
【0045】反応後の分離精製操作は一般的にカリック
スアレーン類やフェノール性化合物に用いられる方法を
制限なく用いることが出来る。例えばカラムクロマトグ
ラフィー、再結晶法、昇華法など、またはこれらの組み
合わせなどにより単離精製することができる。カリック
スアレーン自体は溶解性が低いため、場合によってはア
セチル化等の誘導体化を行ったのち精製することも可能
である。
【0046】
【実施例】以下に本発明をさらに具体的に説明するため
に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。
【0047】なお、pMCnおよびpMCnの構成単位
が直鎖状につながった構造を有するポリマーは有機溶媒
に対する溶解性が悪いため、これら化合物の構造確認は
定量反応であるアセチル化反応を行った後に、NMR、
質量分析、IR等を用いて行った。
【0048】また、pMC7の粗収率は、粗生成物をア
セチル置換体へ変換したのち分析し、次のようにして求
めた。
【0049】即ち、分析はHPLC(カラム:GLサイ
エンス社製、Inertsil 100-5;シラノール型、展開溶
媒:クロロホルム/ヘキサン)およびGPC(カラム:
JAIGEL−2H、排除限界分子量 2000、展開
溶媒:クロロホルム)を用いて行った。検出はUV25
4nmで行った。HPLCで算出される環サイズの異な
るpMCn(n=4〜8)の比、GPCから算出される
ポリマー成分とpMCn(n=4〜8)混合物との比、
および回収された粗生成物量から、pMC7の粗収率を
算出した。
【0050】なお本実施例中において、各原料の仕込み
比とはクレゾールに対する各原料のモル当量数である。
【0051】実施例1 メカニカルスターラー、ディーンスターク水分留去器お
よび窒素導入管を取り付けた1Lの三ツ口フラスコに溶媒
としてキシレンを500ml添加した。その後、この三
ツ口フラスコに窒素を導入しながら油浴にて加熱撹拌
し、溶媒の温度を30℃とした。次いで、この三ツ口フ
ラスコにp−クレゾール50g(0.462mol)、パラホル
ムアルデヒド30.6g、及び45mlの水に水酸化カ
リウム18.3g(クレゾールに対して0.60モル当
量)を溶解した溶液を添加し、反応を開始した。反応開
始後、125℃まで昇温し、さらにその温度で4時間加
熱を続けた後、放冷した。反応溶液内に析出した固形分
をろ別した後、固形物をイオン交換水、続いてエタノー
ルで洗浄し、真空乾燥を行い粗生成物48gを得た。
【0052】得られた粗生成物をそのままアセチル化反
応に用いた。アセチル化反応は粗生成物1gにつき無水
酢酸1.1g、及びピリジン10mlを加え室温で12
時間撹拌することにより行った。アセチル化反応後、得
られた反応混合物を希塩酸中にあけ、得られた沈殿物を
ろ別、洗浄した。回収された沈殿物を真空乾燥しアセチ
ル置換体の混合物を62g得た。
【0053】アセチル置換体の混合物を分析した結果か
ら、上記カリックスアレーン合成反応における各化合物
の粗収率は以下の通りであることが判った。すなわちp
MC4およびpMC5は検出限界以下、pMC6は2
%、pMC7は62%、pMC8は11%、ポリマーは
8%であることが判った。
【0054】また、上記したのと同じ反応条件にてpM
C7の合成を3回繰り返し行ったところ、pMC7の粗
収率は57%〜66%と安定していた。
【0055】実施例2〜8、及び比較例1〜2 表1に示す原料を用い、表1に示す反応条件で、実施例
1と同様にしてpMC7の合成反応を行った。次いで、
実施例1と同様にしてアセチル化反応を行って、pMC
7の粗収率を求めた。結果を併せて表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】なお、表中、塩基性触媒(表中では塩基と
表記している。)及びホルムアルデヒド剤の使用量は、
クレーゾールに対する当量で表している。また、昇温時
間および昇温速度はいずれも100℃から130℃まで
の間の昇温時間および昇温速度を示す。また、pFAは
パラホルムアルデヒドを表し、DFEはジフェニルエー
テルを表す。さらに、ホルマリンは37%ホルムアルデ
ヒド含有水溶液を用いた。
【0058】表1に示されるように、本発明の製造方法
においてはpMC7が40%以上という高収率で得られ
ることが判った。
【0059】比較例3 従来技術の欄で引用した前記文献(Ostaszews
kiら、Polish. J. Chem. 71巻、p
1053、1997年)に記載された方法に準じて、下
記の条件で反応を行った。
【0060】即ち、15ミリモルの水酸化カリウムの1
0%水溶液、p−クレゾール1.6g、パラホルムアル
デヒド0.5gおよびs−ブチルベンゼンをディーンス
ターク水分留去器を取り付けた250mlの三ツ口フラ
スコにいれて窒素下6時間173℃にて加熱還流し、反
応を行った。その後、得られた固形分をろ別した後固形
物をイオン交換水、続いてエタノールで洗浄し、真空乾
燥を行い粗生成物1.6gを得た。
【0061】次いで、実施例1と同様な方法でアセチル
化を行った。アセチル置換体の混合物を分析したとこ
ろ、カリックスアレーン合成反応における各化合物の粗
収率は、pMC4およびpMC5は検出限界以下、pM
C6は6%、pMC7は32%、pMC8は7%、ポリ
マーは43%であった。
【0062】さらに、本比較例の合成条件の再現性を3
回確認したところpMC7の粗収率は10%〜37%と
ばらつきが大きかった。
【0063】
【発明の効果】p−メチルカリックス[7]アレーン
は、それ自体、或いは該化合物の誘導体は、触媒、金属
捕捉剤、イオンセンサー、酸化防止剤、分離膜材料、相
間移動触媒、人工酵素、レジスト材料等さまざまな用途
への応用が期待されているものであるが、本発明の製造
方法により、p−メチルカリックス[7]アレーンを高
収率で安定して製造することが可能となった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クレゾールとホルムアルデヒドとを塩基
    性触媒の存在下に反応させてp−メチルカリックス
    [7]アレーンを製造する方法において、反応温度を常
    に130℃未満とすることを特徴とするp−メチルカリ
    ックス[7]アレーンの製造方法。
  2. 【請求項2】 クレゾールとホルムアルデヒドとを塩基
    性触媒の存在下に反応させてp−メチルカリックス
    [7]アレーンを製造する方法において、130℃未満
    の温度で反応を開始した後に加熱を行い反応温度を13
    0℃以上として反応を行うに際し、100℃以上130
    ℃未満の温度に30分以上保持することを特徴とするp
    −メチルカリックス[7]アレーンの製造方法。
  3. 【請求項3】 クレゾールとホルムアルデヒドとを塩基
    性触媒の存在下に反応させてp−メチルカリックス
    [7]アレーンを製造する方法において、100℃以下
    の温度で反応を開始した後に加熱を行い反応温度を13
    0℃以上として反応を行うに際し、反応温度が100℃
    を越えてから130℃に達するまでの昇温速度を1℃/
    分以下とすることを特徴とするp−メチルカリックス
    [7]アレーンの製造方法。
JP10360222A 1998-12-18 1998-12-18 p−メチルカリックス[7]アレーンの製造方法 Pending JP2000178217A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10360222A JP2000178217A (ja) 1998-12-18 1998-12-18 p−メチルカリックス[7]アレーンの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10360222A JP2000178217A (ja) 1998-12-18 1998-12-18 p−メチルカリックス[7]アレーンの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000178217A true JP2000178217A (ja) 2000-06-27

Family

ID=18468447

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10360222A Pending JP2000178217A (ja) 1998-12-18 1998-12-18 p−メチルカリックス[7]アレーンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000178217A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006232676A (ja) * 2005-02-22 2006-09-07 Wakayama Prefecture カリックスアレーン類の製造方法
CN101856627A (zh) * 2010-05-26 2010-10-13 浙江大学 间杯芳烃包合纳米镍催化剂及其制备

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006232676A (ja) * 2005-02-22 2006-09-07 Wakayama Prefecture カリックスアレーン類の製造方法
CN101856627A (zh) * 2010-05-26 2010-10-13 浙江大学 间杯芳烃包合纳米镍催化剂及其制备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5596258B2 (ja) カリックスアレーンダイマー化合物およびその製造方法
US9868809B2 (en) Method for the high-yield production of giant P-(R)calixarenes
JP2000178217A (ja) p−メチルカリックス[7]アレーンの製造方法
CN1099377A (zh) 2-羟基芳醛肟的制备方法
KR101707237B1 (ko) 치환된 1,4-퀴논 메티드의 제조 방법
US20070110701A1 (en) Acyloxyacetic acid polymer and process for producing the same
JP2000191573A (ja) p―メチルカリックス[6]アレ―ンの製造方法
Martínez et al. Synthesis of poly (aryl ether) dendrimers using an aryl carbonate and mixtures of metal carbonates and metal hydroxides
JP2000191574A (ja) p―メチルカリックス[7]アレ―ンの製造方法
US5171821A (en) Process for producing a phenolate and process for producing an aromatic polyether ketone employing it
EP0173748B1 (en) Process for producing substituted unsaturated six-membered ring compounds from phenol derivatives
CN102186835B (zh) 制备奈比洛尔的方法
Bicu et al. Study of the condensation products of abietic acid with formaldehyde at high temperatures
CN109705344B (zh) 一种镍配合物催化制备1,5-立构规整聚三唑的方法
EP0472446B1 (fr) Résines novolaques à base de para-alkylphenols. Leur procédé de préparation
CN115353540B (zh) 一种酚类甾体化合物的合成方法及其应用
CN117050010B (zh) 一种2,2’-联喹啉及其衍生物的合成方法
CN108586424B (zh) 一种苯酚类化合物的苄基化合成方法
FR2495137A1 (fr) Procede industriel de preparation en continu de l'acide p-hydroxymandelique racemique
WO2010055966A1 (en) Binaphthol aldehyde derivatives and method for preparing the same
RU2671579C1 (ru) Способ получения диангидрида 4,4´-бинафтил-1,1´,8,8´-тетракарбоновой кислоты из галогенаценафтенов
JPH06166652A (ja) アルドール化合物の製造方法
JPH0340734B2 (ja)
JP4478437B2 (ja) メチレンノルカンファーの製造方法
JP2003327554A (ja) 3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール及びその製造方法