JP2000191539A - ジンセノサイドRb1からなる脳細胞又は神経細胞保護剤 - Google Patents
ジンセノサイドRb1からなる脳細胞又は神経細胞保護剤Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、細胞保護剤として有用なジンセノ
サイドRb1又はその塩の有効な投与用製剤を提供す
る。より詳細には、ジンセノサイドRb1若しくはその
塩を含有してなるアポトーシス又はアポトーシス様細胞
死抑止用医薬組成物、又は、細胞死抑制遺伝子産物Bc
l−xLの発現を促進させるための医薬組成物を提供す
るものである。また、本発明は、ジンセノサイドRb1
又はその塩を含有してなる静脈内投与用製剤を提供する
ものである。 【解決手段】 本発明は、低濃度、好ましくは1ng/
ml以下、より好ましくは1〜100fg/mlのジン
セノサイドRb1又はその塩を含有してなる医薬組成物
に関し、本発明の医薬組成物は細胞死抑制遺伝子産物B
cl−xLの発現を促進させ、また、アポトーシス又は
アポトーシス様細胞死を抑止する作用を有する。さら
に、本発明は、ジンセノサイドRb1又はその塩を含有
してなる静脈内投与用製剤に関し、特に脳・神経疾患の
治療、予防又は処置のために有用である。
サイドRb1又はその塩の有効な投与用製剤を提供す
る。より詳細には、ジンセノサイドRb1若しくはその
塩を含有してなるアポトーシス又はアポトーシス様細胞
死抑止用医薬組成物、又は、細胞死抑制遺伝子産物Bc
l−xLの発現を促進させるための医薬組成物を提供す
るものである。また、本発明は、ジンセノサイドRb1
又はその塩を含有してなる静脈内投与用製剤を提供する
ものである。 【解決手段】 本発明は、低濃度、好ましくは1ng/
ml以下、より好ましくは1〜100fg/mlのジン
セノサイドRb1又はその塩を含有してなる医薬組成物
に関し、本発明の医薬組成物は細胞死抑制遺伝子産物B
cl−xLの発現を促進させ、また、アポトーシス又は
アポトーシス様細胞死を抑止する作用を有する。さら
に、本発明は、ジンセノサイドRb1又はその塩を含有
してなる静脈内投与用製剤に関し、特に脳・神経疾患の
治療、予防又は処置のために有用である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞保護剤として
有用なジンセノサイドRb1又はその塩に関する。より
詳細には、ジンセノサイドRb1若しくはその塩を含有
してなるアポトーシス又はアポトーシス様細胞死抑止用
医薬組成物、又は、ジンセノサイドRb1若しくはその
塩を含有してなる細胞死抑制遺伝子産物Bcl−xLの
発現を促進させるための医薬組成物に関し、さらに詳細
には、ジンセノサイドRb1又はその塩を含有してなる
静脈内投与用製剤である医薬組成物に関する。
有用なジンセノサイドRb1又はその塩に関する。より
詳細には、ジンセノサイドRb1若しくはその塩を含有
してなるアポトーシス又はアポトーシス様細胞死抑止用
医薬組成物、又は、ジンセノサイドRb1若しくはその
塩を含有してなる細胞死抑制遺伝子産物Bcl−xLの
発現を促進させるための医薬組成物に関し、さらに詳細
には、ジンセノサイドRb1又はその塩を含有してなる
静脈内投与用製剤である医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】元来脳卒中(脳血管障害)の治療法は、
脳梗塞・脳塞栓・脳出血・一過性脳虚血発作・クモ膜下
出血で異なっており、厳密には脳のCT検査を実施しな
ければ有効な対策が立てられないのが現状である。たと
えば血栓溶解剤などは脳梗塞・脳塞栓にのみ使用され、
脳出血には禁忌とされている。しかし、脳卒中は可及的
すみやかに病巣部位の神経細胞を保護する処置がとられ
なければ、以後永久に高次機能障害をもたらすかあるい
は生命予後に影響を与える重篤な疾患であるので、一刻
も早く治療を開始すべき疾患である。極論を言えば、脳
のCT検査を実施している時間すら、脳卒中患者にとっ
て回復する可能性を少なくする要因になるのである。ま
さに急性期脳卒中の治療は、脳卒中病変のみならず発症
後の時間との戦いと言っても過言ではない。ただ残念な
がら、目下の所、脳卒中の病型(脳梗塞・脳出血・脳塞
栓・クモ膜下出血・一過性脳虚血発作)のいかんを問わ
ず、脳卒中を発症したと思われる患者に速やかに投与
し、著効を示す薬物がほとんど存在しないのが実情であ
る。
脳梗塞・脳塞栓・脳出血・一過性脳虚血発作・クモ膜下
出血で異なっており、厳密には脳のCT検査を実施しな
ければ有効な対策が立てられないのが現状である。たと
えば血栓溶解剤などは脳梗塞・脳塞栓にのみ使用され、
脳出血には禁忌とされている。しかし、脳卒中は可及的
すみやかに病巣部位の神経細胞を保護する処置がとられ
なければ、以後永久に高次機能障害をもたらすかあるい
は生命予後に影響を与える重篤な疾患であるので、一刻
も早く治療を開始すべき疾患である。極論を言えば、脳
のCT検査を実施している時間すら、脳卒中患者にとっ
て回復する可能性を少なくする要因になるのである。ま
さに急性期脳卒中の治療は、脳卒中病変のみならず発症
後の時間との戦いと言っても過言ではない。ただ残念な
がら、目下の所、脳卒中の病型(脳梗塞・脳出血・脳塞
栓・クモ膜下出血・一過性脳虚血発作)のいかんを問わ
ず、脳卒中を発症したと思われる患者に速やかに投与
し、著効を示す薬物がほとんど存在しないのが実情であ
る。
【0003】一方、ジンセノサイドRb1は、下記構造
式
式
【0004】
【化1】
【0005】で示される化合物であり、ジンセノサイド
Rb1は柴田ら(Shibata S.,et al.,Economic and med
icinal plant research, World Scientific,Philadelph
ia,pp217-284,1985)などにより公知の物質である。ジ
ンセノサイドRb1は、向神経作用としてその腹腔内投
与によりこれまで静穏作用のみが報告されてきたが(Yo
shimura H.et al.,Eur.J.Pharmacol.,146,291-297,198
8)、その作用機序についてはまったく解明されていな
い。また、中枢神経系においては、ジンセノサイドRb
1とジンセノサイドRg1の混合物がアセチルコリン含
有神経細胞を活性化し、アルツハイマー病に効能を示す
可能性があることが報告されているが(米国特許:US,
A,5,137,878: Composition and method for treatment
of senile dementia)、アセチルコリン細胞の機能障害
がアルツハイマー病の主要所見であるとは言い難いの
で、この仮説には解決すべき問題が山積みしている。
Rb1は柴田ら(Shibata S.,et al.,Economic and med
icinal plant research, World Scientific,Philadelph
ia,pp217-284,1985)などにより公知の物質である。ジ
ンセノサイドRb1は、向神経作用としてその腹腔内投
与によりこれまで静穏作用のみが報告されてきたが(Yo
shimura H.et al.,Eur.J.Pharmacol.,146,291-297,198
8)、その作用機序についてはまったく解明されていな
い。また、中枢神経系においては、ジンセノサイドRb
1とジンセノサイドRg1の混合物がアセチルコリン含
有神経細胞を活性化し、アルツハイマー病に効能を示す
可能性があることが報告されているが(米国特許:US,
A,5,137,878: Composition and method for treatment
of senile dementia)、アセチルコリン細胞の機能障害
がアルツハイマー病の主要所見であるとは言い難いの
で、この仮説には解決すべき問題が山積みしている。
【0006】しかも、ジンセノサイドRb1単独の神経
細胞保護作用については、本発明者らがジンセノサイド
Rb1の研究を手掛けるまではほとんど解明されていな
かった。本発明者らはこれまでジンセノサイドRb1が
アセチルコリン含有神経細胞以外にも保護効果を発揮す
るかどうかを、スナネズミの一過性前脳虚血モデルを用
いてしらべてきた。この脳虚血モデル動物では、脳温を
37℃に維持した状態で3分間から5分間、総頸動脈血
流を遮断すると、血流遮断時間に応じて虚血後一週間以
内に海馬CA1錐体神経細胞(アセチルコリン非含有)
が変性脱落し(これを遅発性神経細胞死という)、同動
物の学習行動機能も低下することが証明されている(We
n T.-C.et al., Acta Neuropathol.,91,15-22,1996)。
すなわち、スナネズミの一過性前脳虚血モデルはヒトの
一過性脳虚血発作の病態を反映すると言える。
細胞保護作用については、本発明者らがジンセノサイド
Rb1の研究を手掛けるまではほとんど解明されていな
かった。本発明者らはこれまでジンセノサイドRb1が
アセチルコリン含有神経細胞以外にも保護効果を発揮す
るかどうかを、スナネズミの一過性前脳虚血モデルを用
いてしらべてきた。この脳虚血モデル動物では、脳温を
37℃に維持した状態で3分間から5分間、総頸動脈血
流を遮断すると、血流遮断時間に応じて虚血後一週間以
内に海馬CA1錐体神経細胞(アセチルコリン非含有)
が変性脱落し(これを遅発性神経細胞死という)、同動
物の学習行動機能も低下することが証明されている(We
n T.-C.et al., Acta Neuropathol.,91,15-22,1996)。
すなわち、スナネズミの一過性前脳虚血モデルはヒトの
一過性脳虚血発作の病態を反映すると言える。
【0007】本発明者らは、スナネズミの腹腔内にあら
かじめジンセノサイドRb1(10mg/kgまたは2
0mg/kg)を1日単回1週間注入しておくと、5分
間の総頸動脈血流遮断による遅発性神経細胞死と学習行
動障害が有意に軽減されることを証明した(Wen T.-C.e
t al., Acta Neuropathol.,91,15-22,1996)。しかしな
がら、5分間あるいは3分間の総額動脈血流遮断直後
に、ジンセノサイドRb 1を腹腔内に注入しても効果は
みられなかった(Wen T.-C.et al., Acta Neuropatho
l.,91,15-22,1996;Lim J.-H.et al.,Neurosci.Res.,2
8,191-200,1997)、従って、この時点で末梢(腹腔内)
投与されたジンセノサイドRb1の脳内移行率および移
行速度は非常に低いことが予想されたため、ジンセノサ
イドRb1は海馬CA1錐体神経細胞の保護という観点
からは、臨床応用の可能性は皆無と考えられた。
かじめジンセノサイドRb1(10mg/kgまたは2
0mg/kg)を1日単回1週間注入しておくと、5分
間の総頸動脈血流遮断による遅発性神経細胞死と学習行
動障害が有意に軽減されることを証明した(Wen T.-C.e
t al., Acta Neuropathol.,91,15-22,1996)。しかしな
がら、5分間あるいは3分間の総額動脈血流遮断直後
に、ジンセノサイドRb 1を腹腔内に注入しても効果は
みられなかった(Wen T.-C.et al., Acta Neuropatho
l.,91,15-22,1996;Lim J.-H.et al.,Neurosci.Res.,2
8,191-200,1997)、従って、この時点で末梢(腹腔内)
投与されたジンセノサイドRb1の脳内移行率および移
行速度は非常に低いことが予想されたため、ジンセノサ
イドRb1は海馬CA1錐体神経細胞の保護という観点
からは、臨床応用の可能性は皆無と考えられた。
【0008】前記のような末梢(腹腔内)投与に代え
て、ジンセノサイドRb1を3分間あるいは3.5分間
の総頸動脈血流遮断の直後に、直接脳室内に持続注入す
ると遅発性神経細胞死と学習行動障害が抑止されること
が報告されている(Lim J.-H.et al.,Neurosci.Res.,2
8,191-200,1997)。さらに、脳卒中易発症高血圧自然発
症(SH−SP)ラットの中大脳動脈皮質枝(MCA)
永久閉塞モデル(脳梗塞ラット)においても、ジンセノ
サイドRb1をMCA永久閉塞直後より脳室内へ持続注
入すると、大脳皮質梗塞巣が有意に縮小し、同動物の場
所学習障害も軽減されることが判明した(Zhang B.et a
l.,J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1998)。
て、ジンセノサイドRb1を3分間あるいは3.5分間
の総頸動脈血流遮断の直後に、直接脳室内に持続注入す
ると遅発性神経細胞死と学習行動障害が抑止されること
が報告されている(Lim J.-H.et al.,Neurosci.Res.,2
8,191-200,1997)。さらに、脳卒中易発症高血圧自然発
症(SH−SP)ラットの中大脳動脈皮質枝(MCA)
永久閉塞モデル(脳梗塞ラット)においても、ジンセノ
サイドRb1をMCA永久閉塞直後より脳室内へ持続注
入すると、大脳皮質梗塞巣が有意に縮小し、同動物の場
所学習障害も軽減されることが判明した(Zhang B.et a
l.,J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1998)。
【0009】しかしながら、他のべプチド性成長因子と
同様に(Sakanaka M.et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA,
95,4635-4640,1998; Wen T.-C.et al.,J.Exp.Med.,188,
635-649, 1998)、たとえジンセノサイドRb1が脳室
内直接投与で効果を示しても投与経路の問題からやはり
ヒトの一過性脳虚血発作や脳梗塞症例にジンセノサイド
Rb1を応用することは不可能と考えられた。
同様に(Sakanaka M.et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA,
95,4635-4640,1998; Wen T.-C.et al.,J.Exp.Med.,188,
635-649, 1998)、たとえジンセノサイドRb1が脳室
内直接投与で効果を示しても投与経路の問題からやはり
ヒトの一過性脳虚血発作や脳梗塞症例にジンセノサイド
Rb1を応用することは不可能と考えられた。
【0010】また、ジンセノサイドRb1の末梢(腹腔
内)投与による神経細胞保護作用のメカニズムについ
て、本発明者らはこれまでに低濃度(1〜100fg/
ml)の同薬物をあらかじめ培養液に混入しておくと、
ヒドロキシルラジカル誘発剤(硫酸第一鉄)による神経
細胞の壊死(ネクローシス)が軽減されることを報告し
ている(Lim J.-H.et al.,Neurosci.Res.,28,191-200,1
997;Zhang B.,et al.,J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-
9,1998)。本発明者らは、ジンセノサイドRb 1がヒド
ロキシルラジカルを消去することにより、細胞膜の過酸
化脂質を減少せしめ、培養神経細胞を保護するものと推
測してきたが、これまでにこの仮説を証明した報告はみ
られない。
内)投与による神経細胞保護作用のメカニズムについ
て、本発明者らはこれまでに低濃度(1〜100fg/
ml)の同薬物をあらかじめ培養液に混入しておくと、
ヒドロキシルラジカル誘発剤(硫酸第一鉄)による神経
細胞の壊死(ネクローシス)が軽減されることを報告し
ている(Lim J.-H.et al.,Neurosci.Res.,28,191-200,1
997;Zhang B.,et al.,J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-
9,1998)。本発明者らは、ジンセノサイドRb 1がヒド
ロキシルラジカルを消去することにより、細胞膜の過酸
化脂質を減少せしめ、培養神経細胞を保護するものと推
測してきたが、これまでにこの仮説を証明した報告はみ
られない。
【0011】また、高濃度(0.11〜11μg/m
l)のジンセノサイドRb1が、グルタミン酸の神経毒
性を軽減して神経細胞死を予防すること(Kim Y.-C.,et
al.,J. Neurosci.Res.,53,426-432,1998)、あるいは
500μM(550μg/ml)という高濃度のジンセ
ノサイドRb1がアポトーシス様神経細胞死を予防する
可能性があること(田中知明ら,The Ginseng Review,2
4,61-65,1998)が培養実験で報告されているが、高濃度
のジンセノサイドRb1は本発明者らの培養実験によれ
ばかえって神経毒性を示すことが判明している(Lim J.
-H.,et al.,Neurosci.Res.,28,191-200,1997;Zhang B.,
et al., J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1998)。
l)のジンセノサイドRb1が、グルタミン酸の神経毒
性を軽減して神経細胞死を予防すること(Kim Y.-C.,et
al.,J. Neurosci.Res.,53,426-432,1998)、あるいは
500μM(550μg/ml)という高濃度のジンセ
ノサイドRb1がアポトーシス様神経細胞死を予防する
可能性があること(田中知明ら,The Ginseng Review,2
4,61-65,1998)が培養実験で報告されているが、高濃度
のジンセノサイドRb1は本発明者らの培養実験によれ
ばかえって神経毒性を示すことが判明している(Lim J.
-H.,et al.,Neurosci.Res.,28,191-200,1997;Zhang B.,
et al., J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1998)。
【0012】しかも、このように高濃度のジンセノサイ
ドRb1を生体内の細胞外液で再現することは極めて困
難であるのみならず、コスト面や副作用出現の可能性を
考えても大量のジンセノサイドRb1を生体に投与する
ことは不可能である。実際、これまでの本発明者らの実
験結果からも、高用量のジンセノサイドRb1は生体に
とって必ずしも好ましい効果・効能をもたらさないこと
が判明している(Zhang B., et al., J. Stroke Cerebr
ovasc.Dis.,7,1-9, 1998)。すなわち、ジンセノサイド
Rb1による神経細胞保護作用のメカニズムはいまだ充
分に解明されていないというのが現状である。もし、ジ
ンセノサイドRb1の作用機構解明がなされれば、同薬
物の新たな効能・利用可能性が発掘されることが期待さ
れる。また、ジンセノサイドRb1が生体でアポトーシ
ス様細胞死を実際に抑止するかどうかも明らかにされて
いない。
ドRb1を生体内の細胞外液で再現することは極めて困
難であるのみならず、コスト面や副作用出現の可能性を
考えても大量のジンセノサイドRb1を生体に投与する
ことは不可能である。実際、これまでの本発明者らの実
験結果からも、高用量のジンセノサイドRb1は生体に
とって必ずしも好ましい効果・効能をもたらさないこと
が判明している(Zhang B., et al., J. Stroke Cerebr
ovasc.Dis.,7,1-9, 1998)。すなわち、ジンセノサイド
Rb1による神経細胞保護作用のメカニズムはいまだ充
分に解明されていないというのが現状である。もし、ジ
ンセノサイドRb1の作用機構解明がなされれば、同薬
物の新たな効能・利用可能性が発掘されることが期待さ
れる。また、ジンセノサイドRb1が生体でアポトーシ
ス様細胞死を実際に抑止するかどうかも明らかにされて
いない。
【0013】本発明者らは、ジンセノサイドRb1が1
fg/mlから100fg/mlという世界に類をみな
い低濃度域で、細胞死抑制遺伝子産物Bcl−xLの発
現増加を促すことによりアポトーシス様神経細胞死を抑
止することを見出した。すなわち、本発明でジンセノサ
イドRb1は世界で唯一の非べプチド性のBcl−x L
発現増加剤であることが見出された。また、100fg
/mlの濃度ではわずかにジンセノサイドRb1の過酸
化脂質生成抑制効果はみられたが、それよりも低い濃度
域ではそのような効果はみられなかった。従って、ジン
セノサイドRb 1の作用機構に関する従来の仮説は妥当
でないことが判明した。さらに、生体内においても、ジ
ンセノサイドRb1がアポトーシス様神経細胞死を抑止
することを見出し本発明を完成した。我々はジンセノサ
イドRb1が静脈内投与により、これまでまったく予想
すらされなかった優れた脳梗塞抑止作用ならびに場所学
習障害改善作用を示す、ことを見出し本発明を完成し
た。
fg/mlから100fg/mlという世界に類をみな
い低濃度域で、細胞死抑制遺伝子産物Bcl−xLの発
現増加を促すことによりアポトーシス様神経細胞死を抑
止することを見出した。すなわち、本発明でジンセノサ
イドRb1は世界で唯一の非べプチド性のBcl−x L
発現増加剤であることが見出された。また、100fg
/mlの濃度ではわずかにジンセノサイドRb1の過酸
化脂質生成抑制効果はみられたが、それよりも低い濃度
域ではそのような効果はみられなかった。従って、ジン
セノサイドRb 1の作用機構に関する従来の仮説は妥当
でないことが判明した。さらに、生体内においても、ジ
ンセノサイドRb1がアポトーシス様神経細胞死を抑止
することを見出し本発明を完成した。我々はジンセノサ
イドRb1が静脈内投与により、これまでまったく予想
すらされなかった優れた脳梗塞抑止作用ならびに場所学
習障害改善作用を示す、ことを見出し本発明を完成し
た。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は静脈内
投与により優れた脳梗塞治療効果ならびに脳血管性痴呆
抑止作用を示し、かつ細胞死抑制遺伝子Bcl−xLの
発現を促すことにより細胞を保護する薬物を提供するこ
とである。また、本発明は、細胞保護剤として有用なジ
ンセノサイドRb1又はその塩の有効な投与用製剤を提
供する。より詳細には、ジンセノサイドRb1若しくは
その塩を含有してなるアポトーシス又はアポトーシス様
細胞死抑止用医薬組成物、又は、ジンセノサイドRb1
若しくはその塩を含有してなる細胞死抑制遺伝子産物B
cl−xLの発現を促進させるための医薬組成物を提供
するものである。また、本発明は、ジンセノサイドRb
1又はその塩を含有してなる脳・神経疾患の治療、予防
又は処置などのために有用な静脈内投与用製剤を提供す
るものである。
投与により優れた脳梗塞治療効果ならびに脳血管性痴呆
抑止作用を示し、かつ細胞死抑制遺伝子Bcl−xLの
発現を促すことにより細胞を保護する薬物を提供するこ
とである。また、本発明は、細胞保護剤として有用なジ
ンセノサイドRb1又はその塩の有効な投与用製剤を提
供する。より詳細には、ジンセノサイドRb1若しくは
その塩を含有してなるアポトーシス又はアポトーシス様
細胞死抑止用医薬組成物、又は、ジンセノサイドRb1
若しくはその塩を含有してなる細胞死抑制遺伝子産物B
cl−xLの発現を促進させるための医薬組成物を提供
するものである。また、本発明は、ジンセノサイドRb
1又はその塩を含有してなる脳・神経疾患の治療、予防
又は処置などのために有用な静脈内投与用製剤を提供す
るものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、低濃度のジン
セノサイドRb1又はその塩を含有してなるアポトーシ
ス又はアポトーシス様細胞死抑止用医薬組成物に関す
る。また、本発明は、ジンセノサイドRb1又はその塩
を含有してなる細胞死抑制遺伝子産物Bcl−xLの発
現を促進させるための医薬組成物に関する。これらの本
発明の医薬組成物は、静脈内投与用製剤が好ましい。さ
らに、本発明は、ジンセノサイドRb1又はその塩を、
好ましくは低濃度で含有してなる脳・神経疾患の治療、
予防又は処置などのための静脈内投与用製剤に関する。
また、本発明は、前記の静脈内投与用製剤からなる脳・
神経疾患の治療、予防若しくは処置剤、又は、脳細胞若
しくは神経細胞保護剤に関する。
セノサイドRb1又はその塩を含有してなるアポトーシ
ス又はアポトーシス様細胞死抑止用医薬組成物に関す
る。また、本発明は、ジンセノサイドRb1又はその塩
を含有してなる細胞死抑制遺伝子産物Bcl−xLの発
現を促進させるための医薬組成物に関する。これらの本
発明の医薬組成物は、静脈内投与用製剤が好ましい。さ
らに、本発明は、ジンセノサイドRb1又はその塩を、
好ましくは低濃度で含有してなる脳・神経疾患の治療、
予防又は処置などのための静脈内投与用製剤に関する。
また、本発明は、前記の静脈内投与用製剤からなる脳・
神経疾患の治療、予防若しくは処置剤、又は、脳細胞若
しくは神経細胞保護剤に関する。
【0016】本発明のジンセノサイドRb1は、前記し
た構造式で示されるものであり、ジンセノサイドRb1
は、例えば、柴田らの方法(Shibata S.et al Economic
andmedicinal plant research, World Scientific,Phi
ladelphia,pp 217-284,1985)の方法に準じて分離・精
製することができる。このような方法により精製された
ものは、その純度が98%以上であることが、薄層クロ
マトグラフィーならびに核磁気共鳴スペクトルにより確
認されている(Kawashima Y.and Samukawa K., J.Med.P
harmacol.Soc.Wakan-Yaku,3,235-236,1986)。
た構造式で示されるものであり、ジンセノサイドRb1
は、例えば、柴田らの方法(Shibata S.et al Economic
andmedicinal plant research, World Scientific,Phi
ladelphia,pp 217-284,1985)の方法に準じて分離・精
製することができる。このような方法により精製された
ものは、その純度が98%以上であることが、薄層クロ
マトグラフィーならびに核磁気共鳴スペクトルにより確
認されている(Kawashima Y.and Samukawa K., J.Med.P
harmacol.Soc.Wakan-Yaku,3,235-236,1986)。
【0017】本発明のジンセノサイドRb1は、遊離の
もを使用することもできるが、それを適当な塩として使
用することもできる。また、それらの水和物のような溶
媒和物として使用することもできる。本発明で使用され
るジンセノサイドRb1の濃度は、低濃度が好ましく、
より具体的には、細胞外液濃度が1ng/ml以下、好
ましくは1pg/ml以下、より好ましくは100fg
/ml以下となる濃度である。本発明のジンセノサイド
Rb1を、静脈内投与用製剤として使用する場合にも、
患者の患部における細胞外液濃度が前記の濃度になるよ
うに製剤を調製することが好ましい。本発明の医薬組成
物や製剤は、患部の細胞外液濃度が1〜100fg/m
l程度の濃度であっても充分な効果が得られる。低濃度
でのジンセノサイドRb1の使用が好ましい点が本発明
の特徴のひとつである。
もを使用することもできるが、それを適当な塩として使
用することもできる。また、それらの水和物のような溶
媒和物として使用することもできる。本発明で使用され
るジンセノサイドRb1の濃度は、低濃度が好ましく、
より具体的には、細胞外液濃度が1ng/ml以下、好
ましくは1pg/ml以下、より好ましくは100fg
/ml以下となる濃度である。本発明のジンセノサイド
Rb1を、静脈内投与用製剤として使用する場合にも、
患者の患部における細胞外液濃度が前記の濃度になるよ
うに製剤を調製することが好ましい。本発明の医薬組成
物や製剤は、患部の細胞外液濃度が1〜100fg/m
l程度の濃度であっても充分な効果が得られる。低濃度
でのジンセノサイドRb1の使用が好ましい点が本発明
の特徴のひとつである。
【0018】本発明の別の特徴は、ジンセノサイドRb
1を静脈内投与用製剤として使用する点である。驚くべ
きことに、静脈内投与されたジンセノサイドRb1は、
従来の末梢(腹腔内)投与によるものとは異なり、脳・
神経系に速やかに伝達されることを見出したことであ
る。本発明の静脈内投与用製剤は、血管内、好ましくは
静脈に直接投与できるものであればよく、単回静脈内注
入用製剤であっても、静脈内持続投与用製剤であっても
よい。また、点滴用組成物などの静脈投与製剤に添加し
て使用できる剤型であってもよい。
1を静脈内投与用製剤として使用する点である。驚くべ
きことに、静脈内投与されたジンセノサイドRb1は、
従来の末梢(腹腔内)投与によるものとは異なり、脳・
神経系に速やかに伝達されることを見出したことであ
る。本発明の静脈内投与用製剤は、血管内、好ましくは
静脈に直接投与できるものであればよく、単回静脈内注
入用製剤であっても、静脈内持続投与用製剤であっても
よい。また、点滴用組成物などの静脈投与製剤に添加し
て使用できる剤型であってもよい。
【0019】本発明のジンセノサイドRb1は、静脈内
投与で脳梗塞巣を非投与群の1/4程度にまで縮小さ
せ、しかも細胞死抑制因子Bcl−xL発現増強という
ユニークな作用機序を有し、脳の神経細胞を保護するも
のであり、急性期・慢性期の脳梗塞のみならず脳出血・
クモ膜下出血・脳塞栓の急性期や慢性期あるいは一過性
脳虚血発作に対しても、神経保護薬として利用すること
ができる。すなわち、本発明のジンセノサイドRb1は
脳卒中が疑われる患者に対して救急車の中でも点滴静注
が可能な薬物である。脳虚血という病態は脳梗塞のみな
らず、心不全、重症貧血、呼吸障害、心停止、心室細動
に伴って生じることが知られている。これらの疾患から
脳を守り患者の予後を改善するためにも、本発明のジン
セノサイドRb1からなる医薬組成物は極めて有効なも
のである。
投与で脳梗塞巣を非投与群の1/4程度にまで縮小さ
せ、しかも細胞死抑制因子Bcl−xL発現増強という
ユニークな作用機序を有し、脳の神経細胞を保護するも
のであり、急性期・慢性期の脳梗塞のみならず脳出血・
クモ膜下出血・脳塞栓の急性期や慢性期あるいは一過性
脳虚血発作に対しても、神経保護薬として利用すること
ができる。すなわち、本発明のジンセノサイドRb1は
脳卒中が疑われる患者に対して救急車の中でも点滴静注
が可能な薬物である。脳虚血という病態は脳梗塞のみな
らず、心不全、重症貧血、呼吸障害、心停止、心室細動
に伴って生じることが知られている。これらの疾患から
脳を守り患者の予後を改善するためにも、本発明のジン
セノサイドRb1からなる医薬組成物は極めて有効なも
のである。
【0020】また、本発明のジンセノサイドRb1から
なる医薬組成物は、アポトーシス様神経細胞死を伴うそ
の他の一次性および二次性神経変性疾患(アルツハイマ
ー病、ピック病、脊髄小脳変性症、パーキンソン病、舞
踏病、筋萎縮性側索硬化症、エイズ脳症、肝性脳症、脳
炎、脳性マヒ、頭部外傷、脊髄損傷、一酸化炭素中毒、
新生児仮死、末梢神経障害、等)などにも、Bcl−x
L蛋白質発現増強を介して効能を示すことが期待され
る。
なる医薬組成物は、アポトーシス様神経細胞死を伴うそ
の他の一次性および二次性神経変性疾患(アルツハイマ
ー病、ピック病、脊髄小脳変性症、パーキンソン病、舞
踏病、筋萎縮性側索硬化症、エイズ脳症、肝性脳症、脳
炎、脳性マヒ、頭部外傷、脊髄損傷、一酸化炭素中毒、
新生児仮死、末梢神経障害、等)などにも、Bcl−x
L蛋白質発現増強を介して効能を示すことが期待され
る。
【0021】さらに、本発明のジンセノサイドRb1の
薬剤としての特徴で、今一つ見逃せないのが、これと言
った副作用を示さない点である。たとえば、一酸化窒素
供与体であるニトロプルシッドナトリウム(SNP)処
理をしていない通常の培養神経細胞にジンセノサイドR
b1を添加しても代謝活性にまったく影響を与えず、S
NP処理をして傷害を受けた神経細胞のみを低濃度(1
〜100fg/ml)のジンセノサイドRb1が保護す
るので(実施例3参照)、ジンセノサイドRb 1は正常
な神経組織の機能にはあまり影響を与えず、病変部にの
み好ましい効果を発揮することができる。この点は、神
経保護薬として開発途上にあるグルタミン酸受容体拮抗
薬よりもはるかに優れた特性といえる。
薬剤としての特徴で、今一つ見逃せないのが、これと言
った副作用を示さない点である。たとえば、一酸化窒素
供与体であるニトロプルシッドナトリウム(SNP)処
理をしていない通常の培養神経細胞にジンセノサイドR
b1を添加しても代謝活性にまったく影響を与えず、S
NP処理をして傷害を受けた神経細胞のみを低濃度(1
〜100fg/ml)のジンセノサイドRb1が保護す
るので(実施例3参照)、ジンセノサイドRb 1は正常
な神経組織の機能にはあまり影響を与えず、病変部にの
み好ましい効果を発揮することができる。この点は、神
経保護薬として開発途上にあるグルタミン酸受容体拮抗
薬よりもはるかに優れた特性といえる。
【0022】また、ジンセノサイドRb1の脳室内投与
により脳温、脳血流、血圧にも影響が及ばないこともす
でに報告されている(Lim J.-H.et al Neurosci.Res.,2
8,191-200,1997;Zhang B.et al J.Stroke Cerebrovasc.
Dis.,7,1-9,1998)。もちろん、本発明者らが、今回の
各実験例において、本発明のジンセノサイドRb1を投
与した動物を注意深く観察した範囲内でも、副作用は検
出されなかった。
により脳温、脳血流、血圧にも影響が及ばないこともす
でに報告されている(Lim J.-H.et al Neurosci.Res.,2
8,191-200,1997;Zhang B.et al J.Stroke Cerebrovasc.
Dis.,7,1-9,1998)。もちろん、本発明者らが、今回の
各実験例において、本発明のジンセノサイドRb1を投
与した動物を注意深く観察した範囲内でも、副作用は検
出されなかった。
【0023】本発明のジンセノサイドRb1はMCA永
久閉塞ラット(体重約300g)において、1日量6μ
gおよび60μgの投与で脳梗塞巣を縮小せしめ、場所
学習障害(脳血管性痴呆)を改善するという実験結果に
基づけば、体重60kgのヒト脳卒中患者に投与する量
は、体重あたりで計算すると1日当たり1.2mgから
12mgということになる。しかし、一般に動物の体重
が増加するにつれて体重当たりの必要薬物投与量が減少
することから、1.2mg以下の用量でも充分効能を示
すと考えられる。本発明の医薬組成物のヒト脳卒中患者
での1日当たりの投与量としては、患者の個人差や病状
にもよるが、0.1mg以上、好ましくは1mg以上、
より好ましくは10mg以上である。本発明の医薬組成
物は副作用が少なく、投与量の上限としてはかなり多量
にすることもできるが、1日当たり1g以下、好ましく
は0.1g以下である。
久閉塞ラット(体重約300g)において、1日量6μ
gおよび60μgの投与で脳梗塞巣を縮小せしめ、場所
学習障害(脳血管性痴呆)を改善するという実験結果に
基づけば、体重60kgのヒト脳卒中患者に投与する量
は、体重あたりで計算すると1日当たり1.2mgから
12mgということになる。しかし、一般に動物の体重
が増加するにつれて体重当たりの必要薬物投与量が減少
することから、1.2mg以下の用量でも充分効能を示
すと考えられる。本発明の医薬組成物のヒト脳卒中患者
での1日当たりの投与量としては、患者の個人差や病状
にもよるが、0.1mg以上、好ましくは1mg以上、
より好ましくは10mg以上である。本発明の医薬組成
物は副作用が少なく、投与量の上限としてはかなり多量
にすることもできるが、1日当たり1g以下、好ましく
は0.1g以下である。
【0024】本発明の医薬組成物の投与方法としては、
静脈投与が好ましく、前記した投与量を断続的又は連続
的に投与することができる。本発明の有効成分であるジ
ンセノサイドRb1はサポニンの1種であり、通常の方
法により製剤化することができる。例えば、本発明の水
溶性医薬組成物は、凍結乾燥結晶を生理食塩水、蒸留
水、リン酸緩衝液、ブドウ糖等に溶解することにより静
脈投与製剤とすることができる。脂肪乳剤、リポソーム
製剤としても使用可能である。静脈投与するときの製剤
の濃度としては余り高濃度でない限り任意の濃度に調整
することができ、例えば、0.01〜10mg/ml、
好ましくは0.1〜1mg/ml程度にして投与するこ
とができる。
静脈投与が好ましく、前記した投与量を断続的又は連続
的に投与することができる。本発明の有効成分であるジ
ンセノサイドRb1はサポニンの1種であり、通常の方
法により製剤化することができる。例えば、本発明の水
溶性医薬組成物は、凍結乾燥結晶を生理食塩水、蒸留
水、リン酸緩衝液、ブドウ糖等に溶解することにより静
脈投与製剤とすることができる。脂肪乳剤、リポソーム
製剤としても使用可能である。静脈投与するときの製剤
の濃度としては余り高濃度でない限り任意の濃度に調整
することができ、例えば、0.01〜10mg/ml、
好ましくは0.1〜1mg/ml程度にして投与するこ
とができる。
【0025】また、本発明における動物実験において
は、左中大脳動脈皮質枝(MCA)永久閉塞後、28日
間にわたって、ジンセノサイドRb1を静脈内へ持続注
入したが、実際の急性期脳卒中症例では、発症後2週間
以内に病変が進行することが多いので、この期間だけで
もジンセノサイドRb1を投与すれば充分効果が期待で
きる。また、ジンセノサイドRb1の実用化により、脳
卒中患者の脳血管再建術・再濯流術の適応も広がるもの
と考えられる。
は、左中大脳動脈皮質枝(MCA)永久閉塞後、28日
間にわたって、ジンセノサイドRb1を静脈内へ持続注
入したが、実際の急性期脳卒中症例では、発症後2週間
以内に病変が進行することが多いので、この期間だけで
もジンセノサイドRb1を投与すれば充分効果が期待で
きる。また、ジンセノサイドRb1の実用化により、脳
卒中患者の脳血管再建術・再濯流術の適応も広がるもの
と考えられる。
【0026】本発明は、過去に類を見ない低濃度でジン
セノサイドRb1が、Bcl−xL蛋白質の増加を促す
ことによりアボトーシスあるいはアボトーシス様細胞死
を抑止することを世界に先がけて報告するものである。
低濃度でジンセノサイドRb 1が、Bcl−xL蛋白質
の増加を促すことによりアボトーシスあるいはアボトー
シス様細胞死を抑止するということは、ジンセノサイド
Rb1が単に中枢神経疾患のみならずアポトーシスを伴
う末梢組織の疾患(たとえば、臓器移植後の拒絶反応、
心筋・肝臓・腎臓の虚血再潅流障害、心筋梗塞、末梢動
脈閉塞症、末梢循環不全、褥創、自己免疫病、免疫不全
病)にも有効であることを物語っている。しかも、これ
ら末梢組織の疾患に対しては、神経疾患に使用される用
量よりも少ない量のジンセノサイドRb1で充分な効果
・効能が発揮される。
セノサイドRb1が、Bcl−xL蛋白質の増加を促す
ことによりアボトーシスあるいはアボトーシス様細胞死
を抑止することを世界に先がけて報告するものである。
低濃度でジンセノサイドRb 1が、Bcl−xL蛋白質
の増加を促すことによりアボトーシスあるいはアボトー
シス様細胞死を抑止するということは、ジンセノサイド
Rb1が単に中枢神経疾患のみならずアポトーシスを伴
う末梢組織の疾患(たとえば、臓器移植後の拒絶反応、
心筋・肝臓・腎臓の虚血再潅流障害、心筋梗塞、末梢動
脈閉塞症、末梢循環不全、褥創、自己免疫病、免疫不全
病)にも有効であることを物語っている。しかも、これ
ら末梢組織の疾患に対しては、神経疾患に使用される用
量よりも少ない量のジンセノサイドRb1で充分な効果
・効能が発揮される。
【0027】次に本発明の低濃度でのジンセノサイドR
b1の作用について詳細に説明する。 まず、本発明者
らは、ジンセノサイドRb1の静脈内注入による作用を
検討した。このために、例えば、12〜13週齢の雄性
SH−SPラット(体重250〜300g)を使用し
た。同動物は12時間ごとの明暗サイクル室で飼育し、
水ならびに餌は自由摂取とした。同動物の左中大脳動脈
皮質枝(MCA)を凝固・切離した。ジンセノサイドR
b1をMCA永久閉塞直後に単回静脈内注入し(6μg
または60μg)、その後アルザミニ浸透圧ポンプを用
いて28日間静脈内へ持続注入(6μg/日または60
μg/日)した。なお、MCAを閉塞した対照動物(虚
血コントロール動物)と、偽手術をした動物には同量の
生理食塩水のみを投与した。
b1の作用について詳細に説明する。 まず、本発明者
らは、ジンセノサイドRb1の静脈内注入による作用を
検討した。このために、例えば、12〜13週齢の雄性
SH−SPラット(体重250〜300g)を使用し
た。同動物は12時間ごとの明暗サイクル室で飼育し、
水ならびに餌は自由摂取とした。同動物の左中大脳動脈
皮質枝(MCA)を凝固・切離した。ジンセノサイドR
b1をMCA永久閉塞直後に単回静脈内注入し(6μg
または60μg)、その後アルザミニ浸透圧ポンプを用
いて28日間静脈内へ持続注入(6μg/日または60
μg/日)した。なお、MCAを閉塞した対照動物(虚
血コントロール動物)と、偽手術をした動物には同量の
生理食塩水のみを投与した。
【0028】MCA永久閉塞後、常法に従って(Zhang
B.,et al., J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1998)
2週目と4週目にそれぞれ4日間水迷路テストを実施
し、SH−SPラットの場所学習能力を判定した。その
結果を図1に示す。図1の左側は2週目の結果であり、
同右側は4週目の結果である。また、図1中の黒丸印は
偽手術をしたラットのものであり、白丸印は手術後、生
理食塩水のみを投与したものであり、黒四角印はジンセ
ノサイドRb1を6μg/日投与したものであり、白四
角印はジンセノサイドRb1を60μg/日投与したも
のである。図1のごとくMCA永久閉塞後(脳梗塞後)
の場所学習障害が、生理食塩水注入脳梗塞群に比べて有
意に改善された。特に、MCA閉塞後2週目と4週目の
水迷路テストで、ジンセノサイドRb1の使用量では各
々3日目と4日目の試行において、ジンセノサイドRb
1の高用量では2週目の4日目および4週目の3日目、
4日目に有意な学習能力改善効果を示した。また、4週
目の初日にも高用量・低用量とも有意な効果が確認され
た。なお、SH−SPラットの水泳速度には各群で有意
差はみられなかった。
B.,et al., J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1998)
2週目と4週目にそれぞれ4日間水迷路テストを実施
し、SH−SPラットの場所学習能力を判定した。その
結果を図1に示す。図1の左側は2週目の結果であり、
同右側は4週目の結果である。また、図1中の黒丸印は
偽手術をしたラットのものであり、白丸印は手術後、生
理食塩水のみを投与したものであり、黒四角印はジンセ
ノサイドRb1を6μg/日投与したものであり、白四
角印はジンセノサイドRb1を60μg/日投与したも
のである。図1のごとくMCA永久閉塞後(脳梗塞後)
の場所学習障害が、生理食塩水注入脳梗塞群に比べて有
意に改善された。特に、MCA閉塞後2週目と4週目の
水迷路テストで、ジンセノサイドRb1の使用量では各
々3日目と4日目の試行において、ジンセノサイドRb
1の高用量では2週目の4日目および4週目の3日目、
4日目に有意な学習能力改善効果を示した。また、4週
目の初日にも高用量・低用量とも有意な効果が確認され
た。なお、SH−SPラットの水泳速度には各群で有意
差はみられなかった。
【0029】4週目の水迷路テスト終了後に、SH−S
Pラットを抱水クロラールにて麻酔し、4%パラホルム
アルデヒドを含有する0.1モルリン酸緩衝液で経心的
に潅流固定した。その後、同動物の脳を摘出し大脳皮質
梗塞巣の写真を撮影した。左大脳半球面積と左大脳皮質
梗塞面積を、写真上で画像解析装置を用いて計測し、左
大脳皮質梗塞面積を左大脳半球面積で除することにより
大脳皮質梗塞比率(%)を算出した。その結果を図2に
示す。図2に示されるごとく、ジンセノサイドRb1静
脈内投与脳梗塞群で生理食塩水投与脳梗塞群に比して、
大脳皮質梗塞比率も有意に減少していた。この大脳皮質
梗塞比率は梗塞面積をもとに算出したものであるが、そ
の比率の平均値がジンセノサイドRb1静脈内投与群で
生理食塩水投与群の50%程度に低下していることか
ら、実際の梗塞体積は、ジンセノサイドRb1の静脈内
投与により4分の1に縮小したことになる。
Pラットを抱水クロラールにて麻酔し、4%パラホルム
アルデヒドを含有する0.1モルリン酸緩衝液で経心的
に潅流固定した。その後、同動物の脳を摘出し大脳皮質
梗塞巣の写真を撮影した。左大脳半球面積と左大脳皮質
梗塞面積を、写真上で画像解析装置を用いて計測し、左
大脳皮質梗塞面積を左大脳半球面積で除することにより
大脳皮質梗塞比率(%)を算出した。その結果を図2に
示す。図2に示されるごとく、ジンセノサイドRb1静
脈内投与脳梗塞群で生理食塩水投与脳梗塞群に比して、
大脳皮質梗塞比率も有意に減少していた。この大脳皮質
梗塞比率は梗塞面積をもとに算出したものであるが、そ
の比率の平均値がジンセノサイドRb1静脈内投与群で
生理食塩水投与群の50%程度に低下していることか
ら、実際の梗塞体積は、ジンセノサイドRb1の静脈内
投与により4分の1に縮小したことになる。
【0030】図3Aに生理食塩水投与脳梗塞巣、図3B
にジンセノサイドRb1(6μg/日)投与脳梗塞巣の
実例を示す。また、図4に本実験結果をまとめた横式図
を示す。生理食塩水投与群では脳梗塞病巣部の大きさが
大きいままであり、水迷路テストにおいては目的のプラ
ットホームに到達するまでに時間を要しているのに対し
て、本発明のジンセノサイドRb1投与群においては病
巣部が回復、縮小されており、この結果水迷路テストに
おいては目的のプラットホームに短時間で到達してい
る。
にジンセノサイドRb1(6μg/日)投与脳梗塞巣の
実例を示す。また、図4に本実験結果をまとめた横式図
を示す。生理食塩水投与群では脳梗塞病巣部の大きさが
大きいままであり、水迷路テストにおいては目的のプラ
ットホームに到達するまでに時間を要しているのに対し
て、本発明のジンセノサイドRb1投与群においては病
巣部が回復、縮小されており、この結果水迷路テストに
おいては目的のプラットホームに短時間で到達してい
る。
【0031】スナネズミの一過性前脳虚血モデルを用い
た従来の論文(Wen T.-C.,et al.,Acta Neuropathol.,9
1,15-22, 1996)では、ジンセノサイドRb1の腹腔内
投与(10mg/kg/日または20mg/kg/日)
を虚血負荷前に実施しても、約30%の海馬CA1錐体
神経細胞しか救うことができなかった。もちろん、ジン
セノサイドRb1をスナネズミ腹腔内に虚血後に投与し
てもまったく効果はなかった。しかも、腹腔内投与され
たジンセノサイドRb1の一日量は、スナネズミの体重
(70g前後)から判断すると、0.7mgから1.4
mgという高用量であるので、ジンセノサイドRb1の
投与効率・効能という観点から判断しても、ジンセノサ
イドRb1の静脈内投与は腹腔内投与よりもはるかに優
れた投与方法であり、ヒトへの応用が容易である。周知
のごとく、ヒトで薬物を腹腔内に投与する方法はごく一
部の例外(腹膜潅流等)を除いてはほとんど実施されて
いない。
た従来の論文(Wen T.-C.,et al.,Acta Neuropathol.,9
1,15-22, 1996)では、ジンセノサイドRb1の腹腔内
投与(10mg/kg/日または20mg/kg/日)
を虚血負荷前に実施しても、約30%の海馬CA1錐体
神経細胞しか救うことができなかった。もちろん、ジン
セノサイドRb1をスナネズミ腹腔内に虚血後に投与し
てもまったく効果はなかった。しかも、腹腔内投与され
たジンセノサイドRb1の一日量は、スナネズミの体重
(70g前後)から判断すると、0.7mgから1.4
mgという高用量であるので、ジンセノサイドRb1の
投与効率・効能という観点から判断しても、ジンセノサ
イドRb1の静脈内投与は腹腔内投与よりもはるかに優
れた投与方法であり、ヒトへの応用が容易である。周知
のごとく、ヒトで薬物を腹腔内に投与する方法はごく一
部の例外(腹膜潅流等)を除いてはほとんど実施されて
いない。
【0032】また、本実施例に用いたMCA永久閉塞動
物(脳梗塞ラット)は明らかに、スナネズミの一過性前
脳虚血モデルよりも重篤でありかつヒトの病態に近いモ
デルである。従って、このMCA永久閉塞動物におい
て、ジンセノサイドRb1を脳血管閉塞後に静脈内投与
して著効を示したということは、ジンセノサイドRb1
少量静脈内注入の有用性、利便性、経済性を明らかにし
ている。
物(脳梗塞ラット)は明らかに、スナネズミの一過性前
脳虚血モデルよりも重篤でありかつヒトの病態に近いモ
デルである。従って、このMCA永久閉塞動物におい
て、ジンセノサイドRb1を脳血管閉塞後に静脈内投与
して著効を示したということは、ジンセノサイドRb1
少量静脈内注入の有用性、利便性、経済性を明らかにし
ている。
【0033】一方、MCA永久閉塞動物の脳室内に直接
ジンセノサイドRb1を注入してその効果をしらべた従
来の論文では(Zhang B.,et al., J.Stroke Cerebrovas
c.Dis.,7,1-9,1998)、MCA閉塞後に0.6μg/d
ayの用量でジンセノサイドRb1を脳室内へ持続注入
したときのみに有意な脳梗塞抑止効果がみられたが、そ
の効果は本実施例で示したジンセノサイドRb1静脈内
投与の効果と同等ないしそれより少し劣るものであっ
た。また、ジンセノサイドRb1脳室内投与についての
前掲の論文において、その他の用量(6μg/day、
0.06μg/day)でMCA永久閉塞後にジンセノ
サイドRb1を脳室内へ持続注入してもまったく脳梗塞
抑止効果はみられなかったので、ジンセノサイドRb1
脳室内投与の有効濃度城は極めて狭く、実用化は困難と
考えられた。しかも、ヒトへの応用を考慮したとき、ジ
ンセノサイドRb1の脳室内注入はその危険性と効能を
斟酌した場合、現実的に実施することは不可能と判断さ
れる。
ジンセノサイドRb1を注入してその効果をしらべた従
来の論文では(Zhang B.,et al., J.Stroke Cerebrovas
c.Dis.,7,1-9,1998)、MCA閉塞後に0.6μg/d
ayの用量でジンセノサイドRb1を脳室内へ持続注入
したときのみに有意な脳梗塞抑止効果がみられたが、そ
の効果は本実施例で示したジンセノサイドRb1静脈内
投与の効果と同等ないしそれより少し劣るものであっ
た。また、ジンセノサイドRb1脳室内投与についての
前掲の論文において、その他の用量(6μg/day、
0.06μg/day)でMCA永久閉塞後にジンセノ
サイドRb1を脳室内へ持続注入してもまったく脳梗塞
抑止効果はみられなかったので、ジンセノサイドRb1
脳室内投与の有効濃度城は極めて狭く、実用化は困難と
考えられた。しかも、ヒトへの応用を考慮したとき、ジ
ンセノサイドRb1の脳室内注入はその危険性と効能を
斟酌した場合、現実的に実施することは不可能と判断さ
れる。
【0034】一般に、神経保護因子は脳室内あるいは脳
実質内に直接投与した場合にもっとも大きな効果を発揮
し、静脈内投与や腹腔内投与をした場合には、脳血液関
門に遮断されてその効果・効能が激減あるいは消失する
と考えられる。従って、ジンセノサイドRb1に関して
も、その腹腔内投与や脳室内投与実験結果から判断し
て、静脈内投与の効果・効能はまったく予想されていな
かった。しかし、本実験例であきらかにされたごとく、
ジンセノサイドRb1の静脈内投与は脳室内投与の場合
よりも広い濃度域でMCA永久閉塞ラットの脳梗塞巣を
より効果的に縮小せしめ、同動物の学習能力を改善する
ことが発明された。また、ジンセノサイドRb1は薬用
人蔘中に含有される精製サボニンであるが、経口投与に
より血中ではまったく検出されないため事実上ジンセノ
サイドRb1自体の薬理作用は否定されてきた。従っ
て、本実施例により静脈内投与されたジンセノサイドR
b1が薬用人蔘とは独立した効果・効能・用途をもつこ
とが明らかにされた。
実質内に直接投与した場合にもっとも大きな効果を発揮
し、静脈内投与や腹腔内投与をした場合には、脳血液関
門に遮断されてその効果・効能が激減あるいは消失する
と考えられる。従って、ジンセノサイドRb1に関して
も、その腹腔内投与や脳室内投与実験結果から判断し
て、静脈内投与の効果・効能はまったく予想されていな
かった。しかし、本実験例であきらかにされたごとく、
ジンセノサイドRb1の静脈内投与は脳室内投与の場合
よりも広い濃度域でMCA永久閉塞ラットの脳梗塞巣を
より効果的に縮小せしめ、同動物の学習能力を改善する
ことが発明された。また、ジンセノサイドRb1は薬用
人蔘中に含有される精製サボニンであるが、経口投与に
より血中ではまったく検出されないため事実上ジンセノ
サイドRb1自体の薬理作用は否定されてきた。従っ
て、本実施例により静脈内投与されたジンセノサイドR
b1が薬用人蔘とは独立した効果・効能・用途をもつこ
とが明らかにされた。
【0035】次に、本発明者らはジンセノサイドRb1
による神経細胞膜脂質の過酸化防止効果判定の実験を行
った。Pengら(Peng H.et al., J.Cereb.Blood Flo
w Metab.,18, 349-360,1998)の方法にしたがって、胎
生17日目ラット大脳皮質神経細胞を、無血清培養液中
で3日間維持した後、ジンセノサイドRb1を含むまた
は含まない新鮮な培養液に交換しさらに、48時間培養
した。その後、硫酸第一鉄とアスコルビン酸を含みジン
セノサイドRb1を含まない新鮮な培養液に交換して2
時間維持し、ヒドロキシルラジカルを発生させ神経細胞
膜に酸化傷害を与えた。産生した神経細胞膜過酸化脂質
は、ドデシル硫酸ナトリウムにより細胞を溶かしたの
ち、チオバルビツール酸(TBA)の固定量を吸光度測
定することにより求められた。本実験の目的は、ジンセ
ノサイドRb1が硫酸第一鉄による神経細胞壊死(ネク
ローシス)を抑止する濃度域(0.1−100fg/m
l)で細胞膜脂質の過酸化を防止するかどうか検討する
ことである。
による神経細胞膜脂質の過酸化防止効果判定の実験を行
った。Pengら(Peng H.et al., J.Cereb.Blood Flo
w Metab.,18, 349-360,1998)の方法にしたがって、胎
生17日目ラット大脳皮質神経細胞を、無血清培養液中
で3日間維持した後、ジンセノサイドRb1を含むまた
は含まない新鮮な培養液に交換しさらに、48時間培養
した。その後、硫酸第一鉄とアスコルビン酸を含みジン
セノサイドRb1を含まない新鮮な培養液に交換して2
時間維持し、ヒドロキシルラジカルを発生させ神経細胞
膜に酸化傷害を与えた。産生した神経細胞膜過酸化脂質
は、ドデシル硫酸ナトリウムにより細胞を溶かしたの
ち、チオバルビツール酸(TBA)の固定量を吸光度測
定することにより求められた。本実験の目的は、ジンセ
ノサイドRb1が硫酸第一鉄による神経細胞壊死(ネク
ローシス)を抑止する濃度域(0.1−100fg/m
l)で細胞膜脂質の過酸化を防止するかどうか検討する
ことである。
【0036】結果を図5に示す。この実験結果から、ジ
ンセノサイドRb1による神経細胞膜脂質過酸化防止効
果は100fg/mlの濃度でのみわずかに認められた
が、硫酸第一鉄のフリーラジカル障害を軽減する0.1
−10fg/mlの濃度域では、脂質過酸化防止効果は
認められなかった。従って、ジンセノサイドRb1は従
来の論文(Lim J.-H.,et al., Neurosci.Res.,28,191-2
00,1997; Zhang B.,etal., J.Stroke Cerebrovasc.Di
s.,7,1-9,1998)のごとく0.1〜100fg/mlの
濃度域でフリーラジカルの神経毒性を軽減することは間
違いないが、それに続いて過酸化脂質産生をも抑制する
という従来の仮説は正しくないということが判明した。
従って、ジンセノサイドRb1の新たな作用機構の解析
が必要とされることを本実験は明らかにするものであ
る。
ンセノサイドRb1による神経細胞膜脂質過酸化防止効
果は100fg/mlの濃度でのみわずかに認められた
が、硫酸第一鉄のフリーラジカル障害を軽減する0.1
−10fg/mlの濃度域では、脂質過酸化防止効果は
認められなかった。従って、ジンセノサイドRb1は従
来の論文(Lim J.-H.,et al., Neurosci.Res.,28,191-2
00,1997; Zhang B.,etal., J.Stroke Cerebrovasc.Di
s.,7,1-9,1998)のごとく0.1〜100fg/mlの
濃度域でフリーラジカルの神経毒性を軽減することは間
違いないが、それに続いて過酸化脂質産生をも抑制する
という従来の仮説は正しくないということが判明した。
従って、ジンセノサイドRb1の新たな作用機構の解析
が必要とされることを本実験は明らかにするものであ
る。
【0037】このために、本発明者らは、ジンセノサイ
ドRb1による神経細胞死(アボトーシス)の抑止作用
を判定するための実験を行った。細胞死はその形態学的
特徴よりネクローシスとアポトーシスに大別されてい
る。ただ、神経細胞死に関しては、ネクローシスという
概念は定着しているものの、一方のアポトーシスについ
ては、病的成熟脳で類似の現象は観察されるがリンパ球
にみられるような典型的特徴を示すものが非常に少な
い。従って、本明細書ではネクローシスとは異なり緩徐
に進行する神経細胞の死を“神経細胞のアボトーシス”
あるいは“アボトーシス様神経細胞死”と定義すること
にする。
ドRb1による神経細胞死(アボトーシス)の抑止作用
を判定するための実験を行った。細胞死はその形態学的
特徴よりネクローシスとアポトーシスに大別されてい
る。ただ、神経細胞死に関しては、ネクローシスという
概念は定着しているものの、一方のアポトーシスについ
ては、病的成熟脳で類似の現象は観察されるがリンパ球
にみられるような典型的特徴を示すものが非常に少な
い。従って、本明細書ではネクローシスとは異なり緩徐
に進行する神経細胞の死を“神経細胞のアボトーシス”
あるいは“アボトーシス様神経細胞死”と定義すること
にする。
【0038】本発明者らは、最近培養神経細胞を一酸化
窒素供与体ニトロプルシッドナトリウム(SNP)に短
時間暴露すると神経細胞のアポトーシスが誘導されるこ
とを見出した(Toku K.,et al., J.Neurosci.Res.,53,4
15-425,1998)。この培養実験では典型的なアボトーシ
スの特徴が観察されたので、本実験系を用いてジンセノ
サイドRb1のアポトーシス抑止効果を判定することに
した。胎生17日目ラット大脳皮質神経細胞を無血清培
地中で4日間ないし5日間維持した後、ジンセノサイド
Rb1を含むまたは含まない新鮮な培地に交換し、24
時間培養した。その後、SNPを100μMの濃度で培
地中に10分間添加した。その後、さらにジンセノサイ
ドRb1を含む培養液中で16時間神経細胞を維持し、
細胞生存率を酸化還元色素のアラマーブルーを用いて測
定した。
窒素供与体ニトロプルシッドナトリウム(SNP)に短
時間暴露すると神経細胞のアポトーシスが誘導されるこ
とを見出した(Toku K.,et al., J.Neurosci.Res.,53,4
15-425,1998)。この培養実験では典型的なアボトーシ
スの特徴が観察されたので、本実験系を用いてジンセノ
サイドRb1のアポトーシス抑止効果を判定することに
した。胎生17日目ラット大脳皮質神経細胞を無血清培
地中で4日間ないし5日間維持した後、ジンセノサイド
Rb1を含むまたは含まない新鮮な培地に交換し、24
時間培養した。その後、SNPを100μMの濃度で培
地中に10分間添加した。その後、さらにジンセノサイ
ドRb1を含む培養液中で16時間神経細胞を維持し、
細胞生存率を酸化還元色素のアラマーブルーを用いて測
定した。
【0039】前述の硫酸第一鉄負荷実験ではジンセノサ
イドRb1をあらかじめ培地中に投与しておいてからそ
の結果を判定したが、本実験ではSNP負荷前後および
負荷後にジンセノサイドRb1を培地中に添加し、その
効果をしらべた。結果を図6に示す。図6の右側はSN
P処理を行った場合のものであり、黒く塗りつぶされて
いるものはSNP処理の前後にジンセノサイドRb1が
添加されたものであり、斜線が引かれているものは、S
NP処理後にジンセノサイドRb 1が添加されたもので
ある。図6に示されるごとく、一酸化窒素供用体ニトロ
ブルシッドナトリウム(SNP)の処理がないときに
は、ジンセノサイドRb1は、培養神経細胞の代謝活性
に有意な影響を与えない。SNP処理を行うと、神経細
胞死(アボトーシス)が起こるが、ジンセノサイドRb
1は1−100fg/mlの濃度域でSNP処理前後お
よび処理後に投与した場合でも神経細胞のアボトーシス
を有意に抑止することが判明した。
イドRb1をあらかじめ培地中に投与しておいてからそ
の結果を判定したが、本実験ではSNP負荷前後および
負荷後にジンセノサイドRb1を培地中に添加し、その
効果をしらべた。結果を図6に示す。図6の右側はSN
P処理を行った場合のものであり、黒く塗りつぶされて
いるものはSNP処理の前後にジンセノサイドRb1が
添加されたものであり、斜線が引かれているものは、S
NP処理後にジンセノサイドRb 1が添加されたもので
ある。図6に示されるごとく、一酸化窒素供用体ニトロ
ブルシッドナトリウム(SNP)の処理がないときに
は、ジンセノサイドRb1は、培養神経細胞の代謝活性
に有意な影響を与えない。SNP処理を行うと、神経細
胞死(アボトーシス)が起こるが、ジンセノサイドRb
1は1−100fg/mlの濃度域でSNP処理前後お
よび処理後に投与した場合でも神経細胞のアボトーシス
を有意に抑止することが判明した。
【0040】ジンセノサイドRb1が、細胞外液濃度で
1−100fg/mlという過去に類をみない低濃度で
神経細胞のアポトーシスを抑止することを証明した本実
験結果は、ジンセノサイドRb1を病的なアポトーシス
様神経細胞死の治療に利用しうることを世界に先がけて
実証したものである。
1−100fg/mlという過去に類をみない低濃度で
神経細胞のアポトーシスを抑止することを証明した本実
験結果は、ジンセノサイドRb1を病的なアポトーシス
様神経細胞死の治療に利用しうることを世界に先がけて
実証したものである。
【0041】次に、ジンセノサイドRb1のBcl−x
L発現に対する作用を解析するための実験を行った。B
cl−xL遺伝子は成熟脳、免疫組織、循環系組織を始
めとする多くの組織に発現しており、細胞が生存する上
で重要な役割を果たしていることが証明されている(Ad
ams J.M.and Cory S., Science,281,1322-1326,1998; B
oise,L.H.,etal.,Cell,74,597-608,1993; Gottschalk
A.R.,et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,7350-7354,1
994; Gonzalez-Garcia M.,et al., Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,92,4304-4308,1995)。
L発現に対する作用を解析するための実験を行った。B
cl−xL遺伝子は成熟脳、免疫組織、循環系組織を始
めとする多くの組織に発現しており、細胞が生存する上
で重要な役割を果たしていることが証明されている(Ad
ams J.M.and Cory S., Science,281,1322-1326,1998; B
oise,L.H.,etal.,Cell,74,597-608,1993; Gottschalk
A.R.,et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,7350-7354,1
994; Gonzalez-Garcia M.,et al., Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,92,4304-4308,1995)。
【0042】そこで、本発明のジンセノサイドRb1が
Bcl−xL遺伝子の発現を増加させるかどうかをしら
べた。実験手技は温らの論文(Wen T.-C.,et al., J.Ex
p.Med.,188,635-649,1998)に準じた。0fg/ml、
1fg/ml、及び、100fg/mlのジンセノサイ
ドRb1で、48時間前処理された培養神経細胞から総
RNAを抽出した。DNase処理済の総RNA 3μ
gから、オリゴdTプライマーと逆転写酵素(Moloney
murine leukemia virus reverse transcriptase)を用
いてcDNAを生成した。遺伝子増幅反応(PCR)は
Taqポリメラーゼを用いて以下の条件で行った。すな
わち、(1)94℃、2分間、(2)94℃、1.5分
間;55℃、1.5分間;72℃、2分間を1サイクル
とし、Bcl−xLに関しては25サイクル、β−アク
チンに関しては20サイクル、(3)72℃、2分間で
ある。
Bcl−xL遺伝子の発現を増加させるかどうかをしら
べた。実験手技は温らの論文(Wen T.-C.,et al., J.Ex
p.Med.,188,635-649,1998)に準じた。0fg/ml、
1fg/ml、及び、100fg/mlのジンセノサイ
ドRb1で、48時間前処理された培養神経細胞から総
RNAを抽出した。DNase処理済の総RNA 3μ
gから、オリゴdTプライマーと逆転写酵素(Moloney
murine leukemia virus reverse transcriptase)を用
いてcDNAを生成した。遺伝子増幅反応(PCR)は
Taqポリメラーゼを用いて以下の条件で行った。すな
わち、(1)94℃、2分間、(2)94℃、1.5分
間;55℃、1.5分間;72℃、2分間を1サイクル
とし、Bcl−xLに関しては25サイクル、β−アク
チンに関しては20サイクル、(3)72℃、2分間で
ある。
【0043】PCR産物を、3%アガロースゲルにて泳
動し、エチジュウムブロマイド染色によって可視化し
た。なお、内部標準としてβ−アクチンのmRNAの発
現を用いた。結果を図7に示す。
動し、エチジュウムブロマイド染色によって可視化し
た。なお、内部標準としてβ−アクチンのmRNAの発
現を用いた。結果を図7に示す。
【0044】また、Bcl−xL蛋白質の神経細胞での
発現をジンセノサイドRb1が増強するかどうか調べる
ため、抗Bcl−xL蛋白質抗体を用いてウエスタンプ
ロット法を実施した。ジンセノサイドRb1存在下また
は非存在下で、ラット大脳皮質神経細胞を48時間培養
後、電気泳動用サンプル緩衝液で細胞を溶解し、電気泳
動を実施した。その後泳動物をニトロセルロース膜に転
写しウエスタンプロットを行った。結果を図8に示す。
さらに、抗Bcl−xL蛋白質抗体と反応するバンドを
画像解析装置で定量化した。結果を図9に示す。
発現をジンセノサイドRb1が増強するかどうか調べる
ため、抗Bcl−xL蛋白質抗体を用いてウエスタンプ
ロット法を実施した。ジンセノサイドRb1存在下また
は非存在下で、ラット大脳皮質神経細胞を48時間培養
後、電気泳動用サンプル緩衝液で細胞を溶解し、電気泳
動を実施した。その後泳動物をニトロセルロース膜に転
写しウエスタンプロットを行った。結果を図8に示す。
さらに、抗Bcl−xL蛋白質抗体と反応するバンドを
画像解析装置で定量化した。結果を図9に示す。
【0045】図7に示すごとく、1fg/mlあるいは
100fg/mlのジンセノサイドRb1で処理された
培養神経細胞では、Bcl−xLのmRNAの発現がコ
ントロールに比べて増加していた。一方、ジンセノサイ
ドRb1は神経細胞死抑止効果を発揮する1〜100f
g/mlの濃度域で、神経細胞のBcl−xL蛋白質発
現量を約50%有意に増加せしめた(図8,9)。
100fg/mlのジンセノサイドRb1で処理された
培養神経細胞では、Bcl−xLのmRNAの発現がコ
ントロールに比べて増加していた。一方、ジンセノサイ
ドRb1は神経細胞死抑止効果を発揮する1〜100f
g/mlの濃度域で、神経細胞のBcl−xL蛋白質発
現量を約50%有意に増加せしめた(図8,9)。
【0046】Bcl−xL蛋白質の発現増強を促す生理
活性物質としてこれまで0.6−15.0ng/mlの
濃度域のインターロイキン3が報告されているが(Wen
T.-C.,et al., J.Exp.Med.,188,635-649,1998)、ジン
セノサイドRb1のBcl−xL蛋白質の発現促進作用
は、インターロイキン3よりもはるかに低濃度で発揮さ
れ、しかもBcl−xL蛋白質の発現をわずか10%前
後増加させるインターロイキン3よりもはるかに強力で
あった。また、インターロイキン3は脳室内に直接投与
しなければ神経細胞保護作用を示さないが、ジンセノサ
イドRb1は静脈内投与で脳の神経細胞を保護すること
が前記した静脈投与の実験(実施例1)で証明されてい
るので、ジンセノサイドRb1は末梢投与可能な非べプ
チド性向神経薬物の中で目下の所、世界で唯一のBcl
−xL蛋白質の発現増強剤である。これまで非べプチド
性薬物がべブチド性因子(インターロイキン3)よりも
強力なBcl−xL蛋白質の発現増強を示すことは予想
だにされなかった。ちなみに、Bcl−xLの発現をわ
ずかながらも増強させるべプチド性因子は、本発明者ら
の知るかぎりインターロイキン3だけである。
活性物質としてこれまで0.6−15.0ng/mlの
濃度域のインターロイキン3が報告されているが(Wen
T.-C.,et al., J.Exp.Med.,188,635-649,1998)、ジン
セノサイドRb1のBcl−xL蛋白質の発現促進作用
は、インターロイキン3よりもはるかに低濃度で発揮さ
れ、しかもBcl−xL蛋白質の発現をわずか10%前
後増加させるインターロイキン3よりもはるかに強力で
あった。また、インターロイキン3は脳室内に直接投与
しなければ神経細胞保護作用を示さないが、ジンセノサ
イドRb1は静脈内投与で脳の神経細胞を保護すること
が前記した静脈投与の実験(実施例1)で証明されてい
るので、ジンセノサイドRb1は末梢投与可能な非べプ
チド性向神経薬物の中で目下の所、世界で唯一のBcl
−xL蛋白質の発現増強剤である。これまで非べプチド
性薬物がべブチド性因子(インターロイキン3)よりも
強力なBcl−xL蛋白質の発現増強を示すことは予想
だにされなかった。ちなみに、Bcl−xLの発現をわ
ずかながらも増強させるべプチド性因子は、本発明者ら
の知るかぎりインターロイキン3だけである。
【0047】ミトコンドリア関連蛋白であるBcl−x
LはApaf1と結合することにより、Apaf1とプ
ロカスパーゼ9(procaspase 9)との結合を阻害すると
言われている(Adams J.M.and Cory S.,Science, 281,1
322-1326,1998)。Bcl−xL蛋白の減少あるいは機
能低下が起きると、Apaf1がBcl−xL蛋白から
解離し、ミトコンドリアからのチトクロームCの漏出と
あいまって、プロカスパーゼ9が活性化されると考えら
れている(Adams J.M.and Cory S.,Science, 281,1322-
1326,1998)。ひとたび細胞質内のプロカスパーゼ9が
活性化されると引き続いてカスパーゼ9(caspase 9)
ならびにカスパーゼ3(caspase 3)が活性化され、こ
れらの蛋白分解酵素により細胞は自己融解し死(アポト
ーシス)に至る過程が加速される。おそらく、プロカス
パーゼ9が活性化された段階で、細胞が死に至る運命が
決定される可能性が高いので、Bcl−xL蛋白の発現
増加剤(ジンセノサイドRb1)によりプロカスパーゼ
9の活性化をくい止めることが、細胞死を防ぐための得
策と考えられる。
LはApaf1と結合することにより、Apaf1とプ
ロカスパーゼ9(procaspase 9)との結合を阻害すると
言われている(Adams J.M.and Cory S.,Science, 281,1
322-1326,1998)。Bcl−xL蛋白の減少あるいは機
能低下が起きると、Apaf1がBcl−xL蛋白から
解離し、ミトコンドリアからのチトクロームCの漏出と
あいまって、プロカスパーゼ9が活性化されると考えら
れている(Adams J.M.and Cory S.,Science, 281,1322-
1326,1998)。ひとたび細胞質内のプロカスパーゼ9が
活性化されると引き続いてカスパーゼ9(caspase 9)
ならびにカスパーゼ3(caspase 3)が活性化され、こ
れらの蛋白分解酵素により細胞は自己融解し死(アポト
ーシス)に至る過程が加速される。おそらく、プロカス
パーゼ9が活性化された段階で、細胞が死に至る運命が
決定される可能性が高いので、Bcl−xL蛋白の発現
増加剤(ジンセノサイドRb1)によりプロカスパーゼ
9の活性化をくい止めることが、細胞死を防ぐための得
策と考えられる。
【0048】さらに、ジンセノサイドRb1による脳内
のアポトーシス様神経細胞死の抑止効果を解析するため
に、実際に成熟脳で起こる病的なアポートシス様神経細
胞死がジンセノサイドRb1の投与により軽減されるか
どうかをしらべた。モデル動物としてスナネズミの3分
間前脳虚血モデルを用いた。同動物は、3分虚血負荷後
1週間を経過すると海馬CA1領域錐体神経細胞が約半
数変性脱落することが報告されている(Sakanaka M.,et
al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95,4635-4640,1998)。
しかし、この時点で残った神経細胞でアポトーシス様細
胞死の指標である核の断片化がさらに進行中であること
が、TUNEL染色法により確認されている( Wen T.
-C.,et al., J.Exp.Med.,188,635-649,1998; Peng H.,e
t al., J.Cereb. Blood Flow Metab.,18,349-360,199
8)。そこでこのモデル動物を用いて、3分虚血後7日
目のアポトーシス様神経細胞死がジンセノサイドRb1
の脳室内投与により抑止されるかどうかをTUNEL染
色法を用いて検討した。
のアポトーシス様神経細胞死の抑止効果を解析するため
に、実際に成熟脳で起こる病的なアポートシス様神経細
胞死がジンセノサイドRb1の投与により軽減されるか
どうかをしらべた。モデル動物としてスナネズミの3分
間前脳虚血モデルを用いた。同動物は、3分虚血負荷後
1週間を経過すると海馬CA1領域錐体神経細胞が約半
数変性脱落することが報告されている(Sakanaka M.,et
al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95,4635-4640,1998)。
しかし、この時点で残った神経細胞でアポトーシス様細
胞死の指標である核の断片化がさらに進行中であること
が、TUNEL染色法により確認されている( Wen T.
-C.,et al., J.Exp.Med.,188,635-649,1998; Peng H.,e
t al., J.Cereb. Blood Flow Metab.,18,349-360,199
8)。そこでこのモデル動物を用いて、3分虚血後7日
目のアポトーシス様神経細胞死がジンセノサイドRb1
の脳室内投与により抑止されるかどうかをTUNEL染
色法を用いて検討した。
【0049】吸入麻酔下でスナネズミに3分間の前脳虚
血を負荷した直後に、脳室内へジンセノサイドRb1を
2.5ngまたは25ng単回注入し、その後ジンセノ
サイドRb1(60ng/日または600ng/日)を
ミニ浸透圧ポンプを用いて1週間脳室内へ持続注入し
た。3分虚血後1週間目にスナネズミをペントバルビタ
ール麻酔下で4%パラホルムアルデヒド含有リン酸緩衝
液を用いて経心的に潅流固定し、脳を摘出した。摘出脳
をパラフィンに包埋したのちに、5μmの厚みのパラフ
ィン切片を作成し常法に従って、TUNEL染色を実施
した。対照動物には同量の生理食塩水を投与した。
血を負荷した直後に、脳室内へジンセノサイドRb1を
2.5ngまたは25ng単回注入し、その後ジンセノ
サイドRb1(60ng/日または600ng/日)を
ミニ浸透圧ポンプを用いて1週間脳室内へ持続注入し
た。3分虚血後1週間目にスナネズミをペントバルビタ
ール麻酔下で4%パラホルムアルデヒド含有リン酸緩衝
液を用いて経心的に潅流固定し、脳を摘出した。摘出脳
をパラフィンに包埋したのちに、5μmの厚みのパラフ
ィン切片を作成し常法に従って、TUNEL染色を実施
した。対照動物には同量の生理食塩水を投与した。
【0050】結果を図10に示す。図10の(A)は対
照動物を示し、(B)はジンセノサイドRb1を60n
g/日投与したものを示し、(C)はジンセノサイドR
b1を600ng/日投与したものを示す。図10
(A)に示すごとく、3分間の前脳虚血を負荷されたス
ナネズミの海馬CA1領域では1週間目に多くのTUN
EL陽性神経細胞が出現し、同細胞がアポトーシス様細
胞死の過程にあることがわかった。ジンセノサイドRb
1を3分間前脳虚血を負荷した直後から脳室内へ注入す
ると、60ng/日(図10(B))、600ng/日
(図10(C))と注入用量に依存してTUNEL陽性
神経細胞が有意に減少した(図10(D))。このこと
は、実施例3、4での培養実験結果が成熟脳において
も、あてはまることを示している。なお、ジンセノサイ
ドRb1は脳血流や脳温にはさしたる影響を与えないこ
とがすでに報告されている( Lim J.-H.,et al.,Neuros
ci.Res.,28,191-200,1997; Zhang B.,et al.,J.Stroke
Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1998)。
照動物を示し、(B)はジンセノサイドRb1を60n
g/日投与したものを示し、(C)はジンセノサイドR
b1を600ng/日投与したものを示す。図10
(A)に示すごとく、3分間の前脳虚血を負荷されたス
ナネズミの海馬CA1領域では1週間目に多くのTUN
EL陽性神経細胞が出現し、同細胞がアポトーシス様細
胞死の過程にあることがわかった。ジンセノサイドRb
1を3分間前脳虚血を負荷した直後から脳室内へ注入す
ると、60ng/日(図10(B))、600ng/日
(図10(C))と注入用量に依存してTUNEL陽性
神経細胞が有意に減少した(図10(D))。このこと
は、実施例3、4での培養実験結果が成熟脳において
も、あてはまることを示している。なお、ジンセノサイ
ドRb1は脳血流や脳温にはさしたる影響を与えないこ
とがすでに報告されている( Lim J.-H.,et al.,Neuros
ci.Res.,28,191-200,1997; Zhang B.,et al.,J.Stroke
Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1998)。
【0051】以上の実験結果から、ジンセノサイドRb
1又はその塩を含有してなる静脈内投与用製剤が極めて
低濃度で、脳血管性痴呆、脳梗塞、脳卒中、一過性脳虚
血発作などの脳・神経疾患の治療、予防又は処置に有効
であることが明らかにされた。また、低濃度、細胞外液
濃度が1ng/ml以下、より詳細には1pg/ml以
下、さらには1〜100fg/mlという低濃度のジン
セノサイドRb1又はその塩がアポトーシス又はアポト
ーシス様細胞死を抑止する作用を有することが明らかに
なった。さらには、ジンセノサイドRb1又はその塩が
細胞死抑制遺伝子産物Bcl−xLの発現を促進させる
作用を有することもわかった。一方、本発明で使用され
るジンセノサイドRb1又はその塩は、薬用人参の成分
として知られており、副作用の極めて少ない物質であ
る。
1又はその塩を含有してなる静脈内投与用製剤が極めて
低濃度で、脳血管性痴呆、脳梗塞、脳卒中、一過性脳虚
血発作などの脳・神経疾患の治療、予防又は処置に有効
であることが明らかにされた。また、低濃度、細胞外液
濃度が1ng/ml以下、より詳細には1pg/ml以
下、さらには1〜100fg/mlという低濃度のジン
セノサイドRb1又はその塩がアポトーシス又はアポト
ーシス様細胞死を抑止する作用を有することが明らかに
なった。さらには、ジンセノサイドRb1又はその塩が
細胞死抑制遺伝子産物Bcl−xLの発現を促進させる
作用を有することもわかった。一方、本発明で使用され
るジンセノサイドRb1又はその塩は、薬用人参の成分
として知られており、副作用の極めて少ない物質であ
る。
【0052】したがって、本発明は、臨床上有効な脳・
神経疾患の治療、予防又は処置剤を提供するものであ
る。本発明の脳・神経疾患の治療、予防又は処置剤は、
ジンセノサイドRb1又はその塩の細胞外液濃度が1n
g/ml以下、より詳細には1pg/ml以下、更に詳
細には1〜100fg/mlになるように調製される静
脈内投与用製剤が、特に好ましい。さらに具体的には、
本発明は、ジンセノサイドRb1又はその塩の細胞外液
濃度が1ng/ml以下、より詳細には1pg/ml以
下、更に詳細には1〜100fg/mlになるように調
製される静脈内投与用製剤からなる脳・神経疾患の治
療、予防又は処置剤、及び、脳細胞又は神経細胞保護剤
を提供するものである。
神経疾患の治療、予防又は処置剤を提供するものであ
る。本発明の脳・神経疾患の治療、予防又は処置剤は、
ジンセノサイドRb1又はその塩の細胞外液濃度が1n
g/ml以下、より詳細には1pg/ml以下、更に詳
細には1〜100fg/mlになるように調製される静
脈内投与用製剤が、特に好ましい。さらに具体的には、
本発明は、ジンセノサイドRb1又はその塩の細胞外液
濃度が1ng/ml以下、より詳細には1pg/ml以
下、更に詳細には1〜100fg/mlになるように調
製される静脈内投与用製剤からなる脳・神経疾患の治
療、予防又は処置剤、及び、脳細胞又は神経細胞保護剤
を提供するものである。
【0053】
【実施例】次に、具体的な試験例により本発明を詳細に
説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるもの
ではない。
説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるもの
ではない。
【0054】実施例1(ジンセノサイドRb1静脈内注
入実験) 12〜13週齢の雄性SH−SPラット(体重250〜
300g)を使用した。同動物は12時間ごとの明暗サ
イクル室で飼育し、水ならびに餌は自由摂取とした。同
動物の血圧は203.1±6.9mmHgであり、以下
の実験は愛媛大学医学部附属動物実験施設の動物実験指
針に則ってなされた。吸入麻酔下で直腸温を37±0.
2℃に維持したSH−SPラットの左中大脳動脈皮質枝
(MCA)を凝固・切離した。
入実験) 12〜13週齢の雄性SH−SPラット(体重250〜
300g)を使用した。同動物は12時間ごとの明暗サ
イクル室で飼育し、水ならびに餌は自由摂取とした。同
動物の血圧は203.1±6.9mmHgであり、以下
の実験は愛媛大学医学部附属動物実験施設の動物実験指
針に則ってなされた。吸入麻酔下で直腸温を37±0.
2℃に維持したSH−SPラットの左中大脳動脈皮質枝
(MCA)を凝固・切離した。
【0055】MCA永久閉塞の直後に左大腿静脈からジ
ンセノサイドRb1の生理食塩水溶解液(1μg/μl
または0.1μg/μl)を60μl(ジンセノサイド
Rb 1として60μgまたは6μg)単回注入した。そ
の後、背部皮下に埋めたアルザミニ浸透圧ポンプと連結
するカテーテルを、ジンセノサイドRb1単回注入部位
から左大腿静脈に挿入・留置した。あらかじめ、同ミニ
浸透圧ポンプには、ジンセノサイドRb1の生理食塩水
溶解液を満たしておき、ジンセノサイドRb160μg
/日または6μg/日の用量で左大腿静脈から28日間
持続注入した。なお、ジンセノサイドRb1溶解液の流
量は0.25μl/時であった。MCAを永久閉塞した
対照動物(虚血コントロール動物)と偽手術動物には同
量の生理食塩水のみを投与した。
ンセノサイドRb1の生理食塩水溶解液(1μg/μl
または0.1μg/μl)を60μl(ジンセノサイド
Rb 1として60μgまたは6μg)単回注入した。そ
の後、背部皮下に埋めたアルザミニ浸透圧ポンプと連結
するカテーテルを、ジンセノサイドRb1単回注入部位
から左大腿静脈に挿入・留置した。あらかじめ、同ミニ
浸透圧ポンプには、ジンセノサイドRb1の生理食塩水
溶解液を満たしておき、ジンセノサイドRb160μg
/日または6μg/日の用量で左大腿静脈から28日間
持続注入した。なお、ジンセノサイドRb1溶解液の流
量は0.25μl/時であった。MCAを永久閉塞した
対照動物(虚血コントロール動物)と偽手術動物には同
量の生理食塩水のみを投与した。
【0056】MCA永久閉塞後、常法に従って(Zhang
B.,et al., J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1998)
2週目と4週目にそれぞれ4日間水迷路テストを実施
し、SH−SPラットの場所学習能力を判定した。その
結果を図1に示す。図1の左側は2週目の結果であり、
同右側は4週目の結果である。また、図1中の黒丸印は
偽手術をしたラットのものであり、白丸印は手術後、生
理食塩水のみを投与したものであり、黒四角印はジンセ
ノサイドRb1を6μg/日投与したものであり、白四
角印はジンセノサイドRb1を60μg/日投与したも
のである。データは平均値±標準誤差で示されており、
統計解析法はANOVA+FisherのPLSDによ
っている。なお、SH−SPラットの水泳速度には各群
で有意差はみられなかった。
B.,et al., J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1998)
2週目と4週目にそれぞれ4日間水迷路テストを実施
し、SH−SPラットの場所学習能力を判定した。その
結果を図1に示す。図1の左側は2週目の結果であり、
同右側は4週目の結果である。また、図1中の黒丸印は
偽手術をしたラットのものであり、白丸印は手術後、生
理食塩水のみを投与したものであり、黒四角印はジンセ
ノサイドRb1を6μg/日投与したものであり、白四
角印はジンセノサイドRb1を60μg/日投与したも
のである。データは平均値±標準誤差で示されており、
統計解析法はANOVA+FisherのPLSDによ
っている。なお、SH−SPラットの水泳速度には各群
で有意差はみられなかった。
【0057】4週目の水迷路テスト終了後に、SH−S
Pラットを抱水クロラールにて麻酔し、4%パラホルム
アルデヒドを含有する0.1モルリン酸緩衝液で経心的
に潅流固定した。その後、同動物の脳を摘出し大脳皮質
梗塞巣の写真を撮影した。左大脳半球面積と左大脳皮質
梗塞面積を、写真上で画像解析装置を用いて計測し、左
大脳皮質梗塞面積を左大脳半球面積で除することにより
大脳皮質梗塞比率(%)を算出した。その結果を図2に
示す。データは平均値±標準誤差で示されており、統計
解析法はMann−Whitney Uテストによって
いる。図3Aに生理食塩水投与脳梗塞巣、図3Bにジン
セノサイドRb1(6μg/日)投与脳梗塞巣の実例を
示す。また、図4に本実験結果をまとめた模式図を示
す。生理食塩水投与群では脳梗塞病巣部の大きさが大き
いままであり、水迷路テストにおいては目的のプラット
ホームに到達するまでに時間を要しているのに対して、
本発明のジンセノサイドRb1投与群においては病巣部
が回復、縮小されており、この結果水迷路テストにおい
ては目的のプラットホームに短時間で到達している。
Pラットを抱水クロラールにて麻酔し、4%パラホルム
アルデヒドを含有する0.1モルリン酸緩衝液で経心的
に潅流固定した。その後、同動物の脳を摘出し大脳皮質
梗塞巣の写真を撮影した。左大脳半球面積と左大脳皮質
梗塞面積を、写真上で画像解析装置を用いて計測し、左
大脳皮質梗塞面積を左大脳半球面積で除することにより
大脳皮質梗塞比率(%)を算出した。その結果を図2に
示す。データは平均値±標準誤差で示されており、統計
解析法はMann−Whitney Uテストによって
いる。図3Aに生理食塩水投与脳梗塞巣、図3Bにジン
セノサイドRb1(6μg/日)投与脳梗塞巣の実例を
示す。また、図4に本実験結果をまとめた模式図を示
す。生理食塩水投与群では脳梗塞病巣部の大きさが大き
いままであり、水迷路テストにおいては目的のプラット
ホームに到達するまでに時間を要しているのに対して、
本発明のジンセノサイドRb1投与群においては病巣部
が回復、縮小されており、この結果水迷路テストにおい
ては目的のプラットホームに短時間で到達している。
【0058】実施例2(ジンセノサイドRb1による神
経細胞膜脂質の過酸化防止効果判定実験):胎生17日
目ラット大脳皮質神経細胞を、無血清培養液中で3日間
維持した後、ジンセノサイドRb1を0.1fg/m
l、1fg/ml、10fg/ml、100fg/m
l、及び1000fg/ml含むかまたは含まない(0
fg/ml)新鮮な培養液に交換しさらに、48時間培
養した。その後、硫酸第一鉄とアスコルビン酸を含みジ
ンセノサイドRb1を含まない新鮮な培養液に交換して
2時間維持し、ヒドロキシルラジカルを発生させ神経細
胞膜に酸化傷害を与えた。産生した神経細胞膜過酸化脂
質は、ドデシル硫酸ナトリウムにより細胞を溶かしたの
ち、チオバルビツール酸(TBA)の固定量を吸光度測
定することにより求められた。結果を図5に示す。この
結果、ジンセノサイドRb1による神経細胞膜脂質過酸
化防止効果は100fg/mlの濃度でのみわずかに認
められたが、硫酸第一鉄によるフリーラジカル傷害を軽
減する0.1〜10fg/mlの濃度域では、脂質過酸
化防止効果は認められなかった。
経細胞膜脂質の過酸化防止効果判定実験):胎生17日
目ラット大脳皮質神経細胞を、無血清培養液中で3日間
維持した後、ジンセノサイドRb1を0.1fg/m
l、1fg/ml、10fg/ml、100fg/m
l、及び1000fg/ml含むかまたは含まない(0
fg/ml)新鮮な培養液に交換しさらに、48時間培
養した。その後、硫酸第一鉄とアスコルビン酸を含みジ
ンセノサイドRb1を含まない新鮮な培養液に交換して
2時間維持し、ヒドロキシルラジカルを発生させ神経細
胞膜に酸化傷害を与えた。産生した神経細胞膜過酸化脂
質は、ドデシル硫酸ナトリウムにより細胞を溶かしたの
ち、チオバルビツール酸(TBA)の固定量を吸光度測
定することにより求められた。結果を図5に示す。この
結果、ジンセノサイドRb1による神経細胞膜脂質過酸
化防止効果は100fg/mlの濃度でのみわずかに認
められたが、硫酸第一鉄によるフリーラジカル傷害を軽
減する0.1〜10fg/mlの濃度域では、脂質過酸
化防止効果は認められなかった。
【0059】実施例3(ジンセノサイドRb1による神
経細胞死(アポトーシス)抑止作用判定実験):胎生1
7日目ラット大脳皮質神経細胞を無血清培地中で4日間
ないし5日間維持した後、ジンセノサイドRb1を1f
g/ml、100fg/ml、及び、100pg/ml
含むか、または含まない(0fg/ml)新鮮な培地に
交換し、24時間培養した。その後、一酸化窒素供用体
ニトロブルシッドナトリウム(SNP)を100μMの
濃度で培地中に10分間添加した。その後、さらにジン
セノサイドRb1を含む培養液中で16時間神経細胞を
維持し、細胞生存率を酸化還元色素のアラマーブルーを
用いて測定した。
経細胞死(アポトーシス)抑止作用判定実験):胎生1
7日目ラット大脳皮質神経細胞を無血清培地中で4日間
ないし5日間維持した後、ジンセノサイドRb1を1f
g/ml、100fg/ml、及び、100pg/ml
含むか、または含まない(0fg/ml)新鮮な培地に
交換し、24時間培養した。その後、一酸化窒素供用体
ニトロブルシッドナトリウム(SNP)を100μMの
濃度で培地中に10分間添加した。その後、さらにジン
セノサイドRb1を含む培養液中で16時間神経細胞を
維持し、細胞生存率を酸化還元色素のアラマーブルーを
用いて測定した。
【0060】結果を図6に示す。図6の左側は、SNP
処理のない場合の結果を示し、この結果、ジンセノサイ
ドRb1は神経細胞の活性に大きな影響を与えないこと
がわかる。図6の右側はSNP処理を行った場合のもの
であり、黒く塗りつぶされているものはSNP処理の前
後にジンセノサイドRb1が添加されたものであり、斜
線が引かれているものは、SNP処理後にジンセノサイ
ドRb1が添加されたものである。データは平均値±標
準誤差で示されており、統計解析法はANOVA+Fi
sherのPLSDによっている。アステリスクは、ジ
ンセノサイドRb1が添加されないときに対する有意差
(*はP<0.05を、**はP<0.01)を示す。
処理のない場合の結果を示し、この結果、ジンセノサイ
ドRb1は神経細胞の活性に大きな影響を与えないこと
がわかる。図6の右側はSNP処理を行った場合のもの
であり、黒く塗りつぶされているものはSNP処理の前
後にジンセノサイドRb1が添加されたものであり、斜
線が引かれているものは、SNP処理後にジンセノサイ
ドRb1が添加されたものである。データは平均値±標
準誤差で示されており、統計解析法はANOVA+Fi
sherのPLSDによっている。アステリスクは、ジ
ンセノサイドRb1が添加されないときに対する有意差
(*はP<0.05を、**はP<0.01)を示す。
【0061】図6に示されるごとく、一酸化窒素供与体
ニトロブルシッドナトリウム(SNP)の処理がないと
きには、ジンセノサイドRb1は、培養神経細胞の代謝
活性に有意な影響を与えない。SNP処理を行うと、神
経細胞死(アボトーシス)が起こるが、ジンセノサイド
Rb1は1−100fg/mlの濃度域でSNP処理前
後および処理後に投与した場合でも神経細胞のアボトー
シスを有意に抑止したことがわかる。
ニトロブルシッドナトリウム(SNP)の処理がないと
きには、ジンセノサイドRb1は、培養神経細胞の代謝
活性に有意な影響を与えない。SNP処理を行うと、神
経細胞死(アボトーシス)が起こるが、ジンセノサイド
Rb1は1−100fg/mlの濃度域でSNP処理前
後および処理後に投与した場合でも神経細胞のアボトー
シスを有意に抑止したことがわかる。
【0062】実施例4(ジンセノサイドRb1のBcl
−xL発現作用解析実験):ジンセノサイドRb1がB
cl−xL遺伝子の発現を増加させるかどうかをしらべ
るために、温らの論文(Wen T.-C.,et al., J.Exp.Me
d.,188,635-649,1998)に記載の方法に準じて、0fg
/ml、1fg/ml、及び、100fg/mlのジン
セノサイドRb1で、48時間前処理された培養神経細
胞から総RNAを抽出した。DNase処理済の総RN
A 3μgから、オリゴdTプライマーと逆転写酵素
(Moloney murine leukemia virus reverse transcript
ase)を用いてcDNAを生成した。遺伝子増幅反応
(PCR)によりこれを増幅した。このPCRはTaq
ポリメラーゼを用いて以下の条件で行った。すなわち、
(1)94℃、2分間、(2)94℃、1.5分間;5
5℃、1.5分間;72℃、2分間を1サイクルとし、
Bcl−xLに関しては25サイクル、β−アクチンに
関しては20サイクル、(3)72℃、2分間である。
−xL発現作用解析実験):ジンセノサイドRb1がB
cl−xL遺伝子の発現を増加させるかどうかをしらべ
るために、温らの論文(Wen T.-C.,et al., J.Exp.Me
d.,188,635-649,1998)に記載の方法に準じて、0fg
/ml、1fg/ml、及び、100fg/mlのジン
セノサイドRb1で、48時間前処理された培養神経細
胞から総RNAを抽出した。DNase処理済の総RN
A 3μgから、オリゴdTプライマーと逆転写酵素
(Moloney murine leukemia virus reverse transcript
ase)を用いてcDNAを生成した。遺伝子増幅反応
(PCR)によりこれを増幅した。このPCRはTaq
ポリメラーゼを用いて以下の条件で行った。すなわち、
(1)94℃、2分間、(2)94℃、1.5分間;5
5℃、1.5分間;72℃、2分間を1サイクルとし、
Bcl−xLに関しては25サイクル、β−アクチンに
関しては20サイクル、(3)72℃、2分間である。
【0063】PCR産物を、3%アガロースゲルにて泳
動し、エチジュウムブロマイド染色によって可視化し
た。なお、内部標準としてβ−アクチンのmRNAの発
現を用いた。結果を図7に示す。
動し、エチジュウムブロマイド染色によって可視化し
た。なお、内部標準としてβ−アクチンのmRNAの発
現を用いた。結果を図7に示す。
【0064】また、Bcl−xL蛋白質の神経細胞での
発現をジンセノサイドRb1が増強するかどうか調べる
ため、抗Bcl−xL蛋白質抗体を用いてウエスタンプ
ロット法を実施した。ジンセノサイドRb1存在下また
は非存在下で、ラット大脳皮質神経細胞を48時間培養
後、電気泳動用サンプル緩衝液で細胞を溶解し、電気泳
動を実施した。その後泳動物をニトロセルロース膜に転
写しウエスタンプロットを行った。結果を図8に示す。
さらに、抗Bcl−xL蛋白質抗体と反応するバンドを
画像解析装置で定量化した。結果を図9に示す。統計解
析法はANOVA+FisherのPLSDによってい
る。図中のアスタリスクは、ジンセノサイドRb1が添
加されないときに対する有意差(**はP<0.01)
を示す。
発現をジンセノサイドRb1が増強するかどうか調べる
ため、抗Bcl−xL蛋白質抗体を用いてウエスタンプ
ロット法を実施した。ジンセノサイドRb1存在下また
は非存在下で、ラット大脳皮質神経細胞を48時間培養
後、電気泳動用サンプル緩衝液で細胞を溶解し、電気泳
動を実施した。その後泳動物をニトロセルロース膜に転
写しウエスタンプロットを行った。結果を図8に示す。
さらに、抗Bcl−xL蛋白質抗体と反応するバンドを
画像解析装置で定量化した。結果を図9に示す。統計解
析法はANOVA+FisherのPLSDによってい
る。図中のアスタリスクは、ジンセノサイドRb1が添
加されないときに対する有意差(**はP<0.01)
を示す。
【0065】図7に示すごとく、1fg/mlあるいは
100fg/mlのジンセノサイドRb1で処理された
培養神経細胞では、Bcl−xLのmRNAの発現がコ
ントロールに比べて増加していた。一方、ジンセノサイ
ドRb1は神経細胞死抑止効果を発揮する1〜100f
g/mlの濃度域で、神経細胞のBcl−xL蛋白質発
現量を約50%有意に増加せしめた(図9参照)。
100fg/mlのジンセノサイドRb1で処理された
培養神経細胞では、Bcl−xLのmRNAの発現がコ
ントロールに比べて増加していた。一方、ジンセノサイ
ドRb1は神経細胞死抑止効果を発揮する1〜100f
g/mlの濃度域で、神経細胞のBcl−xL蛋白質発
現量を約50%有意に増加せしめた(図9参照)。
【0066】実施例5(ジンセノサイドRb1による脳
内アポトーシス様神経細胞死抑止効果の解析) 吸入麻酔下でスナネズミに3分間の前脳虚血を負荷した
直後に、脳室内へジンセノサイドRb1を2.5ngま
たは25ng単回注入し、その後ジンセノサイドRb1
(60ng/日または600ng/日)をミニ浸透圧ポ
ンプを用いて1週間脳室内へ持続注入した。3分虚血後
1週間目にスナネズミをペントバルビタール麻酔下で4
%パラホルムアルデヒド含有リン酸緩衝液を用いて経心
的に潅流固定し、脳を摘出した。摘出脳をパラフィンに
包埋したのちに、5μmの厚みのパラフィン切片を作成
し常法に従って、TUNEL染色を実施した。対照動物
には同量の生理食塩水を投与した。結果を図10に示
す。図10(D)の統計解析法はMann−Whitn
eyUテストによっている。図10の(A)は対照象動
物を示し、(B)はジンセノサイドRb1を60ng/
日投与したものを示し、(C)はジンセノサイドRb 1
を600ng/日投与したものを示す。
内アポトーシス様神経細胞死抑止効果の解析) 吸入麻酔下でスナネズミに3分間の前脳虚血を負荷した
直後に、脳室内へジンセノサイドRb1を2.5ngま
たは25ng単回注入し、その後ジンセノサイドRb1
(60ng/日または600ng/日)をミニ浸透圧ポ
ンプを用いて1週間脳室内へ持続注入した。3分虚血後
1週間目にスナネズミをペントバルビタール麻酔下で4
%パラホルムアルデヒド含有リン酸緩衝液を用いて経心
的に潅流固定し、脳を摘出した。摘出脳をパラフィンに
包埋したのちに、5μmの厚みのパラフィン切片を作成
し常法に従って、TUNEL染色を実施した。対照動物
には同量の生理食塩水を投与した。結果を図10に示
す。図10(D)の統計解析法はMann−Whitn
eyUテストによっている。図10の(A)は対照象動
物を示し、(B)はジンセノサイドRb1を60ng/
日投与したものを示し、(C)はジンセノサイドRb 1
を600ng/日投与したものを示す。
【0067】図10(A)に示すごとく、3分間の前脳
虚血を負荷されたスナネズミの海馬CA1領域では1週
間目に多くのTUNEL陽性神経細胞が出現し、同細胞
がアポトーシス様細胞死の過程にあることがわかった。
ジンセノサイドRb1を3分間前脳虚血を負荷した直後
から脳室内へ注入すると、60ng/日(図10
(B))、600ng/日(図10(C))と注入用量
に依存してTUNEL陽性神経細胞が有意に減少した
(図10(D))。このことは、実施例3、4での培養
実験結果が成熟脳においても、あてはまることを示して
いる。なお、ジンセノサイドRb1は脳血流や脳温には
さしたる影響を与えないことがすでに報告されている
( Lim J.-H.,et al.,Neurosci.Res.,28,191-200,1997;
Zhang B.,et al.,J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1
998)。
虚血を負荷されたスナネズミの海馬CA1領域では1週
間目に多くのTUNEL陽性神経細胞が出現し、同細胞
がアポトーシス様細胞死の過程にあることがわかった。
ジンセノサイドRb1を3分間前脳虚血を負荷した直後
から脳室内へ注入すると、60ng/日(図10
(B))、600ng/日(図10(C))と注入用量
に依存してTUNEL陽性神経細胞が有意に減少した
(図10(D))。このことは、実施例3、4での培養
実験結果が成熟脳においても、あてはまることを示して
いる。なお、ジンセノサイドRb1は脳血流や脳温には
さしたる影響を与えないことがすでに報告されている
( Lim J.-H.,et al.,Neurosci.Res.,28,191-200,1997;
Zhang B.,et al.,J.Stroke Cerebrovasc.Dis.,7,1-9,1
998)。
【0068】
【発明の効果】本発明は、低濃度のジンセノサイドRb
1の静脈内投与用製剤からなる極めて有効な、急性期・
慢性期の脳梗塞のみならず脳出血・クモ膜下出血・脳塞
栓の急性期や慢性期あるいは一過性脳虚血発作などに対
する、脳・神経疾患の治療、予防剤、及び、神経保護薬
を提供する。すなわち、ジンセノサイドRb1に関する
本発明は、脳卒中が疑われる患者に対して救急車の中で
も点滴静注が可能な薬物を提供するものである。実際の
急性期脳卒中症例では、発症後2週間以内に病変が進行
することが多いので、この期間だけでも本発明のジンセ
ノサイドRb1を投与すれば充分効果が期待できる。ま
た、ジンセノサイドRb1の実用化により、脳卒中患者
の脳血管再建術・再潅流術への適応も広がる。さらに、
本発明の医薬組成物は、Bcl−xL蛋白質の発現増強
作用を有し、アポトーシス様神経細胞死を伴うその他の
一次性および二次性神経変性疾患(アルツハイマー病、
ピック病、脊髄小脳変性症、パーキンソン病、舞踏病、
筋萎縮性側索硬化症、エイズ脳症、肝性脳症、脳炎、脳
性マヒ、頭部外傷、脊髄損傷、新生児仮死、末梢神経障
害、等)などにも有効であるとされる。また、本発明の
医薬組成物は副作用がほとんど無く、安全性の高い薬物
を提供するものである。本発明は、過去に類を見ない低
濃度でジンセノサイドRb1がBcl−xL蛋白質の増
加を促すことによりアボトーシスあるいはアボトーシス
様細胞死を抑止する作用を有することを見出したもので
あり、このことはジンセノサイドRb1が単に中枢神経
疾患のみならずアポトーシスを伴う末梢組織の疾患(た
とえば、臓器移植後の拒絶反応、心筋・肝臓・腎臓の虚
血再潅流障害、心筋梗塞、末梢動脈閉塞症、末梢循環不
全、褥創、自己免疫病、免疫不全病)にも有効であるこ
とを示唆している。これら末梢組織の疾患に対しては、
神経疾患に使用される用量よりも少ない量のジンセノサ
イドRb1で充分な効果・効能が期待される。
1の静脈内投与用製剤からなる極めて有効な、急性期・
慢性期の脳梗塞のみならず脳出血・クモ膜下出血・脳塞
栓の急性期や慢性期あるいは一過性脳虚血発作などに対
する、脳・神経疾患の治療、予防剤、及び、神経保護薬
を提供する。すなわち、ジンセノサイドRb1に関する
本発明は、脳卒中が疑われる患者に対して救急車の中で
も点滴静注が可能な薬物を提供するものである。実際の
急性期脳卒中症例では、発症後2週間以内に病変が進行
することが多いので、この期間だけでも本発明のジンセ
ノサイドRb1を投与すれば充分効果が期待できる。ま
た、ジンセノサイドRb1の実用化により、脳卒中患者
の脳血管再建術・再潅流術への適応も広がる。さらに、
本発明の医薬組成物は、Bcl−xL蛋白質の発現増強
作用を有し、アポトーシス様神経細胞死を伴うその他の
一次性および二次性神経変性疾患(アルツハイマー病、
ピック病、脊髄小脳変性症、パーキンソン病、舞踏病、
筋萎縮性側索硬化症、エイズ脳症、肝性脳症、脳炎、脳
性マヒ、頭部外傷、脊髄損傷、新生児仮死、末梢神経障
害、等)などにも有効であるとされる。また、本発明の
医薬組成物は副作用がほとんど無く、安全性の高い薬物
を提供するものである。本発明は、過去に類を見ない低
濃度でジンセノサイドRb1がBcl−xL蛋白質の増
加を促すことによりアボトーシスあるいはアボトーシス
様細胞死を抑止する作用を有することを見出したもので
あり、このことはジンセノサイドRb1が単に中枢神経
疾患のみならずアポトーシスを伴う末梢組織の疾患(た
とえば、臓器移植後の拒絶反応、心筋・肝臓・腎臓の虚
血再潅流障害、心筋梗塞、末梢動脈閉塞症、末梢循環不
全、褥創、自己免疫病、免疫不全病)にも有効であるこ
とを示唆している。これら末梢組織の疾患に対しては、
神経疾患に使用される用量よりも少ない量のジンセノサ
イドRb1で充分な効果・効能が期待される。
【図1】図1は、水迷路テストの結果を示す図である。
図1の左側は2週目の結果であり、同右側は4週目の結
果である。また、図1中の黒丸印は偽手術をしたラット
のものであり、白丸印は手術後、生理食塩水のみを投与
したものであり、黒四角印はジンセノサイドRb1を6
μg/日投与したものであり、白四角印はジンセノサイ
ドRb1を60μg/日投与したものである。
図1の左側は2週目の結果であり、同右側は4週目の結
果である。また、図1中の黒丸印は偽手術をしたラット
のものであり、白丸印は手術後、生理食塩水のみを投与
したものであり、黒四角印はジンセノサイドRb1を6
μg/日投与したものであり、白四角印はジンセノサイ
ドRb1を60μg/日投与したものである。
【図2】図2は、大脳皮質梗塞比率を示す図である。
【図3】図3は、大脳皮質梗塞巣の写真である。Aが生
理食塩水投与例BがジンセノサイドRb1投与例であ
る。
理食塩水投与例BがジンセノサイドRb1投与例であ
る。
【図4】図4は、実施例1の結果をまとめた模式図であ
る。
る。
【図5】図5は、ジンセノサイドRb1の膜脂質過酸化
防止効果が非常に弱いことを示す図である。
防止効果が非常に弱いことを示す図である。
【図6】図6は、ジンセノサイドRb1がSNPによる
神経細胞死(アボトーシス)を抑止することを示すグラ
フである。図6の左側は、SNP処理のない場合の結果
を示し、右側はSNP処理を行った場合のものであり、
黒く塗りつぶされているものはSNP処理の前後にジン
セノサイドRb1が添加されたものであり、斜線が引か
れているものは、SNP処理後にジンセノサイドRb1
が添加されたものである。
神経細胞死(アボトーシス)を抑止することを示すグラ
フである。図6の左側は、SNP処理のない場合の結果
を示し、右側はSNP処理を行った場合のものであり、
黒く塗りつぶされているものはSNP処理の前後にジン
セノサイドRb1が添加されたものであり、斜線が引か
れているものは、SNP処理後にジンセノサイドRb1
が添加されたものである。
【図7】図7は、ジンセノサイドRb1によるBcl−
xLのmRNAの発現増強効果を示す、図面に代わる写
真である。
xLのmRNAの発現増強効果を示す、図面に代わる写
真である。
【図8】図8は、ジンセノサイドRb1によるBcl−
xLの蛋白質に対するウエスタンブロッティングの結果
を示す、図面に代わる写真である。
xLの蛋白質に対するウエスタンブロッティングの結果
を示す、図面に代わる写真である。
【図9】図9は、ジンセノサイドRb1によるBcl−
xLの蛋白質に対するウエスタンブロッティングの結果
を定量化したグラフである。
xLの蛋白質に対するウエスタンブロッティングの結果
を定量化したグラフである。
【図10】図10の(A)、(B)及び(C)は、ジン
セノサイドRb1が成熟脳において病的なアポトーシス
様神経細胞死を抑止することを示す、図面に代わる写真
である。図10の(D)は、その結果を定量化したグラ
フである。
セノサイドRb1が成熟脳において病的なアポトーシス
様神経細胞死を抑止することを示す、図面に代わる写真
である。図10の(D)は、その結果を定量化したグラ
フである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/28 A61K 31/00 626N 25/16 626F 37/00 637 // C07J 13/00 C07J 13/00 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 EA19 MA01 MA04 MA17 MA66 NA12 NA14 ZA01 ZA02 ZA15 ZA20 ZA36 ZA75 ZA81 ZB02 ZC55 4C091 AA01 BB01 CC01 DD01 EE06 FF01 GG03 GG05 HH01 JJ03 KK01 LL02 LL09 MM01 NN01 PA02 PA07 PB05 QQ01
Claims (15)
- 【請求項1】ジンセノサイドRb1又はその塩を含有し
てなる細胞死抑制遺伝子産物Bcl−xLの発現を促進
させるための医薬組成物。 - 【請求項2】ジンセノサイドRb1又はその塩を含有し
てなるアポトーシス又はアポトーシス様細胞死抑止用医
薬組成物。 - 【請求項3】ジンセノサイドRb1又はその塩の患部に
おける細胞外液濃度が1ng/ml以下となる請求項1
又は2に記載の医薬組成物。 - 【請求項4】ジンセノサイドRb1又はその塩のその濃
度が1〜100fg/mlである請求項3に記載の医薬
組成物。 - 【請求項5】細胞が、脳細胞又は神経細胞である請求項
2〜4のいずれかに記載の医薬組成物。 - 【請求項6】静脈内投与用製剤である請求項1〜5のい
ずれかに記載の医薬組成物。 - 【請求項7】ジンセノサイドRb1又はその塩を含有し
てなる静脈内投与用製剤。 - 【請求項8】ジンセノサイドRb1又はその塩の濃度が
低濃度である請求項7に記載の静脈内投与用製剤。 - 【請求項9】ジンセノサイドRb1又はその塩の患部に
おける細胞外液濃度が1ng/ml以下となるように調
整されている請求項8に記載の静脈内投与用製剤。 - 【請求項10】ジンセノサイドRb1又はその塩の細胞
外液濃度が1〜100fg/mlである請求項9に記載
の静脈内投与用製剤。 - 【請求項11】脳・神経疾患の治療、予防又は処置のた
めの請求項7〜10のいずれかに記載の静脈内投与用製
剤。 - 【請求項12】脳・神経疾患が、脳血管性痴呆、脳梗
塞、脳卒中又は一過性脳虚皿発作である請求項11に記
載の静脈内投与用製剤。 - 【請求項13】単回静脈内注入用製剤又は静脈内持続投
与用製剤である請求項7〜12のいずれかに記載の静脈
内投与用製剤。 - 【請求項14】請求項7〜13のいずれかに記載の静脈
内投与用製剤からなる脳・神経疾患の治療、予防又は処
置剤。 - 【請求項15】請求項7〜13のいずれかに記載の静脈
内投与用製剤からなる脳細胞又は神経細胞保護剤。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10365560A JP2000191539A (ja) | 1998-12-22 | 1998-12-22 | ジンセノサイドRb1からなる脳細胞又は神経細胞保護剤 |
EP19990919615 EP1142903A4 (en) | 1998-12-22 | 1999-05-17 | BRAIN OR NERVOUS PROTECTIVE ACTIVE SUBSTANCES HAVING GINSENOSIDE RB1 |
KR1020017007448A KR100720970B1 (ko) | 1998-12-22 | 1999-05-17 | 진세노사이드 Rb₁을 함유하는 뇌세포 또는 신경세포보호제 |
PCT/JP1999/002550 WO2000037481A1 (en) | 1998-12-22 | 1999-05-17 | BRAIN CELL OR NERVE CELL-PROTECTIVE AGENTS COMPRISING GINSENOSIDE Rb¿1? |
CN99814933A CN1331698A (zh) | 1998-12-22 | 1999-05-17 | 含有人参皂甙Rb1的脑细胞或神经细胞保护剂 |
TW088118367A TWI248361B (en) | 1998-12-22 | 1999-10-25 | Ginsenoside prepared brain cell and nerve cell protective drug |
US09/887,399 US6579853B2 (en) | 1998-12-22 | 2001-06-22 | Brain cell or nerve cell-protective agents comprising ginsenoside Rb1 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10365560A JP2000191539A (ja) | 1998-12-22 | 1998-12-22 | ジンセノサイドRb1からなる脳細胞又は神経細胞保護剤 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000191539A true JP2000191539A (ja) | 2000-07-11 |
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---|---|---|---|
JP10365560A Pending JP2000191539A (ja) | 1998-12-22 | 1998-12-22 | ジンセノサイドRb1からなる脳細胞又は神経細胞保護剤 |
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JP (1) | JP2000191539A (ja) |
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CN (1) | CN1331698A (ja) |
TW (1) | TWI248361B (ja) |
WO (1) | WO2000037481A1 (ja) |
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KR100665087B1 (ko) | 2004-12-07 | 2007-01-04 | 주식회사 진생사이언스 | 진세노사이드 Rg5 및 Rk1을 함유하는 뇌기능 및인지기능 개선을 위한 조성물 |
JP2018505845A (ja) * | 2014-11-14 | 2018-03-01 | ユナイテッド アラブ エミレーツ ユニバーシティUnited Arab Emirates University | 造影剤用の化合物 |
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EP1295893A4 (en) * | 2000-05-31 | 2005-10-26 | Japan Science & Tech Agency | GINSENOSIDES FOR PROMOTING SKIN WEBERENEGENERATION |
GB0105613D0 (en) * | 2001-03-07 | 2001-04-25 | Univ Cambridge Tech | Pharmaceutically effective compounds and their use |
JP2003225084A (ja) * | 2000-12-28 | 2003-08-12 | Japan Science & Technology Corp | 凍結細胞保存剤 |
JP2002249498A (ja) * | 2001-02-21 | 2002-09-06 | Japan Science & Technology Corp | ジンセノサイド類誘導体からなる抗アポトーシス剤又は再生促進剤 |
JP2002322068A (ja) * | 2001-02-26 | 2002-11-08 | Japan Science & Technology Corp | 血管再生促進剤 |
DE10158281A1 (de) * | 2001-11-19 | 2003-05-28 | Mediwirk Gmbh | Pharmazeutisches Präparat |
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KR100656888B1 (ko) | 2004-06-10 | 2006-12-13 | 건국대학교 산학협력단 | 뇌 선조체 병소 유발물질로부터 뇌 선조체 보호효과를 갖는 진세노사이드 함유 조성물 |
KR100452555B1 (ko) * | 2004-07-15 | 2004-10-13 | 박용진 | 신경세포 보호활성을 갖는 산삼 추출정제액을 함유하는조성물 |
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CN101327235B (zh) * | 2007-06-21 | 2011-08-10 | 天津天士力制药股份有限公司 | 三七皂甙在制备治疗败血症的药物中的应用 |
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WO2013051904A2 (ko) * | 2011-10-07 | 2013-04-11 | 주식회사 지바이오믹스 | 인삼/홍삼추출물 및 진세노사이드에 의한 망막 재생을 통한 눈 기능 저하 및 황반 변성 질환의 예방 및 치료용 조성물 |
KR101449469B1 (ko) * | 2013-05-06 | 2014-10-14 | 농업회사법인 주식회사 지바이오믹스 | 홍삼추출물에 의한 망막 재생을 통한 눈 기능 저하 및 황반 변성 질환의 예방 및 치료용 조성물 |
JP6557354B2 (ja) * | 2015-11-18 | 2019-08-07 | マクセル株式会社 | 照明装置 |
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- 1999-05-17 WO PCT/JP1999/002550 patent/WO2000037481A1/ja active IP Right Grant
- 1999-10-25 TW TW088118367A patent/TWI248361B/zh not_active IP Right Cessation
-
2001
- 2001-06-22 US US09/887,399 patent/US6579853B2/en not_active Expired - Fee Related
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