JP2000190895A - 滑走艇のリバ―ス機構 - Google Patents

滑走艇のリバ―ス機構

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JP2000190895A
JP2000190895A JP10373890A JP37389098A JP2000190895A JP 2000190895 A JP2000190895 A JP 2000190895A JP 10373890 A JP10373890 A JP 10373890A JP 37389098 A JP37389098 A JP 37389098A JP 2000190895 A JP2000190895 A JP 2000190895A
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喜規 積山
Masashi Ikeyama
昌史 池山
Tomohiro Kanazawa
智裕 金澤
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    • B63SHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; RELATED EQUIPMENT
    • B63HMARINE PROPULSION OR STEERING
    • B63H11/00Marine propulsion by water jets
    • B63H11/02Marine propulsion by water jets the propulsive medium being ambient water
    • B63H11/10Marine propulsion by water jets the propulsive medium being ambient water having means for deflecting jet or influencing cross-section thereof
    • B63H11/107Direction control of propulsive fluid
    • B63H11/11Direction control of propulsive fluid with bucket or clamshell-type reversing means

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 滑走性能を保持しつつ、後進効率の高い且つ
サイドスラスターとしても機能する滑走艇のリバース装
置を提供することを目的とする。 【解決手段】 ウォータージェットポンプPの噴出口の
後方に、移動可能にデフレクター1Aを配設して、噴出
口から後方へ噴射される水流の向きを転向させて、船体
を後進させることができるよう構成された滑走艇のリバ
ース装置1であり、デフレクター1Aの両側部に横方向
に開口した吐出口1aを設け、該吐出口1aから水流を
船体AのトランソムTに沿って流れるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、後進機能を奏させ
るための滑走艇のリバース装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ウォ
ータージェットポンプで推進する滑走艇、例えば小型滑
走艇( PersonalWatercaft :「PWC」とも略称され
る)は、船底等に設けられた吸水口から水(海水を含む)
を吸い込み、ウォータージェットポンプで加速して、
船体後方に向けて配設されたウォータージェットポンプ
の噴射ノズルから、左右に揺動自在になったステアリン
グノズルを介して後方に噴射して、任意の方向に前進す
るよう構成されている。
【0003】また、後進時には、上記ステアリングノズ
ルの後方に昇降可能(排除可能)に配置されたデフレク
ターを、該ステアリングノズルの後方位置に位置せしめ
て(下降させて)、該ステアリングから後方へ噴射され
る水流の向きを前方に反転させて、船体を後進させるこ
とができるよう構成されている。
【0004】従来の滑走艇のリバース装置は、実公平5
−13677号(米国特許第4,708,671号)に
記載されているように、リバース状態において下端が船
底より下方に位置可能になり且つ内面が半ボウル状の面
になったデフレクターを具備し、この内面の形状とデフ
レクターの下端の位置によって、後方に噴出する水流を
反転させて船底下方域を前方に噴射するよう構成されて
いる。
【0005】このような構成においてリバース装置を有
効に機能させようとすると、船体後端の底部をやや上方
にえぐった形状として、デフレクターの下端から前方へ
の水流が円滑に噴射されるように配慮することが、必要
になる。
【0006】しかし、一方において、船体後端部の底部
は、滑走艇にとって、前方への通常の航行における滑走
性能を高める上で重要な部位で、この部位は、可能な限
りその前方領域から連続した直線的な底面を形成するこ
とが望ましい。
【0007】本発明は、このような状況の下でおこなわ
れたもので、高い滑走性能を保持しつつ、リバース効率
も高い且つサイドスラスターとしても機能させることが
できる滑走艇のリバース装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる滑走艇の
リバース装置は、ウォータージェットポンプの噴射ノズ
ルの後方に、移動可能にデフレクターを配設して、該噴
射ノズルから後方へ噴射される水流の向きを転向させ
て、船体を後進させることができるよう構成された滑走
艇のリバース装置であって、上記デフレクターの両側部
に横方向に開口した吐出口を設け、該吐出口から水流を
船体のトランソム(Transom)に沿って流れるように構成
したことを特徴とする。
【0009】しかして、このように構成された本発明に
かかる滑走艇のリバース装置によると、船体のトランソ
ム部分に隣接して位置する水が、上記吐出口から噴出さ
れる水流によって、船体のトランソムに沿って船体側方
に移動させられ、その移動によって船体後方(トランソ
ム後方)域に生じる水圧の低下によって、船体を後方に
移動させることができる。つまり、従来のリバース装置
が、積極的に前方に水を噴射して後進しようとするのに
対して、この発明にかかるリバース装置は、船体後方に
位置する水を側方に移動させることによってその部分に
圧力の低い部分を形成して、この負の圧力を利用して船
体を後進させる。
【0010】上記滑走艇のリバース装置において、デフ
レクターの内面が、中央に上下に延びる壁部と、その両
側(該壁部の両側)に後方に噴射される水流を横方向に
偏向させる偏向曲面とを備えていると、リバース状態に
おいて、両側方に円滑に且つ均等に水流を導くことがで
きる点で優れた構成となり、また後述する左右に揺動す
るステアリングノズル等の操舵手段を配置することによ
って、後進における左右への操舵が有効に機能するよう
な構成となる。
【0011】さらに、上記滑走艇のリバース装置におい
て、偏向曲面から横方向を向いた吐出口にかけて、水流
を円滑に該吐出口へ導くためのガイド面がデフレクター
の内面に形成されていると、上記壁部から吐出口に円滑
に水流を導く構成となる。
【0012】また、上記滑走艇のリバース装置におい
て、吐出口が、平面視において、略5〜30度の角度で
もって船体のトランソム側を向くよう形成されている
と、トランソムに沿った水流を形成するのに有効な構成
となる。
【0013】さらに、上記滑走艇のリバース装置におい
て、デフレクターの下端部が、側面視において、部分円
状の形状を有するとともに、上記吐出口をデフレクター
の両側部の中央から下端に至る位置に設けた構成である
と、吐出口が水中に充分に没していることから、該吐出
口から吐出される水流が上方の水によって下方に押圧さ
れた状態で側方(横方向)へ吐出(噴射)するため、吐
出されるエネルギーが水面方に逃げることがなく、有効
にトランソムに沿って流れるような構成となる。
【0014】また、上記滑走艇のリバース装置におい
て、デフレクターの内面に、後進状態において水平に延
びる整流フィンが突設されていると、ステアリングノズ
ルから噴射された水流が上下方向に偏向するのを防止し
吐出口側に円滑に導かれるような構成となる。
【0015】また、上記滑走艇のリバース装置におい
て、ウォータージェットポンプの噴射ノズルと、デフレ
クターとの間に、左右に揺動可能なステアリングノズル
が配設されていると、デフレクターの両側の吐出口から
任意の量の水流を吐出して後進時の操舵が行えるととも
に、このリバース装置をサイドスラスターとしても機能
させることが可能となる。
【0016】また、上記滑走艇のリバース装置におい
て、デフレクターが配置されている滑走艇の後端の両端
部が、平面視において、ラウンド状に構成されている
と、トランソムに沿って側方に流れる水流がトランソム
から船側に沿って船体前方に流れるような水流を積極的
に形成することができ、後進効率の高いリバース装置と
なる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の1の実施例にかか
る滑走艇のリバース装置を、小型滑走艇のリバース装置
として使用した場合を例に挙げ、図面を参照しながら説
明する。
【0018】図1は本発明の実施例にかかるリバース装
置を備えた小型滑走艇の全体側面図、図2は同平面図、
図3は図1に示すリバース装置部分のデフレクターを下
降させた状態での部分拡大側面図、図4は図1に示すリ
バース装置部分のデフレクターを下降させた状態での部
分拡大平面図、図5は図3,図4に示すリバース装置を
船体後方から見た図である。
【0019】図1,図2において、Aは小型滑走艇の船
体で、この船体Aは、ハルHとその上方を覆うデッキD
から構成され、これらハルHとデッキDを全周で接続す
る接続ラインはガンネルラインGと呼ばれ、この実施例
では、このガンネルラインGは、この小型滑走艇の喫水
線Lより上方に位置している。
【0020】そして、上記デッキDの中央よりやや後部
には、図2に図示するように、上面が船体Aの長手方向
に沿った平面視において略長方形の開口部16が形成さ
れ、図1,図2に図示するように、この開口部16上方
に騎乗用のシートSが配置されている。この実施例で
は、上記シートSは、先端が開口部16の前方位置に、
後端が開口部16の後方位置に至る長さを有している。
【0021】また、エンジンEは上記シートS下方のハ
ルHとデッキDに囲まれた横断面形状が「凸」状の空間
(「機関スペース」という)20内に配置される。
【0022】このエンジンEは、多気筒(この実施例で
は3気筒)のエンジンEで、図1に図示するように、ク
ランクシャフト10bが船体Aの長手方向に沿うような
向きで搭載されており、図2に図示するように、このエ
ンジン本体10の左方(小型滑走艇の左舷方)に気化器
11とそれに接続された空気取入室(図示せず)を備
え、また、図1,図2に図示するように、上方には集合
式の排気管13Aが配置されている。また、この排気管
13Aは、エンジン本体10の左斜め後方に配置された
消音器(水マフラー)14に接続されている。消音器1
4から、終端が船体Aの後端部外方に至る排気管13B
が、ウォータージェットポンプPを避けるように上方に
屈曲して設けられている。また、図1に図示するよう
に、エンジン本体10の後方に突出している上記クラン
クシャフト10bの出力端は、図1,図4に図示するよ
うに、プロペラ軸15を介して、ウォータージェットポ
ンプPのインペラ41の先端側に一体的に回転可能に連
結されている。また、このインペラ41の後端側は、ウ
ォータージェットポンプPのポンプ回転軸41Sに一体
的に回転可能に連結されている。そして、このインペラ
41は、その外周方が、ポンプケーシング41Cで覆わ
れ、小型滑走艇の底面に設けられた吸水口17から取り
入れた水を吸水通路を介して取り込みウォータージェッ
トポンプPで加圧・加速して、該ウォータージェットポ
ンプPの、後方にゆくに従って通水断面積が小さくなっ
た噴射ノズル31を通って、その後端の噴射口から噴射
して、推進力を得るよう構成されている。また、図1,
図2おいて、21は操舵用のハンドルで、このハンドル
21を左右に操作することによって、上記噴射ノズル3
1後方のステアリングノズル18を左右に揺動させて所
望の方向に操舵できるよう構成されている。また、上記
ステアリングノズル18の上位後方部位には、水平に配
置された揺動軸1m(図3参照)を中心に下方に揺動可
能に、リバース装置1のデフレクター1A(図1参照)
が船体Aに取着金具1D(図3参照)を介して取着さ
れ、図示しない操縦席近傍の後進操作レバーを操作し
て、このデフレクター1Aをステアリングノズル18後
方の位置へ揺動動作させることによって、ステアリング
ノズル18から後方に噴射される水流を側方(横方向)
に転向させて、後進できるよう構成されている。また、
本実施例にかかるリバース装置1の場合、デフレクター
1Aが上記揺動軸1m(図3参照)を中心に上方に揺動
(上昇)した状態においては、図1に図示する如く、該
デフレクター1Aが水面上に位置する。一方、下方に揺
動(下降)した状態においては、図3,図5あるいは図
10に図示するように、該デフレクター1Aの下端が船
底よりやや上方の位置に位置するよう構成されている。
【0023】また、図1,図2において、12は後部デ
ッキで、この後部デッキ12には、開閉式のハッチカバ
ー29が設けられ、ハッチカバー29の下方に小容量の
収納ボックスが形成されている。また、図1において、
22は上記エンジンEに燃料を供給する燃料タンク、2
3は前部ハッチカバーで、このハッチカバー23の下方
には備品等を収納するボックス(図示せず)が設けられ
ている。また、この前部ハッチカバー23の上方には、
別のハッチカバー25が配置されて、二層式のハッチカ
バーが形成され、上記ハッチカバー25には、後端面に
設けられた開口(図示せず)からその内部にライフジャ
ケット等を収納することができるようになっている。
【0024】また、図2において、26は点火プラグ1
0dに適宜タイミングで高圧電気を供給する点火装置、
27は混合用のオイルタンク、28はバッテリーであ
る。
【0025】ところで、本発明の実施例にかかる上記リ
バース装置1は、以下のように構成されている。つま
り、リバース装置1を構成するデフレクター1Aは、図
3,図8に拡大して図示するように、側面視において略
半ボウル状(アメリカンフットボールのヘルメット状)
の形状を有する。換言すると、側面視において、デフレ
クター1Aの後側の下半部1tは部分円状の形状を有す
る。そして、側面視において、上記デフレクター1Aの
部分円状になった下半部1tに吐出口1aが、該デフレ
クター1Aの左右側方(左右横方向)に形成され、図4
に図示するように、この吐出口1aは、船体Aのトラン
ソムTに略平行に開口方向がなるよう構成されている。
この実施例では、平面視において、トランソムTが船体
の中心線CLに直交する線(船体の長手方向に直交する
仮想の線:図示せず)に対して、両端に向かって左右そ
れぞれ前方に略5〜8度程度傾斜しており、上記吐出口
1aも略10〜13度程度前方を向くよう角度をもって
形成されている。つまり、この実施例では、平面視にお
いて、この吐出口1aは略5度程度の角度をもって船体
のトラソムT側を向くよう構成されている。しかし、こ
の角度は、トランソムTに対して、実質上0度であって
も基本的効果を奏することができ、また、45程度の角
度であってもよいが、5〜30度程度の角度が好まし
い。
【0026】また、この吐出口1aは、図4,図5に図
示するように、このデフレクター1Aの両端の最も張り
出した位置になるように設けられている。
【0027】また、このデフレクター1Aは、底面視で
ある図4、船体Aの背面視である図5に図示するよう
に、船体Aの横方向に長く延びた形状を有し、船体Aの
中心線CLに一致するそのデフレクター1Aの内面1i
の中央には、上下に壁部1bが形成されている。この壁
部1bの高さ、つまり、船体A側への突出寸法は、上記
ステアリングノズル18の左右への揺動に邪魔にならな
い程度において、出来るだけ該ステアリングノズル18
の後端に近接する寸法に設定され、また、壁部1bは、
その先端側で尖り、該壁部1bの両側の側面を利用し
て、後方に噴射される水を側方(横方向)に偏向させる
偏向曲面1cが形成されている。この偏向曲面1cは、
平面図である図6あるいは上下各部位の形状を示す図9
に図示するように、上記壁部1bの先端の尖った箇所か
ら、基端側に徐々に拡がった形状を有し、且つ該偏向曲
面1cにガイド面1dが連接されることにより、図6の
Zで示す矢印方向から噴射される水を、それぞれ両側に
分流し、吐出口1aへ円滑に導くよう構成されている。
また、図9(a)〜(c)に図示するように、デフレク
ター1Aの上位から下位の部位に行くにしたがって、上
記偏向曲面1cの曲率半径がやや小さくなり、且つ上位
から下位の部位に行くにしたがって偏向曲線1cが船体
Aの前方側に位置するようになり、ウォータージェット
ポンプPから噴射される水流を効率的に吐出口1aに導
くことができるよう構成されている。また、図9,図1
0に図示するように、デフレクター1Aの内面1iの壁
部1bから吐出口1aにかけて水平に延びる整流フィン
1h,1kが、上下に2段に形成され、ステアリングノ
ズル18から噴射された水流が上下方向に偏向するのを
極力防止して、積極的に側方(吐出口1a側)へ偏向す
るように構成されている。
【0028】また、図4,図9に図示するように、上記
吐出口1aの後縁1eは前縁1fに比べて側方(横方
向)に張り出すとともに、この前縁1fの内面は、水流
を船体AのトランソムT側に円滑に導くことができるよ
うに、ラウンド状の曲面に形成されている。また、図
3,図5に図示するように、このデフレクター1Aの外
表面には、補強と後進時の整流作用のために、後進状態
において水平にフィン1nが形成されている。
【0029】また、図10に図示するように、デフレク
ター1Aは船体A側に取着された状態において、上記ス
テアリングノズル18から噴射された水流が側方に効率
良く偏向するよう、デフレクター1Aに対するステアリ
ングノズル18の上下方向の相対的位置が設定されてい
る。つまり、この実施例の場合、図10に図示するよう
に、ステアリングノズル18とデフレクター1Aのそれ
ぞれの上下方向の中心線O18,OA が略一致するように
構成されている。
【0030】また、本リバース装置1の場合、図4に矢
印U1,U2,U3 に図示するように、上記吐出口1aから
吐出(噴射)した水流が、船体AのトランソムTに沿っ
て側方に流れ、さらに船体Aの側面に沿って、前方に流
れるように、船体Aの後端の両端部が、平面視におい
て、従来と比べて大きなラウンド状に形成されている。
【0031】しかして、このように構成された本リバー
ス装置1は、以下のように作用する。即ち、滑走艇を後
進させる場合には、図示しない後進操作レバーをリバー
スモード側に操作すると、リバース装置1のデフレクタ
ー1Aが揺動軸1mを中心に、下方に揺動して、図10
に図示する状態になる。
【0032】この状態において、ウォータージェットポ
ンプPを稼働させると、船底の上記吸入口17から吸い
込まれた水は、ウォータージェットポンプPの噴射ノズ
ル31から、その後方のステアリングノズル18を経て
後方へ噴射される。この噴射された水流は、図4に図示
するように、該ステアリングノズル18後方のデフレク
ター1Aの内面1iに当接して上記偏向曲面1c,ガイ
ド面1d、整流フィン1h,1k等によって、側方に円
滑に且つ効率高く偏向され、デフレクター1A側方の上
記吐出口1aから噴射される。このように噴射された水
は、図4に図示するように、船体AのトランソムTに沿
って側方に流れ、さらに船体Aの側面に沿って船体Aの
前方に流れる。このため、トランソムT後方は圧力が低
くなり、その結果、船体Aが後方に移動する。また、上
記船体Aの後方への移動は、上記船体A側面の前方への
水流の反動によっても促進され、より効率良く後進させ
ることができる。
【0033】また、上述のような後進状態において、ハ
ンドル21を操作してステアリングノズル18を中央か
ら例えば右方(図4の矢印Lの方向参照)に方向を変更
すると、上記デフレクター1Aの内面1iの壁部1bに
よって、ステアリングノズル18から噴射される水流
は、その操舵程度に応じて、その方向側により多くの量
が流れ、小型滑走艇は操舵程度に応じて後進状態におい
て方向を変更することができる。そして、仮に、右ある
いは左に限度一杯に操舵すると、ステアリングノズル1
8からの水流がデフレクター1Aの壁部1bの右あるい
は左側の部分にのみ当接することになり、ステアリング
ノズル18から噴射された水流は、一方の吐出口1aか
らのみ噴射されることになる。この場合には、このリバ
ース装置1は、比較的大型の船舶に多用されているサイ
ドスラスターとしての機能も奏する。つまり、船体A
は、船尾のみが右あるいは左側に横方向に移動すること
になる。従って、接岸等をおこなうことができることに
なる。
【0034】また、図3に図示するように、上記吐出口
1aの下方に該吐出口1aに沿うよう板状の部材30を
配置するができるから、滑走面をより確保でき、この結
果、滑走性能をより向上させることが可能となる。
【0035】また、この実施例にかかる小型滑走艇の場
合、上述のように、後進時にウォータージェットポンプ
Pからの水流を船底側に流す必要がないことから、船底
の後端は、リバース装置1のために、上方にえぐった形
状とすることが不要となり、図5,図10に図示するよ
うに、前方から連続した直線状に構成することが可能と
なる。
【0036】このため、通常の前方への航行時には、船
底の後端が滑走面として機能して、良好な滑走性能を得
ることができる。
【0037】また、この実施例では、小型滑走艇を例に
挙げて説明しているが、このリバース装置は、より大型
の滑走艇にも適用できることは言うまでもない。
【0038】なお、上記実施例では、デフレクターが揺
動軸を中心に揺動して、ステアリングノズルの後方に位
置するよう構成しているが、他の構成、例えば、上下に
直線動作してステアリングノズルの後方に位置するよう
構成してもよいことは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、滑走性能を保持しつ
つ、後進効率の高いリバース装置を提供することができ
る。また、デフレクターの前方に左右に揺動するステア
リングノズルを配置すれば、サイドスラスターとしても
機能させることができるリバース装置を容易に提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例にかかるリバース装置を備え
た小型滑走艇の全体側面図である。
【図2】 図1に示す小型滑走艇の全体平面図である。
【図3】 図1,図2に示す小型滑走艇の船尾部分とデ
フレクターを下降した状態でのリバース装置の側面構成
を表す部分拡大側面図である。
【図4】 図1,図2に示す小型滑走艇の船尾部分のデ
フレクターを下降した状態でのリバース装置とウォータ
ージェットポンプの構成およびトランソムの底面(平
面)形状を表すため、該当する部分の船底を取り除いて
リバース装置とウォータージェットポンプの一部を断面
した部分拡大底面図である。
【図5】 図1,図2に示す小型滑走艇の船尾部分のデ
フレクターを下降した状態でのリバース装置を具備した
小型滑走艇の拡大背面図である。
【図6】 図1〜5に示すデフレクターの平面構成を示
す拡大した平面図である。
【図7】 図1〜5に示すデフレクターの背面構成を示
す拡大した背面図である。
【図8】 図1〜5に示すデフレクターの側面構成を示
す拡大した側面図である。
【図9】 デフレクターの各部位での断面形状を示す図
で、(a)は図8のI−I矢視断面図、(b)は同II-I
I 矢視断面図、(c)は同 III-III矢視断面図である。
【図10】 図5に示すデフレクターの背面構成を示す
拡大した背面図である。
【符号の説明】
1……リバース装置 1A……デフレクター 1a……吐出口 A……滑走艇の船体 T……トランソム P……ウォータージェットポンプ
フロントページの続き (72)発明者 金澤 智裕 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 中川 賢一 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウォータージェットポンプの噴射ノズル
    の後方に、移動可能にデフレクターを配設して、該噴射
    ノズルから後方へ噴射される水流の向きを転向させて、
    船体を後進させることができるよう構成された滑走艇の
    リバース装置であって、 上記デフレクターの両側部に横方向に開口した吐出口を
    設け、該吐出口から水流を船体のトランソムに沿って流
    れるように構成したことを特徴とする滑走艇のリバース
    装置。
  2. 【請求項2】 前記デフレクターの内面が、中央に上下
    に延びる壁部と、その両側に後方に噴射される水流を横
    方向に偏向させる偏向曲面とを備えていることを特徴と
    する請求項1記載の滑走艇のリバース装置。
  3. 【請求項3】 前記偏向曲面から横方向を向いた吐出口
    にかけて、水流を円滑に該吐出口へ導くためのガイド面
    がデフレクターの内面に形成されていることを特徴とす
    る請求項2記載の滑走艇のリバース装置。
  4. 【請求項4】 前記吐出口が、平面視において、略5〜
    30度の角度でもって船体のトランソム側を向くよう形
    成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1の項記載の滑走艇のリバース装置。
  5. 【請求項5】 前記デフレクターの下端部が、側面視に
    おいて、部分円状の形状を有するとともに、上記吐出口
    をデフレクターの両側部の中央から下端に至る位置に設
    けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の項記
    載の滑走艇のリバース装置。
  6. 【請求項6】 前記デフレクターの内面に、後進状態に
    おいて水平に延びる整流フィンが突設されて、前記ステ
    アリングノズルから噴射された水流が上下方向に偏向す
    るのを防止し吐出口側に円滑に導かれるよう構成されて
    いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の項記
    載の滑走艇のリバース装置。
  7. 【請求項7】 前記ウォータージェットポンプの噴射ノ
    ズルと、デフレクターとの間に、左右に揺動可能なステ
    アリングノズルが配設されていることを特徴とする請求
    項1〜6のいずれか1の項記載の滑走艇のリバース装
    置。
  8. 【請求項8】 前記デフレクターが配置されている滑走
    艇の後端の両端部が、平面視において、ラウンド状に構
    成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    1の項記載の滑走艇のリバース装置。
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