JP2000180840A - Ito透明導電膜付き基板とその製造方法 - Google Patents

Ito透明導電膜付き基板とその製造方法

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JP2000180840A JP10358854A JP35885498A JP2000180840A JP 2000180840 A JP2000180840 A JP 2000180840A JP 10358854 A JP10358854 A JP 10358854A JP 35885498 A JP35885498 A JP 35885498A JP 2000180840 A JP2000180840 A JP 2000180840A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機樹脂に着色剤を含有させたカラーフィルタ
ー上あるいはカラーフィルタの表面に設けられ有機樹脂
保護膜上に、二酸化珪素の膜を介してITO透明導電膜
を被覆したものが、カラー液晶表示素子に用いられてい
る。しかし、ITO透明導電膜と有機樹脂との密着力が
弱いのでITO透明導電膜の酸のエッチングによる微細
電極加工が安定してできないという課題があった。ま
た、これにより耐アルカリ性が十分でない課題があっ
た。 【解決手段】ガラス基板上に、着色剤を含有する有機樹
脂のカラーフィルタ、酸窒化シリコン膜、ITO透明導
電膜をこの順に設ける。酸窒化シリコン膜を有機樹脂上
に窒素を含有するプラズマを用いたスパッタリングによ
り成膜し、このとき、有機樹脂表面の一部または全部を
成膜と同時に窒化して、酸窒化シリコン膜と有機樹脂と
の密着力を大きくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー液晶表示素
子などのカラー表示に好適に用いられるITO透明導電
膜付き基板、その製造方法およびそれを用いた液晶表示
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、透明導電膜付き基板をカラー液晶
表示素子に用いるために、カラーフィルター及びその保
護膜上にマグネトロンスパッタ法によりITO(酸含有
酸化インジウム)透明導電膜が成膜されることが一般的
に行われている。今日、高精細の液晶表示素子、とりわ
けカラー液晶表示素子に用いられるITO透明導電膜に
は、より一層の低抵抗が求められている。しかしなが
ら、マグネトロンスパッタ法で低抵抗のITO透明導電
膜を成膜しようとすると、膜厚を厚くする必要があるた
め、膜の全圧縮応力値が非常に高くなるという問題点が
あった。
【0003】透明導電膜の全圧縮応力が高いと、液晶表
示素子の透明電極として用いた場合、その製造工程中、
特にウェットエッチング工程によるITO透明導電膜の
微細電極加工で圧縮応力の解放によるITO透明導電膜
のわれやひびが生じる。とりわけカラー表示等に用いら
れる有機樹脂成分を含むカラーフィルタ上に形成された
低抵抗のITO多結晶の透明導電膜は、上記の問題点を
解決することが課題となっていた。
【0004】従来、密着性及び耐薬品性の向上の目的
で、カラーフィルターとITO透明導電膜との間(カラ
ーフィルタ上にカラーフィルタ画素間の凹凸を平坦化す
るための有機樹脂膜を設けるときは、その有機樹脂膜と
ITO透明導電膜との間)に、高周波スパッタ法により
両者の密着を改善するために、SiO2膜を成膜するこ
とが一般的に行われている。しかし、この方法で得られ
るITO透明導電膜は、要求される特性、特に耐薬品性
の性能が充分でない課題があった。$
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
技術が有していた前述の問題点を解決するものであり、
より高い耐薬品性とりわけ耐アルカリ性と、密着性を兼
ね備えたITO透明導電膜付き基板を提供するものであ
る。
【課題を解決するための手段】本発明のITO透明導電
膜付き基板は、透明基板上に、着色剤を含有する有機樹
脂からなるカラーフィルタ、金属酸窒化物膜、ITO透
明導電膜がこの順に設けられた透明導電膜付き基板であ
って、前記有機樹脂の表面および表面近傍が、窒化され
ていることを特徴とする。
【0005】本発明者等は、有機樹脂上に成膜されたI
TO透明導電膜の耐薬品性を決定する因子を鋭意研究し
た結果、有機樹脂とITO透明導電膜の間に金属酸窒化
物の膜を介在させると同時に、有機樹脂表面の表面ある
いは表面近傍を窒化させることにより、より高い耐薬品
性と密着性が得られることを見い出した。
【0006】有機樹脂表面または表面近傍の窒化は、表
面全面にわたって層状に形成されていてもよく、また部
分的に形成されていてもよい。本発明の窒化は、X線光
電子分光法(以下XPS法と略す)により、窒素ー炭素
結合に起因するエネルギーに相当する位置にピークが生
じていることで確認される。
【0007】本発明の有機樹脂中の窒化は、有機樹脂表
面を窒素を含むプラズマに曝すことにより効果的に行う
ことができる。
【0008】本発明の金属酸窒化物の金属は、シリコ
ン、アルミニウム、チタニウム、タンタル、ジルコニウ
ムからなる金属群から選ばれた少なくとも1種とするの
が好ましい。これらの金属酸窒化物膜はITO透明導電
膜との密着性がよく、また全面的にまたは部分的に窒化
された有機樹脂表面との密着性がよい。またこれらの金
属酸窒化物膜は可視光線に対して透明であるため、液晶
表示素子に用いた際に透過率の低下が生じない。上記金
属酸窒化物のうち、シリコンの酸窒化物が本発明の目的
を達成するのに最も好ましい。
【0009】本発明のITO透明導電膜の製造方法は、
透明基板上に設けられた着色剤を含有する有機樹脂のカ
ラーフィルタの上に、金属酸窒化物膜、ITO透明導電
膜を順次被覆する透明導電膜付き基板の製造方法であっ
て、金属酸窒化物を金属または金属酸化物をターゲット
とし、減圧した窒素を含有するプラズマを用いる高周波
マグネトロンスパッタリングで成膜し、同時にプラズマ
中の窒素を前記有機樹脂に注入させて有機樹脂表面を窒
化することを特徴とする。
【0010】本発明のITO透明導電膜の製造方法にお
いては、金属酸窒化物膜は、高周波マグネトロンスパッ
タ法により成膜される。そして有機樹脂表面の窒化は、
金属酸窒化物膜を高周波マグネトロンスパッタ法(以下
RFスパッタと略す)で成膜する際に、金属酸窒化物膜
の成膜と同時に行う。また、本発明の窒化は、減圧した
雰囲気中のイオンソースを用いた成膜法や高周波イオン
プレーティング法なども用いることができる。しかし、
とりわけ大面積の基板への成膜に適していること、およ
び窒化に十分なプラズマ密度を有するという観点から、
RFスパッタ法が好ましい。
【0011】本発明の金属酸窒化膜としては、シリコ
ン、アルミニウム、チタニウム、タンタル、ジルコニウ
ムの酸窒化物が好ましいものとして例示できる。とりわ
け、ITO透明導電膜付き基板に要求される良好な耐薬
品性ならびに高い透明性を得る観点から、シリコンの酸
窒化物膜が好ましい。これら金属酸窒化物膜は、金属タ
ーゲットの酸素ガスと窒素ガスを含むスパッタガスを用
いる反応性スパッタや、金属酸化物ターゲットの窒素を
含むスパッタガスを用いる反応性スパッタで成膜するこ
とが、成膜と有機樹脂表面の窒化とを同時に行える。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例の断面
図である。本発明のITO透明導電膜付き基板1は、透
明基板であるガラス板2の上にカラーフィルタ3、酸窒
化シリコン膜4、ITO透明導電膜5が順次設けられて
いる。
【0013】カラーフィルタ3は、ガラス板2上に設け
られた顔料と染料からなる着色剤が含有された有機樹脂
膜からなるカラーフィルタ画素3aと、画素と画素との
境界で生じた凹凸を平坦化するための有機樹脂膜3bと
からなり、有機樹脂膜3bの表面には窒素が注入されて
形成された窒化された領域3cが部分的または全面にあ
る。この窒化された領域3cにより有機樹脂膜3bと酸
窒化シリコン膜4は強固に密着する。
【0014】本発明の透明基板は、通常ガラス基板が用
いられる。ガラス組成は特に限定されない。またプラス
チック基板であってもよい。
【0015】本発明のカラーフィルタは、公知のアクリ
ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やこれらを変性
した樹脂等に顔料や染料の両者またはどちらかを着色成
分として混入したものを用いることができる。本発明の
カラーフィルタは、R、G、Bの3原色の画素の配列体
の画素間に生じる凹凸を減じるために、その上に設けら
れるアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やこ
れらの変性した樹脂等の有機樹脂の表面平坦化膜を有し
ていてもよい。
【0016】本発明の金属酸窒化物膜を、その金属をタ
ーゲットとするRFスパッタで成膜する場合は、スパッ
タ時の成膜室への導入ガスの組成は、導入ガス全量に対
して、窒素は70体積%以上、酸素は2体積%以下とす
るのが好ましい。窒素の導入量がこれより少ないと、透
明基板表面が効果的に窒化されない。また酸素の導入量
がこれより多いと、窒化の効果が低下する。また、ター
ゲットとして酸化物ターゲットを用いる場合、導入ガス
に酸素を用いることなくターゲットからスパッタされる
酸素原子によって膜が酸化される。
【0017】金属酸窒化物膜の厚みは3nm以上とする
のが好ましい。3nm未満であると、密着性を保つのが
困難となるからである。また、50nm以下とするのが
好ましい。50nmを越えると、金属酸窒化物膜が有す
る全圧縮応力によって、その上に成膜されるITO透明
導電膜に亀裂が入る可能性が生じるからである。
【0018】ITO透明導電膜に替えて、酸化錫、酸化
亜鉛、酸化亜鉛含有酸化インジウム、金、銀、銅、なら
びにそれらを主成分とした合金と前記の透明酸化物との
積層膜としてもよい。
【0019】実施例 以下に本発明を実施例および比較例で詳細に説明する。
実施例および比較例に共通する事項は下記の通りであ
る。 ・サンプルの作製 1)用いたカラーフィルタ:アルカリ溶出防止シリカ膜
が被覆されたソーダ石灰シリカ系のフロートガラス板上
に、カラー液晶表示用のR、G、Bカラーフィルタ画素
およびその画素表面に画素の凹凸を平坦化するためのア
クリル樹脂膜(耐熱温度が約220℃)が約2μmの厚
みで形成されたもの。あらかじめ、XPS法により、そ
のアクリル樹脂の構成元素を測定したところ、アクリル
樹脂には炭素と酸素のみが主成分として検出され、窒素
は検出されなかった。 2)ITO透明導電膜と金属酸窒化物膜の成膜時のカラ
ーフィルタ温度:200℃ 3)ITO透明導電膜の成膜:酸化インジウム90重量
%酸化錫10重量%の燒結体をターゲットとする直流マ
グネトロンスパッタ法による。ITO面抵抗が4.5Ω
/□(約400nmの厚み)になるように調整した。 ・サンプルの評価 1)耐薬品性試験:45℃で5重量%水酸化ナトリウム
水溶液中に10分間揺動後、ITO透明導電膜表面に膜
割れ、膜剥離の発生状況を光学顕微鏡で観察した。 2)密着性試験:ITO透明導電膜の電極パターニング
によりストライプ形状の電極形成を行った後、この電極
の端部において膜浮き、膜剥離の発生状況を光学顕微鏡
で観察した。 3)XPS法測定条件:MgKα線(強度300W)
【0020】実施例1 カラーフィルタ付き基板を真空成膜装置の成膜室に導入
し、一旦0.0027Pa以下の圧力になるまで排気し
加熱した。その後全圧を0.5Paとなるように窒素な
らびに酸素(窒素の流量に対して0.5体積%)を導入
し、ターゲットとして金属シリコンを用いたRFスパッ
タによって酸窒化シリコン膜(以下SiON膜と略記す
る(化学量論量を示すものでない))を10nm成膜し
た。その後、大気に曝すことなく直ちに、ITO透明導
電膜を400nm成膜した。
【0021】得られたITO透明導電膜付き基板につい
て、臭化水素酸水溶液およびフッ化水素酸水溶液によっ
て、表面に成膜されたITO透明導電膜およびSiON
膜をそれぞれ除去し、XPS法により有機樹脂表面を分
析した。その結果、表面からは窒素の光電子スペクトル
が図2に示すようにN1sスペクトルが検出され、その
スペクトルは炭素−窒素結合に規定された。すなわち、
有機樹脂の表面がSiON膜の成膜過程で窒化されてい
ることが分かった。また、このITO透明導電膜付き基
板について、耐薬品性試験ならびに密着性試験を行った
ところ、どちらの試験においても膜割れ、膜浮きは全く
観察されなかった。結果を表1にまとめて示した。
【0022】実施例2 カラーフィルタ付き基板を成膜室に導入し、一旦0.0
027Pa以下の圧力になるまで排気し加熱した。その
後全圧を0.4Paとなるように窒素を導入し、ターゲ
ットとして二酸化珪素を用いたRFスパッタによってS
iON膜を20nm成膜した。その後、大気に曝すこと
なく直ちに、ITO透明導電膜を400nm成膜した。
【0023】得られたITO透明導電膜付き基板につい
て、臭化水素酸水溶液、フッ化水素酸水溶液によって、
表面に成膜されたITO膜およびSiON膜を除去し、
XPS法により有機樹脂表面を分析した。その結果、表
面からは窒素の光電子スペクトルが検出され、そのスペ
クトルは炭素−窒素結合に規定された。すなわち、有機
樹脂の表面がSiON膜の成膜過程で窒化されているが
分かった。また、このITO透明導電膜付き基板につい
て、耐薬品性試験ならびに密着性試験を行ったところ、
表1に示すようにどちらの試験においても、膜割れ、膜
浮きは全く観察されなかった。
【0024】実施例3 カラーフィルタ付き基板を成膜室に導入し、一旦0.0
027Pa以下の圧力になるまで排気し、基板を所定の
温度まで加熱する。その後全圧を0.5Paとなるよう
に窒素、アルゴンおよび酸素(窒素80体積%アルゴン
19体積%酸素1体積%)を導入し、ターゲットとして
金属シリコンを用いたRFスパッタによってSiON膜
を10nm成膜した。その後、大気に曝すことなく直ち
に、ITO透明導電膜を400nm成膜した。
【0025】得られたITO透明導電膜付き基板につい
て、臭化水素酸水溶液、フッ化水素酸水溶液によって、
表面に形成されたITO膜およびSiON膜を除去し、
XPS法により有機樹脂膜表面を分析した。その結果、
表面からは窒素の光電子スペクトルが検出され、炭素−
窒素結合に規定された。すなわち、有機樹脂の表面がS
iON膜の成膜過程で窒化されているが分かった。ま
た、このITO透明導電膜付き基板について、耐薬品性
試験ならびに密着性試験を行ったところ、表1に示すよ
うにどちらの試験においても膜割れ、膜浮きは全く観察
されなかった。
【0026】実施例4 カラーフィルタ付き基板を成膜室に導入し、一旦0.0
027Pa以下の圧力になるまで排気し、基板を所定の
温度まで加熱する。その後全圧を0.5Paとなるよう
に窒素、アルゴンおよび酸素(窒素80体積%アルゴン
19体積%酸素1体積%)を導入し、ターゲットとして
金属ジルコンを用いたRFスパッタによって酸窒化ジル
コニウム(ZrONと略記する(化学量論量を示すもの
でない))膜を10nm成膜した。その後、大気に曝す
ことなく直ちに、ITO透明導電膜を400nm成膜し
た。
【0027】得られたITO透明導電膜付き基板につい
て、臭化水素酸水溶液、フッ化水素酸水溶液によって、
表面に形成されたITO膜およびZrON膜を除去し、
XPS法により有機樹脂膜表面を分析した。その結果、
表面からは窒素の光電子スペクトルが検出され、そのス
ペクトルは炭素−窒素結合に規定された。すなわち、有
機樹脂の表面がZrON膜の成膜過程で窒化されている
が分かった。また、このITO透明導電膜付き基板にに
ついて、耐薬品性試験ならびに密着性試験を行ったとこ
ろ、表1に示すように、どちらの試験においても膜割
れ、膜浮きは全く観察されなかった。
【0028】実施例5 カラーフィルタ付き基板を成膜室に導入し、一旦0.0
027Pa以下の圧力になるまで排気し、基板を所定の
温度まで加熱する。その後全圧を0.5Paとなるよう
に窒素、アルゴンおよび酸素(窒素80体積%アルゴン
19体積%酸素1体積%)を導入し、ターゲットとして
金属アルミニウムを用いたRFスパッタによって酸窒化
アルミニウム(AlONと略記する(化学量論量を示す
ものでない))膜を10nm成膜した。その後、大気に
曝すことなく直ちに、ITO透明導電膜を400nm成
膜した。
【0029】得られたITO透明導電膜付き基板につい
て、臭化水素酸水溶液、フッ化水素酸水溶液によって、
表面に成膜されたITO膜およびAlON膜を除去し、
XPS法により有機樹脂膜表面を分析した。その結果、
表面からは窒素の光電子スペクトルが検出され、そのス
ペクトルは炭素−窒素結合に規定された。すなわち、有
機樹脂の表面がAlON膜の成膜過程で窒化されている
ことが分かった。また、このITO透明導電膜付き基板
について、耐薬品性試験ならびに密着性試験を行ったと
ころ、表1に示すように、どちらの試験においても膜割
れ、膜浮きは全く観察されなかった。
【0030】
【表1】 表1 ================================== 例 成膜方法 有機樹脂表面の 被覆する膜 耐薬品性 密着性 窒化の有無 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 RF 有 SiON ◎ ◎ 実施例2 RF 有 SiON ◎ ◎ 実施例3 RF 有 SiON ◎ ◎ 実施例4 RF 有 ZrON ◎ ◎ 実施例5 RF 有 AlON ◎ ◎ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例1 RF 無 SiO2 × ◎ 比較例2 RF 有 SiN ◎ × 比較例3 DC 無 SiON × × ==================================
【0031】比較例1 カラーフィルタ付き基板を成膜室に導入し、一旦0.0
027Pa以下の圧力になるまで排気し加熱した。その
後全圧を0.5Paとなるようにアルゴンを導入し、タ
ーゲットとして二酸化珪素を用いたRFスパッタによっ
て二酸化珪素膜(SiO2膜)を10nm成膜した。そ
の後、大気に曝すことなく直ちに、ITO透明導電膜を
400nm成膜した。
【0032】得られたITO透明導電膜付き基板につい
て、臭化水素酸水溶液、フッ化水素酸水溶液によって、
表面に成膜されたITO膜およびSiO2膜を除去し、
XPS法により有機樹脂表面を分析した。その結果表面
からは窒素は全く検出されなかった。また、このITO
透明導電膜付き基板について、耐薬品性試験ならびに密
着性試験を行ったところ、密着性試験においては膜浮き
などは観察されなかったが、耐薬品性試験において膜割
れがITO透明導電膜に観察された。
【0033】比較例2 カラーフィルタ付き基板を成膜室に導入し、一旦0.0
027Pa以下の圧力になるまで排気し加熱した。その
後全圧を0.5Paとなるように窒素を導入し、ターゲ
ットとして金属シリコンを用いたRFスパッタによって
窒化珪素膜(以下SiN膜と略記する)を10nm成膜
した。その後、大気に曝すことなく直ちに、ITO透明
導電膜を400nm成膜した。
【0034】得られたITO透明導電膜付き基板につい
て、臭化水素酸水溶液、フッ化水素酸水溶液によって、
表面に成膜されたITO膜およびSiN膜を除去し、X
PS法により有機樹脂表面を分析した。その結果、表面
からは窒素の光電子スペクトルが検出され、そのスペク
トルは炭素−窒素結合に規定された。しかし、このIT
O透明導電膜付き基板について、耐薬品性試験ならびに
密着性試験を行ったところ、耐薬品性においては膜浮き
などは観察されなかったが、密着性試験において電極端
部での膜浮きが観察された。
【0035】比較例3 カラーフィルタ付き基板を成膜室に導入し、一旦0.0
027Pa以下の圧力になるまで排気し加熱した。その
後全圧を0.5Paとなるように窒素ならびに酸素(窒
素の流量に対して0.5体積%)を導入し、ターゲット
として金属シリコンを用いた直流マグネトロンスパッタ
法によってSiON膜を10nm成膜した。その後、大
気に曝すことなく直ちに、ITO透明導電膜を400n
m成膜した。
【0036】得られたITO透明導電膜付き基板につい
て、臭化水素酸水溶液、フッ化水素酸水溶液によって、
表面に成膜されたITO膜およびSiON膜を除去し、
XPSにより透明基板表面を分析した。その結果表面か
らは窒素は全く検出されなかった。また、このITO透
明導電膜付き基板について、耐薬品性試験ならびに密着
性試験を行ったところ、耐薬品性試験では膜浮きが、密
着性試験では電極端部に膜浮きが観察された。
【0037】上記実施例および比較例で成膜した酸窒化
物膜、窒化物膜あるいは酸化物膜の成膜方法と、得られ
たITO透明導電膜付き基板について調べた結果を表1
に纏めて示す。表1から明らかなように、有機樹脂表面
に金属酸窒化物膜を成膜し、かつその成膜過程で樹脂表
面を同時に窒化することにより、耐薬品性が向上すると
ともに、ITO透明導電膜の密着性が向上することがわ
かる。
【0038】
【発明の効果】本発明のITO透明導電膜付き基板は、
ITO透明導電膜とカラーフィルタの有機樹脂との間に
金属酸窒化物膜が設けられ、かつ、その金属酸窒化物膜
は、表面が窒化された有機樹脂上に設けられているの
で、耐薬品性及び密着性に優れたITO透明導電膜付き
基板となる。これにより、ITO透明導電膜の酸エッチ
ングによる電極加工工程やアルカリ洗剤による洗浄工程
において、ITO透明導電膜に膜割れや膜剥離が生じな
い。
【0039】本発明のITO透明導電膜付き基板を用い
た液晶表示素子は、透明電極に膜割れや膜剥離がないの
で、透明電極の断線による画素点灯不良が防止でき、ま
た透明電極の密着性が大きいので信頼性の大きい液晶表
示素子となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のITO透明導電膜付き基板の一実施例
の断面図である。
【図2】実施例1で測定、検出された炭素ー窒素結合に
規定される光電子分光のピークを示す図である。
【符号の説明】
1:ITO透明導電膜付き基板 2:ガラス板 3:カラーフィルタ 3a:カラーフィルタ画素 3b:表面平坦化のための有機樹脂膜 3c:窒化された領域 4:金属酸窒化物膜 5:ITO透明導電膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板上に、着色剤を含有する有機樹脂
    からなるカラーフィルタ、金属酸窒化物膜、ITO透明
    導電膜がこの順に設けられた透明導電膜付き基板であっ
    て、前記有機樹脂の表面および表面近傍が窒化されてい
    ることを特徴とするITO透明導電膜付き基板。
  2. 【請求項2】前記窒化は、前記有機樹脂中に注入された
    窒素の炭素ー窒素結合する窒素によることを特徴とする
    請求項1に記載のITO透明導電膜付き基板。
  3. 【請求項3】前記金属酸窒化物の金属が、シリコン、ア
    ルミニウム、チタニウム、タンタル、ジルコニウムから
    なる金属群から選ばれた少なくとも1種であることを特
    徴とする請求項1または2に記載のITO透明導電膜付
    き基板。
  4. 【請求項4】前記選ばれた金属がシリコンであることを
    特徴とする請求項3に記載のITO透明導電膜付き基
    板。
  5. 【請求項5】透明基板上に設けられた着色剤を含有する
    有機樹脂からなるカラーフィルタの上に、金属酸窒化物
    膜、ITO透明導電膜を順次被覆する透明導電膜付き基
    板の製造方法であって、前記金属酸窒化物を前記金属ま
    たは前記金属酸化物をターゲットとし、減圧した窒素を
    含有するプラズマを用いる高周波マグネトロンスパッタ
    リングで成膜し、同時に前記プラズマ中の窒素を前記有
    機樹脂に注入させて前記有機樹脂表面を窒化することを
    特徴とするITO透明導電膜付き基板の製造方法。
  6. 【請求項6】前記金属酸窒化物の金属が、シリコン、ア
    ルミニウム、チタニウム、タンタル、ジルコニウムから
    なる金属群から選ばれた少なくとも1種であることを特
    徴とする請求項5に記載のITO透明導電膜付き基板の
    製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜4のいずれかに記載のITO透
    明導電膜付き基板を一方の基板とし、これと対向配置さ
    せた他方の基板との間に液晶を封入した液晶表示素子。
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