JP2000176406A - 生ゴミ処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 調整剤の処理槽への投入を、労力を要しない
簡便な方法で、入れ忘れ等の問題なく確実かつ適切に行
なえる生ゴミ処理装置を提供すること。 【解決手段】 生ゴミを生分解して処理する処理部と、
生分解処理された処理物を回収する回収部と、処理部或
いは回収部からの臭気を脱臭して排気する脱臭排気部と
を備えた生ゴミの処理装置において、生ゴミを収容する
処理槽の蓋に、処理槽へ投入する調整剤を貯蔵する調整
剤貯蔵室を備える。そして、その調整剤貯蔵室には、処
理槽の蓋が開けられたときに、所定量の調整剤を処理槽
へ投入する調整剤投入手段を付設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、家庭等の調理場や
食品工場などの食品加工現場、更には、野菜等の田畑な
ど食品生産現場から排出される生物系のゴミ一般を、分
解処理する生ゴミ処理装置に関する。特に、処理槽へ調
整剤を簡便ながら確実かつ適切に投入する構成に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】生ゴミを生分解処理する生ゴミ処理装置
は、諸々の装置が既に市場で流通している。例えば、生
ゴミを発酵処理する処理部と、発酵処理された処理物を
回収する回収部と、処理部からの臭気を脱臭して排気す
る脱臭排気部と、を備えた生ゴミ発酵処理装置は、公知
である。この種の生ゴミ処理装置では、生ゴミは、ま
ず、発酵菌等の発酵促進材料と共に、処理部の発酵処理
槽に投入される。投入された生ゴミは、発酵処理槽に装
備された回転撹拌爪によって撹拌され、発酵熟成を促進
される。発酵処理された処理物は、回収部の処理物回収
器へ収容される。そして、最終処理物は、肥料などとし
て再利用される。

【０００３】生ゴミを効率よく着実に発酵熟成させるた
めには、生ゴミを収容する処理槽の環境を調整すること
が望まれる。そのために、発酵処理運転中に、酸素発生
剤やｐＨ調整剤、生ゴミを分解する微生物などの調整剤
が処理槽に適宜投入される。従来、この調整剤は、人力
によるマニュアル操作で行なわれていた。すると、労力
を要する上、調整剤の入れ忘れ等の問題点があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みて創出されたものであり、その目的は、調整剤の
処理槽への投入を、労力を要しない簡便な方法で、しか
も、入れ忘れ等の問題なく確実かつ適切に行なえる生ゴ
ミ処理装置を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の生ゴミ処理装置は、次の構成を備える。す
なわち、生ゴミを生分解して処理する処理部と、生分解
処理された処理物を回収する回収部と、処理部或いは回
収部からの臭気を脱臭して排気する脱臭排気部とを備え
た生ゴミの処理装置において、生ゴミを収容する処理槽
の蓋に、処理槽へ投入する調整剤を貯蔵する調整剤貯蔵
室を備える。そして、その調整剤貯蔵室には、処理槽の
蓋が開けられたときに、所定量の調整剤を処理槽へ投入
する調整剤投入手段を付設する。

【０００６】ここで、調整剤投入手段に、処理槽の蓋が
一回開けられる度に処理槽へ投入される調整剤の量を調
節する投入量調節手段を設けて、投入量の調節に寄与さ
せてもよい。

【０００７】調整剤投入手段に、処理槽の蓋が一回開け
られる度に処理槽へ投入される量の調整剤を、調整剤貯
蔵室から供給されて一時貯留する貯留室を設けて、投入
量の定量化に寄与させてもよい。

【０００８】貯留室に、処理槽の蓋の開閉に連動して、
貯留室を開閉する貯留室開閉手段を設けて、調整剤が処
理槽の蓋の開閉に確実に連動して投入されるようにして
もよい。

【０００９】そのような貯留室開閉手段としては、貯留
室の底面に開口した排出孔を開閉するバルブと、処理槽
の蓋の開閉に連動してこのバルブを動作させるバルブ制
御手段とを備える構成が好適である。

【００１０】調整剤貯蔵室に、処理槽の蓋が開けられた
ときに調整剤を貯留室へ案内する案内板を設けて、調整
剤が調整剤貯蔵室から貯留室へ円滑に案内されるように
してもよい。

【００１１】調整剤貯蔵室を、複数設け、各室に、異な
る調整剤を貯蔵し、そして、各室の開閉を制御し、処理
槽へ投入する調整剤を選択する調整剤選択手段を設け
て、投入したい調整剤を自在に選択できるようにしても
よい。

【００１２】調整剤貯蔵室に貯蔵される調整剤として
は、酸素発生剤、または、ｐＨ調整剤、または、生ゴミ
を分解する微生物などが挙げられる。

【００１３】生ゴミの生分解処理を、発酵による方法で
構成して、連続運転と経費節減に寄与させてもよい。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面の
例に基づいて説明する。本発明は、生ゴミを生分解して
処理する処理部と、生分解処理された処理物を回収する
回収部と、処理部或いは回収部からの臭気を脱臭して排
気する脱臭排気部と、を備えた任意の生ゴミ処理装置を
対象とすることができる。しかし、以下では、好適実施
例として、典型的な生ゴミ発酵処理装置を例示して説述
する。なお、本発明の構成は、その主旨から逸脱しない
限り適宜設計変更可能なものである。

【００１５】ここでは、生ゴミは、処理部で発酵菌によ
って分解処理される。発酵による処理方法は、連続運転
と経費節減の点で利用価値が高い。しかし、生ゴミの処
理方法は、発酵菌によって糖質を分解する狭義の発酵に
限らず、他の微生物が関与する諸々の生分解や、微生物
より薬品類の関与が深い分解処理であってもよい。

【００１６】例えば、澱粉やセルロース、キチンなどの
天然高分子、ポリカプロラクトンなどの合成高分子を分
解する微生物を、発酵菌に混入させてもよい。すると、
これら高分子を原料とした生分解性プラスティックで形
成された包装材や容器も、分解処理される。そのため、
生ゴミを、包装材や容器から分ける必要なく、一緒に処
理部へ投入して分解処理することが可能になる。

【００１７】図１ないし３は、それぞれ、本発明による
生ゴミ発酵処理装置の一部切欠正面図、側面断面図、一
部切欠背面図である。 １．要部構成 生ゴミ発酵処理装置は、その主な構成要素として、少な
くとも、処理部（Ｓ）、回収部（Ｋ）、脱臭排気部
（Ｄ）を備える。処理部（Ｓ）は、生ゴミを発酵熟成さ
せて分解処理する部分であり、回収部（Ｋ）は、処理部
（Ｓ）で処理された処理物を回収する部分であり、脱臭
排気部（Ｄ）は、処理部（Ｓ）或いは回収部（Ｋ）から
の臭気を脱臭して排気する部分である。なお、処理物
は、回収部（Ｋ）から装置外へ取り出され、肥料等とし
て再利用される。

【００１８】２．生ゴミ投入部 この生ゴミ発酵処理装置は、立脚姿勢では縦長の略直方
体であり、その上面に、平板状の蓋（１０）が、開閉自
在に設置されている。生ゴミは、この蓋（１０）を開け
て投入され自由落下し、その直下の処理部（Ｓ）に収容
される。蓋（１０）の内部（１１）は中空であり、発泡
樹脂等の断熱材が充填されている。

【００１９】３．処理部（Ｓ） 処理部（Ｓ）において、生ゴミは、処理槽（２０）内
で、撹拌爪（３０）によって撹拌されることで、発酵熟
成が促進され処理される。処理の際に生じる臭気は、脱
臭排気部（Ｄ）へ送られて脱臭された後に排気される。
処理物は、処理槽（２０）の下に位置する回収部（Ｋ）
へ送られて装置外へ排出される。

【００２０】３−１．処理槽（２０） 処理槽（２０）は、生ゴミの投入口（２０ａ）が、上方
の蓋（１０）に面して開口し、生ゴミの溜まる底部（２
０ｂ）が、Ｕ字状に形成されている。この底部（２０
ｂ）のＵ字形状は、図２に明示されるように、撹拌爪
（３０）の回転軌跡に呼応させるためである。処理槽底
部（２０ｂ）の裏面には、図示しないパネルヒーターが
略全面にわたって張設され、処理槽（１０）の室温が加
熱制御されている。処理槽（１０）は、２重の槽になっ
ていて、内外の槽壁の間に中空部分（２１）が設けら
れ、断熱が図られている。

【００２１】３−２．撹拌爪（３０） 処理槽（２０）には、細長い薄板状の撹拌爪（３０）が
複数連架されている。撹拌爪（３０）は、その中央に設
けられた孔に、撹拌爪支軸（３１）を貫通されて支持さ
れる。撹拌爪（３０）の長さは、処理槽底部（２０ｂ）
のＵ字形状における円弧の径より若干短い。撹拌爪支軸
（３１）は、処理槽底部（２０ｂ）の円弧の中心位置で
水平に懸架され、回転駆動される。この配置により、処
理槽（２０）に投入された生ゴミは、処理槽底部（２０
ｂ）と撹拌爪（３０）先端との間で着実に破砕される。
撹拌爪（３０）を回転させて生ゴミを撹拌するのは、生
ゴミに十分な空気を均等に供給しながら破砕すると共
に、熱伝導を促進するためである。これによって、生ゴ
ミの発酵熟成と乾燥が、均一に高速で行なわれる。な
お、撹拌爪支軸（３１）は、モーター（３５）の動力を
伝動チェーン（３３）を介して受けて回転駆動される。

【００２２】３−３．生ゴミ発酵熟成方法 生ゴミは、上記のように、処理槽（２０）に投入され、
ヒーターによる加熱と撹拌爪（３０）による撹拌を受け
て、発酵熟成されて処理される。生ゴミを発酵させるた
めには、発酵菌が必要である。そこで、初めて生ゴミを
投入する場合や、発酵菌を補給したい場合には、発酵菌
の付着した副資材を処理槽（２０）に投入する。その副
資材としては、好気性の発酵菌を種菌として付着させた
ゼオライト等の弱アルカリ性鉱物粉体やおが屑などが好
適である。生ゴミは、例えば１ヶ月等の所定期間、処理
槽（２０）に滞留され、発酵熟成処理された後、回収部
（Ｋ）へ送られる。この際、処理槽（２０）に、生ゴミ
の半処理物を一部残留させておくと、それに発酵菌が含
有されているので、生ゴミを追加して連続投入すること
ができ、処理効率が向上する。

【００２３】生ゴミを効率よく着実に発酵熟成させるた
めには、処理槽（２０）の環境を調整したり、撹拌爪
（３０）による撹拌を制御することが好ましい。

【００２４】３−３−１．処理槽（２０）の環境調整 処理槽（２０）の室内を、生ゴミが発酵熟成し易い環境
になるように調整するパラメーターとしては、温度、ｐ
Ｈ、含水率、酸素含有量などが挙げられる。温度は、処
理槽底部（２０ｂ）の裏面に張設されたヒーターによっ
て司り、ｐＨは、石灰や米糠等のｐＨ調整剤を添加する
ことによって司る。発酵熟成に好適な室温は、およそ３
０〜６０℃、特に４５〜５０℃であり、好適なｐＨは、
およそ６〜８、好適な含水率は、およそ４０〜６５％で
ある。処理槽（２０）に投入された生ゴミの分量が多す
ぎたり、生ゴミの内容が米や魚や肉類であったり、含水
率が高いと、嫌気性菌が増殖して処理物がべとつき、好
気性の発酵菌が死滅することがある。そこで、処理物が
べとついてきた場合は、発酵菌の活性を向上させるため
に、酸素発生剤を添加して好気環境に変える。

【００２５】３−３−２．撹拌爪（３０）の撹拌制御 撹拌爪（３０）による撹拌運転を制御する際のパラメー
ターとしては、生ゴミの内容や量、含水率などが挙げら
れる。生ゴミの内容が、蛋白質分の高い肉類など発酵し
易い物か、繊維質の野菜など発酵し難い物かによって、
撹拌爪（３０）の回転速度や回転数を変えたり、場合に
よっては形状の異なる撹拌爪に交換したりする。生ゴミ
の処理程度に応じて、運転様式は変えられる。その運転
様式としては、生ゴミが液状化しない程度に粉砕する破
砕運転や、加熱しながら断続的に短い時間だけ撹拌する
発酵運転、放置時間の長い熟成運転などが挙げられる。

【００２６】４．回収部（Ｋ） 発酵熟成処理された処理物は、処理槽底部（２０ｂ）に
連結された排出管（４２）を経て、その下に位置する回
収部（Ｋ）へ送られる。回収部（Ｋ）には、箱形の処理
物回収器（４０）が備わり、排出管（４２）から落下す
る処理物を収容する。処理物回収器（４０）は、生ゴミ
発酵処理装置の表面に開口した処理物排出口（４１）
に、引き出し自在に挿入設置されている。これによっ
て、回収器（４０）に充満した処理物は、装置外へ排出
され肥料等として再利用される。

【００２７】５．脱臭排気部（Ｄ） 発酵熟成処理の際に生じる臭気は、脱臭排気部（Ｄ）へ
送られて脱臭された後に排気される。脱臭排気部（Ｄ）
は、臭気を脱臭して排気する脱臭ケース（６０）と、こ
の脱臭ケース（６０）へ生ゴミ処理槽（２０）を連通す
る臭気案内ダクト（５０）とから成る。回収部（Ｋ）の
処理物回収器（４０）と脱臭ケース（６０）とを連通す
る臭気案内ダクトを付設して、回収部（Ｋ）からの臭気
も脱臭するように構成してもよい。

【００２８】５−１．臭気案内ダクト（５０） 生ゴミ処理槽（２０）の上部には、幅広の排気口（５
１）が、図示しない網体を装備されて開口している。こ
の排気口（５１）に、臭気案内ダクト（５０）の上流端
（５０ａ）が連結される。臭気案内ダクト（５０）は、
図４に明示されるように、その上流端（５０ａ）から下
方へ進むに連れ、断面積が減少していく。そして、下流
端（５０ｂ）が、脱臭ケース（６０）天井壁のダクト連
結口（７１）に連結される。

【００２９】５−２．脱臭ケース（６０） 脱臭ケース（６０）は、横長の略箱形であり、臭気案内
ダクト下流端（５０ｂ）が連結された端部であるダクト
連結口（７１）の他端に、排気口（８１）が開口してい
る。臭気案内ダクト（５０）から流入した臭気は、脱臭
ケース（６０）内を、ダクト連結口（７１）から排気口
（８１）へ向かって流れる。その中流部に相当する脱臭
ケース（６０）の中央部には、熱触媒（７６）が配設さ
れている。脱臭ケース（６０）は、この熱触媒（７６）
を仕切として、上流側の脱臭空間（７０）と下流側の排
気空間（８０）とに分けられる。なお、脱臭ケース（６
０）を開いて清掃等に寄与する平板状のカバー（６１）
が、生ゴミ発酵処理装置の表面に着脱可能に取り付けら
れている。

【００３０】５−２−１．脱臭空間（７０） 脱臭空間（７０）には、臭気案内ダクト（５０）から臭
気と共に流入した塵芥を貯留する塵芥貯留部（７２）
と、臭気を脱臭する脱臭器（７５）及び熱触媒（７６）
を備える。

【００３１】５−２−１−１．塵芥貯留部（７２） ダクト連結口（７１）より下流の脱臭ケース（６０）
は、臭気の流路における断面積が、臭気案内ダクト（３
２）よりも大きい。そのため、臭気案内ダクト（５０）
から流入した塵芥は、臭気流が拡散減速するのに伴っ
て、脱臭空間（７０）内を自由落下し、脱臭ケース（６
０）底部の塵芥貯留部（７２）に堆積する。塵芥は、熱
触媒（７６）によって、排気空間（８０）への流出が阻
止されるため、その上流側の塵芥貯留部（７２）に確実
に滞留し、装置外へ放出されるのが防止される。

【００３２】５−２−１−２．脱臭器（７５） 脱臭空間（７０）の上流側側壁の上部には、臭気を脱臭
する脱臭器（７５）として、オゾン発生器が取り付けら
れている。オゾン発生器（７５）の近傍の脱臭ケース
（６０）底部には、外気流入路形成板（７３）が、脱臭
ケース（６０）天井壁の近傍まで立設している。そし
て、オゾン発生器（７５）の下部近傍の脱臭ケース（６
０）側壁には、外気取入口（７４）が開口している。そ
のため、外気取入口（７４）から流入する外気は、脱臭
ケース（６０）側壁と外気流入路形成板（７３）との間
の空間を上昇し、オゾン発生器（７５）の直近を通過し
てオゾンを混合された後、下流のダクト連結口（７１）
下部へ送られる。ここで、ダクト連結口（７１）から流
入する臭気が、オゾンによって脱臭される。

【００３３】５−２−１−３．熱触媒（７６） 脱臭空間（７０）でオゾン脱臭された残存臭気流は、熱
触媒（７６）を通過して、排気空間（８０）へ送られ
る。熱触媒（７６）としては、酸化鉄と酸化マンガンの
粉体を表面積の大きいハニカム状に焼成したものが利用
できる。残存臭気は、このハニカムに接触して酸化され
て脱臭される。熱触媒（７６）は、高率に機能する２０
０℃程度に加熱される。なお、オゾンは、臭気を酸化す
る際に酸素に還元されるので、排気空間（８０）へ流出
して装置外へ排出されることは防止される。

【００３４】熱触媒（７６）を加熱する手段としては、
図３に示すように、発熱体（７７）が付設されている。
発熱体（７７）は、熱触媒（７６）の上流側のやや下部
に配設される。このような発熱体（７７）を用いると、
簡略安価な構成ながら有効に熱触媒（７６）を加熱する
ことができる。なお、発熱体（７７）及び熱触媒（７
６）の温度制御に寄与する温度センサー（７７ｓ）（７
６ｓ）は、発熱体（７７）及び熱触媒（７６）のそれぞ
れ下流近傍に設置される。

【００３５】熱触媒（７６）は、自己発熱型の触媒であ
ってもよい。例えば、触媒入りセラミックに電熱性金属
粉を添加して焼結したものに、電極を設け通電可能に構
成すると、温度制御の精密化と省スペースに寄与する。

【００３６】５−２−２．排気空間（８０） 熱触媒（７６）で残存臭気を脱臭された排気は、排気空
間（８０）へ送られる。排気空間（８０）の下流端に
は、排気口（８１）が開口し、排気手段としての排気フ
ァン（８２）が設置されている。この排気ファン（８
２）の排気作用によって、処理部（Ｓ）から脱臭排気部
（Ｄ）を経て装置外までの流気経路が形成される。

【００３７】なお、脱臭排気作用は、オゾン発生器（７
５）のオゾン発生量や、排気ファン（８２）の回転速度
などによって調整される。

【００３８】６．本発明 以上のような生ゴミ発酵処理装置において、本発明は、
処理槽の蓋（１０）に、処理槽（２０）へ投入する調整
剤を貯蔵する調整剤貯蔵室（１４）を設け、その調整剤
貯蔵室（１４）に、処理槽蓋（１０）が開けられたと
き、所定量の調整剤を処理槽（２０）へ投入する調整剤
投入手段を付設した。これによって、労力を必要としな
い簡便な方法で、しかも、入れ忘れ等の問題なく確実か
つ適切に、調整剤を処理槽（２０）へ投入できるように
した。詳細は以下の通りである。

【００３９】図４及び５は、処理槽蓋（１０）を示す側
面断面図及び平面図である。調整剤貯蔵室（１４）は、
略平板状の箱形であり、処理槽蓋（１０）の上部に装備
される。調整剤を調整剤貯蔵室（１４）へ充填するに
は、貯蔵室蓋（１４ａ）を、支軸（１４ｂ）を軸に回動
させて開ける。

【００４０】調整剤貯蔵室（１４）には、処理槽蓋（１
０）の開閉支軸（１２）寄りに、貯留室（１５）が連設
する。貯留室（１５）は、調整剤貯蔵室（１４）から供
給された調整剤を、一時貯留する小空間である。

【００４１】貯留室（１５）と調整剤貯蔵室（１４）と
の境界を成す境界壁（１４ｃ）の上部には、連絡口（１
４ｄ）が開口している。処理槽蓋（１０）を開けると、
その傾斜に伴って、調整剤が、調整剤貯蔵室（１４）内
で処理槽蓋（１０）の傾斜と同様に傾斜する。そのた
め、調整剤は、連絡口（１４ｄ）に達し、貯留室（１
５）へ移る。貯留室（１５）へ移る調整剤の量は、貯留
室（１５）の容量に依存するので、貯留室（１５）の存
在は、処理槽蓋（１０）が一回開けられる度に処理槽
（２０）へ投入され調整剤の定量化に寄与している。

【００４２】ここで、貯留室（１５）の容量や、連絡口
（１４ｄ）の開口面積、境界壁（１４ｃ）の高さを変更
する可動板等の投入量調節手段を設けてもよい。する
と、処理槽蓋（１０）が一回開けられる度に処理槽（２
０）へ投入される調整剤の量を適宜設定することが可能
になる。

【００４３】境界壁（１４ｃ）に隣接する処理槽蓋（１
０）の両側壁（１４ｅ）（１４ｅ）は、調整剤貯蔵室
（１４）内の調整剤を、調整剤貯蔵室（１４）から貯留
室（１５）へ案内する案内板として機能している。すな
わち、図５に示す通り、側壁（１４ｅ）は、境界壁（１
４ｃ）へ向かって屈折している。そのため、処理槽蓋
（１０）を開けると、その傾斜によって、調整剤貯蔵室
（１４）内の調整剤は、側壁（１４ｅ）に案内されて、
境界壁（１４ｃ）のある方向へ寄せ集まり、連絡口（１
４ｄ）を経て貯留室（１５）へ円滑に移る。

【００４４】貯留室（１５）の底面（１５ａ）には、排
出孔（１５ｂ）が開口している。調整剤は、この排出孔
（１５ｂ）から落下して、処理槽（２０）へ投入され
る。この排出孔（１５ｂ）の開閉は、下記の貯留室開閉
手段によって司られる。

【００４５】丸穴状の排出孔（１５ｂ）には、その閉蓋
具として漏斗状のバルブ（１６ｂ）が、貯留室底面（１
５ａ）の上に配置される。このバルブ（１６ｂ）の昇降
によって、排出孔（１５ｂ）が開閉する。

【００４６】バルブ（１６ｂ）は、貯留室開閉シーソー
（１６）の一端に配設され、 バルブ（１６ｂ）の上面
には、スプリング等の弾性体（１６ｃ）が、バルブ（１
６ｂ）を降下させる方向へ付勢されている。貯留室開閉
シーソー（１６）の支点（１６ａ）は、処理槽蓋（１
０）の下面に設置され、貯留室開閉シーソー（１６）の
他端には、処理槽蓋（１０）の開閉を検知する突起（１
６ｄ）が配設される。この突起（１６ｄ）は、処理槽蓋
（１０）より下に突出していて、その上面には、弾性体
（１６ｅ）が、突起（１６ｄ）を降下させる方向へ付勢
されている。

【００４７】この貯留室開閉シーソー（１６）の構成に
よって、処理槽蓋（１０）の開閉に連動して、バルブ
（１６ｂ）の動作が制御される。すなわち、処理槽蓋
（１０）が閉まっている時は、突起（１６ｄ）が、処理
槽（２０）に当接して上昇するので、バルブ（１６ｂ）
が降下して、排出孔（１５ｂ）が塞がれる。処理槽蓋
（１０）が開くと、弾性体（１６ｅ）の復元力によっ
て、突起（１６ｄ）が降下するので、バルブ（１６ｂ）
が上昇して、排出孔（１５ｂ）が開口される。このよう
に、処理槽蓋（１０）の開閉に、貯留室（１５）の開閉
が連動するので、調整剤は、処理槽蓋（１０）の開閉に
確実に連動して投入される。

【００４８】図６及び７は、構成を簡素にした別実施例
を示す側面断面図及び平面図である。貯留室（１５）の
底部は、常に開口していて、貯留室開閉手段が省かれて
いる。このように貯留室（１５）を閉蓋する手段を設け
ない場合は、処理槽蓋（１０）を大きい角度で長時間開
けておくと、調整剤が調整剤貯蔵室（１４）から排出さ
れ続けてしまうことがあり得る。

【００４９】しかし、貯留室（１５）の容積を小さく
し、貯留室（１５）の端壁（１５ｃ）と境界壁（１４
ｃ）との間隔を狭くすると、そこに調整剤が一時的煮詰
まって滞留する。そのため、調整剤が調整剤貯蔵室（１
４）から排出され続けることが抑止される。そして、処
理槽蓋（１０）を閉じると、貯留室（１５）の端壁（１
５ｃ）と境界壁（１４ｃ）は鉛直になるので、端壁（１
５ｃ）と境界壁（１４ｃ）との間に滞留した調整剤は、
自由落下して処理槽（２０）へ投入される。

【００５０】貯留室（１５）の底部には、案内板（１５
ｄ）が、端壁（１５ｃ）から境界壁（１４ｃ）へ向かっ
て延伸している。そのため、案内板（１５ｄ）は、貯留
室（１５）の端壁（１５ｃ）と境界壁（１４ｃ）との間
の空間を半ば閉蓋する形態であるので、調整剤をそこに
一時的煮詰まらせる作用をする。また、案内板（１５
ｄ）の下端部は、処理槽蓋（１０）の開閉支軸（１２）
から離れる方向へ延伸しているので、貯留室（１５）か
ら排出された調整剤を、処理槽（２０）の中央へ向かっ
て投入させる作用も果たしている。

【００５１】ところで、調整剤貯蔵室（１４）に貯蔵さ
れる調整剤としては、酸素発生剤や、ｐＨ調整剤、生ゴ
ミを分解する微生物などが挙げられる。例えば、酸素発
生剤を調整剤貯蔵室（１４）に貯蔵して、処理槽蓋（１
０）を開ける度に少量づつ処理槽（２０）へ投入する
と、処理槽（２０）に収容されている処理物の酸素含有
量を所望の値以上に維持することができる。すると、処
理槽（２０）を好気環境に保ち、嫌気性菌の増殖を抑止
すると同時に発酵菌を増殖させて、分解処理の向上と異
臭の発生防止を行なうことができる。

【００５２】調整剤は、酸素発生剤に限らず、数種類あ
るので、調整剤貯蔵室（１４）を複数設け、各調整剤貯
蔵室（１４）に異なる調整剤を貯蔵してもよい。そし
て、各室の開閉を制御する手動ボタン等を処理槽蓋（１
０）の外面に設けて、処理槽（２０）へ投入する調整剤
を自在に選択できるようにしてもよい。

【００５３】

【発明の効果】本発明は、以上の構成を備えることによ
って、下記の効果を奏する。請求項１に記載の生ゴミ処
理装置によると、処理槽蓋に設けられた調整剤貯蔵室
に、処理槽蓋が開けられたときに、所定量の調整剤を処
理槽へ投入する調整剤投入手段が付設される。そのた
め、労力を要することなく、処理槽蓋の開閉により、入
れ忘れ等の問題なく確実かつ適切に、調整剤を処理槽へ
の投入することができる。

【００５４】請求項２に記載の装置によると、投入量調
節手段によって、処理槽蓋が一回開けられる度に処理槽
へ投入される調整剤の量を、自在に調節することができ
る。

【００５５】請求項３に記載の装置によると、貯留室に
よって、処理槽の蓋が一回開けられる度に処理槽へ投入
される調整剤の量を、一定の量に保つことができる。

【００５６】請求項４に記載の装置によると、貯留室開
閉手段によって、調整剤が処理槽蓋の開閉に確実に連動
して投入される。

【００５７】請求項５に記載の装置によると、貯留室底
面の排出孔を開閉するバルブによって、貯留室開閉手段
を的確に構成することができる。

【００５８】請求項６に記載の装置によると、案内板に
よって、処理槽蓋が開けられたときに、調整剤が調整剤
貯蔵室から貯留室へ円滑に案内される。

【００５９】請求項７に記載の装置によると、複数の調
整剤貯蔵室から所望の調整剤貯蔵室を選択できるので、
投入したい調整剤を自在に選ぶことができる。

【００６０】請求項８に記載の装置によると、生ゴミの
処理時に要する調整剤を適格に用意することができる。

【００６１】請求項９に記載の装置によると、発酵によ
り生ゴミが生分解処理されるので、装置の連続運転と経
費節減に寄与する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の一部切欠正面図

【図２】同、側面断面図

【図３】同、一部切欠背面図

【図４】処理槽蓋の側面断面図

【図５】同、平面図

【図６】図４とは別の処理槽蓋の側面断面図

【図７】同、平面図

【符号の説明】

Ｓ 処理部 Ｋ 回収部 Ｄ 脱臭排気部 １０ 蓋 １０ａ 蓋下面の貫通孔 １１ 中空部分 １２ 開閉支軸 １３ 取手 １４ 調整剤貯蔵室 １４ａ 蓋 １４ｂ 支軸 １４ｃ 境界壁 １４ｄ 連絡口 １４ｅ 案内板 １５ 貯留室 １５ａ 底面 １５ｂ 排出孔 １５ｃ 端壁 １５ｄ 案内板 １６ 貯留室開閉シーソー １６ａ 支点 １６ｂ バブル １６ｃ, ｅ 弾性体 １６ｄ 突起 ２０ 処理槽 ２０ａ 投入口 ２０ｂ 底部 ２１ 中空部分 ３０ 撹拌爪 ３１ 撹拌爪支軸 ３２、３４ スプロケット ３３ 伝動チェーン ３５ モーター ４０ 処理物回収器 ４１ 処理物排出口 ４２ 排出管 ５０ 臭気案内ダクト ５０ａ 臭気案内ダクトの上流端 ５０ｂ 臭気案内ダクトの下流端 ５１ 排気口 ６０ 脱臭ケース ６１ 脱臭ケースカバー ７０ 脱臭空間 ７１ ダクト連結口 ７２ 塵芥貯留部 ７３ 外気流入路形成板 ７４ 外気取入口 ７５ 脱臭器 ７６ 熱触媒 ７６ｓ 熱触媒の温度センサー ７７ 発熱体 ７７ｓ 発熱体の温度センサー ８０ 排気空間 ８１ 排気口 ８２ 排気ファン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｃ０５Ｆ 17/02 Ｆターム(参考） 4D002 AA40 AB02 AC10 BA05 DA51 HA01 4D004 AA03 AC01 AC04 BA04 CA18 CA22 CA48 CB02 CB28 CB32 CB50 CC08 CC09 CC12 CC20 4D048 AA22 AC07 AC10 BA28X BA36X BA41X BB02 BD01 CA01 CC38 CC52 DA03 DA13 4H061 AA03 CC42 CC55 DD20 EE66 EE70 GG14 GG49 GG67

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】生ゴミを生分解して処理する処理部と、 生分解処理された処理物を回収する回収部と、 処理部或いは回収部からの臭気を脱臭して排気する脱臭
   排気部とを備えた生ゴミの処理装置であって、 生ゴミを収容する処理槽の蓋に、 処理槽へ投入する調整剤を貯蔵する調整剤貯蔵室を備
   え、 その調整剤貯蔵室には、 処理槽の蓋が開けられたときに、所定量の調整剤を処理
   槽へ投入する調整剤投入手段が付設されることを特徴と
   する生ゴミ処理装置。
2. 【請求項２】調整剤投入手段が、 処理槽の蓋が一回開けられる度に処理槽へ投入される調
   整剤の量を、調節する投入量調節手段を備える請求項１
   に記載の生ゴミ処理装置。
3. 【請求項３】調整剤投入手段が、 処理槽の蓋が一回開けられる度に処理槽へ投入される量
   の調整剤を、調整剤貯蔵室から供給されて一時貯留する
   貯留室を備える請求項１または２に記載の生ゴミ処理装
   置。
4. 【請求項４】貯留室が、 処理槽の蓋の開閉に連動して、貯留室を開閉する貯留室
   開閉手段を備える請求項３に記載の生ゴミ処理装置。
5. 【請求項５】貯留室開閉手段が、 貯留室の底面に開口した排出孔を開閉するバルブと、 処理槽の蓋の開閉に連動してこのバルブを動作させるバ
   ルブ制御手段とを備える請求項４に記載の生ゴミ処理装
   置。
6. 【請求項６】調整剤貯蔵室が、 処理槽の蓋が開けられたときに調整剤を貯留室へ案内す
   る案内板を備える請求項１ないし５に記載の生ゴミ処理
   装置。
7. 【請求項７】調整剤貯蔵室が、複数設けられ、 各室には、異なる調整剤が貯蔵され、 各室の開閉を制御して、処理槽へ投入する調整剤を選択
   する調整剤選択手段を備える請求項１ないし６に記載の
   生ゴミ処理装置。
8. 【請求項８】調整剤貯蔵室に貯蔵される調整剤が、 酸素発生剤、または、ｐＨ調整剤、または、生ゴミを分
   解する微生物である請求項１ないし７に記載の生ゴミ処
   理装置。
9. 【請求項９】生ゴミの生分解処理が、 発酵による方法である請求項１ないし８に記載の生ゴミ
   処理装置。