JP2000175846A - 便 器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 便座蓋兼用の背もたれを一体に備えることに
より、座位姿勢を長時間保持し易くすると共に臭気の充
満などを防止することができるようにする。 【解決手段】 便座３を有する腰掛け式の便器本体２
と、便器本体２に跳ね上げ式に取付けられた便器蓋６と
を備えた便器において、便器蓋に背当部７を設けて背も
たれ一体型便器蓋６としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、便器に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、西洋式便器は、便座を有する腰
掛け式の便器本体と、便器本体の後部に跳ね上げ式に取
付けられた便器蓋とで構成されている。

【０００３】そして、上記便器は、便器蓋を上げ、便座
に腰を掛けて用を足すようになっている。

【０００４】一方、現在、少子化などによる高齢化社会
の到来が社会問題となっており、各方面でその対策が急
がれている。例えば、高齢者が便器を使用する場合、便
座に腰を掛けたり、便座から立ち上がったりするのに支
えや介助が必要となったり、また、排泄の際の座位姿勢
を保つのに体の支えが必要となったりする。

【０００５】そこで、従来、高齢者が便座に腰を掛けた
り、便座から立ち上がったりするのを補助するために、
便座の周囲にアームレストを備えた手摺り状のガイド枠
を取付けることが行われていた。また、排泄の際に座位
姿勢を保つのを補助するために前記ガイド枠に背もたれ
を取付けるなどしていた（例えば、特開平８−３８３９
６号公報参照）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記便器の周囲に取付
けられるガイド枠は、既存の便器の周囲へ後付けされる
ものであり、便器とは分離された物であるため、背もた
れやアームレストの位置や角度が対象とする便器や便所
にうまく適合しないおそれがあるという問題がある。し
かも、上記ガイド枠は、単にパイプを曲げて作られた物
であることが多く、背もたれやアームレストの位置や角
度を調整する機能は特に備えられていないので、高齢者
などには使いづらい物であった。

【０００７】また、上記ガイド枠は、干渉を防ぐため便
器蓋を取り外して便所の床に固定させるようになってい
るため、臭気が周囲に充満するのを防止することができ
なかった。

【０００８】そこで、本発明の目的は、上記の問題点を
解消し、便器蓋兼用の背もたれを一体に備えることによ
り、座位姿勢を長時間保持し易くすると共に臭気の充満
などを防止することのできる便器を提供することにあ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項１に記載された発明では、便座を有する腰掛
け式の便器本体と、前記便器本体に跳ね上げ式に取付け
られた便器蓋とを備えた便器において、前記便器蓋に背
当部を設けて背もたれ一体型便器蓋としたことを特徴と
している。ここで、便座は便器本体の後部に跳ね上げ式
に取付けられても良いし、便器本体に一体的に設けられ
ても良い。

【００１０】このように構成された請求項１にかかる発
明によれば、便器本体に背もたれ一体型便器蓋を設ける
ようにしているので、便器や便所にうまく適合した背も
たれを得ることが可能となる。しかも、背もたれの位置
や角度も最適化し得るので、高齢者などにとって使い易
いものとすることができる。

【００１１】また、便器本体に背もたれ一体型便器蓋を
設けるようにしているので、全体をコンパクトにまとめ
ることができ、且つ、低価格化を得ることができる。

【００１２】更に、背もたれ一体型便器蓋となっている
ため、使用後に蓋をすることができ、よって周囲に臭気
が充満するようなことを防止することができる。

【００１３】請求項２に記載された発明では、背もたれ
一体型便器蓋の背もたれ角度を調整可能としたことを特
徴としている。

【００１４】このように構成された請求項２にかかる発
明によれば、背もたれ一体型便器蓋の背もたれ角度を調
整させることにより、背もたれをリクライニングさせる
ことができる。

【００１５】請求項３に記載された発明では、背もたれ
一体型便器蓋の側部に肘掛けを設けたことを特徴として
いる。

【００１６】このように構成された請求項３にかかる発
明によれば、背もたれ一体型便器蓋の両側部に肘掛けを
一体的に設けたので、肘掛けの位置を最適化し、高齢者
などにとって使い易いものとすることができる。

【００１７】また、背もたれ一体型便器蓋に肘掛けを一
体的に設けるようにしているので、肘掛けをコンパクト
にまとめることができ、且つ、低価格化を得ることがで
きる。

【００１８】

【発明の実施の形態１】以下、本発明の具体的な実施の
形態１について、図示例と共に説明する。

【００１９】図１〜図３は、この発明の実施の形態１を
示すものである。

【００２０】まず、構成を説明すると、この実施の形態
１のものでは、便所の床面１に西洋式便器の腰掛け式の
便器本体２が設けられ、この便器本体２の上面には、排
泄時に着座する便座３が設けられている。この便座３
は、中央に排泄物を落下させるための孔４を有してお
り、着座時の使用者の向きを基準として、便座３の後部
がヒンジ部５を介して便器本体２上面の後部に起倒可能
に取付けられて、いわゆる跳ね上げ式となっている。な
お、便座３は便器本体２に一体的に設けられても良い。

【００２１】そして、この実施の形態１では、便器本体
２に背もたれ一体型便器蓋６が設けられる。この背もた
れ一体型便器蓋６は、その後部を前記ヒンジ部５に起倒
可能に取付けられている。この背もたれ一体型便器蓋６
は、使用者の背中を保持し得るように構成されている。
例えば、背もたれ一体型便器蓋６の長さ方向ａの寸法は
ほぼ４５ｃｍとされている。また、背もたれ一体型便器
蓋６の幅方向ｂの寸法はほぼ４５ｃｍとされて、便座３
よりも幅広く構成されている。背もたれ一体型便器蓋６
における使用者の背中に当たる部分にはスポンジなどの
弾性を有する素材による背当部７が取付けられている。
この背当部７は、使用者の背中の形状に合った湾曲形状
とされている。特に、背当部７の両サイドに、使用者の
体が横に傾くのを防止するためのホールド部８が背もた
れ一体型便器蓋６の長さ方向ａに沿って突出形成されて
いる。この背当部７は、背もたれ一体型便器蓋６に対し
てホックやマジックテープなどにより、任意の位置に付
け替え可能とされている。

【００２２】更に、前記背もたれ一体型便器蓋６の幅方
向ｂの中央部には前記長さ方向ａへ延びる支持柱９が取
付けられている。この支持柱９は、前側の端部がストッ
パ付きのヒンジ１０を介して背もたれ一体型便器蓋６に
おける長さ方向ａのほぼ中間位置に前後へ回動自在に支
持されており、後側の端部を便器本体２の後部に当接係
止させることにより背もたれ一体型便器蓋６へ掛かる荷
重を支持可能となっている。そして、前記支持柱９の後
側の端部にはゴムなどの滑り止め１１が取付けられてい
る。更に、必要に応じて便器本体２の最後部には支持柱
９の後側の端部が便器本体２から外れるのを防止するた
めのストッパ１２を設けても良い。支持柱９とストッパ
１２の代わりに前記ヒンジ５をストッパ付きとしても良
い。

【００２３】更に、背もたれ一体型便器蓋６の背もたれ
角度を調整可能とする。そのために、前記ヒンジ部５を
角度調整機能付きのものとする。或いは、ストッパ１２
の位置を可変とする。

【００２４】なお、便器蓋６は、倒伏させた時に便座本
体２と便器蓋６が接触しないようにする。

【００２５】次に、この実施の形態１の作用について説
明する。

【００２６】上記便器は、ヒンジ部５を中心として背も
たれ一体型便器蓋６を跳ね上げ、便座３に腰を掛けて用
を足すようになっている。

【００２７】この際、背もたれ一体型便器蓋６には、使
用者の背中に当たる部分にスポンジなどの弾性を有する
素材による背当部７が取付けられているので、使用者は
この背当部７に背中をもたせ掛けることにより、長時間
楽に座位姿勢を保持することができる。特に、この背当
部７を、使用者の背中の形状に合った湾曲形状とするこ
とにより、一層楽に座位姿勢でいられるようにすること
ができる。また、背当部７の両サイドに、背もたれ一体
型便器蓋６の長さ方向ａに沿ってホールド部８を突出形
成することにより、着座中に使用者の体が横に傾かない
ように姿勢を安定させることができる。

【００２８】また、背もたれ一体型便器蓋６を跳ね上げ
る際には、背もたれ一体型便器蓋６の幅方向ｂの中央部
に取付けられた支持柱９が背もたれ一体型便器蓋６と共
に起立し、背もたれ一体型便器蓋６が垂直状態よりも後
側へ傾いた時に、支持柱９は自重でストッパ付きのヒン
ジ１０を中心として便器本体２の後方へ傾動し、支持柱
９の後側の端部が自然と便器本体２の後部に当接係止さ
れることとなるので、支持柱９によって背もたれ一体型
便器蓋６へ掛かる荷重を支障なく支持させることができ
る。この際、支持柱９は、背もたれ一体型便器蓋６を跳
ね上げる操作で自然に後方へ出るので、支持柱９を操作
する手間を不要とすることができる。また、支持柱９
は、ストッパ付きのヒンジ１０を介して取付けられてい
るので、支持柱９が回動しすぎて便器本体２の後端部か
ら外れてしまうようなことを防止することができる。ま
た、前記支持柱９の後側の端部に取付けられたゴムなど
の滑り止め１１により、支持柱９を確実に便器本体２上
で停止させることができる。更に、必要に応じて便器本
体２の最後部にストッパ１２を設けることにより、支持
柱９の他端が便器本体２から外れるのを確実に防止する
ことができる。或いは、前記ヒンジ５をストッパ付きと
することにより背もたれ一体型便器蓋６の角度を固定す
ることができる。

【００２９】排泄が済んだら、背もたれ一体型便器蓋６
を閉じることにより、便座３に蓋がなされるので、周囲
に臭気が充満するようなことを防止することができる。
この際、支持柱９も自重でストッパ付きのヒンジ１０を
中心に前方へ回動し、背もたれ一体型便器蓋６に収納さ
れることとなるので、支持柱９を操作する手間を不要と
することができる。

【００３０】このように、この実施の形態１によれば、
便器本体２に背もたれ一体型便器蓋６を設けるようにし
ているので、便器や便所にうまく適合した背もたれを得
ることが可能となる。しかも、背もたれの位置や角度も
最適化し得るので、高齢者などにとって使い易いものと
することができる。更に、背当部７を、ホックやマジッ
クテープなどで背もたれ一体型便器蓋６の任意の位置に
付け替えられるようにすれば、使用者に応じた位置の微
調整が可能となる。

【００３１】更に、角度調整機能付きのヒンジ５を用い
たり、ストッパ１２の位置を可変とすることにより、背
もたれ一体型便器蓋６の背もたれ角度を調整して、背も
たれをリクライニングさせ得るようにすることもでき
る。

【００３２】また、便器本体２に背もたれ一体型便器蓋
６を設けるようにしているので、全体をコンパクトにま
とめることができ、且つ、低価格化を得ることができ
る。

【００３３】更に、背もたれ一体型便器蓋６となってい
るため、使用後に蓋をすることができ、よって周囲に臭
気が充満するようなことを防止することができる。

【００３４】なお、便器蓋６を倒伏した時に便座本体２
と便器蓋６が接触しないようにしているので、衛生的で
ある。

【００３５】

【発明の実施の形態２】図４、図５は、この発明の実施
の形態２を示すものである。なお、前記実施の形態１と
同一ないし均等な部分については、同一の符号を付して
説明する。

【００３６】まず、構成を説明すると、この実施の形態
２のものでは、背もたれ一体型便器蓋６の両側部に、着
座時の使用者の向きを基準として、ほぼ前後方向へ延び
る肘掛け２１を設けるようにしている。この肘掛け２１
は、後側の端部がストッパ付きのヒンジ２２を介して背
もたれ一体型便器蓋６側部における前記長さ方向ａのほ
ぼ中間位置に前後へ回動自在に支持されている。肘掛け
２１の長さ寸法ｃはほぼ４５ｃｍ程度とするのが良い。
また、肘掛け２１は芯材の外周にスポンジなどの柔らか
い素材を取付けたものとするのが良い。

【００３７】なお、背もたれ一体型便器蓋６を軸支する
ヒンジ部５、および、肘掛け２１を軸支するストッパ付
きのヒンジ２２には、耐荷重が１００ｋｇ程度以上のも
のを使用するのが好ましい。

【００３８】次に、この実施の形態２の作用について説
明する。背もたれ一体型便器蓋６の両側部に肘掛け２１
を一体的に設けたので、排泄中に使用者は肘掛け２１を
使用して楽に座位姿勢を保つことができる。また、排泄
の前後に使用者は肘掛け２１によって自分の体を支えつ
つ立上がったり座ったりすることができる。

【００３９】この際、背もたれ一体型便器蓋６の両側部
に肘掛け２１を一体的に設けたので、肘掛け２１の位置
を最適化し、高齢者などにとって使い易いものとするこ
とができる。

【００４０】また、背もたれ一体型便器蓋６に肘掛け２
１を一体的に設けるようにしているので、肘掛け２１を
コンパクトにまとめることができ、且つ、低価格化を得
ることができる。

【００４１】上記以外については、前記実施の形態と同
様の構成を備えており、同様の作用・効果を得ることが
できる。

【００４２】

【発明の実施の形態３】図６、図７は、この発明の実施
の形態３を示すものである。なお、前記実施の形態１、
２と同一ないし均等な部分については、同一の符号を付
して説明する。

【００４３】この実施の形態３のものでは、背もたれ一
体型便器蓋６の両側部に対し、先端部に僅かに内側へ曲
がる屈曲部２５が形成されたサポート肘掛け２６を取付
けるようにしている。

【００４４】このように、肘掛け２１の先端部に、僅か
に内側へ曲がる屈曲部２５を有するサポート肘掛け２６
を取付けることにより、排泄中に側方からも前側からも
体を支えることができるようになるので、より座位姿勢
を保ち易くすることができる。

【００４５】また、サポート肘掛け２６はその形状か
ら、背もたれ一体型便器蓋６にほぼ沿わせて収納するこ
とができるので、見栄えや納まりを良くすることができ
る。

【００４６】上記以外については、前記実施の形態１、
２と同様の構成を備えており、同様の作用・効果を得る
ことができる。

【００４７】以上、この発明の実施の形態を図面により
詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限ら
ず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等が
あってもこの発明に含まれる。

【００４８】例えば、高齢者用に限らず一般の介護用に
も使用することが可能である。

【００４９】

【発明の効果】以上説明してきたように、請求項１の発
明によれば、便器本体に背もたれ一体型便器蓋を設ける
ようにしているので、便器や便所にうまく適合した背も
たれを得ることが可能となる。しかも、背もたれの位置
や角度も最適化し得るので、高齢者などにとって使い易
いものとすることができる。

【００５０】また、便器本体に背もたれ一体型便器蓋を
設けるようにしているので、全体をコンパクトにまとめ
ることができ、且つ、低価格化を得ることができる。

【００５１】更に、背もたれ一体型便器蓋となっている
ため、使用後に蓋をすることができ、よって周囲に臭気
が充満するようなことを防止することができる。

【００５２】請求項２の発明によれば、背もたれ一体型
便器蓋の背もたれ角度を調整させることにより、背もた
れをリクライニングさせることができる。

【００５３】請求項３の発明によれば、背もたれ一体型
便器蓋の両側部に肘掛けを一体的に設けたので、肘掛け
の位置を最適化し、高齢者などにとって使い易いものと
することができる。

【００５４】また、背もたれ一体型便器蓋に肘掛けを一
体的に設けるようにしているので、肘掛けをコンパクト
にまとめることができ、且つ、低価格化を得ることがで
きる、という実用上有益な効果を発揮し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態１の側面図である。

【図２】背もたれ一体型便器蓋を閉じた状態を示す図１
と同様の側面図である。

【図３】図２の正面図である。

【図４】本発明の実施の形態２の側面図である。

【図５】背もたれ一体型便器蓋を起こし且つ肘掛けを出
した状態を示す平面図である。

【図６】本発明の実施の形態３の平面図である。

【図７】背もたれ一体型便器蓋を起こし且つ肘掛けを出
した状態を示す平面図である。

【符号の説明】

２ 便器本体 ３ 便座 ６ 背もたれ一体型便器蓋 ２１ 肘掛け ２６ サポート肘掛け

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】便座を有する腰掛け式の便器本体と、前記
   便器本体に跳ね上げ式に取付けられた便器蓋とを備えた
   便器において、前記便器蓋に背当部を設けて背もたれ一
   体型便器蓋としたことを特徴とする便器。
2. 【請求項２】背もたれ一体型便器蓋の背もたれ角度を調
   整可能としたことを特徴とする請求項１記載の便器。
3. 【請求項３】背もたれ一体型便器蓋の側部に一体的に肘
   掛けを設けたことを特徴とする請求項１または２記載の
   便器。